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審決分類 審判 査定不服 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C10M
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C10M
管理番号 1138581
審判番号 不服2002-23901  
総通号数 80 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-10-02 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-12-12 
確定日 2006-06-22 
事件の表示 特願2001- 12837「圧縮機及びこの圧縮機を備える冷凍装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年10月 2日出願公開、特開2001-271081〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯・本願発明
本願は、平成5年2月12日に出願した特願平5-24170号の一部を平成13年1月22日に新たな特許出願としたものであって、その請求項1〜3に係る発明は、平成14年8月22日及び平成18年1月10日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された次のとおりのものである。
(なお、平成14年3月11日付けの手続補正は手続却下されている。)
「【請求項1】 電動要素を備える圧縮機、凝縮器、減圧装置および蒸発器を少なくとも有する冷凍サイクルを備えた冷凍装置において、前記電動要素の巻線間は低オリゴマ仕様(3量体として0.6重量%以下)の絶縁紙を用いると共に、前記冷凍サイクルに用いる冷媒が塩素を含まない弗化炭化水素系冷媒で、かつ、前記圧縮機に用いる冷凍機油が、ポリオールと直鎖又は側鎖のアルキル系脂肪酸を無触媒で重合した原料とし、流動点が-40℃以下、二液分離温度が-20℃以下、全酸価が0.02mgKOH/g以下で、粘度が40℃で8〜100cst、粘度指数が80以上のポリオールエステル油を基油とした冷凍機油であることを特徴とする冷凍装置。
【請求項2】 ポリオールエステル油には、添加剤としてフェノール系酸化防止剤が0.1〜0.5重量%添加されていることを特徴とする請求項1記載の冷凍装置。
【請求項3】 ポリオールエステル油には、0.1〜0.5重量%のエポキシ系添加剤が添加されていることを特徴とする請求項1記載の冷凍装置。」

2 当審の拒絶理由
当審において平成17年11月8日付けで通知した拒絶の理由の概要は、
(1)本願の請求項1〜3に係る発明は、本願の出願前に頒布された刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、
(2)本願の明細書の記載は、特許法第36条第5項第2号及び第6項に規定する要件を満たしていない、
というものである。

3 特許法第29条第2項について
3-1 刊行物及びその記載事項
(引用刊行物)
刊行物ア:特開平5-5098号公報
刊行物イ:特開平5-32987号公報
刊行物ウ:特開平3-275799号公報
刊行物エ:特開平4-276443号公報

(刊行物の記載事項)
(ア)刊行物ア(特開平5-5098号公報)
(a)「ネオペンチルポリオールと炭素数7〜9の飽和分岐鎖脂肪族モノカルボン酸とから得られるエステル、及び1,1,1,2-テトラフルオロエタンを含有する冷凍機作動流体用組成物。」(請求項1)
(b)「該エステル100重量部に対してエポキシシクロヘキシル基を有する化合物・・・0.05〜2.0重量部を配合してなる冷凍機油」(請求項2)
(c)「エステルの粘度範囲は、40℃での動粘度が通常5cst〜115cstであり、好ましくは5cst〜56cstのものが用いられる。」(段落【0020】)
(d)「得られるエステルの酸価は低いほど好ましく通常0.1mgKOH/g 以下、特に0.05mgKOH/g 以下が好ましい。」(段落【0028】)
(e)「実施例1 ・・・ネオペンチルグリコール104g(1.0mol)と2-メチルヘキサン酸260g(2.0mol)を前記フラスコに取り、窒素気流下240℃で10時間エステル化反応を行いエステルAを得た。」(段落【0040】)
(f)表2(9頁)には、本発明品に用いる油4〜12として、40℃における粘度が14.7〜54.3cst、粘度指数が94〜107,流動点-55℃以下であるものが示されており、表4(11頁)には、該油の低温分離温度が、いずれも-40℃以下であることが示されている。
(g)「本発明の冷凍機作動流体用組成物は、相溶性、潤滑性、熱安定性、電気絶縁性に優れたものである。」(段落【0059】)
(イ)刊行物イ(特開平5-32987号公報)
(h)「冷媒と潤滑剤の混合物がマグネットワイアーの絶縁材料に直接接触するモーター内蔵型冷凍機において、潤滑剤としてペンタエリスリトールと・・・1価高級脂肪酸とのエステルを主成分とするエステル油を使用することを特徴とする絶縁材料の安定性保持方法。」(請求項1)
(i)「冷媒が1,1,1,2-テトラフルオロエタンであることを特徴とする請求項1に記載の絶縁材料の安定性保持方法。」(請求項3)
(j)「本発明で使用するエステル中に残存する酸価、水酸基価、二重結合は安定性に関係があるので、いずれも低い値であることが好ましく、・・・全酸価が0.03〜0.05(KOHmg/g)以上であると、冷凍機内部に使用されている金属との反応により金属石けんなどを生成し、沈殿するなどの好ましくない現象が起こるので、全酸価は0.01(KOHmg/g)以下であることが好ましい。」(段落【0019】)
(k)「本発明においては、・・・従来、冷凍機油に使用されている酸化防止剤、摩耗防止剤、エポキシ化合物等の添加剤を適宜添加してもよい。」(段落【0020】)
(ウ)刊行物ウ(特開平3-275799号公報)
(l)「脂肪酸とネオペンチル型ポリオールとのエステル及びエポキシ化合物を含有・・・する冷凍機油組成物。」(請求項1)
(m)「本発明は・・・塩素を含まないフロン系冷媒を使用した冷凍機用の冷凍機油組成物に関する。」(1頁左下欄13〜16行)
(n)「本発明の冷凍機油組成物は、・・・添加剤として公知のもの、例えば、・・・BHTなどの酸化防止剤を通常の添加量の範囲で添加してもよい。」(3頁左下欄末行〜右下欄12行)
(エ)刊行物エ(特開平4-276443号公報)
(o)「厚み50〜350μmのポリエチレンテレフタレートフィルム・・・の両面に、架橋構造を有する塗布層を設けてなる積層フィルムであって、該積層フィルムのクロロホルムを用いたソクスレ-抽出器による24時間後の抽出量が0.15重量%以下であることを特徴とする電気絶縁用積層ポリエステルフィルム。」(請求項1)
(p)「ポリエステルフィルムの用途の一つに電気絶縁用フィルムがあるが、最近の厳しい要求には必ずしも適合しなくなってきている。すなわち、ポリエチレンテレフタレートフィルムは環状三量体を主体とする低分子量物を1.3〜1.8重量%程度含有しており、これが致命的な欠点となる。かかるフィルムを例えば空調機や冷凍機用のモーターの電気絶縁材料として使用すると、モーター中の冷媒や潤滑剤によって低分子量物が抽出され系内で析出するため、装置の円滑な運転が阻害されてしまう。」(段落【0003】)

3-2 当審の判断
(1)請求項1について
刊行物アに記載された実施例1においては触媒を使用していないから、刊行物アには、ネオペンチルグリコール等のネオペンチルポリオールと、2-メチルヘキサン酸等の飽和分岐鎖脂肪族モノカルボン酸とを、無触媒で反応させることによりエステルを製造し、このように製造されたエステルを、塩素を含まない弗化炭化水素系冷媒である1,1,1,2-テトラフルオロエタンを用いる冷凍機の冷凍機油とすることが記載されている(摘記a、b、e)。冷凍機油は冷凍サイクルで用いられるものであって、ここで、冷凍機油として使用されるポリオールエステル油をみると、その表2及び表4には例えば油4〜12として、流動点が-55℃以下、油の低温分離温度が-40℃以下、40℃における粘度が14.7〜54.3cst、粘度指数が94〜107であるものが記載され(摘記f)、このようなエステルの全酸価が0.05mgKOH/g以下が特に好ましいこと(摘記d)も記載されているから、刊行物アには、「ネオペンチルポリオールと炭素数7〜9の飽和分岐鎖脂肪族モノカルボン酸とを無触媒で反応させて得られ、流動点が-55℃以下、油の低温分離温度が-40℃以下、40℃における粘度が14.7〜54.3cst、粘度指数が94〜107であって、0.05mgKOH/g以下の全酸価を有することが好ましいポリオールエステル油を基油とし、冷媒として1,1,1,2-テトラフルオロエタンを含有する、冷凍サイクルに用いる冷凍機作動流体用組成物。」の発明(以下、「刊行物ア発明」という。)が記載されている。
本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)と刊行物ア発明とを対比すると、両者ともに冷凍サイクルに用いられる冷凍機油が記載され、該冷凍機油は、ポリオールと側鎖のアルキル系脂肪酸を無触媒で反応させたポリオールエステルを原料とするものであり、刊行物ア発明においても、該エステルの流動点、二液分離温度、粘度、粘度指数はそれぞれ、-40℃以下、-20℃以下、40℃で8〜100cst、80以上の範囲内であり、両者ともに冷凍サイクルに用いる冷媒が塩素を含まない弗化炭化水素系冷媒であるから、両者は、「冷凍サイクルに用いる冷媒が塩素を含まない弗化炭化水素系冷媒であり、かつ、冷凍サイクルの圧縮機に用いる冷凍機油が、ポリオールと側鎖のアルキル系脂肪酸を無触媒で重合した原料とし、流動点が-40℃以下、二液分離温度が-20℃以下、粘度が40℃で8〜100cst、粘度指数が80以上のポリオールエステル油を基油とした冷凍機油」である点で一致し、
(i)ポリオールエステル油の全酸価が、本願発明1においては、「0.02mgKOH/g以下」であるのに対し、刊行物ア発明においては、「0.05mgKOH/g以下が好ましい」とされている点、
(ii)絶縁紙について、本願発明1においては、「電動要素の巻線間は低オリゴマ仕様(3量体として0.6重量%以下)の絶縁紙を用いる」ことが必須の構成要件であるのに対し、刊行物ア発明においては、絶縁紙については特に記載されていない点、
(iii)上記ポリオールエステル油を用いる冷凍装置について、本願発明1においては、「電動要素を備える圧縮機、凝縮器、減圧装置および蒸発器を少なくとも有する冷凍サイクルを備えた冷凍装置」であることが必須の構成要件であるのに対し、刊行物ア発明においては、必須の構成要件とされていない点、
で相違する。
そこで、これらの相違点について検討する。
(i)について
刊行物アにはエステルの酸価について、「低いほど好ましく」に続き、「特に0.05mgKOH/g以下が好ましい」と記載されている(摘記d)ところ、刊行物イに、冷凍機に用いるエステル油の全酸価が0.03〜0.05mgKOH/g以上であると好ましくない現象が起こるので、0.01mgKOH/g以下であることが好ましい旨が記載されること(摘記j)からすると、刊行物アにおけるエステル油においても、全酸価として「0.05mgKOH/g以下」で、さらに「0.03mgKOH/g」より低い値、例えば0.02mgKOH/g以下とすることは当業者が容易に着想・設定し得ることといえる。
そして、本願発明1において、ポリオールエステル油における全酸価を特に0.02mgKOH/g以下と設定することにより、なんら予期し得ない効果を奏するものでもないのであるから、(i)の点に格別の創意を要したものとは認められない。
(ii)について
刊行物エには、冷凍機用のモーターの電気絶縁材料として使用するポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにおいて、環状三量体を主体とする低分子量物を1.3〜1.8重量%程度含有していると、モーター中の冷媒や潤滑剤によって低分子量物が抽出され系内で析出するため、装置の円滑な運転が阻害されることから、抽出量が0.15重量%以下のポリエステルフィルムを採用することが記載されている(摘記o、p)。したがって、圧縮機の電動要素の巻線間に、低分子量物(オリゴマ)の析出を抑制するため低オリゴマ仕様の絶縁紙を使用することは、本願出願前にすでに知られていたことである。そして、低オリゴマ仕様として「3量体として0.6重量%以下」とすることにオリゴマの析出について格別の臨界的意義を有するものではないから、本願発明1で特定される低オリゴマ仕様の絶縁紙の採用は当業者が適宜実施し得る程度のことにすぎない。
請求人は、平成18年1月10日付け意見書において、刊行物エに記載の電気絶縁用積層ポリエステルフィルムにつき、「たしかに、刊行物エには、3量体などの低分子量化合物を0.15重量%以下に低減させた電気絶縁用積層ポリエステルフィルムが記載されております。」とする一方、「刊行物エに記載されている電気絶縁用フィルムはポリエステルフィルムの両面に特殊な架橋層を設ける必要があり、このような電気絶縁用フィルムは非常に高価なものとなり、現実的でない」、「本願発明では、絶縁紙として前記のごとき特別なものは用いておらず」と主張する。
しかし、本願発明1の絶縁紙は、「低オリゴマ仕様(3量体として0.6重量%以下)の絶縁紙」と規定されるのみで他の限定は付されておらず、「絶縁紙が低オリゴマ仕様であればどのようなものでも本願発明の冷凍装置に使用可能」(上記意見書)であるとされるのであるから、高価で特別なものであるとしても、刊行物エに記載の電気絶縁用積層ポリエステルフィルムは本願発明1の絶縁紙に含まれるものである。したがって請求人の上記主張は採用できない。
また、刊行物エの記載からすると、絶縁紙として低オリゴマ仕様のものを用いることが、冷凍機用装置における円滑な運転の阻害という課題を解決すべき手段として本願の出願前に知られていた(摘記p)のであるから、本願発明1における冷媒・冷凍機油を使用する冷凍装置の電動要素に低オリゴマ仕様の絶縁紙を採用する程度のことは、当業者が容易に想到し得ることにすぎない。
(iii)について
上記の冷媒、冷凍機油、絶縁紙が適用される「電動要素を備える圧縮機、凝縮器、減圧装置および蒸発器を少なくとも有する冷凍サイクルを備えた冷凍装置」は、通常使用される冷凍装置にすぎず、この冷凍装置の特定に格別の意義は認められない。
したがって、相違点(iii)は当業者が普通に採用する範囲内のものと認められる。

本願発明1の効果について
本願発明の効果は、明細書の段落【0054】に「【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、ポリオールエステル油に特定の原料を使用し、特定の物性範囲で使用したり、特殊な添加剤を加えたり、弗化炭化水素系冷媒の純度を高い値に維持したり、冷凍サイクルの平衡水分を抑えたりすることにより、ポリオールエステル系油の、水分の影響による加水分解を抑制して全酸化(「全酸化」は「全酸価」の誤記と認められる。)を低減し、金属石鹸の生成を抑制して冷凍サイクルに悪影響を与えるのを防ぐと共に、酸素や塩素の影響による、分解、酸化劣化、重合反応を抑制して金属石鹸や高分子スラッジの生成を防ぎ、良好な冷凍装置を得ることができる。」と記載されている。
しかし、「ポリオールエステル油に特定の原料を使用し、特定の物性範囲で使用」することで、相溶性、潤滑性、熱安定性、電気絶縁性に優れるものとなることは摘記gに示したように刊行物ア発明において奏される効果であり、「全酸価を低減」することで冷凍機内部に使用されている金属との反応により金属石けんなどの生成・沈殿等好ましくない現象を抑制できることは、摘記jに示したように、当業者に公知の事項である。
そうしてみると、本願発明1の効果も刊行物ア、イに記載された事項から当業者の予測しうるところと認められる。

以上のとおり、相違点(i)〜(iii)はいずれも格別のものではなく、また、これらの相違点により生じる本願発明1の効果も当業者の予測の範囲内のものと認められるから、本願発明1は、上記刊行物ア、イ、エに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)請求項2、3について
刊行物ウには、塩素を含まないフロン系冷媒を使用した冷凍機用の冷凍機油として、脂肪酸とポリオールとのエステル及びエポキシ化合物を含有する組成物が記載され(摘記l、m)、さらに、該冷凍機油組成物には、BHTなどの酸化防止剤を通常の添加量の範囲で添加してもよいことも記載されている(摘記n)。
ここで、BHTとは、本願明細書でいう2,6-ジターシャルブチルパラクレゾール(DBPC)であり、フェノール系酸化防止剤であるから、ポリエステル油にフェノール系酸化防止剤、エポキシ系添加剤を添加することは、本件出願前にすでに知られていたことである。
なお、刊行物ウには、請求項2、3に係る発明で特定される添加量の範囲は開示されていないが、添加量をこの範囲とすることによる格別の意義も認められないことから、当業者が適宜設定し得る通常の範囲にすぎないといえる。
したがって、請求項2、3に係る発明は、刊行物ア〜エに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 36条違反について
請求人は、当審で通知した「本件明細書の発明の詳細な説明には、絶縁紙について、『低オリゴマ仕様(3量体として0.6wt%以下)のPETフィルムが使用されている』と記載されるのみで、PET以外の材質のものは記載されて・・・いない。」、「そうしてみると、絶縁紙がPETフィルムであること・・・は、本件発明において必須の構成であると認められ、本件明細書の特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載したものであるとすることができない。」との拒絶の理由に対し、意見書において「発明の詳細な説明で記載したPETフィルムは絶縁紙の一例に過ぎず、絶縁紙が低オリゴマ仕様であればどのようなものでも本願発明の冷凍装置に使用可能であり、また、PETフィルムと同等の効果を奏するものであります。」と主張する。
しかし、請求人は、その主張の根拠を示していない。そして、たとえ本願の出願時にPETフィルム以外に絶縁紙として使用されるものが当業者に知られていたとしても、それらが具体的に何であるか、それらのうちどのようなものが特定の冷媒及び冷凍機油を使用する本願発明の冷凍装置において低オリゴマ仕様のPETフィルムと同等に使用可能であり、また、同等の効果を奏するかについて明細書に記載されておらず、また、明細書に記載されているに等しいとすることができるものではないことからすると、明細書に具体的に記載される「低オリゴマ仕様(3量体として0.6wt%以下)のPETフィルム」が、本願発明において絶縁紙として唯一使用できるものであり、発明の構成に欠くことができないものであると判断せざるを得ない。
そうしてみると、特許請求の範囲には、発明の構成に欠くことができない事項のみを記載したものとは認められないから、特許法第36条第5項第2号及び第6項に規定する要件を満たしていないとの拒絶の理由は撤回することができない。

5 むすび
以上のとおりであるから、本願は、当審で通知した上記拒絶の理由(1)及び(2)によって拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-04-14 
結審通知日 2006-04-18 
審決日 2006-05-08 
出願番号 特願2001-12837(P2001-12837)
審決分類 P 1 8・ 534- WZ (C10M)
P 1 8・ 121- WZ (C10M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井上 千弥子  
特許庁審判長 西川 和子
特許庁審判官 天野 宏樹
鈴木 紀子
発明の名称 圧縮機及びこの圧縮機を備える冷凍装置  
代理人 西元 勝一  
代理人 福田 浩志  
代理人 加藤 和詳  
代理人 中島 淳  
代理人 花岡 明子  

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