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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1140242
審判番号 不服2004-11702  
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-03-09 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-06-09 
確定日 2006-07-19 
事件の表示 平成 9年特許願第231860号「軌道移載設備」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 3月 9日出願公開、特開平11- 67874〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯・本願発明
本件出願は、平成9年8月14日の出願であって、同15年9月5日付で拒絶の理由が通知され、同15年11月14日に意見書とともに手続補正書が提出されたが、同16年4月26日付で拒絶をすべき旨の査定がされ、同16年6月9日に本件審判の請求がされたものである。
本件出願の請求項1乃至2に係る発明は、平成15年11月14日付手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至2に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下「本願発明」という。)
「被移載物を移載する移載ロボット、前記移載ロボットを積載する移動台車、及び前記移動台車が移動する軌道よりなり、被移載物を所定の位置に移載するようにした半導体製品製造用のクリーンルームの軌道移載設備において、
前記軌道をクリーンルームに敷設する床に、所定間隔をおいて設けられている複数の貫通孔のうちのいずれかを利用して固定具を用いて、前記軌道を床に固定するようにしたことを特徴とする軌道移載設備。 」

2 周知発明及び引用刊行物記載の発明
被移載物を移載する移載ロボット、前記移載ロボットを積載する移動台車、及び前記移動台車が移動する軌道よりなり、被移載物を所定の位置に移載するようにした半導体製品製造用のクリーンルームの軌道移載設備であって、軌道、すなわち、レールを、床に設けられた溝の間に設けた軌道移載設備は、出願人が従来例として本件出願の発明の詳細な説明の段落番号0002乃至0004及び図面の図3に記載されているように、あるいは、例えば、特開昭62-198113号公報に記載されているように、従来周知である。(以下、この周知の軌道移載設備を「周知発明」という。)

次に、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前である平成5年6月15日に頒布された「実願平3-102846号(実開平5-44191号)のCD-ROM 」(以下「引用例」という。)には、次の事項が記載されている。
(1)「・・・この考案は同一の単位台板を自在に連接しレール部品およびレイアウト部品を配置し、その走路の状況にしたがって走行音・背景音等の効果音を発生させて走行車を走らせる単位台板レイアウトレール玩具に関する。」(考案の詳細な説明の段落番号0001)
(2)「・・・以下、この考案を実施の一例を示す図面により説明すると、1は所要寸法の単位方形台板で、その板面には所定の間隔で縦方向と横方向とに固定用孔2が設けられる。これが複数枚又は十数枚を互いに対向縁を密接して並べ、次にその単位方形台板1の上面に所要数のレール部品3…を置き、夫々のレール部品3の裏面に突設した取付脚4…を前記単位方形台板1の一致する固定用孔2に差し込み固定し、単位方形台板1とレール部品3とを所望にレイアウトするものである。
前記レール部品3は、走行車5の車輪6、6を転回する走路面7と車輪6、6を走路面7に案内する案内軌条面8、8とからなり、またその走路面が直線か、曲線かの種別、単位台板1に対して長いか、短いかにより長尺直線レール部品3a、短尺直線レール部品3b、大半径曲線レール部品3c、小半径曲線レール部品3dというように実施例があり、夫々の裏面には取付脚4が、前記台板の固定用孔2に対応させて突設される。」(考案の詳細な説明の段落番号0006〜0007)
(3)「・・・この考案は以上のように、台板は同一寸法の単位台板からなるから、これを縦と横との方向に並べることができ、そして夫々の台板には固定用孔が所要の間隔で明けられているから、その上に並べるレール部品は裏面の取付脚を差し込むだけで固定することができ、この場合において、レール部品は台板に跨がって差し渡されているから、台板はずれることがなく、強固に連結固定されるのである。・・・」(考案の詳細な説明の段落番号0010)
以上の記載事項、及び図面の図1乃至図11を参照すると、引用例には、「単位方形台板1の板面に所定の間隔で縦方向と横方向とに固定用孔2を設け、この単位方形台板1の上面に、裏面に取付脚4…を有する所要数のレール部品3…をおき、該取付脚4…を固定用孔2…に差し込むことにより、レール部品3…を単位方形台板1に固定する単位台板レイアウトレール玩具。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

3 対比
本願発明と周知発明を対比すると、両者は、
「被移載物を移載する移載ロボット、前記移載ロボットを積載する移動台車、及び前記移動台車が移動する軌道よりなり、被移載物を所定の位置に移載するようにした半導体製品製造用のクリーンルームの軌道移載設備。」で一致し、次の点で相違する。
軌道の敷設手段に関し、本願発明では、「クリーンルームに敷設する床に、所定間隔をおいて設けられている複数の貫通孔のうちのいずれかを利用して固定具を用いて、該軌道を床に固定するようにした」のに対し、上記周知発明では、軌道、すなわち、レールを、床に設けられた溝の間に設けている点。

4 当審の判断
上記相違点について検討すると、軌道、すなわち、レールを敷設する際、レールの下部に設けられる台に所定間隔をおいて孔を設け、当該孔を利用してレールを台に取り付けることは引用例に記載されている。そして、
(1)引用例に記載された引用発明は玩具用のレール、上記周知発明は半導体ウェーハを製造する設備を配置したクリーンルームにおける軌道移載設備に関するものであるが、両者とも、走行用レールの敷設に関する点では同じであり、玩具用のレールの敷設に関する技術をクリーンルーム内の台車の走行用のレール(すなわち軌道)の敷設に適用することを阻害する特段の理由は見当たらないこと。
(2)クリーンルーム内の床に設けられた貫通孔を別の用途に利用することは、例えば原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願の日前である平成9年1月17日に頒布された特開平9-16256号公報に記載(同公報には、「床の貫通孔に標識部材を埋め込むこと」について記載されている。)されているように、前例のあること。
以上の理由から、引用例に記載されている引用発明を上記周知発明に適用し、上記周知発明においてレールを床に設けられた溝の間に設けることに代え、床に設けられた「孔」である「貫通孔」に取付脚を有するレールを取り付けること、すなわち、「固定具により軌道を床に設けられた複数の貫通孔を利用して固定する」ことは、当業者が容易になし得たことである。

また、本願発明が奏する作用・効果も、「簡易に軌道が敷設できる」ということや、「レイアウト変更コストを低減することが可能」という、上記周知発明及び引用発明から予想できる程度のものしか認められない。

5 むすび
したがって、本願発明は、上記周知発明、及び、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-04-28 
結審通知日 2006-05-16 
審決日 2006-05-29 
出願番号 特願平9-231860
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中島 昭浩  
特許庁審判長 野村 亨
特許庁審判官 菅澤 洋二
佐々木 正章
発明の名称 軌道移載設備  
代理人 高橋 陽介  
代理人 斎藤 春弥  

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