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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B42D |
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管理番号 | 1138606 |
審判番号 | 不服2003-15963 |
総通号数 | 80 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1993-10-19 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-08-19 |
確定日 | 2006-06-22 |
事件の表示 | 平成 4年特許願第 74465号「盗難防止機能付き書籍」拒絶査定不服審判事件〔平成 5年10月19日出願公開、特開平 5-270170〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯及び本願発明の認定 本願は、平成4年3月30日の出願であって、平成15年7月8日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年8月19日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされたものであり、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成18年3月27日付け手続補正書により補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 「書籍本体の表紙となる表紙材料に書籍本体の本文中身を糊付けする本であって、前記表紙材料における前記本文中身が糊付けされる部分に、電磁場等所定の場に影響を与えることのできる磁性体であるシート状タグを予め前記糊付けに使用する糊により仮付けしておき、然る後前記本文中身を前記表紙材料に前記糊と同一の糊で糊付けしてなることを特徴とする盗難防止機能付き本。」 2.当審の拒絶理由 一方、当審において平成18年1月19日付けで通知した拒絶の理由の概要は、本願発明は、本願出願日前に頒布された刊行物である特公昭58-57797号公報(以下「引用例2」という。)及び特表平1-501104号公報(以下「引用例1」という。)に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 3.引用例記載の発明 当審における拒絶の理由で引用した引用例1には、以下の事項が図示とともに記載されている。 ア. 「本発明にしたがって、無線周波数の電磁命令(radio frequency electromagnetic instruction)を発するゲートにおいて用いられる共振回路を包含しており、且つコイルとコンデンサを備える偏平な共振回路(flat resonant circuit)を使用するラベルによって盗難から物を保護する方法は、物それ自身及び/又はその包装(packaging)に少なくとも一つの共振回路を組込む(integrating)ことにあることを特徴とする。 回路は物に直接に組込まれ、物を破壊することによって物から除くことができるのみである。結果として、保護回路は、目に見えず、それによって最良の保護(first line of protection)を与えるのみならず、接近し難く、したがってそれを無能力にする企てを妨げる。該回路は、成形又は熱成形中に、或は積層商品の二層間への挿入によって商品が製造される間に、商品に組込まれる方が好ましい。」(2頁右上欄24行〜同頁左下欄13行) イ. 「本発明は、特に、ビデオカセット、レーザーコンパクトディスク及びオーディオカセット等の高い付加価値を有する商品を保護することを求めるものである。しかし、本発明が“ブラック(black)”ディスク、靴、本及び帽子等のすべての種類のその他の物に適用し得ることは明白である。」(2頁右下欄6-10行) したがって、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。 「無線周波数の電磁命令を発するゲートにおいて用いられる共振回路を包含しており、且つコイルとコンデンサを備える共振回路を使用するラベルを、成形中又は積層商品の二層間への挿入によって本が製造される間に組み込んだ、盗難から保護される本。」 4.本願発明と引用発明との対比 本願発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「無線周波数の電磁命令を発するゲートにおいて用いられる共振回路を包含しており、且つコイルとコンデンサを備える共振回路を使用するラベル」及びこのラベルが組み込まれた「盗難から保護される本」は、それぞれ、本願発明の「電磁場等所定の場に影響を与えることのできるシート状タグ」及び「盗難防止機能付き本」に相当することは明らかである。 してみれば、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「本であって、電磁場等所定の場に影響を与えることのできるシート状タグを取り付けた盗難防止機能付き本」 [相違点1] 盗難防止機能付き本が、本願発明では、「書籍本体の表紙となる表紙材料に書籍本体の本文中身を糊付けする本」であって、「前記表紙材料における前記本文中身が糊付けされる部分に」、シート状タグを「予め前記糊付けに使用する糊により仮付けしておき、然る後前記本文中身を前記表紙材料に前記糊と同一の糊で糊付けしてなる」ものであるのに対して、引用発明では、シート状タグを製造中に組み込むものではあるも、そのような点について定かではない点。 [相違点2] 電磁場等所定の場に影響を与えることのできるシート状タグが、本願発明では「磁性体」であるのに対し、引用発明では「共振回路」とされている点。 5.相違点の判断 (1)相違点1について 書籍本体の表紙となる表紙材料に書籍本体の本文中身を糊付けする本は、本願出願前にごく普通に知られている(例えば、特開昭54-111922号公報参照。)。 ところで、引用発明は、シート状タグを、成形中又は積層商品の二層間への挿入によって本が製造される間に組み込んだものであるが、前記周知の書籍本体の表紙となる表紙材料に書籍本体の本文中身を糊付けする本にあっては、書籍本体の表紙となる表紙材料と書籍本体の本文中身とを糊付けする工程(以下「糊付け工程」という。)を必ず有するはずであるから、引用発明に接した当業者であれば、シート状タグを前記糊付け工程において表紙材料と本文中身との間に組み込むことは何の困難もないことである。そして、シート状タグを取り付けるときに、その取付位置がずれないようにすることは当然の要求であるから、シート状タグをずれないよう仮付けしようとすることは自然な発想であり、その方法として、表紙材料における本文中身が糊付けされる部分に、表紙材料と本文中身との糊付けに使用する糊と同一の糊を使用して仮付けすることは、当業者が容易に為し得る程度のことである。 してみれば、引用発明において、本願出願前周知の「書籍本体の表紙となる表紙材料に書籍本体の本文中身を糊付けする本」を採用し、表紙材料における本文中身が糊付けされる部分に、シート状タグを前記糊付けに使用する糊により仮付けしておき、然る後前記本文中身を前記表紙材料に前記糊と同一の糊で糊付けするよう構成することは、当業者が容易に想到し得た程度のことにすぎない。 よって、相違点1は格別のものではない。 (2)相違点2について 当審における拒絶の理由で引用し、本願の出願日前に頒布された引用例2には、「第1図に示される物品探知装置は、例えば、図書館から書籍・記録等が許可なく持ち去られることを防止するため図書館内に設置することができる。この様な場合は探知さるべき物品にはパーマロイの様な容易に飽和可能の磁性物質の薄い條片を有するターゲット又は印を付す。」(4欄27〜32行)、「アンテナ群18及び20の間の区域は質問区域24を構成し、該装置により、該装置上に生ずる電磁効果は後述する通り、最初に質問区域に起る。印10をつけた本12が人22によって質問区域24を通って運ばれた場合、印10は電磁的に探知装置と反応し、警報を生ずる」(5欄6〜11行)と記載されており、電磁場等所定の場に影響の与えることのできる磁性体であるシート状タグを用いて、本の盗難防止を図ることが記載されている。 よって、引用発明において、前記引用例2記載の事項を採用し、相違点2に係る本願発明の構成を想到することに格別の困難性はない。 そして、上記相違点1及び2に係る本願発明の構成を採用することによって格別の作用効果が奏されるとも認めることはできない。 したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 6.むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-04-24 |
結審通知日 | 2006-04-25 |
審決日 | 2006-05-10 |
出願番号 | 特願平4-74465 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(B42D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 砂川 充 |
特許庁審判長 |
酒井 進 |
特許庁審判官 |
長島 和子 國田 正久 |
発明の名称 | 盗難防止機能付き書籍 |