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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H04J
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04J
管理番号 1138676
審判番号 不服2004-9051  
総通号数 80 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-01-12 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-04-30 
確定日 2006-06-22 
事件の表示 平成11年特許願第177399号「同期検出装置およびそれを備える無線装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 1月12日出願公開、特開2001- 7783〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件出願は、平成11年6月23日の出願であって、平成16年3月23日付けで拒絶査定され、同年4月30日に審判請求がなされるとともに手続補正がされ、さらに同年5月27日に手続補正がされたものである。
審判請求時(平成16年4月30日付)の補正は、特許請求の範囲を次のように補正するものである。
「【請求項1】 複数のユーザからの複数のデジタル送信信号の到来タイミングを検出する同期検出装置であって、
前記複数のデジタル送信信号の各々は、対応するユーザごとに異なるトレーニングシンボル列を有し、
前記同期検出装置は、
前記複数のユーザにそれぞれ対応する複数の相関検出器を備え、
前記複数の相関検出器の各々は、
前記複数のデジタル送信信号を含む入力信号を受け、複数のタップを有する信号伝達経路と、
前記入力信号と前記複数のタップの各々からの信号を一方入力に受け、他方入力に対応するユーザのトレーニングシンボル列をそれぞれ受ける複数の乗算器と、
前記複数の乗算器からの信号を加算して、検出信号を生成する加算器とを備える、同期検出装置。」
また、平成16年5月27日付の補正は、特許請求範囲を次のように補正するものである。
「【請求項1】 複数のユーザからの複数のデジタル送信信号の到来タイミングを検出する同期検出装置であって、
前記複数のデジタル送信信号はそれぞれ対応するユーザごとに異なるトレーニングシンボル列を有し、
前記同期検出装置は、
前記複数のユーザにそれぞれ対応する複数の相関検出器を備え、
前記複数の相関検出器の各々は、
前記複数のデジタル送信信号を含む入力信号を受け、複数のタップを有する信号伝達経路と、
前記入力信号と前記複数のタップの各々からの信号とを一方入力にそれぞれ受け、他方入力に対応するユーザのトレーニングシンボル列をそれぞれ受ける複数の乗算器と、
前記複数の乗算器からの信号を加算して、検出信号を生成する加算器とを備える、同期検出装置。」

2.平成16年5月27日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年5月27日付け手続補正を却下する。

[理由]
本件補正は、補正前の請求項1に記載された「前記複数のデジタル送信信号の各々は、対応するユーザごとに異なるトレーニングシンボル列を有し」を、「前記複数のデジタル送信信号はそれぞれ対応するユーザごとに異なるトレーニングシンボル列を有し」と補正し、同じく「前記入力信号と前記複数のタップの各々からの信号を一方入力に受け、他方入力に対応するユーザのトレーニングシンボル列をそれぞれ受ける複数の乗算器」を、「前記入力信号と前記複数のタップの各々からの信号とを一方入力にそれぞれ受け、他方入力に対応するユーザのトレーニングシンボル列をそれぞれ受ける複数の乗算器」と補正するものであるから、特許法第17条の2第4項第1号の請求項の削除を目的とするものには該当せず、同項第2号の特許請求の範囲の限縮を目的とするものにも該当しない。また、補正前の請求項の上記補正箇所に誤記があるとは認められないから、同項第3号の誤記の訂正を目的とするものには該当せず、請求項1について記載不備の拒絶理由は通知されていないから、同項第4号の明りょうでない記載の釈明を目的とするものにも該当しない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成16年5月27日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成16年4月30日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである(上記「1.」参照)。

(2)引用例等
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特開平9-55727号公報(以下、「引用例」という。)には、図面と共に次の記載がある。
「【請求項1】 異なる送信機から同じタイミング、同じ周波数で信号を送信するとともに、それぞれ同期をとるために送信信号中に既知のパタンを挿入して送信する無線システムにおいて、受信側の同期装置が、受信信号に対して所望波の既知のパタンとの相関をとる第1の相関手段と、受信信号に対して干渉波の既知のパタンとの相関をとる第2の相関手段と、第1および第2の相関手段からそれぞれ出力された相関値から同期判定を行い、先に同期が検出された方を同期確立と判定する同期判定手段とを備えた同期装置。」(1欄2〜11行)
「【0004】図6は送信信号のフレームフォーマットを示し、601はデータ、602は同期ワード、603はデータである。ここでは、同期をとるための既知のパタンである同期ワード602は送信信号の中央に配置している。シンボル長はMシンボルとし、ここではM=10である。通常、この既知のパターンを同期ワードの他に同期シンボルと呼ぶこともある。
【0005】メモリ503には、所望波の同期ワードswl1 、swl2 、・・・、swlM が保存される。swlX はxシンボル目の所望波の同期ワードの同相成分と直交成分の組みで、ここでは複素数として表現される。
【0006】図7は相関器501の構成例を示す。相関器501は、A/D変換された受信波の直交成分504と同相成分505が同期ワード長だけ保存されるシフトレジスタ701を有する。時刻Tにおいて、シフトレジスタ701は、時刻T-N+1からTまでのN個の受信データrT-N+1 、rT-N+2 、rT を保存する。rT は時刻Tにおける受信波の直交成分504と同相成分505の組みで、ここでは複素数として表現される。複素乗算器702は、シフトレジスタ701の内容(受信した所望波の同期ワード)とメモリ703の内容(メモリ503から移した所望波の同期ワード)とを複素演算し、その結果を加算器704に入力し、加算器704は相関値sを出力する。」(2欄11〜35行)
「【実施例】
(実施例1)図1は本発明の第1の実施例における同期装置の構成を示すものである。同じタイミング、同じ周波数で信号を送信し、それぞれ同期をとるために送信信号中に既知のパタンを挿入して送信する2つの異なる送信機をAとBとし、送信機Aが送信する信号を所望波、送信機Bが送信する信号を干渉波とする。図1において、101は送信機Aからの同期ワードと相関をとる相関器Aであり、102は送信機Aの同期ワードを保存するメモリAである。103は送信機Bからの同期ワードと相関をとる相関器Bであり、104は相関器Bからの同期ワードを保存するメモリBである。105は送信機Aの同期ワードとの相関値から同期判定を行うとともに、送信機Bの同期ワードとの相関値から同期判定を行い、先に同期が検出された方を同期確立と判定する同期判定回路である。106は相関器101、103および同期判定回路105を動作させる基準となるクロックパルス、107は受信波の直交成分、108は受信波の同相成分である。
【0015】以上のように構成された同期装置において、以下図1のブロック図および図6のフレームフォーマット図を参照してその動作を説明する。本実施例における送信信号のフレームフォーマットは、図6に示す従来例と同じものであり、同期をとるための既知のパタンである同期ワード602を送信信号の中央に配置しているが、データ601の前方またはデータ603の後方でも差し支えない。
【0016】メモリ102とメモリ104には、それぞれ所望波と干渉波の同期ワード(ここではMシンボルとする)sw11 、sw12 、・・・、sw1M 、sw21 、sw22 、・・・、sw2M が保存される。sw1X 、sw2X は、それぞれxシンボル目の所望波、干渉波の同期ワードの同相成分と直交成分の組みで、ここでは複素数として表現される。
【0017】相関器101の構成は、図7に示す従来例の相関器の構成と同じとする。相関器101は、A/D変換された受信波の直交成分と同相成分が同期ワード長だけ保存するシフトレジスタ701を有する。このシフトレジスタ701は、相関器103と共有することが可能である。時刻Tにおいて、シフトレジスタ701には、時刻T-N+1からTまでのN個の受信データrT-N+1 、rT-N+2 、rT が保存されている。rT は時刻Tにおける受信信号の同相成分と直交成分の組みで、ここでは複素数として表現される。複素乗算器702は、シフトレジスタ701の内容(受信した所望波の同期ワード)とメモリ703の内容(メモリ102から移された所望波の同期ワード)とを複素演算し、その結果を加算器704に入力し、加算器704は、相関値s1を出力する。
【0018】
【数2】(省略)
相関値s1は、Mシンボル分の所望波の同期ワードの波形と受信信号の波形がどれだけ似ているかを表し、波形が似ていれば似ているほど1に近づき、完全に一致するとき1になる。逆に波形が似ていなければ似ていないほど0に近づく。受信波形との相関をとる処理により、相関値が高い時刻であれば、同期ワードを受信していると判断することができる。
【0019】相関器103の構成も図7に示す従来例の相関器と同じである。相関器103は、A/D変換された受信波の直交成分と同相成分が同期ワード長だけ保存するシフトレジスタ701を有する。このシフトレジスタ701は、相関器101と共有することが可能である。時刻Tにおいて、シフトレジスタ701には、時刻T-N+1からTまでのN個の受信データrT-N+1 、rT-N+2 、rT が保存されている。rT は時刻Tにおける受信信号の同相成分と直交成分の組みで、ここでは複素数として表現される。複素乗算器702は、シフトレジスタ701の内容(受信した干渉波の同期ワード)とメモリ703の内容(メモリ104から移された干渉波の同期ワード)とを複素演算し、その結果を加算器704に入力し、加算器704は、相関値s2を出力する。
【0020】
【数3】(省略)
【0021】同期判定回路105では、相関器101と相関器103からの入力をもとに同期ワード受信時刻であるかどうかの判定を行う。例えば、相関器101または相関器103のどちらからでも早く高い相関値が得られたときを同期ワード受信時刻と判断する。」(3欄49行〜5欄37行)

上記記載から、引用例の送信信号はデジタル送信信号であり(【図6】等)、送信信号中に既知のパタンである同期ワード(同期シンボル)が含まれること(【0004】、【図6】等)、第1及び第2の相関手段は、A/D変換された受信信号が同期ワード長だけ保存されるシフトレジスタと、シフトレジスタの内容とメモリの内容とを受けるそれぞれ複数の乗算器と、該複数の乗算器からの信号を加算して相関値を出力する加算器とを備えること(【0006】、【0017】、【図7】等)、第1及び第2の相関手段に対応したメモリには、各々、異なる送信機からの送信信号に含まれる同期ワードsw1x 、sw2x が保存されており、両者は異なるワードであること(【0016】等)が、それぞれ認定できる。
したがって、引用例には、「異なる送信機から同じタイミング、同じ周波数で信号を送信するとともに、それぞれ同期をとるために送信信号中に同期ワードを挿入して送信する無線システムにおいて、受信側の同期装置が、受信信号に対して所望波の同期ワードとの相関をとる第1の相関手段と、受信信号に対して干渉波の同期ワードとの相関をとる第2の相関手段と、第1および第2の相関手段からそれぞれ出力された相関値から同期判定を行い、先に同期が検出された方を同期確立と判定する同期判定手段とを備えた同期装置であって、前記送信信号は、デジタル送信信号であり、一方の送信信号は同期ワードsw1x を有し、他方の送信信号は上記同期ワードとは異なる同期ワードsw2x を有し、第1及び第2の相関手段は、各々、A/D変換された受信信号が同期ワード長だけ保存されるシフトレジスタと、シフトレジスタの内容と対応する同期ワードを保存するメモリの内容とを受ける複数の乗算器と、該乗算器からの信号を加算して相関値を出力する加算器とを備える、同期装置。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

また、本件出願時において、受信信号の到来タイミングの検出方法として、「複数のタップを有する信号伝達経路と、前記複数のタップの各々からの受信信号列を一方入力に受け、他方入力に同期パターンのシンボル列をそれぞれ受ける複数の乗算器と、前記乗算器からの信号を加算して、検出信号を生成する加算器とを備える相関器」を用いることは周知であり、例えば、次の各文献に記載されている。
(ア)特開平4-72932号公報
「第3図に本発明のフレーム同期方式に用いる相関器の一例を示す。この相関器はトランスバーサルフィルタによって構成されている。トランスバーサルフィルタのタップ係数(C1〜Cn;302)はパターンメモリ102から与えられるもので、同期ワードの共役複素からなる。乗算部304はトランスバーサルフィルタの出力の電力を算出するものである。」(4頁上段右14行〜同頁下段左1行)
(イ)特開平8-298483号公報
「【0021】受信信号はアンテナ1を経た後、RF/IFモジュール2においてIF帯域に周波数変換される。RF/IFモジュール2から出力されるIF信号は直交復調部3へ入力され、直交する2相のベースバンド信号が生成される。生成された直交2相信号は、モジュールA4に入力され、トランスバーサルフィルタ7に入力される。トランスバーサルフィルタ7は、図9に示すブロック図の様に構成されており予め送信信号中に挿入されたデータパターン、例えば”1・・・011”と同じパターンをタップ利得として、データパターン長と同じ長さの遅延線19上の信号に重み付けし、その結果を一括して加算器12で加算し出力する。そして2つのトランスバーサルフィルタ7の出力IとQ(図示せず)から、振幅抽出器9においては、例えばROMやDSP等を用いてIとQの振幅√(I×I+Q×Q)が演算される。一方でモジュールA4に入力された直交2相信号は、検波器8によって復調され(なお、この検波器8は図12に示すような遅延検波型の検波器によって構成されている)、相関器で構成されるデータパターン抽出部10により、検波器8出力から上述のデータパターン”1・・・011”を抽出すると、そのタイミング情報から、振幅抽出器9においては、トランスバーサルフィルタ7においてのタップ利得のデータパターンと乗算器11で対応する遅延線19上のデータパターンが一致する時のIとQの振幅√(I×I+Q×Q)のみを保持し、振幅抽出器9の出力とする。そして検波器8出力から上述のデータパターン”1・・・011”を抽出する度にその出力を更新する。さらに、検波器8出力に対して、上述のデータパターンの位相が一致する時のIとQの振幅、すなわち振幅抽出器9出力が乗ぜられ、モジュールA4の出力となる。」(4欄49行〜5欄29行)
(ウ)特開平9-27797号公報
「【0008】概念上、固定長のPN符号検出整合フィルタ同期システムはタップ遅延線に受動型フィルタを加え、これを使用しPN符号の波形をマッチングさせるものと見做すことが可能である。図1は従来技術の信号検出整合フィルタ10の構築システムである。これには遅延線121 ,122, ………12n , 12n+1 を含んでおり、その各レベルは乗算器141 ,142 ,………14n-1,14n 及び加算器16に接続している。図中の四角内のTは遅延時間Tを表しており、X1,X2,…… Xn , X n+1 は入力の系列、a1……… an-1 ,an はPN符号である。」(4欄12〜21行)

(3)対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると、両者はともに、「複数のデジタル送信信号を受信する同期装置」であって、引用発明の「送信機」、「同期ワード」、「相関手段」は、本願発明の「ユーザ」、「トレーニングシンボル列」、「相関検出器」にそれぞれ相当し、引用発明の「A/D変換された受信信号が同期ワード長だけ保存されるシフトレジスタ」及び「シフトレジスタの内容と対応する同期ワードを保存するメモリの内容とを受ける複数の乗算器」と、本願発明の「複数のデジタル送信信号を含む入力信号を受け、複数のタップを有する信号伝達経路」及び「入力信号と前記複数のタップの各々からの信号を一方入力に受け、他方入力に対応するユーザのトレーニングシンボル列をそれぞれ受ける複数の乗算器」は、「複数のデジタル送信信号を含む入力信号を受ける信号伝達経路」及び「信号伝達経路からの信号を一方入力に受け、他方入力に対応するユーザのトレーニングシンボル列をそれぞれ受ける複数の乗算器」である点でそれぞれ共通するから、両者は、「複数のユーザからの複数のデジタル送信信号を受信する同期装置であって、前記複数のデジタル送信信号の各々は、対応するユーザごとに異なるトレーニングシンボル列を有し、前記同期装置は、前記複数のユーザにそれぞれ対応する複数の相関検出器を備え、前記複数の相関検出器の各々は、前記複数のデジタル送信信号を含む入力信号を受ける信号伝達経路と、信号伝達経路からの信号を一方入力に受け、他方入力に対応するユーザのトレーニングシンボル列をそれぞれ受ける複数の乗算器と、前記複数の乗算器からの信号を加算して、検出信号を生成する加算器とを備える、同期装置。」である点で一致し、次の点で相違する。
(ア)本願発明は、「複数のユーザからの複数のデジタル送信信号の到来タイミングを検出する同期検出装置」であるのに対し、引用発明は、「異なる送信機から同じタイミング、同じ周波数で信号を送信するとともに、第1および第2の相関手段からそれぞれ出力された相関値から同期判定を行い、先に同期が検出された方を同期確立と判定する同期判定手段とを備えた同期装置」である点。
(イ)相関検出器について、本願発明は、「複数のタップを有する信号伝達経路と、前記入力信号と前記複数のタップの各々からの信号を一方入力に受ける複数の乗算器」とを備えるものであるのに対し、引用発明は、「A/D変換された受信信号が同期ワード長だけ保存されるシフトレジスタと、シフトレジスタの内容を受ける複数の乗算器」とを備えるものである点。
上記相違点(ア)について検討する。引用発明は、「異なる送信機から同じタイミング、同じ周波数で信号を送信するとともに、第1および第2の相関手段からそれぞれ出力された相関値から同期判定を行い、先に同期が検出された方を同期確立と判定する同期判定手段とを備えた同期装置」であるものの、複数のユーザに同一チャネルを割り当てる通信方式は、例えばSDMAとして周知であり、引用発明を該周知の通信方式に適用して異なる送信機からの送信信号の各々の到来タイミングを検出するようにすることに何ら阻害事由はない。したがって、相違点(ア)に係る本願発明の構成を得ることは当業者が容易に想到し得ることである。
上記相違点(イ)について検討する。上記(2)で説示したように、同期タイミングの検出方法として、「複数のタップを有する信号伝達経路と、前記複数のタップの各々からの受信信号列を一方入力に受け、他方入力に同期パターンのシンボル列をそれぞれ受ける複数の乗算器と、前記乗算器からの信号を加算して、検出信号を生成する加算器とを備える相関器」を用いることは周知であり、一番目の乗算器に入力される信号として、信号伝達経路のタップ出力ではなく、入力信号を選択することは設計的事項にすぎないから、該周知技術を適用して相違点(イ)に係る本願発明の構成を得ることに困難性はない。
また、本願発明の効果も引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る範囲のものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-04-19 
結審通知日 2006-04-25 
審決日 2006-05-09 
出願番号 特願平11-177399
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04J)
P 1 8・ 572- Z (H04J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岡 裕之高野 洋  
特許庁審判長 廣岡 浩平
特許庁審判官 小林 紀和
中木 努
発明の名称 同期検出装置およびそれを備える無線装置  
代理人 酒井 將行  
代理人 野田 久登  
代理人 堀井 豊  
代理人 深見 久郎  
代理人 深見 久郎  
代理人 堀井 豊  
代理人 仲村 義平  
代理人 酒井 將行  
代理人 仲村 義平  
代理人 森田 俊雄  
代理人 森田 俊雄  
代理人 野田 久登  

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