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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65B |
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管理番号 | 1140264 |
審判番号 | 不服2003-8557 |
総通号数 | 81 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2001-02-13 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-05-15 |
確定日 | 2006-07-20 |
事件の表示 | 平成11年特許願第215916号「袋の整形装置を備えた縦型真空包装装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 2月13日出願公開、特開2001- 39408〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成11年7月29日の出願であって、その請求項1、2に係る発明は、平成18年1月24日付け手続補正書によって補正された明細書および図面の記載からみて、明細書の特許請求の範囲の請求項1、2に記載されたとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】互いに接近・離反し得る複数対のグリッパーが水平な円軌道に沿って間欠回転し、各対のグリッパーがそれぞれ袋の両側を把持して搬送し、それが一回転する間に袋内に被充填物を充填し、整形装置によりその袋を平らに整形するようにした充填機と、被充填物を充填した袋を把持するグリッパーをそれぞれ内部に備えた蓋開閉自在の複数の縦型真空チャンバーを水平な円軌道に沿って回転させ、それが一回転する間に袋を真空処理するとともに袋口のシールを行うようにした真空包装機と、袋の上部を挟持するグリッパーを備え、このグリッパーで充填機のグリッパーに把持された袋口が閉じた整形済みの袋を受け取り、真空包装機のグリッパーへ受け渡す受渡し装置からなる2ローター式縦型真空包装装置であり、上記整形装置が充填工程後の停止位置に設置され、被充填物を充填した袋の両面を挟圧して袋を平らに整形するプレス整形手段と、真空ポンプと連通し袋口を通って袋内に挿入される昇降自在の脱気ノズルを備え、袋のプレス整形及び袋内の脱気を同時に行うものであり、上記縦型真空チャンバーが袋の両面を押さえて平らな状態に整形し又は整形状態を維持する整形手段を有するものであることを特徴とする縦型真空包装装置。」(以下、「本願発明」という) 2.当審の拒絶理由の概要 当審の拒絶の理由は、「本願の請求項1、2に係る発明は、その出願前に頒布された引用刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものである。 3.引用刊行物の記載事項 当審の拒絶の理由に引用された刊行物である、特開平4-327114号公報(以下、「引用例1」という)、実願平4-74248号(実開平6-27512号)のCDロム(以下、「引用例2」という)には、次の事項が記載されている。 4.引用例の記載事項 (1)引用例1には、 (1-1)【0002】〜【0005】には、 「図3は一般的な食品等の自動充填及び真空包装システムの概要を示したもので,袋1内に充填物を詰める充填装置A,充填物を収納した袋1を真空処理する真空処理装置Bよりなる。充填装置Aでは収納箱M内の袋1を取上げ,チャック2で把持した状態でテーブルT1の間歇回転と共に袋1内に充填物を収納し,その1回転の最終工程の1つ前の工程(図示例ではセクション7)に於て真空包装装置Bへ受渡される。しかして,真空処理装置Bでは真空チャンバー3内に収納された袋1はテーブルT2の間歇回動と共に真空処理されて外部に取り出されるのである。 ところで,前記充填装置Aから真空包装装置Bに受渡された袋1は,まだ密封されておらず,従って真空チャンバー3内でチャックを介して吊り下げられた状態に於ては,内部の充填物gは図5のA(正面図),B(側面図)に示す如く袋1内の下方部分に不規則な片寄り状態をなしているものが大多数である。 このような片寄った収納状態は見栄えが悪いばかりでなく,次工程以降の作業に支障を来すことにもなるため,真空包装する前に袋の成形が行われる。図4は従来に於ける袋の脱気及び成形のやり方を示したもので,袋1はチャンバ蓋3aの開放された真空チャンバー3内でチャック4により受け板5に沿って吊り下げられている。そして,この状態の袋1に対してシリンダなどの押圧手段6を作動させて押圧板7を前方から押し当てて脱気と成形が行われるようになっている。 …略…押圧板7を前面側(水平方向)から作用させているため,充填物が煮豆,佃煮昆布などのように高粘度の液が混入した場合には,特に無効押圧が多くなって充填物が袋全体に広がらず,又全体的に内部の圧力が高くなって製品の押し潰れなどが生ずる問題があった。」と記載されている。 (1-2)【0007】〜【0013】には、 「図1は本発明装置の縦断側面図であって回転テーブルT2は省略してある。3は図示しない回転テーブルの円周側面部に取付けられる真空チャンバー,3aは該チャンバーの開閉蓋,3bはチャンバー内に於ける袋用把持爪,3cは同袋の受け板であってバネ3dにより一定のバネ圧で把持爪3aに把持された袋1の後面を支承するようになっており,これらの構成は従来のものと変わりがない。 8はその前面側に配置される押上げガイド手段であって,先端にコロ8aを装着したロッド8bを上下動させるシリンダ8cと,該上下動するロッド8bのコロ8aを挟むようになしてベルトが緩く張設されるのであって,即ちシリンダ8cの支持板9を上方へ一定長延出させると共に真空チャンバー側へ向けL字状に曲げてあり,且つ該部を利用してコロ8aを内方へ包む状態でベルト10を緩く張設するのであり,この際ベルト10の一端は支持板9の上端へ固着するの外,他端はシリンダ8cの前面側へ止着させるようになす。尚,kは支持板9の内面側ヘ取付けしめた案内板で…略…ある。…略…図2A,B,Cは作用説明図であって,上記構成装置の作用について説明する。図Aは成形操作前の状態を示すもので,真空チャンバー3内には充填物gを収納した袋1が受け板3cに沿う如く把持爪3bを介して吊り下げられている。この時の袋1の口は未だ密封されておらず充填物gは下方に片寄った状態にある。この状態で移動手段11を作動しピストンロッド13aを介し押上げガイド手段8を矢印(イ)の水平方向ヘ移動させ,ベルト10を袋1の前面へ押し付けるようにな…略…る。次に図Bに示すように押上げガイド手段8のシリンダ8cを作動してロッド8bを上昇させると,…略…脱気も効率よく行われて,図Cに示す如く袋1は平坦に成形されるものとなる。…略…」と記載されている。 (1-3)図1、2、3及び記載事項(1-1)、(1-2)より、 刊行物1には、 「袋1内に煮豆,佃煮昆布などのように高粘度の液が混入した充填物を詰める充填装置A,充填物を収納した袋1を真空処理する真空処理装置Bよりなり、充填装置Aでは収納箱M内の袋1を取上げ,チャック2で把持した状態でテーブルT1の間歇回転と共に袋1内に充填物を収納し,その1回転の最終工程の1つ前の工程(図示例ではセクション7)に於て真空包装装置Bへ受渡され,真空処理装置Bで真空チャンバー3内に収納された袋1はテーブルT2の間歇回動と共に真空処理されて外部に取り出されるものであって、真空チャンバー3内に充填物gを収納した袋1が受け板3cに沿う如く把持爪3bを介し、未だ密封されずに吊り下げられており、移動手段11を作動しピストンロッド13aを介し押上げガイド手段8を矢印(イ)の水平方向ヘ移動させ,ベルト10を袋1の前面へ押し付け、ロッド8bを上昇さる脱気兼成形装置へ移し、その後真空チャンバ3による脱気を行い、真空処理されて外部に取り出される2段脱気工程を持つ竪型真空包装装置。」(以下、「引用発明1」という)と記載されている。 (2)引用例2には、 (2-1)【実用新案登録請求の範囲】に、 「袋の両側縁を把持して該袋を吊り下げ状に保持する一対の把持装置を設けるとともに、前記袋を挟んで対向する一対の挟接板を揺動可能に配設し、袋内に充填物を投入する際、その投入前に前記挟接板が前記袋の前後面を所定の間隔に挟接し、充填物投入後、前記挟接板が開放するとともに、前記一対の把持装置が離間方向に移動して袋口を閉じる構成となしたことを特徴とする充填工程における充填補助装置。」と記載されている。 (2-2)【0008】、【0009】には、 「図2により本考案の充填補助装置による充填作用を説明する。前工程からチャック2a、2bによって吊下げ状に把持され、又開口板3a、3bによって袋口を開けられた袋1が送られて来ると(a図)、一対の駆動レバー6a、6bが駆動し、挟接板5a、5bを閉じて袋1をその両面から所定間隔に挟接する。次いで袋口に補助ホッパー4を挿入した後、同ホッパー4を介して充填物を投入すると、袋1両面は拡がるが、この際挟接板5a、5bによってこの広がりは規制されて、充填物は袋内に均等に制限的に収納されるようになり、これによって袋1の外形は全面に亘って平滑になる(b図)。 充填が終わると、補助ホッパー4を袋口より引抜き、チャック2a、2bを介して袋両側を引張って袋口を閉じ、又駆勤レバー6a、6bを駆動して一対の挟接板5a、5bを開放する(c図)。この後袋口に対して口封シールをし、又は真空処理した後口封シールして、内部に充填物が均等に制限的に収納された見映えの良い包装袋1が完成する(d及びe図)。」と記載されている。 (2-3)図1,2および記載事項(2-1)、(2-2)より、 刊行物2には、 「袋の両側縁を把持して該袋を吊り下げ状に保持する一対の把持装置によって、挟接板5a、5b間に挿入された袋1に、ホッパー4を介して充填物を投入する際に、拡がる袋1両面を挟接板5a、5bによって、袋内充填物、は均等に制限的に収納されて袋1の外形は全面に亘って平滑に挟接される充填補助装置。」(以下、「引用発明2」という)が記載されている。 5.対比・判断 (1)本願発明と引用発明1とを対比すると、 引用発明1の、 「チャック2」、「テーブルT1」、「テーブルT2」、「間歇回転」、「充填装置A」、「竪型真空チャンバー」、「真空包装装置B」は、本願発明の、「グリッパー」、「テーブル」、「真空テーブル」「間欠回転」、「充填機」、「真空チャンバー」、「真空包装機」、「2ローター」に相当するから、両者は、 「互いに接近・離反し得る複数対のグリッパーが水平な円軌道に沿って間欠回転し、各対のグリッパーがそれぞれ袋の両側を把持して搬送し、それが一回転する間に袋内に被充填物を充填するようにした充填機と、被充填物を充填した袋を把持するグリッパーをそれぞれ内部に備えた蓋開閉自在の複数の縦型真空チャンバーを水平な円軌道に沿って回転させ、それが一回転する間に袋を真空処理するとともに袋口のシールを行うようにした真空包装機と、袋の上部を挟持するグリッパーを備え、このグリッパーで充填機のグリッパーに把持された袋口が閉じた整形済みの袋を受け取り、真空包装機のグリッパーへ受け渡す受渡し装置からなる2ローター式縦型真空包装装置であり、上記整形装置が設置され、被充填物を充填した袋を平らに整形するプレス整形手段と、真空ポンプと連通し袋口を通って袋内に挿入される昇降自在の脱気ノズルを備え、袋のプレス整形及び袋内の脱気を同時に行うものであり、上記縦型真空チャンバーが袋の両面を押さえて平らな状態に整形し又は整形状態を維持する整形手段を有する縦型真空包装装置。」の発明である点で一致し、以下の点で相違している。 相違点1:本願発明の「充填機」が、被充填物を充填した袋の両面を挟圧して袋を平らに整形するものであるのに対し、引用発明1では、充填機に「整形装置」が設けられていない点。 相違点2:本願発明の「整形装置」が、充填工程後の停止位置に設置されているのに対し、引用発明1では、「整形装置」が「真空包装装置B」側に設けられている点。 以下、相違点について検討する 相違点1について、 本願発明のように、充填機側に成型装置を設けることは引用発明2に記載されている。また、本願発明の「充填機」側に設けた「整形装置によりその袋を平らに整形」した点により格別の効果をもたらすものでもないから、真空装置側に設けるか、充填機側に設けるかは当業者が必要に応じて適宜選択しうる設計的事項にすぎない。 相違点2について、 本願発明のように、整形装置を、充填工程後の停止位置に設置することは、整形装置が、充填工程後に作動するものであることからして、自然の理である。してみれば、この相違点は当業者が容易になし得る程度の技術手段にすぎないものである。 6.むすび 上記のとおり、本願発明は、引用例1、2に記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 それゆえ本願は、請求項2に係る発明について判断するまでもなく拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-04-19 |
結審通知日 | 2006-05-16 |
審決日 | 2006-05-29 |
出願番号 | 特願平11-215916 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(B65B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 大町 真義、一ノ瀬 覚 |
特許庁審判長 |
松縄 正登 |
特許庁審判官 |
豊永 茂弘 中西 一友 |
発明の名称 | 袋の整形装置を備えた縦型真空包装装置 |
代理人 | 香本 薫 |