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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1140226
審判番号 不服2002-17105  
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-10-11 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-09-05 
確定日 2006-07-19 
事件の表示 平成 5年特許願第 74572号「ゲーム装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年10月11日出願公開、特開平 6-285259〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯、本願発明
本願は、平成5年3月31日の出願であって、平成13年5月24日付けで拒絶理由が通知され、これに対して平成13年8月3日付けで手続き補正がなされたが平成14年7月26日付けで拒絶査定され、同年9月5日に拒絶査定不服審判請求がなされ同年10月7日に手続き補正がなされたものである。
そして、その請求項1ないし17に係る発明は、平成14年10月7日付手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし17に記載されたとおりであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という)は、次のものである。
「【請求項1】
ゲーム機本体と、
操作者の操作により前記ゲーム機本体への制御信号を送出するコントローラと、
前記ゲーム機本体からの第1の視覚的情報を表示する第1の表示手段と、
前記コントローラに設けられ、前記第1の表示手段に表示された前記ゲーム機の第1の視覚的情報と異なる第2の視覚的情報を表示する第2の表示手段と、
前記第2の表示手段の上層に位置し、前記第2の表示手段の表示に対応する表示対応部位の押圧操作に基づき前記ゲーム機本体へ制御信号を出力するタッチパネルとを有し、
前記コントローラの操作者に対して前記第2の表示手段に表示される操作情報が、前記ゲーム機本体におけるゲームの内容及び進行のいずれかに応じて変化することを特徴とするゲーム装置。」

2.引用例
引用文献1:特開昭61-143831号公報
引用文献2:特開平4-369027号公報
引用文献3:特開昭60-119977号公報

2-1.引用文献1
これに対して、原査定の拒絶理由に引用された、本願の出願日前に出願公開された特開昭61-143831号公報(以下「引用文献1」という)には、

(記載1)
「本発明は、通常の機械式キーボードの代わりに、薄型平面ディスプレイにタッチセンサを取り付けたものを用いることにより、実質上無制限に多数な任意の種類、配列のキーボードを備えた場合と同様な効果が得られる情報処理装置用入力装置に関する。」(第1ページ左下欄第14-19行)

(記載2)
「本発明の目的は、上記のように、従来の機械式キーボードの場合、余り多くのキートップを設けようとしても物理的に限界があるし、またキーボードに多数種類のテンプレートをかぶせて、テンプレートの種類に応じて一つのキートップに多数種類の意味を持たせる使用法もかなり厄介であるという問題点を解決し、比較的簡潔なキートップ配列よりなるキーボードを用いる場合と同様に容易に操作でき、しかも必要に応じて、任意に、実質上無制限に、多数種類の情報、命令を簡単に入力できるようにした情報処理装置用入力装置を提供することにある。」(第2ページ左上欄第3-14行)

(記載3)
「本発明では、上記従来の問題点を解決するために、表示面にタッチセンサを取り付けた薄型平面ディスプレイを備え、このディスプレイに任意に選択した種類、配列のキーボード画像を表示させ、表示画像を従来の機械式キートップを配列したキーボードと同様に見立ててタッチセンサにより入力するようにして、機械式キーボードに代替させることとした。」(第2ページ左上欄第16行-右上欄第3行)

(記載4)
「本発明によれば、キーボードに対応した表示画像を、ソフトによって、実質的に無制限に多数種類表示させることが出来る。表示画像自体も、必要に応じて、使用者が使い易いような簡潔な配列にすることが出来る。更に、従来の陰極線管ディスプレイにタッチセンサを取り付けた場合と同様に、コマンドやメニュー画面を表示させて其の中から必要なものをタッチセンサで指示選択して入力するような操作も勿論可能である。」(第2ページ左下欄第5―13行)

(記載5)
「第1図(a)は本発明をパーソナルコンピュータに実施した状態を示し、1は陰極線管ディスプレイ、2はコンピュータ本体、3は本発明に係るキーボード相当入力装置である。」(第2ページ右下欄第5-8行)

2-2.引用文献2
また特開平4-369027号公報(以下「引用文献2」という)には、次の事項が記載されている。
(記載6)
「本発明は、携帯型のコンピュータやワードプロセッサ等の二画面付携帯型情報処理装置に関する」(第2ページ段落番号0001)

(記載7)
「従来の携帯型コンピュータ、または携帯型ワードプロセッサ等は一面のディスプレイとキーボードを有する構成であった。」(第2ぺージ段落番号0002)

(記載8)
「従来装置のキーボードがある場所に、第二画面(第二ディスプレイ)2を設ける。情報入力手段4としては図示しない音声入力装置を設けてもよく、また一方の画面(例えば第二ディスプレイ)の表面にキーボードに代わる情報入力手段4としてポインティング・デバイスを配置する」(第2ページ段落番号0006)

(記載9)
「または第二ディスプレイ2上に配置された静電容量検出型のスタイラス3を用いた透明なポインティング・デバイス4が配設されている。」(第2ページ段落番号0007)

(記載10)
「情報入力手段4によって情報を入力することができる。ポインティング・デバイス4を利用して従来のキーボードの機能を発揮させるためには、第二ディスプレイ2の表面にキーボードの絵を表示し、必要なキーをスタイラス3で指示すればよい。」(第2ページ段落番号0009)

(記載11)
「画面上にタッチ入力機能を付加して指先等を利用した入力が可能である。」(第2ページ段落番号0010)

2-3.引用文献3
更に特開昭60-119977号公報には以下の事項が記載されている。
(記載12)
「従来、電子ゲーム装置としては小型のハンディタイプのものから大型のパソコンタイプのものまで多種多様のものが実現化されている。」(第1ページ右下欄第15-17行)

と記載されている。

2-4.「引用発明1」
これらの記載によれば、引用文献1には
「パーソナルコンピュータ本体と、陰極線管ディスプレイと、表示面にタッチセンサを取り付けた薄型平面ディスプレイに任意に選択した種類、配列のキーボード画像を表示させるキーボード相当入力装置とを有し、薄型平面ディスプレイにはコマンドやメニュー画面を表示させてそのなかから必要な物をタッチセンサで指示選択して入力するような操作も可能なパーソナルコンピュータ」という発明(以下引用発明1という。)が記載されていると認められる。

3.対比
本願発明1と引用発明1とを比較すると、「ゲーム装置」として、パーソナルコンピュータが使用されることは、上記引用文献3の記載12にも見られるように、技術常識であるから、パーソナルコンピュータをゲーム機として使用した場合について対比することができる。
そうすると、後者の「パーソナルコンピュータ本体」は前者の「ゲーム機本体」に相当する。
また、後者の「キーボード相当入力装置」は、本体への制御信号を送出するコントローラの役目を果たすことができることも技術常識であるから、前者の「ゲーム機本体への制御信号を送出するコントローラ」と、「本体への制御信号を送出する入力装置」である点において対応する。
また、後者の「陰極線管ディスプレイ」は、パーソナルコンピュータ本体からの視覚的情報を表示するものであるから、前者の「第1の視覚的情報を表示する第1の表示手段」に、後者の「薄型平面ディスプレイ」は「キーボード画像やコマンドやメニュー」という、「視覚的情報」が表示されるものであるから、前者の「視覚的情報を表示する第2の表示手段」に、後者の「薄型平面ディスプレイ」の「表示面」に「取り付け」た「タッチセンサ」は、「キーボード相当入力装置」の入力操作を検出するものであり、「薄型平面ディスプレイ」には「キーボード画像を表示させる」のであるから、前者の「第2の表示手段の上層に位置し、第2の表示手段の表示に対応する表示対応部位の押圧操作に基づき、ゲーム機本体へ制御信号を出力するタッチパネル」に、相当する。

よって両発明は、
「本体と操作者の操作により本体への制御信号を送出する入力装置と、本体からの視覚的情報を表示する第1の表示手段と、入力装置に設けられた、視覚的情報を表示する第2の表示手段と、第2の表示手段の上層に位置し、第2の表示手段の表示に対応する表示対応部位の押圧操作に基づき本体へ制御信号を出力するタッチパネルを有する、装置」である点において一致し、

(相違点1)
「装置」が、
本願発明1は「ゲーム機」であるのに対し、
引用発明1は「パーソナルコンピュータ」であること、

(相違点2)
「第2の表示手段」に表示される「視覚的情報」が、
本願発明1では「前記コントローラの操作者に対して前記第2の表示手段に表示される操作情報が、前記ゲーム機本体におけるゲームの内容及び進行のいずれかに応じて変化する」というものであるのに対し、
引用発明1では「任意に選択した種類、配列のキーボード画像」が表示され、「コマンドやメニュー画面を表示させてそのなかから必要な物をタッチセンサで指示選択して入力するような操作も可能」であるような「視覚的情報」であって、「ゲームの内容及び進行のいずれかに応じて変化する」とは明示されていないこと、

において相違する。

4.当審の判断
(相違点1)について、
パーソナルコンピュータの入力部分が、ディスプレイとタッチセンサとからなるパーソナルコンピュータは、「引用発明1」以外にも上記引用文献2等に見られるように、周知の構成である。
また、上記引用文献3の記載12にもあるとおり、パーソナルコンピュータがゲーム機として使用できること、よってパーソナルコンピュータの入力装置がゲーム機のコントローラとして使用できることは、ともに技術常識であり、相違点1に格別想到するに困難な点はなく、従ってパーソナルコンピュータの入力装置部分を、ゲーム機のコントローラとすることも、技術常識の程度であり、格別の困難はない。
よって、「引用発明1」の入力装置を、ゲーム機のコントローラとする点にも格別の困難はない。

(相違点2)について、
「引用発明1」において、第2の表示手段に表示される視覚的情報は、「任意に選択した種類、配列のキーボード画像」が表示され、「コマンドやメニュー画面を表示させてそのなかから必要な物をタッチセンサで指示選択して入力するような操作も可能」であるようなものである。
これに対して、本願発明の「ゲームの内容及び進行のいずれかに応じて変化する」ような「視覚的情報」は、本願明細書段落番号0019に「キーボードの各キーが表示される」との記載、また、本願明細書段落番号0016に、「文字によるコマンドが幾つか表示される」、0017に「所望のコマンドに応じた表示対応部位を選択操作する」との記載があり、結局上記「引用発明1」における視覚的情報と、格別の相違はない。
また、第2の表示手段に表示される視覚的情報が「変化する」点は、「ゲームの内容に応じて」または「ゲームの進行に応じて」のいずれかである。
「引用発明1」における第2の表示手段に表示される視覚的情報は、「キーボードに対応した表示画像を、ソフトによって、実質的に無制限に多数種類表示させることが出来る。表示画像自体も、必要に応じて、使用者が使い易いような簡潔な配列にすることが出来る。更に、従来の陰極線管ディスプレイにタッチセンサを取り付けた場合と同様に、コマンドやメニュー画面を表示させて其の中から必要なものをタッチセンサで指示選択して入力するような操作も勿論可能である。」(上記(記載4))のであり、パーソナルコンピュータをゲーム機として使用した場合には、ディスプレイの画面がゲームの内容及び進行のいずれかに応じて変化することは技術常識であるのだから、第2の表示手段に表示される視覚的情報がゲームの内容及び進行のいずれかに応じて変化するように構成することは、容易に想到できる程度の事項である。
従って、相違点2についても、格別想到するに困難があるとは認められない。

また、相違点1、2による作用効果も格別のものではない。

よって、本願発明1は「引用発明1」及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることが出来たと判断される。

4.むすび
以上のとおり、本願発明1は、引用発明1及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-05-02 
結審通知日 2006-05-16 
審決日 2006-05-29 
出願番号 特願平5-74572
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 秋山 斉昭宮本 昭彦  
特許庁審判長 伊波 猛
特許庁審判官 塩崎 進
辻野 安人
発明の名称 ゲーム装置  
代理人 北野 好人  

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