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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M
管理番号 1140881
審判番号 不服2004-20232  
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-09-30 
確定日 2006-08-04 
事件の表示 特願2000-284222「無線情報端末機」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 3月29日出願公開、特開2002- 94625〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年9月19日の出願であって、平成16年4月21日付けで拒絶理由が通知され、同年8月4日付けで手続補正がなされ、平成16年8月24日付けで拒絶査定がされた後、当該拒絶査定に対し、同年9月30日に拒絶査定に対する審判の請求がなされるとともに、同年11月1日に手続補正がなされたものである。

2.本願発明について
(1)本願発明
本願の請求項1〜4に係る発明は、平成16年8月4日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された事項により特定されるとおりのものであるから、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。
「携帯可能な小型のケーシングに、データ入力のための複数の操作キーと、情報表示のためのディスプレイとを配備した無線情報端末機において、
ケーシングには、1或いは複数のディスプレイを具えた少なくとも1枚の引出しパネルが、ケーシング内に収納された収納位置とケーシングから突出した引出し位置の間で往復移動可能に配備され、引出しパネルが引出し位置に引き出されることによって、前記1或いは複数のディスプレイの画像表示面の全体が露出し、該ケーシングには、収納位置に収納された引出しパネルのディスプレイの画像表示面の一部を露出させるための小窓が設けられており、該小窓から露出する画像表示面の一部には、受信待ち受け状態で必要な最少限の情報が表示されることを特徴とする無線情報端末機。」

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-143386号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
a.「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、表示部を本体に格納可能な携帯性に優れた格納式表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の画像表示装置を持ったコンピュータ等の携帯端末装置は小型化が進み、A5版程度のサイズで携帯性に優れた装置も製品化されている。ところで、画像駆動部であるコンピュータ本体を小型化し携帯性を高めようとした時、画像表示部自身もコンピュータ本体にあわせて小型化しなければならず、その結果、今までと同じ情報量を表示しようとした場合に、画像表示部上に表示される画像を小さくしなければならず、画像表示部上の画像が非常に見にくくなってしまう。これを解決しようとする方策として、例えば特開平4-110887号公報に開示された従来の格納式表示装置がある。
【0003】図11は特開平4-110887号公報に開示された従来の格納式の表示装置の構成を示す図である。図において、1はキーボードスイッチ、2はコンピュータ等のボディー(本体部)である画像駆動部、4は格納部、6は画像表示部、7は画像表示部6を掛ける例えば壁、8は画像駆動部2と画像表示部6を電気的に接続するためのコードである。
【0004】図11に示すように、使用時には画像表示部6を壁7等に掛けて表示を行い、携帯時には、画像表示部6を湾曲変形可能として画像駆動部2内に設けられた格納部4に格納することにより、画像駆動部2本体の大きさに係わらず、画像を表示するのに十分な表示面積を持った画像表示部6を提供するものである。」(第2頁1欄第34行〜同2欄第12行)

b.「【0014】
【発明の実施の形態】以下、この発明の各実施の形態による格納式表示装置を、特に画像表示部の一部が本体部に設けられた格納部内に格納されたままの状態で使用される場合について図面を参照しながら説明する。
【0015】実施の形態1.図1はこの発明の一実施の形態による格納式表示装置の使用状態を示す透視斜視図、図2および図3は図1の表示装置の特に格納部の例をそれぞれ示す斜視図である。また、図4は図1の表示装置の画像情報の表示例、図5は画像表示部の格納状態を示す側面透視図である。従来のものと同一もしくは相当部分は同一符号で示す。
【0016】各図において、1はキーボード、20はコンピュータ等のボディーである本体部(画像駆動部)、4は格納部、4aは画像表示部の出入り口となる開口部(図2参照)、4bは画像表示部を導くガイド(図3参照)、6は画像表示部、11は画像表示領域(図4参照)、17は摩擦により画像表示部6の出し入れを制するローラ、19は画像表示部6を支持する支持部、22は画像表示部6の出し入れを容易にする取っ手である。なお、画像表示部6は本体部20内で、演算処理素子やメモリ素子等から構成される電気部品部分とコード(共に図示せず)等により電気的に接続されている。なお上記電気部品部分の一部が表示制御処理手段(図6の30参照)を構成し、内蔵するプログラム(図示せず)および使用者等によりキーボード1から供給される信号に従って動作する。」(第3頁3欄第5〜31行)

c.「【0018】画像表示部6は変形が可能なように例えば可撓性を有する液晶ディスプレイ等により構成される。また、画像表示部6には取っ手22が接合されており、さらにこの取っ手22に支持部19が備わっている。支持部19は本体部20に格納可能で、画像表示部6の移動方向に伸縮可能な構成になっている。また、取っ手22は画像表示部6を格納部4に引き出したり押し入れたりするのに用いる他に、画像表示部6の補強としても効果がある。また、本体部20の内側にはローラー17が設けられており摩擦により画像表示部6の移動を制する。」(第3頁3欄第40〜50行)

d.「【0021】次に、本体部2を携帯する時など画像表示部6を使用しない時は、図5に示すように、例えば取っ手22を本体部20内に手動で押し込むようにすることで、あるいはモータ(図示せず)を使用した動力を内蔵させて電動で画像表示部6を格納部4に格納すればよい。」(第3頁4欄第18〜22行)

上記摘記事項b.記載の「格納式表示装置」は、上記摘記事項a.の記載からコンピュータであるから、「情報端末機」といえ、図面の記載も勘案すると、「キーボード1」は「データ入力のための複数の操作キー」といえる。
上記摘記事項c.の記載から、「画像表示部6」は、「液晶ディスプレイ」であって、「ディスプレイ」の一種といえる。
上記摘記事項c.及び図1の記載から、「画像表示部6」、「取っ手22」、及び、「支持部19」からなる構成は、一体となって引き出されていることから、「画像表示部6」を具えた「1枚の引出しパネル」といえる。

よって、上記摘記事項a.〜d.の記載、関連する図面及びこの分野の技術常識を考慮すると、引用例には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用発明」という。)
「携帯可能な小型の本体部に、データ入力のための複数の操作キーと、情報表示のためのディスプレイとを配備した情報端末機において、
本体部には、1のディスプレイを具えた少なくとも1枚の引出しパネルが、本体部内に収納された収納位置と本体部から突出した引出し位置の間で往復移動可能に配備され、引出しパネルが引出し位置に引き出されることによって、前記1のディスプレイの画像表示面の全体が露出する情報端末機。」

(3)対比
引用発明における「本体部」は、本願発明における「ケーシング」に相当する。
本願発明と引用発明とを対比すると、両者は、
「携帯可能な小型のケーシングに、データ入力のための複数の操作キーと、情報表示のためのディスプレイとを配備した情報端末機において、
ケーシングには、1或いは複数のディスプレイを具えた少なくとも1枚の引出しパネルが、ケーシング内に収納された収納位置とケーシングから突出した引出し位置の間で往復移動可能に配備され、引出しパネルが引出し位置に引き出されることによって、前記1或いは複数のディスプレイの画像表示面の全体が露出することを特徴とする情報端末機。」
である点で一致し、次の点で相違する。

<相違点>
「情報端末機」について、本願発明は「無線情報端末機」であるのに対し、引用発明は「無線情報端末機」か否か不明な点
本願発明は、「該ケーシングには、収納位置に収納された引出しパネルのディスプレイの画像表示面の一部を露出させるための小窓が設けられており、該小窓から露出する画像表示面の一部には、受信待ち受け状態で必要な最少限の情報が表示される」のに対し、引用発明ではそのようになっていない点。

(4)判断
上記相違点について検討する。
携帯可能な情報端末機において、無線で通信するよう構成し、携帯可能な情報端末機の内部に設けられたディスプレイの画像表示面の一部を露出するための小窓を設け、該小窓から露出する画像表示面の一部には、受信待ち受け状態で必要な最少限の情報を表示させることは、周知技術である(特開平11-249596号公報、特開2000-201208号公報)。
また、引用発明に、無線で通信する構成を適用することに、なんら阻害要因はない。
したがって、引用発明を「無線」情報端末機とし、その際に、「該ケーシングには、収納位置に収納された引出しパネルのディスプレイの画像表示面の一部を露出させるための小窓が設けられており、該小窓から露出する画像表示面の一部には、受信待ち受け状態で必要な最少限の情報が表示される」よう構成することは、当業者が容易になし得ることと認められる。

また、本願発明の構成によってもたらされる効果も、引用発明および周知技術から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。

(5)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-05-22 
結審通知日 2006-05-30 
審決日 2006-06-13 
出願番号 特願2000-284222(P2000-284222)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 勝広  
特許庁審判長 廣岡 浩平
特許庁審判官 宮下 誠
中木 努
発明の名称 無線情報端末機  
代理人 西岡 伸泰  

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