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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1137268
審判番号 不服2003-18704  
総通号数 79 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-12-07 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-09-25 
確定日 2006-06-01 
事件の表示 特願2000-153533「通信回線を用いた双方向コミュニケーション方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年12月 7日出願公開、特開2001-338076〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成12年5月24日の出願であって、平成15年8月25日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年9月25日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年10月24日付けで手続補正がなされ、平成17年12月21日付けで当審により最後の拒絶理由が通知され、平成18年2月24日付けで意見書とともに手続補正書が提出されたものである。

第2 平成18年2月24日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成18年2月24日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「インターネット等の通信回線を介して相互に接続された端末相互間における双方向コミュニケーション方法であって、ユーザ端末である生徒の端末からその生徒に与えられたID記号及び暗証記号が前記通信回線を介してホストサーバに入力されると当該ホストサーバはホストサーバ内に設けられた生徒データベースから当該ID記号及び暗証記号に基づいてその生徒の特定を行うと共に、前記ホストサーバ内に設けられたスケジュール管理部が前記生徒データベースに記録されている当該生徒の実力に基づいて与えられた等級に従って当該生徒が予約可能なレッスンを当該生徒の端末のモニタ画面に一覧表として表示させてレッスンの予約を受け付ける工程と、前記生徒の端末から予約の入力が行なわれると前記ホストサーバ内の先生選定手段が当該ホストサーバに記憶された先生データベースから所定の先生を選定する工程と、前記予約したレッスンが開始されるとユーザ端末である先生の端末及び各前記生徒の端末のアバタ・音声調整手段表示制御部がそれぞれのモニタ画面に、その端末を使用している生徒又は先生自身の化身等であるアバタ並びに通信回線を介してコミュニケーションをしている相手の化身等であるアバタ及び音声調整手段を表示する工程と、コミュニケーションをとるにあたって、先生の端末及び各前記生徒の端末であるユーザ端末において、前記モニタ画面に表示された前記音声調整手段の調節が行なわれるとそれに従って当該ユーザ端末内の音声調整制御部が先生又は生徒自身及び相手の音声を調節し、調整された状態の各人の音声を前記通信回線を介して送信する工程と、を含んで構成されてなる通信回線を用いた双方向コミュニケーション方法。」
と補正された。

(2)判断
補正後の特許請求の範囲の請求項1では、「送信する工程」について、「先生の端末及び各前記生徒の端末であるユーザ端末」において、「調整された状態の各人の音声を前記通信回線を介して送信する」ことが記載されている。つまり、補正後の特許請求の範囲の「送信する工程」は、「先生の端末」のみならず、「生徒の端末」においても、「先生又は生徒自身及び相手の音声」すなわち「参加者全員の音声」を音声調整手段を用いて調節し、調整された状態の各人の音声を通信回線を介して送信することができるものとした。
なお、補正後の特許請求の範囲の請求項1に「調節し、調整された状態の各人の音声」と記載されているが、調節と調整は同じことと認められる。
当初明細書の段落【0017】に記載の「図示された好ましい実施形態では、先生及び生徒が使用するユーザ端末3,4で、ユーザ自身及び相手の音声を、モニタ画面の音声調整手段を用いて調節するようにしている。」は、各自のモニタ画面に表示されるユーザ自身及び相手のモニタ音声を調節するものである。
しかしながら、一実施形態のフローチャートの図である第1図、モニタ画面10の図である第3図及び一実施形態のブロック図である第6図のいずれにも、調節された音声を送信する構成は開示されていない。
したがって、送信するユーザ自身及び相手の音声レベルの調節を生徒が使用するユーザ端末4で行う構成は、出願当初の明細書には、記載も示唆もされていない。
また、「生徒の端末」において、先生の音声及び他の生徒の音声を調節して送信する構成が自明であるとも認められない。
よって、当初明細書及び図面には、「各前記生徒の端末であるユーザ端末において、」「調整された状態の各人の音声を前記通信回線を介して送信する」構成は記載も示唆もなく、自明なことでもない。
以上より、上記補正は、当初明細書または図面に記載した事項の範囲内においてされるものではない。

(3)むすび
上述のように、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について
平成18年2月24日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年10月24日付手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】 インターネット等の通信回線を介して相互に接続された端末相互間における双方向コミュニケーション方法であって、
ユーザ端末である生徒の端末からその生徒に与えられたID記号及び暗証記号が前記通信回線を介してホストサーバに入力されると当該ホストサーバはホストサーバ内に設けられた生徒データベースから当該ID記号及び暗証記号に基づいてその生徒の特定を行うと共に、前記ホストサーバ内に設けられたスケジュール管理部が前記生徒データベースに記録されている当該生徒の実力に基づいて与えられた等級に従って当該生徒が予約可能なレッスンを当該生徒の端末のモニタ画面に一覧表として表示させてレッスンの予約を受け付ける工程と、
前記生徒の端末から予約の入力が行なわれると前記ホストサーバ内の先生選定手段が当該ホストサーバに記憶された先生データベースから所定の先生を選定する工程と、
前記予約したレッスンが開始されるとユーザ端末である先生の端末及び各前記生徒の端末のアバタ・音声調整手段表示制御部がそれぞれのモニタ画面に、その端末を使用している先生又は生徒自身並びに通信回線を介してコミュニケーションをしている相手の映像若しくはそれらの化身等であるアバタ及び音声調整手段を表示する工程と、
コミュニケーションをとるにあたって、先生の端末及び各前記生徒の端末であるユーザ端末において、前記モニタ画面に表示された前記音声調整手段の調節が行なわれるとそれに従って当該ユーザ端末内の音声調整制御部が先生又は生徒自身及び相手の音声を調節する工程と、
を含んで構成されてなる通信回線を用いた双方向コミュニケーション方法。」

1.引用例
(1)当審の拒絶の理由で引用した、本願の出願前である平成11年8月10日に公開された特開平11-220707号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、センタ装置とこのセンタ装置に接続される複数の通信端末とからなり、センタ装置は、接続された複数の通信端末を相互に接続する通信システムに係り、より具体的には、多地点を結んで接続された複数の通信端末から送信されてくる映像信号を任意に分割して1画面に合成し、この合成画面を各通信端末の表示画面に同時に表示できるようにした通信システムに関する。」

イ 「【0013】図1は、本発明の通信システムの全体的な構成を示す概略図である。この通信システムは、センタ装置1と、複数のアクセスポイントにそれぞれ設置された中継装置2,2・・・とが通信回線3,3・・・を通じて双方向に接続されており、これらセンタ装置1又は中継装置2,2・・・のいずれかに会員用通信端末4,4・・・が接続され、センタ装置1に講師用通信端末5が接続される構成となっている。通信回線3,3・・・は、専用の通信回線でもよいし、ISDN回線でもよい。
【0014】また、センタ装置1には、学習教材データや、個人別学習履歴ファイル、レッスンファイル、予約ファイル、レッスンスケジュールファイルなどの各種ファイルが格納されたデータベース6が双方向に接続されている。このデータベース6は、センタ装置1によって管理されている。なお、センタ装置1及び中継装置2は、それぞれMCU(多地点制御装置)によって構成されている。」

ウ 「【0015】会員用通信端末4は、図2に示すように、会員がマウス41aやキーボード41b等から入力した情報を処理して中継装置2に出力するとともに、中継装置2から送信されてきた情報を処理する情報処理装置41と、使用者である会員を撮影してその映像信号を中継装置2に出力する撮像装置(ビデオカメラ)42と、使用者である会員が喋った言葉を音声信号に変換して中継装置2に出力するマイク43と、中継装置2から送信されてきた音声信号を出力するスピーカ44と、中継装置2から送信されてきた映像信号を画面に表示するCRT等の表示装置45とを備えており、これら情報処理装置41、ビデオカメラ42、マイク43、スピーカ44及び表示装置45がメインコントローラ46を介して中継装置2と接続されるようになっている。また、講師用通信端末5も、会員用通信端末4と同様の構成となっている。
【0016】センタ装置1は、各会員用通信端末4,4・・から送信されてくるパスワードやID番号に基づき、個別学習履歴ファイルに格納されている学習履歴に従ってレベル分けを行うとともに、同じレベルに属する一定人数の会員を1グループとしてまとめ、その1グループの会員から送信されてくる各映像信号と、センタ装置1に接続された講師用通信端末5から送信されてくる講師の映像信号とを1画面内で任意に分割して合成し、この合成映像信号を会員用通信端末4,4・・・及び講師用通信端末5に送信する機能を備えている。また、センサ装置1は、任意の通信端末4,5から送信されてくる音声信号に基づいて、その通信端末4,5から送信されてくる映像信号の分割割合を拡大した合成映像信号を作成し、この合成映像信号を会員用通信端末4,4・・・及び講師用通信端末5に送信する機能を備えている。」

エ 「【0019】データベース6に格納されている個人別学習履歴ファイルは、個々の会員用通信端末4,4・・・を使用する個々の会員の学習状況を管理するファイルであり、図4に示すように、語学の種類、レベル、レッスン番号(学習内容)、レッスン終了の有無、レッスン日、予約の有無等の各項目データによって構成されている。図4に示す例は、会員甲が英語のレッスンを受講しており、そのレベルはAであって、レベルAのレッスンのうちA-1とA-2のレッスンは11月25日と11月28日に既に終了していることを示している。また、会員甲は、12月2日にA-1のレッスンの予約を行っていることを示している。ただし、この個人別学習履歴ファイルは12月21日以前のものとする。」

オ 「【0023】次に、上記構成の通信システムにおける動作について、(1)レッスンを予約するときの動作、(2)レッスン時の動作に分けて説明する。
【0024】(1)レッスンを予約するときの動作
レッスン予約を行うとき、会員は自己の会員用通信端末4を用いて一番近いアクセスポイントに設置された中継装置2に接続し、パスワードと自己のID番号とを入力する。中継装置2は、入力されたパスワードとID番号とを確認すると、通信回線3を介してセンタ装置1と接続する。センタ装置1は、その後に入力されるID番号に基づき、その会員の個人別学習履歴ファイルを検索して、その会員の語学の種類、レベル、学習を終了したレッスン番号、レッスン日及び予約の有無等を確認する。この後、会員が自己のレベルのレッスン番号の予約日時を入力すると、センタ装置1では、レッスンスケジュールファイルを検索して、該当するレベルの該当する日時のレッスンの空きを調べ、空いている場合には、予約を受け付ける。
【0025】例えば、会員甲が任意の中継装置2に接続してパスワードとID番号とを入力し、図7に示すように、12月2日、午前10:00からのA-3のレッスン(担当講師名:CONNIE)の予約を入れたとすると、センタ装置1では、その空きを調べた後、図8に示すレッスンスケジュールファイルに甲の予約を登録する。」

カ 「【0034】その結果、この画像メモリ19に書き込まれた1画面分の画像データ(合成映像信号)を順次読み出して各通信端末4,4,4,5に送信すると、各通信端末4,4,4,5には、図9に示す4分割の状態で、講師及び各会員の映像が同時に映し出されることになる。これにより、全体の雰囲気がつかめるとともに、実際に教室でレッスンを受けているのと同じような緊張感が得られるものである。
【0035】一方、レッスンが開始され、講師又は会員の誰かが話をすると、その音声信号はセンタ装置1内の音声信号検出部61によって検出され、その検出信号がメモリ制御部10に入力される。メモリ制御部10は、この検出信号に基づいて喋っている者の通信端末を判別し、その通信端末から送信されてきている映像信号の分割割合を拡大するように各映像信号S1,S2,S3,S4の合成比率を変更する。本例では、図10に示すように、喋っている者(例えば講師)の映像を右側半分に拡大して映し出し、残り3名の映像(各会員等)を左側の画面の上下に3分割してそれぞれ映し出すようにしている。」

以上の記載事項によると、引用例1には、
「通信回線を通じて双方向に接続された複数の通信端末から送信されてくる映像信号を任意に分割して1画面に合成し、この合成画面を各通信端末の表示画面に同時に表示できるようにした通信方法において、
会員は自己の会員用通信端末を用いて、パスワードと自己のID番号とを入力し、センタ装置は、送信されてくるパスワードやID番号に基づき、その会員の個人別学習履歴ファイルを検索して、その会員の語学の種類、レベル、学習を終了したレッスン番号、レッスン日及び予約の有無を確認し、この後、会員が自己のレベルのレッスン番号の予約日時を入力すると、センタ装置では、レッスンスケジュールファイルを検索して、該当するレベルの該当する日時のレッスンの空きを調べ、空いている場合には、予約を受け付ける工程と、
レッスンが開始されると、会員用通信端末及び講師用通信端末に、講師及び各会員の映像を同時に映し出す工程と、
を含んでなる通信方法」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(2)原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前である平成8年4月2日に公開された特開平8-87397号公報(以下、「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。
キ 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、テレビ会議などで使用される、複数に分割された画面の音量調整装置に関する。」

ク 「【0003】
【発明が解決しようとする課題】例えばテレビ会議において、複数に分割された表示領域の中の一つに対応する音声のみを選択的に大きくしたいとする。または、ある表示領域の人とだけ話しをしたいとする。
【0004】この場合、従来の方法では音量調節ができない。すなわち、画面が複数に分割され、各々が独立して別の音を出力している場合、ある一つの表示領域の音量を調整することができない。
【0005】そこで、音の大きさを調整したい表示領域の音量を簡単にすぐに変えられるようにすることが課題である。」

ケ 「【0023】図6において、操作部60は、その操作部が表示されている表示領域の音量を変化させるものであると同時に、その表示領域の音量がどのぐらいの大きさであるかを示している。すなわち、つまみ部61を上に移動させると音量が上がり、つまみ部61を下に移動させると音量が下がる。さらに、つまみ部61の位置により現在の音量が分かる。」

2.対比
本願発明と引用発明を対比する。
引用発明の通信方法は、双方向に接続された端末をもとに、語学のレッスンを行うものであるので、本願発明の「通信回線を介して相互に接続された端末相互間における双方向コミュニケーション方法」に相当する。
引用発明の「会員用通信端末」「講師用通信端末」「センタ装置」は、本願発明の「生徒の端末」「先生の端末」「ホストサーバ」に相当することは明らかである。
引用発明の「自己のID番号」「パスワード」は、本願発明の「ID記号」「暗証記号」に相当する。
また、引用発明の「個人別学習履歴ファイル」「自己のレベル」は、本願発明の「生徒データベース」「生徒の実力に基づいて与えられた等級」に相当する。
そして、引用発明の「予約を受け付ける工程」において、センタ装置は、送信されてくるパスワードやID番号に基づき、会員の個人別学習履歴ファイルを検索して、その会員の語学のレベルを確認しているので、本願発明の「ユーザ端末である生徒の端末からその生徒に与えられたID記号及び暗証記号が前記通信回線を介してホストサーバに入力されると当該ホストサーバはホストサーバ内に設けられた生徒データベースから当該ID記号及び暗証記号に基づいてその生徒の特定を行う」構成が引用発明に示されている。
また、引用発明の「予約を受け付ける工程」は、センタ装置が、レッスンスケジュールファイルを検索して、該当するレベルのレッスンの予約を受け付けるものであるから、本願発明の「ホストサーバ内に設けられたスケジュール管理部が前記生徒データベースに記録されている当該生徒の実力に基づいて与えられた等級に従って当該生徒が予約可能なレッスンの予約を受け付ける工程」が引用発明に記載されていると解することになんら不都合は生じない。
そして、引用発明の「レッスンが開始されると、会員用通信端末及び講師用通信端末に、講師及び各会員の映像を同時に映し出す工程」において、映像を映し出すために表示制御部を用いる構成は、当業者に自明である。よって、本願発明の「前記予約したレッスンが開始されるとユーザ端末である先生の端末及び各前記生徒の端末の表示制御部がそれぞれのモニタ画面に、その端末を使用している先生又は生徒自身並びに通信回線を介してコミュニケーションをしている相手の映像を表示する工程」は、引用発明に示されていることが理解できる。

以上を踏まえると、本願発明と引用発明とは、次の一致点及び後記する相違点が認められる。
【一致点】「通信回線を介して相互に接続された端末相互間における双方向コミュニケーション方法であって、
ユーザ端末である生徒の端末からその生徒に与えられたID記号及び暗証記号が前記通信回線を介してホストサーバに入力されると当該ホストサーバはホストサーバ内に設けられた生徒データベースから当該ID記号及び暗証記号に基づいてその生徒の特定を行うと共に、前記ホストサーバ内に設けられたスケジュール管理部が前記生徒データベースに記録されている当該生徒の実力に基づいて与えられた等級に従って当該生徒が予約可能なレッスンの予約を受け付ける工程と、
前記予約したレッスンが開始されるとユーザ端末である先生の端末及び各前記生徒の端末の表示制御部がそれぞれのモニタ画面に、その端末を使用している先生又は生徒自身並びに通信回線を介してコミュニケーションをしている相手の映像を表示する工程と、
を含んで構成されてなる通信回線を用いた双方向コミュニケーション方法」

【相違点1】上記レッスンの予約を受け付ける工程におけるスケジュール管理部が、本願発明では、当該生徒が予約可能なレッスンを当該生徒の端末のモニタ画面に一覧表として表示させる構成であるのに対し、引用発明はそのような構成でない点。

【相違点2】本願発明は、「前記生徒の端末から予約の入力が行なわれると前記ホストサーバ内の先生選定手段が当該ホストサーバに記憶された先生データベースから所定の先生を選定する工程」を備えているのに対し、引用発明には、該工程が明記されていない点。

【相違点3】上記映像を表示する工程のモニタ画面に、本願発明は、その端末を使用している先生又は生徒自身並びに通信回線を介してコミュニケーションをしている相手の音声調整手段を表示しているのに対し、引用発明はそのような構成でない点。

【相違点4】本願発明は、「コミュニケーションをとるにあたって、先生の端末及び各前記生徒の端末であるユーザ端末において、前記モニタ画面に表示された前記音声調整手段の調節が行なわれるとそれに従って当該ユーザ端末内の音声調整制御部が先生又は生徒自身及び相手の音声を調節する工程」を備えているのに対し、引用発明には、該工程が記載されていない点。

3.当審の判断
上記相違点について検討する。
【相違点1】について
レベル分けされた語学等のレッスンを予約するに際し、自分のレベルに従ったレッスンの一覧表をレッスンの主催者が提示し、生徒がその一覧表の中から選択して予約することは、一般に行われていることであり、引用発明のレッスンの予約を受け付ける工程において、スケジュール管理部が、当該生徒が予約可能なレッスンを当該生徒の端末のモニタ画面に一覧表として表示させて予約を受け付ける構成とすることに格別の困難性は認められない。

【相違点2】について
一般に、語学等のレッスンを開催するに際し、レッスンの内容に合わせて先生を選定することは、当然行われていることであり、そのために、ホストサーバに記憶されている先生データベースから所定の先生を選定するよう構成することは、当業者が適宜なし得る設計的事項である。
よって、引用発明に記載の、等級に従って当該生徒が予約可能なレッスンの予約を受け付ける工程の次に、ホストサーバ内の先生選定手段が当該ホストサーバに記憶された先生データベースから所定の先生を選定する工程を備えることは、当業者が容易になし得たことと認められる。

【相違点3】及び【相違点4】について
通信回線を介して双方向のコミュニケーションを行う本願発明と同一の技術分野において、モニタ画面に、通信回線を介してコミュニケーションをしている相手の音声調整手段を表示して前記音声調整手段の調節が行なわれるとそれに従って当該ユーザ端末内の音声調整制御部が音声を調節する構成は、引用例2の「操作部60は、その操作部が表示されている表示領域の音量を変化させる」(前掲ケ)の記載に見られるように公知の技術である。
よって、引用発明のモニタ画面に、上記公知の、モニタ画面に通信回線を介してコミュニケーションをしている相手の音声調整手段を表示して音声を調節する構成を適用して、「モニタ画面に、その端末を使用している先生又は生徒自身並びに通信回線を介してコミュニケーションをしている相手の映像及び音声調整手段を表示する工程」及び「コミュニケーションをとるにあたって、先生の端末及び各前記生徒の端末であるユーザ端末において、前記モニタ画面に表示された前記音声調整手段の調節が行なわれるとそれに従って当該ユーザ端末内の音声調整制御部が先生又は生徒自身及び相手の音声を調節する工程」を備えることは、両者が類似の技術であり、かつ適用に際し阻害要因も認められないことから、当業者が容易になし得たことと認められる。
以上より、上記相違点1ないし相違点4は、引用例1記載の発明に引用例2記載の技術を適用することにより当業者が容易に推考できる程度の事項であり、効果についても、当業者が予測し得る範囲で、格段顕著な技術的効果も認められない。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は引用例1及び2に記載された発明に基づいて当
業者が容易に発明をすることができたものであるので、本願は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-03-17 
結審通知日 2006-03-22 
審決日 2006-04-21 
出願番号 特願2000-153533(P2000-153533)
審決分類 P 1 8・ 561- WZ (G06F)
P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山下 達也  
特許庁審判長 関川 正志
特許庁審判官 鈴木 明
大野 弘
発明の名称 通信回線を用いた双方向コミュニケーション方法  
代理人 齊藤 誠一  

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