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審決分類 審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 H05K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1140680
審判番号 不服2003-18864  
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-09-25 
確定日 2006-07-24 
事件の表示 平成11年特許願第320334号「配線基板の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 5月25日出願公開、特開2001-144409〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年11月10日の出願であって、平成15年8月14日付けで拒絶査定(発送8月26日)がなされ、これに対し、同年9月25日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年10月24日に手続補正がなされたものである。

2.本願発明
上記手続補正は、新規事項を追加するものではなく、補正前の請求項1を削除するものであり、特許法第17条の2第4項第1号を目的とし、妥当なものである。
したがって、本願の請求項1に係る発明(以下、本願発明という)は、上記手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものであると認められる。
「【請求項1】第1主面および第2主面を有する板状の絶縁基板と、上記第1主面上に形成された第1主面側金属層と、第2主面上に形成された第2主面側金属層と、からなる金属層付基板を第1主面側からドリルにより穿孔し、上記金属層付基板を貫通するスルーホールを形成する工程と、上記第1主面側金属層の表面を研磨した後で、上記第2主面側金属層の表面を研磨する研磨工程と、を含み、前記研磨工程が、第1主面側金属層の表面を研磨する工程と、第2主面側金属層の表面を研磨する研磨工程とを複数回繰り返すことを特徴とする配線基板の製造方法。」
(ただし、上記請求項1に記載された事項において、「請求項1に記載の」との記載があるが、該記載は誤記であることが明らかであるため省略し、上記のとおり認定した。)

3.引用刊行物とその記載事項
原査定の拒絶理由において引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開昭59-6594号公報(以下、引用文献という)には、図面とともに、次の事項が記載されている。
ア)「プリント基板用片面銅張り積層基板、両面銅張り積層基板あるいは多層回路積層基板などに導通メッキを行なうスルーホール処理工程においては、ドリリング、パンチングになどによる孔明けにより生じたバリをあらかじめ完全に取り去ることが、その後のスルーホールメッキを支障なくほどこす上で極めて重要なことであり、このバリ取りは通常研摩によって行っている。このバリ取り研摩において大切なことは、先ず第1に、バリを完全に除去することである。」(第1頁左下欄第15行〜右下欄第4行)
イ)「この第7図においてブラシホイールXは2個示されているが、同図左方側のブラシホイールX1はプリント回路基板7の上面研摩用であり、また、右方向のブラシホイールX2はプリント回路基板7の下面研摩用である。」(第3頁左下欄第16行〜右下欄第1行)
ウ)「孔明け加工されたプリント回路基板7は、第7図左方よりローラコンベア8により右方へ搬送され、ブラシホイールX1によりその上面のバリ取り及び銅箔表面の酸化膜が除去され、またブラシホイールX2によりその下面のバリ取り及び銅箔表面の酸化膜が除去される。」(第3頁右下欄第1行〜第7行)
エ)「孔明け直後のプリント回路基板7は、第8図に示すように、その基材7aの両面に銅箔7b,7cが貼着されたものにあっては、その両面側に孔10の周縁においてバリ7d,7eが存在する。」(第3頁右下欄第9行〜第13行)
オ)「なお、第9図においてはプリント回路基板7の上面をバリ取りする様子を示してあるか、下面のバリ取りも同じようにして行われる。」(第3頁右下欄第19行〜第4頁左上欄第2行)
一方、両面銅張り積層基板をドリルにより穿孔すると、ドリルにより先に穿孔される面に上向きのバリが形成されることは、例えば、特開平3-256606号公報(第4図及び穴あけ直後を示す第5図(a)参照)、特開平1-281808号公報(第2図参照)記載のように、周知の事項であり、また、ドリルにより先に穿孔される面のバリの方が大きいことも、特開平1-281808号公報(第2図参照)等に記載されているように従来より周知の事項である。 これら周知の事項を参酌して、引用文献における孔明け直後のプリント回路基板7(第8図)をみると 、基板の上面側からドリルにより穿孔が開始されたものと解される。
以上を総合すると、引用文献には、「上面および下面を有する板状の基材7aと、上記上面上に形成された銅箔7bと、下面上に形成された銅箔7cと、からなる両面銅張りプリント回路基板7を上面側からドリルにより穿孔し、上記両面銅張りプリント回路基板7を貫通する孔10を形成する工程と、上記上面側の銅箔7b表面を研磨した後で、上記下面側銅箔7cの表面を研磨する研磨工程と、を含むプリント回路基板7の製造方法」の発明(以下、引用発明という)が記載されているものと、認められる。

4.発明の対比
本願発明と引用発明を対比するに 、引用発明の「上面」、「下面」、「基材7a」、「銅箔7b」、「銅箔7c」、「両面銅張りプリント回路基板7」、「孔10」、「プリント回路基板7」は、それぞれ本願発明の「第1主面」、「第2主面」、「絶縁基板」、「第1主面側金属層」、「第2主面側金属層」、「金属層付基板」、「スルーホール」、「配線基板」に相当する。
したがって、本願発明と引用発明の一致点、相違点は以下のとおり、認定できる。
[一致点]
第1主面および第2主面を有する板状の絶縁基板と、上記第1主面上に形成された第1主面側金属層と、第2主面上に形成された第2主面側金属層と、からなる金属層付基板を第1主面側からドリルにより穿孔し、上記金属層付基板を貫通するスルーホールを形成する工程と、上記第1主面側金属層の表面を研磨した後で、上記第2主面側金属層の表面を研磨する研磨工程と、を含む配線基板の製造方法。
[相違点]
本願発明が、研磨工程に関し「第1主面側金属層の表面を研磨する工程と、第2主面側金属層の表面を研磨する研磨工程とを複数回繰り返す」のに対し、引用発明においては、複数回繰り返すことが明示されていない点。

5.当審の判断
引用発明においても、「バリ取り研磨において大切なことは、先ず第1に、バリを完全に除去することである。」(上記ア)参照)とされており、もし、1工程でバリが完全に除去できない場合、その解決手段として、「研磨工程とを複数回繰り返す」ことはブラシホイールの回転数や基板送り速度の調整を行うこと等とともに、当業者が、容易に想到し得た技術常識とも言うべき事項である。
そして、本願発明により得られる効果も、引用文献及び技術常識から当業者であれば、予測できる程度のものであって、格別なものとはいえない。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、技術常識を参酌することにより、引用文献記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、このような特許を受けることができない発明を包含する本願は、本願の請求項2に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-05-09 
結審通知日 2006-05-16 
審決日 2006-06-05 
出願番号 特願平11-320334
審決分類 P 1 8・ 571- Z (H05K)
P 1 8・ 121- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 豊島 ひろみ新海 岳  
特許庁審判長 前田 仁
特許庁審判官 平瀬 知明
永安 真
発明の名称 配線基板の製造方法  

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