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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1139083 |
審判番号 | 不服2003-2682 |
総通号数 | 80 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1996-01-19 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-02-20 |
確定日 | 2006-06-30 |
事件の表示 | 平成 6年特許願第167474号「データ出力装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 1月19日出願公開、特開平 8- 16586〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯 本願は、平成6年6月28日の出願であって、平成12年1月24日付け、平成13年6月11日付け、平成14年1月7日付け及び平成14年6月11日付けで手続補正書を提出したが、平成14年6月11日付け手続補正書による補正は却下され、平成15年1月28日付けで拒絶査定がなされたところ、これに対して平成15年2月20日に拒絶査定に対する審判の請求がされるとともに、同日に手続補正書が提出されたものである。 2.補正却下の決定 平成15年2月20日に提出された手続補正書による補正の却下の決定 (1)[補正却下の決定の結論] 平成15年2月20日に提出された手続補正書による補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 (2)[補正却下の決定の理由] (a)補正の内容 本件補正によると、その特許請求の範囲は、次のとおり補正された。 「【請求項1】分類情報と期間情報とが割り当てられたデータを複数記憶するデータ記憶手段と、 前記複数の分類情報の内で任意の分類を指定する指定手段と、 現在の計時情報を計時手段から取得する取得手段と、 前記データ記憶手段に記憶された複数のデータの内で、前記取得手段で取得された計時情報に該当する期間情報が割り当てられ、且つ前記指定手段で指定された分類に該当する分類情報が割り当てられた複数の対象データを抽出する抽出手段と、 前記抽出手段で抽出された対象データの中で任意に選択されたデータを出力するデータ出力手段と、 を具備したことを特徴とするデータ出力装置。」 (b)補正の可否の検討 以下、本件補正が、特許法第17条の2第4項第2号に規定する補正の目的の規定に該当するか否かについて検討する。 平成14年6月11日付け手続補正書による補正は却下されたので、本件補正前の補正である平成14年1月7日付け手続補正書の特許請求の範囲は、次のように記載されている。 「【請求項1】画像の差し込まれた文書データを作成する文書処理装置であって、 文書データを記憶する文書記憶手段と、 複数の画像データを記憶する画像記憶手段と、 この画像記憶手段に記憶されている各々の画像データに対応して画像呼び出しの時期を示す期間情報を記憶する期間情報記憶手段と、 計時情報を得る計時手段と、 この計時手段によって得られた計時情報に該当する期間情報を前記期間情報記憶手段から検索する検索手段と、 この検索手段によって検索された期間情報に対応する各画像データを前記画像記憶手段から読み出す読出手段と、 この読出手段によって読み出された各画像データを選択候補として表示する表示手段と、 この表示手段によって表示された各画像データのうちで任意に選択された画像データを指定する画像データ指定手段と、 前記文書データ中において任意に指定された位置を画像差し込み位置とし、その差し込み位置に前記指定された画像データを差し込むことで画像の差し込まれた文書データを作成する文書作成手段と、 を具備したことを特徴とする文書処理装置。」 本件補正後の請求項1の記載には、補正前に存在した「文書データを記憶する文書記憶手段」、「複数の画像データを記憶する画像記憶手段」及び「文書データ中において任意に指定された位置を画像差し込み位置とし、その差し込み位置に前記指定された画像データを差し込むことで画像の差し込まれた文書データを作成する文書作成手段」という限定が存在しない。 そうすると、「分類情報と期間情報とが割り当てられたデータを複数記憶するデータ記憶手段」及び「複数の分類情報の内で任意の分類を指定する指定手段」という限定をしていても、他の面で請求の範囲を拡張することとなる本件補正は、特許法17条の2第4項2号の定める「特許請求の範囲の減縮」には該当しない。 したがって、上記補正は特許法17条の2第4項2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」に該当しない。 また、この補正は、同条同項1号、3号、4号のいずれに規定する補正目的にも該当しない。 (c)まとめ 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第4項各号のいずれの規定にも適合しないから、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願の特許法第29条第2項該当性について (a)本願発明 上記のとおり、本件補正は却下されたので、本願の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明の要旨は、平成14年1月7日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりである(以下、「本願発明」という。)。 「画像の差し込まれた文書データを作成する文書処理装置であって、 文書データを記憶する文書記憶手段と、 複数の画像データを記憶する画像記憶手段と、 この画像記憶手段に記憶されている各々の画像データに対応して画像呼び出しの時期を示す期間情報を記憶する期間情報記憶手段と、 計時情報を得る計時手段と、 この計時手段によって得られた計時情報に該当する期間情報を前記期間情報記憶手段から検索する検索手段と、 この検索手段によって検索された期間情報に対応する各画像データを前記画像記憶手段から読み出す読出手段と、 この読出手段によって読み出された各画像データを選択候補として表示する表示手段と、 この表示手段によって表示された各画像データのうちで任意に選択された画像データを指定する画像データ指定手段と、 前記文書データ中において任意に指定された位置を画像差し込み位置とし、その差し込み位置に前記指定された画像データを差し込むことで画像の差し込まれた文書データを作成する文書作成手段と、 を具備したことを特徴とする文書処理装置。」 (b)引用例 (b)-1 原査定の拒絶の理由に引用された、特開昭63-54664号公報(以下、「引用例1」という。)には、図とともに以下の記載がある。 「この発明に係るワードプロセッサは、各季節に対する季節の挨拶文を記憶している慣用文記憶部と該慣用文記憶部に記憶している各季節の挨拶文と該挨拶文を使用する期間の月/日の対照リストと、現時点の月/日を確認できるカレンダータイマと、操作部からの指示によって上記カレンダタイマから現時点の月/日を読み取り、上記対照リストの情報を使用して上記慣用文記憶部から現時点の月/日に対する季節の挨拶文を検索する手段を備えたものである。 〔作用〕 この発明のワードプロセッサでは、カレンダタイマで現時点の月/日を確認でき、対照リストで該月/日に対する季節の挨拶文がわかるので、自動的に現季節にふさわしい季節の挨拶文が選択される。 〔発明の実施例〕 第1図はこの発明の一実施例を示すブロック図であり、図において(1),(2),(3),(4),(5)は第2図の同一符号が示す部分と同一または相当する部分を示し、(2-1)は操作部(2)のうちの季節の挨拶文の出力指示機構で、例えば、「季節の挨拶」と印字されたキートップ及び関連制御機構であり、(4-1)は慣用文記憶部(4)のうちの季節の挨拶文記憶部、(6)はカレンダタイマ、(7)はカレンダタイマ(6)の出力(月/日)と記憶部(4-1)に記憶されている各季節の挨拶文の対応を示す対照リストである。 オペレータが季節の挨拶文を引用したいときは、「季節の挨拶」キーを押すと、このキーに応じたコードが制御部(1)に送られて解読され、検索部(5)に季節の挨拶文検索の指示が出される。このとき、指示は特定の挨拶文を指示することなく、単に季節の挨拶文の検索を指示するのみであることが特徴である。 この指示を受けた検索部(5)は、カレンダタイマ(6)から現時点が何月何日であるかを読みとり、対照リスト(7)からこの月/日に対応する季節の挨拶文を確認し、季節の挨拶文記憶部(4-1)から該挨拶文を検索する。 検索された挨拶文は、制御部(1)の制御のもとに、読み出され、文章の指示された個所に挿入される。 上記実施例には、季節の挨拶文の読み出しを特別に設けたキーで指示する構成のものを示したが、従来のキーの組み合せ、あるいは、制御コマンドなどで指示する構成とすることもできる。 〔発明の効果〕 以上のとおり、この発明によれば、季節の挨拶文を、オペレータが季節に応じて選択する必要がなくなり、自動的にその季節にふさわしい挨拶文が選択されるという効果がある。」(第2頁左上欄第13行〜右下欄第2行) 以上の記載によれば、この引用例1には以下のような発明(以下、「引用例1記載の発明」という。)が開示されていると認められる。 「季節の挨拶文を記憶する季節の挨拶文記憶部(4-1)と、 この季節の挨拶文記憶部(4-1)に記憶されている各季節の挨拶文を使用する期間の月/日を記憶する対照リスト(7)と、 カレンダタイマ(6)と、 このカレンダタイマ(6)から現時点の月/日を読みとり、前記対照リスト(7)からこの月/日を検索して対応する季節の挨拶文を確認し、この月/日に対応する季節の挨拶文を前記季節の挨拶文記憶部(4-1)から読み出す検索部(5)とを備え、 この検索部(5)によって読み出された挨拶文を、指示された文章の箇所に挿入して文書を作成するワードプロセッサ。」 (b)-2 原査定の拒絶の理由に引用された、特開平3-52060号公報(以下、「引用例2」という。)には、図とともに以下の記載がある。 (イ)「この発明は、日本語ワードプロセッサやパーソナルコンピュータ、オフィスコンピュータ、DPS(データ・プロセツシング・システム)、その他各種の定型句入力機能を有する情報処理装置の改良に係り、特に、手紙や通信文等で使用する挨拶などの慣用句が、季節の変化に対応して迅速に選択できるようにして、操作性を向上させた情報処理装置に関する。 従来の技術 従来から、日本語ワードプロセッサ等の情報処理システムでは、通信文の冒頭の挨拶や、相手の名称等の決まり文句(いわゆる定型句)を迅速に入力できるように、定型句入力機能が付加されている。 この定型句入力とは、入力装置上で、特定のキーを押下することにより定型句入力モードを設定する。」(第1頁右下欄第5行〜第2頁左上欄第1行) (ロ)「この発明の定型句入力機能を有する情報処理装置では、時節に関係のある候補の表示に際し、入力日時により候補選択メニューの表示順位を変えるようにしている。 すなわち、入力日時に適した候補選択メニューが、常に、最初に表示されるようにしているので、定型句入力の操作性が著しく向上される。 そこで、最初に、候補選択メニューの表示順位を制御する検索順序テーブルについて、その内容の一例を述べる。 第2図は、この発明の定型句入力機能を有する情報処理装置について、検索順序テーブルの一例を示す図である。 この第2図では,定型句辞書を「春」、「夏」、「秋」、「冬」、「その他用辞書(その他)」の5個に分割する場合とする。 なお、「その他用辞書」には、時節に関係のない定型句が登録されている。この実施例では、この「その他用辞書」の順位は、常に,2番目とする。 定型句入力モードが選択されると、CPU1は、クロツク発生部6から現在の日時を取得し、その日時に従って検索順序テーブル(前出の第2図)を作成する。 この検索順序テーブルにしたがって、候補選択メニューの表示順位を決定する。 第3図(1)と(2)は、この発明の情報処理装置において、定型句入力時における候補定型句の選択メニューの一例を示す図で、(1)は春の定型句を選択する場合、(2)は冬の定型句を選択する場合を示す。 この第3図(1)は、入力する場合である。 先の第2図に示したように、春→その他→夏→秋→冬の順で候補選択メニューの表示順位が決められているので、4〜6月に春の定型句を選択する場合には、3ステップで選択終了となる。 第3図(2)は、l2〜3月に入力する場合であり、この時節に冬の定型句を選択する場合にも、同様に、3ステップで選択終了となる。 その他の時節に、その時節の定型句を選択する場合にも、常に、3ステップで選択が終了する。」(第3頁左上欄第7行〜左下欄第7行) (c)対 比 そこで、本願発明と上記引用例1記載の発明とを対比する。 引用例1記載の発明の「ワードプロセッサ」は、「文書データを作成する文書処理装置」であって、「文書データを記憶する文書記憶手段」及び文書データを表示する表示手段を備えることは明らかである。 そして、引用例1記載の発明の「記憶部」、「使用する期間の月/日」、「対照リスト」、「カレンダタイマ」、「検索部」、「文章」及び「挿入」は、それぞれ本願発明の「記憶手段」、「期間情報」、「期間情報記憶手段」、「計時手段」、「「検索手段」及び「読出手段」」、「文書データ」及び「差し込み」に相当するものと認められる。 さらに、引用例1記載の発明の「季節の挨拶文」と本願発明の「画像データ」は、文書データ中において任意に指定された位置を差し込み位置とし、その差し込み位置に差し込まれる所定のデータである点で対応している。 したがって、両者は、 「所定のデータが差し込まれた文書データを作成する文書処理装置であって、 文書データを記憶する文書記憶手段と、 複数の所定のデータを記憶するデータ記憶手段と、 このデータ記憶手段に記憶されている各々の所定のデータに対応してデータ呼び出しの時期を示す期間情報を記憶する期間情報記憶手段と、 計時情報を得る計時手段と、 この計時手段によって得られた計時情報に該当する期間情報を前記期間情報記憶手段から検索する検索手段と、 この検索手段によって検索された期間情報に対応する所定のデータを前記データ記憶手段から読み出す読出手段と、 文書データ中において任意に指定された位置をデータ差し込み位置とし、その差し込み位置に前記読出手段によって読み出された所定のデータを差し込むことでデータの差し込まれた文書データを作成する文書作成手段と、 を具備した文書処理装置。」 で一致するものであり、次の点で相違している。 本願発明は、「所定のデータ」が「画像データ」であり、読出手段によって読み出された各画像データを選択候補として表示する表示手段と、この表示手段によって表示された各画像データのうちで任意に選択された画像データを指定する画像データ指定手段とを具備し、前記指定された画像データを差し込むのに対し、引用例1記載の発明は、「所定のデータ」が「季節の挨拶文」であって、読出手段によって読み出された季節の挨拶文を差し込むものである点。 (d)当審の判断 そこで、上記相違点について検討する。 引用例2には、ワードプロセッサ等の情報処理システムにおいて、手紙や通信文等で使用する挨拶などの定型句を入力する時に、候補選択メニューを選択することにより、特定の時節に関係のある複数の定型句を表示装置に表示し、表示された複数の定型句のうちの1つを任意に指定することにより、任意の定型句を選択して入力することが記載されている。 また、文書中の所定の位置に文章,イメージ(画像)等を差し込むことは、本出願前周知の技術(特開平6-44242号公報、段落【0114】〜【0116】参照)である。 そうすると、引用例1記載の発明において、差し込むデータを文章(挨拶文)に代えて、画像データとし、記憶手段から読み出された画像データを一覧表示して、一覧表示された画像データのうちの一つを指定して選択するようにすることは、上記引用例2の記載及び周知技術から、当業者が容易になし得ることである。 また、上記の相違点により奏される効果は、引用例1、2に記載された発明及び周知技術から当業者であれば予想できる範囲内のものである。 したがって、本願発明は引用例1、2に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。 4.むすび 以上のとおり、本願発明は、上記引用例1,2に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-04-19 |
結審通知日 | 2006-04-25 |
審決日 | 2006-05-09 |
出願番号 | 特願平6-167474 |
審決分類 |
P
1
8・
572-
Z
(G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 貝塚 涼、金子 幸一 |
特許庁審判長 |
大野 克人 |
特許庁審判官 |
右田 勝則 和田 志郎 |
発明の名称 | データ出力装置 |