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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01R
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01R
管理番号 1139251
審判番号 不服2003-15107  
総通号数 80 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-06-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-08-06 
確定日 2006-07-06 
事件の表示 平成10年特許願第344202号「圧接端子及びその圧接端子を用いた電気接続箱」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 6月23日出願公開、特開2000-173687号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成10年12月3日の出願であって、平成15年2月5日付けで手続補正がなされたが、同年7月1日付けで拒絶査定がなされ、それに対し、同年8月6日付けで審判請求がなされ、同年9月5日付けで手続補正がなされたものである。また、平成18年1月6日付けの審尋に対して、同年3月13日付けで回答書が提出されている。

第2.平成15年9月5日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成15年9月5日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により特許請求の範囲の請求項1は、次のように補正された。
「金属板の打ち抜き製品からなり、基板部に対し単芯線を挟み込むためのスロットを形成する一対の挟持片を備えるとともに、基板部には前記挟持片の反対側に延びるタブ部を備え、前記両挟持片の外端部側を基板部に対してほぼ垂直に屈曲させることにより接触圧力を付与するための対向する一対の補強部を形成するとともに、両補強部の外側面間の間隔は単芯線の外径にほぼ等しく形成し、両補強部には両挟持片の上端部よりも突出する一対の被覆剥離部を延出させ、前記タブ部は一体化された一対の形成片を密着するように折りたたんで形成され、前記補強部と被覆剥離部との間には前記補強部の屈曲部側に切欠きが設けられ、前記一対の被覆剥離部の内側面間の間隔は前記単芯線の外径よりも小さく、かつ、その導線の外径以上であり、前記両補強部は、被覆剥離部とタブ部との間に連なり、しかも前記基板部の中間部において段差状に形成されるとともに、段差部上部の幅広部と段差部下部の幅狭部とからなり、前記両幅狭部の一方には該両幅狭部間を遮蔽する遮蔽部が一体に設けられ、前記両被覆剥離部は、互いに近接する方向に屈曲されている圧接端子。」(下線は補正箇所を示す)

2.補正の目的、補正の適否について
上記補正は、平成15年2月5日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、「前記両挟持片の外端部を屈曲させる」について、「基板部に対してほぼ垂直に」屈曲させると限定し、また、「補強部」、「被覆剥離部」について、「前記補強部と被覆剥離部との間には前記補強部の屈曲部側に切欠きが設けられ、前記一対の被覆剥離部の内側面間の間隔は前記単芯線の外径よりも小さく、かつ、その導線の外径以上であり、前記両補強部は、被覆剥離部とタブ部との間に連なり、しかも前記基板部の中間部において段差状に形成されるとともに、段差部上部の幅広部と段差部下部の幅狭部とからなり、前記両幅狭部の一方には該両幅狭部間を遮蔽する遮蔽部が一体に設けられ、前記両被覆剥離部は、互いに近接する方向に屈曲され」と限定したものである。
よって、これらの補正は、特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とした補正に該当する。
そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年改正前特許法第17の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

3.引用例に記載された発明
3-1.引用例1
これに対して、原審の拒絶の理由で引用した、特開平9-17519号公報(以下、「引用例1」という。)には、「電気接続箱」に関して、以下の事項が図面とともに記載されている。
(1)「【産業上の利用分野】本発明は、自動車用の電気接続箱に関し、詳しくは、多数のヒューズ、リレー等を含む電気回路を集中的に配置して、ワイヤハーネスの分岐接続を合理的に行う電気接続箱において、内部回路を主として電線と圧接端子により構成するもので、特に、電気接続箱を構成するケースに対して、直接に電線を布線できるようにすると共に、布線可能なスペースを増大するものである。」(段落【0001】)
(2)「【従来の技術】自動車用の電気接続箱では、一般に、内部回路として導電性金属板を打抜加工して形成したバスバーを用いているが、内部回路の設計変更に容易に対応できるようにするために、電線と圧接端子を用いて内部回路を形成したものが提供されている。」(段落【0002】)
(3)「【作用】本発明の請求項1に記載の電気接続箱によると、ロアケースおよびアッパーケースの圧接端子挿通穴に圧接端子を打ち込んで、該圧接端子のタブをロアケース外面およびアッパーケース外面に突出させる。ついで、電線送出機の布線ヘッドより、各ケースの布線溝に電線を直接に布線する。この時、各ケースの布線溝を形成する内面を平板面として形成し、ケースに枠状に突出する側壁を突設していないため、該側壁等に上記電線送出機の布線ヘッドが干渉することはない。よって、電線の配線可能なスペースが減少することが防止できる。」(段落【0010】)
(4)「また、本発明では、上記電線の布線時に、該電線と予めケースに打ち込んである圧接端子とが同時に圧接接続される。なお、ロアケース側に布線した電線に打ち込んで圧接した圧接端子の出入力端子部をアッパーケース側へ突出する場合には、電線をロアケースに布線した後に圧接端子を打ち込んで電線と圧接している。同様に、アッパーケース側に布線した電線に圧接した圧接端子の出入力端子部をロアケース側に突出する場合も、電線をアッパーケース側に布線した後に圧接端子を打ち込んで圧接している。」(段落【0011】)
(5)「【実施例】以下、本発明を図面に示す実施例を参照して詳細に説明する。図1および図2(A)(B)は本発明の第1実施例の電気接続箱10を示し、該電気接続箱10は、その内部回路を、電線11と圧接端子12により構成している。また、該電気接続箱10は、該電気接続箱を構成するロアケース15とアッパーケース16に対して、布線用金型を用いずに電線11を直接に布線して、該電線11を各ケース15、16に打ち込んでいる圧接端子12に圧接接続するものである。上記電線11は、単一線からなる芯線11aの外周に絶縁被覆11bを被覆したものを用いている。」(段落【0015】)
(6)「上記圧接端子12は、周知の形状であり、一端にスロット12aを有する電線圧接部12bを備えると共に、他端に外部回路と接続するタブ12cを出入力端子部として備え、上記スロット12aの周縁刃部で電線11の絶縁被覆11bを切断して、電線圧接部12bが芯線11aと接触するようにしている。」(段落【0016】)
(7)図2(B)からは、単芯線11を挟み込むための、一対の部材からスロット12aが形成されていることが図示されている。

上記記載事項及び図示内容を総合すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「単芯線を挟み込むための、一端にスロット12aを形成する一対の部材を有する電線圧接部12bを備えると共に、他端に外部回路と接続するタブ12cを出入力端子部として備え、スロット12aの周縁刃部で単芯線11の絶縁被覆11bを切断して、電線圧接部12bが芯線11aと接触するようにしている、圧接端子12。」

3-2.引用例2
同じく、原審の拒絶の理由で引用した、実願昭59-45247号(実開昭60-158671号のマイクロフィルム)(以下、「引用例2」という。)には、「リボン電線接続部」に関して、以下の事項が図面とともに記載されている。
(1)「スロット付端子8は、その先端にスロット部8Aが形成され、その幅方向の両端部に補強部8Bが同じ側に折返して設けられた構造になっている。」(マイクロフィルム第4頁第12〜15行)
(2)「リボン電線7は、…、この際に各スロット付端子8が各導体7Aに対応してリボン電線7に突き刺さり、各スロット部8A内に導体7Aが圧入されて電気的接続状態となる。」(マイクロフィルム第4頁末行〜第5頁第7行)
(3)「第6図(A)(B)(C)は電気接続箱での使用の関係上ブスバー12と一体に成型されているスロット付端子8の製造過程の一例を示したものである。即ち、スロット付端子8は、第6図(A)に示すように補強部8Cを展開した状態でブスバー12と一緒に1つおきに打ち抜かれ、次に第6図(B)に示すように補強部8Bが折返され、最後に第6図(C)に示すようにスロット付端子8がブスバー12に対して立上げられる。」(マイクロフィルム第6頁第9〜17行)

3-3.引用例3
同じく、原審の拒絶の理由で引用した、特公昭57-37114号公報(以下、「引用例3」という。)には、「電気コネクタ」に関して、以下の事項が図面とともに記載されている。
(1)「接触部材のあご状部分80および82の間の間隔は、導線の心線の直径よりは大きいが絶縁部材の直径よりは小さいので、導線があご状部分80および82の間に押込まれると、あご状部分は導線には食い込むが心線には達せず、それによつて導線に対するひずみ防止が行なわれる。接触部材の管状部分の弓形側壁66および68は固有のばね作用を有し、それによつて導線と接触部材との間の良好な機械的かつ電気的接続が確実に実現される。」(第6欄第7〜16行)

3-4.引用例4
原審の拒絶査定時に引用した、特開平10-3956号公報(以下、「引用例4」という。)には、「雄端子金具」に関して、以下の事項が図面とともに記載されている。
(1)「雄端子金具1は、一枚の導電性金属薄板材から雄端子用素材2を打抜き成形した後に、これを所定形状に折曲げて作成される。」(段落【0011】)
(2)「タブ3となる部分は長片状に形成され、さらに中央部3Aと左右部3Bとに分かれる。左右部3Bの幅は、おのおの中央部3Aの幅の半分になっている。このため、雄端子用素材2を折曲げ形成するときには、左右部3Bの端縁がそれぞれ中央部3Aの中心線に揃うようにして折曲げると、その部分は金属薄板の二枚分の厚さとなって、補強が図られる。」(段落【0012】)

3-5.引用例5
同じく、原審の拒絶の理由で引用した、特開平8-102351号公報(以下、「引用例5」という。)には、「ランプホルダ及びその組立方法」に関して、以下の事項が図面とともに記載されている。
(1)「第1端子6につき、図2乃至図5を参照して説明する。この端子6は、ベース14と湾曲部20により連結された平行側壁16,19を有する断面略U字状ボディ11を具える。側壁16,19の上端からテーパ22を有する延長部22が起立し、これは先端にラッチ用ラグ24を有する。側壁16からは内方に曲げられた接触面28を有する接触用弾性ビーム26が形成され、ランプBのコンタクトC1と接触する。側壁19には保持弾性ビーム30が形成され、前述した接触面28と対向する平坦な保持面36を有し、ランプBの包囲体Eの尾部TのコンタクトC1と反対側に係合する。ベース14には上端から下方に延びるスロット31が形成され、ダイオードのリードL1を受容する。スロット31の開口(入口)35はスロット31のリード挟持縁37間にリードL1を案内する。」(段落【0017】)
(2)「図23に示す如く、第1端子6と第2端子7を先ず最初に打込む。この打込みは、ハウジング3の端子受容部92内に同時に図23中夫々矢印A及びB方向に行なわれる。端子6を第1端子受容キャビティ108内に完全に打込むと、端子6のラッチ用ラグ24が開口114にラッチ係合し、端子6の抜けを阻止する。」(段落【0025】)
(3)図2〜図5には、第1端子6の斜視図、側面図、正面図、裏面図が表されている。これらの図面には、平行側壁16,19の上端から起立する、テーパ22を有する延長部22の先端にラッチ用ラグ24が先端に向けて屈曲して外広がり状態で連続し、平行側壁16,19とラッチ用ラグ24との間には平行側壁16,19の屈曲部側に切欠きが設けられていることが図示されている。

4.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、後者の「単芯線を挟み込むための、一端にスロット12aを形成する一対の部材」は、前者の「基板部に対し単芯線を挟み込むためのスロットを形成する一対の挟持片」に相当する。同様に後者の「圧接端子12」は、前者の「圧接端子」に相当する。また、後者の「他端に外部回路と接続するタブ12c」は、前者の「挟持片の反対側に延びるタブ部」に相当する。

以上のことから、両者は次の点で一致する。
【一致点】
「基板部に対し単芯線を挟み込むためのスロットを形成する一対の挟持片を備え、基板部には挟持片の反対側に延びるタブ部を備えた、圧接端子」

そして、両者は次の点で相違する。
【相違点1】
本願発明では、圧接端子が金属板の打ち抜き製品からなり、両挟持片の外端部側を基板部に対してほぼ垂直に屈曲させることにより接触圧力を付与するための対向する一対の補強部を形成するとともに、両補強部の外側面間の間隔は単芯線の外径にほぼ等しく形成しているのに対し、引用発明ではそうした点は備えていない点。

【相違点2】
本願発明では、両補強部には両挟持片の上端部よりも突出する一対の被覆剥離部を延出させ、一対の被覆剥離部の内側面間の間隔は単芯線の外径よりも小さく、かつ、その導線の外径以上であり、両被覆剥離部は互いに近接する方向に屈曲されているのに対して、引用発明ではそうした点は不明確な点。

【相違点3】
本願発明では、タブ部は一体化された一対の形成片を密着するように折りたたんで形成されているのに対して、引用発明ではそうした点は備えていない点。

【相違点4】
本願発明では、補強部と被覆剥離部との間には補強部の屈曲部側に切欠きが設けられているのに対して、引用発明ではそうした点は備えていない点。
【相違点5】
本願発明では、両補強部は被覆剥離部とタブ部との間に連なり、しかも基板部の中間部において段差状に形成されるとともに、段差部上部の幅広部と段差部下部の幅狭部とからなり、両幅狭部の一方には両幅狭部間を遮蔽する遮蔽部が一体に設けられているのに対して、引用発明ではそうした点は備えていない点。

5.判断
【相違点1について】
2-2.(1)〜(3)の記載事項から、金属板の打ち抜き製品からスリット付き端子を形成し、基板部から両側を補強部として立ち上がらせる点が引用例2に記載されているので、その点を引用発明に適用して相違点1に係る発明特定事項とすることは当業者であれば容易になし得ることである。なお、両補強部の外側面間の間隔を単芯線の外径にほぼ等しく形成することは、本願発明の圧接端子が単芯線を対象とし、単芯線を挟持する挟持片の補強部の外側面間だからであり、対象とする電線の外径に応じて当業者が適宜なし得ることである。

【相違点2について】
2-3.(1)の記載事項から、接触部材のあご状部分80と82の間の間隔は、導線の外径より小さく、心線の外径以上である、コネクタの被覆剥離部の点が、引用例3には記載されているので、その点を引用発明に適用して、相違点2に係る発明特定事項とすることは当業者であれば容易になし得ることである。なお、被覆剥離部を互いに近接する方向に屈曲することは当業者が容易になし得る設計的事項にすぎないものである。

【相違点3について】
2-4.(1)〜(2)の記載事項から、打ち抜き成形された金属薄板を折り曲げてタブとして形成する点は引用例4等から周知であるので、その点を引用発明に適用して、相違点3に係る発明特定事項とすることは当業者であれば容易になし得ることである。

【相違点4について】
2-5.(1)〜(3)の記載事項及び図示内容から、接続端子において、屈曲部を設ける所に切欠きを設けることは引用例5に記載されているので、その点を引用発明に適用して、相違点4に係る発明特定事項とすることは当業者であれば容易になし得ることである。

【相違点5について】
本願発明の、両幅狭部の一方に一体に設けられた、両幅狭部間を遮蔽する遮蔽部によって形成される空間は、図1,2からは断面ボックス形状をなしていることが把握できる。
ところで、例えば、特開平10-134861号公報に示すように、スリット部材14,15と、他との接続端子部分であり、本願発明のタブ部に相当する嵌合部13との間に連なる部分を補強板20にて補強することが記載されている。また、スリット部材14,15が連結部17により連結され、連結部17は側板18により連結されてボックス形状をなしており、圧接端子の変形を防止できることが記載されている。
そこで、前記のことから、圧接端子において、単芯線を挟み込むスロットを形成する一対の挟持片とタブ部との間に連なる部分を補強すること、及び、挟持片の外端部側を垂直に屈曲させて補強部を形成し、その両補強部間を遮蔽する遮蔽部を一体に設けることは、周知の技術として知られている。
更に、補強板を基板部の中間部において段差状に形成するとともに、段差部上部の幅広部と段差部下部の幅狭部とする点や、幅広部と幅狭部のうち幅狭部に遮蔽部を設けた点は設計的事項にすぎないものと認められる。
よって、相違点5に係る発明特定事項の点は、周知技術から当業者であれば容易になし得ることである。

そして、相違点1〜5による事項によって奏する明細書記載の効果も、引用発明、引用例2〜5に記載された発明及び周知技術から当業者であれば予測できる範囲内のものであって、格別なものとはいえない。
以上のとおり、本願補正発明は、引用発明、引用例2〜5に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

6.むすび
したがって、本件補正は、平成15年改正前特許法第17の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項に規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
平成15年9月5日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は(以下、「本願発明」という。)は、平成15年2月5日付けの手続補正の、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「金属板の打ち抜き製品からなり、基板部に対し単芯線を挟み込むためのスロットを形成する一対の挟持片を備えるとともに、基板部には前記挟持片の反対側に延びるタブ部を備え、前記両挟持片の外端部側を屈曲させることにより接触圧力を付与するための対向する一対の補強部を形成するとともに、両補強部の外側面間の間隔は単芯線の外径にほぼ等しく形成し、両補強部には両挟持片の上端部よりも突出する一対の被覆剥離部を延出させ、 前記タブ部は一体化された一対の形成片を密着するように折りたたんで形成されている圧接端子。」

2.引用例に記載された発明
原審の拒絶の理由に引用された引用例等及びその記載事項は前記第2.3.に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、本願補正発明から、「基板部に対してほぼ垂直に」屈曲させるという限定を外し、また、「補強部」、「被覆剥離部」について、「前記補強部と被覆剥離部との間には前記補強部の屈曲部側に切欠きが設けられ、前記一対の被覆剥離部の内側面間の間隔は前記単芯線の外径よりも小さく、かつ、その導線の外径以上であり、前記両補強部は、被覆剥離部とタブ部との間に連なり、しかも前記基板部の中間部において段差状に形成されるとともに、段差部上部の幅広部と段差部下部の幅狭部とからなり、前記両幅狭部の一方には該両幅狭部間を遮蔽する遮蔽部が一体に設けられ、前記両被覆剥離部は、互いに近接する方向に屈曲され」という限定を外したものである。

そうすると、本願発明の特定事項を全て含みさらに他の特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記第2の4.及び5.に記載したとおり、引用発明、引用例2〜5に記載された発明、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、引用発明、引用例2〜5に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用例2〜5に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-05-08 
結審通知日 2006-05-09 
審決日 2006-05-22 
出願番号 特願平10-344202
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01R)
P 1 8・ 575- Z (H01R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 稲垣 浩司  
特許庁審判長 阿部 寛
特許庁審判官 増沢 誠一
北川 清伸
発明の名称 圧接端子及びその圧接端子を用いた電気接続箱  
代理人 恩田 誠  
代理人 恩田 博宣  

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