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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1140003
審判番号 不服2004-9304  
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-01-19 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-05-06 
確定日 2006-07-13 
事件の表示 特願2000-141684「半導体装置の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 1月19日出願公開、特開2001- 15457〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯 ・本願発明
本願は、平成11年3月12日に出願した特願平11-66621号の一部を平成12年5月15日に新たな特許出願としたものであって、その請求項1に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。(以下「本願発明」という。)
「ウェハ表面を樹脂封止する工程と,
前記樹脂封止されたウェハに対してバーンイン試験を行う工程と,
前記バーンイン試験を行った後,前記ウェハを個々のチップサイズパッケージに分割する工程と,
を含むことを特徴とする,半導体装置の製造方法。 」

2 引用刊行物記載の発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前である平成10年7月21日に頒布された「特開平10-189670号公報 」(以下「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。
(1)「・・・近年、半導体集積回路装置を搭載した電子機器の小型化及び低価格化の進歩は目ざましく、これに伴って、半導体集積回路装置に対する小型化及び低価格化の要求が強くなっている。」(引用例の【発明の詳細な説明】の記載中の段落番号0002)
(2)「通常、半導体集積回路装置は、半導体チップとリードフレームとがボンディングワイヤによって電気的に接続された後、半導体チップが樹脂又はセラミクスにより封止された状態で供給され、プリント基板に実装される。ところが、電子機器の小型化の要求から、半導体集積回路装置を半導体ウエハから切り出したままの状態(以後、この状態の半導体集積回路装置をベアチップ又は単にチップと称する。)で直接回路基板に実装する方法が開発され、品質が保証されたベアチップを低価格で供給することが望まれている。」(同記載中の段落番号0003)
(3)「ベアチップに対して品質保証を行なうためには、半導体集積回路装置をウェハ状態でバーンインスクリーニングする必要がある。」(同記載中の段落番号0004)
(4)「しかしながら、半導体ウェハに対するバーンインスクリーニングは、半導体ウェハの取扱が非常に複雑になるので、低価格化の要求に答えられない。また、一の半導体ウエハ上に形成されている複数のベアチップを1個又は数個ずつ何度にも分けてバーンインスクリーニングを行なうのは、多くの時間を要するので、時間的にもコスト的にも現実的ではない。」(同記載中の段落番号0005)
(5)「そこで、全てのベアチップをウェハ状態で一括して同時にバーンインスクリーニングすることが要求される。」(同記載中の段落番号0006)
(6)「ベアチップに対してウェハ状態で一括してバーンインスクリーニングを行なうには、同一のウェハ上に形成された複数のチップに電源電圧や信号を同時に印加し、該複数のチップを動作させる必要がある。このためには、非常に多く(通常、数千個以上)のプローブ針を持つプローブカードを用意する必要があるが、このようにするには、従来のニードル型プローブカードではピン数の点からも価格の点からも対応できないという問題がある。」(同記載中の段落番号0007)
(7)「そこで、フレキシブル基板上にバンプが設けられた薄膜型プローブカードが提案されている(日東技報 Vol.28,No.2(Oct. 1990 PP.57-62 を参照)。」(同記載中の段落番号0008)
(8)「以下、前記バンプ付フレキシブル基板を用いたバーンインスクリーニングについて説明する。」(同記載中の段落番号0009)
(9)「図12(a),(b)はバンプ付フレキシブル基板を用いたプロービングの状態を示す断面図である。図12(a),(b)において、211はプローブカードであって、該プローブカードは、ポリイミド基板218と、ポリイミド基板218上に形成された配線層217及びバンプ電極216と、配線層217とバンプ電極216とを接続するスルーホール配線219とを有している。」(同記載中の段落番号0010)
(10)「図12(a)に示すように、プローブカード211を被検査基板である半導体ウェハ212に押し付けて、半導体ウェハ212上の検査用端子としてのパッド215とプローブカード211のバンプ216とを電気的に接続する。室温状態での検査であれば、この状態で電圧電源又は信号を配線層217を介してバンプ216に印加することにより検査が可能となる。」(同記載中の段落番号0011)
上記記載のうち、(2)、(3)、(5)、及び(6)等の記載から、製造される半導体チップは樹脂封止されることなく最終的に「ベアチップ」の状態で提供されるものである。
以上の記載、及び図面の図12(a)を参照すると、引用例には、「ベアチップをウェハ状態で一括して同時にバーンインスクリーニングする、ベアチップからなる半導体装置の製造方法。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

3 対比
本願発明と引用発明を対比すると、引用発明の「バーンインスクリーニング」は本願発明の「バーンイン試験」に相当するから、両者は「ウェハに対してバーンイン試験を行う半導体装置の製造方法。」で一致し、以下の点で相違している。
相違点1
バーンイン試験されるウェハの表面に関し、本願発明では、(バーンイン試験前に)「樹脂封止する工程」を設けているのに対し、引用発明では、「ベアチップをウェハ状態でバーンインスクリーニング」している点。
相違点2
バーンイン試験後の工程に関し、本願発明では、「ウェハを個々のチップサイズパッケージに分割する工程」を設けているのに対し、引用発明では、バーンイン試験後のウェハの取り扱いについて不明な点。

4 当審の判断
上記相違点について検討する。

相違点1について
一般に半導体装置の製造工程においては、不良品の発見のために、製造の各段階で各種試験が通常行われているところ、試験の一種であるバーンイン試験は、引用発明のようにウェハの状態で、かつベアチップの状態で行なうことだけでなく、樹脂封止された状態で行なうことが本件出願の出願時において周知であり(必要ならば、例えば、特開平9-321088号公報、特開平10-189628号公報、特開平8-153739号公報参照。)、また、半導体装置の製造工程において、ウェハの状態で樹脂封止を行なうことも、本件出願の拒絶査定時に「周知技術」と述べている(必要ならば、特開平10-27827号公報、特開平9-232256号公報参照。)ように、本件出願の出願時において周知の技術である。してみると、引用発明において、最終的な半導体装置として樹脂封止されたものを製造することに格別の困難性を有するものとは認められず、その場合、ウェハの状態で事前に樹脂封止を行ない、その後、バーンイン試験を行うこと、すなわち、引用発明において、「ウェハ表面を樹脂封止する工程を事前に設け、その後、ウェハに対してバーンイン試験を行う」ことは、上記周知技術を用いることにより、当業者が容易になし得たものである。

相違点2について
引用発明においても、引用例の(4)に「一の半導体ウエハ上に形成されている複数のベアチップ」と記載されているように、ウェハには通常多数のチップが設けられているものであり、個々の半導体装置とするためにはウェハを分割することが慣用技術であることから、引用発明においても、それを最終的に分割する、すなわち、製造の最終工程で、「ウェハを個々のチップに分割する工程」を設けることは、当業者にとって自明の事項である。そして、引用発明において、ウェハに樹脂封止工程を設けた場合には、当該分割工程は、「ウェハを個々のチップサイズパッケージに分割する工程」となるものである。

また、引用発明を本願発明の製造方法に変更することによる効果も、引用発明の「ウェハの状態でバーンイン試験を行う」ことと同等の効果、あるいは予想しうる程度の効果しか認められない。

5 むすび
したがって、本願発明は、引用例に記載された発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-05-11 
結審通知日 2006-05-16 
審決日 2006-05-29 
出願番号 特願2000-141684(P2000-141684)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 紀本 孝  
特許庁審判長 野村 亨
特許庁審判官 中島 昭浩
鈴木 孝幸
発明の名称 半導体装置の製造方法  
代理人 大西 健治  

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