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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04L
管理番号 1141261
審判番号 不服2004-15323  
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-09-17 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-07-22 
確定日 2006-08-10 
事件の表示 平成10年特許願第 47092号「無線通信端末」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 9月17日出願公開、特開平11-252197〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成10年2月27日の出願であって、平成16年6月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月22日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年8月23日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成16年8月23日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年8月23日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の請求項1に係る発明
本件手続補正により、特許請求の範囲は、補正前の特許請求の範囲の、
「【請求項1】 データ通信機能を有する無線通信端末において、撮像素子を有する画像撮影アダプタを着脱可能な接続部と、該接続部に画像撮影アダプタが接続されると画像撮影アダプタが有する識別コードから画像撮影アダプタが接続されたことを判別し、画像撮影アダプタを用いた撮影動作に必要なアプリケーションソフトウェアを自動的に起動させる制御部と、を備えたことを特徴とする無線通信端末。
【請求項2】 前記画像撮影アダプタを用いた撮影動作に必要なアプリケーションソフトウェアを記憶するメモリ部を備え、前記制御部は、画像撮影アダプタを用いた撮影動作に必要なアプリケーションソフトウェアが前記メモリ部に記憶されているか否かを判別し、前記アプリケーションソフトウェアが記憶されていない場合はその旨を表示することを特徴とする請求項1記載の無線通信端末。
【請求項3】 前記制御部は、前記アプリケーションソフトウェアが自動的に起動した後、前記画像撮影アダプタが画像信号を前記接続部に出力するよう制御することを特徴とする請求項1記載の無線通信端末。
【請求項4】 無線信号を送信する無線部を備え、前記制御部は、前記画像撮影アダプタから入力された画像信号を前記無線部を介して送信すると同時に、前記入力された画像信号に基づき画像を表示部で表示することを特徴とする請求項1記載の無線通信端末。」から、
「【請求項1】 データ通信機能を有する無線通信端末において、撮像素子を有する画像撮影アダプタを着脱可能な接続部と、該接続部に画像撮影アダプタが接続されると画像撮影アダプタが有する識別コードから画像撮影アダプタが接続されたことを判別し、当該無線通信端末において前記画像撮影アダプタを使用可能状態にするアプリケーションソフトウェアを自動的に起動させる制御部と、を備えたことを特徴とする無線通信端末。
【請求項2】 前記画像撮影アダプタを使用可能状態にするアプリケーションソフトウェアを記憶するメモリ部を備え、前記制御部は、画像撮影アダプタを使用可能状態にするアプリケーションソフトウェアが前記メモリ部に記憶されているか否かを判別し、前記アプリケーションソフトウェアが記憶されていない場合はその旨を表示することを特徴とする請求項1記載の無線通信端末。
【請求項3】 前記制御部は、前記アプリケーションソフトウェアが自動的に起動した後、前記画像撮影アダプタが画像信号を前記接続部に出力するよう制御することを特徴とする請求項1記載の無線通信端末。
【請求項4】 無線信号を送信する無線部を備え、前記制御部は、前記画像撮影アダプタから入力された画像信号を前記無線部を介して送信すると同時に、前記入力された画像信号に基づき画像を表示部で表示することを特徴とする請求項1記載の無線通信端末。」
に補正された。
上記補正は、請求項1において、「画像撮影アダプタを用いた撮影動作に必要なアプリケーションソフトウェアを自動的に起動させる制御部」を「当該無線通信端末において前記画像撮影アダプタを使用可能状態にするアプリケーションソフトウェアを自動的に起動させる制御部」と限定し、請求項2において、「画像撮影アダプタを用いた撮影動作に必要なアプリケーションソフトウェア」を「画像撮影アダプタを使用可能状態にするアプリケーションソフトウェア」と限定するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件手続補正後の上記請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(2)引用発明
原審の拒絶の理由に引用された特開平9-321892号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
a.「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、データインタフェース(I/F)を介してデジタルカメラ等の外部装置を接続し、その外部装置の無線によるデータ通信を行なう携帯電話装置に関する。」(2頁2欄第4〜8行)

b.「【0031】システム制御部13は、この発明に係る外部装置20の操作プログラムに基づいて操作パネル10から外部装置20を操作する処理等の各種の処理を行なう。CPU14は、この携帯電話装置1の全体の制御を司る。外部装置制御部15は、コネクタ16を介して接続した外部装置20とのデータ,コマンドのやり取りを行なう。コネクタ16は、外部装置20のプラグを接続する器具であり、外部装置制御部15と共に外部装置20とデータ通信可能に接続するインタフェースの機能を果たす。」(4頁6欄第21〜30行)

c.「【0024】さらに、インタフェースに接続された外部装置の種類を判別して、その判別された種類に該当する内部メモリに格納された操作プログラムに基づいて携帯電話装置の操作パネルから外部装置を操作するようにすれば、外部装置を接続したときに、内部メモリからその接続した外部装置の種類に対応する操作プログラムを自動的に選択し、その操作プログラムに基づいて携帯電話装置の操作パネルからの外部装置の操作を可能にするので、使用者は外部装置を接続する度にその外部装置の操作プログラムを選択する作業を行なう必要が無く、外部装置の接続時の作業の操作性を向上させることができる。」(4頁5欄第7〜18行)

d.「【0090】したがって、外部装置20が接続されたときに、その外部装置20の種類に対応する操作プログラムをフラッシュメモリ17内から自動的に選択し、その操作プログラムによって操作パネル10からの入力操作に基づいて携帯電話装置1側から外部装置20を操作することができる。すなわち、携帯電話装置1では接続装置の種類を判別して、それぞれの種類に対応する操作プログラムを自動的に動作させることができる。」(10頁17欄第14〜21行)

上記摘記事項c.の「外部装置を接続する度に」と図1,5の記載によれば、コネクタは、デジタルカメラを接続ケーブルを介して着脱可能にするものといえる。

よって、上記摘記事項a.〜c.の記載と関連する図面の記載及びこの分野の技術常識を考慮すれば、携帯電話装置には、データのやりとりをしているからデータ通信機能があるといえ、デジタルカメラには撮像素子が備わっているから、引用例には、次の発明が記載されているものと認められる。(以下、「引用発明」という。)
「データ通信機能を有する携帯電話装置において、撮像素子を有するデジタルカメラを接続ケーブルを介して着脱可能なコネクタと、CPUと、を備えたことを特徴とする携帯電話装置。」

(3)対比
引用発明の「携帯電話装置」は、上記摘記事項a.の「無線によるデータ通信を行なう」等との記載からみて、本願補正発明の「無線通信端末」に相当し、引用発明の「コネクタ」、「CPU」は、本願補正発明の「接続部」、「制御部」に相当し、引用発明の「デジタルカメラ」と本願補正発明の「画像撮影アダプタ」は、ともに「画像撮影装置」である点で一致するから、両者は、
「データ通信機能を有する無線通信端末において、撮像素子を有する画像撮影装置を着脱可能な接続部と、制御部と、を備えたことを特徴とする無線通信端末。」
である点で一致し、次の点で相違する。

<相違点1>
上記「画像撮影装置」が、本願補正発明は「画像撮影アダプタ」であるのに対し、引用発明は「デジタルカメラ」であって「接続ケーブルを介」している点。

<相違点2>
上記「制御部」が、本願補正発明は、「該接続部に画像撮影アダプタが接続されると画像撮影アダプタが有する識別コードから画像撮影アダプタが接続されたことを判別し、当該無線通信端末において前記画像撮影アダプタを使用可能状態にするアプリケーションソフトウェアを自動的に起動させる」ものであるのに対し、引用発明は、そのように制御するか否か不明なものである点。

(4)判断
上記相違点1について検討する。
接続部に着脱可能な画像撮影アダプタは周知技術である(特開平6-276420号公報、特開平8-98076号公報、特開平9-130659号公報)から、引用発明の「デジタルカメラ」を「画像撮影アダプタ」とし接続ケーブルを介さない構成とすることは、当業者が容易になし得ることと認められる。

上記相違点2について検討する。
接続部に外部装置が接続されると、識別コードから接続されたことを判別し、使用可能状態にするアプリケーションソフトウェアを自動的に起動させることは、周知技術である(特開平6-176114号公報、特開平8-286925号公報、特開平8-98076号公報、特表平9-512369号公報)であり、また、上記摘記事項c.〜d.に記載されているように、引用例には、接続されると使用可能状態とすることが示唆されているから、上記周知技術を適用することになんら困難性はなく、しかも引用発明に上記周知技術を適用することに阻害要因もない。
したがって、引用発明に上記周知技術を適用し、上記相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易になし得ることと認められる。

また、本願補正発明の構成によってもたらされる効果も、引用発明,周知技術から当業者ならば容易に予測することができる程度のものであって、格別のものとはいえない。

したがって、本願補正発明は、引用発明,周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
よって、本件手続補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.補正却下の決定を踏まえた検討
(1)本願発明
平成16年8月23日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成14年8月5日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「データ通信機能を有する無線通信端末において、撮像素子を有する画像撮影アダプタを着脱可能な接続部と、該接続部に画像撮影アダプタが接続されると画像撮影アダプタが有する識別コードから画像撮影アダプタが接続されたことを判別し、画像撮影アダプタを用いた撮影動作に必要なアプリケーションソフトウェアを自動的に起動させる制御部と、を備えたことを特徴とする無線通信端末。」

(2)引用例
これに対して、原審の拒絶の理由に引用された引用例の記載事項は、上記2.(2)に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、上記2.で検討した本願補正発明における「当該無線通信端末において前記画像撮影アダプタを使用可能状態にするアプリケーションソフトウェアを自動的に起動させる制御部」を「画像撮影アダプタを用いた撮影動作に必要なアプリケーションソフトウェアを自動的に起動させる制御部」とし、限定を省いたものである。
そうすると、本願発明に限定を施したものに相当する本願補正発明が、上記2.(4)に記載したとおり、引用発明,周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである以上、本願発明も、同様に、引用発明,周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということができるし、また、上記摘記事項c.〜d.の記載によれば、接続部に画像撮影アダプタが接続されると画像撮影アダプタが有する識別コードから画像撮影アダプタが接続されたことを判別し、画像撮影アダプタを用いた撮影動作に必要なアプリケーションソフトウェアを自動的に起動させること自体、ほぼ自明的に導くことができるものということもできる。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明,周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-06-09 
結審通知日 2006-06-13 
審決日 2006-06-26 
出願番号 特願平10-47092
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04L)
P 1 8・ 121- Z (H04L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 矢頭 尚之  
特許庁審判長 山本 春樹
特許庁審判官 宮下 誠
畑中 博幸
発明の名称 無線通信端末  

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