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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1137548
審判番号 不服2002-6994  
総通号数 79 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-03-21 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-04-22 
確定日 2006-06-08 
事件の表示 平成11年特許願第256192号「遊技部材」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 3月21日出願公開、特開2001- 70529〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成11年9月9日の出願であって、平成13年12月20日付の拒絶理由通知が通知され、平成14年2月25日付で意見および手続補正がなされ、平成14年3月20日付の拒絶査定がなされ、平成14年4月22日に審判請求されるとともに手続補正がなされたものである。

2.平成14年4月22日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年4月22日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
補正後の本願発明は、平成14年4月22日付の手続補正による特許請求の範囲の請求項1において特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】遊技機に設置される遊技部材であって、
外周の少なくとも一部に凹状部分を形成し、その凹状部分に弾性合成樹脂の注入加工を施して、前記弾性合成樹脂の注入加工部分により、衝突した遊技球を一定の反発力で跳ね返し可能とする一方、前記弾性合成樹脂の注入加工部分の内部に、小型パーツを埋め込むと共に、その小型パーツが埋め込まれている凹状部分の後方に、ランプを設置したことを特徴とする遊技部材。」(以下、「本願補正発明」という。)

そして、平成14年4月22日付の手続補正は、平成14年2月25日付の手続補正の内容を下位概念化し、発明を特定するための事項の限定に相当するものであり、平成15年改正前特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本願補正発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項に適合するか)について以下に検討する。

1)引用例について
a)引用例1とその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-276489号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下の技術事項が図面とともに記載されている。

・記載事項1
「【発明の属する技術分野】本発明は、パチンコ機、およびパチンコ機の遊技領域に設置される遊技部材に関するものである。」(段落【0001】)

・記載事項2
「図1は、遊技部材の正面および背面を示す説明図、図2は、遊技部材の右側面を示す説明図、図3は、図2におけるA-A線断面およびB-B線断面を示す説明図、図4は、遊技部材の斜視説明図、図5は、遊技部材を一部を切り欠いて示す説明図である。遊技部材1は、合成樹脂製等の複数の部品が組み合わされて形成されている。そして、前方から見ると、幅広の略長方形状であり、中央に開口部37が設けられており、側方から見ると、前方から後方にかけて略3層構造になっている(以下、前方の部分を前層部分aといい、中央の部分を中層部分bといい、後方の部分を後層部分cという)。」(段落【0009】)

・記載事項3
「前層部分aは、横長で若干上向きに凸状の水平部2の上面から入賞部3が上方に突出した形状を有している。・・・また、入賞部3内部の水平部2上面の略中央には、導球部6が浅い球面状に刻設されている(図5参照)。さらに、水平部2前面の略中央には表示窓7が穿設されており、その内部には小型表示装置8が内蔵されている。」(段落【0010】)

・記載事項4
「なお、電源投入時からの大当たり生起の積算回数が、前層部分aに内蔵された小型表示装置8によって表示窓7内に表示される。・・・」(段落【0021】)

b)引用例2とその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開平2-185841号公報(以下、「引用例2」という。)には、以下の技術事項が図面とともに記載されている。

・記載事項5
「第1図には、本発明に係る装飾体形成方法により形成された装飾体としてのオーナメント10の取付状態がが示されている。オーナメント10は、車両12のガーニッシュ14に取付けられている。ガーニッシュ14は、車両12の装飾を目的とする部材であり、車両12のサイドやリヤの一部又は全部を被覆している。第2図に示される如く、ガーニッシュ14の中央部には、凹部16が形成され、前記オーナメント10の取付用とされている。この凹部16の底面18には円孔20が設けられ、円筒部22を備えた樹脂クリップ24が嵌入されている。樹脂クリップ24の基部26は円筒部22の外形寸法よりも拡径されている。円筒部22は、樹脂クリップ24の軸方向両端部が開口されており、これにより、凹部16の底面18とガーニッシュI4の裏面(車両12と対向する面)とが連通されている。また、樹脂クリップ24の先端部周縁には、切り欠き部28が形成されている。」(公報第2頁右下欄第3行〜同3頁左上欄第1行)

・記載事項6
「凹部16には、透明樹脂30が充填されている。この透明樹脂30はウレタン系又はアクリル系透明耐候性充填樹脂であり、熱硬化性を有しており、凹部16への充填時はゲル状となっている。従って、凹部16の形状に沿って、膜面32が水平となるように均等に充填させることができる。ここで、透明樹脂30の膜面32からは、前記円筒部22の開口が露出されている。なお、この透明樹脂30は、経時的変化で加熱又は放置されることにより硬化するが、この硬化前に前記オーナメント10が浸漬されるようになっている。オーナメント10は、中央部が車両外方へ向けて突出された突出形状とされており、斜面を形成する脚部34の先端部が浸漬されて固定されている。なお、脚部34の先端部はメツキ後に切断されるので、非メツキ付着部となっている。」(公報第3頁左上欄第2行〜第17行)

・記載事項7
「オーナメント10は、電鋳加工により形成されたベース36に車両12の車種や車格等を示す表示がなされた印刷膜38が貼り付けられて構成されている。オーナメント10が透明樹脂30の硬化により固定されると、これらの間には空間部40が生じ、この空間部40には前記円筒部22が収容されている。これにより、透明樹脂30の硬化に伴う放熱により、空間部40内で膨張される空気は、円筒部22の管路を介してガーニッシュ14の裏面へと排出させることができるようになっている。これにより、透明樹脂30の硬化時の気泡の発生を防止している。」(公報第3頁左上欄第18行〜同頁右上欄第9行)

・記載事項8
「オーナメント10の突出面(印刷膜38が貼り付けられた面)は、ガーニッシュ14の表面とほぼ面一かあるいは若干突出されている。この突出面を被覆するように新たな透明樹脂42が充填されている。」(公報第3頁右上欄第10行〜第14行)

・記載事項9
「なお、本実施例で適用した透明樹脂30、42は、熱硬化性を有する透明樹脂であれば異なる材質でもよい。また、色素を含ませてオーナメント10を強調するようにしてもよい。」(公報第4頁右上欄第20行〜同頁左下欄第3行)

・記載事項10
「また、本実施例では、装飾体として車両12のオーナメント10を適用し、本発明に係る装飾体形成方法を説明したが、本発明は、家庭用の家具、電化製品の商標等の他の装飾体の形成方法にも適用可能である。」(公報第4頁左下欄第10行〜第14行)

以上の記載事項1〜4及び図1〜6の記載によれば、引用例1には次の発明が記載されていると認められる。
「遊技機に設置される遊技部材であって、
外周の前面に表示窓を形成し、表示窓内に小型表示装置を内蔵したことを特徴とする遊技部材。」(以下、「引用例1に記載された発明」という。)

2)対比
引用例1に記載された発明と本願補正発明を対比すると、引用例1に記載された発明の「遊技機」は本願補正発明の「遊技機」に相当している。以下同様に、「遊技部材」は「遊技部材」、「小型表示装置」は「小型パーツ」にそれぞれ相当している。
なお、引用例1に記載された発明の「表示窓」は、本願補正発明のパーツ1の7a〜7iの凹状部分と7j、7kの凹状部分の内、「7a〜7iの凹状部分」に相当している。
また、引用例1に記載された発明の遊技部材の前面は、少なくとも遊技部材の外周の一部を形成することは明らかである。
そこで、本願補正発明と引用例1に記載された発明を対比すると、
「遊技機に設置される遊技部材であって、
外周のすくなくとも一部に凹状部分を形成し、その凹状部分に小型パーツを設けたことを特徴とする遊技部材。」の点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1: 凹状部分に設けられた小型パーツが、本願補正発明においては、「凹状部分に埋め込まれ、かつ、その後方にランプを設置する」のに対して、引用例1に記載された発明においては「凹状部分に単に内蔵されている」点。

相違点2:凹状部分に小型パーツを設ける際に、本願補正発明が「凹状部分に弾性合成樹脂の注入加工を施して、弾性合成樹脂の注入加工部分により、衝突した遊技球を一定反発力で跳ね返し可能としている」のに対して、引用例1に記載された発明は「単に凹状部分に小型パーツを配置して、その凹状部分に衝突した遊技球を一定の反発力で跳ね返し可能とする構成を有していない」点

3)判断
上記相違点について検討する。

<相違点1について>
引用例2の記載事項7の「オーナメント10は、電鋳加工により形成されたベース36に車両12の車種や車格等を示す表示がなされた印刷膜38が貼り付けられて構成されている。・・・」なる記載および上記の記載事項8の記載から、引用例2の装飾体であるオーナメントは表示のために透明な弾性合成樹脂内に配置されている表示装置ということができることは明らかである。
そして、引用例2の記載事項10の「・・・本発明は、家庭用の家具、電化製品の商標等の他の装飾体の形成方法にも適用可能である。」なる記載から、引用例2の装飾体形成方法は他の技術分野に広く適用できることが示されている。
さらに、パチンコ等の遊技機技術分野の表示装置として、透明な表面、絵柄・文字などの装飾体または表示体、透光性の基盤、ランプの順で構成されるように、装飾体等の後方にランプを配置することはよく知られている周知な技術事項にすぎない(必要であれば、特開平4-354961号公報のFIG.3およびFIG.4、特開平7-250953号公報、特開平11-47354号公報等参照されたい。)。
そうすると、引用例2に記載の弾性合成樹脂内に設けられた装飾体からなる表示装置が他の技術分野への応用が可能であること、機能が同等であれば表示装置を選択的に用いることに格別の困難性がないこと、および表示装置の後方にランプを設けることがパチンコ技術分野の表示装置において周知であることから、引用例1に記載された発明の遊技部材の凹状部分の小型表示装置に代えて、引用例2に記載の弾性合成樹脂を有する装飾体である表示装置を採用して、その採用時に表示装置の後方にランプを設置すること、すなわち上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が、引用例1に記載された発明、引用例2の記載及び技術常識並びに周知技術に基づいて、容易に想到し得る程度の技術事項に過ぎない。

<相違点2について>
引用例1に記載された発明の遊技部材の外周面が、パチンコ玉が落下してくる又は飛び込んできて衝突する部分を構成していることは遊技機の遊技盤における設置場所から見て明らかなことであり、また、パチンコ技術分野において、パチンコ玉の落下による衝撃を受ける場所にゴム等の弾性を有する弾性合成樹脂で表面を被覆して衝突による破損等を防止することは広く普通に行われており(必要であれば、特開平10-323420号公報、特開平7-328193号公報、特開平8-155080号公報等参照されたい)、かつ、パチンコ技術分野以外の一般的技術分野においても落下物等の落下による衝撃を受ける部分に凹状部分を設け、その凹状部分に弾性合成樹脂をはじめとする緩衝材を埋め込むことはよく知られている普遍的な技術常識に過ぎない(前記特開平8-155080号公報の第5図、実願昭54-116843号(実開昭56-36723号)のマイクロフイルム、特開平9-550号公報、実願昭57-183989号(実開昭59-89122号)のマイクロフイルム等参照されたい)。
一方、引用例2の記載事項6の「凹部16には、透明樹脂30が充填されている。この透明樹脂30はウレタン系又はアクリル系透明耐候性充填樹脂であり、熱硬化性を有しており、凹部16への充填時はゲル状となっている。従って、凹部16の形状に沿って、膜面32が水平となるように均等に充填させることができる。・・・なお、この透明樹脂30は、経時的変化で加熱又は放置されることにより硬化するが、この硬化前に前記オーナメント10が浸漬されるようになっている。・・・」なる記載、同記載事項7の「オーナメント10は、電鋳加工により形成されたベース36に車両12の車種や車格等を示す表示がなされた印刷膜38が貼り付けられて構成されている。オーナメント10が透明樹脂30の硬化により固定されると、・・・」なる記載、同記載事項8の「オーナメント10の突出面(印刷膜38が貼り付けられた面)は、ガーニッシュ14の表面とほぼ面一かあるいは若干突出されている。この突出面を被覆するように新たな透明樹脂42が充填されている。」なる記載、およびウレタン製合成樹脂が弾性を有することは常識であること、並びに第2図に基づけば、引用例2には「凹状部分に弾性合成樹脂の注入加工を施して、弾性合成樹脂の注入加工により、表示機能を有する装飾体からなる表示装置(オーナメント)を弾性合成樹脂の内部に埋設するとともに、弾性合成樹脂の注入加工部分により、衝突した物体を一定の反発力で跳ね返し可能とする」構成が記載されていることは明らかである。
そして、上記相違点1に示した同じ理由により、凹状部分に小型パーツを設けるに当たって、引用例1の小型表示装置に代えて、引用例2に記載の弾性合成樹脂を有する装飾体である表示装置を採用することが、当業者が容易に想到し得る程度のことに過ぎないのであるから、その採用した弾性合成樹脂により、弾性合成樹脂に落下物等が衝突した場合には衝突した落下物等を一定の反発力で跳ね返すこと、及び落下物等の衝突による表示装置の破損防止の作用を奏することは、当然に予期し得る程度の作用効果という他はない。
そうすると、引用例2に記載の弾性合成樹脂内に設けられた装飾体からなる表示装置が他の技術分野への応用が可能であること、機能が同等であれば表示装置を選択的に用いることに格別の困難性がないこと、及びパチンコ技術分野以外の一般的技術分野においても落下物等の落下による衝撃を受ける部分に凹状部分を設け、その凹状部分に弾性合成樹脂をる緩衝材を埋め込むことは普遍的な技術常識としてよく知られていることから、引用例1に記載された発明の遊技部材の凹状部分の小型表示装置に代えて、引用例2に記載の凹状部分に設けられた弾性合成樹脂を有する装飾体である表示装置を採用する際に、凹状部分に注入加工を施すことにより弾性合成樹脂の注入加工部分を設けて、その注入加工部分により、衝突した遊技球を一定反発力で跳ね返し可能とすること、すなわち上記相違点2に係る構成とすることは、当業者が、引用例1に記載された発明、引用例2の記載及び技術常識並びに周知技術に基づいて、容易に想到し得る程度の技術事項に過ぎない。

以上のとおり、本願補正発明は、引用例1に記載された発明、引用例2の記載および技術常識並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものである。

4)作用効果
本願補正発明によって奏する効果も、引用例1に記載された発明及び引用例2の記載および技術常識並びに周知技術から普通に予測できる範囲内のものであって格別のものがあるとは認められない。

5)むすび
上記のとおりであるので、本願補正発明は、引用例1に記載された発明、引用例2の記載および技術常識並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項により特許を受けることができない。


(2)補正却下の判断
上記(1)のとおり、本願補正発明は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであるので、平成14年4月22日付の手続補正は、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成14年4月22日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は、平成14年2月25日付の手続補正書における特許請求の範囲の請求項1において特定される以下のものである。
「【請求項1】外周の少なくとも一部に凹状部分を形成し、その凹状部分に弾性合成樹脂の注入加工を施して、前記弾性合成樹脂の注入加工部分により、衝突した遊技球を一定の反発力で跳ね返し可能としたことを特徴とする遊技部材。」(以下、「本願発明」という。)

1)引用例について
引用例1の記載および引用例2の記載及びそれらの記載事項は上記2.1)に記載したとおりである。

2)対比・判断
本願発明は、上記(2)で検討した本願補正発明の「弾性合成樹脂の注入加工部分の内部に、小型パーツを埋め込むと共に、その小型パーツが埋め込まれている凹状部分の後方に、ランプを設置した」の構成要件を削除することにより縮減したものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記に記載したとおり、引用例1に記載された発明、引用例2の記載および技術常識並びに周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1に記載された発明、引用例2の記載および技術常識並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明、引用例2の記載および技術常識並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-03-28 
結審通知日 2006-04-04 
審決日 2006-04-25 
出願番号 特願平11-256192
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 神 悦彦  
特許庁審判長 三原 裕三
特許庁審判官 林 晴男
宮本 昭彦
発明の名称 遊技部材  
代理人 石田 喜樹  
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