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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B27D
管理番号 1140675
審判番号 不服2002-24762  
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-02-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-12-25 
確定日 2006-07-24 
事件の表示 平成 6年特許願第210647号「合板の製造方法及び合板」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 2月27日出願公開、特開平 8- 52702〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成6年8月11日の出願であって、平成14年11月18日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月25日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成15年1月22日付けで手続補正がなされ、当審において、該手続補正が却下されるとともに、拒絶の理由が通知され、これに対して、平成18年4月7日付けで手続補正書が再度提出されたものである。

2.
本願の請求項1に係る発明は、平成18年4月7日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものである。
「コア単板の両側に各々複数枚の単板を配し、かつ表層の単板は木表を表面に配して積層圧着する合板において、
これらの単板はいずれもロータリーレースによって切削されたものであり、
前記単板は5層以上に積層され、前記コア単板を含む各層の単板は針葉樹単板とされると共に、各層の単板は繊維方向を交互に直交させて積層され、
前記コア単板の両側に配置された各々の複数枚の単板は、すべてコア単板に対して木裏を対向させて積層圧着することを特徴とする合板。」(以下、「本願発明」という。)

3.引用文献及びその記載内容
当審の拒絶理由通知に引用された、特開平4-113806号公報(以下、「引用文献」という。)には、
「(1)心材の表裏面に表板及び裏板を接着一体化した合板において、前記心材が、針葉樹をその外周面周方向に沿って連続的にスライスした単板の所要数をその繊維を90度づつ交互に交叉させ積重ねるとともにパーティクルボードをその単板間に介在して接着一体化してなるとともに、前記表板及び裏板が、針葉樹の節間採りした無節原木をその外周面周方向に沿って連続的にスライスした単板からなって、その繊維が前記心材の短辺に平行となっており、かつ、パーティクルボードと単板の間及び各単板間の接着を、エチレン酢酸ビニル100重量部に対し、極性基を有する変性ポリオレフィンを7重量部以上添加してなる接着性プラスチックフィルムを介し、加熱加圧してなるものとしたことを特徴とする合板。」(特許請求の範囲)、
「この合板Aの製造は、第3図に示すように、まず、原木wから、カッター20によるかつらむきによって帯状の1.0mm厚の単板帯21を形成し、その単板帯21を巻取ロール22に送る途中において、接着性プラスチックフィルム12をその全面に添える。このため、巻取ロール22は、単板帯21の層間にフィルム12が介在されたものとなり、その接着性によって木質繊維の裂けが防止される。・・・この工程では、各巻取ロール22a、22bから各単板帯21がそれぞれ裁断機23に送られ、180cm、90cmの長さに切断されて単板(薄板)10a、10b、10aとして重ね合わせ台24に送られるとともにパーティクルボード11が重ね合わせ台24に送られる。すなわち、まず、単板10a、単板10b、単板10aが第2図の状態に送られ、その上に、パーティクルボード11が送られ、さらにその上に、単板10a、単板10b、単板10aが第2図の状態において表裏面を逆(フィルム12が下側)にして送られると、重ね合わせ台24の上下から加熱加圧してフィルム12の接着性によって各単板10a、10b及びパーティクルボード11を一体化する。・・・一体化されたのち、従来と同様に、化粧裁ち、サンダー掛け等が施されて第1図に示す合板Aとなる。」(3頁左上欄18行〜同左下欄8行)と記載されている。
また、原木から、カッターによるかつらむきによって単板帯を形成するのであるから、それを裁断した各単板はいずれもロータリーレースによって切削されたものであり、また、特に第3図をみると、単板帯21の接着性プラスチックフィルム12がその全面に添えられている側は、カッター20によるかつらむきの際の原木w軸心側、つまり、裏割れが生じる面側である木裏側であり、さらに、実施例において、単板はパーティクルボードの両側に3層ずつ積層されていて、5層以上に積層されているといえる。
これらの記載および第1〜4図を参照すると、引用文献には、
「パーティクルボードの両側に各々複数枚の単板を配し、かつ表層の単板は木表を表面に配して積層圧着する合板において、
これらの単板はいずれもロータリーレースによって切削されたものであり、
前記単板は5層以上に積層され、前記各層の単板は針葉樹単板とされると共に、各層の単板は繊維方向を交互に直交させて積層され、
前記パーティクルボードの両側に配置された各々の複数枚の単板は、すべてパーティクルボードに対して木裏を対向させて積層圧着する合板」という発明(以下、「引用文献記載の発明」という。)が記載されている。

4.対比・判断
本願発明と上記引用文献記載の発明とを対比すると、引用文献記載の発明の「パーティクルボード」と、本願発明の「コア単板」とは、「心材」である点で共通しているから、両者は、
「心材の両側に各々複数枚の単板を配し、かつ表層の単板は木表を表面に配して積層圧着する合板において、
これらの単板はいずれもロータリーレースによって切削されたものであり、
前記単板は5層以上に積層され、前記各層の単板は針葉樹単板とされると共に、
各層の単板は繊維方向を交互に直交させて積層され、
前記心材の両側に配置された各々の複数枚の単板は、すべて心材に対して木裏を対向させて積層圧着する合板」の点で一致し、下記の点で相違している。
相違点:心材が、本願発明では、単板であるのに対し、引用文献記載の発明では、パーティクルボードである点。
上記相違点について検討すると、コア単板を含み5層以上の単板からなる合板は、周知技術(実願昭54-4483号(実開昭55-105302号)のマイクロフィルムに記載された従来例、実願平2-116248号(実開平4-73140号)のマイクロフィルム等参照。)にすぎず、引用文献記載の発明の心材に、上記周知技術を採用して、本願発明のように、単板とすることは、当業者が適宜なしうる設計的事項にすぎない。
そして、本願発明の作用効果も、引用文献記載の発明および周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願発明は、引用文献記載の発明および周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものである。

請求人は、平成18年4月7日付け意見書において、本願発明(平成18年4月7日付け補正書により補正された発明)に対する実質的な審理は未だ成されておらず、しかも拒絶理由が示されていない旨主張する。
しかしながら、当審拒絶理由通知には「2.平成15年1月22日付けの手続補正において」の項において、本願発明(合板)の製造方法が、上記引用文献記載の発明および周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものであり特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない旨記載しており、しかも、本願発明と平成15年1月22日付け補正書により補正された発明とは、「合板」とその「製造方法」とでカテゴリーが相違するに止まるから、本願発明に対する実質的な審理は未だ成されていないという請求人の主張は理由がない。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献記載の発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができず、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-05-24 
結審通知日 2006-05-30 
審決日 2006-06-14 
出願番号 特願平6-210647
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B27D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉田 佳代子  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 安藤 勝治
柴田 和雄
発明の名称 合板の製造方法及び合板  
代理人 土井 清暢  

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