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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B01D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B01D
管理番号 1137318
審判番号 不服2003-16000  
総通号数 79 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-11-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-08-20 
確定日 2006-05-31 
事件の表示 平成 6年特許願第 26019号「不快臭発生体収容室の消臭方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年11月22日出願公開、特開平 6-319932〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成6年1月27日の出願であって、平成15年4月16日付けで拒絶理由が通知され、その指定期間内である同年6月23日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年7月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年8月20日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年9月16日付けで手続補正がなされたものである。
2.平成15年9月16日付け手続補正についての補正却下の決定

2-1.補正却下の決定の結論
平成15年9月16日付け手続補正を却下する。

2-2.理由
2-2-1.補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおり補正された。
「【請求項1】 不快臭ガスを含む空気をブロワーにより吸引して活性炭を通過させ、該活性炭により前記不快臭ガスを吸着させて、消臭させるようにした不快臭発生体収容室の消臭方法において、前記不快臭ガスは炭素数がC2〜C5の低級脂肪酸の少なくとも一つを含み、前記活性炭は微粉末の成型でなる単一種類のハニカム状活性炭であり、ガス空間速度を45,000〜180,000hr-1 としたことを特徴とする不快臭発生体収容室の消臭方法。」

2-2-2.補正の適否
上記補正は、平成15年6月23日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1の「不快臭ガス」を「不快臭ガスは炭素数がC2〜C5の低級脂肪酸の少なくとも一つを含み」とし、ガス空間速度を「10,000〜300,000hr-1 」から「45,000〜180,000hr-1 」に限定するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成6年改正前特許法第17条の2第4項において読み替えて準用する同法126条第3項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2-2-3.引用文献及び引用文献の記載
引用文献1;実願平2-106218号(実開平4-61541号)のマイクロフィルム

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、以下の事項が記載されている。
(a)「活性炭層及び平均粒子径500μ以下の吸着剤粉末、平均粒子径200μ以下のプラスチック粉末、繊維状補強材の混合物のハニカム状成形体を積層せしめてなる脱臭装置。」(実用新案登録請求の範囲、請求項1)
(b)「本考案は空気中の悪臭を除去するための脱臭装置に関するものであり、特に室内、車内、病院、動物飼育場等で使用するのに好適な装置である。」(第2頁第7行-第9行)
(c)「最も多く使用されているものは活性炭の充填層を通過せしめる方法であるが、圧損失が高いため、空気循環用のファンの騒音が大きく、また空気の循環量が低下する等の欠点が指摘されていた。また、ファンの騒音を低下させるため段ボールの表面に活性炭の粉末を塗布したり、或いはガス透過性が高いウレタンのセル抜きスポンジに活性炭を添着したフィルターが使用されているが、活性炭量が非常に少ないためフィルターの寿命が短い欠点があった。」(第2頁第12行-第3頁第1行)
(d)「空気中の悪臭を除去するとき、フィルターの圧損失を低下して空気循環用のファンの騒音を低下させると共に、吸着容量が大きくかなりの期間フィルターの機能が保持できる脱臭フィルターを提供しようとするものである。」(第3頁第3行-第3頁第7行)
(e)「一般の室内にはタバコ、人体及びペットの体臭等があり、病院では患者の排泄物や、医薬品の臭いなどがあるため、化学的には通常の悪臭物質の他にホルマリン、アセトアルデヒドなどの低級脂肪族アルデヒド、アンモニア、低級アミン、炭化水素、硫化水素、メチルメルカプタン等が含まれている。これらの臭気は従来の活性炭フィルターのみでは充分に除去することが出来ないので、これらの臭気も併せて除去できる装置を提供しようとするものである。」(第3頁第10行-第19行)
(f)「本考案者等は特定範囲の粒度の吸着剤粉末と特定範囲の粒度のプラスチック粉末を加熱成形することにより、圧損失が低く且つ吸着容量が大きいハニカムフィルターが得られること及び更に活性炭層を併用することにより、一層フィルターの寿命を延長できることに着目した。また、吸着剤成形体に有機酸、アミン化合物を添着させることにより、低級脂肪族アルデヒド、硫化水素、メチルメルカプタン等の臭気も除去できることを考慮し、更に紫外線による殺菌作用も取り入れて本考案に到達した。」(第4行第1行-第11行)
(g)「次に、本考案のハニカム成形体には、例えば、活性炭のように1g当たり数100m2或いはそれ以上の大きな表面積を有し、高い吸着性を示す材料であれば広範囲に使用できる。例えば、活性炭の他、ゼオライト、シリカゲル、アルミナゲル、水酸化亜鉛等が使用可能である。また、ゼオライトは、天然ゼオライト、合成ゼオライトの何れでもよい。吸着剤の形状は破砕状、顆粒状或いは粉末状等の、何れの形態の吸着剤でも使用することができる。」(第5頁第6行-第16行)
(h)「吸着材に対するプラスチックの使用割合は、吸着材の粒度や比重によって異なるが、吸着材100重量部に対して、プラスチック1〜50重量部が好ましいが、必要最低限にすることが、吸着能低下を防ぐ点から好ましい。
ハニカム状成形体を調製するには、吸着材、プラスチック粉末及び繊維状補強材の混合物をベルトプレス、熱プレス、射出成型、ゴムプレス成型などの方法により成型して得られる。」(第7頁第3行-第11行)
(i)「これらの薬剤を添着したハニカム状成形体は活性炭層のみでは充分に除去できない低級脂肪族アルデヒド、硫化水素、メチルメルカプタン等の臭気の除去に優れた効果を有する。」(第7頁第行-第8頁第3行)
(j)「本考案の脱臭装置を使用することにより、低圧損、低騒音で、消費電力の少ない、かつ脱臭速度の非常に早い脱臭機が得られる。」(第8頁第13行-第15行)
(k)「実施例1 中心粒子径20μmのポリエチレン20重量部、長さ3mmのガラス繊維3重量部と、粒子径20〜60メッシュの椰子殻を原料として得られた活性炭100重量部を混合し、加熱加圧成型して第1図に示すような形状のハニカムフィルターを得た。」(第9頁第2行-第7行)
(l)「実施例4 第4図は活性炭層3と実施例1で調製したハニカムフィルター4を複合した本考案にかかる脱臭装置とそれを包含する容器7及びファン8を付加した脱臭機を示す。」(第10頁第3行-第7行)
(m)「実施例5 第5図において、活性炭層3と実施例2で調製したハニカムフィルター5及び殺菌用紫外線ランプ6を複合した本校案に係る脱臭装置で、ハニカムフィルターと殺菌用紫外線ランプは隣接して配置されている。第5図はこれを包含する容器7及びファン8を付加した脱臭機を示す。」(第10頁第8行-第15行)
(n)「1----ハニカムフィルター
2----吸着剤の成型部分
3----ハニカム孔
4----脱臭機
5----活性炭層
6----脱臭装置に取付けたハニカムフィルター
7----容器
8----殺菌用紫外線ランプ
9----ファン」(第11頁第1行-第9行)
(o)第1図として、ハニカム状成形体が示されている。
(p)第4図として、実施例4の脱臭機が示されている。
(q)第5図として、実施例5の脱臭機が示されている。

2-2-4.対比・判断
引用文献1の同じ図面について記載している摘示事項(l)、(p)をみると、摘示事項(l)における「活性炭層3」、「ハニカムフィルター4」、「ファン8」は摘示事項(p)の第4図に用いられている符号と整合しておらず、これらの記載のみでは第4図の脱臭機のどこに活性炭層、ハニカムフィルター及びファンが配置されているのか不明であるが、他の脱臭機を説明する第5図に関する摘示事項(m)(q)、及び、摘示事項(n)の符号の説明からみて、摘示事項(l)における「活性炭層3」、「ハニカムフィルター4」、「ファン8」は、それぞれ「活性炭層5」、「ハニカムフィルター6」、「ファン9」の誤記であると解するのが妥当である。
そうすると、上記摘示事項(a)の脱臭装置を用いた脱臭機の具体例として、摘示事項(k)、(l)、(p)には、活性炭層と、「中心粒子径20μmのポリエチレン20重量部、長さ3mmのガラス繊維3重量部と、粒子径20〜60メッシュの椰子殻を原料として得られた活性炭100重量部を混合し、加熱加圧成型して第1図に示すような形状のハニカムフィルター」を複合した脱臭装置とそれを包含する容器及びファンを付加した脱臭機が記載されており、摘示事項(b)によれば、上記脱臭装置は、病院、動物飼育場等で使用するのに好適な装置であることも記載されているから、これらを本件補正発明の記載ぶりに則して整理すると、引用文献1には、「活性炭層と、中心粒子径20μmのポリエチレン20重量部、長さ3mmのガラス繊維3重量部と、粒子径20〜60メッシュの椰子殻を原料として得られた活性炭100重量部を混合し、加熱加圧成型してなるハニカムフィルターを複合した脱臭装置と、それを包含する容器及びファンを付加した脱臭機によって、病院、動物飼育場等の空気中の悪臭を除去する方法」に係る発明(以下「引用1発明」という。)が記載されているといえる。
本件補正発明と引用1発明とを対比すると、後者の「粒子径20〜60メッシュの椰子殻を原料として得られた活性炭」、「加熱加圧成型」、「ファン」、「病院、動物飼育場等」、「悪臭を除去する方法」は、それぞれ前者の「微粉末」、「成型」、「ブロワー」、「不快臭発生体収容室」、「消臭方法」に相当し、後者の「ハニカムフィルター」は活性炭を含むものであるから、前者の「ハニカム状活性炭」に相当するといえる。
さらに、後者の脱臭装置を用いた方法も、脱臭装置の構成からみて、病院、動物飼育場等の空気中の悪臭を、ファンによってハニカムフィルターを通過させて除去していることから、不快臭ガスを含む空気をブロワーにより吸引してハニカム状活性炭を通過させ、該活性炭により前記不快臭ガスを吸着させて消臭させていることは当業者に明らかである。
したがって、両者は「不快臭ガスを含む空気をブロワーにより吸引して活性炭を通過させ、該活性炭により前記不快臭ガスを吸着させて、消臭させるようにした不快臭発生収容室の消臭方法において、前記活性炭は微粉末の成型でなるハニカム状活性炭である、不快臭発生体収容室の消臭方法」である点で一致するが、以下の点で相違する。

相違点1:本件補正発明は、活性炭が単一種類のハニカム状活性炭であるのに対し、引用1発明は活性炭を含むハニカムフィルターが単一種類であるか不明である点

相違点2:本件補正発明は、発明の詳細な説明を参酌すると、活性炭は、ハニカム状活性炭であって、他に活性炭層を含むものではないが、引用1発明の脱臭装置は、活性炭層とハニカム状活性炭を複合したものである点

相違点3:本件補正発明は、不快臭ガスは炭素数がC2〜C5の低級脂肪酸の少なくとも一つを含むとしているが、引用1発明は、悪臭の成分を限定するものではない点

相違点4:本件補正発明は、ガス空間速度を45,000〜180,000hr-1に限定しているのに対し、引用1発明は、ガス空間速度に着目していない点

相違点1について検討する。
引用1発明の活性炭を含むハニカムフィルターは、摘示事項(k)からみて、単一種類の活性炭を用いており、また、摘示事項(l)からみて、ハニカムフィルターとしてみても、他の種類のハニカムフィルターを用いるものでもなく、単一種類であるといえるから、この点は実質的な相違点とはいえない。

相違点2について検討する。
上記摘示事項(c)には、引用1発明は活性炭充填層を用いた悪臭除去装置は圧損失が高く、ファンの騒音が大きいという欠点、及び段ボールの表面、又は、ガス透過性の高いウレタンのセル抜きスポンジに活性炭を塗布、添着したフィルターでは活性炭量が少なく寿命が短いという欠点を解決して、圧損失を低下してファンの騒音を低下させると共に、吸着容量が大きく、寿命が長いフィルターを提供するものであることが示されており、摘示事項(f)には、「本考案者等は特定範囲の粒度の吸着剤粉末と特定範囲の粒度のプラスチック粉末を加熱成形することにより、圧損失が低く且つ吸着容量が大きいハニカムフィルターが得られること及び更に活性炭層を併用することにより、一層フィルターの寿命を延長できることに着目」したとあること、さらに、摘示事項(h)には、ハニカムフィルターにおいて吸着材に対するプラスチックの使用割合を必要最低限にすることが吸着能の点から好ましい旨が開示されていることから、ハニカムフィルターのみでも圧損失が少なく吸着容量が大きく、寿命が長いという課題が解決できることを示唆しているといえる。
したがって、引用1発明において、使用目的等に応じて求められる悪臭除去及び消臭の程度、さらに求められるフィルター寿命を考慮して、活性炭層を用いずにハニカムフィルターのみを脱臭装置として用いて脱臭機を構成し、悪臭を除去することは当業者が容易に想到しうることである。

次に相違点3について検討する。
引用1発明も、病院、動物飼育場の悪臭を除去するものであり、本件補正発明における不快臭発生体収容室として挙げられている、動物飼育室、病室と同じ悪臭を除去するといえるから、引用1発明の悪臭にも炭素数がC2〜C5の低級脂肪酸の少なくとも一つが含まれていると解される。
したがって、相違点2は実質的な相違点ではない。

相違点4について検討する。
悪臭又は臭気を吸着除去する際に、好適なガス空間速度が存在することは、例えば特開平6-410号公報、特開平4-59011号公報、特開平5-15579号公報にあるように当業者に明らかであり、ガス空間速度が好適な範囲をはずれると、吸着材の必要量が多くなる、一定の空塔速度を保つためには圧損が大きくなる、吸着能力が低下する等の不都合があることは、例えば、特開平5-15579号公報にあるように、当業者に明らかである。
してみれば、引用1発明においても、活性炭を含むハニカムフィルターについて、吸着材の量、圧損失、および吸着能力等を考慮して、好適なガス空間速度を決定することは当業者が適宜なし得ることである。

そして、上記相違点1乃至4に係る構成を採用することによる効果も当業者が予測しうる程度のものである。
特に、ガス空間速度を45,000〜180,000hr-1と限定する効果について検討しても、上述したように、ガス空間速度が好適な範囲をはずれると吸着能力が低下する等の不都合があることは当業者に明らかであり、さらに、ガス空間速度は、対象とする悪臭又は臭気の種類及びその濃度、処理すべきガス量、さらには、悪臭を除去する材の材質、形状等によって影響を受けると解されることから、特定の活性炭ハニカムを特定の条件下で使用した場合のものである本件の発明の詳細な説明における表1、表3の結果を参酌しても、上記数値範囲において当業者が予測し得ない格別顕著な効果が奏されるとは認められない。
したがって、本件補正発明は、引用1発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

2-2-5.むすび
したがって、本件補正は、平成6年改正前特許法第17条の2の第4項において読み替えて準用する同法126条第3項の規定に違反してなされたものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成15年9月16日付け手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本件発明1」という。)は、平成15年6月23日付け手続補正書に補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】 不快臭ガスを含む空気をブロワーにより吸引して活性炭を通過させ、該活性炭により前記不快臭ガスを吸着させて、消臭させるようにした不快臭発生体収容室の消臭方法において、前記活性炭は微粉末の成型でなる単一種類のハニカム状活性炭であり、ガス空間速度を10,000〜300,000hr-1 としたことを特徴とする不快臭発生体収容室の消臭方法。」

3-1.引用文献及び引用文献の記載
引用文献1:実願平2-106218号(実開平4-61541号)のマイクロフィルム

原査定の拒絶に理由に引用された引用文献1の記載事項は、上記「2-2-4.」の(a)乃至(q)に記載したとおりである。

3-2.対比・判断
上記「2-2-4.」で記載したとおり、引用文献1の記載を本件発明1の記載ぶりに則して整理すると、引用文献1には、「活性炭層と、中心粒子径20μmのポリエチレン20重量部、長さ3mmのガラス繊維3重量部と、粒子径20〜60メッシュの椰子殻を原料として得られた活性炭100重量部を混合し、加熱加圧成型してなるハニカムフィルターを複合した脱臭装置とそれを包含する容器及びファンを付加した脱臭機によって、病院、動物飼育場等の空気中の悪臭を除去する方法」に係る発明(以下「引用1発明」という。)が記載されているといえる。
本件発明1と引用1発明とを対比すると、上記「2-2-4.」と同様の対応関係があるから、両者は「不快臭ガスを含む空気をブロワーにより吸引して活性炭を通過させ、該活性炭により前記不快臭ガスを吸着させて、消臭させるようにした不快臭発生収容室の消臭方法において、前記活性炭は微粉末の成型でなるハニカム状活性炭である、不快臭発生体収容室の消臭方法」である点で一致するが、以下の点で相違する。

相違点1:本件補正発明は、活性炭が単一種類のハニカム状活性炭であるのに対し、引用1発明は活性炭を含むハニカムフィルターが単一種類であるか不明である点

相違点2:本件補正発明は、発明の詳細な説明を参酌すると、活性炭は、ハニカム状活性炭であって、他に活性炭層を含むものではないが、引用1発明の脱臭装置は、活性炭層とハニカム状活性炭を複合したものである点

相違点3:本件補正発明は、ガス空間速度を10,000〜300,000hr-1に限定しているのに対し、引用1発明は、ガス空間速度に着目していない点

上記相違点1、2をみると、該相違点は上記「2-2-4.」で挙げた相違点1、2と実質的な差異はないから、そこで述べた理由により、該相違点に係る構成は当業者が容易に想到することができたものである。
上記相違点3について検討すると、上記「2-2-4.」で挙げた相違点4についての検討で述べた理由により、好適なガス空間速度を特定することは当業者が適宜なし得ることである。

そして、上記相違点1乃至3に係る構成を採用することによる効果も当業者が予測しうる程度のものである。
特に、ガス空間速度を10,000〜300,00hr-1と限定する効果について検討しても、上記「2-2-4.」で述べたように、ガス空間速度が好適な範囲をはずれると吸着能力が低下する等の不都合があることは当業者に明らかであり、さらに、ガス空間速度は、対象とする悪臭又は臭気の種類及びその濃度、処理すべきガス量、さらには、悪臭を除去する材の材質、形状等によって影響を受けると解されることから、特定の活性炭ハニカムを特定の条件下で使用した場合のものである本件の発明の詳細な説明における表1、表3の結果を参酌しても、上記数値範囲において当業者が予測し得ない格別顕著な効果が奏されるとは認められない。
したがって、本件発明1は、引用1発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3-3.むすび
以上のとおり、本件発明1は引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-03-06 
結審通知日 2006-03-14 
審決日 2006-03-27 
出願番号 特願平6-26019
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B01D)
P 1 8・ 575- Z (B01D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 森 健一  
特許庁審判長 松本 貢
特許庁審判官 野田 直人
増田 亮子
発明の名称 不快臭発生体収容室の消臭方法  
代理人 飯阪 泰雄  

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