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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1139217
審判番号 不服2001-18763  
総通号数 80 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-01-12 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-10-18 
確定日 2006-07-06 
事件の表示 平成 9年特許願第107704号「ゲーム装置、その画像処理方法、並びに記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 1月12日出願公開、特開平11- 4968〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.出願の経緯
本願は、平成9年4月24日の出願であって、平成13年8月6日付で手続補正がなされた後、同年9月13日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月18日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年11月19日付で手続補正がなされたものである。

第2.平成13年11月19日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成13年11月19日付の手続補正を却下する。

[理由]
1.請求項7に係る補正
平成13年11月19日付けの手続補正(以下、本件補正という。)により、特許請求の範囲の請求項7は、
「【請求項7】 制限時間中に遊技者に所定の操作を要求するゲーム処理プログラムが記録された記録媒体において、コンピュータに、
第1の制限時間以下の時間だけ第1表示枠を表示し、第2の制限時間以下の時間だけ第2表示枠を前記第1表示枠とは別に表示するものであって、前記第2表示枠の表示中に前記第1表示枠を少なくとも一回以上表示し、
少なくとも一回表示される前記第1表示枠の各々は、表示内容および当該表示内容に応じて前記第1の制限時間が予め設定され、一の表示内容の第1表示枠に対し、遊技者が当該第1表示枠に設定された第1の制限時間内に所定の操作を行った場合または当該第1の制限時間が経過した場合にその表示を終了させ、
前記第1表示枠に対する遊技者の操作状況または前記第1の制限時間内にその操作をしなかったという状況に応じて、進行しているシナリオの前記状況以降のゲームのシナリオを変更してゆき、前記第1表示枠の表示が終了した時に前記第2の制限時間に達していなければ、再び他の第1表示枠を表示するようにしたゲーム処理プログラムが記録された記録録媒体。」
と補正された。

上記補正は、請求項7に「前記第1表示枠の表示が終了した時に前記第2の制限時間に達していなければ、再び他の第1表示枠を表示する」等の文言が加入されたものであるから、まず、補正後の請求項7に記載された発明(以下、本願補正発明という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.独立特許要件(特許法第29条)について
(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記第2.1.に記載された請求項7のとおりのものである。

(2)刊行物
刊行物A:特開平9-28918号公報

(3)刊行物に記載された発明
本願の出願の日前に頒布された上記刊行物Aには、次の事項が記載されている。

(3-1)「図1は、本発明の第1実施形態である楽曲を用いたゲーム機を示す図であって、その回路構成を示すブロック図である。この図において、10は制御回路であり、本実施形態の楽曲を用いたゲーム機全体の制御を行う。この制御回路10は、一例としてCPU(中央処理回路)、あるいはCPUに周辺回路を含めたマイクロコンピュータ等で構成される。この制御回路10には、ハードウェア又はソフトウェア的に構成されるタイマー(図示略)が内蔵されている。・・・
13は、後述する制御手順を制御回路10が実行するためのプログラムが格納されているプログラムメモリであり、ROM等から構成される。・・・
図2は、本実施形態の楽曲を用いたゲーム機の操作部の概略構成を示す平面図である。本実施形態の楽曲を用いたゲーム機は2人のプレーヤーが楽曲当てを競うものであり、同一構成の押釦が2組設けられている。1人のプレーヤーには、それぞれ1個の早押し用釦30(または31)及び4個の回答用釦32a〜32d(または33a〜33d)が割り当てられている。それぞれの釦30、31、32a〜32d、33a〜33dには、プレーヤーにより釦30、31、32a〜32d、33a〜33dが操作されたときにONするスイッチ(図示略)が付設されている。なお、以下の説明において、特に区別する必要のあるとき以外は符号30、32a〜32dにより代表してそれぞれの早押し釦、回答用釦の説明とする。」(段落【0009】〜【0014】)

(3-2)「-第2実施形態-
上述の第1実施形態では、一定の問題数を出題するまではゲームが終了しなかったが、正解・誤答にかかわらず所定時間経過したらゲームを終了させるようにしてもよい。
図13〜図14は、本発明の第2実施形態である楽曲を用いたゲーム機の動作を説明するためのフローチャートである。本実施形態のゲーム機の構成は上述した第1実施形態のゲーム機と略同一であり、後述するように所定時間が経過したらゲームを終了させる点が第1実施形態と異なる。従って、その動作を図13〜図14のフローチャートによって説明し、その他の構成要素については第1実施形態のものと同一の符号を付し、その説明を省略する。
図13のフローチャートに示すプログラムは、図略の電源スイッチがONされることにより開始する。まず、ステップS31では図略のコイン投入口からプレーヤーによりコインが投入されるのを待ち、コインが投入されるとステップS32に進む。
ステップS32では、制御回路10内のタイマ1による計時が開始する。このタイマ1はゲーム終了を判定するためのタイマであり、一例として40秒、60秒といった時間間隔を計時する。ステップS33では、このタイマ1により所定時間が計時されたか否かが判定され、判定が肯定されるとゲーム終了としてステップS43に進み、判定が否定されるとステップS34に進む。
ステップS34では出題する楽曲を決定し、ステップS35では、出題曲として決定された楽曲に対して誤答となる楽曲名及び事項の選択肢パターンを決定する。本実施形態では、選択肢パターンの選択基準として上述の第1実施形態で示された基準e〜gのみを使用する。そして、誤答となる楽曲名及び事項の選択肢パターンに基づいて、誤答となる楽曲名及び事項の選択肢を決定する。
ステップS36では、ステップS35で決定された誤答となる楽曲の選択肢の表示順序、言い換えれば回答用釦32a〜32dと選択肢との関係付けを決定する。ステップS37では、ステップS36において決定された表示順序に基づいて選択肢がモニター21により表示される。
続いて、ステップS38では、ハードディスク11内に格納された出題曲の音源データが検索された後、検索された音源データのイントロ部が音声処理回路22及びスピーカ23により再生される。加えて、音源データの再生と同時に制御回路10内のタイマ2による計時が開始する。このタイマ2は1つの問題(選択肢)の出題終了を判定するためのタイマであり、一例として2秒といった時間間隔を計時する。
ステップS39では、いずれかのプレーヤーによって早押し用釦30、31が操作されてスイッチがONしたか否かが判定され、判定が肯定されるとステップS40に進み、判定が否定されるとステップS44に進む。ステップS40では、もしイントロ部演奏中であれば演奏を停止した後、早押し用釦30、31が操作された側のプレーヤーに割り当てられている回答用釦32a〜32d、33a〜33d(つまり早押し用釦30が操作されたことがステップS39で判定されたときは回答用釦32a〜32d、早押し用釦31が操作されたときは回答用釦33a〜33d)のみ入力を許容した状態で、いずれかの回答用釦32a〜32dが操作されてスイッチがONしたか否かが判定され、判定が肯定されるとステップS41に進み、判定が否定されるとステップS46に進む。
ステップS41では、ステップS12で操作された回答用釦32a〜32dにより入力された選択肢が正解であるか否かが判定され、判定が肯定されるとステップS42に進み、判定が否定されるとステップS47に進む。
ステップS42では、早押し用釦30及び回答用釦32a〜32dを操作したプレーヤーが正解したことを示す画面がモニター21に表示された後、タイマ1により所定時間が計時されたか否かが判定され、判定が肯定されるとゲーム終了としてステップS43に進み、判定が否定されるとステップS34に進む。
ステップS43では、ゲームの結果、すなわち各プレーヤーの得点及び勝敗を示す画面をモニター21に表示する。本実施形態の場合、所定時間(タイマ1の計時時間)内においてどれだけ多く正解できるかを競うのであり、正解回数の多少(あるいは正解回数に比例する点数)により勝敗判定が行われる。
一方、ステップS44では、タイマ1により所定時間が計時されか否かが判定され、判定が肯定されるとステップS43に進み、判定が否定されるとステップS45に進む。ステップS45では、タイマ2により所定時間が計時されたか否かが判定され、判定が肯定されるとステップS34に戻り、判定が否定されるとステップS39に戻って上述の処理を繰り返す。
一方、ステップS46では、タイマ1により所定時間が計時されたか否かが判定され、判定が肯定されるとステップS43に進み、判定が否定されるとステップS40に戻り、上述の処理を繰り返す。
また、ステップS47では、早押し釦30を操作した側のプレーヤーが不正解であることを示す画面をモニター21に表示する。その後、プログラムはステップS34に戻って上述の処理を繰り返す。
以上の動作をプレーヤー側からの観点で再度説明する。2人のプレーヤーのいずれかがコイン投入口からコインを投入すると、タイマ1の計時が開始してゲームがスタートする(ステップS31、S32)。出題曲及び誤答となる楽曲又は事項の選択肢が決定され(ステップS34〜S36)、決定された選択肢がモニター21に表示された後(ステップS37)、出題曲のイントロ部がスピーカ23から再生される(ステップS38)。
プレーヤーは、イントロ部が演奏されたら次の問題が出題される(ステップS45でYES)までの時間の間に早押し釦30を押し、回答権を確保する(ステップS39)。回答権を確保すると、回答ボタンを押さない限り(ステップS40でNO)次の問題が出題されない(ステップS34に戻ることはない)が、所定時間が経過すると(ステップS46でYES)ゲームが終了する(ステップS43)。回答権が確保できたプレーヤーは正解と思う選択肢に対応する回答用釦32a〜32dを操作する(ステップS40)。回答が正解であれば(ステップS41でYES)出題曲のサビ部が演奏されて正解であることが確認され、さらに正解したことがモニター21に表示される。一方、回答が不正解であった場合(ステップS41でNO)、不正解であることがモニター21に表示される(ステップS47)。
一方、イントロ部が演奏されてから所定時間経過しても、いずれのプレーヤーも早押し釦30を操作しない(ステップS45でYES)場合、次の問題が出題される(ステップS34)。また、早押し釦30の入力待ち状態であっても所定時間が経過すると(ステップS44でYES)ゲームが終了する(ステップS43)。
以後、所定時間だけ出題がされた後(ステップS42でYES)、各プレーヤーの得点が集計されて勝敗が決定され、これを示す画面がモニター21に表示される(ステップS43)。以降、プレーヤーが再度コインを投入すればゲームが再度行われる。
従って、本実施形態によれば、上述の第1実施形態と同様の効果が得られることに加えて、所定時間内にいかに数多くの正解をするか、という従来のゲーム機にない新たな興趣をプレーヤーが楽しむことができる。」(段落【0074】〜【0092】)

(3-3)「本発明の楽曲を用いたゲーム機は、その細部が上述の各実施形態に限定されず、以下のような種々の変形例が可能である。
(1)各実施形態では早押し用釦と回答用釦を用いていたが、回答用釦のみとしていずれの回答用釦を早く押すかによって回答権を確保するようにしてもよい。」(段落【0094】〜【0095】)

(3-4)これらの記載、ならびに、図13及び図14によると、刊行物Aには、第2実施形態の変形例として、
「所定時間経過したらゲームを終了させるようにしたゲームの制御手順を制御回路10が実行するためのプログラムが格納されているプログラムメモリにおいて、制御回路10に、
1.制御回路10内のゲーム終了(一例として40秒)を判定するためのタイマ1による計時を開始し、
2.出題する楽曲を決定し、
3.出題曲として決定された楽曲に対して誤答となる楽曲名及び事項の選択肢を決定し、
4.回答用釦32a〜32dと選択肢との関係付けを決定し、選択肢をモニター21に表示し、
5.出題曲のイントロ部が再生されると同時に制御回路10内の1つの問題(選択肢)の出題終了(一例として2秒)を判定するタイマ2による計時を開始し、
6.プレーヤーによって回答用釦32a〜32d、33a〜33dが操作されたか否かを判定し、
7.回答用釦が操作されていれば、操作された回答用釦32a〜32dにより入力された選択肢が正解であるか否かを判定し、
8.入力された選択肢が正解でないと、不正解であることをモニター21に表示し、上記2.に戻って上述の処理を繰り返し、次の問題を出題し、
9.入力された選択肢が正解であると、正解したことを示す画面がモニター21に表示し、タイマ1により所定時間が計時されたか否かを判定し、
10.タイマ1により所定時間が計時されていなければ、上記2.に戻って上述の処理を繰り返し、次の問題を出題し、
11.タイマ1により所定時間が計時されていれば、ゲームを終了し、
12.回答用釦が操作されていなければ、タイマ1により所定時間が計時されたか否かを判定し、
13.タイマ1により所定時間が計時されていれば、ゲームを終了し、
14.タイマ1により所定時間が計時されていなければ、タイマ2により所定時間が計時されたか否かを判定し、
15.タイマ2により所定時間が計時されていれば、上記2.に戻って上述の処理を繰り返し、次の問題を出題し、
16.タイマ2により所定時間が計時されていなければ、上記6.に戻って上述の処理を繰り返すようにしたプログラムが格納されたプログラムメモリ。」
の発明(以下、引用発明Aという。)が記載されていると認められる。

(4)対比
(4-1)対応関係1
ア.引用発明Aの「プログラム」は、本願補正発明の「ゲーム処理プログラム」に相当し、以下同様に、「プログラムメモリ」は「記録媒体」に、「制御回路10」は「コンピュータ」に、「プレーヤー」は「遊技者」に、タイマ1により計時される「所定時間」は「第2の制限時間」に、タイマ2により計時される「所定時間」は「第1の制限時間」に、「回答用釦が操作」されることは「所定の操作」にそれぞれ相当する。

(4-2)対応関係2
引用発明Aは、所定時間経過したらゲームを終了させるようにしたゲームであって、回答用釦を操作することでゲームを行うものなので、引用発明Aにおける「ゲーム処理プログラム」は、制限時間中に遊技者に所定の操作を要求するものであるといえる。

(4-3)対応関係3
引用発明Aの「選択肢」は、「問題」として出題される楽曲に対して決定されるものであり、「問題」は、遅くとも第1の制限時間になれば、次の「問題」となるので、引用発明Aにおいて、「選択肢」は、第1の制限時間以下の時間だけ表示されるものである。
そして、引用発明Aの「選択肢」と本願補正発明の「第1表示枠」とは、ゲーム中に表示される「第1の表示内容」という点で共通する。

(4-4)対応関係4
引用発明Aは、第2の制限時間の間において、ゲームを行うものであって、第1の制限時間(一例として2秒)は、第2の制限時間(一例として40秒)より、短く設定されているものであり、「選択肢」は、第2の制限時間中に少なくとも1回以上表示されるものである。
よって、引用発明Aと本願補正発明とは、第2の制限時間以下の時間に第1の表示内容を少なくとも一回以上表示する点において共通する。

(4-5)対応関係5
引用発明Aの「選択肢」は、「問題」として出題される楽曲に対して決定されるものであるから、第1の制限時間内に所定の操作が行われるか、操作されることなく第1の制限時間になれば、次の「問題」となるので、表示されている「選択肢」は、表示が終了し、新たな「選択肢」が表示されることとなる。
よって、引用発明Aと本願補正発明とは、「遊技者が第1の表示内容に設定された第1の制限時間内に所定の操作を行った場合または当該第1の制限時間が経過した場合にその表示を終了させる」点において共通する。

(4-6)対応関係6
引用発明Aは、「選択肢」に対する遊技者の所定の操作が、正解となる操作であったのか否かという状況、または、第1の制限時間内に所定の操作をしなかったという状況に応じて、正解の表示、不正解の表示、または、何も表示せずに次の問題の出題を行うものである。
そして、引用発明Aの「正解の表示、不正解の表示、または、何も表示せずに次の問題の出題を行う」ことと、本願補正発明の「進行しているシナリオの前記状況以降のゲームのシナリオを変更して」ゆくこととは、「異なるゲーム処理が行われる」点において共通する。
よって、引用発明Aと本願補正発明とは、第1の表示内容に対する遊技者の操作状況または前記第1の制限時間内にその操作をしなかったという状況に応じて、異なるゲーム処理を行う点において共通する。

(4-7)一致点
よって、本願補正発明及び引用発明Aは、
「制限時間中に遊技者に所定の操作を要求するゲーム処理プログラムが記録された記録媒体において、コンピュータに、
第1の制限時間以下の時間だけ第1の表示内容を表示し、
第2の制限時間以下の時間に第1の表示内容を少なくとも一回以上表示し、
少なくとも一回表示される前記第1の表示内容は、前記第1の制限時間が予め設定され、一の表示内容の第1の表示内容に対し、遊技者が当該第1の表示内容に設定された第1の制限時間内に所定の操作を行った場合または当該第1の制限時間が経過した場合にその表示を終了させ、
前記第1の表示内容に対する遊技者の操作状況または前記第1の制限時間内にその操作をしなかったという状況に応じて、異なるゲーム処理を行い、前記第1の表示内容の表示が終了した時に前記第2の制限時間に達していなければ、再び他の第1の表示内容を表示するようにしたゲーム処理プログラムが記録された記録録媒体。」
である点において一致し、以下の点において相違する。

(4-8)相違点A
第1の表示内容が、本願補正発明は、第1表示枠であるのに対して、引用発明Aは、選択肢である点。(以下、相違点Aという。)

(4-9)相違点B
本願補正発明は、第2の制限時間以下の時間だけ第2表示枠を前記第1の表示内容とは別に表示するものであって、前記第2表示枠の表示中に前記第1の表示内容を少なくとも一回以上表示しているのに対して、引用発明Aは、第2の制限時間内において、第1の表示内容を少なくとも一回以上表示しているものの、それ以外に表示が行われているのかどうか特定されていない点。(以下、相違点Bという。)

(4-10)相違点C
本願補正発明は、少なくとも一回表示される前記第1の表示内容の各々は、表示内容および当該表示内容に応じて前記第1の制限時間が予め設定されているのに対して、引用発明Aは、そのように構成されていない点。(以下、相違点Cという。)

(4-11)相違点D
異なるゲーム処理が、本願補正発明は進行しているシナリオの前記状況以降のゲームのシナリオを変更してゆくものであるのに対して、引用発明Aは、
正解の表示、不正解の表示、または、何も表示せずに次の問題の出題を行うものである点。(以下、相違点Dという。)

(5)相違点についての検討
(5-1)相違点Aに対して
ゲームにおいて、表示内容を表示するにあたって、枠を設けて表示する演出は、例えば、「子育てクイズマイエンジェル」(※1)、「子育てクイズマイエンジェル2」(※2)で実現されているように周知のものである。
してみれば、引用発明Aにおける第1の表示内容である「選択肢」について、表示枠を用いて表示することに格別の困難性はなく、前記相違点Aに係る本願補正発明の構成のようにすることは、当業者が容易になし得ることである。

※1 「子育てクイズマイエンジェル」は、株式会社ナムコ製のゲーム機である。
ゲーム画面については、「ナムコミュージアム VOL.4 超研究」、株式会社メディアファクトリー、1997年3月15日発行、初版、第201〜202ページを参照されたい。

※2 「子育てクイズマイエンジェル2」は、株式会社ナムコ製のゲーム機である。
ゲーム画面については、「GAMEST」、株式会社新声社、1997年3月15日発行、第12巻第4号、特別付録第6ページ上段、第223ページを参照されたい。

(5-2)相違点Bに対して
制限時間を設けたゲームにおいて、他の表示内容とは別に枠を付して制限時間を表示するものは、例えば、特開平8-196744号公報(段落【0022】及び図2)、特開平4-269991号公報(段落【0014】及び図13)に記載されているように周知のものであり、回答制限時間を設けて問題の出題を行う形式のゲームである引用発明Aにおいて、タイマ1により計時される所定時間以下の時間、他の表示内容とは別に枠を付して制限時間を表示することに格別の困難性はなく、引用発明Aにおいて、ゲーム終了を判定するためのタイマ1の計時時間の一例が40秒であり、問題(選択肢)の出題終了を判定するタイマ2の計時時間の一例が2秒であることを考えれば、前記相違点Bに係る本願補正発明の構成のようにすることは、当業者が容易になし得ることである。

(5-3)相違点Cに対して
本願補正発明のような制限時間を設けて質問を行う形式のゲームにおいて、内容に応じて制限時間を予め設定しておく手法は、例えば、特開平9-98409号公報(段落【0107】)、「OASYS LX-1000 PERSONAL WORD PROCESSOR 操作マニュアル」、富士通株式会社、1995年1月31日発行、初版、第786〜787ページに記載されているように周知のものであり、回答制限時間を設けて問題の出題を行う形式のゲームである引用発明Aにおいて、「問題」に応じて制限時間を設定することに格別の困難性はなく、前記相違点Cに係る本願補正発明の構成のようにすることは、当業者が容易になし得ることである。

(5-4)相違点Dに対して
本願補正発明は、
ゲームにおいて、選択肢の選択状況に応じてシナリオを変化させるものは、例えば、「子育てクイズマイエンジェル」(上記(5-1)※1)、「子育てクイズマイエンジェル2」(上記(5-1)※2)で実現されているように周知のものであり、引用発明Aにおいて、選択肢の選択状況に応じて、シナリオを変化させることに格別の困難性はなく、前記相違点Dに係る本願補正発明の構成のようにすることは、当業者が容易になし得ることである。

(5-5)効果について
本願補正発明の効果は、引用発明Aに記載された発明の効果、及び、周知事項の効果の総和以上に格別なものとは認められない。

(5-6)むすび
以上のように、本願補正発明は、刊行物Aに記載された発明、及び、周知事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願に際、独立して特許を受けることができない。

3.まとめ
以上のとおり、補正後の請求項7に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではないので、本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当したとしても、平成15年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、本件補正発明が、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するか否か検討するまでもなく、本件補正は、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3.本願発明に関する検討
1.本願発明
平成13年11月19日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成13年8月6日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「【請求項1】 制限時間中に遊技者に所定の操作を要求するゲーム装置において、
第1の制限時間以下の時間だけ第1表示枠を表示し、第2の制限時間以下の時間だけ第2表示枠を前記第1表示枠とは別に表示するものであって、前記第2表示枠の表示中に前記第1表示枠を少なくとも一回以上表示し、
少なくとも一回表示される前記第1表示枠の各々は、表示内容および当該表示内容に応じて前記第1の制限時間が予め設定され、一の表示内容の第1表示枠に対し、遊技者が当該第1表示枠に設定された第1の制限時間内に所定の操作を行った場合または当該第1の制限時間が経過した場合にその表示を終了させ、
前記第1表示枠に対する遊技者の操作状況または前記第1の制限時間内にその操作をしなかったという状況に応じて、それ以降のゲームのシナリオを変更していくゲーム装置。」

2.刊行物
刊行物1:特開平8-289974号公報

3.刊行物に記載された発明
本願の出願の日前に頒布され、原査定の拒絶理由に引用された上記刊行物1には、次の事項が記載されている。

(1)「ストーリーに沿ってクイズを出題するクイズゲーム機において、
ゲーム機の起動にしたがって画面上に複数のストーリーを表示し、
メッセージにより前記ストーリーの内の一つを選択するように指示し、
所定の時間内にプレーヤーが指示にしたがってストーリーを選択して決定したとき、選択決定したストーリーに基づくクイズを、所定時間内にストーリーを選択決定しないとき、ゲーム機が初期時に選択しているストーリーに基づくクイズを出題することを特徴とするストーリー選択できるクイズゲーム機。」(特許請求の範囲)

(2)「以下、図面を参照して本発明をさらに詳しく説明する。図1は、本発明によるストーリーを選択できるクイズゲーム機の構成を示すブロック図である。プレーヤーの操作によってゲーム機が起動されると、CPU1はシステムバス2を介してクイズゲームを実行するためのプログラムをプログラムROM6より読み出し、そのプログラムの実行を開始する。キャラクタROM7からキャラクタを読み出しスクリーンメモリ8に画像データを格納し、CRTにクイズゲームを開始するための画面を表示する。プレーヤーは画面または音声による指示により操作装置4のボタン等を操作することになる。
操作装置4のボタン等からの入力信号は、入出力制御回路3を介してCPU1に送られる。プレーヤーは複数のストーリーのうち一つを選択することによりクイズゲームが開始される。図2は、本発明の実施例の動作を説明するためのフローチャート、図3はCPU1の機能をブロックで示した図である。CPU1はゲーム機をスタートさせ(S201)、ストーリーセレクト画面表示指示部10によりCRT9にストーリーを選択するための画面を表示させる(S202)。さらにメッセージ表示指示部11によりメッセージを表示するように指示を出す。図4に画面表示の一例を示してある。画面の上部はストーリー表示部19であり、ストーリー1,2および3の3個のストーリーが表示される。
画面の中央部はメッセージ表示部20であり、ストーリー対応の概要を示すメッセージが表示される(S203)。これに付随して画面の下部には、ストーリー1,2および3を選択するボタン4b,4c,4dならびに決定ボタン4eよりなる操作ボタン4aが表示される。CPU1は、このように表示するとタイマ15を起動し10秒のカウントダウンを開始し(S204)、ボタン入力チェック部13によりボタン入力があったか否かを判定する(S205)。ボタン入力がありその信号がセレクト信号である場合には、ストーリーセレクト部12により入力されたセレクト信号に基づくストーリーを選択する(S206,S207,S208)。
そしてストーリーセレクト部12はタイマが10秒のカウントダウンを終了したか否かを判定しており(S209)、タイムアップしていない場合にはボタン入力チェック判定に戻る。ボタン入力があってその入力が決定ボタンからの信号である場合には、決定部16が現在選択されているストーリーに決定する(S210)。タイムアップしている場合にはその時点で決定ボタン入力を待つまでもなく、現在選択されているストーリーを選択する。なお、ストーリー選択画面が表示されたときの初期の状態ではカーソル位置はストーリー1になっており、10秒間ストーリー選択されない場合にはストーリー1が選択決定される。ストーリーが選択された後、クイズ出題部17によりそのストーリーに沿った出題がなされることになる。プレーヤーが出題に対し解答を行うと、正誤判定部18は正しい,間違いの判定を行い、クイズが進行することになる。」(段落【0005】〜【0008】)

(3)これらの記載によると、刊行物1には、
「ストーリーに沿ってクイズを出題するクイズゲーム機において、
ゲーム機の起動にしたがって、
メッセージによりストーリーの内の一つを選択するように指示し、
画面上に複数のストーリー、ストーリー対応の概要を示すメッセージ、及び、ストーリーを選択する操作ボタン4aを表示し、
所定の時間内にプレーヤーが指示にしたがってストーリーを選択して決定したとき、選択決定したストーリーに基づくクイズを、所定時間内にストーリーを選択決定しないとき、ゲーム機が初期時に選択しているストーリーに基づくクイズを出題するストーリー選択できるクイズゲーム機。」
の発明(以下、引用発明1という。)が記載されていると認められる。

4.対比
(1)対応関係1
引用発明1の「メッセージにより前記ストーリーの内の一つを選択するように指示し」は、本願発明の「制限時間中に遊技者に所定の操作を要求する」に相当し、以下同様に、「クイズゲーム機」は「ゲーム装置」に、「複数のストーリー、ストーリー対応の概要を示すメッセージ、及び、ストーリーを選択する操作ボタン4a」は「第1表示枠」に、「プレーヤー」は「遊技者」に、「所定の時間」は「第1の制限時間」に、「ストーリー」は「ゲームのシナリオ」に、「ストーリーに基づくクイズを出題する」ことは「ゲームのシナリオを変更していく」ことにそれぞれ相当する。

(2)対応関係2
引用発明1は、ストーリーを選択して決定したとき、又は、所定時間内にストーリーを選択決定しないときにクイズを出題するものである。
そして、ストーリーの選択が終了すれば、ストーリーを選択するための画面は不要であり、クイズの出題にあたって、複数のストーリー、ストーリー対応の概要を示すメッセージ、及び、ストーリーを選択する操作ボタン4aの表示が終了されることは当業者にとって自明のことである。
してみれば、引用発明1には、「遊技者が当該第1表示枠に設定された第1の制限時間内に所定の操作を行った場合または当該第1の制限時間が経過した場合にその表示を終了させ」ることが記載されているといえる。

(3)一致点
よって、本願発明及び引用発明1は、
「制限時間中に遊技者に所定の操作を要求するゲーム装置において、
第1の制限時間以下の時間だけ第1表示枠を表示し、
一の表示内容の第1表示枠に対し、遊技者が当該第1表示枠に設定された第1の制限時間内に所定の操作を行った場合または当該第1の制限時間が経過した場合にその表示を終了させ、
前記第1表示枠に対する遊技者の操作状況または前記第1の制限時間内にその操作をしなかったという状況に応じて、それ以降のゲームのシナリオを変更していくゲーム装置。」
である点において一致し、以下の点において相違する。

(4)相違点1
本願発明は、第2の制限時間以下の時間だけ第2表示枠を第1表示枠とは別に表示するものであって、前記第2表示枠の表示中に前記第1表示枠を少なくとも一回以上表示しているのに対して、引用発明1は、第2の表示枠を表示していない点。

(5)相違点2
本願発明において、第1表示枠の各々は、表示内容および当該表示内容に応じて第1の制限時間が予め設定されているのに対して、引用発明1は、一つの第1表示枠に対して第1の制限時間が予め設定されている点。

5.相違点についての検討
(1)相違点1に対して
ゲームにおいて、制限時間を設けて、制限時間を表示しながらゲームを行うものは、例えば、特開平9-75545号公報、特開平9-75552号公報に記載されているように周知のものである。
また、ゲームにおいて、ゲームが進行する毎にステージを選択するものは、例えば、特開平8-19664号公報、マイコン BASIC Magazine,電波新聞社,1989年10月1日,第8巻第10号通巻88号,第288〜290ページに記載されているように周知のものである。
してみれば、引用発明1におけるゲームに制限時間を設けて、制限時間を表示しながらゲームを行うものであって、ステージ選択を1回以上行うものとすることに格別の困難性はない。
ここで、ステージを選択することはゲームの一部をなしているとも認識できるものであり、ゲームに設けた制限時間内において、ステージの選択を行わせるようにすることは当業者が適宜設計し得る事項である。
また、制限時間を設けたゲームにおいて、他の表示内容とは別に枠を付して制限時間を表示するものは、例えば、特開平8-196744号公報(段落【0022】及び図2)、特開平4-269991号公報(段落【0014】及び図13)に記載されているように周知のものであり、ゲームに設けた制限時間内を枠として表示することもまた当業者が適宜設計し得る事項である。
したがって、前記相違点1に係る本願発明1の構成のようにすることは、当業者が容易になし得ることである。

(2)相違点2に対して
上記(1)で検討したとおり、引用発明1におけるゲームにおいて、ステージ選択を1回以上行うものとすることに格別の困難性はない。
そして、制限時間を設けて質問を行うにあたって、内容に応じて制限時間を予め設定しておく手法は、例えば、特開平9-98409号公報(段落【0107】)、「OASYS LX-1000 PERSONAL WORD PROCESSOR 操作マニュアル」、富士通株式会社、1995年1月31日発行、初版、第786〜787ページに記載されているように周知のものなので、ステージの内容に応じて、制限時間を設定することは当業者が適宜設定し得る事項であり、前記相違点2に係る本願発明の構成のようにすることは、当業者が容易になし得ることである。

(3)効果について
本願発明の効果は、引用発明1に記載された発明の効果、及び、周知事項の効果の総和以上に格別なものとは認められない。

(4)むすび
以上のように、本願発明は、刊行物1に記載された発明、及び、周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1に記載された発明、及び、周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-05-15 
結審通知日 2006-05-15 
審決日 2006-05-26 
出願番号 特願平9-107704
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀬津 太朗  
特許庁審判長 中村 和夫
特許庁審判官 宮本 昭彦
塩崎 進
発明の名称 ゲーム装置、その画像処理方法、並びに記録媒体  
代理人 大賀 眞司  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 田中 克郎  
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