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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05B |
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管理番号 | 1137439 |
審判番号 | 不服2004-12689 |
総通号数 | 79 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2001-11-20 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-06-21 |
確定日 | 2006-05-29 |
事件の表示 | 特願2000-520618「クオーツ基板ヒータ」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 5月20日国際公開、WO99/25154、平成13年11月20日国内公表、特表2001-523036〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、1998年11月6日(優先権主張1997年11月6日、米国)を国際出願日とする出願であって、その請求項1に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものである。 「電気ヒータ(40)にして、非エッチングのクオーツ接触面領域を有するクオーツの基板(42)と、要素接触面領域及び端子(48,50)を有する抵抗加熱要素(46)であって、該要素接触面領域が前記非エッチングのクオーツ接触領域と概ね連続的に当接するように該非エッチングのクオーツ接触面領域上に配置されている抵抗加熱要素(46)とを含み、前記端子(48,50)が外部の電源からエネルギを受け取るようにされている電気ヒータ。」(以下、「本願発明」という。) 2.引用例 これに対し、原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-138845号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。 ・「【請求項1】2枚の石英ガラスを接合し、その接合面の両方又はいずれか片方の表面を削抉して形成した凹所に平板状発熱体を形成し、両石英ガラスの接合面を研磨または超精密仕上げを施して密着して構成した石英ガラスヒータ。【請求項2】前記2枚の石英ガラスの接合面の両方、又はいずれか片方の表面の凹所を、エッチングによる腐食、ブラスト、又は研磨等の手段により削抉した請求項1に記載の石英ガラスヒータ。」(【特許請求の範囲】【請求項1】、【請求項2】) ・「【作用】本発明は、このような構成としたものであるから、2枚の石英ガラス2,3同士の密着面は、どちらの面も研磨または超精密仕上げ加工を施してあるので、接着剤を介在させることなく、周縁端部の密着度合いは極めて強力に、かつ、全面に均一に保たれる。さらに周縁端部を溶接6して密封することにより、密封度は増加する。また、発熱体4と石英ガラス2,3の間の密着度が発熱体4素材の厚さの生成を十分に精密に管理でき、さらに、発熱体4の周囲にの空気を減圧するので、熱伝導率が部分的に均一になるので、発熱体4全面における均一な熱発生を保持することができる。」(段落【0008】) ・「 本発明の平板状発熱体4は、抵抗皮膜からなり、腐食法または、プラズマジェット溶射によりガラスの表面に成形した凹所2a,3aに形成するので、従来のニクローム線のような低温度(800℃前後)で溶解したりするような事が無く、温度膨張係数が極めて小さく、長期間にわたって高温度(800℃程度以上)に耐えることができ、また、その平板状発熱体4の両端は、石英ガラス2,3の接合面で気密裡に挟み、端縁から外部へ突出して設けた電気入力端子5a,5bとの接続部を石英ガラスで封入することができる。この気密度は1000℃において、2気圧に加圧されて、耐久し得る。」(段落【0015】) 以上の記載及び図面によると、引用例には、 石英ガラスヒータにして、エッチングにより凹所を形成し、該凹所で平板状発熱体と接触する領域を有する石英ガラスと、石英ガラスと接触する部位および電気入力端子を有する平板状発熱体とを含み、平板状発熱体が前記凹所に形成される石英ガラスヒータ(以下、「引用例発明」という。)が記載されている。 前審の拒絶査定時に提示した特開平2-33882号公報(以下、「周知例1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。 ・「(1)透明基体面上に透明発熱導体を設けたことを特徴とするヒータ。・・・。(3)透明基体面上に透明発熱導体の膜を形成する工程と、この透明発熱導体膜を所定の形状に成形する工程と、前記成形した透明発熱導体に電極とリード線とを接続する工程とを有することを特徴とするヒータの製造方法。」(特許請求の範囲の請求項(1)、(3)) ・「第1図において、ヒータ10は、基体12が透明なガラスやプラスチックからなっており、上面に浅い溝14が形成されている(第2図参照)。この溝14は蛇行しており、この溝14上に透明発熱導体16が設けてある。」(第2頁左下欄第20行〜同右下欄第4行) ・「次に、基体12の表面に透明発熱導体16のパターンに合わせた溝14を形成する。この溝14は、一般に行われているエッチングによって形成することができる。ただし、溝14は、必要に応じて形成すればよく、設けなくともよい。」(第3頁左上欄第2〜6行) 以上の記載及び第1図、第4図によると、周知例1には、エッチングを形成していない透明なガラスである基体の表面に、リード線と接続される透明発熱導体を、概ね連続的に当接するように配置したヒータ(以下、「周知技術1」という。)が記載されている。 また、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開平3-40390号公報(以下、「周知例2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。 ・「基台上にマスクを形成し、このマスクを介して上記基台上にヒータ性能を有する薄膜を形成し、その後、上記マスクを除去するようにしたことを特徴とするヒータの製造方法。」(特許請求の範囲) ・「導電性薄膜2は、例えばクロム膜で構成されており、基台1の表面に例えば厚さ0.1〜1000μm好ましくは1〜10μmで被着されている。導電性薄膜2のヒートパターンの両端には、銅製の電極3及び4が形成されている。」(第2頁右上欄第10〜14行) ・「また、基台1の材質としては、熱伝導性が良好で、しかも電気絶縁性に優れたものが好ましい。このようなものとして、上述のアルミナのほか、例えば石英、・・・を挙げることができる。」(第3頁右上欄第4〜10行) そして、発明の詳細な説明及び図面の記載からみて、周知例2における導電性薄膜は、エッチングを形成していない基台表面に、概ね連続的に当接するように形成されているものと理解できる。 したがって、周知例2には、エッチングを形成していない接触領域を有する石英からなる基台と、接触面がエッチングを形成していない該石英の表面に、概ね連続的に当接するように形成した導電性薄膜(以下、「周知技術2」という。)が記載されている。 3.対比・判断 そこで、本願発明と引用例発明とを対比する。 引用例発明の「石英ガラスヒータ」は本願発明の「電気ヒータ」に相当し、以下同様に、「石英ガラス」は「クオーツの基板」に、「石英ガラスと接触する部位」は「要素接触面領域」に、「電気入力端子」は「端子」に、「平板状発熱体」は「抵抗加熱要素」に、「形成され」は「配置され」に、それぞれ相当している。 そして、引用例発明における石英ガラスは、平板板発熱体と接触している「接触領域」又は「接触面領域」を具備するものであって、発熱体が平板状であること及び図面からみて、概ね連続的に当接するよう形成されているものと理解できる。 また、電気入力端子は、外部の電源からエネルギを受け取るようにされていることは、技術常識である。 したがって、両者は、電気ヒータにして、クオーツ接触面領域を有するクオーツの基板と、要素接触面領域及び端子を有する抵抗加熱要素であって、該要素接触面領域が前記クオーツ接触領域と概ね連続的に当接するように該クオーツ接触面領域上に配置されている抵抗加熱要素とを含み、前記端子が外部の電源からエネルギを受け取るようにされている電気ヒータ、の点で一致し、次の点で相違する。 [相違点] 本願発明は、クオーツの基板が非エッチングのクオーツ接触面領域を具備し、該非エッチングのクオーツ接触面領域に抵抗加熱要素の要素接触面領域を配置するものであるのに対し、引用例発明は、クオーツの基板に、エッチングによる凹所を形成し、該凹所に抵抗加熱要素を配置したものである点。 そこで、上記相違点について検討する。 非エッチングの基板上に抵抗加熱要素を配置した電気ヒータは、本願出願前、周知である(周知技術1、周知技術2参照。)。 そして、エッチングを設けると、一工程の手間を要するのは、技術常識であり、工程を削減して、製造を簡略化することは、本願出願前、製造業一般に存在する課題である。 したがって、引用例発明において、エッチングによる凹所を形成し、抵抗加熱要素を配置したものに代えて、本願発明のように、非エッチングの基板上に抵抗加熱要素を配置するようにした点は、当業者であれば、必要に応じ、周知技術に基づいて、容易に想到し得たことである。 そして、本願発明の奏する効果をみても、引用例発明及び周知技術から、当業者が予測できる範囲のものである。 これらのことからすると、本願発明は、引用例発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、引用例発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 そうすると、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-01-05 |
結審通知日 | 2006-01-06 |
審決日 | 2006-01-17 |
出願番号 | 特願2000-520618(P2000-520618) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H05B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 豊島 唯 |
特許庁審判長 |
水谷 万司 |
特許庁審判官 |
今井 義男 岡本 昌直 |
発明の名称 | クオーツ基板ヒータ |
代理人 | 森 徹 |
代理人 | 岩本 行夫 |
代理人 | 浅村 肇 |
代理人 | 浅村 皓 |