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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 D05C
管理番号 1138832
審判番号 不服2003-23283  
総通号数 80 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-09-19 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-12-01 
確定日 2006-06-21 
事件の表示 平成 6年特許願第 56606号「光輝性刺繍の加工方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 9月19日出願公開、特開平 7-243166〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 <1>手続の経緯・本願発明
本件は、平成6年3月2日の出願であって、その後、請求項1及び請求項2に対して拒絶理由が通知され、平成15年7月17日に手続補正がなされ、平成15年10月23日付け
で拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月1日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものであり、本願発明は、平成15年7月17日に手続補正がなされた次の通りのものである。
「【請求項1】生地上に刺繍を施す場合において、あらかじめ所定の形状にカットした柔軟且つ展伸性を有する材質の光輝性シートを、その裏面に接着剤を介して生地上に貼着させる工程と、該光輝性シートの上面に、少なくとも該光輝性シートの一部を露出させて刺繍を施す工程とからなる光輝性刺繍の加工方法。
(以下、「本件発明1」という」)
【請求項2】生地上に刺繍を施す場合において、あらかじめ所定の形状にカットした柔軟且つ展伸性を有する材質の光輝性シートを、その裏面に感熱性接着剤を介して生地上に載置し、その上から加圧かつ加熱して貼着させる工程と、光輝性シートの上面から、少なくとも該光輝性シートの一部を露出させて生地に刺繍を施す工程とからなる光輝性刺繍の加工方法。」
<2>引用例
上記本件発明1に対して、原査定の拒絶の理由には、下記の刊行物が引用されている。
引用例1:実公昭44-16386号公報

引用例1には、図面を引用して、次の記載がある(以下、「引用例1記載の発明」という)。
a:
「実用新案登録請求の範囲
1mm中に300〜1500本の細い格子状条溝を有する可塑物質膜体gを、細糸lでもって前記膜体1の表面に縫目が網目状となるように織物に縫い付けてなる装飾織物。」
(実用新案登録請求の範囲)
b:
「光の波長と同程度の小間隔で小物体が並列する場合には光の回折の現象が著るしく現われて、光のスペクトル、すなわち回折スペクトルが見られる。
すなわち金属、またはガラス面上に多数の等間隔条溝を描刻(1mm当り300〜1500本)することにより、光線が回折分散され、虹状の彩色輝光が得られる。この回折格子を手軽に多数得る手段として、金属面にダイヤモンドで条溝を刻んだ格子面を母型として、この上にプラスチックセルロイドなどの可塑物質膜面を当てがい、この可塑膜上に格子溝を複製する方法も知られている
このようにして複製された格子溝を有する膜体(以下レプリカという)は、第4図に示すごとく膜体G’の格子面に真空蒸着等で鏡面G″を成形し、その上を透明な保護被膜G″′でおおい、ネクタイピン、イヤリング、時計の文字板などに貼り付けて装飾用に利用されている。
このレプリカは光の方向、種類あるいは強度等あらゆる光線の変化にしたがって、それぞれ趣きの異なった彩光を放つのが特徴である。」
(第1欄28行〜第2欄9行)
c:
「この考案は上記の欠点に鑑み、レプリカが織物より剥れることなく、レプリカ表面に傷のつくこともなく、長期間にわたり美しい色光を発光し得しかもレプリカよりの回折光の彩光をもち、織物模様により調整し得る装飾織物を提供しようとするもので、所定の模様、形状のレプリカを織物(布地)に細糸でもってレプリカ表面に縫目が細目状になるように縫い付けたものである。」
(第2欄27〜34行)
d:
「以下図面により説明する。第1図はこの考案による装飾織物の一例を示すもので、1は織物(布地)、2は布地に描かれたあるいは機織りの際構成された模様で例えば蝶である。g,g′,g″,g′″は蝶の羽の部分に取り付けられるレプリカでこれは細い糸lで網目状に前記布1に縫い付けられている。
第2図はその縫い付け法の一例を示すもので、レプリカgを布地1の適当な個所に貼り付け等により動かないように載置し、斜糸l1r,l2r,l3r……とl1L ,l2L ,l3L……により互に交叉するように斜め方向に縫いつけヒシ形の網目Xを形成し、さらに経糸l1v,l2v,l‘3v……により縦方向に縫い付け上記ヒシ形網目Xを細分し、3角と6角状の網目Y,Yl,Zを形成せしめたものである。」
(第2欄35行〜第3欄行)
e:
「なお、レプリカ膜体は厚さ200μ以下のセルロイド、プラスチックの膜体であるので、それの縫い付けは簡単に行ない得る。」
(第3欄12〜14行)

<3>本件発明1と引用例1記載の発明との対比・判断
本件発明1と引用例1記載の発明とを対比すると、
引用例1記載の発明の「織物(布地)」は、本件発明1の「生地」に相当し、引用例1記載の発明の「貼り付け」は、本件発明1の「接着剤を介して(生地上に)貼着させる」に相当するということができる。
また、引用例1記載の発明における「レプリカ」は、
「光の波長と同程度の小間隔で小物体が並列する場合には光の回折の現象が著るしく現われて、光のスペクトル、すなわち回折スペクトルが見られる。すなわち金属、またはガラス面上に多数の等間隔条溝を描刻(1mm当り300〜1500本)することにより、光線が回折分散され、虹状の彩色輝光が得られる。この回折格子を手軽に多数得る手段として、金属面にダイヤモンドで条溝を刻んだ格子面を母型として、この上にプラスチックセルロイドなどの可塑物質膜面を当てがい、この可塑膜上に格子溝を複製する方法も知られている。このようにして複製された格子溝を有する膜体(以下レプリカという)」(記載b)と、定義されており、
その作用は、
「光の方向、種類あるいは強度等あらゆる光線の変化にしたがって、それぞれ趣きの異なった彩光を放つ」(記載b)というものであるから、
引用例1記載の発明における「レプリカ」、「レプリカ膜体」(記載e)、「1mm中に300〜1500本の細い格子状条溝を有する可塑物質膜体」(記載a)は、本件発明1の「光輝性シート」に相当するということができる。
さらに、引用例1記載の発明において、「所定の模様、形状のレプリカ」(記載c)、「g,g′,g″,g′″」(記載d)、「レプリカg」(記載d)、「1mm中に300〜1500本の細い格子状条溝を有する可塑物質膜体g」(記載a)は、
第1〜3図のレプリカgに例示されているように、一定の形状に形成されたものである(同様の意味で略して「レプリカ」と、用いられている場合もある)から、
本件発明1にいう「あらかじめ所定の形状にカットした光輝性シート」に相当するということができる。
ところで、一般に、「刺繍」は「糸を通した針で布を表と裏とから刺し、布の表又は表裏両面に糸で絵画や文様を表したもの」(「原色染織大辞典」板倉寿郎・野村喜八・元井能・吉川旗清兵衛・吉田光邦 監修、株式会社淡交社発行(昭和52年6月6日初版発行)、第484頁参照)である。
そうすると、引用例1記載の発明の実施例において、糸で縫いつけられた「3角と6角状の網目」(記載d)は一種の「文様」であるということができ、引用例1記載の発明の「縫目が網目状となるように(織物に)縫い付け」るは、本件発明1の「刺繍を施す」に相当するということができるから、
両者は、
「生地上に刺繍を施す場合において、あらかじめ所定の形状にカットした光輝性シートを、その裏面に接着剤を介して生地上に貼着させる工程と、該光輝性シートの上面に、少なくとも該光輝性シートの一部を露出させて刺繍を施す工程とからなる光輝性刺繍の加工方法」で、一致するが、
本件発明1の光輝性シートが「柔軟且つ展伸性を有する材質」であるのに対し、引用例1記載の発明においては特に明記されていない点で、相違する。
<3-2>相違点について検討
上記相違点について、次に検討する。
本件発明1の「光輝性シート」が「柔軟且つ展伸性を有する材質」である点について、
本件明細書の詳細な説明において「光輝性シート2」は、「たとえばポリエステルフィルムをはじめ、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、その他の軟質または硬質塩化ビニル樹脂、フッソ樹脂、ポリイミド、セロファン等のような、厚さが0.1mm以下のフィルム状のものが好ましく、またそれらの材質のもののうち厚さが0.1mmを超えるものをも含めたシート状のものであって、表面に均一な光沢を有する光輝性のものである必要があり、柔軟でしかもそれ自体が独自の展伸性を有する材質のものが望ましく・・・」と記載されているが、該「柔軟」、独自の「展伸性」が具体的にどのようなものであるかについては、特に記載はない。
一方、引用例1記載の発明における光輝性シート(レプリカ)は、「厚さ200μ以下のセルロイド、プラスチックの膜体であるので、それの縫い付けは簡単に行ない得る。」(記載e)というものであるから、引用例1記載の発明の「プラスチックの膜体」は、本件発明1についての上記詳細な説明の記載の「フィルム状のもの」「シート状のもの」に相当し、且つ、厚さが「200μ以下」、即ち、0.2mm以下であるから、
引用例1記載の発明の「厚さ200μ以下の・・・プラスチックの膜体」は、本件発明1についての詳細な説明における上記記載の「・・・厚さが0.1mm以下のフィルム状のものが好ましく、また、それらの材質のもののうち厚さが0.1mmを超えるものをも含めたシート状のもの」を含んでいる。
しかも、刺繍等をする場合の扱いやすさについては、引用例1記載の発明は「レプリカ膜体は厚さ200μ以下のセルロイド、プラスチックの膜体であるので、それの縫い付けは簡単に行ない得る。」(記載e)というものであるから、「柔軟且つ展伸性」について本件発明1と格段の差異は認められない。
そうすると、引用例1記載の発明の上記光輝性シート(レプリカ)を、「柔軟且つ展伸性を有する材質」であるものにして本件発明1の構成にすることは、格段の困難性は認められず、当業者が必要に応じて容易になし得る設計上の変更であると、いうことができる。
したがって、本件発明1は、引用例1記載の発明から当業者が容易に想到し得るものであるということができる。
そのことによる効果も、予測可能なものである。
<5>むすび
以上のとおり、本件請求項1に係る発明は、引用例1記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、他の請求項について検討するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論の通り審決する。
 
審理終結日 2006-03-31 
結審通知日 2006-04-11 
審決日 2006-04-26 
出願番号 特願平6-56606
審決分類 P 1 8・ 121- Z (D05C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西山 真二  
特許庁審判長 寺本 光生
特許庁審判官 中西 一友
西村 綾子
発明の名称 光輝性刺繍の加工方法  
代理人 吉村 公一  

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