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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A63F
管理番号 1139879
審判番号 訂正2006-39004  
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-06-12 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2006-01-12 
確定日 2006-05-23 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3729057号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3729057号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 
理由 1.審判請求の要旨
本件審判の請求の要旨は、特許第3729057号発明(出願遡及日:平成5年10月29日、設定登録日:平成17年10月14日)の明細書を審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、すなわち、下記(1)ないし(4)のとおり訂正することを求めるものである。
(1)明細書の【特許請求の範囲】の欄の【請求項1】中の「前記初期状態で設定処理された値を前記規則的処理によって新たな値を得て」を「前記初期状態で設定処理された値を変更する前記規則的処理によって新たな値とされ」と訂正することによって、全体を以下のように訂正する。
「【請求項1】 複数の図柄を表示する図柄表示器を備え、前記図柄表示器で特定の図柄が表示される場合に当りとなってパチンコ球の入賞率が高くなるパチンコ機であって、
所定数の数値群のうち特定の数値を当り値として記憶する当り値記憶手段と、
パチンコ球が特定の始動口に入賞して得られた数値が前記当り値記憶手段に記憶された当り値である場合に、前記図柄表示器に前記特定の図柄を表示させる表示制御手段と、
電源投入による遊技の初期値設定時に特定の固定された値を初期値として設定する初期値設定手段と
を備え、
前記当り値記憶手段に記憶される当り値は前記初期値から所定回の規則的な加算又は減算処理(以下、規則的処理という)で到達する値とされており、
パチンコ球が特定の入賞口に入賞した場合に、前記初期状態で設定処理された値を変更する前記規則的処理によって新たな値とされ前記入賞に対して得られる値が前記当り値であるか否かの当否判定を行う当否判定処理を実行すると共に、
前記当否判定処理を実行し得る遊技状態において初期値変更条件が成立する場合には、前記当否判定処理によって当りが発生する前であっても前記所定数の数値群の中からランダムに得られる値を前記規則的処理の開始値として新たに設定することで前記当り値までの前記所定回数を変化させる初期値変更処理を実行することを特徴とするパチンコ機。」(下線部訂正箇所)
(2)明細書の【発明の詳細な説明】の欄の段落番号【0005】の記載を削除する。
(3)明細書の【発明の詳細な説明】の欄の段落番号【0006】の記載を削除する。
(4)明細書の【発明の詳細な説明】の欄の段落番号【0007】の【課題を解決するための手段】中の「前記初期状態で設定処理された値を前記規則的処理によって新たな値(マイクロコンピュータ60のS30における-1更新処理)を得て」を「前記初期状態で設定処理された値を変更する前記規則的処理によって新たな値(マイクロコンピュータ60のS30における-1更新処理)とされ」と訂正する。

2.当審の判断
そこで、これらの訂正事項について検討すると、上記(1)の訂正は、審判請求書で請求人も認めるとおり、訂正前の「前記初期状態で設定処理された値を前記規則的処理によって新たな値を得て」では、「を」が繰り返されていて文意がいささか不明瞭である。そこで、明細書をみると、その段落番号【0008】中に、「パチンコ球が特定の入賞口に入賞すると、前記初期状態で設定処理された値を規則的に加算又は減算していく規則的処理によって新たな値が得られ」という記載が、また、その段落番号【0011】中に、「パチンコ玉が変更入賞口20に入賞する度に、決定値から1を減算し、この数値を新たな決定値として」及び「パチンコ玉が変更入賞口20に入賞する度に、決定値が規則的に変更される」という記載が、さらに、その段落番号【0035】の【発明の効果】中に、「パチンコ球が特定の入賞口に入賞すると、前記初期状態で設定処理された値を規則的に更新していく更新処理によって更新され」という記載が、それぞれ認められるから、明細書には、「前記初期状態で設定処理された値を」「規則的処理によって」「新たな値」ないし「決定値」とすることあるいは「前記初期状態で設定処理された値を」「規則的に変更」ないし「規則的に更新」することが記載されているものと認められ、そうすると、上記訂正前のいささか不明瞭な記載が、訂正後の「前記初期状態で設定処理された値を変更する前記規則的処理によって新たな値とされ」を意味することは自明である。したがって、上記(1)の訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当する。
また、上記(2)及び(3)の訂正は、【特許請求の範囲】の欄の【請求項1】と同内容の【課題を解決するための手段】が明細書の段落番号【0007】にあり、同【請求項1】と内容を異にする【課題を解決するための手段】が明細書の段落番号【0005】及び同【0006】にあるという不明瞭、すなわち、明細書中に、内容を異にする【課題を解決するための手段】が二つあるという不明瞭、を解消しようとするものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当する。
また、上記(4)の訂正は、上記(1)の訂正と整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当する。
そして、上記各訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。

3.むすび
したがって、本件審判の請求は、平成6年改正前特許法第126条第1項ただし書き及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
パチンコ機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】複数の図柄を表示する図柄表示器を備え、前記図柄表示器で特定の図柄が表示される場合に当りとなってパチンコ球の入賞率が高くなるパチンコ機であって、
所定数の数値群のうち特定の数値を当り値として記憶する当り値記憶手段と、
パチンコ球が特定の始動口に入賞して得られた数値が前記当り値記憶手段に記憶された当り値である場合に、前記図柄表示器に前記特定の図柄を表示させる表示制御手段と、
電源投入による遊技の初期値設定時に特定の固定された値を初期値として設定する初期値設定手段と
を備え、
前記当り値記憶手段に記憶される当り値は前記初期値から所定回の規則的な加算又は減算処理(以下、規則的処理という)で到達する値とされており、
パチンコ球が特定の入賞口に入賞した場合に、前記初期状態で設定処理された値を変更する前記規則的処理によって新たな値とされ前記入賞に対して得られる値が前記当り値であるか否かの当否判定を行う当否判定処理を実行すると共に、
前記当否判定処理を実行し得る遊技状態において初期値変更条件が成立する場合には、前記当否判定処理によって当りが発生する前であっても前記所定数の数値群の中からランダムに得られる値を前記規則的処理の開始値として新たに設定することで前記当り値までの前記所定回数を変化させる初期値変更処理を実行することを特徴とするパチンコ機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、パチンコ機に関し、詳しくは、図柄を可変表示する図柄表示器を備え、該図柄表示器に特定の図柄が表示されると大当たりを発生するパチンコ機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、パチンコ機としては種々のものが案出されているが、中には、所定条件を満たした場合にパチンコ玉の入賞率が高くなるものがある。例えば、所定の入賞口にパチンコ玉が入賞すると乱数を発生し、この乱数が所定条件を満たすとパチンコ玉が入賞し易くなるように大入賞口、チューリップ等が開閉し、遊戯者が多量のパチンコ玉を獲得できるようにした所謂デジパチ等である。そして、このようなパチンコ機においては、乱数に応じた数字、記号、又は絵柄等の図柄を図柄表示器に表示して、所定条件を満たしているか否かを遊戯者が認識できるようにしてある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前述したようなデジパチ等の従来のパチンコ機にあっては、所定条件を満たす乱数が発生するまで、即ち当り表示に至る過程が単純なものであった。
【0004】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、図柄表示器の表示が当り表示に至る過程に一定のランダム性を付与することができるパチンコ機を提供することである。
【0005】
【0006】
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために本発明では、次のような特徴的手段を採用した。なお、後述する実施例で対応する構成については括弧書きで示した。
すなわち、本発明は、
複数の図柄を表示する図柄表示器(図柄表示器50)を備え、前記図柄表示器で特定の図柄(「0」図柄)が表示される場合に当りとなってパチンコ球の入賞率が高くなるパチンコ機であって、
所定数の数値群(「0」〜「9」)のうち特定の数値(「0」)を当り値として記憶する当り値記憶手段(ROM66)と、
パチンコ球が特定の始動口に入賞して得られた数値が前記当り値記憶手段に記憶された当り値である場合に、前記図柄表示器に前記特定の図柄を表示させる表示制御手段と、
電源投入による遊技の初期値設定時に特定の固定された値を初期値として設定する初期値設定手段(マイクロコンピュータ60のS1における初期値設定処理機能、特に図柄表示レジスタH=5とする処理機能)と
を備え、
前記当り値記憶手段に記憶される当り値は前記初期値から所定回の規則的な加算又は減算処理(以下、規則的処理という)で到達する値とされており、
パチンコ球が特定の入賞口(変更入賞口20)に入賞した場合に、前記初期状態で設定処理された値を変更する前記規則的処理によって新たな値(マイクロコンピュータ60のS30における-1更新処理)とされ前記入賞に対して得られる値が前記当り値であるか否かの当否判定を行う当否判定処理(マイクロコンピュータ60のS60における判断処理機能)を実行すると共に、
前記当否判定処理を実行し得る遊技状態において初期値変更条件が成立する場合(S40の始動入賞口SW11がONされている場合)には、前記当否判定処理によって当りが発生する前であっても前記所定数の数値群の中からランダムに得られる値(「0」〜「9」)を前記規則的処理の開始値として新たに設定することで前記当り値までの前記所定回数を変化させる初期値変更処理(マイクロコンピュータ60のS50における値Xの設定処理)を実行することを特徴とする。
【0008】
【発明の作用】
上記手段により、電源投入時における遊技の初期状態にあっては初期値設定手段により当り値とは別の固定された初期値が設定される。そして、パチンコ球が特定の入賞口に入賞すると、前記初期状態で設定処理された値を規則的に加算又は減算していく規則的処理によって新たな値が得られ、その得られた値が前記当り値であるか否かの当否判定が実行される。この判定の結果、当り値である場合には図柄表示器には特定の図柄が表示されてパチンコ球の入賞率が高められる。一方、前記当否判定処理を実行し得る遊技状態において初期値変更条件が成立する場合には、前記当否判定によって当りが発生する前であっても前記規則的処理で使用される数値群の中からランダムに得られる値を前記規則的処理の開始値として新たに設定することで前記当り値までの回数を変化させる初期値変更処理を実行する。この結果、当りに至る過程にランダム性が付与される。
【0009】
【実施例】
次に、本発明のパチンコ機100の実施例を、図面に従って詳細に説明する。
【0010】
遊戯盤110の略中央部には、図1に示すように、7セグメントLEDで構成された図柄表示器50が設けられており、この図柄表示器50に、決定値に応じた図柄として0〜9の数字が表示されるようにしてある。そして、遊戯盤110には、図柄表示器50の上部に始動入賞口10と、図柄表示器50の左右両側に各々変更入賞口20とが設けられている。
【0011】
なお、本実施例においては、0〜9の値が乱数として発生され、この値を決定値とし、これに対応する0〜9の数字が図柄表示器50に表示されるようにしてある。そして、パチンコ玉が変更入賞口20に入賞する度に、決定値から1を減算し、この数値を新たな決定値として新たな決定値に対応する数字が図柄表示器50に表示されるようにしてあり、決定値が「0」となると所定条件となり、パチンコ玉の入賞率が変動されるようにしてある。なお、これに限らず、パチンコ玉が変更入賞口20に入賞する度に、決定値から2を減算したり、決定値に1を加算したりするようにしてもよい。即ち、パチンコ玉が変更入賞口20に入賞する度に、決定値が規則的に変更されるようにすればよい。
【0012】
また、乱数に対応する決定値を個別に設定し、この決定値に対応する図柄を表示するようにしてもよい。例えば、1〜100の値を乱数、0〜9までの値を決定値、所定条件としての決定値を「0」とした場合、乱数1に対応する決定値を「0」、乱数2〜5に対応する決定値を「1」、乱数6〜12に対応する決定値を「2」、乱数13〜21に対応する決定値を「3」等とし、決定値「0」が他の決定値に比して最も低い出現確率となるようにし、決定値「0」に近い数字の決定値ほどその出現確率が低くなるようにしてもよい。なお、0〜9までの値の中間部分である「4」、「5」、「6」の決定値を出現確率の高いものとし、「7」、「8」、「9」の決定値を、「1」、「2」、「3」の決定値と同様に出現確率の低いものとしてもよい。
【0013】
さらに、図柄としては数字に限らず、A、B、C等のアルファベットの記号や、リンゴ、バナナ等の果物の絵柄等を採用してもよく、図柄表示器50として複雑な図柄も表示することができる液晶パネル等を採用してもよい。
【0014】
さらにまた、本実施例においては、図柄表示器50の上部に始動入賞口10と、図柄表示器50の左右両側に各々変更入賞口20とを設けた例を示したが、始動入賞口10及び変更入賞口20の配設位置は、特に限定されるものではなく、例えば、図柄表示器50の上部に変更入賞口20と、図柄表示器50の左右両側に各々始動入賞口10とを設けてもよい。
【0015】
次に、このパチンコ機100の遊戯内容を説明する。まず、パチンコ玉が始動入賞口10に入賞すると、図柄表示器50に、乱数により決定された決定値に対応する図柄、例えば「5」が表示される。そして、パチンコ玉が変更入賞口20に入賞する度に、図柄表示器50に表示された数字が1づつ減算され、この数字が「0」になると、パチンコ玉の入賞率が高くなる。ここで、図柄表示器50に表示された数字が「0」になる前に、パチンコ玉が始動入賞口10に入賞すると、図柄表示器50に表示された数字は、新たに乱数により決定された決定値に対応する数字に変更される。
【0016】
次に、パチンコ玉の入賞率の変動状態を説明する。図柄表示器50の下側には、特別始動口30が設けられており、この上部には、蓋ソレノイド33(図示しない)の駆動により進退する蓋32が設けられている。この蓋32は、通常状態において遊戯盤110から突出し、パチンコ玉が特別始動口30に入賞不可能な状態を形成するのであるが、図柄表示器50に表示された数字が「0」になると遊戯盤110内に後退し、パチンコ玉が特別始動口30に入賞可能な状態を形成する。この時、スピーカー80(図示しない)から効果音が流れ、ランプ90(図示しない)が点滅し、蓋32が開いたことを遊戯者が認識できるようにしてある。なお、この蓋32は、必ずしも必要ではなく、通常状態においてもパチンコ玉が特別始動口30に入賞可能なようにしてもよい。この場合は、通常状態においてパチンコ玉が特別始動口30に入賞すると、後述するパチンコ玉の入賞率が高くなる一連の動作は行われず、通常のパチンコ玉の払い出しのみが行われるようにすればよい。
【0017】
特別始動口30の下側には、大入賞口40が設けられており、パチンコ玉が特別始動口30に入賞すると、大入賞口ソレノイド42(図示しない)の駆動により大入賞口40が開き、多量のパチンコ玉が入賞し易くなるようにしてある。即ち、パチンコ玉の入賞率が高くなるようにしてある。そして、大入賞口40は、10秒経過後、或は10個のパチンコ玉が入賞すると閉じるようにしてあり、図柄表示器50の右下側には、大入賞口40への入賞個数をカウントする7セグメントLEDで構成された入賞個数表示器51が設けられている。また、大入賞口40は、パチンコ玉が特別始動口30に入賞する度に開くようにしてあり、この大入賞口40の開閉が16回繰り返されるようにしてある。そして、図柄表示器50の左下側には、大入賞口40の開閉回数をカウントする7セグメントLEDで構成された開閉回数表示器52が設けられている。さらに、大入賞口40が開いている最中は、前述した蓋32が開いた時の効果音とは異なる効果音がスピーカー80から流れ、前述したランプ90の点滅間隔とは異なる間隔でランプ90が点滅し、大入賞口40が開いていることを遊戯者が認識できるようにしてある。
【0018】
以上のような一連の作動は、マイクロコンピューター60を使用して電気的に制御されており、図2には、この電気的構成を示すブロック図の一例を示す。
【0019】
マイクロコンピュータ60には、外部ROM66及び外部RAM67が接続されている。そして、外部ROM66には、図3及び図4に示す処理手順を含んだプログラムが組み込まれており、外部RAM67は、種々のデータを一時的に記憶したり、種々の演算をする作業エリアとなっている。また、マイクロコンピュータ60には、始動入賞口10、変更入賞口20、特別始動口30、大入賞口40へのパチンコ玉の入賞を各々検知する検出スイッチとして、始動入賞口SW11、変更入賞口SW21、特別始動口SW31、大入賞口SW41が、チャタリングを防止する波形整形回路65を介して接続されている。その他、マイクロコンピューター60には、分周器64を介してクロック発生回路61と、リセット信号発生回路62と、電源回路65とが各々接続されている。ここで、クロック発生回路63は、外部ROM66に組み込まれたプログラムを実行するための外部割り込み信号を出力するためのものであり、リセット信号発生回路62は、起動スイッチ71のONにより図3に示す初期値設定を実行するためのものである。
【0020】
また、マイクロコンピュータ60の出力ポートには、表示器駆動回路68、表示器選択回路69、ドライバ70が接続されている。表示器駆動回路68、表示器選択回路69には、前述した図柄表示器50、入賞個数表示器51、開閉回数表示器52が接続されている。そして、各表示器50、51、52は、マイクロコンピューター60から選択データと表示データとを定周期で出力することにより表示器選択回路69により各表示単位が選択され、その時の表示器駆動回路68の出力信号に応じてダイナミック駆動される。また、ドライバ70は、マイクロコンピューター60からの信号に応じて、各ソレノイド33、42、ランプ90、スピーカー80を駆動する。
【0021】
次に、前述した処理手順を、図3及び図4に示すフローチャート図に基づいて説明する。
【0022】
まず、起動スイッチ71がONされると、マイクロコンピューター60に給電されると共に、リセット信号が入力され、図3に示す遊戯内容の初期値設定が実行される。なお、マイクロコンピューター60においては、遊戯内容の初期値設定の前に、種々の初期セットが実行されるのであるが、ここではその説明を省略する。
【0023】
遊戯内容の初期値設定が実行されると、決定値である図柄表示レジスタHの値は、「5」の初期値に設定され、大入賞口SW41からの信号により大入賞口40の入賞個数をカウントする大入賞口入賞カウンタG、決定値が所定条件を満たしているか否かの判断基準となる状態フラグR、特別始動口30への入賞の判断基準となる特別始動口入賞フラグF、及び大入賞口40の開閉回数をカウントする開閉回数カウンタLは、各々初期値「0」に設定される(S1)。
【0024】
次に、初期値設定後は、クロック発生回路63から分周器64を介して定時間外部割込信号がマイクロコンピューター60に入力される度に、図4に示す処理が実行される。
【0025】
まず、状態フラグRが「0」であるか否か判断され(S10)、状態フラグRが「0」である場合は、変更入賞口SW21がONされているか否かの判断に進む(S20)。ここで、変更入賞口SW21がONされている場合には、図柄表示レジスタHの値から1を減算した値が新たな図柄表示レジスタHの値として設定され(S30)、始動入賞口SW11がONされているかの否かの判断に進む(S40)。そして、始動入賞口SW11がONされている場合には、公知の手段により発生された乱数に対応する値Xが新たな図柄表示レジスタHの値として設定され(50)、この図柄表示レジスタHの値が所定条件である「0」であるか否か判断され(S60)、「0」でない場合には、ランプ90、スピーカー80、各ソレノイド33、42、各表示器50、51、52(以下各機器という)が、図柄表示レジスタHが「0」でなく、状態フラグR及び特別始動口入賞フラグFが各々「0」である条件に対応して駆動される(S160)。即ち、図柄表示器50には図柄表示レジスタHの値が表示され、蓋32は突出し、大入賞口40は閉じ、ランプ90及びスピーカー80は作動しない状態になる。そして、定時間外部割込信号が入力される度に、図柄表示レジスタHの値が「0」になるまでこの処理が繰り返される。
【0026】
次に、変更入賞口20或は始動入賞口10へのパチンコ玉の入賞により図柄表示レジスタHの値が「0」に変更されると、状態フラグRが「1」に設定され(S70)、特別始動口SW31がONされているか否かの判断に進む(S80)。ここで、特別始動口SW31がONされていない場合には、図柄表示レジスタHの値が「0」、状態フラグRが「1」、特別始動口入賞フラグFが「0」である条件に対応して、各機器が駆動される(S160)。即ち、図柄表示器50には「0」の数字が表示され、蓋32は後退し、大入賞口40は閉じた状態となり、ランプ90及びスピーカー80は、この状態を遊戯者に認識させるような形態で作動される。そして、特別始動口SW31がONされるまでこの状態に維持される。
【0027】
次に、特別始動口SW31がONされると、特別始動口入賞フラグFが「1」に設定され(S90)、大入賞口40の開放時間Tが10秒にセットされる(S100)。そして、開放時間Tがタイムアップしているか否か判断され(S110)、タイムアップしていない場合には、大入賞口入賞カウンタGが「10」に達しているか否かの判断に進む(S111)。ここで、大入賞口入賞カウンタGが「10」に達していない場合には、図柄表示レジスタHの値が「0」、状態フラグRが「1」、特別始動口入賞フラグFが「1」である条件に対応して各機器が駆動される(S160)。即ち、図柄表示器50には「0」の数字が表示され、蓋32は突出し、大入賞口40は開いた状態となり、ランプ90及びスピーカー80は、この状態を遊戯者に認識させるように、前述した形態とは異なる形態で作動される。そして、開放時間Tがタイムアップするか、或は大入賞口入賞カウンタGが「10」に達するまでこの状態に維持される。
【0028】
次に、開放時間Tがタイムアップするか、或は大入賞口入賞カウンタGが「10」に達すると、特別始動口入賞フラグFが「0」に設定され(S120)、大入賞口入賞カウンタGが「0」に設定される(S130)。そして、開閉カウンタLが「15」であるか否かの判断、即ち大入賞口40の開閉回数が16回に達しているか否かの判断に進み(S140)、開閉カウンタLが「15」でない場合には、開閉カウンタLに1を加えた値が新たな開閉カウンタLとして設定され(S141)、状態フラグRが「1」、特別始動口入賞フラグFが「0」である条件に対応して、各機器が駆動される(S160)。そして、開閉カウンタLが「15」となるまで大入賞口40の開閉が繰り返される。
【0029】
最後に、開閉カウンタLが「15」になると、図柄表示レジスタHの値を初期値「5」に、状態フラグR、開閉カウンタLを各々初期値「0」に設定し、この条件に対応する形態に各機器が駆動される(S160)。即ち、図柄表示器50には「5」の数字が表示され、蓋32は突出し、大入賞口40は閉じ、ランプ90及びスピーカー80は作動されない状態になる。
【0030】
なお、本実施例においては、発生される乱数に対応する値Xが所定条件である「0」を含むものとして、パチンコ玉が始動入賞口10に入賞することにより突然決定値が所定条件を満す可能性を含むようにしてあるが、乱数に対応する値Xを「0」を含まないものとしてもよい。この場合、決定値が「0」になるまで変更入賞口20にパチンコ玉を入賞させる作業が必要となり、遊戯者は、図柄が当りの図柄まで変更する様を楽しむことができる。
【0031】
また、決定値が所定条件を満たして蓋32が後退した後に特別始動口30にパチンコ玉が入賞すると、例えば大入賞口40が開いて30秒または入賞個数が10個に達すると閉じるという動作を連続して16回行う等、大入賞口40が連続した所定回数の開閉動作を行うようにしてもよい。この場合、特別始動口30より先に始動入賞口10にパチンコ玉が入賞すると、決定値が変更されて蓋32が突出するようにし、パチンコ玉が入賞し易い状態を中止するようにしてもよい。このようにすると、遊戯者は、始動入賞口10より先に特別始動口30にパチンコ玉を入賞させなければならず、より趣向を凝らすことができる。
【0032】
さらに、特別入賞口30及び蓋32を設けず、決定値が所定条件を満たした場合に、前述したような大入賞口40の連続した所定回数の開閉動作が行われるようにしてもよい。
【0033】
さらに、本実施例では、左右の各変更入賞口20にパチンコ玉が入賞すると、決定値から1を減算するようにしてあるが、例えば、一方の変更入賞口20にパチンコ玉が入賞すると1を減算するように、他方の変更入賞口20にパチンコ玉が入賞すると1を加算するようにすると、遊戯の内容がより複雑になり、より趣向を凝らすことができる。
【0034】
さらに、二桁、三桁、或はそれ以上の桁数の数字が図柄表示器50に表示されるようにしてもよい。この場合、図柄表示器50に表示された全ての桁の数字が同じになった時等に、パチンコ玉の入賞率が変動されるようにしてもよい。また、二桁以上の数字が図柄表示器50に表示されるようにした場合、一の桁の数字を変更する変更入賞口20、十の桁の数字を変更する変更入賞口20、百の桁の数字を変更する変更入賞口20等と、各桁の数字を個別に変更する複数の変更入賞口20を設けてもよい。この場合も、遊戯の内容がより複雑になり、より趣向を凝らすことができる。なお、複数の変更入賞口20の何れかへのパチンコ玉の入賞により、変更する桁をランダムに決定し、その桁の数字を規則的に変更するようにしてもよいが、この場合、遊戯内容が複雑になり過ぎないよう考慮すべきである。
【0035】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、電源投入時などの遊技の初期状態にあっては初期値設定手段により当り値とは別の初期値が設定される。そして、パチンコ球が特定の入賞口に入賞すると、前記初期状態で設定処理された値を規則的に更新していく更新処理によって更新され前記入賞に対して得られる前記更新された値が前記当り値であるか否かの当否判定が実行される。この判定の結果、当り値である場合には図柄表示器には特定の図柄が表示されてパチンコ球の入賞率が高められる。一方、前記当否判定処理を実行し得る遊技状態において初期値変更条件が成立する場合には、前記当否判定によって当りが発生する前であっても前記更新処理で使用される数値群の中からランダムに得られる値を前記更新処理の開始値として新たに設定することで前記当り値までの更新回数を変化させる初期値変更処理を実行する。この結果、当り値に向けて規則性のある数値更新を行いつつ中途でその更新値をランダムに変化させることができ、単に当り値に向けて規則的に数値更新する場合に比べて当り値を得るまでの数値変化にランダム性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパチンコ機の一実施例を示す正面図である。
【図2】本発明のパチンコ機の電気的構成の一例を示すブロック図である。
【図3】マイクロコンピューターの処理手順の一例を示すフローチャート図である。
【図4】マイクロコンピューターの処理手順の一例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
10…始動入賞口、11…始動入賞口SW、20…変更入賞口、21…変更入賞口SW、30…特別始動口、31…特別始動口SW、32…蓋、33…蓋ソレノイド、40…大入賞口、41…大入賞口SW、42…大入賞口ソレノイド、50…図柄表示器、51…入賞個数表示器、52…開閉回数表示器、60…マイクロコンピュータ、61…電源回路、62…リセット信号発生回路、63…クロック発生回路、64…分周器、65…波形整形回路、66…ROM、67…RAM、68…表示器駆動回路、69…表示器選択回路、70…ドライバ、80…スピーカー、90…ランプ、100…パチンコ機、110…遊戯盤。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2006-05-11 
出願番号 特願2000-329861(P2000-329861)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 伊藤 陽山崎 仁之  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 宮本 昭彦
渡部 葉子
登録日 2005-10-14 
登録番号 特許第3729057号(P3729057)
発明の名称 パチンコ機  
代理人 山田 強  
代理人 山田 強  

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