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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H04H
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04H
管理番号 1140087
審判番号 不服2004-19170  
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-07-12 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-09-16 
確定日 2006-07-14 
事件の表示 平成 6年特許願第322784号「音声情報出力系付きオーディオ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 7月12日出願公開、特開平 8-181673〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成6年12月26日の出願であって、平成16年5月21日付けで拒絶理由が通知され、同年7月23日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものの、同年8月12日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月16日に審判請求がなされるとともに、同年10月15日に手続補正がなされたものである。

2.平成16年10月15日付け手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成16年10月15日付け手続補正を却下する。

[理由]
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
平成16年10月15日付け手続補正(以下「本件補正」という。)により、本願の特許請求の範囲は、次のとおりに補正された。

「【請求項1】 プレーヤ部やチューナ部から取り出された音声信号を復調して出力するオーディオ系及び文字信号に音声合成処理を施して音声情報に変換する音声情報出力系を備えた音声情報出力系付きオーディオ装置において、前記オーディオ系の音量を減少させるための減衰手段が前記オーディオ系に接続されると共に、前記減衰手段のオンオフを制御する制御信号が前記音声情報出力系から出力されるように構成され、該音声情報出力系が前記オーディオ系を構成する運転席近傍のスピーカに接続されていることを特徴とする音声情報出力系付きオーディオ装置。
【請求項2】 前記音声情報出力系が、スイッチを介して前記オーディオ系を構成する運転席近傍のスピーカに接続されると共に、前記減衰手段と前記スイッチとのオンオフを制御する制御信号を出力するように構成され、
前記スイッチがオンされると、前記音声合成処理が施された音声情報が、前記減衰手段で減衰された後さらに所定レベルにまで減衰された前記運転席近傍のスピーカから出力されるオーディオ系の音とミキシングされて出力されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の音声情報出力系付きオーディオ装置。
【請求項3】 プレーヤ部やチューナ部から取り出された音声信号を復調して出力するオーディオ系及び文字信号に音声合成処理を施して音声情報に変換する音声情報出力系を備えた音声情報出力系付きオーディオ装置において、前記オーディオ系の音量を減少させるための減衰手段が前記オーディオ系に接続されると共に、前記減衰手段のオンオフを制御する制御信号が前記音声情報出力系から出力されるように構成され、該音声情報出力系が所定のスピーカを設定するポジションセレクト手段を介して前記オーディオ系を構成するスピーカに接続されていることを特徴とする音声情報出力系付きオーディオ装置。
【請求項4】 前記音声情報出力系が、スイッチと前記ポジションセレクト手段とを介して前記オーディオ系を構成するスピーカに接続され、前記減衰手段と前記スイッチとのオンオフを制御する制御信号を出力するように構成されていることを特徴とする請求項3記載の音声情報出力系付きオーディオ装置。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
一方、本件補正前の、即ち、平成16年7月23日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の記載は、次のとおりである。

「【請求項1】 音声信号を復調して出力するオーディオ系及び文字信号に音声合成処理を施して音声情報に変換する音声情報出力系を備えた音声情報出力系付きオーディオ装置において、前記オーディオ系の音量を減少させるための減衰手段が前記オーディオ系に接続されると共に、前記減衰手段のオンオフを制御する制御信号が前記音声情報出力系から出力されるように構成され、該音声情報出力系が前記オーディオ系を構成する運転席近傍のスピーカに接続されていることを特徴とする音声情報出力系付きオーディオ装置。
【請求項2】 音声信号を復調して出力するオーディオ系及び文字信号に音声合成処理を施して音声情報に変換する音声情報出力系を備えた音声情報出力系付きオーディオ装置において、前記オーディオ系の音量を減少させるための減衰手段が前記オーディオ系に接続されると共に、前記減衰手段のオンオフを制御する制御信号が前記音声情報出力系から出力されるように構成され、該音声情報出力系が所定のスピーカを設定するポジションセレクト手段を介して前記オーディオ系を構成するスピーカに接続されていることを特徴とする音声情報出力系付きオーディオ装置。」

(3)補正の適否の判断
本件補正は、補正前の請求項1を補正して、補正後の請求項1及び請求項2とし、また、補正前の請求項2を補正して、補正後の請求項3及び請求項4とするものである。そして、本件補正は、多数項引用形式で記載された一つの請求項を、引用請求項を減少させて独立形式の請求項とするものでも、構成要件が択一的なものとして記載された一つの請求項について、その択一的な構成要件をそれぞれ限定して複数の請求項とするものでもないから、実質的に請求項の数を増加するものである。

そうすると、本件補正は、特許請求の範囲の減縮には該当しないから、特許法第17条の2第4項第2号の要件を満たさないものである。
また、本件補正は、特許法第17条の2第4項第1号の「第三十6条第5項に規定する請求項の削除」、同3号の「誤記の訂正」及び同4号の「明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)」のいずれにも該当しないことは明らかである。

(4)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成16年10月15日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成16年7月23日付け手続き補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】 音声信号を復調して出力するオーディオ系及び文字信号に音声合成処理を施して音声情報に変換する音声情報出力系を備えた音声情報出力系付きオーディオ装置において、前記オーディオ系の音量を減少させるための減衰手段が前記オーディオ系に接続されると共に、前記減衰手段のオンオフを制御する制御信号が前記音声情報出力系から出力されるように構成され、該音声情報出力系が前記オーディオ系を構成する運転席近傍のスピーカに接続されていることを特徴とする音声情報出力系付きオーディオ装置。」

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用した特開平5-22182号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに次の記載がある。

A.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、FM放送受信機を備えたオーディオ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】オーディオ装置では、FMチューナ、AMチューナ、CDプレーヤ、カセットプレーヤなど、種々のオーディオソースをシステム化して結合し、操作バネルから集中操作できるように構成している。特に、設置スペースに余裕のない車載用のオーディオ装置ではこの傾向が強い。」

B.「【0006】
【作 用】本発明で利用されるFM多重放送波の例としては、例えば、RDS( Radio Data System:ラジオ・データ・システム)がある。このRDSは、ヨーロッパ放送連合(EBU)において開発されたFM文字多重化放送方式であって、FM音声信号の主搬送波である19KHzの第3次高調波に相当する57KHzを副搬送波とし、この副搬送波をバイフェーズコード化したRDSデータ信号によって搬送波抑圧振幅変調し、この振幅変調した副搬送波を前記主搬送波に周波数変調して乗せることにより、種々のRDSデータを送るようにしたものである。」

C.「【0011】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につき説明する。図1は、本発明になるオーディオ装置の1実施例のブロック図を示す。この実施例は、FM多重放送波として前記RDSを採用した場合の一例である。また、この実施例は、オーディオソースとして、FMチューナ1,AMチューナ2,CDプレーヤ3およびカセットプレーヤ4の4つのソースを備えた場合を示す。
【0012】ソース選択回路5は、前記4つのオーディオソース中のいずれかを選択する回路であり、該選択されたソース出力は音量調整用のアッテネータ6、信号加算回路7を介してオーディオアンプ8へ送られ、スピーカ9から鳴らされる。
【0013】57KHzバンドパスフィルタ10は、FMチューナ1のFM検波信号中から、RDSデータの乗った57KHzの副搬送波を抽出するフィルタである。
【0014】RDS信号復調回路11は、57KHzバンドパスフィルタ10から送られてくる57KHzの副搬送波を復調し、元のRDSデータにデコードする回路である。デコードされたRDSデータは、コントローラ12に送られる。」

D.「【0016】コントローラ12は、マイクロコンピュータから構成されており、ROM13に格納された制御プログラムに従って動作する。コントローラ12はRDS信号復調回路11からグループ単位で順次送られてくるRDSデータを一旦RAM14に格納するとともに、操作パネル15から与えられる種々の操作指令を受けて各回路の動作を制御するものである。
【0017】音声合成回路16は、コントローラ12の制御の下に、受信しているFM局の番組内容を報知するための所定の音声メッセージ(例えば「現在お聴きの番組は、クラシック音楽です。」など)を音声合成により作成する回路である。この音声合成されたメッセージ信号はミキサー7を介してオーディオアンプ8へ送られ、スピーカ9から鳴らされる。」

E.「【0019】以下、本発明の第1の処理例について、図2のフローチャートを参照して説明する。この図2の処理例は、FMチューナ1以外の他のソースを聴いている最中に、FMチューナ1で受信しているFM局の番組内容が変わった時、その変わった後の番組内容をユーザーに自動的に知らせるようにしたものである。なお、以下に述べる各処理動作は、ROM13に格納された制御プログラムにより実現される。
【0020】いま、ソース選択回路5がFMチューナ1以外の他のいずれかのソース、例えばCDプレーヤ3を選択しており、CDの再生音がスピーカ9から鳴らされているものとする(ステップS1)。このとき、FMチューナ1は、ソース選択回路5によってその出力を選択されてはいないが受信自体は行っており、それ以前に聴取していたFM局をそのまま受信している状態にあるものとする。
【0021】コントローラ12は、操作パネル15のPTYモニタースイッチ(図示なし)の操作状態を監視する(ステップS2)。PTYモニタースイッチが操作されていない場合、処理はステップS3へ移行し、通常のプレイモードでCDの再生を行う。一方、PTYモニタースイッチが操作されている場合、処理はステップS4へ進み、以下に述べるようなFM受信局の番組内容のモニター処理が開始される。
【0022】すなわち、モニター指令が与えられると、コントローラ12はRDS信号復調回路11から送られてくるRDSデータ(図8参照)のモニターを開始し、PTYコードからその時の放送番組の内容(例えば、クラシック、軽音楽、ニュース、スポーツなど)を検知する(ステップS4)。さらに、必要なら、RDSデータ中のPIコードからその時の放送局名を検出する。
【0023】受信局名とその放送番組内容を検出したコントローラ12は、音声合成回路16に対して音声メッセージの作成指令を送る。音声合成回路16は、コントロール12の指令に従って、例えば「現在、○○○(放送局名)はクラシックです。」など、放送局名と番組内容を示す所定のメッセージを音声合成し、ミキサー7,オーディオアンプ8を介してスピーカ9から報知する(ステップS5)。
【0024】なお、この音声報知に際しては、その報知内容を聞き取り易くするため、アッテネータ6を制御することにより、音声報知が終了するまでの間、CDの再生音を小さくし、あるいは消音することが好ましい。」

ここで、上記C.及びE.並びに図1の記載より、アッテネータ6は、ソース選択回路5で選択されたソース出力を減衰させてソースの音量を減少させるものであり、かつ、アッテネータでソースの音量を減少するか否かは、コントローラ12の出力信号により制御されるよう構成されていることは、明らかである。
また、上記B.及びE.並びに図8の記載から、RDS信号復調回路8で復調されるRDS信号は、文字信号であることは、明らかである。

したがって、上記A.〜E.の記載を含む引用例1の全文及び図面を参照すると、引用例1には次の発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されている。

FMチューナ、AMチューナ、CDプレーヤ、カセットプレーヤの4つのソース出力のいずれかを選択して出力するソース選択回路、ソース選択回路で選択されたソース出力を減衰させてソースの音量を減少させるアッテネータ、信号加算回路、オーディオアンプ、スピーカ、RDS信号復調回路から文字信号であるRDS信号を受信し放送局名と番組内容を検出するコントローラ、前記コントローラが検出した放送局名と番組内容を示すメッセージを音声合成する音声合成回路、とを備えたオーディオ装置において、前記アッテネータでソースの音量を減少するか否かは、コントローラの出力信号により制御されるよう構成されており、音声合成回路の出力が前記信号加算回路を介してスピーカに接続されている、オーディオ装置。

また、原査定で引用した特開昭63-136831号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに次の記載がある。

F.「2.特許請求の範囲
放送信号が交通情報をアナウンス中である情報を主信号以外の周波数成分に重畳して放送信号とともに送出する放送システムを受信する受信機であつて、交通情報をアナウンス中の放送局を常時受信して音声信号を出力する受信回路を有し、前記放送局の音声出力を選択的に運転者に最も近接したスピーカより導くスピーカバランス回路とを備えたことを特徴とする車載用受信装置」(第1頁左下欄第4〜12行)

G.「RDSシステムにおいて供給されるデータは第1図に示されるベースバンドコーディングに見られるように夫々が26ビツトからなる4つのブロックにより1グループが形成されている。
……(中略)……
(3)交通アナウンスコード(TA)コード・1ビット)
……(中略)……TAコードはそれが現在放送中であるかを示している。」(第1頁右下欄第14行〜第2頁左下欄第4行。なお、原文では、「(3)」は丸の中に3である。)

H.「[実施例]
第2図を参照して、本発明の一実旋例を説明する。本実施例はRDSシステムにおける実施例を説明する。
図において1及び2は周知の受信回路であり、夫々サブチューナ1とメインチューナ2として取り扱う。メインチューナ2は通常の受信機としての機能を有し、これに対してサブチューナ1は常に交通情報を放送中の放送局を受信すべく、……(中略)……
それぞれの受信回路で受信した放送局の出力は音声復調回路3及び5を介してスピーカバランス回路7に導かれて適当なバランスをもって複数の(この実施例では4スピーカ)スピーカ群8〜11に供給されている。
スピーカバランス回路7には上記受信回路のほかにも図示しないテーププレーヤ、CDプレーヤなど他のソースによる音声信号も導かれている。
サブチューナ1及びメインチューナ2の出力はRDSデータ復調回路4及び6に夫々導かれており、……(中略)……メインチューナ6で受信されたRDSデータを復調する第2のRDSデータ復調回路の出力は、図示しないシステムコントローラに導かれることによって、RDSシステムの持つサービスの供給をうけるための制御信号となる。」(第4頁左上欄第11行〜左下欄第5行)

I.「第3図はスピーカバランス回路7の回路図であり、メインチューナ2、テーププレーヤ、CDプレーヤなどのソースから得られるステレオ信号をバランサー71、Lチャンネル信号フェーダ-ボリューム72L、Rチャンネル信号フェーダーボリューム72Rを介して前後左右の4つのスピーカに音声出力を供給している。
更にこの実施例では運転席が車両の右前にあることを前提として、右前のスピーカに信号を導出する信号ライン上に、スイッチ14を設け、前記スイッチ14の共通接続点を出力側に接続し、切換接点の1つを前記右チヤンネル出力、他の切換接点をサブチューナ1の出力を音声復調回路3を通して得られる出力に夫々接続する。」(第4頁左下欄第6〜19行)

J.「通常の状態では切換スイッチ15をOFF側にすることによってアンドゲート13の論理出力はOFFとなり、スイッチ14の切換接点は、図のb点に接続されている。従って4つのスピーカ群8からは例えばメインチューナ2によって受信された放送局の音声出力やテーププレーヤ、CDプレーヤなどのソース音声を聞くことができる。
次に切換スイッチ15をON側にすると、ANDゲート13の一入力が「H」となる。このときの他入力は第1のRDS復調回路4の出力を入力としているが、サブチューナ1で受信した放送局のTAコードが「1」であったときには「H」出力であるとともに、この「H」出力を制御信号としてサブチューナ1のスキャンを停止させているために、常にアナウンス中の交通情報局にロックされていることになる。この結果ANDゲート出力は「H」となり、スイッチ14は図のa点に切換えられて、サブチューナ1の音声復調回路3から得られる音声信号を右前のスピーカより出力することになる。
この結果運転者に最も近接した右前のスピーカからはサブチューナ1によって受信された交通情報局の音声出力が間こえ、他のスピーカからは一般のソースが音声出力されることになる。」(第4頁右下欄第15行〜第5頁左上欄第18行)

したがって、上記F.〜J.の記載を含む引用例2の全文及び図面を参照すると、引用例2には次の発明(以下、「引用例2発明」という。)が記載されている。

交通情報がアナウンス中でない場合には、全てのスピーカから一般のソース音声を出力し、交通情報がアナウンス中の場合には、運転手に最も近接したスピーカをサブチューナの音声復調回路に接続して交通情報局の音声を出力し、他のスピーカからは一般のソース音声を出力する、車載用受信装置。

(3)対比
本願発明と上記引用例1発明とを比較する。

引用例1発明の「オーディオ装置」、「アッテネータ」及び「スピーカ」が、それぞれ本願発明の「オーディオ装置」、「減衰手段」及び「スピーカ」に相当する。
また、引用例1発明の「ソース選択回路」、「信号加算回路」、「オーディオアンプ」及び「スピーカ」からなる回路が、本願発明の「オーディオ系」に相当する。また、引用例1発明の「コントローラ」及び「音声合成回路」が、本願発明の「音声情報出力系」に相当する。

したがって、両者は、

音声信号を復調して出力するオーディオ系及び文字信号に音声合成処理を施して音声情報に変換する音声情報出力系を備えた音声情報出力系付きオーディオ装置において、前記オーディオ系の音量を減少させるための減衰手段が前記オーディオ系に接続されると共に、前記減衰手段を制御する制御信号が前記音声情報出力系から出力されるように構成され、該音声情報出力系が前記オーディオ系を構成するスピーカに接続されていることを特徴とする音声情報出力系付きオーディオ装置。

である点で一致しており、以下の点で相違する。

[相違点1]
本願発明が、減衰手段のオンオフを制御する制御信号が前記音声情報出力系から出力されるように構成されているのに対し、引用例1発明はアッテネータをコントローラの出力信号で制御するものの、該出力信号でアッテネータのオンオフを制御するものであるか、明らかではない点。

[相違点2]
本願発明のスピーカが運転席近傍にあるのに対し、引用例1発明のスピーカはどこに配置されるか明らかではない点。

(4)判断
相違点1について
引用例1発明において、アッテネータを、制御信号によりオンオフが切り換えられる減衰手段に置き換え、本願発明と同様の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得ることである。
相違点2について
引用例2発明の、「運転手に最も近接したスピーカをサブチューナの音声復調回路に接続して交通情報局の音声を出力し、他のスピーカからは一般のソース音声を出力する」という構成は、本願発明の「音声情報出力系が前記オーディオ系を構成する運転席近傍のスピーカに接続されていること」と同等のものである。そして、同一技術分野に属する引用例1発明と引用例2発明を組み合わせることに、なんら阻害要因は認められないので、引用例1発明に引用例2発明を適用することは、当業者であれば容易に想到し得ることである。

そして、本願発明の作用効果も、引用例1及び引用例2に記載された発明から当業者が予測できる範囲のものである。

(5)むすび
以上のとおり、本願発明は引用例1及び引用例2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-04-17 
結審通知日 2006-04-25 
審決日 2006-05-09 
出願番号 特願平6-322784
審決分類 P 1 8・ 572- Z (H04H)
P 1 8・ 121- Z (H04H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 川口 貴裕  
特許庁審判長 吉岡 浩
特許庁審判官 彦田 克文
堀江 義隆
発明の名称 音声情報出力系付きオーディオ装置  
代理人 井内 龍二  

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