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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1140533
審判番号 不服2002-8753  
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-01-09 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-05-16 
確定日 2006-07-27 
事件の表示 平成11年特許願第179762号「弾球遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 1月 9日出願公開、特開2001- 706〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年6月25日の出願であって、平成13年9月7日付で拒絶理由通知がなされ、同年11月9日付で手続補正がなされ、平成14年4月11日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年5月16日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付で手続補正がなされたものである。

2.平成14年5月16日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年5月16日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、

「主制御基板(34)に設けられ主に遊技盤(6) に関わる制御を行う主制御手段(35)と、遊技者に遊技状態を報知する報知手段(12)(16)(58)と、前記主制御基板(34)とは別の制御基板(23)(36)(37)に設けられ前記報知手段(12)(16)(58)を制御する報知制御手段(38)(39)(53)とを備え、前記報知手段(12)(16)(58)は少なくとも図柄を変動表示する図柄表示手段(15)を含み、遊技球の検出を条件に前記図柄表示手段(15)を始動させる始動手段(18)を設けた弾球遊技機であって、前記主制御手段(35)は、遊技者に有利な遊技状態と不利な遊技状態とを乱数制御により決定する遊技状態決定部(49)を備え、前記報知制御手段(38)(39)(53)は、前記遊技状態決定部(49)の決定に基づくコマンドを受信して所定動作中に前記有利な遊技状態の予告報知を行うか否かを乱数制御により決定する報知決定部(56)と、該報知決定部(56)が予告報知を行うと決定したときに、乱数制御により複数種類の報知内容の何れかを決定する報知内容決定部(57)と、該報知内容決定部(57)が決定した何れかの報知内容に基づいて前記報知手段(12)(16)(58)に予告報知をさせる報知制御部(55)とを備えたことを特徴とする弾球遊技機。」

と補正された。
上記補正は、平成13年11月9日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「遊技状態決定部(49)の決定に基づくコマンドに応じて」を「遊技状態決定部(49)の決定に基づくコマンドを受信して」と限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-76571号公報(以下、引用例1という。)には、図面とともに、
「遊技の制御を司る主制御部と、図柄表示装置の表示を制御する図柄制御部とを備え、
前記図柄制御部が前記図柄表示装置における表示態様を独自に決定するとともに、前記主制御部と前記図柄制御部との間で双方向のデータ伝送を行う・・・弾球遊技機。」(特許請求の範囲、請求項1)、
「前記主制御部は、前記図柄制御部の状態を示すデータを前記図柄制御部から受けて、前記図柄制御部の状態を監視し、該監視の結果を参照して、枠制御部の制御を行う・・・弾球遊技機。」(特許請求の範囲、請求項2)、
「【発明の属する技術分野】
本発明は、・・・、種々の態様で図柄表示を行う図柄表示装置を備えた弾球遊技機に関するものである。」(段落【0001】)、
「【従来の技術】
一般に弾球遊技機の主要な制御手段として、主制御部、図柄制御部、及び枠制御部などが挙げられる。これらのうち図柄制御部は、液晶ディスプレイ(LCD)、・・・などの特別図柄表示用の機器を制御する。又、枠制御部には各種飾りランプ、・・・、音量スイッチ基板、・・・などが接続されている。そして、図柄制御部と枠制御部は主制御部に接続されており、主制御部は図柄制御部や枠制御部を介して弾球遊技機の各種機器の制御を司っている。この種の弾球遊技機においては、乱数取得、図柄決定、図柄表示、飾りセット処理(飾りランプ制御)、及び保留処理などの図柄表示に関る処理の指令出力を主制御部が一括して行っていた。」(段落【0002】)、
「・・・、図柄表示装置に表示される表示態様が複雑になったり、図柄表示と各種ランプとの連動態様が複雑になったりして趣向性が高められるほど、主制御部の負担は大となる。一般に、・・・主制御部のCPUの処理能力は制限されており・・・、弾球遊技機の趣向性を高めるには、主制御部への負担をできるだけ軽減して限られた容量を有効に利用することが必要である。」(段落【0003】)、
「図2・・・遊技盤24の構造・・・。遊技盤24の遊技領域25の中央部に・・・センター役物26が設けられている。・・・。センター役物26の開口部には・・・液晶表示盤32を含み構成された特別図柄表示装置33が設けられている。液晶表示盤32は左図柄表示領域34、中図柄表示領域35、右図柄表示領域36を備えている。・・・。センター役物26の下方中央部に条件装置として動作する、アタッカーとも呼ばれる大入賞装置40が設けられている。この大入賞装置40は、・・・大入賞口45を備えている。・・・。」(段落【0008】)、
「パチンコ機1の裏側構造・・・図5・・・。タンクレール105の下側に特別図柄表示装置33を格納した裏蓋110、又、裏蓋110の下側に主基板111が各々設けられている。・・・。機構盤102の右側に枠状態表示器118を備えた枠制御基板119が設けられている。・・・。」(段落【0011】)、
「図6に示す本実施形態のパチンコ機1の電子制御装置130・・・は、主基板111に設けられた主制御部140、枠制御基板119に設けられた枠制御部150、主制御部140と双方向通信を行う特別図柄制御部160を含み構成されている。主制御部140は、CPU141、RAM142、ROM143、入出力インタフェース144がバス145により相互に接続されたものであり、パチンコ機1の遊技を司っているものである。・・・。第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ83・・・は、入出力インタフェース144に接続されている。枠制御部150は主制御部140と同様の論理演算回路を含み構成され(詳細は図示略)、その入力端子が入出力インタフェース144と接続するとともに、その出力端子は枠飾りランプ基板16、・・・、各種ランプ基板61,63、・・・、各種ソレノイド82,84,85、・・・、サウンドジェネレータ94、・・・と接続している。更に、入出力インタフェース144は電源ターミナル基板122及び特別図柄制御部160とも接続している。」(段落【0012】)、
「図7に示す・・・。特別図柄制御部160はCPU161、RAM162、ROM163、入出力ポート164、VDP(Video Display Processor)165、それらを相互に接続するバス166、VDP165からの出力信号を受けるD/A変換器167、D/A変換器167からの信号を特別図柄表示装置33に出力する液晶表示用出力ポート168から構成されている。特別図柄制御部160は図柄決定やリーチ決定などのためアクセス可能なRAM162を有している。
主制御部140と特別図柄制御部160はバス169で接続されて双方向でのパラレルなデータ通信が行われている。・・・。
主制御部140は、・・・各種検知スイッチの出力に基づいて遊技状態を判断し、遊技状態を表す情報を特別図柄制御部160へ送信する。主制御部140から特別図柄制御部160へ送信される情報は、第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ83、・・・等の検知結果や、特別図柄当否判定乱数の取得値などであり、特別図柄制御部160に知らされる遊技状態は、・・・客待ちの状態、遊技は行われているが始動入賞がない状態(変動準備状態)、始動入賞が有った状態、及び、特別遊技状態などである。始動入賞が検知されると、主制御部140から乱数値が読み出されて当りの当否判定が行われるとともに、乱数値や判定結果が特別図柄制御部160へ送られる。」(段落【0014】)、
「特別図柄制御部160から主制御部140へは、特別図柄当否判定結果、特別図柄の表示態様、・・・などの遊技条件変動情報、音声情報、枠飾り制御情報、・・・などの情報が送信される。そして、枠飾りランプ基板16等の各種ランプやサウンドジェネレータ94は、枠制御部150により、特別図柄の変動・停止態様、リーチ発生の有無、リーチ態様(全回転、コマ送り、逆進、図柄の拡大・縮小など)、特別遊技、及び遊技モード(確率変動、時短など)等に応じた態様で制御される。」(段落【0015】)、
「・・・、特別図柄制御部160内におけるデータ伝送方式について図13〜図19を参照・・・。CPU161からVDP165へ送られるコマンドは8ビットで構成され、9コマンドを1コマンドブロックとしてコマンドデータが作成される。ハ-ドリセット(例えば2ms周期)1回毎に2コマンドの通信が行われるので、ハードリセット4回で1コマンドブロックの送信が行われる。1コマンドブロックの送信に伴い、ストロ-ブ信号は9回伝送される。・・・。なお、1コマンドブロックの構成は、例示のものに限定されず、適宜変更が可能である。・・・、この他にも一般的な通信技術を利用して、主制御部140に常に特別図柄制御部160を監視させることや、これらの技術を組み合わせることなどが考えられる。
また、主制御部140と特別図柄制御部160との間での双方向通信の方式として一般的な種々の方式を採用可能である。この種の通信方式として、所定周期(例えば数ms)毎に伝送方向の切換えを行う方式、必要な時にのみリクエスト信号の送受信が行われてその都度信号の取り込みが行われる方式、常に双方向にステータス送信が行われる方式などが考えられる。本実施態様では所定周期毎の伝送方向の切り換えが行われている。」(段落【0016】)、
「・・・コマンドブロックのデータ構造について図14を参照・・・。各コマンドブロックの先頭コマンド(コマンド0)はモード(・・・)判別に使用される。・・・。伝送順序は、コマンド0,コマンド1,…,コマンド7,コマンド8の順序である。また、12個の表示モードが用意されており、各モード番号とモード内容とは図15のように対応している。」(段落【0017】)、
「・・・、図15・・・各表示モード・・・。
a)モード0(タイトル表示)
図16の上段に示す・・・。このモードにおいては、BOl〜BO4(図23参照)のように、機種のタイトルを表示するための動画が表示される。
b)モード1(停止表示)
図16の中段に示す・・・。図20の例3に、全図柄確定時の図柄表示領域を示す。
c)モード2(変動表示)
図16の下段に示す・・・。コマンド7の下位3ビットは、図24(a)(b)に示す通り、重畳表示されるキャラクタ(乙姫201)の動作を指定する。
d)モード3(人魚リーチ表示)
図17の上段に示す・・・。コマンド7のD4,D3,Dl,DOは、図25(a)(b)に示す通り、2種類設定されたキャラクタ(人魚202、人魚2-203)の動作を指定するために使用される(GG,FF)。
e)モード4(たこリーチ表示)
図17の中段に示す・・・。コマンド7のD3,D1,D0は、図26に示す通り、設定されたキャラクタ(板前(図示略)、たこ204)の動作の指定に使用される。
f)モード5(あんこうリーチ表示)
図17の下段に示す通り、コマンド7は、図27に示す通り、重畳表示されるキャラクタ(あんこう205)の動作の指定に使用される。
g)モード6(玉手箱リ一チ表示)
図18の上段に示す通り、コマンド7は、図28に示す通り、重畳表示されるキャラクタ(玉手箱206)の動作の指定に使用される。
h)モード7(くらげリーチ表示)
図18の中段に示す通り、コマンド7は、図29に示す通り、重畳表示されるキャラクタ(くらげ207)の動作の指定に使用される。
i)モード8(大当り開始表示)
図18の下段に示す・・・。大当り開始表示態様の一部を図30(a)に示す。この図30(a)においては、「大当り」の文字208や人の図柄209が示されている。
j)モード9(大当りラウンド表示)
図19の上段に示す通り、コマンド1〜4の下位4ビット(DO〜D3)は、それぞれラウンド数の表示値、カウント数の表示値、シーン番号、大当り図柄の指定に使用される。コマンド5,6は使用されない。コマンド7のD3は大当り発生を告知するV表示の指定に使用される。このモードの表示態様の一部として、亀210とV字からなる図柄(図30(b)参照)と、亀211及び亀211をいじめる子供212の図柄(図31(a)参照)、同図(b)は、ラウンド数やカウント数などの表示領域を示している。
k)モード10(大当り終了表示)
図19の中段に示す通り、・・・、コマンド7のDOは、亀213の図柄を伴って、「めでたし めでたし」、「あと1回!」など、残り回数(高確率状態が続くまでの大当り回数を意味する)の告知に使用される(図32(a)(b)参照)。
l)モード11(エラー表示)
図19の下段に示す通り、・・・、コマンド7のDOはエラー種別B30、31(図33参照)の2種類の絵柄の指定に使用される。また、B29の表示は主制御部140と特別図柄制御部160との間で信号が長時間途絶えるなどの異常が起きた時に実行される。
・・・。」(段落【0018】)、
「特別図柄表示装置33に表示される左図柄表示領域34ないし右図柄表示領域36の表示態様の変化を図20〜図22を参照・・・。図柄表示領域34〜36は例えば特別図柄の停止動作中(高速変動状態から確定に至るまでの間)に変化する。この際の変化の態様には、図20の例2、図21の例4〜6、図22の例7〜9の態様が適宜選択される。
つまり、図20の例2は図柄変動開始時(例1)から全図柄確定時(例3)の間に所定の確率で選択・実行される態様の一例を示しており、この例2の態様においては左右の図柄表示領域34、36の上下図柄が消滅し、左右確定図柄(中段の図柄)が縮小される。また、くらげリーチ(・・・)においては、例2の態様の後に図21の例4〜例6の態様へ変化し、例4〜例6の態様においては中図柄表示領域35が矢印で示すように左右に往復移動する。
さらに、あんこうリーチ(・・・)においては、図20の例2の態様の後に図22の例7、8の態様へ変化し、例7、8の態様では中図柄表示領域35の透明度が徐々に上げられ、中図柄表示領域35が一旦半透明になる。この後、透明度が下げられ、中図柄が再び明瞭に表示される。そして、これら例7、8の動作が繰返される。また、玉手箱リーチ(・・・)においては、図20の例2の後に図22の例9の態様へ変化し、例9の態様では中図柄表示領域35の上下図柄も消滅する。
なお、図柄表示領域34〜36は、客待ち中、条件装置(大入賞装置40)作動中、条件装置作動終了時、及び、異常検出時などには消滅する。」(段落【0019】)、
「・・・、主制御部140により実行されるメインジョブ・・・図34・・・は主制御部140のROM143に格納されたプログラムを読み出し、特別図柄制御部160からの情報も参照し、CPU141により実行されるものである。
・・・。初期化が・・・、終了していれば(S20:YES)、LEDジョブ(S30)からスイッチジョブ(S70)までの処理が実行される。LEDジョブにおいては・・・、特別図柄作動保留球数の表示用のデータなどが出力される。等速乱数ジョブ(S40)では、RAM142の普通図柄当否判定乱数メモリ(図示略)や汎用カウンタメモリ(図示略)などが更新される。非等速乱数ジョブ(S50)では、外れ普通図柄乱数メモリ(図示略)が更新される。汎用カウンタメモリ(図示略)は、ユーザリセット毎の「0」〜「255」の値の作成や、コマンドジョブ、・・・の実行などに使用される。音声作成ジョブ(S60)では、音楽や音声に関するデータの作成が行われ、スイッチジョブでは、各種検知スイッチの読み込みが行われる。即ち、発射停止検知信号、・・・などの各種信号が端子基板123を介して主制御部140に取り込まれ、又、第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ83から第一種始動口入賞検知信号、・・・が各々取り込まれる。
・・・。
特別図柄管理ジョブ(S90)では、主制御部140と特別図柄制御部160とが協調して動作するために必要なデータの処理が行われる。特別図柄制御部160へ送られる情報は、第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ83、・・・の検知結果やエラー発生などを示すデータである。又、特別図柄制御部160から受け取る情報は主に特別図柄制御部160のステータスであり、このステータスには特別図柄当否判定結果、特別図柄の表示態様、・・・などの遊技条件変動情報、音声情報、枠飾り制御情報などが含まれる。
普通図柄メインジョブ(S100)では、選択されたモジュール(プログラム・モジュール)(図9参照)の呼出しや、普通図柄・・・の表示用のデータの作成が行われる。音声ジョブでは遊技状態に応じた音声のデー夕が出力される。
この後、・・・、異常がなければ(S120:YES)、各フラグの状態がバックアップメモリにセットされ(S140)、賞球信号ジョブ(S150)、情報信号ジョブ(S160)、コマンドジョブ(S170)、及び、残余時間ジョブ(S180)が実行される。・・・。
・・・、情報信号ジョブでは他の制御部への情報出力に必要なデータの作成が行われる。更に、コマンドジョブでは、特別図柄管理のためのコマンドの入出力が行われる。残余時間ジョブでは、非等速乱数の呼出しや、汎用乱数メモリ(図示略)の更新が行われる。」(段落【0020】)、
「・・・、特別図柄制御部160により実行される特別図柄メインジョブ・・・図35・・・、RAM162に設定された種々のメモリのうちの主要なメモリ(図8参照)とその用途を・・・列挙する。
1.特別図柄処理番号メモリは、・・・、図9に示す通り、特別図柄に関する各プログラムモジュールの呼出しに使用する。
2.特別図柄当否判定乱数メモリは、・・・、ユーザリセット毎に+1加算し、「0」〜「399」の値を繰返し作成する。第一種始動口(普通電動役物)41への入賞時に値を取り出し、特別図柄の当否判定に使用する。
3.特別図柄保留数メモリは、・・・。特別図柄保留LEDテーブルのオフセットに使用する。予告動作判定記憶領域テーブルのオフセットに使用する。
4.予告動作判定乱数メモリは、・・・、ユーザリセット毎に+1加算し、「0」〜「169」の値を繰返し作成する。第一種始動口(普通電動役物)41への入賞時に値を取り出し、特別図柄の予告動作(リーチ予告等)の判定に使用する。
5.特別図柄処理時間メモリは、・・・、特別図柄の各処理時間の管理に使用する。
6.LEDオフセットメモリは、・・・。コモンテーブルのオフセットに使用する。
7.ラウンドメモリは、・・・、条件装置作動中の大入賞口の開放回数に使用する。条件装置作動中の大入賞口の開放回数の画面への表示に使用する。条件装置作動中の画面の切替えに使用する。
8.大当り図柄決定乱数メモリは、・・・。特別図柄の大当り時の確定図柄の決定に使用する。
9.汎用乱数メモリは、・・・。特別図柄大当り変動動作テーブル及び特別図柄外れ変動動作テーブルのオフセットに使用する。たこリーチ時の振分けに使用する。
10.外れ左図柄乱数メモリは、・・・。特別図柄の外れ時の左確定図柄の決定に使用する。全回転リーチ時の左図柄、中図柄、右図柄の一時差替え図柄の決定に使用する。あんこうリーチ時の中図柄の一時確定図柄の決定に使用する。
11.外れ右図柄乱数メモリは、・・・。特別図柄の外れ時の右確定図柄の決定に使用する。外れリーチ開始時の中図柄の決定に使用する。
12.外れ中図柄乱数メモリは、・・・。特別図柄の外れ時の中確定図柄の決定に使用する。
13.左タイマメモリは、・・・、左オフセットメモリの更新に使用する。
14.右タイマメモリは、・・・、右オフセットメモリの更新に使用する。
15.中タイマメモリは、・・・、中オフセットメモリの更新に使用する。
16.左オフセットメモリは、・・・、左番号メモリの更新に使用する。
17.右オフセットメモリは、・・・、右番号メモリの更新に使用する。
18.中オフセットメモリは、・・・、中番号メモリの更新に使用する。
19.左番号メモリは、・・・、左図柄の画面への表示に使用する。
20.右番号メモリは、・・・、右図柄の画面への表示に使用する。
21.中番号メモリは、・・・、中図柄の画面への表示に使用する。
22.変動オフセットメモリは、・・・、特別図柄変動ポインタテーブルのオフセットに使用する。
23.特別図柄変動汎用メモリは、図10に示す通り、使用方法は3通りである。」(段落【0021】)、
「図35に示す特別図柄メインジョブは、特別図柄制御部160のROM163に格納されたプログラムを読み出し、主制御部140から送られた情報も参照し、CPU161により実行されるものである。
先ず、始動口判定ジョブ(S200)が行われ、図8に示す特別図柄当否判定乱数メモリ、特別図柄保留数メモリ、予告動作判定乱数メモリの数値が・・・所定の記憶領域に記憶される。
更に、特別図柄処理時間メモリの情報がアキュムレータD(AccD)にセットされ(S210)、特別図柄処理番号メモリを使用してモジュール(図9参照)の呼び出しが行われる(S220)。
即ち、図9に示す各プログラムモジュールが遊技状態に応じて適宜選択されて実行される。大当りや外れリーチの態様が実行される場合には、No4〜9のリーチに関するモジュールが選択される・・・。特別図柄の・・・、変動時間制御は各種の状態に応じて行われる。図柄が確定表示される際には、特別図柄確定ジョブが実行され、所定の時間が経過する毎に左・右・中の順で特別図柄が特別図柄表示装置33に確定表示される。なお、リ-チや当りの図柄変動の終盤から確定表示に至るまでの態様には、高速変動、コマ送り、逆進などの種々の態様が設定されている。当りの場合、当り図柄が確定表示された後、大入賞口閉口ジョブと大入賞口開口ジョブとが交互に実行される。・・・、特別遊技の終了が遊技者に告知される。
次に図8に示す特別図柄処理時間メモリと特別図柄処理番号メモリの数値が判定され、特別図柄処理時間メモリが「0」で(S230:YES)、特別図柄処理番号メモリが何れかのリーチジョブの番号(4〜9)に相当していれば(S240:YES)、リーチ終了判定ジョブ(S250)が実行される。・・・。
S260・・・S270の後、特別図柄処理時間が終了時間に達したか否かが判定され(S280)、判定結果が否定の場合には特別図柄処理時間メモリが-1減算(S290)された後、又はS280で肯定の場合にはそのまま、LEDデータメモリに特別図柄作動保留球数(0〜4)がセットされる(S300)。この後、図柄オフセット制御ジョブ(S310)が実行される。」(段落【0022】)、
「図36の特別図柄オフセット制御ジョブ・・・は左図柄、中図柄、右図柄の更新処理を行い、各図柄の特別図柄表示装置33上での相対位置を指定するためのデータを作成する。
先ず、特別図柄変動テーブル取得ジョブ(S400)が実行され、各種の変動態様の表示に使用されるテーブル(図11参照)の取得が行われる。
図11に特別図柄変動テーブルの一覧を示す。各テーブルは図12(a)の特別図柄変動ポインタテーブルを利用して取得される。図11に示す通常変動テーブルの詳細が図12(b)に示されている。この通常変動テーブルは7個のブロックから構成され、各々にタイマデータ、オフセットデータ、汎用データ、飾り制御テーブルデータ、処理時間データなど10個のデータが格納されている。図11に示す残りのテーブルも通常変動テーブルと同様のデータ構造である・・・。
この後、インデックスレジスタX(以下IXとする)に左タイマメモリ番地がセットされた後(S410)、処理時間が終了値に達したか否か、即ちタイマデータが「0」であるか否かが判定される(S420)。否定の場合には、タイマメモリ番地をIXに、タイマメモリデータがアキュムレータB(AccB)にセットされ(S430)、汎用ジョブ(S440)が実行される。
汎用ジョブ(S440)では、図8に示すLEDオフセットメモリ、ラウンドメモリ、大当り図柄決定乱数メモリ、予告動作判定乱数メモリ、汎用乱数メモリ、外れ左図柄乱数メモリ、外れ右図柄乱数メモリ、外れ中図柄乱数メモリ、左タイマメモリ、右タイマメモリ、中タイマメモリが更新される。
次に、タイマメモリが「0」になっていれば(S450:YES)、オフセットメモリにオフセットデータが加算され(S460)、オフセットメモリが所定値に達していなければ(S470:NO)、オフセットメモリに「0」をセットし、番号メモリを+1加算する(S480)。更に、番号メモリが「15」以上に達していれば(S490:YES)、番号メモリをリセット(S500)し、IXとインデックスレジスタY(IY)が加算される。S420かS470で肯定、或は、S450かS490で否定の場合には途中の処理を飛び越して、IXとIYが「+1」加算される(S510)。
更に、IXが中タイマメモリ番地と比較され(S520)、IXが中タイマメモリ番地以下であれば、S420〜S520までの処理が繰返され、超えている場合には(S520:NO)、特別図柄処理時間が処理終了値に達したか否か、即ち特別図柄処理時間メモリが「0」であるか否かが判定される(S530)。このS530で肯定の場合には、変動オフセットデータが変動オフセットメモリに、変動汎用データが特別図柄変動汎用メモリにそれぞれセットされ(S540)、図柄オフセットジョブがリターンされる。又、S530で否定の場合には、S540を飛び越してリターンが行われる。」(段落【0023】)、
「・・・本実施形態によれば、次の・・・効果がある。
(1)特別図柄制御のためのデータが特別図柄制御部160によって独自に作成されるので、主制御部140が特別図柄制御の為のデータを逐一作成して送信する必要がなくなり、主制御部140の特別図柄表示制御に関する負担を軽減できる。
(2)主制御部140の負担を軽減できるので、これにより処理能力に余裕ができ、図柄処理モジュールの設定、及び、図柄表示と枠飾りランプや音声出力との連動態様の設定を多様化することが可能になり、趣向性の高いパチンコ機1を提供できる。
(3)主制御部140が特別図柄表示の状態を適切に知り、状況に応じて適切に対処することができる。・・・。」(段落【0024】)、
「・・・、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において本発明の構成を適宜改変できることは当然であり、このような改変も、本発明の技術的範囲に属するものである。例えば、本発明は、いわゆる権利物、羽根物アレンジボールと呼ばれている機種、一般電役などの種々の弾球遊技機に適用が可能である。また、本実施態様では第一種始動口41への入球を知らせる信号が主制御部140で処理されるが、例えば第一種始動口41の入球信号を特別図柄制御部160へ送り、特別図柄制御部160で信号処理させてもよい。
さらに、主制御部140や特別図柄制御部160の情報処理能力は本実施形態に限定されず、適宜変更が可能である。例えば、特別図柄制御部160におけるコマンドデータ容量を16ビットや32ビット、或いはそれ以上とすることにより、1コマンドブロックのコマンド数を低減できる。また、例えばコマンド数を本実施形態のままとした場合には、より多くの情報の送受信が可能になる。
また、本実施形態では図柄制御部として特別図柄制御部160が例示されているが、例えば普通図柄制御を複雑化して本発明を適用することも可能である。」(段落【0025】)
との記載が認められる。
また、上記摘記事項および図23、24、30、31、33等より、特別図柄表示装置33が、機種のタイトルを表示するための動画、キャラクタ(乙姫201)、「大当り」の文字208や人の図柄209、亀210とV字からなる図柄、亀213の図柄を伴って、「めでたし めでたし」、「あと1回!」、エラーの絵柄等を表示することは、パチンコ機1には「遊技者に遊技状態を知らせる特別図柄表示装置33」を備えているものと認められ、
また、上記摘記事項および図9、32等より、アタッカーとも呼ばれる大入賞装置40が、大入賞口45を備えていること、ラウンドメモリが、条件装置作動中の大入賞口の開放回数に使用されること、当りの場合、当り図柄が確定表示された後、大入賞口閉口ジョブと大入賞口開口ジョブとが交互に実行されること、特別遊技の終了が遊技者に告知されること等から、パチンコ機1には、「当りの場合に、大入賞口45の開放を伴う大入賞装置40が作動する特別遊技状態と、当りでない場合に、大入賞装置40が作動しない遊技状態」があるものと認められ、
また、上記摘記事項および図35等より、主制御部140が、各種検知スイッチの出力に基づいて遊技状態を判断し、遊技状態を表す情報を特別図柄制御部160へ送信すること、主制御部140から特別図柄制御部160へ送信される情報が、第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ83等の検知結果や、特別図柄当否判定乱数の取得値などであり、特別図柄制御部160に知らされる遊技状態が、始動入賞が有った状態、特別遊技状態などであること、始動入賞が検知されると、主制御部140から乱数値が読み出されて当りの当否判定が行われるとともに、乱数値や判定結果が特別図柄制御部160へ送られること、特別図柄管理ジョブで、主制御部140と特別図柄制御部160とが協調して動作するために必要なデータの処理が行われ、特別図柄制御部160へ送られる情報が、第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ83の検知結果などを示すデータであること、本実施形態では図柄制御部として特別図柄制御部160が例示されていること等から、主制御部140は、「大入賞口45の開放を伴う大入賞装置40が作動する特別遊技状態と大入賞装置40が作動しない遊技状態とを乱数値を読み出して当りの当否判定を行う当り判定手段を備え」ているものと認められ、
また、上記摘記事項および図8・35・36等より、従来の弾球遊技機においては、乱数取得、図柄決定、図柄表示、及び保留処理などの図柄表示に関る処理の指令出力を主制御部が一括して行っていたが、図柄制御部が図柄表示装置における表示態様を独自に決定するようにしたこと、特別図柄制御部160は、図柄決定やリーチ決定などのためアクセス可能なRAM162を有していること、RAM162に設定された特別図柄保留数メモリが、予告動作判定記憶領域テーブルのオフセットに使用され、予告動作判定乱数メモリが、ユーザリセット毎に+1加算し、「0」〜「169」の値を繰返し作成され、第一種始動口41への入賞時に値を取り出し、特別図柄の予告動作(リーチ予告等)の判定に使用すること、始動入賞が検知されると、主制御部140から乱数値が読み出されて当りの当否判定が行われるとともに、乱数値や判定結果が特別図柄制御部160へ送られること、特別図柄制御部160から主制御部140へは、特別図柄の表示態様などの遊技条件変動情報、音声情報、枠飾り制御情報などの情報が送信され、枠飾りランプ基板16等の各種ランプやサウンドジェネレータ94は、枠制御部150により、特別図柄の変動・停止態様、リーチ発生の有無、リーチ態様(全回転、コマ送り、逆進、図柄の拡大・縮小など)等に応じた態様で制御されること、コマンドブロックの先頭コマンド(コマンド0)はモード判別に使用され、12個の表示モードが用意されており、各モード番号とモード内容とは図15のように対応していて、例えば、モード3の人魚リーチ表示では、図17の上段に示すコマンド7のD4,D3,Dl,DOは、図25(a)(b)に示す通り、2種類設定されたキャラクタ(人魚202、人魚2-203)の動作を指定するために使用されること、特別図柄表示装置33の図柄表示領域34〜36は例えば特別図柄の停止動作中(高速変動状態から確定に至るまでの間)に変化し、この際の変化の態様は、適宜選択され、一例として、くらげリーチにおいては、左右の図柄表示領域34、36の上下図柄が消滅し、左右確定図柄の縮小後に中図柄表示領域35が左右に往復移動すること、主制御部140が特別図柄制御部160から受け取る情報は主に特別図柄制御部160のステータスであり、このステータスには特別図柄の表示態様などの遊技条件変動情報、音声情報、枠飾り制御情報などが含まれること、主制御部140が特別図柄制御部160から受け取る情報は、枠飾り制御情報などが含まれること、特別図柄メインジョブでは、始動口判定ジョブ(S200)で、特別図柄保留数メモリ、予告動作判定乱数メモリの数値が所定の記憶領域に記憶されること、特別図柄の変動時間制御は各種の状態に応じて行われれ、図柄が確定表示される際には、特別図柄確定ジョブが実行され、所定の時間が経過する毎に左・右・中の順で特別図柄が特別図柄表示装置33に確定表示されること、本実施形態によれば、特別図柄制御のためのデータが特別図柄制御部160によって独自に作成されるので、主制御部140が特別図柄制御の為のデータを逐一作成して送信する必要がなくなり、主制御部140の特別図柄表示制御に関する負担を軽減できること等から、特別図柄制御部160は、「第一種始動口41への入賞時に予告動作判定乱数メモリの値を取り出して特別遊技状態となる特別図柄のリーチ予告等を判定するリーチ予告等判定手段を備え、リーチ予告等判定手段の判定により、リーチ予告等内容を特別図柄表示装置33にリーチ予告等させるリーチ予告等制御手段」を備えているものと認められる。リーチ予告等を行うと判定したとき
これらの記載によれば、引用例1には、

「主基板111に設けられ遊技の制御を司る主制御部140と、遊技者に遊技状態を知らせる特別図柄表示装置33と、前記特別図柄表示装置33を制御する特別図柄制御部160とを備え、前記特別図柄表示装置33は特別図柄の高速変動状態から確定に至るまでの間に変化する図柄表示領域34〜36を含み、始動入賞が検知されると前記図柄表示領域34〜36を図柄変動開始させる第一種始動口入賞検知スイッチ83を設けたパチンコ機1であって、前記主制御部140は、大入賞口45の開放を伴う大入賞装置40が作動する特別遊技状態と作動しない遊技状態とを乱数値を読み出して当りの当否判定を行う当り判定手段を備え、前記特別図柄制御部160は、第一種始動口41への入賞時に予告動作判定乱数メモリの値を取り出して特別遊技状態となる特別図柄のリーチ予告等を判定するリーチ予告等判定手段と該リーチ予告等判定手段の判定により、リーチ予告等内容を前記特別図柄表示装置33にリーチ予告等させるリーチ予告等制御手段とを備えたパチンコ機1。」
との発明(以下「引用例1発明」という。)が開示されていると認めることができる。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用例1発明とを比較すると、引用例1発明の「主基板111」、「遊技の制御を司る」、「主制御部140」、「知らせる」、「特別図柄表示装置33」、「特別図柄制御部160」、「特別図柄の高速変動状態から確定に至るまでの間に変化する」、「図柄表示領域34〜36」、「始動入賞が検知されると」、「図柄変動開始させる」、「第一種始動口入賞検知スイッチ83」、「パチンコ機1」、「大入賞口45の開放を伴う大入賞装置40が作動する特別遊技状態と作動しない遊技状態」、「乱数値を読み出して当りの当否判定を行う」、「当り判定手段」、「第一種始動口41への入賞時に」、「予告動作判定乱数メモリの値を取り出して特別遊技状態となる特別図柄のリーチ予告等を判定する」、「リーチ予告等判定手段」、「リーチ予告等判定手段の判定により」、「リーチ予告等内容を」、「リーチ予告等をさせる」、および「リーチ予告等制御手段」は、本願補正発明の「主制御基板(34)」、「主に遊技盤(6) に関わる制御を行う」、「主制御手段(35)」、「報知する」、「報知手段(16)」、「報知制御手段(53)」、「少なくとも図柄を変動表示する」、「図柄表示手段(15)」、「遊技球の検出を条件に」、「始動させる」、「始動手段(18)」、「弾球遊技機」、「遊技者に有利な遊技状態と不利な遊技状態」、「乱数制御により決定する」、「遊技状態決定部(49)」、「所定動作中に」、「有利な遊技状態の予告報知を行うか否かを乱数制御により決定する」、「報知決定部(56)」、「報知決定部(56)が予告報知を行うと決定したときに」、「報知内容に基づいて」、「予告報知をさせる」、および「報知制御部(55)」に相当すると認められる。
したがって、両者は、

「主制御基板に設けられ主に遊技盤に関わる制御を行う主制御手段と、遊技者に遊技状態を報知する報知手段と、前記報知手段を制御する報知制御手段とを備え、前記報知手段は少なくとも図柄を変動表示する図柄表示手段を含み、遊技球の検出を条件に前記図柄表示手段を始動させる始動手段を設けた弾球遊技機であって、前記主制御手段は、遊技者に有利な遊技状態と不利な遊技状態とを乱数制御により決定する遊技状態決定部を備え、前記報知制御手段は、所定動作中に前記有利な遊技状態の予告報知を行うか否かを乱数制御により決定する報知決定部と、報知内容に基づいて前記報知手段に予告報知をさせる報知制御部とを備えた弾球遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1、制御手段の設置関係において、本願補正発明では、「報知制御手段(53)が主制御基板(34)とは別の制御基板(23)に設けられ」ているのに対して、引用例1発明では「特別図柄制御部160」が主制御部140とバス169で接続されているもののどこにどのように設けられているのか明らかでない点、

相違点2、報知決定部が有利な遊技状態の予告報知を行うか否かを決定するすることにおいて、本願補正発明では、「遊技状態決定部(49)の決定に基づくコマンドを受信して」決定するのに対して、引用例1発明では、そのような構成にはなっていない点、

相違点3、報知決定部が予告報知を行うと決定したときに、報知手段に予告報知をさせる手順と報知内容について、本願補正発明では、「乱数制御により複数種類の報知内容の何れかを決定する報知内容決定部(57)」を備えているのに対して、引用例1発明ではそのような決定部が備わっていない点、および、報知制御部が報知手段に予告報知をさせる内容が、本願補正発明では、「報知内容決定部(57)が決定した何れかの」報知内容に基づいているのに対して、引用例1発明では、リーチ予告等内容がどのようなものなのか明らかでなく、本願補正発明のような複数種類の報知内容の中の何れかとなっていない点、

(4)判断
上記相違点について検討する。

相違点1について、引用例1には、特別図柄制御部がCPU、RAM、ROM、入出力ポート、VDP、それらを相互に接続するバス166、D/A変換器、液晶表示用出力ポートから構成されていることが記載されており、技術常識として何らかの基板に取り付けられていると推測できる。また、一般的に、パチンコ機等の遊技機において、パチンコ遊技機の遊技制御を行うための遊技制御手段が設けられた遊技制御基板と可変表示装置を表示制御するための表示制御手段が設けられた表示制御基板をコネクタ等からなる外部接続手段で電気的に接続することが周知(例えば、特開平7-289712号公報(段落【0017】、【0107】等)、特開平10-314417号公報(段落【0038】等)参照。)であり、引用例1発明の特別図柄制御部の構成の具体化に際し、前記周知のものを適用して、本願補正発明のように報知制御手段が主制御基板とは別の制御基板に設けられるようにすることは、当業者なら設計上随意になし得ることである。

相違点2について、引用例1は特別図柄制御部が主制御部から送られる信号をどのように利用しているのか、または利用していないのか信号処理関係において不明であるが、一般的に遊技制御手段側からの大当り、外れ、ラッキーナンバーの停止コマンドを受信して表示制御手段側で通常停止、リーチ停止、ロングリーチ停止を決定することが周知(一例として、下記(A)参照。)である。しかも、引用例1には、主制御部から乱数値が読み出されて当りの当否判定が行われるとともに、乱数値や判定結果が特別図柄制御部へ送られること、特別図柄制御のためのデータが特別図柄制御部によって独自に作成されるので、主制御部が特別図柄制御の為のデータを逐一作成して送信する必要がなくなり、主制御部の特別図柄表示制御に関する負担を軽減できることや、主制御部の負担を軽減できるので、これにより処理能力に余裕ができ、図柄処理モジュールの設定、及び、図柄表示と枠飾りランプや音声出力との連動態様の設定を多様化することが可能になると記載されている点からみて、リーチ予告等判定手段が特別図柄のリーチ予告等の判定をすることについて、主制御部側からのコマンドを受信して判定するようなことは、当業者が容易にできる設計事項である。してみると、本願補正発明のように報知決定部が遊技状態決定部の決定に基づくコマンドを受信して予告報知を行うか否かを決定するようにした点に格別の創意工夫を要したとはいえない。

相違点3について、一般的に、可変表示装置を備えた弾球遊技機弾球遊技機において、リーチ変動することを予告的に報知するつまりリーチ予告を実行する場合に、ランダムの抽出値を判別し、ランダムが「2」のときは、リーチ予告変動パターンが1回のリーチ予告1を実行し、「0」のときは、リーチ予告変動パターンを2回繰り返すリーチ予告2を実行し、「1」のときはリーチ予告変動パターンを3回繰り返すリーチ予告3を実行する処理プロセスを持つ遊技制御回路が周知(一例として、特開平10-244048号公報(段落【0058】、【0064】等)参照)であり、引用例1発明のリーチ予告等判定手段とリーチ予告等制御手段を備えた特別図柄制御部に、前記周知のものを採用して、本願補正発明のような報知決定部と報知内容決定部(57)と報知制御部を備えた報知制御手段とすることは、その採用にあたり、特に困難性も認められず、当業者が必要に応じて容易に想到できることである。

(A)遊技制御手段側からの大当り等の停止コマンドを受信して表示制御手段側でロングリーチ停止等を決定する周知例
(a)特開平6-246050号公報には、
表示用CPU302は役物制御回路盤107とは別体の表示用回路206aに備えられている。(段落【0066】)、役物用CPU301、RAM311およびROM314は全体として遊技制御手段360を構成し、表示種別指令手段、遊技態様判定手段としての機能を実現する。一方、表示用CPU302、ROM351、RAM352、フォントROM353およびV-RAM354は全体として表示制御手段370を構成し、表示種別制御負担手段、識別情報選択手段としての機能を実現する。(段落【0067】)、ステップS30では表示制御装置400側にコマンドを送信する処理を行う。ここで、本実施例では表示制御装置400側に遊技制御手段360側の制御の一部を負担させることが行われ、具体的には、可変表示装置102に表示する表示種別(例えば、大当り、外れ、ラッキーナンバー等の停止コマンド)を役物制御用CPU301から表示制御用CPU302に指令し、表示制御用CPU302側では指令された表示種別に基づいて、表示種別に応じた表示を行うように可変表示装置102の作動を制御する。すなわち、役物制御用CPU301では図柄の可変表示、停止態様(大当り、外れ、ラッキーナンバー等)のみを指令することにより、表示制御装置400側が停止時の図柄を選択して可変表示装置102に表示させることが行われる。(段落【0076】)始動入賞があると同時に大当り判定用の乱数を取り出し、これを記憶するようになっている。したがって、入賞時に当り/外れが決定されることになる。(段落【0078】)、ステップS52では読み出した乱数値が当り(すなわち、大当り)であるか否かを判別する。当りでなければステップS54で外れ停止コマンドをセットする。この外れ停止コマンドは表示用CPU302に送信され、表示用CPU302では外れ停止コマンドに基づいて外れの停止図柄を表示するように可変表示装置102の作動を制御する。この場合、役物制御用CPU301では、外れ停止の指令(つまり表示種別の指令)を出力するのみで、停止の図柄までは指令せず、停止の図柄は表示制御用CPU302側で決定する。これにより、役物制御用CPU301の制御負担を軽くすることが行われる。(段落【0079】)、ステップS56に進み、ステップS50で読み出した乱数値の内容がリーチであるか否かを判別する。リーチのときはステップS58に進んでリーチコマンドをセットする。(段落【0080】)ステップS56でリーチでないときはステップS66に進んでロングリーチであるか否かを判別する。(段落【0082】)、ステップS66でロングリーチであるときはステップS72に分岐してロングリーチコマンドをセットする。(段落【0084】)、ステップS52で読み出した乱数値が当り(すなわち、大当り)のときは、当り図柄がラッキーナンバーであるか否かを判別する。(段落【0085】)、ラッキーナンバーであるときは、ラッキー停止コマンドをセットし、これにより、表示制御用CPU302側では、可変表示装置102の図柄をラッキーナンバーで停止させる制御が行われる。また、当り図柄がラッキーナンバーでないときは、当り停止コマンドをセットし、これにより、表示制御用CPU302側では、可変表示装置102の図柄を通常の当りナンバーで停止させる制御が行われる。(段落【0086】)、ステップS80ではロングリーチであるか否かを判別し、ロングリーチであるときはロングリーチコマンドをセットする。ロングリーチでなければリーチコマンドをセットする。なお、上記ステップS52、ステップS56、ステップS66、ステップS76、ステップS80の判定は何れも乱数値に基づいて行われる。また、上記の通常停止、リーチ停止、ロングリーチ停止等は識別情報の表示態様に相当する。(段落【0087】)、ステップS102で当り停止コマンドがセットされていなければ、ラッキー停止コマンドがセットされているか否かを判別する。(段落【0091】)、ステップS204では、入力処理を行い、ここでは遊技制御手段360からの指令を受信する(つまり、送られてきたコマンドの読み込みを行う)。遊技制御手段360からの指令には、従来と異なり、表示種別のコマンドのみであり、実際の停止図柄は表示制御手段370側で決定される。(段落【0101】)、ステップS206で今回受信したコマンドが通常表示コマンドであるか否かを判別する。通常表示コマンドであるときは通常表示処理を行う。(段落【0102】)、ステップS226に進み、停止コマンドを受信したか否かを判別する。停止コマンドとは、可変表示装置102の変動図柄を開始させた後、停止させる指令てあり、表示種別としては当り停止、外れ停止、ラッキーナンバー停止がある。停止コマンドであるときはステップS228に進んで可変表示装置102の停止図柄を決定する。(段落【0109】)、これは、受信した停止コマンド(当り、外れ等の表示種別に対応したもの)に応じた停止図柄を選択する処理であり、可変表示終了(図柄停止)時に、ここで選択された図柄に可変表示装置102の表示が停止する。(段落【0110】)、ステップS250で外れ停止コマンドを受信したか否かを判別する。外れ停止コマンドは可変表示装置102を外れの図柄で停止させる指令である。外れ停止コマンドを受信したときはステップS252で表示態様コマンドに基づき外れ停止図柄(例えば、リーチ停止であれば「113」のように第1、第2停止図柄がゾロ目であり、第3図柄が異なる図柄)を設定する。(段落【0111】)、
ステップS250で外れ停止コマンドを受信しないときは、当り停止コマンドを受信したか否かを判別する。当り停止コマンドを受信したときは当り停止図柄(例えば、「111」のようにゾロ目になる図柄)を設定する。(段落【0113】)、ステップS254で当り停止コマンドを受信しないときは、・・・ラッキー停止コマンドを受信したか否かを判別する。ラッキー停止コマンドを受信したときはラッキー図柄(例えば、「333」のようなラッキーナンバー)を設定する。(段落【0114】)、ステップS300で通常停止コマンドを受信したか否かを判別する。通常停止コマンドとは、可変表示装置102の変動図柄をリーチではなく、通常の停止時間で停止させる指令である。通常停止コマンドであるときはステップS302に進んで通常停止処理を行う。これにより、可変表示装置102の変動図柄が通常の停止時間で停止することになる。この場合の停止図柄は、停止図柄決定処理で設定されたものになる。(段落【0115】)、通常停止コマンドを受信しないときはステップS304に進んでリーチコマンドを受信したか否かを判別する。リーチコマンドであるときはリーチ停止処理を行う。(段落【0116】)、リーチコマンドを受信しないときはロングリーチコマンドを受信したか否かを判別する。ロングリーチコマンドとは、可変表示装置102の変動図柄をロングリーチで停止させる指令である。ロングリーチコマンドであるときは・・・ロングリーチ停止処理を行う。(段落【0117】)、
本実施例では、遊技制御手段360から表示種別の指令を行うコマンドが送信され、表示制御装置400側の表示用CPU302では受信した表示種別の指令に基づいて停止時の表示図柄を選択し、可変表示装置102に表示させることが行われる。すなわち、表示制御装置400側に遊技制御手段360側の制御の一部を負担させることが行われる。表示種別の指令としては、停止指令により可変表示を行った後に停止させる外れ停止指令、当り停止指令、ラッキーナンバー停止指令等があり、これらの各指令に対応して表示用CPU302で表示制御を行う。(段落【0118】)、遊技制御手段360では図柄の可変表示結果としての停止態様(大当り、外れ、ラッキーナンバー等)のみを指令することになり、表示制御手段370が停止時の図柄を選択するという表示制御の一部を負担して可変表示装置102に表示させる。(段落【0119】)、その結果、可変表示装置102の特長を活かして多彩な表示を行いながら、遊技制御手段360側の制御の負担を軽減させることができ、プログラム容量の削減(ROM容量の軽減)を図ることができる。また、プログラム容量が削減された分だけ、他の制御を付加することが可能になり、さらに興趣ある遊技制御を行うことができるようになる。(段落【0120】)、実施例では、リーチおよびロングリーチを遊技制御手段側で決定しているが、これに限らず、例えば表示制御手段側で通常停止、リーチ停止、ロングリーチ停止を決定してもよい。ただし、外れの場合の通常停止、リーチ停止、ロングリーチ停止の表示時間違いおよび当りの場合のリーチ、ロングリーチの表示時間の違いを把握して役物側の制御を行う必要がある。(段落【0123】)、本発明によれば、遊技制御手段から表示種別の指令を行うコマンドを送信し、表示制御装置側の表示用CPUでは受信した表示種別の指令に基づいて停止時の表示図柄を選択し、可変表示装置に表示させているので、表示制御装置側に遊技制御手段側の制御の一部を負担させることができる。したがって、可変表示装置の特長を活かして多彩な表示を行いながら、遊技制御手段側の制御の負担を軽減させることができ、プログラム容量の削減(ROM容量の軽減)を図ることができる。また、プログラム容量が削減された分だけ、他の制御を付加することが可能になり、さらに興趣ある遊技制御を行うことができるようになる。(段落【0127】)と記載されている。つまり、遊技制御手段側からの大当り等の停止コマンドを受信して表示制御手段側でロングリーチ停止等を決定することが記載されているものと認められる。
そして、本願補正発明が奏する効果は、引用例1発明および周知技術から当業者が予測し得るものであって格別のものとは認められない。
したがって、本願補正発明は、引用例1発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成14年5月16日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成13年11月9日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「主制御基板(34)に設けられ主に遊技盤(6) に関わる制御を行う主制御手段(35)と、遊技者に遊技状態を報知する報知手段(12)(16)(58)と、前記主制御基板(34)とは別の制御基板(23)(36)(37)に設けられ前記報知手段(12)(16)(58)を制御する報知制御手段(38)(39)(53)とを備え、前記報知手段(12)(16)(58)は少なくとも図柄を変動表示する図柄表示手段(15)を含み、遊技球の検出を条件に前記図柄表示手段(15)を始動させる始動手段(18)を設けた弾球遊技機であって、前記主制御手段(35)は、遊技者に有利な遊技状態と不利な遊技状態とを乱数制御により決定する遊技状態決定部(49)を備え、前記報知制御手段(38)(39)(53)は、前記遊技状態決定部(49)の決定に基づくコマンドに応じて所定動作中に前記有利な遊技状態の予告報知を行うか否かを乱数制御により決定する報知決定部(56)と、該報知決定部(56)が予告報知を行うと決定したときに、乱数制御により複数種類の報知内容の何れかを決定する報知内容決定部(57)と、該報知内容決定部(57)が決定した何れかの報知内容に基づいて前記報知手段(12)(16)(58)に予告報知をさせる報知制御部(55)とを備えたことを特徴とする弾球遊技機。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例1発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-05-24 
結審通知日 2006-05-30 
審決日 2006-06-14 
出願番号 特願平11-179762
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 英司  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 宮本 昭彦
林 晴男
発明の名称 弾球遊技機  
代理人 谷藤 孝司  

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