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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1140709
審判番号 不服2004-18319  
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-05-15 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-09-03 
確定日 2006-07-28 
事件の表示 平成 8年特許願第280916号「画像ファイル編集装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 5月15日出願公開、特開平10-124362〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成8年10月23日の出願であって、平成16年2月16日付けで手続補正とその補正の根拠を説明する上申書が提出され、同年3月4日付けで拒絶理由通知がなされ、同年5月13日付けで手続補正がなされたものの、同年7月22日付けで拒絶査定がなされた。
その後、同年9月3日に拒絶査定不服審判請求がなされ、同年10月4日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成16年10月4日付け手続補正の補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成16年10月4日付けの手続補正を却下する。

[理由]
平成16年10月4日付け手続補正により特許請求の範囲請求項1は、
「【請求項1】 着脱可能な記録媒体に対して、複数の動画ファイルの書き込みおよび読み出しが可能な媒体ドライブ手段と、
前記媒体ドライブ手段に装填された前記記録媒体上の動画ファイルを編集する編集手段と、
前記媒体ドライブ手段と同一筐体内に設けられ、前記記録媒体を識別するためのID情報を記憶する記憶手段と、
前記記録媒体の動画ファイルを表示部に表示させる表示手段と、
前記記録媒体が前記媒体ドライブ手段に装填されてから排出されるまでの期間中に、前記記録媒体に記録された前記ID情報を、前記媒体ドライブ手段を用いて前記記憶手段に格納し、前記記憶手段に格納した前記ID情報に基づいて、前記媒体ドライブ手段に装填されていない前記記録媒体に書き込まれている動画ファイルの識別情報を前記表示部に一覧表示させる情報処理手段と
を備えたことを特徴とする画像ファイル編集装置。」
に補正された。

本件補正の「前記記憶手段に格納した前記ID情報に基づいて、前記媒体ドライブ手段に装填されていない前記記録媒体に書き込まれている動画ファイルの識別情報を前記表示部に一覧表示させる」点について検討する。
前記箇所において、動画ファイルの識別情報を一覧表示させるために、補正前は「媒体情報」に基づくものであったものが、本件補正で「ID情報」に基づくものに補正されている。そして、補正前の「媒体情報」は、平成16年2月16日付け補正書で導入された用語であり、同日付けで提出された上申書によれば、
「なお、『媒体情報』という言葉は、段落[0015]に記載の『記録媒体Rに本来存在する情報』から自明です。『媒体情報』は、実施形態では、ID情報と識別情報の両方に対応します。」(上申書2頁8行〜10行)
「『前記媒体情報に基づいて動画ファイルの識別情報を前記表示部に一覧表示させる』は、段落[0033]に記載の『マイクロプロセッサ17は、このように生成されたサムネイル画像31を液晶表示部22のビデオメモリに順次転送して、第1領域30aに一覧表示する』と、段落[0037]に記載の『マイクロプロセッサ17は、このように生成されたサムネイル画像31を液晶表示部22のビデオメモリに順次転送して、第2領域30bに一覧表示する』から自明です。」(上申書2頁17行〜22行)
と補正の根拠を説明している。これによれば、「媒体情報」とはID情報と識別情報の両方に対応するものであるので、本件補正の上記箇所は、ID情報と識別情報に対応する媒体情報に基づいて動画ファイルの識別情報を一覧表示するものから、ID情報に基づいて動画ファイルの識別情報を一覧表示するものに補正していることになる。そして、明細書の発明の詳細な説明には、記録媒体から読み出した画像ファイルからサムネイル(識別情報)を作成し、これを一覧表示した後で、記録媒体を交換した後もそのサムネイルを表示しているから、装填されていない記録媒体のサムネイル(識別情報)は何らかの手段に格納され、この識別情報に基づいて装填されていない記録媒体の識別情報が表示されることは理解できる。しかしながら、ID情報自体に基づいて装填されていない記録媒体の動画ファイルの識別情報を一覧表示する点に関しては明細書及び図面にも何ら記載されて無く、また、そのことが自明のこととも認められない。
従って、本件補正は新規事項を追加するものであり、特許法17条の2第3項の規定に違反するものである。
よって、同法159条第1項の規定で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成16年10月4日付けの手続補正は前記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成16年5月13日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下、「本願発明」という。)。
「【請求項1】
着脱可能な記録媒体に対して、複数の動画ファイルの書き込みおよび読み出しが可能な媒体ドライブ手段と、
前記媒体ドライブ手段に装填された前記記録媒体上の動画ファイルを編集する編集手段と、
記憶手段と、
前記記録媒体の動画ファイルを表示部に表示させる表示手段と、
前記記録媒体が前記媒体ドライブ手段に装填されてから排出されるまでの期間中に、前記記録媒体に記録された媒体情報を、前記媒体ドライブ手段を用いて前記記憶手段に格納し、前記記憶手段に格納した前記媒体情報に基づいて、前記媒体ドライブ手段に装填されていない前記記録媒体に書き込まれている動画ファイルの識別情報を前記表示部に一覧表示可能な情報処理手段と
を備えたことを特徴とする画像ファイル編集装置。」

3.1 引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開平5-260425号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。

A.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、画像再生システムに関し、より具体的には、画像再生装置と当該画像再生装置を外部制御するコンピュータ等の制御装置からなる画像再生システムに関する。 」

B.「【0003】初期の記録媒体である小型磁気ディスクは2インチ径で、スチル・ビデオ・フロッピーと呼ばれており、50本のトラックを具備し、1トラックに1フィールドの映像信号を記録するように規定されている。記録されている最大50枚の画像を一々再生して内容確認するのは面倒なので、複数枚、例えば9枚(3×3)、16枚(4×4)又は25枚(5×5)を縮小して1画面に一括表示(マルチ画)する技術が提案されている。この一括表示画面を、以下ではインデックス画面、又はインデックス画像と呼ぶ。」

C.「【0006】近年、コンピュータ上での画像処理技術が進歩し、スチル・ビデオ・フロッピーのような画像記録媒体の再生装置をコンピュータで制御し、再生画像をコンピュータで編集加工する画像処理システムが提案されている。」

D.「【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る画像再生システムは、外部制御信号に応じて画像記録媒体に記録される画像を再生する画像再生装置と、所定記憶容量の記憶装置を具備し、当該画像再生装置を制御する制御装置からなる画像再生システムであって、当該画像記録媒体の所定数の記録画像からなるインデックス画像を、当該画像記録媒体を特定する識別情報と共に当該制御装置の記憶装置に記憶することを特徴とする。好ましくは、上記識別情報を上記画像記録媒体にも記録する。
【0009】
【作用】上記手段により、個々の画像記録媒体のインデックス画像を一度形成して、制御装置の記憶装置に記憶しておくので、事後にインデックス画像を表示させたいときには、記憶装置の記憶画像を再生表示すればよく、短時間でインデックス画像を見ることができる。」

E.「 【0012】図1は、本発明の一実施例の概略構成ブロック図である。10はスチル・ビデオ・フロッピーを記録媒体として、入力するアナログ映像信号を静止画として記録し、記録されている静止画を再生しアナログ再生映像信号を出力する記録再生装置である。12は当該記録再生装置10を外部制御すると共に、当該画像再生装置10との間で画像通信するコンピュータである。
【0013】コンピュータ12において、14はCPU、16は、多数の画像情報をディジタル記憶できる大容量ハード・ディスク、18は、記録再生装置10への外部制御信号、及び記録再生装置10との画像データ通信のためのインターフェース、20は画像モニタ表示のビデオ信号をモニタ22に出力するビデオ回路である。インターフェース18は、画像再生装置10からのアナログ映像信号をディジタル化してCPU14に供給し、他方、CPU14からの画像データをアナログ映像信号化して記録再生装置10に供給する。」

F.「【0020】また、本実施例では、スチル・ビデオ・フロッピーの各トラックの第1水平ラインH1期間に、そのトラックに記録される画像の再生方法を指定する情報(再生時間や次の画像への遷移形式)を記録する。更には、インデックス画面を記録したトラックには、第1水平ラインH1及び第2水平ラインH2にIDコードその他のデータを記録する記録方法も考えられる。図4は、H1,H2にデータを記録したトラック#1、及びH1にデータを記録したトラック#2の信号波形を示す。本実施例では、インデックス画面の画像データをハード・ディスク16に格納してある場合には、トラック#1のH2に所定のIDコードを記録しておく。
【0021】次に、本実施例の動作を説明する。
【0022】図5は、スチル・ビデオ・フロッピーから所望の記録画像を選択し、ハード・ディスク16に格納するルーチンのフローチャートを示す。スチル・ビデオ・フロッピーが記録再生装置10に挿入されたら(S1)、コンピュータ12から記録再生装置10に再生を指示し、インデックス画面をモニタ22に表示する(S2)。例えば図6に示すように5×5の25画像を同時に表示する。インデックス画面表示ルーチン(S2)の詳細は、後述する。
【0023】このインデックス画面から必要な画像を指定し、コンピュータ12内に取り込む(S3)。取り込んだ画像(例えば、640×480画素又は320×240画素)をマウス及びキーボード操作により加工修正してハード・ディスク16に保存しておく(SS5)。
【0024】図7は、インデックス画面表示ルーチン(S2)の詳細を示す。先ず、トラック#1の再生を指示し、そのH2期間の再生信号を解析し(S10)、IDコードが記録されているか否かを調べる(S11)。記録されていれば(S11)、ハード・ディスク16内で同一IDコードのインデックス画面を検索する(S12)。存在すれば(S13)、そのインデックス画面データを読み出してモニタ22に表示し(S14)、存在しなければ(S13)、新たにインデックス画面を形成する(S15)。トラック#1のH2期間にIDコードが記録されていない場合にも(S11)、新たにインデックス画面を形成する(S15)。」

以上より、引用文献1に、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

着脱可能なスチル・ビデオ・フロッピーに対して、複数の画像情報を書き込み読み出しが可能な記録再生装置と、
前記記録再生装置に装填された前記スチル・ビデオ・フロッピー上の画像情報を編集するコンピュータと、
ハードディスクと
前記スチル・ビデオ・フロッピーの画像情報をモニタに表示させるビデオ回路と、
前記スチル・ビデオ・フロッピーが前記記録再生措置に装填されてから排出されるまでの期間中に、前記スチル・ビデオ・フロッピーに記録されたインデックス画像を、前記記録再生装置を用いて前記ハード・ディスクに格納し、前記ハード・ディスクに格納した前記インデックス画像に基づいて、前記インデックス画像を前記モニタに表示可能なコンピュータと
を備えた画像処理システム

また、原査定において周知技術を示す文献として引用された特開平5-274375号公報(以下、「引用文献2」という。)には、以下の事項が図面と共に記載されている。

G.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、画像データをユーザに供給する画像データ供給システムに係り、たとえば、銀塩写真のフィルムから読み取られた画像データを記録した光ディスクからの画像データをユーザに供給する画像データ供給システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
(中略)
【0003】一方、ネガフィルムから得られた画像データを小型かつ高密度であるコンパクトディスク(CD)に記録して、コンピュータシステムにも再生可能なデータとして記録するフォトCDシステムの開発が進められている。このフォトCDシステムにおいては、銀塩写真のフィルムから得られる高解像度の画像データ、たとえば、2048×3072画素のデータをフィルムスキャナにて読み取り、コンピュータ等の画像処理装置を介して順次フォトCDに書き込む。この場合、フォトCDに記録する画像データの縮小データを画像処理装置にて生成して、これら複数の縮小データを1フレーム上に納めたインデックス画像をそれぞれの原画像とともにフォトCDに記録しておき、後に、このインデックス画像をCDリーダにて再生することにより、フォトCDにいずれの画像データが記録されているかを知るようにしている。」

H.「【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の課題を解決するために、複数の記録媒体に記録された多数の画像データの中から所望の画像データを抽出して端末装置に供給する画像データ供給システムにおいて、このシステムは、高速通信網を介して端末装置に画像データを供給する画像データ供給装置を備え、この画像データ供給装置は、記録媒体に記録されたそれぞれの画像データの縮小画像をそれらの検索情報とともに蓄積した検索情報蓄積手段と、端末装置からの要求の下に検索情報蓄積手段に蓄積された検索情報に基づいて記録媒体に記録された画像データを検索する検索手段とこの検索手段によって検索された画像データを記録した記録媒体を選択する記録媒体選択手段と、この選択された記録媒体から検索手段によって検索された画像データを抽出して、この画像データを高速通信網を介して端末装置に供給する供給手段とを含むことを特徴とする。」

I.「 【0012】
【実施例】次に添付図面を参照して本発明による画像データ供給システムの実施例を詳細に説明する。
【0013】図1には、本発明による画像データ供給システムの第1の実施例が示されている。この第1の実施例における画像データ供給システムは、それぞれ複数の画像データを記録した光ディスク100,100...を有する画像データ供給装置10にて、それら画像データの中からユーザが指定する画像データを選択して、その画像データを高速ネットワーク200 を介してユーザ宅内に設置された端末装置20,20...にそれぞれ供給するシステムである。
【0014】画像データ供給装置10は、たとえば35mmネガフィルムから読み取った画像データを記録した光ディスク100,100...、いわゆる「フォトCD」の中からユーザが指定する所望の画像データを抽出して送信するデータサーバである。この画像データ供給装置10は、光ディスク100,100...に記録された画像データを読み取るCDリーダ110 と、このCDリーダ110 に所望の光ディスク100 を装着するオートチェンジャ120 と、光ディスク100,100...の中から所望の画像データを検索するための検索情報が格納されたハードディスク130 と、このハードディスク130 に格納された検索情報に基づいて所望の画像データを検索するデータベース管理部140 とを含む構成となっている。」

J.「【0024】このような構成の画像データ供給システムによれば、ユーザは、自装置20にて画像データ供給装置10をアクセスする。この場合、ユーザ端末20では、画像一覧による検索か検索キーワードによる検索かのメッセージが表示される。ユーザはいずれかを選択する。
(中略)
【0025】一方、ユーザが画像一覧を選択した場合には、検索情報処理部144 は、ハードディスク130 から複数の縮小画像からなるインデックス画像を高速ネットワーク200 を介してユーザ端末20に転送する。ユーザは、そのうちのいずれの画像データが必要かを指示する。これにより検索情報処理部144 はオートチェンジャ120に指示を送り起動する。
【0026】この結果、オートチェンジャ120 は、所望の番号の光ディスク100 を選択してCDリーダ110 に装着する。次いで、CDリーダ指示部148 はCDリーダ110 を起動して所望の画像データを読み出すための指示信号を発生する。これにより、CDリーダ110 は、その指示信号に従って所望の画像データを再生して、この画像データを高速ネットワーク200 を介してユーザ端末20,20...に供給する。ユーザ側では、供給された画像データを確認するなどしてアクノレッジを返送する。次に、続いて受ける画像データがあれば、前回受けた縮小画像の中から選択して、上記と同様に次の画像データを画像データ供給装置10から受ける。前回受けた縮小画像の中に、所望のデータがなければ、再び、検索キーワードを送って、前回と異なる他の縮小画像を受けて、その中から所望の画像データを選択して、上記と同様に画像データ供給装置10から画像データを受ける。所望の画像データをすべて受け取ると、終了メッセージを送出してネットワークを断とする。」

上記記載によれば、引用文献2には、次の技術事項が見て取れる。

ハードデイィスクに蓄積したインデックス画像を基に、光ディスクに記録された画像を検索する画像供給システムにおいて、一覧表示したインデックス画像からユーザが指定した画像が格納されている光ディスクをオートチェンジャがCDリーダに装着しているから、このことは、CDリーダに装着されていない光ディスクのインデックス画像をユーザ端末に表示していることになる。

3.2 対比
本願発明と引用発明とを比較すると、
引用発明の「スチル・ビデオ・フロッピー」「記録再生装置」「ハード・ディスク」「モニタ」「ビデオ回路」「画像処理システム」は、それぞれ、本願発明の「記録媒体」「媒体ドライブ手段」「記憶手段」「表示部」「表示手段」「画像ファイル編集システム」に相当するものである。
引用発明の「画像情報」と本願発明の「動画ファイル」とは、編集対象情報である点で対応している。
引用発明の「コンピュータ」は、画像情報の編集を行う機能とインデックス画像の表示を行う機能を有しているから、本願発明の「編集手段」と「情報処理手段」に相当する手段を有するものである。
引用発明の「インデックス画像」は、本願発明の「識別情報」に相当するものであり、本願発明では、媒体情報に基づいて識別情報を表示している。そして、この媒体情報とは平成16年2月16日付け上申書によれば、ID情報と識別情報に対応するものとされており、識別情報を表示するための媒体情報は識別情報と捉えるのが至当であるから、結局のところ、引用発明の「インデックス画像」は、本願発明の「識別情報」及び「媒体情報」に相当するものである。
引用発明の「インデックス画像」は、複数の画像を縮小して1画面に一括表示するものであるから、引用発明において「インデックス画像を表示する」ことは、一覧表示していることになる。

したがって、本願発明と引用発明とは、次の構成を有する発明である点で一致する。

着脱可能な記録媒体に対して、複数の編集対象情報の書き込みおよび読み出しが可能な媒体ドライブ手段と、
前記媒体ドライブ手段に装填された前記記録媒体上の編集対象情報を編集する編集手段と、
記憶手段と、
前記記録媒体の編集対象情報を表示部に表示させる表示手段と、
前記記録媒体が前記媒体ドライブ手段に装填されてから排出されるまでの期間中に、前記記録媒体に記録された媒体情報を、前記媒体ドライブ手段を用いて前記記憶手段に格納し、前記記憶手段に格納した前記媒体情報に基づいて、編集対象情報の識別情報を前記表示部に一覧表示可能な情報処理手段と
を備えたことを特徴とする画像ファイル編集装置

一方、本願発明と引用発明とは、次の点で相違する。

相違点1
編集対象情報が、本願発明では「動画ファイル」であるのに対し、引用発明では「画像情報」である点

相違点2
一覧表示可能な識別情報が、本願発明では、媒体ドライブ手段に装填されていない記録媒体に書き込まれている動画ファイルのものであるのに対し、引用発明では媒体ドライブ手段に装填されていない記録媒体のものかどうか定かでない点

3.3 相異点についての判断
相違点1について
本願明細書には「動画ファイル」についての定義はないが、広辞苑によれば、動画とは「一定時間間隔で撮影された一連の画像を、短い間隔で連続表示することにより得る動きのある映像」とされているから、本願発明の「動画ファイル」とは動きのある映像を得るための一連の画像と捉えられる。このように、動画ファイルは画像情報の一種であるから、編集対象情報として画像情報を扱う引用発明において動画ファイルを扱うことができるようにすることは格別のことではない。

相違点2について
引用文献1の実施例では、記録再生装置に挿入されたスチル・ビデオ・フロッピーのIDコードを基に、ハードディスク内に同一IDコードのインデックス画像を検索し、存在する場合、ハードディスクからインデックス画像を読み出したモニタに表示している。これはハードディスクに既にインデックス画像が存在する場合はスチル・ビデオ・フロッピーからの読み出しを行わないようにするためである。一般にコンピュータ装置では、自身のハードディスク内の情報を読み出すことは可能であり、引用発明において、記憶再生装置に装着されていないスチル・ビデオ・フロッピーのインデックス画像を読み出し禁止にする合理的理由も存在しない。また、引用文献2にみられるように、検索のためにCDリーダに装着されていない光ディスクのインデックス画像をユーザ端末に表示することも普通のことであるから、引用発明において、媒体ドライブに装填されていない記録媒体の識別情報を表示可能とすることは格別のことではない。

3.4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1、2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-05-12 
結審通知日 2006-05-23 
審決日 2006-06-07 
出願番号 特願平8-280916
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 561- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 廣瀬 文雄平井 誠  
特許庁審判長 吉岡 浩
特許庁審判官 青木 重徳
長島 孝志
発明の名称 画像ファイル編集装置  
代理人 古谷 史旺  

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