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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H04L
審判 全部申し立て 2項進歩性  H04L
管理番号 1137782
異議申立番号 異議2003-71657  
総通号数 79 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2002-10-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-07-07 
確定日 2006-03-27 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3361509号「サーバ、情報提供支援方法、プログラム」の請求項1ないし12に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3361509号の請求項1ないし12に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3361509号の請求項1ないし12に係る発明についての特許出願は、平成13年4月9日になされ、平成14年10月18日付けでその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、特許異議申立人井原好明より特許異議の申立てがなされ、平成15年12月8日付けで請求項3、請求項8に係る発明について、当審において特許の取消しの理由が通知され、平成16年2月17日付けで訂正請求がなされたものである。

2.本件訂正の適否
2-1.本件訂正の内容
平成16年2月17日付け訂正(以下、「本件訂正」という。)は、次の訂正事項a、bを内容とするものである。(アンダーラインは、訂正箇所を示すために付した。)

訂正事項a
特許請求の範囲の請求項3を以下の通り訂正する。

【請求項3】 ネットワークを通して、クライアント端末装置、ユーザ端末装置と通信自在なサーバであって、
前記クライアント端末装置、ユーザ端末装置との間で通信を行う通信手段と、
前記通信手段が前記クライアント端末装置より送信された所定情報を受信したときには、当該所定情報を受け付けた段階で、当該所定情報に対して文字列からなる所定コードを付するように制御する制御手段と、
少なくとも前記所定コードと前記所定情報、当該所定情報のカテゴリを関係付けた第1のテーブルと、ユーザIDと請求者アドレス、前記所定コードを関係付けた第2のテーブルとを記憶する記憶手段と、
を具備し、
前記制御手段は、前記通信手段が前記ユーザ端末装置より送信された電子メールを受信したときには、この電子メールの件名に相当する情報として当該電子メールに含まれている前記所定コードを抽出し、当該所定コードに対応する所定情報を前記記憶手段の前記第1のテーブルより読み出し、当該所定情報を、電子メールにより、前記通信手段より前記ユーザ端末装置に返信するように制御し、 前記カテゴリに対応する前記所定コードを前記記憶手段の前記第1のテーブルより取得し、更に当該所定コードに対応するユーザID及び請求者アドレスを前記記憶手段の前記第2のテーブルより取得し、当該請求者アドレスにダイレクトメールを送信するよう制御する、
ことを特徴とするサーバ。

訂正事項b
特許請求の範囲の請求項8を以下の通り訂正する。

【請求項8】 前記記憶手段により、前記所定コードと前記所定情報、当該所定情報のカテゴリを関係付けた第1のテーブルと、ユーザIDと請求者アドレス、前記所定コードを関係付けた第2のテーブルとを記憶し、
前記制御手段により、前記カテゴリに対応する前記所定コードを前記記憶手段の前記第1のテーブルより取得し、更に当該所定コードに対応するユーザID及び請求者アドレスを前記記憶手段の前記第2のテーブルより取得し、当該請求者アドレスにダイレクトメールを送信するよう制御することを更に特徴とする請求項4に記載の情報提供支援方法。

2-2.本件訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項aについて
訂正事項aのうち、「少なくとも前記所定コードと前記所定情報、当該所定情報のカテゴリを関係付けた第1のテーブルと、ユーザIDと請求者アドレス、前記所定コードを関係付けた第2のテーブルとを記憶する記憶手段」の部分は、特許明細書の段落【0043】、【0044】及び図7の記載、図14及びそれに対応する段落【0072】ないし【0074】等の記載に基づいて、「記憶手段」の技術的事項を限定するものであるから、特許法第120条の4第2項ただし書第1号の「特許請求の範囲の減縮」に該当する。
また、訂正事項aのうち、「当該所定コードに対応する所定情報を前記記憶手段の前記第1のテーブルより読み出し、当該所定情報を、電子メールにより、前記通信手段より前記ユーザ端末装置に返信するように制御し、」の部分は、特許明細書の段落【0071】及び図13の記載に基づいて、所定コードに対応する所定情報の読み出し先に係る技術的事項を限定すると共に、特許明細書の段落【0066】ないし【0081】及び図13等、特許明細書の段落【0082】ないし【0087】及び図15等の記載に基づいて、本来の意味内容である「前記通信手段が前記ユーザ端末装置より送信された電子メールを受信したときには…(中略)…当該所定情報を、電子メールにより、前記通信手段より前記ユーザ端末装置に返信するように制御」と「前記カテゴリに対応する前記所定コードを前記記憶手段の前記第1のテーブルより取得し…(中略)…当該請求者アドレスにダイレクトメールを送信するよう制御」との2つの制御機能を有する点を明りょうにするため、「すると共に、」を「し、」と訂正したものであるから、特許法第120条の4第2項ただし書第1号の「特許請求の範囲の減縮」及び第3号の「明りょうでない記載の釈明」に該当する。
また、訂正事項aのうち、「前記カテゴリに対応する前記所定コードを前記記憶手段の前記第1のテーブルより取得し、更に当該所定コードに対応するユーザID及び請求者アドレスを前記記憶手段の前記第2のテーブルより取得し、当該請求者アドレスにダイレクトメールを送信するよう制御する」の部分は、特許明細書の段落【0082】ないし【0087】及び図15等の記載に基づいて、本来の意味内容である「所定コード」が記憶手段の第1のテーブルの所定コードに対応する点を明りょうにするために、「前記所定コード」と訂正すると共に、特許明細書の段落【0083】及び図7、15の記載に基づいて、カテゴリに対応する所定コードの読み出し先に係る技術的事項を限定し、さらに、図14、15及びそれに対応する特許明細書の段落【0084】ないし【0087】等の記載に基づいて、所定コードに対応するユーザID及び請求者アドレスの読み出し先に係る技術的事項を限定する訂正であることから、特許法第120条の4第2項ただし書第1号の「特許請求の範囲の減縮」及び第3号の「明りょうでない記載の釈明」に該当する。
そして、訂正事項aは、上記の如く根拠が明確であることから願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正に相当し、実質上特許請求の範囲を拡張しまたは変更するものでもない。

訂正事項bについて
訂正事項bのうち、「前記記憶手段により、前記所定コードと前記所定情報、当該所定情報のカテゴリを関係付けた第1のテーブルと、ユーザIDと請求者アドレス、前記所定コードを関係付けた第2のテーブルとを記憶し」の部分は、特許明細書の段落【0043】、【0044】及び図7の記載、図14及びそれに対応する段落【0072】ないし【0074】等の記載に基づいて、「記憶」に係る技術的事項を限定する訂正であることから、特許法第120条の4第2項ただし書第1号の「特許請求の範囲の減縮」に該当する。
また、訂正事項bのうち、「前記カテゴリに対応する前記所定コードを前記記憶手段の前記第1のテーブルより取得し、更に当該所定コードに対応するユーザID及び請求者アドレスを前記記憶手段の前記第2のテーブルより取得し、当該請求者アドレスにダイレクトメールを送信するよう制御すること」の部分は、特許明細書の段落【0082】ないし【0087】及び図15等の記載に基づいて、本来の意味内容である「所定コード」が記憶手段の第1のテーブルの所定コードに対応する点を明りょうにするために、「前記所定コード」と訂正すると共に、特許明細書の段落【0083】及び図7、15の記載に基づいて、カテゴリに対応する所定コードの読み出し先に係る技術的事項を限定し、さらに、図14、15及びそれに対応する特許明細書の段落【0084】ないし【0087】等の記載に基づいて、所定コードに対応するユーザID及び請求者アドレスの読み出し先に係る技術的事項を限定する訂正であることから、特許法第120条の4第2項ただし書第1号の「特許請求の範囲の減縮」及び第3号の「明りょうでない記載の釈明」に該当する。
そして、訂正事項bは、上記の如く根拠が明確であることから願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正に相当し、実質上特許請求の範囲を拡張しまたは変更するものではない。

2-3.まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法120条の4第2項、特許法第120条の4第3項において準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので認める。

3.特許異議申立てについて
3-1.本件発明
本件訂正が認められるから、本件の請求項1ないし12に係る発明(以下、「本件発明1」〜「本件発明12」という。)は、それぞれ、本件訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された次の事項により特定されるものと認める。

【請求項1】 ネットワークを通して、クライアント端末装置、ユーザ端末装置と通信自在なサーバであって、
前記クライアント端末装置、ユーザ端末装置との間で通信を行う通信手段と、
前記通信手段が前記クライアント端末装置より送信された所定情報を受信したときには、当該所定情報を受け付けた段階で、当該所定情報に対して文字列からなる所定コードを付するように制御する制御手段と、
少なくとも、前記所定コードと前記所定情報とを関係付けて、更にはユーザIDとアドレス、アドレスに関する受信条件を関係付けて、記憶する記憶手段と、
を具備し、
前記制御手段は、前記通信手段が前記ユーザ端末装置より送信された電子メールを受信したときには、この電子メールの件名に相当する情報として当該電子メールに含まれている前記所定コードを抽出し、当該所定コードに対応する所定情報を前記記憶手段より読み出し、当該所定情報を、電子メールにより、前記通信手段より前記アドレスに返信するよう制御する、
ことを特徴とするサーバ。
【請求項2】 ネットワークを通して、クライアント端末装置、ユーザ端末装置と通信自在なサーバであって、
前記クライアント端末装置、ユーザ端末装置との間で通信を行う通信手段と、
前記通信手段が前記クライアント端末装置より送信された所定情報を受信したときには、当該所定情報を受け付けた段階で、当該所定情報に対して文字列からなる所定コードを付するように制御する制御手段と、
少なくとも、前記所定コードと前記所定情報とを関係付けて、更にはユーザIDと複数のアドレス、各アドレスに関する受信条件を関係付けて、記憶する記憶手段と、を具備し、
前記受信条件には、前記複数のアドレスの各アドレス毎のファイル形式、添付ファイルの不可/可、文字数の最大値、添付ファイルサイズの最大値、ダイレクトメールの許可/拒否に関する設定情報が含まれ、
前記制御手段は、前記通信手段が前記ユーザ端末装置より送信された電子メールを受信したときには、この電子メールの件名に相当する情報として当該電子メールに含まれている前記所定コードを抽出し、当該所定コードに対応する所定情報を前記記憶手段より読み出し、当該所定情報を、電子メールにより、前記通信手段より前記アドレスに返信するよう制御する、
ことを特徴とするサーバ。
【請求項3】 ネットワークを通して、クライアント端末装置、ユーザ端末装置と通信自在なサーバであって、
前記クライアント端末装置、ユーザ端末装置との間で通信を行う通信手段と、
前記通信手段が前記クライアント端末装置より送信された所定情報を受信したときには、当該所定情報を受け付けた段階で、当該所定情報に対して文字列からなる所定コードを付するように制御する制御手段と、
少なくとも前記所定コードと前記所定情報、当該所定情報のカテゴリを関係付けた第1のテーブルと、ユーザIDと請求者アドレス、前記所定コードを関係付けた第2のテーブルとを記憶する記憶手段と、
を具備し、
前記制御手段は、前記通信手段が前記ユーザ端末装置より送信された電子メールを受信したときには、この電子メールの件名に相当する情報として当該電子メールに含まれている前記所定コードを抽出し、当該所定コードに対応する所定情報を前記記憶手段の前記第1のテーブルより読み出し、当該所定情報を、電子メールにより、前記通信手段より前記ユーザ端末装置に返信するように制御し、
前記カテゴリに対応する前記所定コードを前記記憶手段の前記第1のテーブルより取得し、更に当該所定コードに対応するユーザID及び請求者アドレスを前記記憶手段の前記第2のテーブルより取得し、当該請求者アドレスにダイレクトメールを送信するよう制御する、
ことを特徴とするサーバ。
【請求項4】 ネットワークを通して、クライアント端末装置、ユーザ端末装置と通信自在であり、通信手段、制御手段、記憶手段を有するサーバによる情報提供支援方法であって、
前記制御手段により、前記通信手段が前記クライアント端末装置より送信された所定情報を受信したときには、当該所定情報を受け付けた段階で、当該所定情報に対して文字列からなる所定コードを付し、
前記記憶手段により、前記所定コードと前記所定情報とを関係付けて、更にユーザIDとアドレス、アドレスに関する受信条件を関係付けて記憶し、
前記制御手段により、前記通信手段が前記ユーザ端末装置より送信された電子メールを受信したときには、この電子メールの件名に相当する情報として当該電子メールに含まれている前記所定コードを抽出し、
前記制御手段により、当該所定コードに対応する所定情報を前記記憶手段より読み出し、前記通信手段により、当該所定情報を電子メールによって前記アドレスに返信するよう制御する、
ことを特徴とする情報提供支援方法。
【請求項5】 前記制御手段により、
前記クライアント端末装置に、前記所定情報に対して付した所定コードを含む所定コード通知ページのHTMLソースを、前記通信手段を介して送信するように制御することを更に特徴とする請求項4に記載の情報提供支援方法。
【請求項6】 前記制御手段により、
前記クライアント端末装置に、前記所定情報に対して付した所定コードを含む所定コード通知ページのHTMLソース及び所定コード通知ページの内容を含む電子メールを、前記通信手段により送信するように制御することを更に特徴とする請求項4に記載の情報提供支援方法。
【請求項7】 前記受信条件には、前記アドレス毎のファイル形式、添付ファイルの不可/可、文字数の最大値、添付ファイルサイズの最大値、ダイレクトメールの許可/拒否に関する設定情報が含まれることを更に特徴とする請求項4に記載の情報提供支援方法。
【請求項8】 前記記憶手段により、前記所定コードと前記所定情報、当該所定情報のカテゴリを関係付けた第1のテーブルと、ユーザIDと請求者アドレス、前記所定コードを関係付けた第2のテーブルとを記憶し、
前記制御手段により、前記カテゴリに対応する前記所定コードを前記記憶手段の前記第1のテーブルより取得し、更に当該所定コードに対応するユーザID及び請求者アドレスを前記記憶手段の前記第2のテーブルより取得し、当該請求者アドレスにダイレクトメールを送信するよう制御することを更に特徴とする請求項4に記載の情報提供支援方法。
【請求項9】 クライアント端末及びユーザ端末と相互に通信自在で、記憶手段を有するサーバにおいて用いられるプログラムであって、
前記サーバに、
前記クライアント端末装置からの所定情報を受け付けた段階で、当該所定情報に対して文字列からなる所定コードを付するステップと、
前記記憶手段により、前記所定コードと前記所定情報とを関係付けて記憶すると共に、ユーザID、アドレス、アドレスに関する受信条件を関係付けて記憶するステップと、
前記ユーザ端末装置からの電子メールの件名に相当する情報として当該電子メールに含まれている前記所定コードを抽出し、当該所定コードに対応する所定情報を前記記憶手段より読み出し、当該所定情報を電子メールによって前記アドレスに返信するステップと、
を有する処理を実行させるためのプログラム。
【請求項10】 前記処理には、
前記クライアント端末装置に、前記所定情報に対して付した所定コードを含む所定コード通知ページのHTMLソースを送信するステップを更に有する、
ことを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】 前記処理には、
前記クライアント端末装置に、前記所定情報に対して付した所定コードを含む所定コード通知ページのHTMLソース及び当該所定コード通知ページの内容を含む電子メールを送信するように制御するステップを更に有する、
ことを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
【請求項12】 前記受信条件には、前記アドレス毎のファイル形式、添付ファイルの不可/可、文字数の最大値、添付ファイルサイズの最大値、ダイレクトメールの許可/拒否に関する設定情報が含まれることを更に特徴とする請求項9に記載のプログラム。

3-2.当審において通知した特許の取消しの理由1(特許法第29条第2項)
当審の特許の取消しの理由において、本件発明3は、その出願前日本国内または外国において頒布された次の刊行物1ないし7に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものである旨指摘した。

(1)特開2000-357174号公報(特許異議申立人井原好明が提出した甲第2号証。以下、「刊行物1」という。)
刊行物1には、以下の記載がある。

「【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するための本発明の一態様による端末装置は、例えば以下の構成を備える。すなわち、ネットワークを介して配信すべき情報をサーバに登録するための端末装置であって、配信すべき情報を入力する手段と、ユーザを識別するユーザコードに、そのユーザコードに関連付ける複数の情報を識別する為のコードを付加して配信情報識別コードを生成するコード生成手段と、前記配信情報と生成されたコードとを関連付けてサーバに登録する手段とを具備する。
【0009】また、上記の目的を達成するための本発明の他の態様による端末装置は例えば以下の構成を備える。すなわち、ネットワークを介して配信すべき情報をサーバに登録するための端末装置であって、配信すべき情報を入力する手段と、ユーザを識別するユーザコードとこの端末装置を識別する端末コードとを前記配信情報に付与する手段と、前記配信情報とユーザコード並びに端末コードとを前記サーバに登録する手段とを具備する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0011】<システムの構成>本実施形態で説明されるサービスシステム(以下、Pサービスシステムという)は、店や駅等に設置される複数のサービス端末(以下、Pサービス端末という)とこれに接続されている専用のサービスサーバ(以下、Pサービスサーバという)を有する。そして、Pサービス端末から所定の形態のコード(以下、Pコードという)を入力することにより、当該Pサービスサーバから対応する情報を取得し、必要な情報のプリントを得るものである。なお、Pサービス端末へのPコードの指定は不特定の利用者によって行われ得るものである。
【0012】図1は本実施形態によるPサービスシステムの概略の構成を説明する図である。図1において、100はPサービス端末であり、200はPサービスサーバである。Pサービス端末100は、Pサービスサーバとの通信を行い、ユーザにより入力されたPコードに対応する情報を取得し、これをプリントする。或いは、Pサービス端末100において入力された画像情報等をPサービスサーバへアップロードすることができる。
【0013】なお、このPサービス端末100は、店舗、街頭、公共施設等において、公衆が利用可能に設置された端末とすることができる。この場合のPサービス端末100には、特定の人のみが利用する端末、例えば、個人が自宅で使用するいわゆるパソコンは含まれない意味である。
【0014】200はPサービスサーバであり、提供された情報に対してPコードの発番を行い、それらをPコードデータベースに登録し、管理する。そして、Pサービス端末100より入力されたPコードに応じて対応する情報を取得し、プリントデータを生成してPサービス端末100へ出力する。
【0015】300は情報提供者用サーバ(以下、IPサーバと称する)であり、例えば、一般的なインターネットプロバイダである。IPサーバ300は、Pサービスサーバ200よりの情報要求に応じて、当該情報要求に付されているPコードに対応する情報(コンテンツ)をPサービスサーバ200に送信する。また、後述するように、Pサービスサーバ200はIPサーバ300に対して使用可能な複数のPコードを設定し、IPサーバ300は、この使用可能なPコードの範囲において、ユーザ端末より提供された情報に対して独自にPコードを発行することができる。
【0016】ここで、図1はPサービスサーバ200とIPサーバ300が独立して機能し、通信網により情報の送受が可能となっているシステムであるが、Pサービスサーバ200がIPサーバ300を包含し、IPサーバの機能をPサービスサーバが実現するシステムであってもよい。
【0017】IPサーバ300側にて管理されている情報のPコードがPサービス端末100より入力された場合、Pサービスサーバ200は、そのPコードから対応するIPサーバを割り出し、そのIPサーバに対してPコードを送信して情報を要求することになる。
【0018】また、400は携帯端末であり、例えば携帯電話である。IPサーバ300は、情報の登録時にPサービスサーバ200より通知されたPコードを新聞や雑誌等のメディア610に掲載したり、携帯電話メールサービス600を用いてユーザの携帯端末400へ送信するメール情報の中にPコードを記述したりして、Pサービス端末利用者(以下、単に利用者という)にPコードを知らせる。利用者は、興味のある情報に添えられているPコードを、Pサービス端末100より入力することにより、これに対応する情報のプリントを得ることができる。なお、本実施形態の携帯端末400は、メール情報中に記述されたPコードを抽出して内部メモリに保持しておき、Pサービス端末100に対して赤外線通信等により保持されたPコードを入力することが可能である。
【0019】また、Pサービスサーバ200に個人登録を行うことにより、メールサービス等のサービスを受けることができる。この登録は、例えば利用者の所有する端末(利用者端末700)からWebを介して行うことができる。或いは、利用者が登録用紙に所定事項を記入し、この記入内容に従っててPサービスサーバの運用者が登録処理を行うようにしてもよい。
【0020】本実施形態において、IPサーバ300が提供し、Pサービスサーバ200が登録、管理する情報には2種類がある。1つは、Pサービス端末100等からの利用者によるPコード指定に基づいて、有償もしくは無償で利用者に提供される情報(以下、これをIP情報という)であり、もう1つは、Pサービスサーバによって自動的に選択され、利用者のPコード入力に応じて取得された情報(IP情報等)に付加される情報(以下、これを広告情報という)である。
【0021】以上のようなPサービスシステムにおいて実現されるサービスの例として、本実施形態では主に以下のサービスを説明する。
(1)ユーザ登録:利用者端末700よりのPサービスサーバに対する登録申請に応じて、個人用のPコードを付与する。
(2)IP情報登録:IPサーバ300よりのIP情報の登録申請に応じて、IP情報をPサービスサーバ200に登録し、IP用のPコードを付与する。
(3)広告情報登録:広告情報の登録申請に応じて、Pサービスサーバ200に広告情報を登録する。
(4)情報サービス:Pサービス端末100より所望の情報のPコード(IP用Pコード)を入力することにより、所望の情報のプリント出力を得る。
(5)メールサービス:Pサービス端末100よりユーザのPコード(個人用Pコード)を入力することにより、当該利用者宛てのメールをプリントする。
(6)パーソナル情報サービス:Pサービス端末100より利用者のPコードを入力することにより、予めその利用者に対して設定・登録された情報のプリント出力を得る。
(7)配信サービス:Pサービス端末100より所望の情報をPサービスサーバ200へアップロードしておき、必要に応じてPサービス端末100よりプリント出力を行う。」(第3頁左欄第22行〜第4頁右欄第3行)

「【0032】<Pサービスサーバの構成>次に、Pサービスサーバ200について説明する。図6はPサービスサーバ200の概略構成を示すブロック図である。201は制御部であり、CPU202、メモリ203を備える。CPU202は、メモリ203に格納された制御プログラムに従ってPサービスサーバ200における各種サービスを実現する。メモリ203には、CPU202によって実行される制御プログラムが格納されている。情報登録処理203aは、例えば、IP情報、広告情報、ユーザ情報(個人情報)、配信データ等の登録を行うためのプログラムモジュールである。また、Pコード発番処理203bは、登録された各情報を特定するためのPコードを割り当てるためのプログラムモジュールである。サービス処理203cは、Pサービス端末100より送信されるPコードに応じて、IP情報、広告情報、メールデータ、配信データを取得したり、配信データの登録を行ったりする。広告検索処理は203dは、Pサービス端末におけるプリント出力において付加されるべき広告情報を検索する。このように広告情報を付加することにより、広告料によって情報出力料を相殺し、情報出力時(プリント時)に利用者が負担する料金を低減する。203eはデータ出力処理であり、Pサービス端末100より入力されたPコードに基づいて得られた情報に、広告検索処理で得られた広告情報を付加してプリント用紙上へのレイアウトを行い、プリントデータを生成、出力する。
【0033】204は通信部であり、回線を介してPサービス端末と接続したり、Webを介して各IPサーバ300と接続したりする。
【0034】205はPコードデータベースであり、Pコードに係るテーブル群205aと、コンテンツの実体205bとを格納する。テーブル群205aには、IP情報登録テーブル(図7)、広告情報テーブル(図8)、ユーザ情報テーブル(図9)、メールサービス用Pコードテーブル(図10)、配信サービス用Pコードテーブル(図11)、パーソナル情報サービス用Pコードテーブル(図12)、個人情報テーブル(図13)、オーナー情報テーブル(図14)、端末情報テーブル(図15)が含まれる。
【0035】図7はIP情報登録テーブルのデータ構成例を示す図である。IP情報登録テーブル220はIP情報の登録時に生成、記録されるものである。IP情報登録テーブル220には、割り当てられたPコードに対して識別部、基本プロパティ、実体情報が登録される。識別部は、当該Pコードの構造(サブコード(Subcode)があるか否か、他のPコードへリンクされる場合はそのリンク先のPコード)を表わすための情報を格納する。サブコードを持つPコードの場合、該当Pコードに複数種類のサブコード付きのPコードを登録することができ、図11に示すように個々のサブコードテーブルがIP情報登録テーブルと同様の識別部、基本プロパティ、実体情報を持つ。サブコードテーブルは、サブコードが付加されたPコード毎に、即ちサブコードが付加されたPコードの数だけ作成し、格納する。基本プロパティは、当該IP情報のオーナーや記事の掲載条件を表わす情報を格納する。また、基本プロパティは「キーワードリスト」および「キーワード重みリスト」を含み、これらは、広告検索処理203dによって利用される(詳細は後述する)。実体ファイル情報は、当該IP情報の実体データを特定するもので、実体ファイルのパスとファイル名を含む。」(第5頁右欄第10行〜第6頁左欄第20行)

「【0039】図9は、ユーザ情報テーブルのデータ構成例を示す図である。ユーザ情報テーブルは、ユーザがPサービスシステムの会員登録を行った際に生成、記録されるものであり、ユーザプロファイル、個人情報、メールサービス用情報、配信サービス用情報、パーソナル情報サービス用情報を含む。ユーザプロファイルには、ユーザの住所や興味の対象等を表わす情報が登録される。ユーザプロファイル中の「個人情報テーブル」には、図13に示されるような、当該ユーザの住所、氏名、電話番号、クレジットカード番号等、個人の機密事項を登録する個人情報テーブルへのポインタが格納される。メールサービス用情報、配信サービス用情報、パーソナル情報サービス用情報には、それぞれメールプリントサービス、配信サービス、パーソナル情報サービスにおいて必要な情報が登録される。」(第6頁右欄第3行〜同欄第17行)

「【0098】<IP情報登録>Pサービスシステムにおいて、IP情報を提供する情報提供者は、IP情報の内容等をPサービスサーバ200又はIPサーバ300に対して登録する必要がある。
【0099】この登録は、情報提供者が所有等する図示しない端末(以下、情報提供者端末という。)から、Webを介してPサービスサーバ200又はIPサーバ300にアクセスすることにより行うか、又は、IP情報の内容等を記録したCD-ROM等の記憶媒体をPサービスシステムの運用者等に提出することにより行うことができる。」(第11頁左欄第35行〜同欄第45行)

「【0117】ここでは、広告検索処理で利用するために、登録すべきIP情報のジャンル、キーワード等を入力する。入力する項目は、ここでは「ジャンル」、「サブジャンル」及び「キーワード」からなる。「ジャンル」と「サブジャンル」とは、コンポボックスになっており、例えば、「ジャンル」欄の右端の矢印をクリックすると、図50のダイヤログボックスに示すように、「ジャンル」欄の項目の一覧が表示され、情報提供者はこの中から登録すべきIP情報に最も適合したカテゴリーを選択することができる。また、「キーワード」欄には、登録したIP情報の具体的内容に関するキーワードを任意に選択して入力することができる。更に、入力したキーワードは、「追加」ボタンで確定し、また、確定したキーワードは「削除」ボタンで取り消すことができる。」(第20頁右欄第26行〜同欄第40行)

「User-ID、E-Mail address」(第34頁の図13「個人情報テーブル」)

これらの記載によれば、刊行物1には、次の発明(以下、「刊行物1記載発明」という。)が記載されているものと認められる。

利用者の所有する端末(利用者端末700)、複数のサービス端末(Pサービス端末100)とこれらにネットワークを介して接続されている専用のサービスサーバ(Pサービスサーバ200)を有し、IP情報を提供する情報提供者は、情報提供者が所有等する図示しない端末(以下、情報提供者端末という。)から、Webを介してPサービスサーバ200又はIPサーバ300にアクセスすることにより、IP情報の内容等をPサービスサーバ200又はIPサーバ300に対して登録し、IP用のPコードが付与され、Pサービス端末100より所望の情報のPコード(IP用Pコード)を入力することにより、所望の情報のプリント出力を得る等の各種サービスを実現するPサービスシステムにおいて、
Pサービスサーバ200の制御部201は、CPU202、メモリ203を備え、CPU202は、メモリ203に格納された制御プログラムに従ってPサービスサーバ200における各種サービスを実現し、
Pサービスサーバ200の通信部204は、回線を介してPサービス端末と接続したり、Webを介して各IPサーバ300と接続し、
Pサービスサーバ200のPコードデータベース205は、Pコードに係るテーブル群205aと、コンテンツの実体205bとを格納し、テーブル群205aには、IP情報登録テーブル(図7)、広告情報テーブル(図8)、ユーザ情報テーブル(図9)、個人情報テーブル(図13)等が含まれ、
IP情報登録テーブル220は、IP情報の登録時に割り当てられたPコードに対してIP情報のジャンル、キーワード等が登録され、
ユーザ情報テーブルは、ユーザがPサービスシステムの会員登録を行った際に生成、記録されるものであり、ユーザプロファイル、個人情報、メールサービス用情報、配信サービス用情報、パーソナル情報サービス用情報を含み、
ユーザプロファイルには、ユーザの住所や興味の対象等を表わす情報が登録され、
ユーザプロファイル中の「個人情報テーブル」には、User-ID、E-Mail address等が登録され、
IPサーバ300は、例えば、IP情報、広告情報、ユーザ情報(個人情報)、配信データ等の登録時にPサービスサーバ200より通知されたPコードを新聞や雑誌等のメディア610に掲載したり、携帯電話メールサービス600を用いてユーザの携帯端末400へ送信するメール情報の中にPコードを記述したりして、Pサービス端末利用者(以下、単に利用者という)にPコードを知らせ、利用者は、興味のある情報に添えられているPコードを、Pサービス端末100より入力することにより、これに対応する情報のプリントを得ることができるPサービスシステム。

(2)特開平9-91358号公報(以下、「刊行物2」という。)
刊行物2には、以下の記載がある。

「【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。図2は、本発明の実施形態のシステム構成図である。図2において、配信ホスト計算機11、受け手端末13、および送り手端末14は、それぞれ通信ネットワーク12に接続されている。送り手端末14は商品やサービス等のベンダーの計算機端末であり、受け手端末13は他のネットワークユーザの計算機端末である。一般には、ネットワーク12にはそれぞれ複数の受け手端末13と送り手端末14が接続される。配信ホスト計算機11は、受け手端末13および送り手端末14から受け取る様々な情報に基づいて、どの送り手の広告情報をどの受け手に配信すべきかを決定する。
【0017】図3は、配信ホスト計算機11の構成と、配信ホスト計算機11が受け手端末13、送り手端末14との間で授受する情報とを示している。図3の配信ホスト計算機11は、配信リスト作成部23、広告情報配信部27、課金処理部28、およびレスポンス通知部33を備え、シソーラス表20、商品・サービス分類表21、広告受信要件22、広告送信要件34、受信手段登録表24、配信リスト25、送信広告文26、送付済管理情報29、受け取り制限情報30、確認情報31、および送り手プロフィール32を記憶する。
【0018】配信リスト作成部23と課金処理部28は、配信ホスト計算機11のCPUの機能により実現され、シソーラス表20、商品・サービス分類表21、広告受信要件22、広告送信要件34、受信手段登録表24、配信リスト25、送信広告文26、送付済管理情報29、受け取り制限情報30、確認情報31、および送り手プロフィール32は、配信ホスト計算機11のメモリまたはディスク装置に格納される。また、広告情報配信部27とレスポンス通知部33は、指定された通信形態に応じて実現方法が異なる。通信形態が電子メール等の場合は、これらは配信ホスト計算機11のCPUに対応し、音声メールの場合はCPUと電話端末の組み合わせに対応し、FAXの場合はCPUとFAX端末の組み合わせに対応し、一般郵便の場合はCPUと郵便の組み合わせに対応する。
【0019】次に、図4および図5を参照しながら、図3のような配信ホスト計算機11を有するダイレクトメール配信システムにおける情報配信処理のフローを説明する。
【0020】図4は、受け手端末13の処理を示すフローチャートである。図4において処理が開始されると、受け手端末13は、まず受け手となるユーザが設定した広告受信要件22を配信ホスト計算機11に登録し(ステップS1)、広告受信手段を受信手段登録表24に登録する(ステップS2)。広告受信要件22は、受け手の属性と広告情報に対する受け手の希望条件を表し、広告受信手段は、受け手の希望する配信形態を表す。広告受信要件22の登録の際には、必要に応じてシソーラス表20または商品・サービス分類表21が用いられる。
【0021】指定した広告受信手段がネットワーク12を介した電子メールの場合、送り手の広告情報を広告情報配信部27から受信すると(ステップS3)、受け手はその内容にアクセスし(ステップS4)、受け手端末13はアクセスしたことを電子的に確認する。受け手が広告情報にアクセスしたことは、例えば、電子メールの本文を画面上に表示する操作を行った時に確認される。そして、受け手端末13は、受け手が広告情報にアクセスしたことを示す確認情報31を自動的に生成して、配信ホスト計算機11に返す。また、受け手が広告情報に対するレスポンスの電子メールを作成すると、それをレスポンス通知部33に送り(ステップS5)、処理を終了する。
【0022】指定した広告受信手段が電子メール以外の場合でも、受け手が行う処理は基本的に同様である。ただし、この場合は、確認情報31は必ずしも生成されるとは限らず、レスポンスは必ずしも電子メールで送られるとは限らない。
【0023】図5は、送り手端末14の処理を示すフローチャートである。図5において処理が開始されると、送り手端末14は、まず送り手であるベンダーが作成した送り手プロフィール32と送信広告文26を配信ホスト計算機11に登録する(ステップS11、S12)。送り手プロフィール32は、送り手に関する簡単な説明や取り扱い商品等の概要を表し、送信広告文26は、個々の商品等に関する詳細な説明を含む。これらの広告情報は必ずしも文書データである必要はなく、画像データや音声データを含む場合もある。
【0024】次に、送り手端末14は、送り手が指定した広告送信要件34を配信リスト作成部23に送り(ステップS13)、広告情報配信部27に広告情報の配信を指示する(ステップS14)。広告送信要件34は、広告情報の属性と受け手に対する送り手の希望条件を表すとともに、送り手の広告情報管理台帳の役割も果たす。そして、送り手は、レスポンス通知部33から返信されるレスポンスを確認して(ステップS15)、処理を終了する。レスポンスが電子メールの場合は、送り手端末14上でそれを確認することができる。
【0025】一方、配信ホスト計算機11の配信リスト作成部23は、広告受信要件22と広告送信要件34とを元にして広告情報の配信先を決定し、配信リスト25を作成する。次に、送り手端末14から配信指示を受け取ると、広告情報配信部27は広告送信要件34、受信手段登録表24、配信リスト25、送付済管理情報29、および受け取り制限情報30を参照して、送信広告文26および送り手プロフィール32の配信処理を行う。そして、送信結果を配信リスト25に記録し、配信開始日や送信件数等を広告送信要件34に記録し、配信した広告情報の送り手等に関する情報を課金処理部28とレスポンス通知部33に渡す。レスポンス通知部33は、広告情報を受け手が受信したかどうか、アクセスしたかどうか、レスポンスの状況等を送り手に通知する。
【0026】課金処理部28は、まず広告情報が配信された時にその送り手に対して課金し、確認情報31を受け取るとさらに追加課金する。このように課金処理を広告情報の配信時とアクセス確認時の2段階に分けることにより、広告情報にアクセスした受け手への配信料金を、単に受信しただけの受け手への配信料金よりも高く設定することができる。」(第5頁左欄第14行〜第6頁左欄第25行)

これらの記載によれば、刊行物2には、次の発明(以下、「刊行物2記載発明」という。)が記載されているものと認められる。

配信ホスト計算機11、ネットワークユーザの計算機端末である受け手端末13、および商品やサービス等のベンダーの計算機端末である送り手端末14は、それぞれ通信ネットワーク12に接続され、配信ホスト計算機11は、受け手端末13および送り手端末14から受け取る様々な情報に基づいて、どの送り手の広告情報をどの受け手に配信すべきかを決定するダイレクトメール配信システムであって、
受け手端末13は、まず受け手となるユーザが設定した受け手の属性と広告情報に対する受け手の希望条件を表す広告受信要件22を配信ホスト計算機11に登録し、受け手の希望する配信形態(例えば、電子メール等の場合、音声メールの場合、FAXの場合、一般郵便の場合)を表す広告受信手段を配信ホスト計算機11の受信手段登録表24に登録し、送り手の広告情報を広告情報配信部27から受信すると、受け手が広告情報にアクセスしたことを示す確認情報31を自動的に生成して、配信ホスト計算機11に返し、受け手が広告情報に対するレスポンスの電子メールを作成すると、それをレスポンス通知部33に送り、
送り手端末14は、まず送り手であるベンダーが作成した送り手に関する簡単な説明や取り扱い商品等の概要を表す送り手プロフィール32と個々の商品等に関する詳細な説明を含む送信広告文26を配信ホスト計算機11に登録し、送り手端末14は、送り手が指定した広告情報の属性と受け手に対する送り手の希望条件を表すとともに、送り手の広告情報管理台帳の役割も果たす広告送信要件34を配信リスト作成部23に送り、広告情報配信部27に広告情報の配信を指示し、
配信ホスト計算機11の配信リスト作成部23は、広告受信要件22と広告送信要件34とを元にして広告情報の配信先を決定し、配信リスト25を作成し、送り手端末14から配信指示を受け取ると、広告情報配信部27は広告送信要件34、受信手段登録表24、配信リスト25、送付済管理情報29、および受け取り制限情報30を参照して、送信広告文26および送り手プロフィール32の配信処理を行い、送信結果を配信リスト25に記録し、配信開始日や送信件数等を広告送信要件34に記録し、配信した広告情報の送り手等に関する情報を課金処理部28とレスポンス通知部33に渡し、レスポンス通知部33は、広告情報を受け手が受信したかどうか、アクセスしたかどうか、レスポンスの状況等を送り手に通知し、課金処理部28は、まず広告情報が配信された時にその送り手に対して課金し、確認情報31を受け取るとさらに追加課金するダイレクトメール配信システム。

(3)特開平10-336233号公報(特許異議申立人井原好明が提出した甲第5号証。以下、「刊行物3」という。)
刊行物3には、以下の記載がある。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,さまざまな情報をホストコンピュータに登録し,それらを電話回線を通じて一般のファクシミリ端末から取り出すことができるようにしているファクシミリ情報提供サービスにおいて,インターネット等の電子メールからアクセスすることができ,特定のファクシミリ情報を,特定の電子メールアドレスに送信するように要求をかけることを可能とするファクシミリ情報ボックスアクセス処理方法と,それを実現するためのプログラム記憶媒体に関するものである。」(第3頁左欄第24行〜同欄第34行)

「【0005】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するために、本発明は、ファクシミリ情報ボックスアクセス装置において、個々のファクシミリ情報ごとにボックス番号またはキーワードその他の要求内容とファクシミリの内容とをリンクさせておき、利用者のメールアドレスおよびボックス番号または要求内容を含む電子メールを受信する段階と、受信した電子メールのボックス番号または要求内容から要求に合致したファクシミリ情報を取り込んで利用者宛に送信する電子メールを編集する段階と、編集した電子メールを利用者宛に送信する段階とを有することをもっとも主要な特徴とする。」(第3頁右欄第17行〜同欄28行)

「【0007】
【発明の実施の形態】以下,図面を用いながら本発明の実施の形態を説明する。
〔第1の実施の形態〕図1は本発明の第1の実施の形態のシステム構成図,図2は図1に示すファクシミリ情報ボックスアクセス装置の処理フローチャート,図3はファクシミリ情報ボックスアクセス装置に対する要求電子メールの例を示す図である。
【0008】図中,1は利用者にファクシミリ情報を提供するファクシミリ情報センタ,10は利用者にファクシミリ情報を提供するためにファクシミリ情報にアクセスするファクシミリ情報ボックスアクセス装置,11はCPUおよびメモリなどからなりファクシミリ情報を提供するためのプログラムを実行する情報処理部,12は提供するファクシミリ情報を保管する情報記録部,2はインターネット等の通信ネットワーク,3は利用者が使用するパーソナルコンピュータ等の端末,4はファクシミリ情報を要求する電子メール,5は要求されたファクシミリ情報を含む電子メールを表す。
【0009】利用者は,ファクシミリ情報センタ1からファクシミリ情報を得たいとき,端末3からファクシミリ情報ボックスアクセス装置10のメールアドレスを指定して,ボックス番号またはタイトルやキーワードその他の要求内容を記述した電子メール4を,通信ネットワーク2を介してファクシミリ情報センタ1へ送信する。ファクシミリ情報ボックスアクセス装置10は,この電子メール4を受信する(図2のステップS1)。
【0010】電子メール4を受信した情報処理部11は,ボックス番号や要求内容(要求項目)の指定が正しいかどうかなどのアクセス方法入力チェックを行う。また,アクセス権限やその他の要求条件のチェックが必要であれば,それらのチェックを行う(S2)。正しく入力されていない場合には(S3),利用者へエラーメールを通知し(S9),処理を終了する。
【0011】正しく入力されている場合には(S3),電子メールから利用者が指定したボックス番号または要求内容を抽出し(S4),情報記録部12からボックス番号・要求内容に適合するファクシミリ情報の検索・抽出を行う(S5)。
【0012】次に,情報処理部11は,情報記録部12から抽出したファクシミリ情報を内容とする電子メール5を編集し(S6),利用者から電子メール4で指定されたメールアドレスへ通信ネットワーク2を介して送信する(S7)。電子メール5を正常に送信した場合,処理を終了し(S8),正常に送信できなかった場合には,ステップS9によりエラーメールを利用者宛に送信する。
【0013】利用者がファクシミリ情報ボックスアクセス装置10に対してファクシミリ情報を要求する電子メール4の一例を図3に示す。電子メール4中の「From:」では、電子メール4を送信する利用者のメールアドレスを指定する。特別な指定がない場合には、このメールアドレスにファクシミリ情報ボックスアクセス装置10からファクシミリ情報の電子メール5が送られる。電子メール5の転送先を他に指定することもできる。
【0014】「To:」では、ファクシミリ情報ボックスアクセス装置10のメールアドレスを指定する。ここで、「nnnnnnnn」の部分は指定ファクシミリボックス、次の「box」は機能識別子、続く「eee.fff.ggg.co.jp」はファクシミリ情報ボックスアクセス装置10のサーバドメインを表している。
【0015】次の「LIST:」、「MAIL:」、「FAX:」では、何をどのように送信するかを指定する。これらの一つだけを指定することも、またこれらを複数指定することも可能である。「LIST:」では、「To:」で特定される指定ファクシミリボックス内の情報リストをメールで返信することを要求する。これにより、ファクシミリ情報のタイトル、ボックス番号、情報の概要などの一覧がファクシミリ情報ボックスアクセス装置10から電子メール5で送られる。ファクシミリ情報の数が多い場合には、ファクシミリ情報ボックスアクセス装置10はファクシミリ情報をツリー構造で管理し、ツリー構造の情報リストを返信することもある。
【0016】「MAIL:」では、ファクシミリ情報を要求するボックス番号、キーワード、タイトルなどを一つ以上指定することができる。図3の電子メール4における「DocID:0004」は、「0004」の識別番号が付与されたファクシミリ情報(ドキュメント)の送信を要求する例である。」(第3頁右欄第32行〜第4頁右欄第10行)

これらの記載によれば、刊行物3には、次の発明(以下、「刊行物3記載発明」という。)が記載されているものと認められる。

CPUおよびメモリなどからなりファクシミリ情報を提供するためのプログラムを実行する情報処理部11、提供するファクシミリ情報を保管する情報記録部12を含むファクシミリ情報ボックスアクセス装置10により、インターネット等の電子メールからアクセスすることができ、特定のファクシミリ情報を、特定の電子メールアドレスに送信するように要求をかけることを可能とするファクシミリ情報ボックスアクセス処理方法において、
利用者は、ファクシミリ情報センタ1からファクシミリ情報を得たいとき、端末3からファクシミリ情報ボックスアクセス装置10のメールアドレスを指定して、ボックス番号またはタイトルやキーワードその他の要求内容を記述した電子メール4を、通信ネットワーク2を介してファクシミリ情報センタ1へ送信し、ファクシミリ情報ボックスアクセス装置10は、この電子メール4を受信し、
電子メール4を受信した情報処理部11は、ボックス番号や要求内容(要求項目)の指定が正しいかどうかなどのアクセス方法入力チェックや,アクセス権限やその他の要求条件のチェックを行い、電子メールから利用者が指定したボックス番号または要求内容を抽出し、情報記録部12からボックス番号・要求内容に適合するファクシミリ情報の検索・抽出を行い、
情報処理部11は、情報記録部12から抽出したファクシミリ情報を内容とする電子メール5を編集し、利用者から電子メール4で指定されたメールアドレスへ通信ネットワーク2を介して送信し、
利用者がファクシミリ情報ボックスアクセス装置10に対してファクシミリ情報を要求する電子メール4中の「From:」では、電子メール4を送信する利用者のメールアドレスを指定し、特別な指定がない場合には、このメールアドレスにファクシミリ情報ボックスアクセス装置10からファクシミリ情報の電子メール5が送られるが、電子メール5の転送先を他に指定することもでき、
その電子メール4中の「To:」では、ファクシミリ情報ボックスアクセス装置10のメールアドレスを指定し、
その電子メール4中の「MAIL:」では、ファクシミリ情報を要求するボックス番号、キーワード、タイトルなど(例えば、「0004」の識別番号が付与されたファクシミリ情報(ドキュメント)の送信を要求する「DocID:0004」)を一つ以上指定することができるファクシミリ情報ボックスアクセス処理方法。

(4)特開2000-270008号公報(特許異議申立人井原好明が提出した甲第3号証。以下、「刊行物4」という。)
刊行物4には、以下の記載がある。

「【0199】ステップS71の判別で、データ圧縮・変換処理を行う必要がない場合は、データ圧縮変換形式が指定されているか否かが調べられる(ステップS74)。上述した「受信者のメールアドレスその他のメールに必要な情報」には、メール受信者のマシン環境すなわち受信側PC17a〜cのOS、対応可能な圧縮・変換ファイル形式等が予め判っている場合には、受信側に合わせたデータ圧縮・変換形式の指定が含まれる。
【0200】図8は、送信側PC11において、受信者を簡単に指定するためのアドレス帳の登録形式の一例を示す図である。同図に示すように、このアドレス帳には、受信者の名前、メールアドレスだけでなく、受信者のマシン環境も登録することができる。したがって、アドレス帳にマシン環境も登録されている受信者に対しては、送信者が受信者を指定するだけで、自動的にデータ圧縮・変換形式も指定される。」(第20頁右欄第22行〜同欄第37行)

これらの記載によれば、刊行物4には、次の発明(以下、「刊行物4記載発明」という。)が記載されているものと認められる。

受信者の名前、メールアドレスだけでなく、メール受信者のマシン環境すなわち受信側PC17a〜cのOS、対応可能な圧縮・変換ファイル形式等も登録するアドレス帳。

(5)特開平11-272582号公報(特許異議申立人井原好明が提出した甲第4号証。以下、「刊行物5」という。)
刊行物5には、以下の記載がある。

「【0036】メール取得制限機能13は、メールサーバ3に接続されている複数種類の小型携帯端末5について、それぞれの識別情報(例えば機種を表す情報やソフトウェアバージョンを表す情報)と受信可能なメールサイズの情報とを対応づけて記憶したテーブルを有している。メール取得制限機能13は、このテーブルを参照することにより、メールサーバ2からの特定のユーザー宛の電子メールを受信する小型携帯端末5で受信可能なメールサイズ(例えば一定時間内に受信可能なメールサイズ)の情報を取得する。そして、メールサーバ2からの電子メールが、この受信可能なメールサイズを超えるか否かを判断する。」(第6頁右欄第11行〜同欄第22行)

「【0043】以上が、メール取得制限機能13による動作の一例である。以上のメール取得制限機能13による動作例では、メール取得制限機能13が、メールサーバ3に接続されている複数の小型携帯端末5についてそれぞれの識別情報と受信可能なメールサイズや表示可能なファイル形式の情報とを対応づけて記憶したテーブルを参照することにより、電子メールが小型携帯端末5で受信可能なメールサイズを超えるか否かや、電子メールの添付ファイルが小型携帯端末5で表示可能なファイル形式とは異なるか否かを判断している。そして、そのようにすることにより、テーブルにこうした情報を記憶された複数種類の小型携帯端末5のうちのどの小型携帯端末5で受信すべき電子メールであるかに応じて、電子メールの取得を制限する条件(サイズのしきい値等)を可変にすることができるので、これら複数種類の小型携帯端末5に、それぞれの能力に応じた電子メールを受信させることができるようになっている。」(第7頁左欄第33行〜同欄第49行)

これらの記載から、この刊行物5には、次の発明(以下、「刊行物5記載発明」という。)が記載されているものと認められる。

メールサーバ3に接続されている複数の端末についてそれぞれの識別情報(例えば機種を表す情報やソフトウェアバージョンを表す情報)と受信可能なメールサイズ(例えば一定時間内に受信可能なメールサイズ)や表示可能なファイル形式の情報とを対応づけて記憶したテーブルを参照することにより、どの端末で受信すべき電子メールであるかに応じて、電子メールの取得を制限する条件(サイズのしきい値等)を可変にすることができるメールサーバ。

(6)特開平10-307772号公報(特許異議申立人井原好明が提出した甲第6号証。以下、「刊行物6」という。)
刊行物6には、以下の記載がある。

「【0012】本発明のダイレクトメール通信管理方法は、電子メールを用いたダイレクトメール通信管理装置によるダイレクトメール通信の管理方法であって、ダイレクトメール発信者からあらかじめ送信された、発信を希望するダイレクトメールと該ダイレクトメールの属性とを含むダイレクトメールデータを登録し、ダイレクトメールの受信を希望するユーザからあらかじめ送信された、該ユーザの属性を含む所定のユーザ情報を登録しておく。ダイレクトメール発信者からダイレクトメール発信のコマンドが送信されると、ダイレクトメール発信のコマンドの内容を解析し、コマンドで指定されたダイレクトメールと指定された属性のユーザデータとを検索し、検索されたダイレクトメールを、検索されたユーザデータのユーザに電子メールとして送信する。
【0013】さらに、ダイレクトメールが送信されたユーザのユーザデータから所定の属性データを記憶し、記憶された属性データを処理して統計データを作成し、作成された統計データをダイレクトメール発信者に送信することが好ましい。
【0014】ある分野のDMをユーザーに電子メールで発信したいDM発信者は希望する分野を指定したDM発信のコマンドを発行するだけで、当該DMの対象とする分野に対応するユーザや受信を希望するユーザに対してDMが送信されるため、DM発信者はユーザ情報を独自に入手することなく効率的にDMの発信が可能になる。また、DM発信者はDMを受け取ったユーザに関する統計的な情報を入手することができる。ユーザはユーザ登録部に希望するDMの分野を登録することにより不必要なDMを受け取ることがなくなる。」(第3頁右欄第38行〜第4頁左欄第16行)

これらの記載から、この刊行物6には、次の発明(以下、「刊行物6記載発明」という。)が記載されているものと認められる。

電子メールを用いたダイレクトメール通信管理装置によるダイレクトメール通信管理方法であって、
ダイレクトメール発信者からあらかじめ送信された、発信を希望するダイレクトメールと該ダイレクトメールの属性とを含むダイレクトメールデータを登録し、ダイレクトメールの受信を希望するユーザからあらかじめ送信された、該ユーザの属性を含む所定のユーザ情報を登録しておき、ダイレクトメール発信者からダイレクトメール発信のコマンドが送信されると、ダイレクトメール発信のコマンドの内容を解析し、コマンドで指定されたダイレクトメールと指定された属性のユーザデータとを検索し、検索されたダイレクトメールを、検索されたユーザデータのユーザに電子メールとして送信し、ダイレクトメールが送信されたユーザのユーザデータから所定の属性データを記憶し、記憶された属性データを処理して統計データを作成し、作成された統計データをダイレクトメール発信者に送信することにより、
ある分野のDMをユーザーに電子メールで発信したいDM発信者は希望する分野を指定したDM発信のコマンドを発行するだけで、当該DMの対象とする分野に対応するユーザや受信を希望するユーザに対してDMが送信されるため、DM発信者はユーザ情報を独自に入手することなく効率的にDMの発信が可能になり、DM発信者はDMを受け取ったユーザに関する統計的な情報を入手することができるダイレクトメール通信管理方法。

(7)特許第2756483号公報(特許異議申立人井原好明が提出した甲第1号証。以下、「刊行物7」という。)
刊行物7には以下の記載がある。

「【請求項1】コンピュータシステムにより広告情報の供給を行なう広告情報の供給方法において、
広告依頼者に対しては、
広告情報の入力を促す一方、予め記憶された地図情報に基づいて地図を表示して、当該地図上において広告対象物の位置指定を促す段階と、
前記地図上において位置指定された広告対象物の座標を、入力された広告情報と関連づけて逐一記憶する段階とを備える一方、
広告受給者に対しては、前記地図情報に基づく地図を表示するとともに、当該地図上の地点であって、記憶された広告対象物の座標に相当する地点に、図像化した当該広告対象物を表示して、所望する広告対象物の選択を促す段階と、
選択された広告対象物に関連づけられた広告情報を読み出す段階と、
読み出された広告情報を、前記広告受給者に対して出力する段階とを備えることを特徴とする広告情報の供給方法。」(第1頁左下欄第2行〜同頁右下欄第5行)

「【0010】1:全体構成
以下、本発明における一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の構成を示すブロック図である。この図において、符号10はサーバであり、経路制御装置、電話回線を経由してインターネットNETに接続されている。符号101、102、…は各種の端末であり、サーバ10と同様にしてインターネットNETに接続される。ここで、端末101、102、…は、それぞれCRTやLCD等の表示部とともに、キーボード、マウス等の入力部を有する。
【0011】1-1:サーバの構成
次に、サーバ10の詳細構成について説明する。図2は、サーバ10の構成を示すブロック図である。この図において、符号11は制御手段であり、CPU等から構成され、各部の制御や、データの転送、種々の演算、データの一時的な格納等を行なう。符号12は入力制御手段であり、インターネットNETを介して接続された端末から入力されるデータを制御する。符号13は出力制御手段であり、端末に出力されるデータを制御する。符号14〜17はいずれも記憶手段であり、それぞれ以下のファイルが格納、記憶されている。
【0012】まず、記憶手段14には、メインプログラムが記憶されている。かかるメインプログラムは、制御手段11において用いられるものであり、例えば、端末の表示部に案内画面を表示させるプログラムや、地図上に所望とする業種の店舗のみを表示させる仮装マーケット用プログラム、文字検索により必要な情報を得るための検索用プログラム等から構成される。他に、この記憶手段14には、端末101、102、…から送信されてきた広告に関する感想等の情報が一時的に格納される。なお、これらの動作については、いずれも後述する。次に、記憶手段15には、地図ファイルが記憶されている。本実施形態における地図ファイルは、3層の階層構造であって、上層は日本地図であり、中層は都道府県別の地図であり、下層は区分(例えば、市町村単位、繁華街単位)地図である。なお、各層の地図は、いずれもビットマップ形式である。記憶手段16には、キャラクタファイルが記憶されている。かかるキャラクタファイルは、表示用文字データや、アイコンのビットマップデータ等から構成されており、後述する動作の際に参照されるようになっている。なお、アイコンのビットマップデータは、それぞれ業種毎に異なって記憶されている。そして、記憶手段17には、顧客ファイルが記憶されている。かかる顧客ファイルは、店登録番号毎に作成されるものであり、1つの店登録番号に対応する顧客ファイルは、登録者ID、パスワード、店舗情報、(x,y)情報等のように店舗固有の情報から構成される。このうち、店舗情報は、さらに店名や、電話番号、ファックス番号、(最寄り駅から店舗までの)行程、店舗の業種を示す業種情報、(他の情報と結びつける場合に、参照すべきネットワーク上の情報の行先を示す)リンク情報、(広告の内容を示す)広告メッセージ等のように、広告対象の店舗に関する種々の情報から構成される。本願の広告情報とは、狭義では広告メッセージを指すが、広義には、店舗情報よりも上位であって、顧客ファイル作成に必要な情報のすべてを指す。なお、店登録番号は、端末からの登録があった場合に、制御手段11により自動的に付与されるものである。また、(x,y)情報とは、店舗の位置が、ビットマップ形式の地図ファイルにおいてどの地点(座標)であるかを示す情報である。
【0013】2:動作説明
次に、本実施形態の動作について説明する。ここで、端末101、102、…は、それぞれサーバ10と接続されて通信を行ない、いずれも広告依頼者の端末としても、広告受給者の端末としても機能するが、説明便宜上、サーバ10には端末101が接続されたとして、以下説明を行なう。サーバ10に端末101が接続されると、制御手段11は、この接続を入力制御手段12を介して検知し、メインプログラムにしたがって端末101を制御する。図3および図4は、かかるメインプログラムの動作を示すフローチャートである。」(第4頁左欄第17行〜同頁右欄第37行)

「【0027】2-2:広告の受給
次に、顧客ファイルに基づいて、いかにして広告が行なわれるかについて説明する。この場合も、登録時と同様に、説明の便宜上、サーバ10には端末101が接続されたとして説明を行なう。なお、サーバ10に端末101が接続されてから、図3に示したステップSa1の処理(メインメニュー画面の表示)までの過程は、登録時と同様であるので、かかる過程の説明については省略する。さて、本実施形態における広告の受給は、広告受給者たる端末操作者に対して「地図」、「仮想マーケット」、「検索」の3機能により行なうことを想定している。このうち「地図」は、主に地域的な面から店舗を検索し、また、「仮想マーケット」は、主に業種の面から店舗を検索し、「検索」は、顧客ファイルの文字列を検索して、それぞれ該当する店舗の情報を供給して、広告を行なうものである。」(第7頁左欄第3行〜同欄第18行)

これらの記載から、この刊行物7には、次の発明(以下、「刊行物7記載発明」という。)が記載されているものと認められる。

サーバ10が、経路制御装置、電話回線を経由してインターネットNETに接続されて、それぞれCRTやLCD等の表示部とともに、キーボード、マウス等の入力部を有し、それぞれサーバ10と接続されて通信を行ない、いずれも広告依頼者の端末としても、広告受給者の端末としても機能する端末101、102、…が、サーバ10と同様にしてインターネットNETに接続されているコンピュータシステムにより、広告情報の供給を行なう広告情報の供給方法において、
広告依頼者に対しては、広告情報の入力を促し広告対象物を入力された広告情報と関連づけて逐一記憶する段階とを備える一方、
広告受給者に対しては、所望する広告対象物の選択を促す段階と、選択された広告対象物に関連づけられた広告情報を読み出す段階と、読み出された広告情報を、前記広告受給者に対して出力する段階とを備え、
サーバ10には、顧客ファイルが記憶され、
顧客ファイルは、店登録番号毎に作成されるものであり、1つの店登録番号に対応する顧客ファイルは、登録者ID、パスワード、店舗情報、(x,y)情報等のように店舗固有の情報から構成され、
店舗情報は、さらに店名や、電話番号、ファックス番号、(最寄り駅から店舗までの)行程、店舗の業種を示す業種情報、(他の情報と結びつける場合に、参照すべきネットワーク上の情報の行先を示す)リンク情報、(広告の内容を示す)広告メッセージ等のように、広告対象の店舗に関する種々の情報から構成され、
店登録番号は、広告依頼者の端末からの登録があった場合に、自動的に付与され、
広告受給者たる端末操作者に対して主に地域的な面から店舗を検索する「地図」、主に業種の面から店舗を検索する「仮想マーケット」、顧客ファイルの文字列を検索する「検索」の3機能により、それぞれ該当する店舗の情報を供給して、広告を行なう広告情報の供給方法。

(8)本件発明3と刊行物1記載発明との対比・判断
刊行物1記載発明の「通信部204」、「制御部201」、「Pコードデータベース205」、「IP情報」、「Pコード」、「ジャンル」、「Pサービスサーバ200」は、それぞれ、本件発明3における「通信手段」、「制御手段」、「記憶手段」、「所定情報」、「文字列からなる所定コード」、「カテゴリ」、「サーバ」に相当する。
また、刊行物1記載発明において、利用者は、興味のある情報に添えられているPコードを、Pサービス端末100より入力することにより、これに対応する情報のプリントを得ることができるから、刊行物1記載発明の「Pサービス端末100」は、本件発明3の「ユーザ端末装置」に対応し、また、IP情報を提供する情報提供者は、情報提供者が所有等する図示しない端末(以下、情報提供者端末という。)から、Webを介してPサービスサーバ200又はIPサーバ300にアクセスすることによりIP情報の内容等をPサービスサーバ200又はIPサーバ300に対して登録しているから、刊行物1記載発明の「情報提供者が所有等する図示しない端末」は、本件発明3の「クライアント端末装置」に対応するものと認められる。
さらに、刊行物1記載発明において、Pサービスサーバ200の制御部201は、制御プログラムに従ってPサービスサーバ200における各種サービスを実現し、利用者は、興味のある情報に添えられているPコードを、Pサービス端末100より入力することにより、これに対応する情報のプリントを得ることができるから、刊行物1記載発明の「制御部201」と本件発明3の「制御手段」とは、いずれも通信手段が前記ユーザ端末装置より送信された前記所定コードを抽出し、当該所定コードに対応する所定情報を前記記憶手段の前記第1のテーブルより読み出し、当該所定情報を、前記通信手段より前記ユーザ端末装置に返信するように制御する点で一致することは明らかである。
したがって、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。

(一致点)
「ネットワークを通して、クライアント端末装置、ユーザ端末装置と通信自在なサーバであって、
前記クライアント端末装置、ユーザ端末装置との間で通信を行う通信手段と、
前記通信手段が前記クライアント端末装置より送信された所定情報を受信したときには、当該所定情報を受け付けた段階で、当該所定情報に対して文字列からなる所定コードを付するように制御する制御手段と、
少なくとも前記所定コードと前記所定情報、当該所定情報のカテゴリを関係付けた第1のテーブルを記憶する記憶手段と、
を具備し、
前記制御手段は、前記通信手段が前記ユーザ端末装置より送信された前記所定コードを抽出し、当該所定コードに対応する所定情報を前記記憶手段の前記第1のテーブルより読み出し、当該所定情報を、前記通信手段より前記ユーザ端末装置に返信するように制御するサーバ。」である点。

(相違点1)
記憶手段が、本件発明3では、
ユーザIDと請求者アドレス、前記所定コードを関係付けた第2のテーブルを記憶しているのに対して、
刊行物1では、そのようなテーブルを記憶していない点。

(相違点2)
制御手段が、本件発明3では、
前記通信手段が前記ユーザ端末装置より送信された電子メールを受信したときには、この電子メールの件名に相当する情報として当該電子メールに含まれている前記所定コードを抽出し、当該所定コードに対応する所定情報を前記記憶手段の前記第1のテーブルより読み出し、当該所定情報を、電子メールにより、前記通信手段より前記ユーザ端末装置に返信するように制御し、
前記カテゴリに対応する前記所定コードを前記記憶手段の前記第1のテーブルより取得し、更に当該所定コードに対応するユーザID及び請求者アドレスを前記記憶手段の前記第2のテーブルより取得し、当該請求者アドレスにダイレクトメールを送信するよう制御するのに対して、
刊行物1では、
利用者は、興味のある情報に添えられているPコードを、Pサービス端末100より入力することにより、これに対応する情報のプリントを得ることができるが、本件発明3のように、ユーザ端末装置より送信された電子メールを受信したときには、この電子メールの件名に相当する情報として当該電子メールに含まれている前記所定コードを抽出し、当該所定コードに対応する所定情報を、電子メールにより、前記通信手段より前記ユーザ端末装置に返信していないし、第1のテーブルより取得したカテゴリに対応する所定コードに対応するユーザID及び請求者アドレスを第2のテーブルより取得し、当該請求者アドレスにダイレクトメールを送信するよう制御していない点。

上記相違点について、以下に検討する。

(相違点1)について
刊行物2記載発明(配信ホスト計算機11は、送信広告文26および送り手プロフィール32の配信処理を行い、送信結果を配信リスト25に記録し、配信開始日や送信件数等を、送り手が指定した広告情報の属性と受け手に対する送り手の希望条件を表すとともに、送り手の広告情報管理台帳の役割も果たす広告送信要件34に記録するもの)や刊行物6記載発明(ダイレクトメールが送信されたユーザのユーザデータから所定の属性データを記憶し、記憶された属性データを処理して統計データを作成しているもの)のように、ユーザIDと請求者アドレス、前記所定コードを関係付けたものを記憶することは、周知であるから、刊行物1記載発明の「Pコードデータベース205」(本件発明3の「記憶手段」に相当)が、本件発明3のようにユーザIDと請求者アドレス、前記所定コードを関係付けた第2のテーブルも記憶するようにすることは、当業者が容易になし得ることである。

(相違点2)について
刊行物2記載発明のような、配信ホスト計算機11は、広告送信要件34、受信手段登録表24、配信リスト25、送付済管理情報29、および受け取り制限情報30を参照して、送信広告文26および送り手プロフィール32の配信処理を行い、送信結果を配信リスト25に記録し、配信開始日や送信件数等を広告送信要件34に記録するダイレクトメール配信システム、
刊行物3記載発明のような、利用者がファクシミリ情報ボックスアクセス装置10に対してファクシミリ情報を要求する電子メール4中の「MAIL:」では、ファクシミリ情報を要求するボックス番号、キーワード、タイトルなど(例えば、「0004」の識別番号が付与されたファクシミリ情報(ドキュメント)の送信を要求する「DocID:0004」)を一つ以上指定することができるファクシミリ情報ボックスアクセス処理方法、
刊行物7記載発明のような、広告受給者たる端末操作者に対して主に地域的な面から店舗を検索する「地図」、主に業種の面から店舗を検索する「仮想マーケット」、顧客ファイルの文字列を検索する「検索」の3機能により、それぞれ該当する店舗の情報を供給して、広告を行なう広告情報の供給方法は、公知である。
しかし、本件発明3のように、ユーザ端末装置より送信された電子メールを受信したときには、この電子メールの件名に相当する情報として当該電子メールに含まれている前記所定コードを抽出し、当該所定コードに対応する所定情報を、電子メールにより、前記ユーザ端末装置に返信し、第1のテーブルより取得したカテゴリに対応する所定コードに対応するユーザID及び請求者アドレスを第2のテーブルより取得し、当該請求者アドレスにダイレクトメールを送信するよう制御する点についての記載や示唆はない。
また、本件発明3は、このような制御により、ユーザが、ユーザ端末装置(電子メールを送受信可能な機能を有する装置)で簡易な操作をするだけで、所望とする広告等に係る情報を、電子メールにより、保存、編集、整理する上で好適な形式で、迅速に入手可能とし、さらに、所定の嗜好を持つユーザのメールアドレスを収集可能とし、ダイレクトメールを当該ユーザに自動的に送信可能とする効果という、顕著な効果を有する。
さらに、このような点について示唆する技術常識や周知技術もないから、本件発明3は、刊行物1ないし7及び技術常識や周知技術に基づき、当業者が容易になし得るものとは認められない。

(9)まとめ
したがって、本件発明3の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものとすることはできない。

3-3.当審において通知した特許の取消しの理由2(特許法第36条第6項第2号)
当審の特許の取消しの理由において、本件請求項3、8について次のような趣旨の特許法第36条第6項第2号違反を指摘した。

(1)本件請求項3について
(1-1)本件請求項3の「少なくとも、前記所定コードと前記所定情報とを関係付けて、更には前記所定コードと前記所定情報、当該所定情報のカテゴリを関係付けて、更には、ユーザIDと請求者アドレス、所定コードを関係付けて、記憶する記憶手段」という記載において、「更には」の意味がどのような技術的意味を有するのか明確でない。

(1-2)本件請求項3の「前記カテゴリに対応する所定コードを前記記憶手段より取得し、更に当該所定コードに対応するユーザID及び請求者アドレスを前記記憶手段より取得し、当該請求者アドレスにダイレクトメールを送信するよう制御する前記カテゴリに対応する所定コードを前記記憶手段より取得し、更に当該所定コードに対応するユーザID及び請求者アドレスを前記記憶手段より取得し、当該請求者アドレスにダイレクトメールを送信するよう制御する」という記載において、「当該所定コード」が記憶手段から取得したカテゴリに対応する所定コードか、電子メールに含まれている所定コードなのか、メールによる情報取得制御の機能とダイレクトメールを送信する制御の機能を’共に’で結んだ記載が、2つの機能を同時に行う意味か、2つの機能を有するサーバの意味か、明確でない。

(1-3)本件請求項3の「カテゴリに対応する所定コード」という記載は、何を意味し、ダイレクトメール送信先となる請求者アドレスをどのように取得するのか、明確でない。

(2)本件請求項8について
本件請求項8は、本件請求項3と同様の記載不備を有する。

しかし、本件訂正により、本件請求項3、8は、サーバがクライアント端末装置より送信された所定情報を受信したときに当該所定情報に対して付された所定コードと前記所定情報、当該所定情報のカテゴリを関係付けた第1のテーブルと、ユーザIDと請求者アドレス、前記所定コードを関係付けた第2のテーブルとを記憶手段に記憶し、請求者アドレスにダイレクトメールを送信する場合、前記カテゴリに対応する前記所定コードを、記憶手段の第1のテーブルから取得し、更に当該所定コードに対応するユーザID及び請求者アドレスを記憶手段の第2のテーブルより取得し、当該請求者アドレスにダイレクトメールを送信するよう制御することが明確になった。
したがって、本件発明3、8の特許は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してなされたものとすることはできない。

3-4.その他の特許異議申立人の主張について

特許異議申立人井原好明は、当審において通知した特許の取消しの理由のほかに、本件発明1、2、4ないし12について、本件出願前に頒布された甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができ進歩性がない旨、及び本件請求項6、11の「前記所定情報に対して付した所定コードを含む所定コード通知ページのHTMLソース及び所定コード通知ページの内容を含む電子メール」という記載について、「所定コード通知ページの内容を含む電子メール」と「所定コード通知ページのHTMLソース」とがどう異なるのか不明である結果、発明が不明確となっているので、特許法第36条第6項第2号に違反する旨主張している。

(1)本件発明1の進歩性について
刊行物1記載発明の「通信部204」、「制御部201」、「Pコードデータベース205」、「IP情報」、「Pコード」、「ジャンル」、「Pサービスサーバ200」は、それぞれ、本件発明1における「通信手段」、「制御手段」、「記憶手段」、「所定情報」、「文字列からなる所定コード」、「カテゴリ」、「サーバ」に相当する。
また、刊行物1記載発明において、利用者は、興味のある情報に添えられているPコードを、Pサービス端末100より入力することにより、これに対応する情報のプリントを得ることができるから、刊行物1記載発明の「Pサービス端末100」は、本件発明1の「ユーザ端末装置」に対応し、また、IP情報を提供する情報提供者は、情報提供者が所有等する図示しない端末(以下、情報提供者端末という。)から、Webを介してPサービスサーバ200又はIPサーバ300にアクセスすることによりIP情報の内容等をPサービスサーバ200又はIPサーバ300に対して登録しているから、刊行物1記載発明の「情報提供者が所有等する図示しない端末」は、本件発明1の「クライアント端末装置」に対応するものと認められる。
さらに、刊行物1記載発明において、Pサービスサーバ200の制御部201は、制御プログラムに従ってPサービスサーバ200における各種サービスを実現し、利用者は、興味のある情報に添えられているPコードを、Pサービス端末100より入力することにより、これに対応する情報のプリントを得ることができるから、刊行物1記載発明の「制御部201」と本件発明1の「制御手段」とは、いずれも通信手段が前記ユーザ端末装置より送信された前記所定コードを抽出し、当該所定コードに対応する所定情報を前記記憶手段より読み出し、当該所定情報を、前記通信手段より前記アドレスに返信するよう制御する点で一致することは明らかである。
したがって、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。

(一致点)
「ネットワークを通して、クライアント端末装置、ユーザ端末装置と通信自在なサーバであって、
前記クライアント端末装置、ユーザ端末装置との間で通信を行う通信手段と、
前記通信手段が前記クライアント端末装置より送信された所定情報を受信したときには、当該所定情報を受け付けた段階で、当該所定情報に対して文字列からなる所定コードを付するように制御する制御手段と、
少なくとも、前記所定コードと前記所定情報とを関係付けて、更にはユーザIDとアドレスを記憶する記憶手段と、
を具備し、
前記制御手段は、前記通信手段が前記ユーザ端末装置より送信された前記所定コードを抽出し、当該所定コードに対応する所定情報を前記記憶手段より読み出し、当該所定情報を、前記通信手段より前記アドレスに返信するよう制御するサーバ。」である点。

(相違点1)
記憶手段が、本件発明1では、ユーザIDとアドレス、アドレスに関する受信条件を関係付けて、記憶するのに対して、
刊行物発明1では、ユーザ情報としてアドレスを管理しているものではあるが、アドレスに関する受信条件は記憶していない点、

(相違点2)
制御手段が、本件発明1では、
通信手段が前記ユーザ端末装置より送信された電子メールを受信したときには、この電子メールの件名に相当する情報として当該電子メールに含まれている前記所定コードを抽出し、当該所定コードに対応する所定情報を前記記憶手段より読み出し、当該所定情報を、電子メールにより、前記通信手段より前記アドレスに返信するよう制御するのに対して、
刊行物発明1では、
所定コードに対応する所定情報を記憶手段より読み出し返信するよう制御しているが、所定情報や所定コードの送信に電子メールを用いていない点、

上記相違点について検討する。

(相違点1)について
刊行物2記載発明(受け手端末13は、受け手の希望する配信形態(例えば、電子メール等の場合、音声メールの場合、FAXの場合、一般郵便の場合)を表す広告受信手段を配信ホスト計算機11の受信手段登録表24に登録するもの)、刊行物4記載発明(受信者の名前、メールアドレスだけでなく、メール受信者のマシン環境すなわち受信側PC17a〜cのOS、対応可能な圧縮・変換ファイル形式等も登録するアドレス帳)、刊行物5記載発明(メールサーバ3に接続されている複数の端末についてそれぞれの識別情報(例えば機種を表す情報やソフトウェアバージョンを表す情報)と受信可能なメールサイズ(例えば一定時間内に受信可能なメールサイズ)や表示可能なファイル形式の情報とを対応づけて記憶したテーブル)のように、ユーザIDとアドレス、アドレスに関する受信条件を関係付けて、記憶することは周知であるから、刊行物1記載発明の「Pコードデータベース205」(本件発明1の「記憶手段」に相当)が、本件発明1のように、ユーザIDとアドレス、アドレスに関する受信条件を関係付けて、記憶するにすることは、当業者が容易になし得ることである。

(相違点2)について
刊行物3記載発明のような、利用者がファクシミリ情報ボックスアクセス装置10に対してファクシミリ情報を要求する電子メール4中の「MAIL:」では、ファクシミリ情報を要求するボックス番号、キーワード、タイトルなど(例えば、「0004」の識別番号が付与されたファクシミリ情報(ドキュメント)の送信を要求する「DocID:0004」)を一つ以上指定することができるファクシミリ情報ボックスアクセス処理方法、
刊行物7記載発明のような、広告受給者たる端末操作者に対して主に地域的な面から店舗を検索する「地図」、主に業種の面から店舗を検索する「仮想マーケット」、顧客ファイルの文字列を検索する「検索」の3機能により、それぞれ該当する店舗の情報を供給して、広告を行なう広告情報の供給方法は、公知である。
しかし、本件発明1のように、ユーザ端末装置より送信された電子メールを受信したときには、この電子メールの件名に相当する情報として当該電子メールに含まれている前記所定コードを抽出し、当該所定コードに対応する所定情報を前記記憶手段より読み出し、当該所定情報を、電子メールにより、返信するよう制御する点についての記載や示唆はない。
また、本件発明1は、このような制御により、ユーザが、ユーザ端末装置(電子メールを送受信可能な機能を有する装置)で簡易な操作をするだけで、所望とする広告等に係る情報を、電子メールにより、保存、編集、整理する上で好適な形式で、迅速に入手可能とするという顕著な効果を有する。
さらに、このような制御について示唆する技術常識や周知技術もない。
したがって、本件発明1の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものとすることはできない。

(2)本件発明2の進歩性について
本件発明2は、本件発明1において、アドレスを「複数」とする点、受信条件には、「前記複数のアドレスの各アドレス毎のファイル形式、添付ファイルの不可/可、文字数の最大値、添付ファイルサイズの最大値、ダイレクトメールの許可/拒否に関する設定情報が含まれ」るとした点について、本件発明1を更に限定したものであるから、本件発明1と同様の理由により、当業者が容易になし得るものとは認められない。
したがって、本件発明2の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものとすることはできない。

(3)本件発明4ないし8の進歩性について
本件発明4は、本件発明1のサーバの動作を方法で表現したものであるから、本件発明1と同様の理由により、当業者が容易になし得るものとは認められない。
また、本件発明5〜8に係る発明は、本件発明4を更に限定したものであるから、本件発明4と同様の理由により、当業者が容易になし得るものとは認められない。
したがって、本件発明4ないし8の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものとすることはできない。

(4)本件発明9ないし12の進歩性について
本件発明9は、本件発明4におけるサーバの制御手段の動作をプログラムで表現したものであるから、本件発明4と同様の理由により、当業者が容易になし得るものとは認められない。
また、本件発明10ないし12に係る発明は、本件発明9を更に限定したものであるから、本件発明9と同様の理由により、当業者が容易になし得るものとは認められない。
したがって、本件発明9ないし12の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものとすることはできない。

(5)本件請求項6、11についての特許法第36条第6項第2号違反について
本件特許明細書には、「s-memoコード通知ページ」(本件発明6、11の「所定コード通知ページ」に相当)について、次のように記載されている。

【0047】続いて、サーバ1は、伝送制御部21、ネットワーク5を介して、s-memoコード通知ページのHTMLソースを、クライアント端末装置2の伝送制御部11に送信する(ステップS9)。すると、クライアント端末装置2は、伝送制御部11が受信したHTMLソースを制御部10が解析し、表示部12にs-memoコード通知ページを表示する(ステップS10)。
【0048】このs-memoコード通知ページは、図8に示される通りである。
【0049】即ち、このs-memoコード通知ページには、s-memoテーブル23に登録された「本文」、「カテゴリ」、「添付ファイル一覧」、「ファイル形式」、そして自動的に付された「s-memoコード」が表示される。
【0050】従って、クライアントは、このページを見ることで、自己が所望とする広告等の情報が、正確にサーバ1側に登録され、情報提供支援サービスを受け得る状態になったことを確認することできる。つまり、この後、s-memoコードを自己の広告等に印刷併記することで、ユーザの利用に供することができる。
【0051】尚、s-memoコード通知ページの内容は、電子メールでもサーバ1からクライアント端末装置2側に送信される(ステップS11)。これは、クライアント側の当該情報の保存、整理の便宜を図るものである。

これらの記載によると、「所定コード通知ページ」の内容については、サーバがHTMLソースをクライアント端末装置2に送信するだけでなく、クライアント側の当該情報の保存、整理の便宜を図るため、電子メールでもクライアント端末装置2側に送信される旨説明されており、本件請求項6、11の「前記所定情報に対して付した所定コードを含む所定コード通知ページのHTMLソース及び所定コード通知ページの内容を含む電子メール」は、「所定コード通知ページ」という同じ内容を送信する二つの手段であるHTMLソース及びその内容を含む電子メールであることは明確である。

したがって、本件発明6、11の特許は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してなされたものとすることはできない。

4.まとめ
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては本件請求項1ないし12に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし12に係る特許を取り消すべき理由も発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
サーバ、情報提供支援方法、プログラム
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】ネットワークを通して、クライアント端末装置、ユーザ端末装置と通信自在なサーバであって、
前記クライアント端末装置、ユーザ端末装置との間で通信を行う通信手段と、前記通信手段が前記クライアント端末装置より送信された所定情報を受信したときには、当該所定情報を受け付けた段階で、当該所定情報に対して文字列からなる所定コードを付するように制御する制御手段と、
少なくとも、前記所定コードと前記所定情報とを関係付けて、更にはユーザIDとアドレス、アドレスに関する受信条件を関係付けて、記憶する記憶手段と、を具備し、
前記制御手段は、前記通信手段が前記ユーザ端末装置より送信された電子メールを受信したときには、この電子メールの件名に相当する情報として当該電子メールに含まれている前記所定コードを抽出し、当該所定コードに対応する所定情報を前記記憶手段より読み出し、当該所定情報を、電子メールにより、前記通信手段より前記アドレスに返信するよう制御する、
ことを特徴とするサーバ。
【請求項2】ネットワークを通して、クライアント端末装置、ユーザ端末装置と通信自在なサーバであって、
前記クライアント端末装置、ユーザ端末装置との間で通信を行う通信手段と、
前記通信手段が前記クライアント端末装置より送信された所定情報を受信したときには、当該所定情報を受け付けた段階で、当該所定情報に対して文字列からなる所定コードを付するように制御する制御手段と、
少なくとも、前記所定コードと前記所定情報とを関係付けて、更にはユーザIDと複数のアドレス、各アドレスに関する受信条件を関係付けて、記憶する記憶手段と、を具備し、
前記受信条件には、前記複数のアドレスの各アドレス毎のファイル形式、添付ファイルの不可/可、文字数の最大値、添付ファイルサイズの最大値、ダイレクトメールの許可/拒否に関する設定情報が含まれ、
前記制御手段は、前記通信手段が前記ユーザ端末装置より送信された電子メールを受信したときには、この電子メールの件名に相当する情報として当該電子メールに含まれている前記所定コードを抽出し、当該所定コードに対応する所定情報を前記記憶手段より読み出し、当該所定情報を、電子メールにより、前記通信手段より前記アドレスに返信するよう制御する、
ことを特徴とするサーバ。
【請求項3】ネットワークを通して、クライアント端末装置、ユーザ端末装置と通信自在なサーバであって、
前記クライアント端末装置、ユーザ端末装置との間で通信を行う通信手段と、
前記通信手段が前記クライアント端末装置より送信された所定情報を受信したときには、当該所定情報を受け付けた段階で、当該所定情報に対して文字列からなる所定コードを付するように制御する制御手段と、
少なくとも前記所定コードと前記所定情報、当該所定情報のカテゴリを関係付けた第1のテーブルと、ユーザIDと請求者アドレス、前記所定コードを関係付けた第2のテーブルとを記憶する記憶手段と、
を具備し、
前記制御手段は、前記通信手段が前記ユーザ端末装置より送信された電子メールを受信したときには、この電子メールの件名に相当する情報として当該電子メールに含まれている前記所定コードを抽出し、当該所定コードに対応する所定情報を前記記憶手段の前記第1のテーブルより読み出し、当該所定情報を、電子メールにより、前記通信手段より前記ユーザ端末装置に返信するように制御し、
前記カテゴリに対応する前記所定コードを前記記憶手段の前記第1のテーブルより取得し、更に当該所定コードに対応するユーザID及び請求者アドレスを前記記憶手段の前記第2のテーブルより取得し、当該請求者アドレスにダイレクトメールを送信するよう制御する、
ことを特徴とするサーバ。
【請求項4】ネットワークを通して、クライアント端末装置、ユーザ端末装置と通信自在であり、通信手段、制御手段、記憶手段を有するサーバによる情報提供支援方法であって、
前記制御手段により、前記通信手段が前記クライアント端末装置より送信された所定情報を受信したときには、当該所定情報を受け付けた段階で、当該所定情報に対して文字列からなる所定コードを付し、
前記記憶手段により、前記所定コードと前記所定情報とを関係付けて、更にユーザIDとアドレス、アドレスに関する受信条件を関係付けて記憶し、
前記制御手段により、前記通信手段が前記ユーザ端末装置より送信された電子メールを受信したときには、この電子メールの件名に相当する情報として当該電子メールに含まれている前記所定コードを抽出し、
前記制御手段により、当該所定コードに対応する所定情報を前記記憶手段より読み出し、前記通信手段により、当該所定情報を電子メールによって前記アドレスに返信するよう制御する、
ことを特徴とする情報提供支援方法。
【請求項5】前記制御手段により、
前記クライアント端末装置に、前記所定情報に対して付した所定コードを含む所定コード通知ページのHTMLソースを、前記通信手段を介して送信するように制御することを更に特徴とする請求項4に記載の情報提供支援方法。
【請求項6】前記制御手段により、
前記クライアント端末装置に、前記所定情報に対して付した所定コードを含む所定コード通知ページのHTMLソース及び所定コード通知ページの内容を含む電子メールを、前記通信手段により送信するように制御することを更に特徴とする請求項4に記載の情報提供支援方法。
【請求項7】前記受信条件には、前記アドレス毎のファイル形式、添付ファイルの不可/可、文字数の最大値、添付ファイルサイズの最大値、ダイレクトメールの許可/拒否に関する設定情報が含まれることを更に特徴とする請求項4に記載の情報提供支援方法。
【請求項8】前記記憶手段により、前記所定コードと前記所定情報、当該所定情報のカテゴリを関係付けた第1のテーブルと、ユーザIDと請求者アドレス、前記所定コードを関係付けた第2のテーブルとを記憶し、
前記制御手段により、前記カテゴリに対応する前記所定コードを前記記憶手段の前記第1のテーブルより取得し、更に当該所定コードに対応するユーザID及び請求者アドレスを前記記憶手段の前記第2のテーブルより取得し、当該請求者アドレスにダイレクトメールを送信するよう制御することを更に特徴とする請求項4に記載の情報提供支援方法。
【請求項9】クライアント端末及びユーザ端末と相互に通信自在で、記憶手段を有するサーバにおいて用いられるプログラムであって、
前記サーバに、
前記クライアント端末装置からの所定情報を受け付けた段階で、当該所定情報に対して文字列からなる所定コードを付するステップと、
前記記憶手段により、前記所定コードと前記所定情報とを関係付けて記憶すると共に、ユーザID、アドレス、アドレスに関する受信条件を関係付けて記憶するステップと、
前記ユーザ端末装置からの電子メールの件名に相当する情報として当該電子メールに含まれている前記所定コードを抽出し、当該所定コードに対応する所定情報を前記記憶手段より読み出し、当該所定情報を電子メールによって前記アドレスに返信するステップと、
を有する処理を実行させるためのプログラム。
【請求項10】前記処理には、
前記クライアント端末装置に、前記所定情報に対して付した所定コードを含む所定コード通知ページのHTMLソースを送信するステップを更に有する、
ことを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】前記処理には、
前記クライアント端末装置に、前記所定情報に対して付した所定コードを含む所定コード通知ページのHTMLソース及び当該所定コード通知ページの内容を含む電子メールを送信するように制御するステップを更に有する、
ことを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
【請求項12】前記受信条件には、前記アドレス毎のファイル形式、添付ファイルの不可/可、文字数の最大値、添付ファイルサイズの最大値、ダイレクトメールの許可/拒否に関する設定情報が含まれることを更に特徴とする請求項9に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ネットワークを利用した技術に係り、特にクライアントが簡易に情報を提供することができ、ユーザが簡易に情報を電子メールで享受することが可能なサーバ、情報提供支援方法、プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば電車の車内中吊り広告やラッピングバスの広告、名刺、新聞や雑誌の広告、及び記事等により、各種企業による広告活動や各種の情報提供がなされている。しかるに、ユーザが、これらの広告等に記載されている情報のうち所望とするものを記録、保存するためには、手書きでメモをとるか、コピー機やスキャナ装置、デジタルカメラ等といった特別な機器を用いる必要があった。
【0003】
従って、例えば、屋外で興味のある広告等を偶然目にした場合等であっても、上述したようなメモや各種機器を携帯していなければ、当該広告等に掲載された情報を迅速に記録・保存・編集等することはできなかった。
【0004】
また、最近では、上述したような各種の広告等に自社のWebページのURL(Uniform Resource Locator)を掲載する場合も多い。
【0005】
このような場合には、ユーザは、パーソナルコンピュータを利用して、興味を持った会社のWebページにインターネットを介してアクセスすれば、広告等に掲載されていた所望とする情報や関連情報を得ることもできる。
【0006】
しかしながら、クライアント企業の立場からすれば、インターネット上で自社のWebページを公開するためには、FTP(File Transfer Protocol)ツールにより、IPP(Internet Presence Provider)等といったWebサーバにHTML(Hyper Text Markup Language)によるハイパーテキストと必要となる画像等を書き込む必要があり、処理が複雑であり、また、予めIPPとの契約が必要とされる場合も多く、煩雑なものであった。
【0007】
また、ユーザの立場からすれば、興味をもった会社のWebページにアクセスして得られるのはHTMLソースであり、ユーザの端末では、受信したHTMLソースをブラウザで解析して所定の表示をなすだけであり、従って、得られた情報を保存・編集・整理するのは簡便ではなかった。
【0008】
一方、最近では、携帯電話機や情報携帯端末を利用して、外出先でインターネットのWebページにアクセスして情報を入手することが一般的になされているが、この場合に得られる情報(Webページ)には制約があり、また、前記同様に得られた情報を保存、編集、整理するのは簡便ではなかった。
【0009】
更に、携帯電話機等は内蔵メモリの容量等が限られていることから、保存することができる情報量にも限度があった。また、一方、クライアント企業にとっても、このようなユーザを対象として情報提供する為には、携帯電話機専用のWebページを作成する必要があり、負担も大きく、煩雑であった。
【0010】
ここで、ユーザの操作性に着目すると、従来、前記Webページにアクセスする際に、URLの代わりに所定のコードを打ち込むと、自動的にURLに変換する技術も開発されている。しかし、この技術の場合、ユーザは所定のソフトを自己のパーソナルコンピュータにインストールして用いるか、或いは、所望とするWebページにアクセスするに先立って独自のWebページにアクセスする必要等があり、結局、煩雑な操作を伴っていた。
【0011】
以上述べたように、ユーザは、所望とする情報を、簡易な操作で迅速に、且つ保存・編集・整理する上で好適な形式で、入手することを嘱望しているが、それを実現する技術は存在しなかった。
【0012】
尚、例えば特開2000-57066号公報では、製品カタログ等による情報提供内容に関する質問や回答を電子メールにて返信する場合において、受信した質問内容を自動的に解読し、データベースより対応データを抽出して、自動的に電子メールで返信する技術が開示されている。
【0013】
しかしながら、同公報では、質問内容が予め想定されているものであれば対応するデータを電子メールで返信できるとあるが、受信した質問内容をどのように解読するのか「具体的な記載」は何等なされてはいない。また、同技術では、質問内容を文章で送る必要があることから、煩雑である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、クライアント端末装置、ユーザ端末装置とネットワークを介して通信自在に接続されたサーバ、該サーバによる情報提供支援方法、並びにそれらに用いられるプログラムにおいて、ユーザ、クライアントに、以下のような利便性を与えることで両者間の情報提供サービスを支援し、その簡略化及び円滑化を図ることにある。
【0015】
即ち、詳細には、ユーザが、ユーザ端末装置(電子メールを送受信可能な機能を有する装置)で簡易な操作をするだけで、所望とする広告等に係る情報を、電子メールにより、保存、編集、整理する上で好適な形式で、迅速に入手可能とすることを目的とする。さらに、前記電子メールの受信条件を適宜設定可能とすることで、例えば前記広告等に係る情報を二以上の所望とするアドレスにて受信可能とすることを目的とする。
【0016】
また、クライントが、クライアント端末装置で簡易な操作をするだけで、24時間いつでも、所望とする広告情報並びに添付ファイルを、ユーザに対して提供可能な対象として迅速に登録可能とすることを目的とする。さらに、所定の嗜好を持つユーザのメールアドレスを収集可能とし、ダイレクトメールを当該ユーザに自動的に送信可能とすることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の第1の態様では、ネットワークを通して、クライアント端末装置、ユーザ端末装置と通信自在なサーバであって、前記クライアント端末装置、ユーザ端末装置との間で通信を行う通信手段と、前記通信手段が前記クライアント端末装置より送信された所定情報を受信したときには、当該所定情報を受け付けた段階で、当該所定情報に対して文字列からなる所定コードを付するように制御する制御手段と、少なくとも、前記所定コードと前記所定情報とを関係付けて、更にはユーザIDとアドレス、アドレスに関する受信条件を関係付けて、記憶する記憶手段と、を具備し、前記制御手段は、前記通信手段が前記ユーザ端末装置より送信された電子メールを受信したときには、この電子メールの件名に相当する情報として当該電子メールに含まれている前記所定コードを抽出し、当該所定コードに対応する所定情報を前記記憶手段より読み出し、当該所定情報を、電子メールにより、前記通信手段より前記アドレスに返信するよう制御する、ことを特徴とするサーバが提供される。
本発明の第2の態様では、ネットワークを通して、クライアント端末装置、ユーザ端末装置と通信自在なサーバであって、前記クライアント端末装置、ユーザ端末装置との間で通信を行う通信手段と、前記通信手段が前記クライアント端末装置より送信された所定情報を受信したときには、当該所定情報を受け付けた段階で、当該所定情報に対して文字列からなる所定コードを付するように制御する制御手段と、少なくとも、前記所定コードと前記所定情報とを関係付けて、更にはユーザIDと複数のアドレス、各アドレスに関する受信条件を関係付けて、記憶する記憶手段と、を具備し、前記受信条件には、前記複数のアドレスの各アドレス毎のファイル形式、添付ファイルの不可/可、文字数の最大値、添付ファイルサイズの最大値、ダイレクトメールの許可/拒否に関する設定情報が含まれ、前記制御手段は、前記通信手段が前記ユーザ端末装置より送信された電子メールを受信したときには、この電子メールの件名に相当する情報として当該電子メールに含まれている前記所定コードを抽出し、当該所定コードに対応する所定情報を前記記憶手段より読み出し、当該所定情報を、電子メールにより、前記通信手段より前記アドレスに返信するよう制御する、ことを特徴とするサーバが提供される。
本発明の第3の態様では、ネットワークを通して、クライアント端末装置、ユーザ端末装置と通信自在なサーバであって、前記クライアント端末装置、ユーザ端末装置との間で通信を行う通信手段と、前記通信手段が前記クライアント端末装置より送信された所定情報を受信したときには、当該所定情報を受け付けた段階で、当該所定情報に対して文字列からなる所定コードを付するように制御する制御手段と、少なくとも、前記所定コードと前記所定情報とを関係付けて、更には前記所定コードと前記所定情報、当該所定情報のカテゴリを関係付けて、更にはユーザIDと請求者アドレス、所定コードを関係付けて、記憶する記憶手段と、を具備し、前記制御手段は、前記通信手段が前記ユーザ端末装置より送信された電子メールを受信したときには、この電子メールの件名に相当する情報として当該電子メールに含まれている前記所定コードを抽出し、当該所定コードに対応する所定情報を前記記憶手段より読み出し、当該所定情報を、電子メールにより、前記通信手段より前記ユーザ端末装置に返信するよう制御すると共に、前記カテゴリに対応する所定コードを前記記憶手段より取得し、更に当該所定コードに対応するユーザID及び請求者アドレスを前記記憶手段より取得し、当該請求者アドレスにダイレクトメールを送信するよう制御する、ことを特徴とするサーバが提供される。
本発明の第4の態様では、ネットワークを通して、クライアント端末装置、ユーザ端末装置と通信自在であり、通信手段、制御手段、記憶手段を有するサーバによる情報提供支援方法であって、前記制御手段により、前記通信手段が前記クライアント端末装置より送信された所定情報を受信したときには、当該所定情報を受け付けた段階で、当該所定情報に対して文字列からなる所定コードを付し、前記記憶手段により、前記所定コードと前記所定情報とを関係付けて、更にユーザIDとアドレス、アドレスに関する受信条件を関係付けて記憶し、前記制御手段により、前記通信手段が前記ユーザ端末装置より送信された電子メールを受信したときには、この電子メールの件名に相当する情報として当該電子メールに含まれている前記所定コードを抽出し、前記制御手段により、当該所定コードに対応する所定情報を前記記憶手段より読み出し、前記通信手段により、当該所定情報を電子メールによって前記アドレスに返信するよう制御する、ことを特徴とする情報提供支援方法が提供される。
本発明の第5の態様では、前記制御手段により、前記クライアント端末装置に、前記所定情報に対して付した所定コードを含む所定コード通知ページのHTMLソースを、前記通信手段を介して送信するように制御することを更に特徴とする情報提供支援方法が提供される。
本発明の第6の態様では、前記制御手段により、前記クライアント端末装置に、前記所定情報に対して付した所定コードを含む所定コード通知ページのHTMLソース及び所定コード通知ページの内容を含む電子メールを、前記通信手段により送信するように制御することを更に特徴とする情報提供支援方法が提供される。
本発明の第7の態様では、前記受信条件には、前記アドレス毎のファイル形式、添付ファイルの不可/可、文字数の最大値、添付ファイルサイズの最大値、ダイレクトメールの許可/拒否に関する設定情報が含まれることを更に特徴とする情報提供支援方法が提供される。
本発明の第8の態様では、前記記憶手段により、前記所定コードと前記所定情報、当該所定情報のカテゴリを関係付けて、更にはユーザIDと請求者アドレス、所定コードが関係付けて、記憶し、前記制御手段により、前記カテゴリに対応する所定コードを前記記憶手段より取得し、更に当該所定コードに対応するユーザID及び請求者アドレスを前記記憶手段より取得し、当該請求者のアドレスにダイレクトメールを送信するよう制御することを更に特徴とする情報提供支援方法が提供される。
本発明の第9の態様では、クライアント端末及びユーザ端末と相互に通信自在で、記憶手段を有するサーバにおいて用いられるプログラムであって、前記サーバに、前記クライアント端末装置からの所定情報を受け付けた段階で、当該所定情報に対して文字列からなる所定コードを付するステップと、前記記憶手段により、前記所定コードと前記所定情報とを関係付けて記憶すると共に、ユーザID、アドレス、アドレスに関する受信条件を関係付けて記憶するステップと、前記ユーザ端末装置からの電子メールの件名に相当する情報として当該電子メールに含まれている前記所定コードを抽出し、当該所定コードに対応する所定情報を前記記憶手段より読み出し、当該所定情報を電子メールによって前記アドレスに返信するステップと、を有する処理を実行させるためのプログラムが提供される。
本発明の第10の態様では、前記処理には、前記クライアント端末装置に、前記所定情報に対して付した所定コードを含む所定コード通知ページのHTMLソースを送信するステップを更に有する、ことを特徴とするプログラムが提供される。
本発明の第11の態様では、前記処理には、前記クライアント端末装置に、前記所定情報に対して付した所定コードを含む所定コード通知ページのHTMLソース及び当該所定コード通知ページの内容を含む電子メールを送信するように制御するステップを更に有する、ことを特徴とするプログラムが提供される。
本発明の第12の態様では、前記受信条件には、前記アドレス毎のファイル形式、添付ファイルの不可/可、文字数の最大値、添付ファイルサイズの最大値、ダイレクトメールの許可/拒否に関する設定情報が含まれることを更に特徴とするプログラムが提供される。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0024】
先ず、図1乃至図3を参照して、本発明の一実施の形態に係る情報提供支援システムの構成について詳細に説明する。
【0025】
図1に示されるように、この情報提供支援システムは、サーバ1とクライアント端末装置2、ユーザ端末装置3,4がネットワーク5を介して通信自在に接続され、構成されている。クライアント端末装置2としては、パーソナルコンピュータ等を想定している。ユーザ端末装置3,4としては、パーソナルコンピュータのほか、携帯電話器、PDA(Personal Digital assistant)等を想定している。また、ネットワーク5としては、インターネットを想定しているが、これには限定されず、LAN,WAN等も含まれることは勿論である。
【0026】
尚、この図1では、説明を簡略化するために、1つのクライアント端末装置2と2つのユーザ端末装置3,4のみを図示しているが、複数のクライアント端末装置、ユーザ端末装置が接続されていることは勿論である。
【0027】
クライアント端末装置2、ユーザ端末装置3,4の内部構成は、例えば図2に示される通りである。即ち、全体の制御を司る制御部10に、モデム等の伝送制御部11、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ等の表示部12、マウスやキーボード等の操作部13、メモリ等の記憶部14が接続されている。この記憶部には、一般的なブラウザソフトやメーラーソフト等が記憶されている。
【0028】
一方、サーバ1の内部構成は、例えば図3に示される通りである。即ち、全体の制御を司る制御部20に、モデムやルーター等の伝送制御部21、メモリ等の記憶部22、s-memoテーブル23、ユーザテーブル24、請求ログテーブル25に係るデータベースが接続され、構成されている。
【0029】
ここで、s-memoコードとは、クライアントが広告等の情報をサーバに提供した時点で当該情報に対して自動的に付与される識別コードをいう。
【0030】
また、s-memoテーブル23とは、該s-memoコードに対応する情報を検索し、引き出す為の所定のテーブルをいう。s-memoテーブル23、ユーザテーブル24、請求ログテーブル25の構成については、それぞれ図7、図12、図14に示されるが、その詳細については後述する。
【0031】
なお、請求項記載のクライアント通信手段、ユーザ通信手段は、例えば伝送制御部11に相当し、サーバ通信手段は、例えば伝送制御部21に相当する。請求項記載の制御手段は、例えば制御部20に相当し、記憶手段は、例えばデータベースに相当する。所定情報とは、クライアントが情報提供支援サービスを受けるべく提供する情報、つまりユーザが当該サービスにより取得する情報をいい、所定コードとは、s-memoコード等をいう。
【0032】
以下、このような構成の情報提供支援システムの作用を説明する。
【0033】
尚、ここでは、情報提供支援サービスを受けるべく情報を供給する者を「クライアント」とし、当該情報を利用する者を「ユーザ」と称する。
【0034】
先ず、図4乃至図8を参照して、クライアントにより提供された情報に対してサーバ1がs-memoコードを発番する手順を詳細に説明する。
【0035】
クライアントがクライアント端末装置2により「s-memo.com(これは、説明の便宜から付したドメイン名の仮称である)」のWebページにアクセスすると(ステップS1)、サーバ1は、クライアント認証ページのHTMLソースを、伝送制御部21、ネットワーク5を介して、クライアント端末装置2の伝送制御部11に送信する(ステップS2)。
【0036】
クライアント端末装置2では、伝送制御部11が受信したHTMLソースを制御部10が解析し、表示部12にクライアント認証ページを表示する(ステップS3)。このクライアント認証ページは図5に示される通りであり、クライアントのIDとパスワード(PW)の入力を示唆するものとなっている。
【0037】
ここで、クライアントが、操作部13を操作して自己のID及びPWを入力すると、その情報は伝送制御部11、ネットワーク5を介してサーバ1の伝送制御部21に送られる。すると、サーバ1では、制御部20が、そのクライアントが登録された者か否かを判断し(ステップS4)、未登録のクライアントであれば、所定のクライアント登録を行うことになる(ステップS5)。
【0038】
次に、サーバ1は、伝送制御部21、ネットワーク5を介して、本文登録ページのHTMLソースをクライアント端末装置2の伝送制御部11に送信することになる(ステップS6)。すると、クライアント端末装置2では、伝送制御部11が受信したHTMLソースを制御部10が解析し、表示部12に本文登録ページを表示することになる(ステップS7)。
【0039】
この本文登録ページは図6に示される通りである。クライアント端末装置2では、この表示に対し、以下のような情報の入力がなされる。
【0040】
即ち、この本文登録ページの「本文」領域にクライアントが広告等を所望とする文書を書き込む。その際、当該広告の内容に係るカテゴリを「カテゴリ」領域の選択枝の中から選択する。この例では、「教育」が選択されている。
【0041】
添付ファイル(画像、音楽、プログラム、その他)の追加を所望とする場合には、「参照」ボタンをクリックする。すると、「ファイル一覧」に係るダイアログボックスが開く。そこで、この「ファイル一覧」領域のファイル群より添付を所望とするファイルを選択し、「選択」ボタンをクリックする。すると、「参照」ボタンの画面左方に選択したファイル名(この例では、「C:¥tmp¥01.gif」)が表示される。この状態で、「アップロード」ボタンをクリックすると、該ファイルがアップロードされ、「添付ファイル」領域に表示される。添付ファイルを削除したい場合には、「添付ファイル」領域に表示されたファイル群から削除を所望するものを選択し、「削除」ボタンをクリックすれば良いことになる。
【0042】
以上の入力情報は、サーバ1側に送られ、サーバ1側では、制御部20がs-memoテーブル23にこれらのレコードを追加する(ステップS8)。
【0043】
このs-memoテーブル23の構成は、図7に示される通りである。
【0044】
すなわち、この例では、クライアントのIDとs-memoコード、本文の内容、カテゴリ、ファイルの形式等が関連付けられて記憶される。
【0045】
例えば、ステップS7にてクライアントにより入力された情報は、該テーブル23の上から4段目に、クライアントID「aaaaa」、s-memoコード「10128」、本文「新1年生参考書○○ 電話番号×××」、カテゴリ「教育」、ファイル形式「TEXT」として記憶されている。
【0046】
ここで、s-memoコードは、サーバ1の制御部20がクライアント端末装置2からの本文登録を受け付けた段階で自動的に付するものである。この点、本情報提供支援システムの特徴点の一つである。
【0047】
続いて、サーバ1は、伝送制御部21、ネットワーク5を介して、s-memoコード通知ページのHTMLソースを、クライアント端末装置2の伝送制御部11に送信する(ステップS9)。すると、クライアント端末装置2は、伝送制御部11が受信したHTMLソースを制御部10が解析し、表示部12にs-memoコード通知ページを表示する(ステップS10)。
【0048】
このs-memoコード通知ページは、図8に示される通りである。
【0049】
即ち、このs-memoコード通知ページには、s-memoテーブル23に登録された「本文」、「カテゴリ」、「添付ファイル一覧」、「ファイル形式」、そして自動的に付された「s-memoコード」が表示される。
【0050】
従って、クライアントは、このページを見ることで、自己が所望とする広告等の情報が、正確にサーバ1側に登録され、情報提供支援サービスを受け得る状態になったことを確認することできる。つまり、この後、s-memoコードを自己の広告等に印刷併記することで、ユーザの利用に供することができる。
【0051】
尚、s-memoコード通知ページの内容は、電子メールでもサーバ1からクライアント端末装置2側に送信される(ステップS11)。これは、クライアント側の当該情報の保存、整理の便宜を図るものである。
【0052】
以上で、クライアントにより提供された情報に対してs-memoコードを自動的に発番するための一連の処理を終了することになる。
【0053】
尚、前述した例では、s-memoコードとして、5桁の数列を採用していたが、これに限定されないことが勿論である。例えば、登録されている本文がTEXT形式の場合にはXXXXX(X=0,1,2…)、HTML形式の場合にはh-XXXXX、登録されている本文に添付ファイルがある場合にはa-XXXXX、とすることもできる。この場合、情報を請求するユーザは、s-memoコードの頭文字を見れば、いかなる形式のファイルを得ることができるのか、事前に知ることができることになる。尚、この場合でも、詳細は後述するが、情報請求の際は頭文字を省略することができることは勿論である。
【0054】
次に、図9乃至図12を参照して、ユーザによる個人受信条件カスタマイズに関する一連の処理について詳細に説明する。尚、本実施の形態では、ユーザ登録がなくても情報を取得することができるので、この個人受信条件カスタマイズの処理は、希望するユーザのみが行う任意手続である。
【0055】
ユーザがユーザ端末装置3により「s-memo.com」のホームページにアクセスすると(ステップS21)、サーバ1はユーザ認証ページのHTMLソースを伝送制御部21、ネットワーク5を介してユーザ端末装置3の伝送制御部11に送信する(ステップS22)。すると、ユーザ端末装置3は、伝送制御部11が受信したHTMLソースを制御部10が解析し、その表示部12にユーザ認証ページを表示することになる(ステップS23)。
【0056】
このユーザ認証ページは、例えば図10に示される通りであり、少なくともユーザのIDとPWの入力を示唆するものとなっている。
【0057】
ここで、ユーザが、操作部13を操作して自己の識別子(ID)及びパスワード(PW)を入力すると、その情報が伝送制御部11、ネットワーク5を介してサーバ1の伝送制御部21に送信される。すると、サーバ1では、その制御部20が、そのユーザが登録された者か否かを判断し(ステップS24)、未登録のユーザであれば、所定のユーザ登録を行う(ステップS25)。
【0058】
続いて、サーバ1は、個人受信条件カスタマイズページのHTMLソースを、伝送制御部21、ネットワーク5を介してユーザ端末装置3の伝送制御部11に送信する(ステップS26)。すると、ユーザ端末装置3は、伝送制御部11が受信したHTMLソースを制御部10が解析し、表示部12に個人受信条件カスタマイズページを表示する(ステップS27)。
【0059】
この個人受信条件カスタマイズページは図11に示される通りである。
【0060】
即ち、この個人受信条件カスタマイズページでは、受信先としてアドレス1(基本アドレス)、アドレス2(その他のアドレス)、アドレス3(その他のアドレス)を登録することが可能となっている。更には、アドレス1,2,3毎に、ファイル形式(TEXT、HTML)、添付ファイルの不可/可、文字数の最大値(MAX)、添付ファイルサイズの最大値(MAX)、ダイレクトメール(以下、DMと略記する)の許可/拒否を設定可能となっている。
【0061】
例えば、この図11において、dddddさんの受信条件設定ページでは、アドレス1として「d1@xxx.ne.jp」が設定され、ファイル形式はTEXT、添付ファイルは不可、文字数のMAXは250文字、DMは拒否と設定されている。さらに、アドレス2として「d2@xxx.co.jp」が設定されており、ファイル形式はTEXT,HTML、添付ファイルは可、添付ファイルサイズのMAXは1000キロバイト、DMは許可と設定されている。また、アドレス3として「d3@xxx.ne.jp」が設定されており、添付ファイルは不可、DMは許可と設定されている。尚、アドレス1の設定では、添付ファイルサイズMAXについて設定がされていないが、これは添付ファイル不可と設定されているため、設定の必要がないことによる。
【0062】
以上の入力情報は、サーバ1側に送られ、サーバ1側では、制御部20が、ユーザテーブル24に、これらのレコードを追加する(ステップS28)。
【0063】
このユーザテーブル24の構成は、図12に示される通りである。
【0064】
即ち、このユーザテーブル24では、ユーザIDとアドレス1乃至3及び各アドレスに関する受信条件(ファイル形式、添付ファイルの不可/可、文字数のMAX、添付ファイルサイズMAX、DMの許可/拒否に関する設定情報)が関係付けられて記憶されている。先に図11の受信条件設定ページにて設定された情報は、このユーザテーブル24の1段目に、ユーザID「ddddd」、各アドレス1,2,3及び各受信条件として記憶されている。
【0065】
こうして、サーバ1は、伝送制御部21及びネットワーク5を介して、ユーザテーブル24に登録された情報を、ユーザ端末装置2の伝送制御部11に送信することになる(ステップS29)。以上により、ユーザによる個人受信条件カスタマイズに関する一連の処理を終了する。
【0066】
次に、図7、図12乃至図14を参照して、ユーザによる情報請求に係る電子メールを受けたサーバ1による情報提供支援に係る一例の処理を説明する。
【0067】
ユーザが、例えば電車の車内中吊り広告やラッピングバスの広告、名刺、新聞や雑誌の広告及び記事等により、あるクライアントによる情報に興味を持った場合、当該広告等に印刷されているs-memoコードを「件名」の欄に記載した電子メールをサーバ1に送信すると、この処理に入ることになる。
【0068】
この点、ユーザにとっては、s-memoコードを送るサーバ1のメールアドレスだけを把握(登録)しておけばいいので、非常に簡便である。
【0069】
サーバ1では、前記ユーザ端末装置3からの電子メールを伝送制御部21により受信すると(ステップS31)、制御部20が記憶部22に予め記憶されているメール解析プログラムを起動し(ステップS32)、当該受信した電子メールより以下の事項を抽出することになる(ステップS33)。
【0070】
即ち、一般に、電子メールは、ヘッダ部とボディ(メール内容)により構成されており、ヘッダ部は電子メールを正確に届けるための情報を有しているが、ここでは、当該ヘッダ部の情報のうち、以下を抽出することになる。
【0071】
From:(ユーザのアドレス) …(a)
Subject:(s-memoコード) …(b)
続いて、サーバ1の制御部20は、s-memoテーブル23(図7参照)からs-memoコード(b)に対応した本文等(これを(c)とする)を読み出す(ステップS34)。続いて、サーバ1の制御部20は、前述したユーザテーブル24(図12参照)を参照して(ステップS35)、アドレス1乃至3にアドレス(a)が存在するか否かを判断する(ステップS36)。
【0072】
ここで、アドレス1乃至3にアドレス(a)が存在する場合には、図14の請求ログテーブルにレコードを追加する(ステップS37)。
【0073】
すなわち、例えば、前記電子メールの送信元のアドレスが(a)=「d1@xxx.ne.jp」であり、件名が(b)=10128であった場合には、これらはユーザテーブル24(図12)に存在するので、請求ログテーブル25にユーザID「ddddd」、請求者アドレス「d1@xxx.ne.jp」、s-memoコード「10128」を追加することになる。
【0074】
尚、図14の上から4段目のレコードがこれに相当する。
【0075】
そして、サーバ1の制御部20は、ユーザテーブル24より、該当ユーザのアドレスを読み出し(これを(d)とする)(ステップS38)、本文等(c)を請求者の返信希望アドレス(d)に返信することになる(ステップS39)。
【0076】
この例では、ユーザdddddに返信する本文等(c)がテキストファイルのみである場合には、アドレス1,2に返信し、HTMLファイルである場合及び添付ファイルがある場合には、アドレス2に返信することになる。
【0077】
一方、前記ステップS36において、アドレス1乃至3に前記(a)が存在しない場合には、図14の請求ログテーブルにレコードを追加する。この場合、ユーザID「なし」として、請求者のアドレス(a)をs-memoコード(b)と共に記憶する(ステップS40)。
【0078】
図14の上から3段目のレコードがこれに相当する。そして、本文等(c)を請求者のアドレス(a)に返信する(ステップS41)。
【0079】
尚、本文等(c)に画像や音声、プログラム等のデータなどのバイナリ情報を添付する場合には、MIME(Multipurpose Internet Mail Extensions)という電子メールの拡張機能を用いることになる。
【0080】
こうして、上記ステップS39の処理の後、返信可能なアドレスに添付ファイル付きの電子メールを送った旨、つまり「返信状況報告」を記載した電子メールを、前述したユーザのアドレス(a),(d)の少なくともいずれか一方に送信する(ステップS42)。
【0081】
以上により、ユーザによる情報請求に係る電子メールを受けたサーバ1による情報提供支援サービスに係る一例の処理を終了することになる。
【0082】
次に、図7、図12、図15を参照して、請求行動の記録から特定の嗜好を持つユーザを絞り込むための処理の流れを詳細に説明する。
【0083】
ここでは、「特定の嗜好」として「教育」を例に挙げて、特定ユーザを絞り込む過程を説明する。先ず、サーバ1の制御部20は、s-memoテーブル23(図7)からカテゴリが「教育」になっているs-memoコードを取得する(ステップS50)。即ち、この例では、制御部20により、図7のs-memoテーブル23が参照され、「カテゴリ」が「教育」となっているものが検出され、該当するs-memoコードとして「10128」が得られる。
【0084】
続いて、サーバ1の制御部20は、請求ログテーブル25(図14)を参照してs-memoコード「10128」を請求したユーザを特定する(ステップS51)。この例では、対象がユーザddddd、eeeeeに絞り込まれる。
【0085】
次いで、制御部20は、ユーザテーブル24(図12)を参照して、該当ユーザddddd,eeeeeが企業からのDMを許可しているか否かを判断する(ステップS52)。即ち、この例では、dddddは「YES」で送付先のアドレスも特定でき、eeeeeは「YES」だがアドレスが特定できない。
【0086】
以上より、制御部20は、ユーザテーブル24からdddddを該当ユーザとして特定し、アドレス2を取得する(ステップS53)。こうして、請求行動の記録から特定の嗜好を持つユーザを絞り込むための処理を終了する。
【0087】
クライアントは、サーバ1により絞り込まれた特定ユーザのアドレスを得ることができるので、各種のダイレクトメールを送信可能となる。尚、ダイレクトメールの送信自体をサーバ1に委託することもできる。
【0088】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能である。
【0089】
例えば、前述した実施の形態では、s-memoコードとして文字列を例に挙げて説明したが、当該s-memoコードに、電子メール返信先アドレスに関する情報を含ませることもできる。即ち、「10128:2」とあった場合には、電子メールをアドレス2に返信し、「10128:1,2」とあった場合には、電子メールをアドレス1,2に返信するように制御することも可能である。
【0090】
さらに、サーバ1が、ユーザから請求されたs-memoコードに対応する電子メールを返信する際に、当該電子メールの本文中に例えば抽選番号、割引券などといったものを含めることも考えられる。
【0091】
この場合、例えば飲食店に関する広告を見たユーザが、そのs-memoコードを件名に記載した電子メールをサーバ1に送信すると、サーバ1は当該広告に関する情報を電子メールで返信する際に、当該飲食店における「割引券」となるものを本文中に自動的に追加することになる。
【0092】
また、1つのs-memoコードに複数の本文を関連付けて登録すること、ユーザからの請求に対して「ランダム」、「日付指定」、「指定時間指定」など、予め定められた規則の下で自動的に電子メールを返信する機能を付加することもできる。この場合には、例えば、ある映画館の広告に関するs-memoコードを「件名」に記載した電子メールを送ると、サーバ1は、当該電子メールを受けた「日時」の映画スケジュールに関する電子メールを返信することになる。
【0093】
さらに、会員(既登録)ユーザに対する機能として、例えばある飲食店に関するs-memoコードを電子メールでサーバ1に送った場合に、その飲食店を利用したことのある人の最新の感想複数件を電子メールで返信するようなことも実現可能である。この場合、サーバ1は、その飲食店のs-memoコードと関連付けて複数件の電子メールを記憶しておくことになる。
【0094】
また、電子メールの「件名」の欄に2以上のs-memoコードを付せば、一度の手間で複数のクライアントに関する情報を得ることも可能である。
【0095】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、ユーザ、クライアントに、以下のような利便性を与えることで、両者間の情報提供サービスを支援し、その簡略化及び円滑化を図るサーバ、情報提供支援方法、プログラムを提供することができる。
【0096】
すなわち、詳細には、ユーザが、ユーザ端末装置で簡易な操作をするだけで、所望とする広告等に係る情報を、電子メールにより、保存・編集・整理する上で好適な形式で、迅速に入手可能とすることができる。さらに、前記電子メールの受信条件を適宜設定可能とすることで、例えば広告等に係る情報を二以上の所望とするアドレスにて受信可能とすることができる。
【0097】
また、クライントが、クライアント端末装置で簡易な操作をするだけで、24時間いつでも、所望とする広告情報並びに添付ファイルを、ユーザに対して提供可能な対象として迅速に登録可能とすることができる。さらに、所定の嗜好を持つユーザのメールアドレスを収集可能とし、ダイレクトメールを当該ユーザに自動的に送信可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一実施の形態に係る情報提供支援システムの概略構成図である。
【図2】
図1におけるクライアント端末装置2、ユーザ端末装置3,4の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図3】
図1におけるサーバ1の詳細な構成例を示すブロック図である。
【図4】
s-memoコード発番のための処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】
クライアント認証ページの一例を示す図である。
【図6】
本文登録ページの一例を示す図である。
【図7】
s-memoテーブルの一例を示す図である。
【図8】
s-memoコード通知ページの一例を示す図である。
【図9】
個人受信条件カスタマイズに関する処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】
ユーザ認証ページの一例を示す図である。
【図11】
個人受信条件カスタマイズページの一例を示す図である。
【図12】
ユーザテーブルの一例を示す図である。
【図13】
ユーザによる情報請求に係る電子メールを受けたサーバによる一例の処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】
請求ログテーブルの一例を示す図である。
【図15】
請求行動の記録から特定の嗜好を持つユーザを絞り込むための処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 サーバ
2 クラインアント端末装置
3 ユーザ端末装置
4 ユーザ端末装置
5 ネットワーク
10 制御部
11 伝送制御部
12 表示部
13 操作部
14 記憶部
20 制御部
21 伝送制御部
22 記憶部
23 s-memoテーブル
24 ユーザテーブル
25 請求ログテーブル
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2006-03-06 
出願番号 特願2001-110400(P2001-110400)
審決分類 P 1 651・ 121- YA (H04L)
P 1 651・ 537- YA (H04L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 須藤 竜也竹井 文雄  
特許庁審判長 大日方 和幸
特許庁審判官 植松 伸二
和田 志郎
登録日 2002-10-18 
登録番号 特許第3361509号(P3361509)
権利者 株式会社学習研究社
発明の名称 サーバ、情報提供支援方法、プログラム  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 須田 浩史  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 河野 哲  

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