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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1139224
審判番号 不服2002-21636  
総通号数 80 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-10-13 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-11-07 
確定日 2006-07-06 
事件の表示 平成11年特許願第 88781号「料理情報管理装置及び料理情報管理収納庫」拒絶査定不服審判事件〔平成12年10月13日出願公開、特開2000-285100〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年3月30日の出願であって、平成14年9月30日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月7日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年12月9日付で手続補正がなされたものである。

2.平成14年12月9日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年12月9日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)本件補正
平成14年12月9日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成14年4月26日付の手続補正により補正された特許請求の範囲(以下、「補正前の特許請求の範囲」という。)の記載事項を以下のとおりの特許請求の範囲(以下、「補正後の特許請求の範囲」という。)の記載事項に補正することを含むものである。

(補正前の特許請求の範囲)
【請求項1】
「画像を読み取り画像データとするスキャナ動作手段と、前記スキャナ動作手段の動作を開始させるスキャナ動作開始手段と、複数の記憶場所と、画像データを記憶する画像記憶手段と、前記記憶場所の中から画像データを格納する場所を選択するデータ格納場所選択手段と、画像データを表示する画像表示手段と、前記スキャナ動作手段により読み取った画像データを前記画像記憶手段に記憶させると共に前記表示手段に表示させる制御手段と、保存された画像データを読み出す読み出し手段とを有し、前記スキャナ動作手段は前記画像表示手段の前面に設けられ前記画像表示手段の前面に押し当てられた料理メニューのレシピ情報等が含まれている用紙など表面画像を読み取る料理情報管理装置。」

【請求項2】〜【請求項6】 (省略)

(補正後の特許請求の範囲)
【請求項1】
「画像を読み取り画像データとするスキャナ動作手段と、前記スキャナ動作手段の動作を開始させるスキャナ動作開始手段と、複数の記憶場所と、画像データを記憶する画像記憶手段と、前記記憶場所の中から画像データを格納する場所を選択する料理分類選択スイッチと、画像データを表示する表示器と、前記スキャナ動作手段により読み取った画像データを前記画像記憶手段に記憶させると共に前記表示手段に表示させる制御手段と、見たい料理を選択する料理選択手段と、保存された画像データを読み出す読み出し手段とを有し、前記スキャナ動作手段は前記画像表示手段の前面に設けられ前記画像表示手段の前面に押し当てられた料理メニューのレシピ情報等が含まれている用紙など表面画像を読み取り、かつ料理の種類を分類して電子化保存し前記料理選択手段により選択された料理の画像を前記表示器に表示する料理情報管理装置。」

【請求項2】〜【請求項6】 (省略)

(2)本件補正の適否
そこで、検討するに、
(a)願書に最初に添付された明細書及び図面(以下、「出願当初明細書等」という。)には、スキャナ動作手段が、料理の種類を分類して電子化保存し料理選択手段により選択された料理の画像を表示器に表示することが記載されているとは認められないので、補正後の「スキャナ動作手段は前記画像表示手段の前面に設けられ前記画像表示手段の前面に押し当てられた料理メニューのレシピ情報等が含まれている用紙など表面画像を読み取り、かつ料理の種類を分類して電子化保存し前記料理選択手段により選択された料理の画像を前記表示器に表示する」との発明特定事項は、出願当初明細書等には、記載されておらず、また、出願当初明細書等の記載からみて自明な事項とも認められない。
したがって、本件補正は、出願当初明細書等に記載された範囲内においてなされたものでないから、特許法第17条の2第3項の規定に適合しない。
(b)また、「見たい料理を選択する料理選択手段」は、新たに付加された発明特定事項であり、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものでない、また、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)の何れの目的にも該当しない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第4項に規定に適合しない。

以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項および第4項の規定に適合しないので、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成14年12月9日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成14年4月26日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、上記「2.(1)」の(補正前の特許請求の範囲)に記載したのとおりのものである。

3-1.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平10-187941号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(ア)「【発明の属する技術分野】
この発明は文書情報をイメージデータに変換して記録および管理する電子ファイリングシステムおよび同システムにおけるイメージデータ管理方法に関し、特に書籍などページ数の多い文書を効率良く記録および管理することができる電子ファイリングシステムおよびイメージデータ管理方法に関する。」(段落【0001】)
(イ)「この電子ファイリングシステムにおいては、文書情報がスキャナなどを用いてイメージデータに変換されて記録されるが、この場合、書籍などの複数ページから構成される文書情報については、その文書情報を検索するための第1の検索情報のみならず、その文書情報を構成する要素毎、例えば節や章などの単位、あるいは文字、図形といったコンテンツ単位で、そのイメージデータを検索するための第2の検索情報も登録される。この第2の検索情報の登録は、例えば、検索情報登録用画面を表示してユーザがキーボードなどから検索キーとなる情報を入力することなどによって行うことができる。したがって、複数ページから構成される文書情報を検索する場合には、例えば第1の検索情報を用いてその文書情報を検索した後、第2の検索情報を用いた検索を行うことによりその文書情報の中から目的とする箇所のイメージデータを容易に検索することが可能となる。」(段落【0008】)
(ウ)「【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の実施形態を説明する。
図1には、この発明の第1実施形態に係る電子ファイリングシステムの構成が示されている。この電子ファイリングシステムは、紙に印刷された文字や図形、写真などを含む文書情報を電子化してファイリングするためのものであり、図示のように、スキャナなどから構成される画像入力装置1、コンピュータ本体2、および光ディスク装置などのイメージデータ記憶装置3、コンピュータ本体2のディスプレイモニタおよび入力装置としてそれぞれ使用されるCRTディスプレイ5およびキーボード6,マウス7から構成される。
画像入力装置1は、入力対象の文書を例えばページ単位などでイメージデータに変換して読み込む装置であり、その紙面上を走査して光電変換によりイメージデータを取り込む。読み込まれたイメージデータはコンピュータ本体2に送られて、そこでイメージデータ管理のための処理が施された後、イメージデータ記憶装置3に記録される。」(段落【0011】〜【0012】)
(エ)「イメージデータ記憶装置3の記憶領域は、図示のように、文書情報管理部10、イメージデータ管理部11、およびイメージデータ部12が割り当てられる。
文書情報管理部10には、イメージデータ記憶装置3にイメージデータに変換されて登録された文書情報毎にその検索キーとなる文書名、登録日時などの文書検索用情報と、イメージデータ記憶装置3上のデータ格納位置を示すアドレス情報が記録される。文書名、登録日時などの文書検索用情報は、例えば、コンピュータ本体2のCPUで実行される電子ファイリングプログラムの制御の下で画面表示される入力ウインドウ上に、ユーザがキーボード6やマウス7を用いてそれら情報を入力することによって与えられる。
イメージデータ管理部11には、イメージデータ記憶装置3にイメージデータに変換されて登録された文書情報が複数ページから構成されている場合に、それら各文書情報(文書1,文書2,文書3)を構成する要素毎にそのイメージデータを検索するための検索キーと、各要素に対応するイメージデータの格納位置を示すアドレス情報とが記録される。図においては、章を単位として検索キーを登録する場合が示されているが、ページ、節、あるいは文字、図形といったコンテンツ単位で、検索キーを登録および管理してもよい。どのような単位で管理するかは、ユーザに選択させることもできる。」(段落【0013】〜【0014】)
(オ)「イメージデータ部12には、実際のイメージデータが記録される。以下、本実施形態の具体的な動作について画像登録時、画像検索時の二つに分けて説明する。
まず、登録時、画像入力装置1により入力されたイメージデータはコンピュータ本体2に入力される。ユーザ(登録者)は、前述の電子ファイリングプログラムによってCRT5に画面表示される入力ウインドウ上に、文書名、登録日時などの情報をキーボード6およびマウス7により入力すると同時に、その文書情報内の各要素に対してもその検索キーとして章のタイトルなどを入力する。そして、その文書のイメージデータをイメージデータ記憶装置3に記憶する際には、電子ファイリングプログラムの制御の下、イメージデータをイメージデータ部12に記憶するのと同時に、文書情報管理部10およびイメージデータ管理部11にも前述した文書検索および管理のための情報、および文書内要素の検索および管理のための情報が記録される。」(段落【0015】〜【0016】)
(カ)「次に、イメージデータの検索動作について説明する。まず、ユーザ(検索者)が目的とする文書の文書名などの検索条件をキーボード6およびマウス7を用いて入力する。この入力に応答して、電子ファイリングプログラムの検索ルーチンは、イメージデータ記憶装置3内の文書情報管理部10の情報を参照して該当する文書を検索し、その検索した文書に対応するイメージデータ管理部11の情報(ここでは、その文書を構成する章それぞれのタイトル一覧)をCRT5に表示する。そして、検索者がキーボード6およびマウス7を用いて表示されたタイトル一覧から目的とする箇所に対応する章を選択すると、その選択された章に対応するイメージデータがイメージデータ記憶装置3から読み出されて、CRT5に画面表示される。」(段落【0017】)

3-2.引用例に記載された発明
上記「電子ファイリングシステム」が、「スキャナ」による文書情報の読み取り動作を開始させるための「スキャナ動作開始手段」を有することは明らかである。
また、書籍などの紙からイメージデータを読み取る際に、紙をスキャナの前面に押し当てることは、一般的に行われていることである。
また、上記の「イメージデータ部」は、「1つの記憶場所」しか有していないことは明らかである。
また、上記摘記事項(カ)の記載より、上記「電子ファイリングシステム」が、「保存されたイメージデータを読み出す読み出し手段」を有することは明らかである。
そうすると、引用例には、
「文書情報を読み取りイメージデータとするスキャナと、前記スキャナの動作を開始させるスキャナ動作開始手段と、1つの記憶場所と、イメージデータを記憶するイメージデータ部と、イメージデータを表示するCRTと、前記スキャナにより読み取ったイメージデータを前記イメージデータ記憶装置に記憶させると共に前記CRTに表示させるCPUと、保存されたイメージデータを読み出す読み出し手段とを有し、前記スキャナは前面に押し当てられた紙の表面画像を読み取る電子ファイリングシステム。」の発明が記載されているといえる。

3-3.対比・判断
本願の請求項1に係る発明(以下、「前者」という。)と引用例に記載された発明(以下、「後者」という。)とを対比すると、
(1)後者の「イメージデータ」は前者の「画像データ」に相当し、以下同様に、「スキャナ」は「スキャナ動作手段」に、「イメージデータ部」は「記憶場所」に、「イメージデータ部」は「画像記憶手段」に、「CRT」は「表示手段」に、「CPU」は「制御手段」に、「紙」は「用紙」に、それぞれ相当する。
(2)上記摘記事項(イ)の記載によれば、後者の「文書情報」には、文字、図形といったコンテンツも含まれるものであるから、後者の「文書情報」は前者の「画像」に相当する。
(3)また、前者の「料理情報管理装置」は、用紙など表面画像を読み取って画像データを記憶するものであり、後者の「電子ファイリングシステム」も、画像データをファイリングして記憶するものであるから、両者は、「画像データ記憶システム」という概念で共通する。
そうすると、両者は、
「画像を読み取り画像データとするスキャナ動作手段と、前記スキャナ動作手段の動作を開始させるスキャナ動作開始手段と、記憶場所と、画像データを記憶する画像記憶手段と、画像データを表示する画像表示手段と、前記スキャナ動作手段により読み取った画像データを前記画像記憶手段に記憶させると共に前記表示手段に表示させる制御手段と、保存された画像データを読み出す読み出し手段とを有し、前記スキャナ動作手段は前面に押し当てられた用紙の表面画像を読み取る画像データ記憶システム。」
である点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1]
前者では、スキャナ動作手段は、画像表示手段の前面に設けられているのに対して、後者では、スキャナ動作手段と画像表示手段とは別々である点。
[相違点2]
前者の画像データ記憶システムは、料理メニューのレシピ情報等が含まれるている用紙表面画像を読み取る料理情報管理装置であるのに対して、後者の画像データ記憶システムは、そうでない点。
[相違点3]
前者では、記憶場所が、複数あって、前記記憶場所の中から画像データを格納する場所を選択するデータ格納場所選択手段を有しているのに対して、後者では、そうでない点。。

[相違点1]について
スキャナを画像表示手段の前面に設けることは、周知の事項(例えば、特開平11-65763号公報、特開平7-131602号公報等参照)であるから、後者のものにおいて、スキャナとCRTとを別々に設ける代わりに、スキャナをCRTの前面に設けるようにすることは、当業者であれば容易になし得ることと認められる。
[相違点2]について
後者の「画像」は、上記摘記事項(イ)の記載によれば、文字、図形といったコンテンツも含まれるものであるから、後者の画像データ記憶システムに記憶させる画像のコンテンツを料理メニューのレシピ情報等が含まれるものとして、前者のような料理情報管理装置とすることは、当業者であれば容易になし得ることと認められる。
[相違点3]について
料理メニューのレシピを掲載した本や雑誌等においては、料理メニューのレシピを、例えば、「肉料理」、「魚料理」といったジャンル別に掲載して目的のものを探しやすくすることは、普通に行われている事項であり、また、コンピュータにおいては、例えば、複数のフォルダを作成して、関連するファイルを同一のフォルダに格納して、目的のファイルを探しやすくすることも、普通に行われている事項であるから、上記[相違点2]について述べたように、画像を料理メニューのレシピ情報とすることにより、後者のような画像データ記憶システムで料理情報管理を実現させれば、その料理メニューのレシピ情報をジャンル別に探しやすくするために、それぞれ別の場所に、すなわち、複数の記憶場所を設けて、データ格納場所選択手段により格納場所を選択して格納するようにすることは、当業者であれば、容易になし得ることと認められる。

また、本願発明の効果についてみても、上記引用例に記載された発明および周知の事項から予測される範囲のものにすぎない。

3-4.むすび
以上のとおり、本願発明は、上記引用例に記載された発明、及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-04-28 
結審通知日 2006-05-09 
審決日 2006-05-22 
出願番号 特願平11-88781
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 561- Z (G06F)
P 1 8・ 572- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 丹治 彰金子 幸一貝塚 涼  
特許庁審判長 赤穂 隆雄
特許庁審判官 佐藤 智康
久保田 健
発明の名称 料理情報管理装置及び料理情報管理収納庫  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 岩橋 文雄  
代理人 永野 大介  

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