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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16L 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F16L |
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管理番号 | 1137666 |
審判番号 | 不服2004-26579 |
総通号数 | 79 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1996-11-12 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-12-28 |
確定日 | 2006-06-09 |
事件の表示 | 平成 7年特許願第101320号「耐摩耗性ホース及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年11月12日出願公開、特開平 8-296771〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成7年4月25日の出願であって、平成15年3月7日付、平成15年11月7日付および平成16年3月19日付で手続補正がなされたが、平成16年10月29日付で平成16年3月19日付の手続補正が却下されるとともに、拒絶査定がなされ、これに対し、平成16年12月28日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成17年1月19日付で手続補正がなされたものである。 2.平成17年1月19日付の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成17年1月19日付の手続補正を却下する。 [理由] (1)補正後の本願発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1、3は、 「【請求項1】 内面ゴム層と、内面ゴム層上に積層された編組補強層及びその外側に積層される外面ゴム層とから成る、油圧ホースに使用される耐摩耗性ホースにおいて、前記外面ゴム層上に、厚さ0.05mm〜1.0mm、分子量100万以上の超高分子量ポリエチレンフィルムからなる超高分子量ポリエチレン層を被覆率50%以上で一体的に設け、かつ前記超高分子量ポリエチレン層をホース本体の長手方向に一定のピッチで隙間を設けるように巻付けたことを特徴とする耐摩耗性ホース。 【請求項3】 内面ゴム層上に、編組補強層及びその外側に外面ゴム層を積層してホース本体を成形し、該ホース本体の外面ゴム層上に、厚さ0.05mm〜1.0mm、分子量100万以上の超高分子量ポリエチレンフィルムを被覆率50%以上でかつ一定のピッチで隙間を設けて巻付けて、加熱することにより外面ゴム層と超高分子量ポリエチレンフィルムとを溶融接着して一体的に成形する油圧ホースに使用される耐摩耗性ホースの製造方法。」 と補正された。 上記請求項1、3の補正は、原請求項1、3に記載した発明の構成要件である「補強層」が編組されたものであるとの限定を付加するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項の規定により準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。 (2)引用例 本願の出願前国内において頒布された刊行物である、特開平6-42681号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。 「【0016】図1〜図3は第1の実施例を示し。編組式フレキシブルホース11は、ゴムまたは合成樹脂からなる内層としてのチューブ層12と、このチューブ層12の外周面に編組機(BRAIDER)によって繊維糸(または金属線糸)13aを筒状に編組した編組層13およびこの編組層13の外周面に被覆されたゴムまたは合成樹脂からなる外層としてのカバー層14とから構成されている。」 「【0046】 【発明の効果】・・・・・例えば工作機械等の油圧ホースとして好適する。」 上記記載および図面より、引用文献1には、次の発明(以下、「引用例発明」という。)が記載されている。 「ゴム製チューブ層12と、チューブ層上に積層された編組層13及びその外側に積層されるゴム製カバー層とから成る、油圧ホースに使用されるホース。」 同じく、本願の出願前国内において頒布された刊行物である、特開平4-191042号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の事項が図面とともに記載されている。 「【特許請求の範囲】 (1)内面ゴム及び外面ゴムとそれらの間に配設した耐圧補強層を有するホースであって、その最内面に分子量100万以上で、厚さ0.05〜0.3mmのポリエチレン樹脂層を積層した耐摩耗性ホース。 (2)ホースの最外面に分子量100万以上で、厚さ0.05〜0.3mmのポリエチレン樹脂層を積層した請求項第1項記載の耐摩耗性ホース。」 「先ず、図示しないマンドル上に超高分子量(分子量400万)のポリエチレン樹脂層1(厚さ0.1mm)をその端部を重ね合わせつつスパイラル状に巻き付け、次いで押出機によって未加硫ゴム状態の内面ゴム2をもって前記したポリエチレン樹脂層1上を囲繞する。そして両口金具7を図示しないかかるマンドルに挿入した後に、耐圧補強層3となるナイロン帆布をスパイラル状に2枚巻き付ける。 そして補強ワイヤー4及びこのワイヤー4、4間に未加硫の埋めゴム8をいずれもスパイラル状に巻き上げる。この上に更にポリエステルコード5を偶数枚巻き付け、これに未加硫の外面ゴム6をスパイラル(或いは寿司巻き)状に巻き付けて本体が完成する。 その後、水に浸したラッピングシーツ(図示せず)をこの上より巻き上げ、このまま所定の加硫装置内でゴムを加硫し、加硫後にラッピングシーツを剥し、マンドルを抜き出してホースHとして完成品となるものである。」(第2頁右下欄15行〜第3頁左上欄14行) (3)対比・判断 本願補正発明と引用例発明とを対比すると、引用例発明の「チューブ層12」は、本願補正発明の「内面ゴム層」に相当し、同様に、「編組層13」は「編組補強層」に、「カバー層14」は「外面ゴム層」に、相当するから、 両者は、 「内面ゴム層と、内面ゴム層上に積層された編組補強層及びその外側に積層される外面ゴム層とから成る、油圧ホースに使用されるホース。」 である点で一致し、次の点で相違している。 [相違点]本願補正発明は、外面ゴム層上に、厚さ0.05mm〜1.0mm、分子量100万以上の超高分子量ポリエチレンフィルムからなる超高分子量ポリエチレン層を被覆率50%以上で一体的に設け、かつ前記超高分子量ポリエチレン層をホース本体の長手方向に一定のピッチで隙間を設けるように巻付けて耐摩耗性ホースとしたのに対して、引用例発明は、外面ゴム層上に耐摩耗性の被覆層を設けていない点。 上記相違点について検討すると、引用文献2には、内面ゴム及び外面ゴムとそれらの間に配設した耐圧補強層を有するホースであって、ホースの最外面に分子量100万以上で、厚さ0.05〜0.3mmのポリエチレン樹脂層を積層した耐摩耗性ホースが記載され、さらに、未加硫のゴム層と超高分子量ポリエチレン層とを積層後ゴム層を加硫することが記載されており、該製造法によれば、加硫時にゴム層と超高分子量ポリエチレン層とは一体化するものと認められる。さらに、ホースの柔軟性を損なうことなくホース外面に補強層を設ける手段として、補強層をホース本体の長手方向に一定のピッチで隙間を設けるように巻付けることは従来周知の技術手段である(例えば、実願平4-37118号(実開平5-95729号)のCD-ROM、特開昭55-44896号公報、特開昭51-80016号公報、実公昭45-26838号公報参照。)し、補強層の被覆率をどの程度とするかは、ホースに要求される柔軟性あるいは耐久性がどの程度であるのかに応じて適宜選定し得る設計事項であるから、引用例発明の外面ゴム層上に、厚さ0.05mm〜1.0mm、分子量100万以上の超高分子量ポリエチレンフィルムからなる超高分子量ポリエチレン層を被覆率50%以上で一体的に設け、かつ前記超高分子量ポリエチレン層をホース本体の長手方向に一定のピッチで隙間を設けるように巻付けて、本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 そして、本願補正発明の効果は、引用文献1、2に記載された発明および周知の事項から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。 よって、本願補正発明は、本願の出願前に国内において頒布された引用文献1、2に記載された発明および従来周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (4)むすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定により準用する特許法第126条第5項の規定に違反してなされたものであり、特許法第159条第1項の規定により読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について 平成17年1月19日付の手続補正は上記のとおり却下され、また、平成16年3月19日付の手続補正は原審において既に却下されているので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成15年11月7日付の手続補正で補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】 内面ゴム層と、内面ゴム層上に積層された補強層及びその外側に積層される外面ゴム層とから成る、油圧ホースに使用される耐摩耗性ホースにおいて、前記外面ゴム層上に、厚さ0.05mm〜1.0mm、分子量100万以上の超高分子量ポリエチレンフィルムからなる超高分子量ポリエチレン層を被覆率50%以上で一体的に設け、かつ前記超高分子量ポリエチレン層をホース本体の長手方向に一定のピッチで隙間を設けるように巻付けたことを特徴とする耐摩耗性ホース。」 なお、請求項1には、「油圧ホース使用される」と記載されているが、「油圧ホースに使用される」の誤記と認め、本願の請求項1に係る発明を上記のように認定した。 (1)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献、および、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。 (2)対比・判断 本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から、「補強層」についての限定事項である「編組」との構成を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を限定したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(3)」に記載したとおり、引用文献1、2に記載された発明および周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用文献1、2に記載された発明および周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用文献1、2に記載された発明および周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-03-17 |
結審通知日 | 2006-03-28 |
審決日 | 2006-04-11 |
出願番号 | 特願平7-101320 |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(F16L)
P 1 8・ 121- Z (F16L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 谷口 耕之助、遠藤 秀明 |
特許庁審判長 |
水谷 万司 |
特許庁審判官 |
東 勝之 岡本 昌直 |
発明の名称 | 耐摩耗性ホース及びその製造方法 |
代理人 | 斎下 和彦 |
代理人 | 小川 信一 |
代理人 | 野口 賢照 |