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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1141392
審判番号 不服2005-25372  
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2005-04-14 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-12-28 
確定日 2006-08-10 
事件の表示 特願2004-373133「発光ダイオードランプ」拒絶査定不服審判事件〔平成17年 4月14日出願公開、特開2005-101660〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成5年3月22日に出願した平成5年特許願61883号の一部を平成16年12月24日に新たな特許出願としたものであって、原審において、平成17年12月2日付で拒絶査定がなされ、これに対し同年12月28日付で拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

2.本願発明
そして、その請求項に係る発明は、出願当初の明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された事項により特定されるものであると認められるところ、請求項1に係る発明は次のものである。
「【請求項1】青色発光ダイオードと黄色発光ダイオードを透光性樹脂で覆い、前記各発光ダイオードが発する青色光と黄色光を混色して白色光を得ることを特徴とする発光ダイオードランプ。」(以下、「本願発明」という。)

3.引用刊行物記載の発明
原査定の拒絶理由に引用したこの出願前公知の刊行物である、実願平1-27607号(実開平2-118959号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献」という。また、引用文献に記載された発明を「引用発明」という。)には、下記の事項が記載されている。

(ア)「(イ)産業上の利用分野
本考案は、発光色が異なる複数種のLEDペレットを一体的にモールドして各LEDペレットからの発光を混色させて多色発光させる多色発光LED装置に関する。」(2頁5行〜9行)

(イ)「LEDは白熱電球などに比べて信頼性が極めて高いことから、各種電子機器のパイロットランプを始めとして各分野において多用されている。一方、LEDの発光色としては、GaPやGaAlAsなどのGa系化合物半導体を用いた赤色と緑色、及びSiCを用いた青色の3色に大別される。そしてこれらの3色を組み合わせることによってフルカラーの発光装置が形成されることは原理的には良く知られているところである。」(2頁11行〜19行)

(ウ)「このような原理に基づいて赤、緑、青の3原色のLEDペレットを一体に組み込んでフルカラー発光を行わしめる際には樹脂モールドの手法が用いられるが、その樹脂として発光効率の点から透明材料を用いると原色のペレットそのものの色が直接見えてしまい、混色がうまく行われない。一方、混色の点からは不透明樹脂を用いるのが望ましいが、その不透明樹脂が光で減衰してしまって全体としての発光効率の低下を来す。」(3頁1行〜9行)

(エ)「第1図は本考案に係るLED装置を内部透視した上面図、第2図は同装置の内部透視した側面図を示しており、(1)は金属製のヘッダーで、その上面に赤色LEDペレット(2)、緑色LEDペレット(3)、青色LEDペレット(4)(4)が配置されている。・・・(6)は上記金属製ヘッダー(1)の上面に配置された各LED(2)(3)(4)ペレットを一体的にモールドする透光性の第1のモールド樹脂で、透明のエポキシ系樹脂からなり、透明樹脂に混入することによって光に対して拡散作用を為すSiO2の粉末を約20重量%混入している。」(4頁3行〜18行)

4.対比
本願発明と引用発明を対比する。

(a)引用文献の「LEDペレット」、「第1のモールド樹脂」が、それぞれ本願発明の「発光ダイオード」、「透光性樹脂」に相当することは明らかである。

(b)引用文献のLED装置は、3(イ)、(ウ)より、フルカラー発光を行うものであるから、白色光を得ることができることは明らかである。

したがって、両者は、
「複数の発光ダイオードを透光性樹脂で覆い、前記各発光ダイオードが発する光を混色して白色光を得る発光ダイオードランプ」である点で一致し、次の点で相違する。

相違点:
白色光を得るのに際し、本願発明は、青色と黄色の2色の発光ダイオードを用いているのに対し、引用発明では、赤色、緑色、青色の3色の発光ダイオードを用いている点。

5.判断
上記相違点につき検討すると、2色の発光ダイオードの光を混色して用いることは、従来周知であり(実願昭63-104155号(実開平2-26266号)のマイクロフィルムの8頁15行〜18行、実願昭47-148147号(実開昭49-103388号)のマイクロフィルムの2頁8行〜3頁12行参照)、また、青色光と黄色光から白色光を得ることができることは、技術常識にすぎないから(必要であれば、特開昭47-31888号公報、特開平3-29263号公報参照)、引用発明に当該周知技術を適用し、本願発明のようにすることは、当業者が容易に想到し得る程度の事項である。
しかも、本願発明によってもたらされる効果は、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る程度のものにすぎない。

6.むすび
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-05-30 
結審通知日 2006-06-06 
審決日 2006-06-26 
出願番号 特願2004-373133(P2004-373133)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土屋 知久  
特許庁審判長 平井 良憲
特許庁審判官 井上 博之
吉野 三寛
発明の名称 発光ダイオードランプ  
代理人 ▲角▼谷 浩  
代理人 ▲角▼谷 浩  

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