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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02F
管理番号 1140280
審判番号 不服2003-18175  
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-08-17 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-09-18 
確定日 2006-07-20 
事件の表示 平成10年特許願第331493号「液晶表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 8月17日出願公開、特開平11-223808〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成10年11月20日(優先権主張 平成9年11月20日)の出願であって、平成15年8月12日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成15年9月18日付で拒絶査定に対する審判請求がなされたものであって、その請求項に係る発明は、平成15年7月22日付手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された事項によって特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明は次のものである。
「【請求項1】液晶駆動用の電極を備えた一対の基板間に液晶が封入されてなり、R、G、B信号に基づいて液晶を駆動し、R光成分、G光成分、B光成分の各透過率を制御することでカラー表示を行う電圧制御複屈折型の液晶表示装置であって、
マトリクス状に複数の画素を備える表示部と、該表示部の対応する前記画素に対し、表示内容に応じた駆動電圧信号を供給する表示部駆動回路とを備え、
前記一対の基板の内の第1基板上に設けられる液晶駆動用の電極は、前記画素毎に個別に形成されたマトリクス状の画素電極であり、
能動層に多結晶シリコン層を利用した多結晶シリコン薄膜トランジスタが、対応する前記画素電極に接続され、
該表示部駆動回路は、R用、B用、G用毎に存在する前記駆動電圧信号の液晶の最大透過率を達成する透過率最大電圧レベルを決定する非反転駆動電圧信号及び反転駆動電圧信号のそれぞれの最大絶対値レベルを、それぞれ、R用、B用、G用毎の透過率特性に応じて決まる電圧に制限する最大透過率電圧リミット手段を備え、
前記最大透過率電圧リミット手段によって透過率最大電圧レベルの制限された前記非反転及び反転駆動電圧信号を所定周期毎に切り替えて前記表示部の対応する画素に供給することを特徴とする液晶表示装置。」(以下、「本願発明」という。)

2.刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用したこの出願前公知の刊行物である特開平8-16134号公報(以下、「刊行物1」という。)には、下記の事項が記載されている。
「【請求項1】Rカラーフィルタと、該Rカラーフィルタに対向する第1の信号電極と、さらに前記第1の信号電極に対向する走査電極と、前記両電極間に封入されている液晶と、からなるR画素と、Gカラーフィルタと、該Gカラーフィルタに対向する第2の信号電極と、さらに前記第2の信号電極に対向する走査電極と、前記両電極間に封入されている液晶と、からなるG画素と、Bカラーフィルタと、該Bカラーフィルタに対向する第3の信号電極と、さらに前記第3の信号電極に対向する走査電極と、前記両電極間に封入されている液晶と、からなるB画素と、からなるR、G、Bの各画素をそれぞれ複数有し、かつ、該複数の各画素は、少なくとも一方が透明である一対の基板を具備する液晶表示パネルであって、前記第1の信号電極と、前記第2の信号電極と、前記第3の信号電極と、前記各走査電極と、に対して、所定の表示駆動信号と所定の走査駆動信号に基づく、所定の実効電圧を供給する場合において、前記R、G、Bの各画素における透過率が、それぞれ等しい値になるような、それぞれ異なる実効電圧を供給する電圧供給手段を具備したことを特徴とする液晶駆動装置。・・・
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶駆動装置に関し、詳細には、カラー液晶の白バランスを適切に表示駆動する液晶駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】マルチプレックス駆動を行う液晶表示装置は、一般に、その液晶表示パネルは、複数の信号ラインと複数の走査ラインがマトリックス状に形成され、各信号ラインと走査ラインとの交点に液晶からなる表示素子が形成されている。
・・・
【0006】その結果、カラー液晶表示装置において、R、G、Bに同じ実効電圧Vrmsを印加すると、R、G、Bの各波長域でγ特性が異なり、液晶の全オン/オフ(特に、オン側)時の白の色度座標が適正な位置からずれる結果となる。
【0007】そこで、従来の液晶駆動装置は、例えば、TFT型液晶表示パネルをアナログ駆動するものにあっては、R、G、Bのアナログの表示データの値をR、G、B毎に調整して、白の色度座標が適正な位置にくるようにしており、時分割駆動型の液晶駆動装置では、何等の調整を行っていない。・・・
【0018】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例を図を参照して説明する。図1〜図4は、本発明の液晶駆動装置の一実施例を示す図である。
【0019】まず、本実施例の構成を説明する。図1は、本実施例の液晶駆動装置の信号側駆動回路1のR、G、B各信号ライン1本分の回路構成を示す図であり、図1の信号側駆動回路1は、図2に示す液晶表示パネル10のR、G、Bの先頭の1本の信号ラインSR1、信号ラインSG1及び信号ラインSB1に接続される。
【0020】すなわち、液晶表示パネル10は、図2に示すように、本実施例では、一対の透明ガラス基板11a、11b間に液晶12が封入され、当該下側透明ガラス基板11bの上側透明ガラス基板11a側には、R、G、Bのカラーフィルタ13R、13G、13Bを介してR、G、Bの複数の信号ラインSR1〜SRn、SG1〜SGn、SB1〜SBnが形成されている。これらのカラーフィルタ13R、13G、13B及び信号ラインSR1〜SRn、SG1〜SGn、SB1〜SBnを覆うように、下側配向膜14が形成されている。
【0021】また、上側透明ガラス基板11aの下側透明ガラス基板11b側には、走査ライン15が形成されており、この走査ライン15を覆うように、上側配向膜16が形成されている。
【0022】さらに、上記上側透明ガラス基板11a及び下側透明ガラス基板11bの外側には、それぞれ上側偏光板17a及び下側偏光板17bが配設されている。
【0023】そして、この液晶表示パネル10に使用されている液晶12は、例えば、STN型カラー液晶のノーマリブラックものが使用されている。
・・・
【0080】次に、本実施例の動作を説明する。
【0081】液晶は、上述のように、R、G、Bのそれぞれのγ特性が異なり、R、G、Bの各波長域での実効電圧Vrmsと透過率Tとの関係が、図5に示したように、異なることとなる。
【0082】特に、本実施例の液晶表示パネル10の液晶として、上述のように、ノーマリブラックを使用すると、そのオン時の透過率Tが、図5に示したように、R、G、Bで異なることが分かる。
【0083】このように、オン時の透過率Tが異なると、液晶表示パネル10のR、G、Bの各信号ラインSR1〜SRn、信号ラインSG1〜SGn及び信号ラインSB1〜SBnに同じ電圧値の表示駆動信号SR、SG、SBを印加すると、走査駆動信号Cnが一定の場合、R、G、Bの全ての信号ラインSR1〜SRn、信号ラインSG1〜SGn及び信号ラインSB1〜SBnに同じ値の実効電圧Vrms、例えば、図5の電圧値BVが印加され、図5から分かるように、B、G、Rの大きさの順(B>G>R)で透過率Tが異なる結果となる。
【0084】その結果、液晶表示パネル10のオン時にR、G、Bで透過率Tが異なることとなり、全白時に青みがかったり、赤みがかったりする。
【0085】そこで、本実施例では、液晶表示パネル10の液晶の実効電圧Vrms-透過率T曲線が、図5に示すように、B、G、Rの大きさの順(B>G>R)で異なる場合、透過率Tの最も低いRの表示駆動信号SRによる実効電圧Vrmsの値を基準として、残りのB、Gの表示駆動信号SG、SBによる実効電圧の値をRの透過率Tとの差に応じて、小さくすることにより、オン時のR、G、Bの全ての透過率Tを同じに調整している。
・・・
【0116】・・・このようにしてパルス幅信号φG及びパルス幅信号φBを設定することより、図3及び図4に示すように、上記表示駆動信号SG及び表示駆動信号SBの実質的なパルス幅を調整して、液晶表示パネル10のR、G、Bの各液晶に印加する実効電圧VRrms、実効電圧VGrms及び実効電圧VBrmsをR、G、Bの透過率Tが全て同じ値となる電圧値に調整することができる。
・・・
【0119】その結果、全オン時の白の色度座標を適正な位置に調整することができ、白時のカラー表示を適切なものに調整することができる。
【0120】また、本実施例によれば、・・・液晶のγ特性を考慮して、全オン時の白の色度座標をより適切なものに調整することができ、より一層適切なカラー表示を行わせることができる。
【0121】さらに、本実施例によれば、R、G、Bの各表示駆動信号SR、表示駆動信号SG及び表示駆動信号SBの印加タイミングを変化させることにより、R、G、Bの各液晶に印加される実効電圧VRrms、VGrms、VBrmsの電圧値を調整しているので、簡単な回路構成で、R、G、Bの各各液晶に印加される実効電圧VRrms、実効電圧VGrms及び実効電圧VBrmsの電圧値を調整することができ、適切なカラー表示を行うことのできる液晶駆動装置を安価なものとすることができる。
・・・
【0123】以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
・・・
【0126】さらに、上記実施例においては、表示駆動信号のパルスの発生時期をずらせることにより、走査駆動信号Cnとの間で液晶に印加される実効電圧Vrmsのパルス幅を調整しているが、これに限るものではなく、表示駆動信号自体のパルス幅を調整してもよい。
【0127】また、上記実施例においては、実効電圧Vrmsのパルス幅を制御することにより、液晶に印加される実効電圧Vrmsの値を調整しているが、これに限るものではなく、表示駆動信号の電圧値を調整して、実効電圧Vrmsの電圧値自体を調整してもよい。
【0128】【発明の効果】本発明によれば、R、G、Bの各画素をそれぞれ複数有し、かつ、該複数の各画素が、少なくとも一方が透明である一対の基板を具備する液晶表示パネルのR画素の第1の信号電極と、G画素の第2の信号電極と、B画素の第3の信号電極と、各画素の信号電極に対向する各走査電極と、に対して、所定の表示駆動信号と所定の走査駆動信号に基づく、所定の実効電圧を供給する場合において、電圧供給手段により、R、G、Bの各画素における透過率が、それぞれ等しい値になるような、それぞれ異なる実効電圧を供給する。
【0129】したがって、R、G、Bの各画素の透過率をそれぞれ等しい値に調整することができ、白の色度座標を適正な位置に調整して、白時のカラー表示を適切に行わせることができる。」

3.対比
本願発明と刊行物1に記載された発明(以下、「引用発明」という)とを対比する。
(ア)上記記載事項から、刊行物1には、本願発明の「液晶駆動用の電極を備えた一対の基板間に液晶が封入されてなり、R、G、B信号に基づいて液晶を駆動し、R光成分、G光成分、B光成分の各透過率を制御することでカラー表示を行う液晶表示装置」に相当する技術的事項が記載されていることは明らかである。

(イ)刊行物1には、実施例として単純マトリックス電極の液晶表示装置が記載されているものの、【0007】には「そこで、従来の液晶駆動装置は、例えば、TFT型液晶表示パネルをアナログ駆動するものにあっては、R、G、Bのアナログの表示データの値をR、G、B毎に調整して、白の色度座標が適正な位置にくるようにしており、時分割駆動型の液晶駆動装置では、何等の調整を行っていない。」と記載されていることから、刊行物1においても、TFT型液晶表示パネルを当然に想定している(この点は、請求人も、特に争うものではない。(請求理由3頁の引用文献1に関する記載参照。))ばかりでなく、TFT型液晶表示パネルは本願出願時において周知のものにすぎない。
そして、TFT型液晶表示パネルが、画素毎に個別に形成されたマトリクス状の画素電極を有すること、及び、TFTとして多結晶シリコンを用いることは、ごく通常のことにすぎないことから、刊行物1には、本願発明の「マトリクス状に複数の画素を備える表示部と、該表示部の対応する前記画素に対し、表示内容に応じた駆動電圧信号を供給する表示部駆動回路とを備え、前記一対の基板の内の第1基板上に設けられる液晶駆動用の電極は、前記画素毎に個別に形成されたマトリクス状の画素電極であり、能動層に多結晶シリコン層を利用した多結晶シリコン薄膜トランジスタが、対応する前記画素電極に接続され、」に相当する技術的事項が記載されているものと認める。

(ウ)本願発明の「R用、B用、G用毎に存在する前記駆動電圧信号の液晶の最大透過率を達成する透過率最大電圧レベル」との語句について検討するに、「・・・前記駆動電圧信号の・・・」との用語を「透過率最大電圧レベル」に係る形容詞句として用いた場合には、本願明細書の【0038】及び図4に記載されるような「設定最大透過率に対する液晶駆動電圧レベル」ばかりでなく、刊行物1のような実効電圧を調整した後の「R、B、Gの透過率Tが全て同じ値となる電圧値」(【0116】)をも含むものとなる。
したがって、この点において、両者が相違するとはいえない。
(なお、仮に、上記「透過率最大電圧レベル」が、本願発明の図4に具体的に示されている事項であるとすると、刊行物1の図5とは異なることから、相違点になるとしても、刊行物1の図5において、透過率BTに対応するR、B、Gの電圧値を選択すれば、本願発明の図4と同様となることから、この点は当業者が適宜設計し得る程度のことである。)
そして、刊行物1には、「【0085】そこで、本実施例では、液晶表示パネル10の液晶の実効電圧Vrms-透過率T曲線が、図5に示すように、B、G、Rの大きさの順(B>G>R)で異なる場合、透過率Tの最も低いRの表示駆動信号SRによる実効電圧Vrmsの値を基準として、残りのB、Gの表示駆動信号SG、SBによる実効電圧の値をRの透過率Tとの差に応じて、小さくすることにより、オン時のR、G、Bの全ての透過率Tを同じに調整している。【0086】すなわち、信号側駆動回路1は、そのR信号用駆動回路RCにおいてRの表示駆動信号SRを電圧値とその出力タイミングを制御している。」と記載されていることから、実効電圧を制御することによりオン時のR、G、Bの全ての透過率Tを同じに調整することが記載されている。
また、液晶表示装置において反転駆動を行う(すなわち、「非反転駆動電圧信号及び反転駆動電圧信号」を用いる。)ことは技術常識にすぎない。
さらに、刊行物1には、「【0126】さらに、上記実施例においては、表示駆動信号のパルスの発生時期をずらせることにより、走査駆動信号Cnとの間で液晶に印加される実効電圧Vrmsのパルス幅を調整しているが、これに限るものではなく、表示駆動信号自体のパルス幅を調整してもよい。【0127】また、上記実施例においては、実効電圧Vrmsのパルス幅を制御することにより、液晶に印加される実効電圧Vrmsの値を調整しているが、これに限るものではなく、表示駆動信号の電圧値を調整して、実効電圧Vrmsの電圧値自体を調整してもよい。」と記載されており、この「実効電圧Vrmsの電圧値自体」が本願発明の「透過率最大電圧レベル」に相当するものであるから、刊行物1には駆動電圧の絶対値を制御することが記載されている。そして、刊行物1が、これを電気的な手段で行うものであることは明らかであるから、刊行物1のものも、本願発明の「最大透過率電圧リミット手段」に相当する手段を当然に備えるものとなる。
結局、刊行物1には、本願発明の「該表示部駆動回路は、R用、B用、G用毎に存在する前記駆動電圧信号の液晶の最大透過率を達成する透過率最大電圧レベルを決定する非反転駆動電圧信号及び反転駆動電圧信号のそれぞれの最大絶対値レベルを、それぞれ、R用、B用、G用毎の透過率特性に応じて決まる電圧に制限する最大透過率電圧リミット手段を備え、前記最大透過率電圧リミット手段によって透過率最大電圧レベルの制限された前記非反転及び反転駆動電圧信号を所定周期毎に切り替えて前記表示部の対応する画素に供給する液晶表示装置」に相当する技術的事項が記載されているものと認める。

上記考察(ア)〜(ウ)から、両者は、
「液晶駆動用の電極を備えた一対の基板間に液晶が封入されてなり、R、G、B信号に基づいて液晶を駆動し、R光成分、G光成分、B光成分の各透過率を制御することでカラー表示を行う液晶表示装置であって、マトリクス状に複数の画素を備える表示部と、該表示部の対応する前記画素に対し、表示内容に応じた駆動電圧信号を供給する表示部駆動回路とを備え、前記一対の基板の内の第1基板上に設けられる液晶駆動用の電極は、前記画素毎に個別に形成されたマトリクス状の画素電極であり、能動層に多結晶シリコン層を利用した多結晶シリコン薄膜トランジスタが、対応する前記画素電極に接続され、該表示部駆動回路は、R用、B用、G用毎に存在する前記駆動電圧信号の液晶の最大透過率を達成する透過率最大電圧レベルを決定する非反転駆動電圧信号及び反転駆動電圧信号のそれぞれの最大絶対値レベルを、それぞれ、R用、B用、G用毎の透過率特性に応じて決まる電圧に制限する最大透過率電圧リミット手段を備え、前記最大透過率電圧リミット手段によって透過率最大電圧レベルの制限された前記非反転及び反転駆動電圧信号を所定周期毎に切り替えて前記表示部の対応する画素に供給する液晶表示装置」である点で一致し、下記の点で相違する。

相違点:
本願発明の液晶表示装置は、「電圧制御複屈折型」であるのに対して、引用発明は、実施例としてSTN型カラー液晶があげられてはいるが、これは電圧制御複屈折型とはいえない点。

4.判断
上記相違点について検討すると、電圧制御複屈折型の液晶表示装置は、原査定の刊行物4〜6(特公平7-066124号公報、特開平6-95104号公報、特開平6-273772号公報)に示されるように周知のことにすぎず、また電圧制御複屈折型液晶において、各色毎に電圧-透過特性が異なるとの課題も特開平3-259179号公報、特開平4-163427号公報にも見られるように周知のことにすぎないので、適用に当たっての困難性もないことから、相違点の事項とすることは、周知技術を引用発明に適用することにより当業者が容易になし得ることである。

そして、本願発明によってもたらされる効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る程度のものにすぎない。

なお、請求人は、平成16年11月9日付けで、依然として拒絶査定の理由が解消されない場合には、補正の機会が欲しい、旨の上申書を提出している。
しかし、上記の申し出を受けることは、審理結果を事前に通知することになるばかりでなく、審判請求時に補正の機会が与えられているにもかかわらず、新たな補正の機会を与えることになり、このようなことは法律の想定するところではない。また、審判請求時に、原審における全ての拒絶理由を解消するように十分に検討して補正書を提出する通常の審判請求人に比し、公平さを欠くことにもなる。
よって、上記上申書の申し出は、受けることができない。

5.むすび
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-05-17 
結審通知日 2006-05-23 
審決日 2006-06-07 
出願番号 特願平10-331493
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小牧 修  
特許庁審判長 平井 良憲
特許庁審判官 吉野 三寛
向後 晋一
発明の名称 液晶表示装置  
代理人 石田 純  
代理人 吉田 研二  

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