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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F16C
管理番号 1137552
審判番号 不服2002-20226  
総通号数 79 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-06-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-10-17 
確定日 2006-06-08 
事件の表示 平成8年特許願第346738号「動圧軸受装置及びモータ」拒絶査定不服審判事件〔平成10年6月23日出願公開、特開平10-169646〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成8年12月10日の出願であって、平成14年9月17日(発送日)に拒絶査定がなされ、平成14年10月17日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。
そして、その請求項1〜5に係る発明は、平成14年3月26日付け、及び当審における拒絶の理由に対する平成18年3月24日付けの手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものと認める。
なお、平成14年10月17日付けの手続補正は、当審において、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、平成18年1月4日付けで決定をもって却下された。

【請求項1】
軸方向に孔が設けられた固定軸と、前記固定軸の上部に形成された軸受用の円板と、前記固定軸に設けられた孔の開口のうち前記円板と反対側を塞ぐ密封栓と、前記固定軸の外周と空隙を形成して嵌合する中央孔と、前記円板の裏面及び外周面との間に空隙を形成して前記円板が嵌合される段部を備えたカップ状ロータと、前記円板の表面との間に空隙を形成して前記カップ状ロータに嵌合されるスラスト押さえ部とを備え、前記円板の表面および裏面を、前記カップ状ロータとスラスト押さえ部からなる回転体の軸方向を支持するためのスラスト動圧軸受部とし、前記円板の外周面を、前記回転体の半径方向を支持するためのラジアル動圧軸受部とすると共に、前記空隙に充填される油と、前記充填された油が収容される断面凹状の環状の油溜りと、前記油溜りの外方に形成された開口部、とを有することを特徴とする動圧軸受装置。

2.本願出願前日本国内において頒布された刊行物に記載された発明
本願出願前日本国内において頒布された刊行物であり、当審において平成18年1月17日付けで通知した拒絶の理由において引用したものは、次のとおりである。
(1)刊行物1:特開平8-84453号公報
(2)刊行物2:特開平7-103237号公報
(3)刊行物3:特開昭55-90761号公報
(4)刊行物4:特開平8-237906号公報

(刊行物1)
刊行物1には、「スピンドルモータ」に関し、図面(特に、第1〜4図)とともに、以下の技術的事項が記載されている。
(a)「本発明は、動圧軸受を用いたスピンドルモータに関する。」(第2頁第1欄第35〜36行、段落【0001】参照)
(b)「近年では、パーソナルコンピュータ等の機器の一層の小型化、高容量化が望まれ、それらに組み込まれる記録媒体(例えばハードディスク)駆動用のスピンドルモータについても一層の小型化、高精度化が要請されている。
前述したスピンドルモータにおいて、これをより一層小型、薄型化しようとした場合、シャフト4のベース部材1に対する圧入長さを確保できなくなる。例えば、モータ高さ9mmのものを(PCMCIAのタイプ3)、モータ高さ5mmに薄型化する場合(PCMCIAのタイプ2)、シャフト4のベース部材1に対する圧入長さが3mmであったものが、ラジアル動圧軸受部を1つに制限したとしてもシャフト4の圧入長さが0.6mmとなり、耐ショック性が極端に低下する問題が生じる。
また、モータの高さ寸法が小さくなると、ラジアル動圧軸受部の高さ寸法も制限されるため、このラジアル動圧軸受部の溝加工が困難となり、回転精度が低下すると共に、動圧軸受部の寿命低下を招く結果となる。さらに、モータの薄型化に伴ない、ステータ5との兼ね合いからスラスト板とステータとを軸線方向に配置することが困難になり、スラスト板をステータの内径部分に配置せざるをえず、スラスト板が極端に小径化し、スラスト方向の負荷容量が低下し、寿命低下につながることになる。
本発明は、従来の技術の有するこのような問題点に留意してなされたものであり、その目的とするところは、耐ショック性を高め、回転精度を所定確保できると共に長寿命を維持できる超薄型化が可能なスピンドルモータを提供することにある。」(第3頁第3欄第45行〜第4欄第25行、段落【0015】〜【0018】参照)
(c)「固定軸体に設けられた円盤状スラスト板の軸線方向両面においてスラスト動圧軸受部を構成する一方、このスラスト板の外周部を利用してロータハブの円筒面形状内周部との間でラジアル動圧軸受部を構成するため、固定軸体に直接ラジアル動圧軸受部を構成する必要がなく、固定軸体の軸方向長さを縮小化できるだけでなく、この固定軸体のベース部材等に対する固定代つまり圧入長さを所定確保できる。
同時に、スラスト板の軸線方向の幅を所定確保してラジアル動圧軸受部の長さ寸法を比較的長くすることが可能であるため、ラジアル動圧軸受部の溝加工の精度を高めることができ、回転精度向上並びに長寿命化が図れる。」(第4頁第5欄第6〜18行、段落【0022】及び【0023】参照)
(d)「磁気ディスク駆動装置のベース部材に取り付けられるブラケット51には、その環状凹部52の中央に環状ボス部53が固定され、この環状ボス部53の内周部に固定軸体となるシャフト54のほぼ下半部が圧入固定されている。なお、ブラケット51はベース部材それ自身であってもよい。
シャフト54の上半部のほぼ中央部には、その軸線に対し実質上垂直状をなす円盤状のスラスト板55が圧入等により一体に設けられている。シャフト54及びスラスト板5は例えばステンレス鋼からなる。このスラスト板55の上下両面には、内周部寄りに外周から内周にいくに従い深くなる環状のテーパ溝部56、57が同心状に形成され、スラスト板55の上下両面のテーパ溝部56、57より外側に図2に示すように上側スラスト軸受面58、下側スラスト軸受面59がそれぞれ形成されると共に、スラスト板55の外周面にラジアル軸受面60が形成されている。
スラスト板55の外周側には、このスラスト板55に対してスラスト方向及びラジアル方向に動圧軸受支持されたロータハブ61が配置されている。このロータハブ61は、鉄系金属等からなり後述するステータを覆う逆皿状に形成され、この内周部分にスラスト板55が僅かな間隙を介して嵌合される円筒面形状内周部62を有し、この内周部62の内周面にヘリングボーン状の動圧発生溝が形成されている。そして、この内周部62の内周面とスラスト板55のラジアル軸受面60との間に流体潤滑剤63が充填され、ラジアル動圧軸受部Aが構成されている。
ロータハブ61の内周部62の上下外周寄りにはかしめ用の環状壁64、65が一体に設けられ、この両環状壁64、65の内周部にそれぞれ円環板状のスラストブッシュ66、67が、それぞれの外周部を前記内周部62の上下面に当接させて内嵌され、環状壁64、65を周方向複数箇所スラストブッシュ66、67側にかしめることにより両スラストブッシュ66、67がロータハブ61に固定されている。
これらスラストブッシュ66、67は、例えば銅合金により構成され、同一部品からなり、部品の共通化が図られており、これらがスラスト板55の軸線方向両面に対向するように配置されている。スラスト板55の上側スラスト軸受面58及び下側スラスト軸受面59に対向するスラストブッシュ66、67の面にはポンプアウト作用をなすスパイラル状の動圧発生溝が形成され、スラスト板55とスラストブッシュ66、67との間にそれぞれ流体潤滑剤63が充填され、スラスト動圧軸受部B1、B2が構成されている。なお、両スラストブッシュ66、67は同一部品からなっているが、その動圧発生溝の方向は逆向きにであり、両スラストブッシュ66、67を向かい合わせたときに同一方向になる。
ラジアル動圧軸受部A及び両スラスト動圧軸受部B1、B2は相互に連通され、これに連続的に潤滑剤63が充填され、スラスト板55に対しロータハブ61が自在に相対回転支持される。すなわち、シャフト54に対してロータハブ61が回転されると、両スラスト動圧軸受部B1、B2に充填されている潤滑剤63はスラストブッシュ66、67の動圧発生溝つまりスパイラル状溝に従って外周方向に移送され、動圧発生部Aの潤滑剤63と共に動圧軸受部B1、B2の潤滑剤63に圧力が加わり、スラスト板55に対してロータハブ61が、両スラストブッシュ66、67を介してスラスト方向に支持される。さらに、ラジアル動圧軸受部Aに充填されている潤滑剤63は内周部62の動圧発生溝つまりヘリングボーン状溝に従ってその中心部に移送され、この部分の圧力が高まり、スラスト板55に対してロータハブ61がラジアル方向に支持される。
ここで、両スラスト動圧軸受部B1、B2に充填されている潤滑剤63は、ロータハブ61の回転時は前述したポンプアウト作用により外周方向に移送されるため、問題はないが、モータ停止時は、潤滑剤63にポンプアウト作用が働かないため、潤滑剤63の漏出の危険が生じる。しかしながら、前述の構成では、スラスト板55の上下両面における動圧軸受部B1、B2より内周側には環状のテーパ溝部56、57が同心状に形成され、スラストブッシュ66、67との間の隙間が徐々に大きくなっているため、潤滑剤63はその表面張力により動圧軸受部B1、B2内に保持され、いわゆるテーパシールにより潤滑剤63の漏れが防止されている。
なお、スラストブッシュ66、67内周部にはスラスト板55のテーパ溝部56、57に遊嵌する環状突部68、69が突設されている。これは外部からの衝撃により万が一動圧軸受部B1、B2内の潤滑剤63が内周方向に飛散しても、環状突部68、69が障壁になり、潤滑剤63が容易に外部に飛散しないようにするためのものである。
前記環状ボス部53の外周には偏平状のステータ70が外嵌されている。このステータ70は、ステータコア71とこのステータコア71の各ティースに巻回されたコイル72とからなる。前記ロータハブには、ステータ70の外周面に対向するように円環状のロータマグネット73が、絶縁性スペーサ74により高さ調節されて設けられている。ステータコア71のティース部分には、ダミーコア75が固着されている。
このような構成のスピンドルモータにあっては、シャフト54に固定したスラスト板55の外周面を利用し、この外周面をラジアル軸受面60としてロータハブ61の内周部62との間でラジアル動圧軸受部Aを構成するようにしたので、従来のようにシャフト周面を直接使用してラジアル動圧軸受部を構成する必要がなく、シャフト54にはスラスト板55を固定するのみでよくなる。従って、当該スピンドルモータを超薄型化させた場合であっても、シャフト54のボス部53に対する圧入長さを所定確保でき、耐ショック性を高めることができる。
また、ラジアル動圧軸受部Aをスラスト板5の外周に設けたことにより、この軸受部を大径化することができ、ラジアル軸受面60及び内周部62の内周面並びにヘリングボーン状動圧発生溝の加工精度を高めることが可能になり、特に、内周部60の内径の加工精度アップによりラジアル動圧軸受部Aのクリアランスを詰めることができ、回転精度を高めることができる。その上、ロータハブ61の内径を大きくすることができるため、ロータハブ61をワンチャックで表裏一体加工することが可能になり、加工効率も高まるものである。
さらに、スラスト板55の形状がステータ70に影響を受けないため、モータの薄型化によってスラスト板55が小径化されることはなく、所要の外径を確保でき、従って、スラスト負荷容量を増加でき軸受寿命を高めることができる。
なお、前記実施例において、ラジアル動圧軸受部Aのヘリングボーン状動圧発生溝は、ロータハブ61の内周部62の内周面に形成する以外にスラスト板55のラジアル軸受面60に形成するようにしてもよい。また、スラスト動圧軸受部B1、B2の動圧発生溝はスラスト板55の上側スラスト軸受面58及び下側スラスト軸受面59に形成されていてもよい。さらに、スラスト動圧軸受部B1、B2の動圧発生溝は、スパイラル状に限らずヘリングボーン状であってもよい。」(第4頁第5欄第44行〜第5頁第8欄第21行、段落【0027】〜【0039】参照)」
したがって、刊行物1には、上記摘記事項及び図面の記載からみて、下記の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認める。
【引用発明】
シャフト54と、前記シャフト54の上部に形成された軸受用の円盤状のスラスト板55と、前記シャフト54の外周と空隙を形成して嵌合する中央孔と、前記スラスト板55の裏面及び外周面との間に空隙を形成して前記スラスト板55が嵌合されるロータハブ61及びロータハブ61にかしめ固定される下側スラストブッシュ67と、前記スラスト板55の表面との間に空隙を形成して前記ロータハブ61にかしめ固定される上側スラストブッシュ66とを備え、前記スラスト板55の表面および裏面を、前記ロータハブ61及びロータハブ61にかしめ固定される下側スラストブッシュ67と上側スラストブッシュ66からなる回転体の軸方向を支持するためのスラスト動圧軸受部B1,B2とし、前記スラスト板55の外周面を、前記回転体の半径方向を支持するためのラジアル動圧軸受部Aとすると共に、前記空隙に充填される油と、を有するスピンドルモータの動圧軸受装置。

3.対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると、それぞれの有する機能からみて、引用発明の「シャフト54」は本願発明の「固定軸」に相当し、以下同様に、「円盤状のスラスト板55」は「円板」に、「ロータハブ61にかしめ固定される上側スラストブッシュ66」は「カップ状ロータに嵌合されるスラスト押さえ部」に、「上側スラストブッシュ66」は「スラスト押さえ部」に、「スラスト動圧軸受部B1,B2」は「スラスト動圧軸受部」に、「ラジアル動圧軸受部A」は「ラジアル動圧軸受部」に、「スピンドルモータの動圧軸受装置」は「動圧軸受装置」に、それぞれ相当するとともに、引用発明の「ロータハブ61及びロータハブ61にかしめ固定される下側スラストブッシュ67」はカップ状を成しており本願発明の「カップ状ロータ」に、「円板の裏面及び外周面との間に空隙を形成して円板が嵌合」し、スラスト動圧軸受部及びラジアル動圧軸受部を構成している「カップ状の部材」である限りにおいて相当しているので、両者の一致点及び相違点1〜3は以下のとおりである。
<一致点>
固定軸と、前記固定軸の上部に形成された軸受用の円板と、前記固定軸の外周と空隙を形成して嵌合する中央孔と、前記円板の裏面及び外周面との間に空隙を形成して前記円板が嵌合されるカップ状の部材と、前記円板の表面との間に空隙を形成して前記カップ状の部材に嵌合されるスラスト押さえ部とを備え、前記円板の表面および裏面を、前記カップ状の部材とスラスト押さえ部からなる回転体の軸方向を支持するためのスラスト動圧軸受部とし、前記円板の外周面を、前記回転体の半径方向を支持するためのラジアル動圧軸受部とすると共に、前記空隙に充填される油と、を有する動圧軸受装置。
(相違点1)
前記「カップ状の部材」及びスラスト押さえ部に関して、本願発明は、「カップ状ロータ」及び「スラスト押さえ部」の2つの部材から構成されているのに対して、引用発明は、ロータハブ61、下側スラストブッシュ67、及び上側スラストブッシュ66の3つの部材から構成されている点。
(相違点2)
本願発明は、前記固定軸に「軸方向に孔が設けられ」るとともに「前記固定軸に設けられた孔の開口のうち前記円板と反対側を塞ぐ密封栓」を備えているのに対し、引用発明はそのような構成を具備していない点。
(相違点3)
本願発明は、「前記充填された油が収容される断面凹状の環状の油溜りと、前記油溜りの外方に形成された開口部」を備えているのに対し、引用発明はそのような構成を具備していない点。
以下、上記相違点1〜3について検討する。
(相違点1について)
刊行物1には、「ロータハブ61の内周部62の上下外周寄りにはかしめ用の環状壁64、65が一体に設けられ、この両環状壁64、65の内周部にそれぞれ円環板状のスラストブッシュ66、67が、それぞれの外周部を前記内周部62の上下面に当接させて内嵌され、環状壁64、65を周方向複数箇所スラストブッシュ66、67側にかしめることにより両スラストブッシュ66、67がロータハブ61に固定されている。」(上記摘記事項(d)又は段落【0030】参照)と記載されている。
下側スラストブッシュ67は、かしめることによりロータハブ61に固定されているのであるから、実質的に一体の部材とみることができる。
また、上側スラストブッシュ66は、かしめることによりロータハブ61に固定されているが、かしめによる固定とするか、ロータハブ61に上側スラストブッシュ66を嵌合して別部材による固定手段を設けるかは、当業者が必要に応じて適宜行う設計変更の範囲内の事項に過ぎない。
してみれば、引用発明の構成を変更して、下側スラストブッシュ67をロータハブ61と一体の部材とし、それに上側スラストブッシュ66を嵌合することにより、2つの部材からなるものとして、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、技術的に格別の困難性を有することなく当業者が容易に想到し得たものである。
(相違点2について)
軸受装置において、軸方向に潤滑油の注入孔を設けるとともにその開口を塞ぐ密封栓を設けることは、従来周知の技術手段(例えば、刊行物2の段落【0013】及び図1には、回転軸7の中空部9及びプラグ18が記載され、刊行物3の第4頁右下欄第4〜15行、及び第1図には、中心固定軸9の潤滑油流通路24及びその下部を塞ぐ潤滑油封じ止めねじ56が記載されている。)に過ぎない。また、その際、密封栓の設けられていない側の開口を押さえ部材で覆うことも従来周知の技術手段(例えば、刊行物3の第1図には、上部シリンダ蓋3が記載されている。)である。
してみれば、引用発明の構成に、上記従来周知の技術手段を適用することにより、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、技術的に格別の困難性を有することなく当業者が容易に想到し得たものである。
(相違点3について)
軸受装置において、充填された油が収容される断面凹状の環状の油溜りと、前記油溜りの外方に形成された開口部を設けることは、従来周知の技術手段(例えば、刊行物4の段落【0012】には、ボス部50の内周部に余剰オイルを収容するオイル溜め空間として作用する環状の凹部62が記載されているとともに、図1から、凹部62の外方に形成された開口部の構成が看取できる。)に過ぎない。
してみれば、引用発明の構成に、上記従来周知の技術手段を適用することにより、上記相違点3に係る本願発明の構成とすることは、技術的に格別の困難性を有することなく当業者が容易に想到し得たものである。

また、本願発明の奏する効果についてみても、引用発明及び従来周知の技術手段の奏するそれぞれの効果の総和以上の格別顕著な効果を奏するものとは認められない。
よって、本願発明は、引用発明及び従来周知の技術手段に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
結局、本願の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内において頒布された刊行物1に記載された発明、及び従来周知の技術手段に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、本願の請求項1に係る発明が特許を受けることができないものである以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討をするまでもなく、本願は拒絶すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-04-03 
結審通知日 2006-04-04 
審決日 2006-04-18 
出願番号 特願平8-346738
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F16C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲高▼辻 将人藤原 直欣  
特許庁審判長 亀丸 広司
特許庁審判官 平田 信勝
常盤 務
発明の名称 動圧軸受装置及びモータ  
代理人 仲野 均  
代理人 川井 隆  

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