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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1139963
審判番号 不服2003-6097  
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-10-13 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-04-10 
確定日 2006-07-13 
事件の表示 平成6年特許願第56306号「半導体ウエハの洗浄方法」拒絶査定不服審判事件〔平成7年10月13日出願公開、特開平7-263402〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.本願は、平成6年3月25日の出願であって、その請求項1〜5に係る発明は、平成17年10月26日付手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜5に記載されたとおりであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】 半導体ウエハ表面を洗浄するに当り、
ウエハ表面上の自然酸化膜のエッチング処理と、該エッチング処理によって露出されたウエハ表面に対する撥水処理とを連続して行った後に、前記ウエハ表面を洗浄するものであって、
前記撥水処理は、撥水処理剤として前記エッチング処理におけるエッチャントであるHFを用いて前記ウエハ表面に在る水滴の接触角が最低でも60度となるまで行なうことを特徴とする半導体ウエハの洗浄方法。」

2.引用刊行物及びその摘記事項
これに対し、当審の拒絶の理由に引用した本願の出願前に頒布された刊行物である特開昭62-173720号公報(以下、「刊行物1」という。)、及び特開平4-320030号公報(以下、「刊行物2」という。)には、次の事項が記載されている。

(1)刊行物1(特開昭62-173720号公報)の摘記事項
(1a)「〔概要〕
ウェハの洗浄装置で、ウェハを洗浄用薬液の蒸気で洗浄した後、容器からウェハを取出すことなく水蒸気で薬液を洗い落とし、次いで乾燥するようにしたものである。」(1頁左下欄14〜18行)
(1b)〔従来の技術〕欄には、「自然酸化膜は大気中の酸素によってシリコンウェーハ表面が酸化されることにより形成されるが、一般にこの自然酸化膜は清浄な雰囲気で形成されないので、膜中に不純物を取り込んでおり、好ましくない。そこで熱処理前洗浄ではこの自然酸化膜を除去し清浄なシリコン表面を露出する工程がはいる。自然酸化膜を除去する方法としては通常フッ酸(HF)溶液が用いられているが、従来の方法は第2図に示すように、希釈HF溶液1中にウェーハ2を浸し、酸化膜溶解後、純水3でHFを洗い流し乾燥するというものである。」(1頁右下欄16行〜2頁左上欄7行)
(1c)「〔発明が解決しようとする問題点〕しかし従来法では、酸化膜溶解後活性化したシリコン表面に一旦溶けた不純物が再付着し、シリコンウェーハ表面の清浄度が上がらないという欠点があった。
また、この問題を避けるためにHFの蒸気で洗浄しても、純水で洗い流すために容器外へウェハを取出すと、ウェハが汚染することが考えられる。」(2頁左上欄8〜15行)
(1d)「〔作用〕ウェハの洗浄薬液を蒸気にして供給した後、同じ容器内で水蒸気で薬液を洗い落とし乾燥させることができるので、ウェハに二次汚染をもたらす可能性を低減させることができる。」(2頁右上欄7〜11行)
(1e)「〔実施例〕 ・・・
本考案の一実施例を第1図に示す。これはシリコンウェーハをHFで除去する場合である。・・・。ウェーハ22を容器21に入れたら、バルブB,Dをあけ、HF蒸気23でウェーハ22表面に形成された酸化膜(図示せず)を溶解する。溶解された酸化膜はHF溶液に含まれて、ウェーハ表面を伝わってウェーハから落下し除去される。
酸化膜が除去され、ウェーハ表面が破水性になったらバルブBを閉め、Cを開け、高純度の水蒸気24により、ウェーハ表面及び容器内側に付着したHFを洗い流す。十分に水で置換したあとバルブCを閉めバルブAをあけ、・・・ウェーハ22を乾燥させる。」(2頁右上欄12行〜左下欄12行)

(2)刊行物2(特開平4-320030号公報)の摘記事項
(2a)「【0007】【作用】・・・半導体ウェーハをウェーハ保持部に固定し、半導体ウェーハを収納部内に収納する。紫外線放射部をオフした状態で、純水供給口から超純水を供給し、排出口を開放し前記収納部を通水状態にする。紫外線放射部をオンし、半導体ウェーハの洗浄を行い、ウェーハ表面の有機成分を分解除去する。
【0008】・・・第2の観点においては、前記半導体ウェーハの洗浄時にウェーハ表面に紫外光を照射する工程によってウェーハ表面に紫外光を照射し、半導体ウェーハを超純水で洗浄する工程によって半導体ウェーハを洗浄し、表面の有機成分を分解除去する。」
(2b)「【0023】図3は、本発明に係るH2Oの接触角による洗浄効果の評価結果を示すグラフである。図3aは、HF(ふっ化水素)の5%溶液処理したウェーハを洗浄した評価結果を示すグラフである。図3bは、HFの50%溶液処理ウェーハを洗浄した評価結果を示すグラフである。・・
【0024】この実験では、サンプルとして、未処理ウェーハと,トリクレン処理ウェーハと,HF(5%溶液)処理ウェーハ及びHF(50%溶液)処理ウェーハを用いた。図3のグラフにおいて、接触角(θ°H2O)が大きいほどウェーハの表面は疎水性で、接触角が小さいほどウェーハの表面は親水性である。
・・・
【0026】この結果、図3のグラフより、ふっ酸処理や有機溶剤処理により疎水化されたウェーハ表面も本装置の処理により改質され、親水性の表面を容易に得ることが可能なことがわかる。・・」
(2c)図3には、aとしてHF(ふっ化水素)の5%溶液処理したウェーハを洗浄した評価結果を示すグラフ、bとしてHFの50%溶液処理ウェーハを洗浄した評価結果を示すグラフが示され、紫外線照射時間が0秒のとき、両者ともH2Oの接触角が70度超であることが示されている。

3.対比・判断
刊行物1には、従来の技術欄に、熱処理前洗浄ではこの自然酸化膜を除去し清浄なシリコン表面を露出する工程がはいること(摘記(1b))、又HF蒸気でウェーハ表面に形成された酸化膜を溶解し、酸化膜が除去され、ウェーハ表面が破水性になったら、高純度の水蒸気により、ウエーハ表面に付着したHFを洗い流すこと(摘記(1e))が記載されている。ここで、酸化膜が除去され、ウェーハ表面が破水性になるということは、この自然酸化膜の除去処理によりウェーハ表面が露出して破水性になることであるから、除去処理の最終段階では、破水処理、すなわち撥水処理に相当する処理がなされているものと認められる。
そうすると、刊行物1の摘記事項を総合すると、刊行物1には、「ウェーハ表面を洗浄するに当たり、HF蒸気でウェーハ表面上の自然酸化膜の除去処理と、除去処理の最終段階で、露出したウェーハ表面に対する撥水処理とを連続して行いウェーハ表面が撥水性になったら、高純度の水蒸気によりウェーハ表面を洗浄するものであって、撥水処理は、除去処理におけるHF蒸気を用いて行うウェーハの洗浄方法」の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていることになる。
そこで、本願発明と刊行物1発明とを対比する。
刊行物1発明でのウェーハ表面上の自然酸化膜の「除去処理」は、本願発明でのウェーハ表面上の自然酸化膜の「エッチング処理」に相当しているから、両者は、「半導体ウエハ表面を洗浄するに当り、ウエハ表面上の自然酸化膜のエッチング処理と、該エッチング処理によって露出されたウエハ表面に対する撥水処理とを連続して行った後に、前記ウエハ表面を洗浄するものであって、前記撥水処理は、撥水処理剤として前記エッチング処理におけるエッチャントであるHFを用いて行なう半導体ウエハの洗浄方法」の点で一致するものの、次の点で相違する。

相違点:撥水処理について、本願発明ではウエハ表面に在る水滴の接触角が最低でも60度となるまで行なうこととしているのに対し、刊行物1発明ではこの点が記載されていない点。

そこで、上記相違点について検討する。
刊行物2には、半導体ウェーハの洗浄時にウェーハ表面に紫外光を照射する工程によってウェーハ表面に紫外光を照射し、半導体ウェーハを超純水で洗浄する工程によって半導体ウェーハを洗浄し、表面の有機成分を分解除去に関する発明(摘記(2a))が記載されているが、特に、図3には、紫外線照射時間ゼロ時間において、5%HF溶液または50%HF溶液処理したウエーハのH2Oの接触角が70度超であり(摘記(2c))、接触角が大きいほどウエーハの表面は疎水性であること(摘記(2b)段落【0024】)が記載されている。このことは、HF処理したウエーハのH2Oの接触角が70度超であり、その結果ウエーハの表面が疎水性になっていることを意味している。
また、HF処理したウエーハのH2Oの接触角が70度超であり、その結果ウエーハの表面が疎水性になっていることは、特開平4-102323号公報の5頁右下欄1〜14行に、希釈フッ化水素酸でエッチング処理してシリコン酸化物層を除去させた、自然シリコン酸化膜層が全く未だ生成されていないシリコン表面上の純水液滴の接触角は80°であることが示されているように周知のことである。
そうすると、刊行物2の記載ないし上記周知技術のように、通常疎水性のウエーハ表面におけるH2Oの接触角は70度超であって、刊行物1発明においては、HF蒸気を用いて自然酸化膜を除去し、ウエーハ表面が露出して撥水性となっているのであるから、その撥水性の程度をウエーハ表面の水滴の接触角が最低でも60度となるまで撥水処理を行うこととすることは当業者ならば容易に想到し得ることである。しかも、このような撥水処理を行うことで、ウォーターマークは当然に減少しているものと認められる。

したがって、本願発明は、刊行物1、2に記載された発明及び上記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、他の請求項2〜5に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-05-12 
結審通知日 2006-05-16 
審決日 2006-05-30 
出願番号 特願平6-56306
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 酒井 英夫  
特許庁審判長 城所 宏
特許庁審判官 市川 裕司
日比野 隆治
発明の名称 半導体ウエハの洗浄方法  
代理人 大西 健治  

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