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審決分類 審判 査定不服 特29条の2 特許、登録しない。 G01B
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G01B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01B
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G01B
管理番号 1139354
審判番号 不服2003-17421  
総通号数 80 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-09-09 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-09-08 
確定日 2006-07-03 
事件の表示 平成 8年特許願第 45093号「位置合わせマーク及び位置合わせ方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 9月 9日出願公開、特開平 9-236422〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成8年3月1日の出願であって、平成15年8月5日付け(発送日平成15年8月8日)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月8日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年9月24日付けで手続補正がなされたものである。

第2.平成15年9月24日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成15年9月24日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1及び4を、補正前の、
「【請求項1】基板上の位置合わせマーク形成予定領域内に、同一形状の複数の単位図形からなる行および列の少なくとも一方が複数個形成され、隣接する行または列の前記単位図形は交互に並ぶように配置され、前記マーク形成予定領域内には前記単位図形が均一に分布するように配置されることを特徴とする位置合わせマーク。」、
「【請求項4】基板に形成された位置合わせマークに荷電ビームを照射し、前記基板からの反射電子信号に基づいて位置合わせを行う位置合わせ方法であって、前記基板面において、同一形状の複数の単位図形から構成される位置合わせマークと同一形状となる荷電ビームを用いて走査することを特徴とする位置合わせ方法。」
から、補正後の
「【請求項1】基板上の位置合わせマーク形成予定領域内に、同一形状の複数の単位図形からなる行および列が複数個形成され、隣接する行および列の前記単位図形は交互に並ぶように配置され、前記マーク形成予定領域内には前記単位図形が均一に分布するように配置されることを特徴とする位置合わせマーク。」、
「【請求項4】基板に形成された位置合わせマークに荷電ビームを照射し、前記基板からの反射電子信号に基づいて位置合わせを行う位置合わせ方法であって、前記基板面において、交互に配置される複数の単位図形から構成される位置合わせマークと同一形状となる荷電ビームを用いて走査することを特徴とする位置合わせ方法。」
と補正する補正事項を含むものである。

2.補正の適否
(1)新規事項について
上記補正事項の内、請求項4について、補正前の「同一形状の複数の単位図形から構成される位置合わせマーク」を補正後の「交互に配置される複数の単位図形から構成される位置合わせマーク」と補正する点について検討する。
本願の願書に最初に添付された明細書及び図面には、【特許請求の範囲】の請求項1〜4に「同一形状の複数の単位図形」と記載されており、【課題を解決するための手段】の段落【0013】〜【0016】にも「同一形状の複数の単位図形」と記載されている。【発明の実施の形態】には、段落【0017】に、位置合わせマークとして、横の長さwが0.5μmで、縦の長さlが1μmで、深さhが0.5μmの単位図形が記載されており、段落【0028】に、平面形状が0.4μmの正方形の単位図形が記載されており、段落【0050】及び段落【0059】に、平面形状が0.25μmの正方形の単位図形が記載されており、また、図面にも同一形状の複数の単位図形から構成されるものしか記載されていない。なお、段落【0042】には、「なお、上記実施の形態の位置合わせマークを構成する単位図形の平面形状は長方形であったが、多角形や円を用いても良い。」と記載されているが、この記載は、形状については長方形以外の形状を用いてもよいことを指すものであって、異なる形状のものを混ぜた複数の単位図形から構成することを意味するものではない。
そうすると、補正後の『交互に配置される複数の単位図形から構成される』との表現では、同一形状でない異なる形状の複数の単位図形であっても、交互に配置されたものであれば、含まれることとなり、当初明細書等に記載されていない同一形状でない複数の単位図形から構成されるものをも含むこととなる。
したがって、本件補正は、願書に最初に添付された明細書及び図面に記載した事項の範囲内でしたものとはいえないから、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。

(2)補正の目的について
同じく、請求項4について、補正前の「同一形状の複数の単位図形から構成される位置合わせマーク」を補正後の「交互に配置される複数の単位図形から構成される位置合わせマーク」と補正することにより、請求項4に係る発明を特定するために必要な事項である『複数の単位図形から構成される位置合わせマーク』に関して、「同一形状の」との限定事項が削除され、「交互に配置される」との限定事項が附加された。
そうすると、新たに「交互に配置される」点の限定事項を付加するものであっても、「同一形状の」との限定事項を削除することにより、同一形状でない異なる形状の複数の単位図形から構成される位置合わせマークをも含むこととなるから、上記補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえず、また、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれを目的とするものとも言えないことは明らかである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第4項の各号に掲げるいずれの事項を目的とするものに該当せず、同法第17条の2第4項の規定に違反するものである。

(3)独立特許要件について
上記補正事項の内、請求項1についての補正は、「少なくとも一方」を削除し、「または」を「および」と補正するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、上記補正後における請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下、「補正後第1発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下に検討する。
ア.刊行物
本願の出願前に頒布された刊行物である特開平6-177025号公報(原査定の拒絶の理由に周知技術として引用されている、以下、「刊行物」という。)には、以下の事項が図面と共に記載されている。
(ア)「【産業上の利用分野】本発明は任意形状図形方式の電子ビーム描画において、ビーム位置またはマーク位置またはビーム形状を高速かつ高精度に検出し、描画を行う電子ビーム描画方法および描画装置に関する。」(段落【0001】)
(イ)「【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、任意形状図形ビーム方式の電子ビーム描画において、任意形状ビームを用いて任意形状のマークを走査することによって、ビーム位置制御を高速かつ高精度に行うことを可能にする電子ビーム描画方法および描画装置を提供することにある。」(段落【0005】)
(ウ)「【課題を解決するための手段】任意形状の図形ビームで電子反射率または2次電子放出率が周囲と相対的に異なる任意形状のマークを走査し、電子検出器からの反射電子もしくは2次電子信号強度の最大値を用いることなどでマークの位置を特定する。」(段落【0006】)
(エ)「本発明では、例えば、マークの形状と同一のビームでマーク上の走査を行い反射電子または2次電子の強度を測定すれば、1度の走査だけで相関関数の値を求めることができ、その最大値をとることによって複雑な相関関数の計算をすることなくマーク位置の決定が可能となる。」(段落【0009】)
(オ)「【実施例】図1は本発明の第1の実施例を示した説明図である。電子源101から放射された電子ビーム102によって任意形状開口を持つアパーチャ板103を照射する。このアパーチャの像を、対物偏向系104によって試料106上に投影し描画を行う。このとき、描画の位置合わせを行うために、あらかじめ試料106上に周囲と反射電子または2次電子の放出率の異なるマーク107を形成しておく。このマーク107上を任意形状の電子ビーム108で走査する。このときの電子ビーム108がマーク107に部分的に重なると、電子が反射して電子検出器105で検出される。電子検出器105で特定のエネルギを選択することによって、反射電子だけでなく2次電子も検出することが可能である。反射電子または2次電子の発生量はビームとマークとの重なる面積に比例するので、連続的に電子ビーム108を走査することによって電子ビーム108とマーク107の重なりの度合いを測定することができる。」(段落【0010】)
(カ)「図7はマーク形状の他の例を示したものである。これらのマーク形状を組み合わせて用いてもよい。また、これらとは別の形状でも、プロセスに応じて最高の検出精度が得られる形状を選択すればよい。」(段落【0015】)
(キ)「【図7】本発明のマーク位置検出用ビーム形状またはマーク形状の説明図。」(【図面の簡単な説明】)
(ク)図面の図7には、(a)〜(i)の形状が示されており、その内(e)には同一形状である複数の正方形をいわゆる市松模様状に配置したものが描かれている。

したがって、上記摘記事項(ア)〜(ク)からみて、上記刊行物には、マーク107に図7の(e)に示されたマークを用いた場合として、次の発明(以下、「刊行物発明」という。)が記載されているものと認める。
「試料106上のマーク107形成予定領域内に、同一形状の複数の正方形を市松模様状に配置されるマーク。」

イ.対比
補正後第1発明と刊行物発明とを対比する。
(ア)刊行物発明の「マーク107」、「同一形状の複数の正方形」は、それぞれ、本願補正発明の「位置合わせマーク」、「同一形状の複数の単位図形」に相当する。
(イ)刊行物発明の正方形を市松模様状に配置されることは、複数の単位図形からなる行および列が複数個形成され、隣接する行および列の前記単位図形は交互に並ぶように配置され、単位図形が均一に分布するように配置されることに他ならない。
(ウ)補正後第1発明の「基板」も、刊行物発明の「試料106」も、共に「マーク形成部材」と言える点で共通する。
以上(ア)〜(ウ)の考察から、両者は、次の一致点及び相違点を有する。
【一致点】
「マーク形成部材上の位置合わせマーク形成予定領域内に、同一形状の複数の単位図形からなる行および列が複数個形成され、隣接する行および列の前記単位図形は交互に並ぶように配置され、前記マーク形成予定領域内には前記単位図形が均一に分布するように配置される位置合わせマーク。」
【相違点】
マーク形成部材について、補正後第1発明では基板であるのに対し、刊行物発明では、試料106である点。

ウ.判断
上記相違点について検討する。
例えば、特開昭55-8009号公報(「シリコン基板1」参照)、特開昭55-26632号公報(「シリコン基板1」参照)、特開昭58-96734号公報(「基板」参照)に記載されているごとく、位置合わせマークを用いた荷電ビーム描画装置におけるマーク形成部材として、基板は周知である。そうすると、刊行物発明も前記周知技術も共に荷電ビーム描画装置における位置合わせマークである点で共通の技術分野に属するから、刊行物発明のマーク形成部材である試料に替えて、上記周知の基板を採用して補正後第1発明のごとく構成することは、当業者であれば容易になし得ることにすぎない。
そして、補正後第1発明の奏する作用効果についても、刊行物に記載された事項及び上記周知技術に基づいて当業者が予測可能な範囲内のものにすぎない。

エ.むすび
したがって、補正後第1発明は、刊行物発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、平成15年改正前特許法特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反する。

3.補正却下の決定についてのむすび
以上のとおりであるから、本件補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第3項及び第4項の規定、並びに、同法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明
平成15年9月24日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成15年2月17日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項3に係る発明(以下、「本願第3発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項3】基板上に形成された位置合わせマークに荷電ビームを照射し、前記基板からの反射電子信号に基づいて位置合わせを行う位置合わせ方法であって、同一形状の複数の単位図形から構成される位置合わせマークに照射する荷電ビームの走査方向に直交する方向の前記荷電ビーム長が前記直交する方向の前記単位図形のピッチの2倍以上であることを特徴とする位置合わせ方法。」

第4.先願明細書に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前の他の出願であって、その出願後に出願公開された特願平7-319140号(特開平9-162102号公報参照)の願書に最初に添付した明細書及び図面(以下、「先願明細書」という。)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
1.「【0001】【発明の属する技術分野】この発明は、主として半導体デバイス作成に使用する写真製版によるパターン形成装置、特に電子ビームを用いてパターンを形成する場合に、重ね合わせ描画を行う際に必要なアライメントマーク検出方法に関するものである。」
2.従来の技術に関する記載として、「【0003】電子ビーム(Electron Beam)を用いたパターン形成装置(以下、EB描画装置と呼ぶ)においては、図11に示すように半導体ウエハ上に多数形成したLSIのチップ1の四隅に、十字形状のアライメントマーク2を使用することが多い。典型的な十字形状のアライメントマーク2の平面図を図12に示す。図13はXIII-XIII線の断面図である。図12及び図13において、直交した各交差線2a、2bの長さLが・・・幅Wが・・・シリコン基板3上のエッチング深さDが・・・程度である。そして、アライメントマーク2の上面に膜厚・・・のレジスト4が塗布されている。【0004】上記のように形成されたアライメントマーク2は以下のようにして検出する。図14に示すように、アライメントマーク2が形成された半導体ウエハをEB描画装置内に設置し、電子ビーム5でアライメントマーク2の近傍を走査しながら、アライメントマーク2に電子ビーム5を照射する。この場合、電子ビーム5の走査は電子ビーム偏向器6に電子ビーム照射位置を入力することにより電圧を制御して行う。そして、電子ビーム5がアライメントマーク2に照射された際に、アライメントマーク2の部分から放射される反射電子7の量を反射信号検出器8で検出して、反射電子信号9を出力する。」
3.「【0021】【発明の実施の形態】実施の形態1.図1は実施の形態1のアライメントマークを示す平面図である。図2は図1のII-II線の断面図である。図1及び図2において、28はシリコン基板、29はシリコン基板28上に形成したシリコン酸化膜、30はウエハ上に複数の穴30aからなる凹部を所定のピッチで配置して形成した十字形状のアライメントマークで、交差線の長さLが30μm〜100μm、幅Wが2μm〜10μm及び深さDが0.2μm〜1.0μmである。・・・穴30aは四角形状のみでなく丸形状でもよい。・・・【0022】以上のように形成したアライメントマーク30を電子ビームを用いて図3に示すようにアライメントマーク30の幅W方向をX軸及びY軸方向に走査したときの反射電子信号は、シリコン酸化膜29と穴30aに埋め込まれた電極材料31との物質の電子の反射率の違いによって得られる。実際の反射電子信号波形は、図4に示すように照射する電子ビームの径に依存して変化する。即ち、図4(a)に示すように、図1において穴30aのパターンピッチより電子ビームの径が小さい場合は、穴30aで反射電子信号の強度が大きくなるというように強度の強弱が表れる信号となる。一方、穴30aのパターンピッチに比べて電子ビームの径が十分に大きい場合には、図4(b)に示すように反射電子信号はなまるが、一つの大きな対称形をした山形状の信号となる。」
4.「【0023】次に、アライメントマーク30の中心位置の求め方について説明する。まず、穴30aのパターンピッチより電子ビームの径が小さい場合に、得られた反射電子信号から閾値法により中心位置を求める。この場合は、図5のように得られた反射電子信号34の各ピークに対して閾値レベル35を設定し、閾値レベル35と反射電子信号34との交点の座標を求め、この2つの座標間の中心位置X1、X2、X3を求める。そして、アライメントマーク30の中心位置は、(X1+X2+X3)/3として求める。・・・【0025】穴30aのパターンピッチより電子ビームの径が大きい場合には、図6に示すように対称形の一つの山形状の信号ピークとなるため、反射電子信号36に対して閾値レベル37を設定し、閾値レベル37と反射電子信号36との交点を求め、この2つの座標間の中心位置38をアライメントマークの中心位置として求める。なお、穴30aのパターンピッチより電子ビームの径が小さい場合、及び電子ビームの径が大きい場合にも、従来と同様に自己相関法を用いてアライメントマークの中心位置を求めることができる。」
5.図面の図1には、全体として十字形状のアライメントマーク30が描かれており、十字の横画について長さLの寸法線と幅Wの寸法線とが描かれている。そして、穴30aの形状及び配置は、同一形状の正方形のものが、十字の縦画の部分に3列をなして幅W方向及び長さL方向同一のピッチで複数並べて描かれており、十字の横画の部分に3行をなして幅W方向及び長さL方向同一のピッチで複数並べて描かれている。また、縦画と横画との交差部分には穴30aは描かれていない。

そうすると、実施の形態1.で図面の図1に示された実施例について、
・十字形状のアライメントマーク30を構成する複数の穴30aの形状は、すべて同一の正方形形状をしており、複数の穴30aの配置は、縦画の部分は3列に、横画の部分は3行に配置され、縦画・横画どちらも、幅W方向及び長さL方向同じピッチで配置されていること、
・アライメントマークの検出は、電子ビームを用いてパターン形成する場合の位置合わせのためのものであること、
・電子ビームを用いて十字形状のアライメントマーク30の幅W方向をX軸及びY軸方向に走査したときとは、十字の交差線となる縦画、横画に対して、それぞれ、幅W方向に(長さL方向とは直交する方向に)走査することであること、
が、読み取れるから、上記摘記事項1.〜5.からみて、先願明細書には、実施の形態1.で図面の図1に示された実施例として、次の発明(以下、「先願発明」という。)が記載されているものと認める。
「シリコン基板28上に形成された十字形状のアライメントマーク30に電子ビームを照射し、前記基板からの反射電子信号に基づいて位置合わせを行う位置合わせ方法であって、同一の正方形形状の複数の穴30aを、縦画の部分は3列に、横画の部分は3行に、どちらも幅W方向及び長さL方向同じピッチで配置して構成される十字形状のアライメントマーク30に照射する電子ビームは幅W方向に走査され、その電子ビームの径が前記穴30aのパターンピッチより十分に大きいものであることを特徴とする位置合わせ方法。」

第5.対比
本願第3発明と先願発明とを対比する。
1.先願発明の「シリコン基板28」、「十字形状のアライメントマーク30」、「穴30a」、「電子ビーム」は、それぞれ、本願第3発明の「基板」、「位置合わせマーク」、「単位図形」、「荷電ビーム」に相当する。
2.先願発明の「同一の正方形形状の複数の穴30aを、縦画の部分は3列に、横画の部分は3行に、どちらも幅W方向及び長さL方向同じピッチで配置して構成される」は、本願第3発明の「同一形状の複数の単位図形から構成される」と異ならない。
3.先願発明においては電子ビームの『径』と表現されていることから、電子ビームの形状は円形形状であることが明らかである。そうすると、円形形状の電子ビームであれば、電子ビームの走査方向に直交する電子ビームの長さは、『径』の大きさと同じとなることが明かであるから、先願発明の「電子ビームの径」は、本願第3発明の「荷電ビームの走査方向に直交する方向の前記荷電ビーム長」に相当する。
さらに、先願発明では、電子ビームを幅W方向に走査するから、走査方向に直交する方向のピッチとは長さL方向のピッチのことであるが、先願発明では穴30aは幅W方向及び長さL方向同じピッチで配置されているから、穴30aの走査方向のピッチである「穴30aのパターンピッチ」は、走査方向に直交する方向のピッチと同じ大きさである。よって、先願発明の「前記穴30aのパターンピッチ」は、本願第3発明の「前記直交する方向の前記単位図形のピッチ」と異ならない。
4.本願第3発明の「ピッチの2倍以上である」ことも、先願発明の「パターンピッチより十分に大きくする」ことも、共に「ピッチ以上である」ことで共通する。
以上1.〜4.の考察から、両者は、
【一致点】「基板上に形成された位置合わせマークに荷電ビームを照射し、前記基板からの反射電子信号に基づいて位置合わせを行う位置合わせ方法であって、同一形状の複数の単位図形から構成される位置合わせマークに照射する荷電ビームの走査方向に直交する方向の前記荷電ビーム長が前記直交する方向の前記単位図形のピッチ以上であることを特徴とする位置合わせ方法。」
である点で一致し、次の相違点で一応相違する。
【相違点】「荷電ビームの走査方向に直交する方向の前記荷電ビーム長が前記直交する方向の前記単位図形のピッチ以上であることについて、本願第3発明では、ピッチの2倍以上であるのに対し、先願発明では、ピッチより十分に大きいものである点。」

第6.判断
上記相違点について検討する。
ピッチの2倍以上である点について、本願明細書には、「【0034】なお、微小な単位図形からなる第1または第2の実施の形態の位置合わせマークに電子ビームを照射した場合に、一定の強度の反射電子信号を得るためには走査するビーム65のサイズが単位図形4のサイズより十分に大きいことが必要である。例えば図12に示すように走査方向に直角な方向のビーム長を走査方向より大きくし、例えば走査方向に直角な方向の単位図形4のピッチlの数倍(好適には2倍)以上で、走査方向は単位図形4のピッチ以上とするのが望ましい。【0035】このようにすることにより、ビームがマーク上のどの位置にあっても反射電子信号の強度はほぼ一定となる。」と記載されており、具体的数値としては、単位図形の横ピッチが0.7μm、縦ピッチが1.2μmであり、ビームは、走査方向と平行な方向サイズが0.7μm、走査方向と直角な方向サイズが2.4μmであるものが記載されており、この具体例では丁度2倍に当たる。これらの記載によれば、2倍以上としたのは、ビームがマーク上のどの位置にあっても反射電子信号の強度はほぼ一定となるようにするためのものであると解される。しかしながら、幾何学上の関係から見ればピッチの1倍のときでも、ビームがマークのどの位置にあっても反射電子信号の強度はほぼ一定となるものと考えられるから、特に下限値を2としたとき、すなわち2倍以上としたときが好適である裏付けとなる記載は見当たらない。
一方先願明細書には、「実際の反射電子信号波形は、図4に示すように照射する電子ビームの径に依存して変化する。即ち、図4(a)に示すように、図1において穴30aのパターンピッチより電子ビームの径が小さい場合は、穴30aで反射電子信号の強度が大きくなるというように強度の強弱が表れる信号となる。一方、穴30aのパターンピッチに比べて電子ビームの径が十分に大きい場合には、図4(b)に示すように反射電子信号はなまるが、一つの大きな対称形をした山形状の信号となる。」(上記摘記事項3.参照)、「穴30aのパターンピッチより電子ビームの径が大きい場合には、図6に示すように対称形の一つの山形状の信号ピークとなるため、反射電子信号36に対して閾値レベル37を設定し、閾値レベル37と反射電子信号36との交点を求め、この2つの座標間の中心位置38をアライメントマークの中心位置として求める。」(上記摘記事項4.参照)と記載されている。これらの記載によれば、パターンピッチより電子ビームの径が大きい場合には、反射電子信号の強度は、強度の強弱が表れる信号とはならず、一つの山形状の信号となるものと解され、そのような強度の強弱が表れない信号を得るために電子ビーム径をパターンピッチより十分に大きいものにしたと解される。
そして、先願発明においては、上記「第5.」の「3.」で述べたとおり、穴30aの走査方向(すなわち、幅W方向)のピッチである「穴30aのパターンピッチ」は、走査方向に直交する方向(すなわち、長さL方向)のピッチと同じ大きさであり、走査方向に直交する方向のビーム長は電子ビーム径に他ならない。そうすると、仮に長さL方向に走査した場合の反射電子信号の特性は、長さLが電子ビーム径より十分大きいことを考慮すると、幅W方向に走査した場合と同様に、パターンピッチより電子ビームの径が大きければ、反射電子信号の強度は、強度の強弱が表れる信号とはならず、台形山形
状の強度がほぼ一定の信号となるものと解され、このことは、幅W方向の走査を、長さL方向のどの位置から走査しても同じ強度の信号が得られることと異ならない。
したがって、上記相違点は構成上の微差というべきものであり、両者は、実質的に同一である。

第7.むすび
以上のとおりであるから、本願第3発明は、先願明細書に記載された発明と同一であり、しかも、本願第3発明の発明者が上記先願明細書に記載された発明の発明者と同一であるとも、また、その出願人が上記他の出願の出願人と同一であるとも認められないので、本願第3発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
そして、本願第3発明が特許を受けることができないものであるから、その余の請求項1、2、4に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-05-08 
結審通知日 2006-05-09 
審決日 2006-05-22 
出願番号 特願平8-45093
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G01B)
P 1 8・ 561- Z (G01B)
P 1 8・ 572- Z (G01B)
P 1 8・ 16- Z (G01B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大和田 有軌福田 裕司岡田 卓弥  
特許庁審判長 杉野 裕幸
特許庁審判官 山川 雅也
濱野 隆
発明の名称 位置合わせマーク及び位置合わせ方法  
代理人 佐藤 政光  
代理人 佐藤 一雄  
代理人 玉真 正美  
代理人 橘谷 英俊  
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