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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04M
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1140583
審判番号 不服2004-10554  
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-03-15 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-05-20 
確定日 2006-07-27 
事件の表示 特願2000-265618「携帯電話機」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 3月15日出願公開、特開2002- 77379〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年9月1日の出願であって、平成16年4月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年5月20日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、その後同年6月4日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成16年6月4日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年6月4日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の請求項1に係る発明
本件手続補正により、特許請求の範囲は、補正前の特許請求の範囲の、
「【請求項1】 電源を一日に数回にわたってオン/オフさせることを可能にするスケジュールデータを記憶するメモリと、
前記スケジュールデータが示す電源のオン時刻またはオフ時刻に従って、携帯電話機の電源をオンまたはオフさせるスケジュール管理手段とを有することを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】 請求項1記載の携帯電話機において、
表示手段と制御手段とを有し、
前記スケジュール管理手段は、前記スケジュールデータを基に携帯電話機の電源が次にオンまたはオフするまでの時間を計算して、計算した時間からダウンカウントで計時を行い、
前記制御手段は、前記スケジュール管理手段によって計時中の時間を前記表示手段に表示させることを特徴とする携帯電話機。
【請求項3】 請求項1記載の携帯電話機において、
無線回線の自動着信機能を備えた無線送受信手段と、
この無線送受信手段で自動着信した受信メッセージが前記スケジュールデータであるかどうかを判定する送信・受信メッセージ処理手段と、
前記受信メッセージが前記スケジュールデータであると判定されたとき、このスケジュールデータを前記メモリに格納する制御手段とを有することを特徴とする携帯電話機。
【請求項4】 請求項1記載の携帯電話機において、
さらに、電源ボタンの押下や電池パックの電圧に応じて携帯電話機の電源をオン/オフさせる制御を行う電源管理手段を有し、
前記スケジュール管理手段は、
現在時刻と前記メモリから読み出され設定されたスケジュールデータとを比較する設定時間比較手段と、
現在時刻と前記設定時間比較手段に設定されたスケジュールデータの電源オフの時刻とが一致しかつ携帯電話機が電源オンの状態である場合、又は前記電源ボタンの押下若しくは前記電池パックの電池容量不足により携帯電話機の電源がオフになる場合、電源がオフになる前に、前記メモリに格納されたスケジュールデータのうち現在時刻から最も近い電源オンの時刻のスケジュールデータを前記設定時間比較手段に設定し、現在時刻と前記設定時間比較手段に設定されたスケジュールデータの電源オンの時刻とが一致しかつ携帯電話機が電源オフの状態である場合、又は前記電源ボタンの押下により携帯電話機の電源がオンになる場合、電源がオンした後に、前記メモリに格納されたスケジュールデータのうち現在時刻から最も近い電源オフの時刻のスケジュールデータを前記設定時間比較手段に設定する電源状態監視手段と、
現在時刻と前記設定時間比較手段に設定されたスケジュールデータの電源オフの時刻とが一致した場合、携帯電話機の電源をオフさせる制御を行い、現在時刻と前記設定時間比較手段に設定されたスケジュールデータの電源オンの時刻とが一致した場合、携帯電話機の電源をオンさせる制御を行う電源オン/オフ判定手段とからなることを特徴とする携帯電話機。」から、
「【請求項1】 電源を一日に数回にわたってオン/オフさせることを可能にするスケジュールデータを記憶するメモリと、
前記スケジュールデータが示す一日の中での電源のオン時刻またはオフ時刻に従って、携帯電話機の電源をスケジュール機能が解除されるまで一日の中で繰り返しオンまたはオフさせるスケジュール管理手段とを有することを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】 請求項1記載の携帯電話機において、
表示手段と制御手段とを有し、
前記スケジュール管理手段は、前記スケジュールデータを基に携帯電話機の電源が次にオンまたはオフするまでの時間を計算して、計算した時間からダウンカウントで計時を行い、
前記制御手段は、前記スケジュール管理手段によって計時中の時間を前記表示手段に表示させることを特徴とする携帯電話機。
【請求項3】 請求項1記載の携帯電話機において、
無線回線の自動着信機能を備えた無線送受信手段と、
この無線送受信手段で自動着信した受信メッセージが前記スケジュールデータであるかどうかを判定する送信・受信メッセージ処理手段と、
前記受信メッセージが前記スケジュールデータであると判定されたとき、このスケジュールデータを前記メモリに格納する制御手段とを有することを特徴とする携帯電話機。」
に補正された。
上記補正は、請求項4を削除するとともに、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「電源のオン時刻またはオフ時刻」を「一日の中での」ものとし、「携帯電話機の電源を」「オンまたはオフ」させる様態を「スケジュール機能が解除されるまで一日の中で繰り返」すと限定するものであって、特許法第17条の2第4項第1号の請求項の削除、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、特許請求の範囲の減縮を目的とする本件手続補正後の上記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(2)引用発明
原審の拒絶の理由に引用された特開平10-107719号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
a.「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動電源オン機能付き携帯無線機に関し、特にあらかじめ設定した時刻に自動的に電源オンする機能を有する携帯無線機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、携帯電話機等の自動電源オン機能付き携帯無線機では、ユーザが設定した時刻に自動的に電源をオフさせたり、自動的に電源をオンさせ、それに連動させてアラーム音をならすことができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の携帯無線機では自動的に電源をオンさせ、それに連動させてアラーム音をならすことができる。しかし自動的に電源オンを行うことの設定を一度行うと、その設定を解除するまで毎日繰り返し同じ時刻に自動電源オンしてアラーム音が鳴動するため、携帯無線機を使用しない場合(日)にも気づかないうちに電源オンとなりバッテーリを無駄に消耗する原因となることがある。また、会議中や電車の中などアラーム音が鳴動すると困る場所または状況でもアラーム音がなってしまい周りの迷惑になることがある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の自動電源オン機能付き携帯無線機は、あらかじめ設定した時刻に自動的に電源オンする機能を有する携帯無線機において、あらかじめ電源オン時刻を任意の日単位の繰り返しパターンで設定する手段を有し、自動電源オンを行うことを設定された日の前記電源オン時刻になると自動的に電源オンし、自動電源オンを行うことを設定されていない日の前記電源オン時刻になっても自動的に電源オンしない構成を有する。」(2頁1欄第28行〜同頁2欄第8行)

b.「【0007】図1は、本発明の一実施形態例を示すブロック図であり、携帯無線機のうち携帯電話機に適用した例(本発明に係わる部分のみ)を示す。図1において、本例の携帯電話機は、ユーザのキー操作により各種設定データを入力するデータ入力部2と、自動電源オン(ON)の設定がある場合にデータ入力部2から入力した1日(0時0分〜23時59分)のうちの電源オン時刻を記憶する自動電源オン時刻記憶部8と、・・・(中略)・・・、上記各部及び無線部1やその他図示していない表示部やマイクロホンなどの携帯電話機に必要な各部を制御する主制御回路(CPU)3とを有している。・・・(中略)・・・。
【0008】・・・(中略)・・・。
【0009】まず電源オン中に、主制御回路3はデータ入力部2からのデータ入力を制御し、自動電源オンの設定有りの場合(図2のステップS11)、自動電源オンする時刻データを入力し自動電源オン時刻記憶部8に記憶し(ステップS12)、次に繰り返しパターンを毎日動作させるか、日付別で動作させるか、曜日別で動作させるかのいずれかから選択し指定日付や指定曜日のデータを入力する(ステップS13)。その後、アラームを音響または振動のいずれかで出力させるかあるいは何も出力しないか選択し、それらの情報を情報記憶部9に記憶する(ステップS14)。・・・(中略)・・・。
【0010】自動電源オン時刻検出部7は他の回路が電源オフされている間も電源が供給されており、日付,曜日,及び現在時刻のカレンダー情報を管理し、計時した現在時刻と自動電源オン時刻記憶部8に記憶されている自動電源オン時刻とを比較し(図3のステップS21)、一致したときに電源オン時刻に達したことを認識し、情報記憶部9に記憶させている繰り返しパターン情報が毎日,日付,及び曜日のいずれであるか判別し、その情報と現在の日付,曜日などの状態が一致するかどうか判断する(ステップS22)。現在時刻と繰り返しパターンによる現在日とが共に一致した場合に、電源回路を制御し携帯電話機全体の電源をオンさせる。なお、全体の電源がすでにオンされている場合はこの処理(電源オン)は行わない(ステップS23,S24)。」(2頁2欄第27行〜3頁3欄第32行)

上記摘記事項a.【0002】には、「従来、携帯電話機等の自動電源オン機能付き携帯無線機では、ユーザが設定した時刻に自動的に電源をオフさせたり、自動的にオンさせ」ることが記載されており、上記摘記事項b.記載の「携帯電話機」は、上記摘記事項a.【0001】記載のように「自動電源オン機能付き」のものであるから、自動的に電源を「オンまたはオフ」させることが包含されているといえる。
上記摘記事項a.【0004】記載の「あらかじめ設定した時刻に自動的に電源オンする機能」は、「スケジュール機能」といえる。
また、携帯電話機の電源を自動的にオンまたはオフさせるものにおいて、「その設定を解除するまで毎日繰り返し同じ時刻に」自動的に電源を制御することが従来行われていたことが上記摘記事項a.【0003】に記載されていることから、上記摘記事項b.記載の毎日動作させるものにおいて、当業者が設定が解除されるまで一日の中で一回はオンまたはオフさせる構成を含めて認定することに何ら阻害要因はないから、上記摘記事項b.記載のものには、「スケジュール機能が解除されるまで一日の中で一回はオンまたはオフさせる」構成が包含されているといえる。
上記摘記事項b.【0007】記載の「自動電源オン時刻記憶部」に記憶された「1日(0時0分〜23時59分)のうちの電源オン時刻」により、電源をオンさせていることから、該「電源オン時刻」のデータは、「スケジュールデータ」といえる。

よって、上記摘記事項a.〜b.の記載及び関連する図面を参照すると、
引用例には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用発明」という。)
「電源をオンまたはオフさせることを可能にするスケジュールデータを記憶する自動電源オン時刻記憶部と、
前記スケジュールデータが示す一日の中での電源のオン時刻またはオフ時刻に従って、携帯電話機の電源をスケジュール機能が解除されるまで一日の中で一回はオンまたはオフさせる主制御回路とを有することを特徴とする携帯電話機。」

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「自動電源オン時刻記憶部」、「主制御回路」は、本願補正発明における「メモリ」、「スケジュール管理手段」に相当し、本願補正発明の「オン/オフ」と引用発明の「オンまたはオフ」とは、「オンまたはオフ」を包含する「オンオフ」である点で、本願補正発明の「一日の中で繰り返しオンまたはオフさせる」ことと引用発明の「一日の中で一回はオンまたはオフさせる」こととは、「一日の中で所定回数オンまたはオフさせる」点で一致するから、両者は、
「電源をオンオフさせることを可能にするスケジュールデータを記憶するメモリと、
前記スケジュールデータが示す一日の中での電源のオン時刻またはオフ時刻に従って、携帯電話機の電源をスケジュール機能が解除されるまで一日の中で所定回数オンまたはオフさせるスケジュール管理手段とを有することを特徴とする携帯電話機。」
である点で一致し、次の点で相違する。

<相違点1>
「オンオフ」に関して、本願補正発明は「オン/オフ」であるのに対し、引用発明は「オンまたはオフ」である点。

<相違点2>
「スケジュールデータ」が行う電源の制御を、本願補正発明では、「一日に数回にわたって」可能としているのに対し、引用発明ではそのようになっているか否か不明な点。
これに連動して、「所定回数」に関して、本願補正発明では「繰り返」えすことであるのに対し、引用発明では「一回」である点。

(4)判断
上記相違点1について検討する。
携帯電話機の電源を自動的にオン/オフすることは周知技術であり(国際公開第98/7265号パンフレット)、電源の自動的なオンオフ制御について、オンまたはオフするものを、オン/オフするものとすることになんら困難性はないことから、引用発明の電源制御を「オン/オフ」とすることは、当業者が容易になし得ることと認められる。

上記相違点2について検討する。
携帯電話機の電源を自動的にオンまたはオフさせるものにおいて、「一日に数回にわたって」行うようスケジュールを設定可能にすることは、周知技術である(国際公開第98/7265号パンフレット)から、引用発明のスケジュールデータを、「一日に数回にわたって」オン/オフさせることを可能にするようにし、このことと連動して、「所定回数」に関して引用発明の「一回」を「繰り返」えすように構成することは、当業者が容易になし得ることと認められる。

また、本願補正発明の構成によってもたらされる効果も、引用発明及び周知技術から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
よって、本件手続補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.補正却下の決定を踏まえた検討
(1)本願発明
平成16年6月4日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成16年2月12日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「電源を一日に数回にわたってオン/オフさせることを可能にするスケジュールデータを記憶するメモリと、
前記スケジュールデータが示す電源のオン時刻またはオフ時刻に従って、携帯電話機の電源をオンまたはオフさせるスケジュール管理手段とを有することを特徴とする携帯電話機。」

(2)引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された引用例の記載事項は、上記2.(2)に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、上記2.で検討した本願補正発明における「一日の中での電源のオン時刻またはオフ時刻」を「電源のオン時刻またはオフ時刻」とし、「携帯電話機の電源をスケジュール機能が解除されるまで一日の中で繰り返しオンまたはオフさせる」を「携帯電話機の電源をオンまたはオフさせる」とし、限定を省いたものである。
そうすると、本願発明に限定を施したものに相当する本願補正発明が、上記2.(4)に記載したとおり、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである以上、本願発明も、同様に、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-05-25 
結審通知日 2006-05-30 
審決日 2006-06-13 
出願番号 特願2000-265618(P2000-265618)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04M)
P 1 8・ 121- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 稲葉 和生  
特許庁審判長 廣岡 浩平
特許庁審判官 中木 努
宮下 誠
発明の名称 携帯電話機  
代理人 机 昌彦  
代理人 工藤 雅司  
代理人 谷澤 靖久  

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