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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 B65D
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B65D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1138775
審判番号 不服2003-14742  
総通号数 80 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-07-31 
確定日 2006-06-19 
事件の表示 平成 8年特許願第178585号「遮光性ラベル付き容器」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年12月22日出願公開、特開平 9-328161〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件は、平成8年6月19日(国内優先権主張 特願平8-113089号 平成8年4月9日)に出願されたものであって、平成15年6月18日付けで拒絶査定され、これに対し、平成15年7月31日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成15年8月28日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成15年8月28日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の結論]
平成15年8月28日付けの手続補正を却下する。
[補正却下の理由]
(1)本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を以下のとおりに補正することを含むものである。
【請求項1】合成樹脂の共押し出し成形による2層以上の積層樹脂層からなり、しかも遮光性の着色顔料を内填させた遮光性層を外層以外の層に具備している遮光性ラベルを、プラスチック容器本体の周壁部の外周に貼着してあることを特徴とする遮光性ラベル付き容器。
【請求項2】2層以上の積層樹脂層からなる遮光性ラベルが、ポリオレフィン系樹脂層同士の積層樹脂層からなる遮光性ラベルであることを特徴とする請求項1に記載の遮光性ラベル付き容器。
【請求項3】ポリオレフィン系樹脂層同士の積層樹脂層が、ポリオレフィン樹脂層同士の積層樹脂層であることを特徴とする請求項2に記載の遮光性ラベル付き容器。
【請求項4】ポリオレフィン系樹脂層同士の積層樹脂層が、ポリオレフィン樹脂層とエチレン-ビニルアルコール共重合体樹脂層との積層樹脂層であることを特徴とする請求項2に記載の遮光性ラベル付き容器。
【請求項5】2層以上の積層樹脂層からなる遮光性ラベルが、ポリオレフィン系樹脂層とポリ塩化ビニリデン樹脂層との積層樹脂層からなる遮光性ラベルであることを特徴とする請求項1に記載の遮光性ラベル付き容器。
【請求項6】遮光性ラベルの外層内に、帯電防止剤を内填させてあることを特徴とする請求項1〜請求項5のうちのいずれかの1項に記載の遮光性ラベル付き容器。
【請求項7】遮光性ラベルの外層内に、非遮光性の着色顔料を内填させてあることを特徴とする請求項1〜請求項6のうちのいずれかの1項に記載の遮光性ラベル付き容器。
【請求項8】ブロー成形の固定金型の内面に、遮光性ラベルを該ラベルにおける外層が金型面と接するようにして載置し、合成樹脂のブロー成形あるいは延伸ブロー成形による容器本体の成形と同時に該容器本体の周壁部の外周にラベルを貼着させてなることを特徴とする請求項1〜請求項7のうちのいずれかの1項に記載の遮光性ラベル付き容器。
【請求項9】射出成形の固定金型の内面に、遮光性ラベルを該ラベルにおける外層が該金型面と接するようにして載置し、合成樹脂の射出成形による容器本体の成形と同時に該容器本体の周壁部の外周にラベルを貼着させてなることを特徴とする請求項1〜請求項7のうちのいずれかの1項に記載の遮光性ラベル付き容器。
(2)補正の目的、特許請求の範囲の拡張、変更及び新規事項の追加の有無
上記特許請求の範囲の補正事項は、以下の2点である。
<補正事項1>補正前の請求項1の「合成樹脂の共押し出し成形又は合成樹脂フィルムのラミネート成形による2層以上の積層樹脂層」を「合成樹脂の共押し出し成形による2層以上の積層樹脂層」に補正した。
<補正事項2>補正前の請求項2を削除すると共に、補正前の請求項3ないし10を繰り上げて請求項2ないし9とした。
上記<補正事項1>は、「合成樹脂の共押し出し成形又は合成樹脂フィルムのラミネート成形による2層以上の積層樹脂層」という発明特定事項から、「合成樹脂フィルムのラミネート成形」という択一的記載の要素を削除する補正であるものと認められるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
上記<補正事項2>は、特許法第17条の2第3項第1号の請求項の削除を目的とするものに該当する。
そこで、上記補正後の請求項1に係る発明(以下、本件補正発明1という)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるか否かを以下に検討する。
(3)引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である特開平7-232723号公報には、以下の記載がある。
【0014】合成紙の素材の熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、例えば、ポリエチレン・・・・その他、およびこれらの混合物を例示することができる。これらの中でも耐水性、耐薬品性の面からポリプロピレン、ポリエチレンが好ましい。・・・・
【0017】光隠蔽層(B)
本発明における光隠蔽層(B)は・・・・合成紙(A)の裏面にカーボンブラック、酸化チタン等の顔料を5〜65重量%含有する肉厚2〜50μmのフイルム層を設けるか、・・・・
【0020】ブランク
ブランク(1)は、図1に示すように、合成紙(A)と光隠蔽層(B)と感熱性接着層(C)よりなり・・・・図2に示すコップ状容器用のもの、図3に示す角形容器用のものが利用される。・・・・
【0021】容器形成材料
射出成形、真空成形、圧空成形等により容器を形成する樹脂としては、高密度ポリエチレン。ポリプロピレン・・・・等が利用できる。・・・・
【0022】複合容器の成形
複合容器、即ち、ブランクが熱融着したカップ状容器(3)の成形は・・・・ブランク(1)を、その印刷面(2)が金型(4)に接するように、接着層が内面となるようにラベラーにて金型(4)内に供給し、減圧して金型内に固定し、次いで金型(4)の2〜10cm上方に加熱した成形用シート(5)を導き、1.5〜7kg/cm2 の圧空で、又は2〜60mmHgの減圧で、もしくは両者を併用して差圧成形することにより行われる(図4参照)。

(4)対比・判断
本件補正発明1と、上記引用文献に記載されたものとを対比する。
引用文献の「光隠蔽層(B)」「顔料」「合成紙(A)」「ブランク(1)」「カップ状容器(3)」は、それぞれ、本件補正発明1の「遮光性層」「遮光性の着色顔料」「外層」「遮光性ラベル」「プラスチック容器本体」に相当する。また、引用文献のブランク(1)は2層以上の層を有し、引用文献の顔料が設けられる光隠蔽層(B)は、外層となる合成紙(A)よりも内側に設けられている。更に、引用文献のブランク(1)が容器の周壁部の外周に貼着されていることは、図2〜5からみても明らかである。
以上のことからみて、本件補正発明1と引用文献とは、「2層以上の層からなり、遮光性の着色顔料を内填させた遮光性層を外層以外の層に具備している遮光性ラベルを、プラスチック容器本体の周壁部の外周に貼着してある遮光性ラベル付き容器。」で一致し、以下の点で相違する。
<相違点>本件補正発明1では、「遮光性層」と「外層」を含む2層以上の層として、合成樹脂の共押し出し成形による積層樹脂層を用いているのに対し、引用文献では、「外層」となる熱可塑性樹脂からなる合成紙の裏面に顔料を含有させたフィルム層を設けることにより、「遮光性層」と「外層」からなる層を作成成している点
上記<相違点>について検討する。
2層以上からなるラベルを作成する際、共押し出し成形によって積層樹脂層を作成することは、ラベルの分野において従来より周知慣用の手段であり(例えば、特開平7-230249号公報、特開平7-306643号公報参照)、引用文献に記載された「合成紙(A)」「光隠蔽層(B)」として、共押し出し成形によって作成した積層樹脂層からなるものとすることは、当業者であれば、容易になし得る程度のことに過ぎない。
そして、本件補正発明1の作用効果は、引用文献の記載及び上記周知の事項から当業者が予測可能な範囲内ものであって、格別なものではない。
したがって、本件補正発明1は、引用文献の記載及び上記周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本件発明について
(1)本件発明
平成15年8月28日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本件の請求項1ないし9に係る発明は、平成15年5月26日付け手続補正により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1の記載は、以下のとおりである(以下、本件発明1という)
【請求項1】合成樹脂の共押し出し成形又は合成樹脂フィルムのラミネート成形による2層以上の積層樹脂層からなり、しかも遮光性の着色顔料を内填させた遮光性層を外層以外の層に具備している遮光性ラベルを、プラスチック容器本体の周壁部の外周に貼着してあることを特徴とする遮光性ラベル付き容器。
(2)引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献、及び、その記載事項は、前記「2.(3)」に記載したとおりである。
(3)対比・判断
上記「2.(2)」で示したように、上記補正事項は、本件発明1の択一的記載である「合成樹脂の共押し出し成形又は合成樹脂フィルムのラミネート成形による」を「合成樹脂の共押し出し成形」にするものであるので、本件発明1も本件補正発明1と同様に、前記「2.(4)」に示したとおり、引用文献の記載及び上記周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
したがって、本件発明1は、引用文献に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
以上のとおりであるので、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-04-07 
結審通知日 2006-04-18 
審決日 2006-05-01 
出願番号 特願平8-178585
審決分類 P 1 8・ 571- Z (B65D)
P 1 8・ 572- Z (B65D)
P 1 8・ 575- Z (B65D)
P 1 8・ 121- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 溝渕 良一川本 真裕  
特許庁審判長 寺本 光生
特許庁審判官 宮崎 敏長
一ノ瀬 覚
発明の名称 遮光性ラベル付き容器  
代理人 新井 清子  

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