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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65C
管理番号 1141064
審判番号 不服2006-2065  
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2005-11-17 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-02-06 
確定日 2006-07-31 
事件の表示 特願2004-138729「ラベル剥離方法」拒絶査定不服審判事件〔平成17年11月17日出願公開、特開2005-320030〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成16年5月7日の出願であって、その請求項1及び2に係る発明は、平成17年9月12日付け手続補正書により補正された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「長さ方向に切れ目が形成された帯状の剥離紙に、長手方向に沿って複数のラベルが間欠的に一列に貼り付けられたラベル連続体を、前記剥離紙の切れ目に沿ってラベルが貼られた面を上にして谷折り状に曲げる曲げ工程と、
前記曲げ工程で谷折り状に曲げたラベル連続体を、剥離紙の切れ目を中心にして縦断面において略V字に窪んだ屈曲支点部材に当て、前記切れ目の両側の剥離紙をそれぞれラベルが貼られた側とは反対側に屈曲させて引っ張り、ラベルを谷折り状に反らせた状態で、ラベルを剥離紙から剥離する剥離工程とを備えたラベル剥離方法。」

2 引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用した本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開2002-46934号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに次の記載がある。
(a)「【発明の属する技術分野】
この発明は、帯状の剥離紙に貼付したラベルやクッション材等の粘着部品を剥離紙から剥離して供給する粘着部品の剥離装置及び供給装置、特に粘着部品を確実に剥離するとともに剥離の高速化に関するものである。」(段落番号【0001】)
(b)「…供給リール10には、図10(a)の平面図と(b)の断面図に示すように、中心線に沿ってスリット40を有し、粘着部品8が所定間隔で貼付された剥離紙9が巻き回されている。剥離機構部6には固定した剥離エッジ121を有する。剥離エッジ121は、図11(a)の平面図と(b)の先端側の正面図と(c)の側面図からなる構成図に示すように、粘着部品8を貼付した剥離紙9と接触する上面が平坦に形成され、先端部の中央部はV字状に切り欠かれ、V字状の両辺部にそれぞれナイフエッジに形成された第1エッジ122と第2エッジ123を有する。この剥離エッジ121の第1エッジ122の下流側には剥離紙回収機構部71を有し、第2エッジ123の下流側には剥離紙回収機構部72を有する。剥離紙回収機構部71,72にはそれぞれ伸帳機構部41と案内ローラ18と回収リール21を有する。伸張機構部41は例えばテンションローラなどからなり、粘着部品8を剥離した剥離紙9に対して常に適当な張力を加えて、剥離紙9が弛まないように調整している。」(段落番号【0040】)
(c)「上記のように構成した粘着部品の供給装置1において、剥離紙9に貼付された粘着部品8を剥離するときは、送りローラ20を回転して、図12(a)に示すように、剥離紙9のスリット40が剥離エッジ121の第1エッジ122と第2エッジ123の接続点と一致するように位置決めして粘着部品8を貼付した剥離紙9を送り出す。この送られた剥離紙9は剥離エッジ121の第1エッジ122と第2エッジ123で折り返されるとき、スリット40で分離され、分離した一方の剥離紙91は剥離紙回収機構部71で回収され、分離した他方の剥離紙92は剥離紙回収機構部72で回収される。この剥離エッジ121で剥離紙9を剥離紙91と剥離紙92に分離するときに、第1エッジ122と第2エッジ123が剥離エッジ121の中心線に接続点としてV字状に形成されているから、剥離エッジ121に送られた剥離紙9は第1エッジ122と第2エッジ123により中心線から外側にかけて順次折り返される。したがって粘着部品8は中心線の部分が最初に剥離紙9から剥離し、剥離している位置が順次左右の外側に移行して粘着部品8を確実に剥離することができる。」(段落番号【0041】)
以上の記載を総合すると、引用例には、
「長さ方向にスリット40が形成された帯状の剥離紙9に、長手方向に沿って複数の粘着部品8が間欠的に一列に貼り付けられ、剥離紙9のスリット40を、上面は平坦に形成され、先端の中央部をV字状に切り欠いた剥離エッジ121のV字状の両辺部に形成された第1エッジ122と第2エッジ123の接続点と一致するように位置決めして、剥離紙9を送り出し第1エッジ122及び第2エッジ123で折り返してスリット40で分離し、一方の剥離紙91を剥離紙回収機構部71で回収し、他方の剥離紙92を剥離紙回収機構部72で回収して、粘着部品8を剥離紙9から剥離する粘着部品の剥離方法。」の発明が記載されているものと認める。

3 対比
本願発明と引用例に記載された発明とを対比する。
後者の「スリット40」及び「粘着部品8」は、前者の「切れ目」及び「ラベル」に相当し、後者の「長さ方向にスリット40が形成された帯状の剥離紙9に、長手方向に沿って複数の粘着部品8が間欠的に一列に貼り付けられ」たものが、粘着部品連続体、すなわち前者でいう「ラベル連続体」を構成することは明らかである。
また、後者の「剥離エッジ121」は、剥離紙9を折り返す機能を有するものであるので、前者の「屈曲支点部材」に対応する。
そして、後者の「一方の剥離紙91及び他方の剥離紙92」は、前者の「切れ目の両側の剥離紙」に相当し、しかも、第1エッジ122及び第2エッジ123で折り返され、張力を加えて回収されている(上記摘示(b)参照)ことから、粘着部品が貼られた側とは反対側に屈曲させて引っ張っられているものと言える。
さらに、後者の「粘着部品8を剥離紙9から剥離する」とは、前者でいう「ラベルを剥離紙から剥離する剥離工程」に他ならない。
してみると、両者は、本願発明の表記にならえば、
「長さ方向に切れ目が形成された帯状の剥離紙に、長手方向に沿って複数のラベルが間欠的に一列に貼り付けられたラベル連続体を、屈曲支点部材に当て、前記切れ目の両側の剥離紙をそれぞれラベルが貼られた側とは反対側に屈曲させて引っ張り、ラベルを剥離紙から剥離する剥離工程とを備えたラベル剥離方法。」である点で一致し、次の点で相違している。
〈相違点〉
本願発明は、ラベル連続体を「前記剥離紙の切れ目に沿ってラベルが貼られた面を上にして谷折り状に曲げる曲げ工程」を備え、剥離工程に際し、「前記曲げ工程で谷折り状に曲げたラベル連続体を、剥離紙の切れ目を中心にして縦断面において略V字に窪んだ屈曲支点部材に当て、ラベルを谷折り状に反らせた状態で、ラベルを剥離紙から剥離する」としているのに対し、引用例に記載された発明は、ラベル連続体を谷折り状に曲げる曲げ工程を備えておらず、切れ目の両側の剥離紙をそれぞれラベルが貼られた側とは反対側に屈曲させて引っ張てはいるものの、剥離エッジの上面は平坦面で形成されているので、ラベルを谷折り状に反らせた状態で、ラベルを剥離紙から剥離するとはしていない点。

4 相違点の判断
剥離紙からのラベルの剥離を容易にするために、ラベルに反りを設けることは周知技術(一例として、特開2000-326940号公報、特開昭51-140600号公報参照)であり、そして、引用例に記載された発明においては、スリット(切れ目)が分離することで、粘着部品(ラベル)を剥離紙から剥離するものであるから、上記相違点における、ラベル連続体を「前記剥離紙の切れ目に沿ってラベルが貼られた面を上にして谷折り状に曲げる曲げ工程」を備えることは、当業者が容易に想到し得るものと認める。
また、引用例に記載された発明に上記周知技術を適用するに際し、ラベルの反りに合わせた屈曲支点部材を設けることは設計的事項であり、しかも、縦断面において略V字に窪んだ屈曲支点部材の構成も、上記周知技術として提示した特開昭51-140600号公報に示されており、そして、上記周知技術の適用の結果、ラベルを谷折り状に反らせた状態で、ラベルを剥離紙から剥離することは、当業者が予測し得るものと認める。
よって、上記相違点に係る事項は、前記周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得るものと認める。
そして、本願発明の効果は、引用例に記載された発明、及び前記周知技術から、当業者であれば予測できる範囲内のものであって格別なものとはいえない。

5 むすび
以上により、本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本願は、特許請求の範囲の他の請求項を検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2006-06-09 
結審通知日 2006-06-09 
審決日 2006-06-21 
出願番号 特願2004-138729(P2004-138729)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 白川 敬寛  
特許庁審判長 粟津 憲一
特許庁審判官 宮崎 敏長
溝渕 良一
発明の名称 ラベル剥離方法  
代理人 江原 省吾  
代理人 白石 吉之  
代理人 城村 邦彦  
代理人 熊野 剛  
代理人 山根 広昭  
代理人 田中 秀佳  

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