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審決分類 審判 査定不服 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1141313
審判番号 不服2004-5015  
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-05-16 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-03-11 
確定日 2006-08-09 
事件の表示 平成11年特許願第351956号「パチンコ機の入賞装置」拒絶査定不服審判事件〔平成12年5月16日出願公開、特開2000-135329〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 本願は、平成4年12月14日に特許出願された特願平4-354115号の一部を平成11年12月10日に分割して出願された特願平11-351956号に係り、その請求項1に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
これに対して、当審は平成18年2月10日付で、「本願の請求項1に係る発明は、刊行物1ないし刊行物4に記載の発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。」及び「本願の明細書の特許請求の範囲の記載が不備であるから、本願は特許法第36条第5項に規定する要件を満たしていない。」旨の下記の内容の拒絶理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、請求人からは何らの応答もない。
そして、前記拒絶理由は妥当なものと認められるので、本願は、この拒絶理由によって拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。


「理 由
第1 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成16年4月8日付けの手続補正書に基づいて補正された全文補正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】 遊技盤前面に取り付けられ内部が視認可能な取付基板に横長の開口を設け、該開口に下端を枢支して開閉自在となし、かつ開いている時のみ打球を保持する球受部を裏面に設けた開閉扉を取着し、前記取付基板の裏側には開閉扉が閉じた時球受部から落下する打球を一時的に保留する球保持部と、前記球受部から球保持部へ導かれる打球を検出してその検出信号により遊技盤面に装着された可変表示装置を始動する検出スイッチとを設けたことを特徴とするパチンコ機の入賞装置。」(以下、これを「本願発明」という。)
第2 特許法第29条第2項違反について
1.引用刊行物
刊行物1:特開平4-347187号公報
刊行物2:実願昭62-56392号(実開昭63-163874号)のマイクロフイルム
刊行物3:特開平4-297286号公報
刊行物4:特開平4-166174号公報
2.当審の判断
(1)一致点・相違点
上記刊行物1〔特開平4-347187号公報〕には、「遊技盤1前面に取り付けられた取付基板29に開口部30を設け、該開口部30に下端を回動軸33で枢支して開閉自在となした開閉翼31、31を有する補助変動入賞装置7を取着し、前記取付基板29の裏側には補助変動入賞装置7の開閉翼31、31から落下する球を一時的に待機できる第1球通過口48と第2球通過口49の間の部分と、前記開閉翼31、31から落下する球を一時的に待機できる前記部分へ導かれる球を検出してその検出信号により遊技盤1面に装着された可変表示装置4を始動する特別領域通過検出器8とを設けたパチンコ機の補助変動入賞装置」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
(2)対比及び一致点・相違点
本願発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「開口部30」、「開閉翼31、31」、「落下する球を一時的に待機できる第1球通過口48と第2球通過口49の間の部分」、「遊技盤1面に装着された可変表示装置4」及び「特別領域通過検出器8」は、それぞれ本願発明の「開口」、「開閉扉」、「落下する打球を一時的に保留する球保持部」、「遊技盤面に装着された可変表示装置」及び「検出スイッチ」に対応する。
そうすると、両者は、次の相違点1及び相違点2の点で構成が相違し、その余は一致する。
相違点1:本願発明の入賞装置が、「取付基板に横長の開口を設け、該開口に下端を枢支して開閉自在となし、かつ開いている時のみ打球を保持する球受部を裏面に設けた開閉扉を取着し、前記取付基板の裏側には開閉扉が閉じた時打球が落下する球受部を設けた」のに対し、引用発明の補助変動入賞装置は、上記の構成ではない点
相違点2:本願発明が、「内部が視認可能な取付基板」を有するのに対し、引用発明の取付基板は、内部が視認可能でない点
(3)相違点についての検討
ア.相違点1について
取付基板に横長の開口を設け、該開口に下端を枢支して開閉自在となし、かつ開いている時のみ打球を保持する球受部を裏面に設けた開閉扉を取着し、前記取付基板の裏側には開閉扉が閉じた時球受部から落下する打球を検出する検出スイッチを設けた入賞装置は、上記刊行物2〔実願昭62-56392号(実開昭63-163874号)のマイクロフイルム〕に記載されているように、本願特許出願時の周知のものである。
そして、引用発明の補助変動入賞装置として、上記周知の開閉扉方式の入賞装置を採用することにより、本願発明のような「取付基板に横長の開口を設け、該開口に下端を枢支して開閉自在となし、かつ開いている時のみ打球を保持する球受部を裏面に設けた開閉扉を取着し、前記取付基板の裏側には開閉扉が閉じた時球受部から落下する打球を検出する検出スイッチを設けた入賞装置」の構成とすることは、当業者が格別の困難を伴うことなく、容易になし得ることである。
イ. 相違点2について
入賞装置に取り付けられる表面側の覆板を透明又は透視化することにより入賞装置の内部を視認可能とする技術は、上記刊行物3〔特開平4-297286号公報〕及び刊行物4〔特開平4-166174号公報〕に記載されているように、本願特許出願時の周知技術である。
そして、引用発明の取付基板に上記周知技術を適用することにより、本願発明のような「内部が視認可能な取付基板」の構成とすることは、当業者が格別の困難を要することなく、容易に想到できることである。
そして、本願発明の奏する効果には、上記刊行物1ないし刊行物4に記載の各発明及び周知技術が奏する効果以上の格別の効果を認めることができない。
(4)まとめ
したがって、本願の請求項1に係る発明は、上記刊行物1ないし刊行物4に記載の発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
第3 特許法第36条第5項違反について
1.本願の特許請求の範囲の記載が、次の(1)ないし(3)の点で不備であるので、特許法第36条第5項に規定する要件を満たしていない。
(1)特許請求の範囲の請求項1に記載された請求項1に係る発明において、球受部から球保持部へ導かれる打球を検出し、かつ、その検出信号により遊技盤面に装着された可変表示装置を始動する「検出スイッチ」は、「球受部」と「球保持部」の間に設置されているのであり、球受部から落下する打球を「検出スイッチ」で通過検出した後の打球は、ただひたすら下流に流れて行くだけのことであるから、通過検出後の打球を一時的に保留する球保持部は、不必要ではないか。つまり、「検出後の打球を一時的に保留する球保持部」の存在理由が不明である。
以上のことから、特許請求の範囲の請求項1の記載において、「開閉扉が閉じた時球受部から落下する打球を一時的に保留する球保持部」が取付基板の裏側に設けられている理由が、請求項1の記載からでは不明である。
したがって、請求項1に係る発明が明確でない。
(2)特許請求の範囲の請求項1の記載において、「開閉扉が閉じた時球受部から落下する打球を一時的に保留する球保持部」は、どのような技術手段により、打球を一時的に保留することができるのか、打球を一時的に保留するための技術手段が請求項1に記載されてなく、請求項1に係る発明の構成が不明である。
したがって、請求項1に係る発明が明確でない。
(3)特許請求の範囲の請求項1の記載において、「開いている時のみ打球を保持する球受部」は、どのような技術手段により、打球を保持することができるのか、打球を保持するための技術手段が請求項1に記載されてなく、請求項1に係る発明の構成が不明である。
したがって、請求項1に係る発明が明確でない。 」
 
審理終結日 2006-05-29 
結審通知日 2006-06-06 
審決日 2006-06-19 
出願番号 特願平11-351956
審決分類 P 1 8・ 534- WZ (A63F)
P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 澤田 真治  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 佐藤 昭喜
宮本 昭彦
発明の名称 パチンコ機の入賞装置  
代理人 伊藤 浩二  

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