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審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2007800032 審決 特許
無効200680233 審決 特許

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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  A63F
管理番号 1142042
審判番号 無効2005-80305  
総通号数 82 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1992-05-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2005-10-27 
確定日 2006-06-12 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第2567515号発明「メダル投入装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 特許第2567515号の請求項1ないし4に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
(1)本件特許第2567515号の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項4に係る発明(以下、「本件特許発明1」ないし「本件特許発明4」といい、これらをまとめて「本件特許発明」という。)についての出願は、平成2年10月15日に出願され、平成8年10月3日にその出願の請求項1ないし請求項4に係る発明について特許の設定登録がされたものである。

(2)これに対して、請求人 黒田博道(以下、「請求人」という。)は、本件特許発明1および本件特許発明2は、甲第1号証および周知技術の単なる寄せ集めであり、本件特許発明3は、甲第1号証および甲第9号証並びに周知技術の単なる寄せ集めであり、本件特許発明4は、甲第1号証、甲第10号証または甲第11号証および周知技術を単に寄せ集めたものであり、かつ、本件特許発明が奏する作用効果も、それぞれが有している効果以上の効果を奏するものではないのであるから、本件特許発明は甲第1号証ないし甲第11号証に基づいて当業者が容易に発明できたものであり、したがって、本件特許発明は、特許法第29条第2項の規定に反してなされたと主張して、証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証(ただし、甲第12号証は本件特許発明の特許公報である。)を提出している。

(3)被請求人は、平成18年1月16日付で訂正請求書を提出して訂正を求めた。当該訂正の内容は、本件特許発明の明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正しようとするものである。
訂正事項は下記の訂正事項a〜訂正事項eのとおりである。

<訂正内容の概要>
・訂正事項a
特許請求の範囲の【請求項1】を次のとおり訂正する。
「一度に複数のメダルを投入することのできる大きなメダル投入口と、このメダル投入口から投入されたメダルを搬送する第1の搬送ベルトと、第1の搬送ベルトの搬送方向に沿って設けられ、メダルの外周面に当接して、搬送されるメダルを径方向に一列に並べる規制板と、第1の搬送ベルトの駆動軸と同方向に回転するとともに、第1の搬送ベルトとの隙間をメダルの厚さより広く、かつ2個のメダルの厚さよりも狭くなるように設けられ、重なりあったメダルを1個ずつに分離する分離ローラと、前記第1の搬送ベルトよりも早い速度で駆動され、前記第1の搬送ベルトと分離ローラとの隙間を通り抜けたメダルを搬送する、前記第1の搬送ベルトと搬送方向が同じである第2の搬送ベルトと、前記第2の搬送ベルトの上方に配置され、メダルの良否の判定を行う判定回路に接続されたセンサーとからなることを特徴とするゲームマシンのメダル投入装置。」
・訂正事項b
特許請求の範囲の【請求項2】を次のとおり訂正する。
「前記第1の搬送ベルト,第2の搬送ベルト及び分離ローラはモータで駆動され、前記規制板が前記第1,第2搬送ベルトの上面に設けられていることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載のゲームマシンのメダル投入装置。」

・訂正事項c
特許請求の範囲の【請求項4】を次のとおり訂正し、【請求項3】とする。
「前記分離ローラに軸方向に沿ってメダルの直径より狭い間隔で溝を設けるとともに、分離ローラの上方に前記溝に嵌入する突起を形成した仕切り板を設けたことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載のゲームマシンのメダル投入装置。」

・訂正事項d
特許請求の範囲の【請求項3】を次のとおり独立項に改めて【請求項4】とする。
「一度に複数のメダルを投入することのできる大きなメダル投入口と、このメダル投入口から投入されたメダルを搬送する第1の搬送ベルトと、第1の搬送ベルトの搬送方向に沿って設けられ、メダルの外周面に当接して、搬送されるメダルを径方向に一列に並べる規制板と、第1の搬送ベルトの駆動軸と同方向に回転するとともに、第1の搬送ベルトとの隙間をメダルの厚さより広く、かつ2個のメダルの厚さよりも狭くなるように設けられ、重なりあったメダルを1個ずつに分離する分離ローラと、前記第1の搬送ベルトよりも早い速度で駆動され、前記第1の搬送ベルトと分離ローラとの隙間を通り抜けたメダルを搬送する第2の搬送ベルトとからなり、前記規制板をメダルの搬送方向に斜めに配置するとともに、前記第1の搬送ベルトの載置面を傾け、メダルが規制板に寄るようにしたことを特徴とするゲームマシンのメダル投入装置。」

・訂正事項e
明細書第4頁6行目〜第5頁10行目を以下のとおり訂正する。
「 [課題を解決するための手段]
上記目的を達成するために、請求項(1)の発明は一度に複数のメダルを投入することのできる大きなメダル投入口と、このメダル投入口から投入されたメダルを搬送する第1の搬送ベルトと、第1の搬送ベルトの搬送方向に沿って設けられ、メダルの外周面に当接して、搬送されるメダルを径方向に一列に並べる規制板と、第1の搬送ベルトの駆動軸と同方向に回転するとともに、第1の搬送ベルトとの隙間をメダルの厚さより広く、かつ2個のメダルの厚さよりも狭くなるように設けられ、重なりあったメダルを1個ずつに分離する分離ローラと、前記第1の搬送ベルトよりも早い速度で駆動され、前記第1の搬送ベルトと分離ローラとの隙間を通り抜けたメダルを搬送する、前記第1の搬送ベルトと搬送方向が同じである第2の搬送ベルトと、前記第2の搬送ベルトの上方に配置され、メダルの良否の判定を行う判定回路に接続されたセンサーとを設けたものである。
請求項(2)の発明では、モータで前記第1の搬送ベルト,第2の搬送ベルト及び分離ローラを駆動するようにしており、規制板が前記第1,第2搬送ベルトの上面に設けられている。また請求項(3)の発明では前記分離ローラに軸方向に沿ってメダルの直径より狭い間隔で溝を設けるとともに、分離ローラの上方に前記溝に嵌入する突起を形成した仕切り板を設けたものである。
請求項(4)の発明は一度に複数のメダルを投入することのできる大きなメダル投入口と、このメダル投入口から投入されたメダルを搬送する第1の搬送ベルトと、第1の搬送ベルトの搬送方向に沿って設けられ、メダルの外周面に当接して、搬送されるメダルを径方向に一列に並べる規制板と、第1の搬送ベルトの駆動軸と同方向に回転するとともに、第1の搬送ベルトとの隙間をメダルの厚さより広く、かつ2個のメダルの厚さよりも狭くなるように設けられ、重なりあったメダルを1個ずつに分離する分離ローラと、前記第1の搬送ベルトよりも早い速度で駆動され、前記第1の搬送ベルトと分離ローラとの隙間を通り抜けたメダルを搬送する第2の搬送ベルトとからなり、前記規制板をメダルの搬送方向に斜めに配置するとともに、前記第1の搬送ベルトの載置面を傾け、メダルが規制板方向に寄るようにしたものである。」

・訂正事項f
明細書第5頁11行目〜第6頁4行目を以下のとおり訂正する。
「 [作用]
上記構成によれば、複数のメダルはメダル投入口に一度の投入することができる。また、第1の搬送ベルト上を搬送される重なりあったメダルは、分離ローラにより一枚ずつにされて、この下側を通過する。そして、第2の搬送ベルトで搬送されるメダルは、後続のメダルとの間隔が拡げられ、その上でメダルの良否が判定される。
更に、請求項(2)の構成によれば、第1、第2の搬送ベルトと分離ローラとの駆動制御を簡単に行うことができるとともに、メダルがセンサーの真下を通過させるようにできる。請求項(3)の構成では、仕切り板の段差は分離ローラと仕切り板との隙間にメダルが詰まるのを阻止する。
また、請求項(4)の構成によれば、複数のメダルはメダル投入口に一度に投入することができる。また、第1の搬送ベルト上を搬送される重なりあったメダルは、分離ローラにより1枚ずつにされて、この下側を通過する。規制板は搬送路を狭めることなく、メダルを分離ローラの下側にガイドする。」

・訂正事項g
明細書第18頁16行目〜第20頁7行目を以下のとおり訂正する。
「 [発明の効果]
以上、詳細に説明したように、本発明のメダル投入装置では、一度に複数のメダルを投入することのできる大きなメダル投入口と、このメダル投入口から投入されたメダルを搬送する第1の搬送ベルトと、第1の搬送ベルトの搬送方向に沿って設けられ、メダルの外周面に当接して搬送されるメダルを径方向に一列に並べる規制板と、第1の搬送ベルトの駆動軸と同方向に回転するとともに、第1の搬送ベルトとの隙間をメダルの厚さより広く、かつ2個のメダルの厚さよりも狭くなるように設けられ、重なりあったメダルを1個ずつに分離する分離ローラと、前記第1の搬送ベルトよりも早い速度で駆動され、前記第1の搬送ベルトと分離ローラとの隙間を通り抜けたメダルを搬送する、前記第1の搬送ベルトと搬送方向が同じである第2の搬送ベルトと、前記第2の搬送ベルトの上方に配置され、メダルの良否の判定を行う判定回路に接続されたセンサーとを設けたから、一度に投入された複数のメダルを順次送り出せるメダル投入装置を小型化することができる。
更に、請求項(2)の発明では、モータで前記第1の搬送ベルト,第2の搬送ベルト及び分離ローラを駆動するから、その駆動制御を簡単に行うことができるとともに、規制板がガイドしてメダルがセンサーの真下を通過させるようにできる。請求項(3)の発明では前記分離ローラに軸方向に沿ってメダルの直径より狭い間隔で溝を設けるとともに、分離ローラの上方に前記溝に嵌入する突起を形成した仕切り板を設けたから、分離ローラの仕切り板との間にメダルがつまることを防止することができる。
また、請求項(4)の発明では、前記規制板をメダルの搬送方向に斜めに配置するとともに、前記第1の搬送ベルトの載置面を傾け、メダルが規制板方向に寄るようにしたから、規制板は搬送路の幅を狭めることなく、メダルを分離ローラの下にガイドできるので、搬送されるメダルが規制板に引っ掛かるのを防止することができる。」

2.訂正の可否に対する判断
(1)上記訂正事項a〜訂正事項gについて検討する。
・訂正事項aについて
1)第1図及び第4〜8図には、図面の各搬送ベルトの部分に搬送方向として矢印を付けるなどして、第1の搬送ベルトと第2の搬送ベルトが搬送方向を同じくして直列に配置されていることが明示されており、また、メダルの搬送機能からみても第1の搬送ベルトと第2の搬送ベルトの搬送方向は同じであると解することができるから、「第1の搬送ベルトと搬送方向が同じである第2の搬送ベルト」と訂正する訂正は、第2の搬送ベルトを第1の搬送ベルトと搬送方向が同じであると限定するものであり、第2の搬送ベルトを下位概念化するものであるから、特許請求の範囲の減縮に当たる。

2)また、願書に添付された明細書の第11頁7〜9行目および16〜18行目並びに第1図及び第4〜8図において、第2の搬送ベルトの上方にメダルを検出する磁気センサーが配置されており、かつ、その磁気センサーが判定回路に接続されていること、同じく第11頁18行目〜第12頁4行目の「この判定回路58は検出電流をデジタル信号に変換し、これをROM59に記録されたモデル信号と比較する。デジタル信号と同一のとき、判定回路58はマイコン43に良信号を出力し、またデジタル信号がモデル信号と異なるときには、不良信号を出力する。」の記載から、判定回路がメダルの良否を判定するものであることは明らかであること、及び第12頁4〜6行目の「メダルを検出するセンサーが磁気センサーに限らないこと」なる記載から、訂正事項aの「第2の搬送ベルトの上方に配置され、メダルの良否の判定を行う判定回路に接続されたセンサー」を追加する訂正は、願書に添付された明細書又は図面に記載された範囲においてなされたものであり、メダルの検出を行うセンサーの構成を請求項1に直列的に付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮に当たる。
なお、請求人は、「訂正前の発明の目的、作用からみて、訂正事項aの訂正は実質上特許請求の範囲の拡張または変更に相当する訂正である」と主張するが、本件特許発明の「メダルを円滑に送り出す」という目的をメダル投入装置において達成するためには、単なるメダルのベルトによる搬送だけで不十分であることは明らかで、メダルの良否の判定も常識的に含まれると解されるので、この主張は採用できない。
さらに、請求人は、「明細書に記載されているセンサーは磁気センサーのみであり、また、明細書に記載された反射型ホトセンサを用いてメダルの正偽を判断する手法が記載されていない、かつ、搬送ベルト上を位置がずれた状態で移動するメダルの正偽を判断することは少なくとも出願時の技術として存在していない」ことを理由に、本件訂正発明1においてセンサーを付加する訂正は、全てのセンサーを権利に含むような訂正を含むのであるから却下されるべきと主張している。しかしながら、請求人が提出した甲第1号証、甲第9号証(2頁20行〜3頁6行参照)や参考文献2にフォトセンサーを用いた硬貨鑑別装置が示されているように、出願時にフォトセンサーを用いてベルト上を移動する硬貨の正偽を判定する技術が存在していたことは明らかであり、また、常識的に硬貨の正偽を判定するフォトセンサーを搬送ベルトに設ける以上、センサーの機能である硬貨の正偽を検出できるような位置に取り付けることが前提となっていることは当然というべきことである。
そうすると、センサーは明細書に記載されているように磁気センサだけでなく反射型ホトセンサを含むことができ、また、出願時に反射型ホトセンサを用いてメダルの正偽を判断することは可能であり、かつ、反射型ホトセンサを用いて、搬送ベルト上を位置がずれない状態で移動するメダルの正偽を判断する技術は存在していたということができる。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。

3)明細書の第2頁13〜15行目の「[産業上の利用分野] 本発明はゲームマシンのメダル投入装置に関するものである」の記載から、訂正事項aの「ゲームマシンのメダル投入装置。」なる訂正は、願書に添付された明細書又は図面に記載された範囲においてなされたものであり、メダル投入装置をゲームマシンに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮に当たる。

以上の1)〜3)のとおりであるので、訂正事項aは、願書に添付された明細書又は図面に記載された範囲において訂正されたものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

・訂正事項bについて
1)訂正事項bの「規制板が第1,第2搬送ベルトの上面に設けられている」なる構成を付加する訂正は、願書に添付された明細書第8頁14行〜17行目の「この第1,第2搬送ベルト30,31の上面には、平行な一対の規制板32側が搬送方向に対して斜めに設けられている。」なる記載、同第15頁13行〜18行目の「第1搬送ベルト30の傾きで、メダル16がスライドしなくても、規制板32が搬送方向に対して斜めに設けられているから、分離ローラ47の下側に送られるまでに、その外周面を規制板32に当接するから、メダル16は規制板に32によりガイドされる。」なる記載、同第16頁18行〜第17頁1行目の「第2の搬送ベルト31に搬送されるメダル16は、第2搬送ベルト31の傾きと規制板32により磁気センサー55の真下を通過するようになる。」なる記載から、願書に添付された明細書又は図面に記載された事項の範囲においてされたものであり、規制板の位置を第1の搬送ベルトと第2の搬送ベルトに亘って設けることにより限定し、規制板を下位概念化したものである。

2)訂正事項bの「メダル投入装置をゲームマシーンのメダル投入装置」と限定する訂正は、引用する請求項1の減縮に伴い、請求項2の末尾を訂正された請求項1の末尾に整合させたものである。

以上の1)2)のとおりであるから、訂正事項bは、願書に添付された明細書又は図面に記載された範囲において訂正されたものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

・訂正事項cについて
訂正事項cの訂正は、訂正前の請求項4を訂正後の請求項3に訂正するについて、引用する請求項1の減縮に伴い、請求項の末尾を訂正された請求項1の末尾に整合させたものであるから、訂正事項cは、特許請求の範囲の減縮を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

・訂正事項dについて
訂正事項dは、訂正前の請求項3の「メダル投入装置」を下位概念の「ゲームマシンのメダル投入装置」と限定したものであり、また、引用する請求項1の訂正に伴い、もとの請求項のままにするために従属請求項である請求項3から、独立請求項である請求項4に書き改めたものである。
したがって、訂正事項dは、願書に添付された明細書又は図面に記載された範囲において訂正されたものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

・訂正事項e〜訂正事項gについて
訂正事項e〜訂正事項gは、訂正事項a〜訂正事項dからなる特許請求の範囲の訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と、発明の詳細な説明の課題を解決するための手段、作用及び発明の効果の項の記載との整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、発明の詳細な説明の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

以上のとおり、訂正事項a〜訂正事項gは、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)したがって、平成18年1月16日付の訂正は、平成6年改正前特許法第134条第2項ただし書きに適合し、特許法第134条の2第5項において読み替えて準用する平成6年改正前特許法第126条第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.本件訂正発明に対する判断
本件訂正発明は、平成18年1月16日付の訂正請求書により訂正された特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】 一度に複数のメダルを投入することのできる大きなメダル投入口と、このメダル投入口から投入されたメダルを搬送する第1の搬送ベルトと、第1の搬送ベルトの搬送方向に沿って設けられ、メダルの外周面に当接して、搬送されるメダルを径方向に一列に並べる規制板と、第1の搬送ベルトの駆動軸と同方向に回転するとともに、第1の搬送ベルトとの隙間をメダルの厚さより広く、かつ2個のメダルの厚さよりも狭くなるように設けられ、重なりあったメダルを1個ずつに分離する分離ローラと、前記第1の搬送ベルトよりも早い速度で駆動され、前記第1の搬送ベルトと分離ローラとの隙間を通り抜けたメダルを搬送する、前記第1の搬送ベルトと搬送方向が同じである第2の搬送ベルトと、前記第2の搬送ベルトの上方に配置され、メダルの良否の判定を行う判定回路に接続されたセンサーとからなることを特徴とするゲームマシンのメダル投入装置。」(以下、「本件訂正発明1」という。)

「【請求項2】前記第1の搬送ベルト,第2の搬送ベルト及び分離ローラはモータで駆動され、前記規制板が前記第1,第2搬送ベルトの上面に設けられていることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載のゲームマシンのメダル投入装置。」(以下、「本件訂正発明2」という。)

「【請求項3】前記分離ローラに軸方向に沿ってメダルの直径より狭い間隔で溝を設けるとともに、分離ローラの上方に前記溝に嵌入する突起を形成した仕切り板を設けたことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載のゲームマシンのメダル投入装置。」(以下、「本件訂正発明3」という。)

「【請求項4】一度に複数のメダルを投入することのできる大きなメダル投入口と、このメダル投入口から投入されたメダルを搬送する第1の搬送ベルトと、第1の搬送ベルトの搬送方向に沿って設けられ、メダルの外周面に当接して、搬送されるメダルを径方向に一列に並べる規制板と、第1の搬送ベルトの駆動軸と同方向に回転するとともに、第1の搬送ベルトとの隙間をメダルの厚さより広く、かつ2個のメダルの厚さよりも狭くなるように設けられ、重なりあったメダルを1個ずつに分離する分離ローラと、前記第1の搬送ベルトよりも早い速度で駆動され、前記第1の搬送ベルトと分離ローラとの隙間を通り抜けたメダルを搬送する第2の搬送ベルトとからなり、前記規制板をメダルの搬送方向に斜めに配置するとともに、前記第1の搬送ベルトの載置面を傾け、メダルが規制板方向に寄るようにしたことを特徴とするゲームマシンのメダル投入装置。」
(以下、「本件訂正発明4」といい、本件訂正発明1〜本件訂正発明4をまとめて「本件訂正発明」という。)

(2)引用例
そして、請求人の提出した甲第1号証〜甲第11号証には下記の点が記載されている。

1)甲第1号証の記載
甲第1号証の実願昭61-9752号(実開昭62-121672号)のマイクロフイルムには、以下の点が記載されている。

・記載事項1
「本考案は、無秩序な姿勢で貯留されている複数枚の多量の硬貨を1枚ずつ送り出す硬貨送り出し装置に関する。」(2頁2行〜4行)

・記載事項2
「この第1搬送ベルトの硬貨送り出し側の端部付近上部に位置し第1搬送ベルトとの間に硬貨厚み3枚分程度の間隔をおいて設けられこの第1搬送ベルトによる硬貨の送り出し量を規制する規制板と、」(3頁10行〜15行)

・記載事項3
「この試作実験装置によると、第1搬送ベルトと規制板を通過した硬貨については、第2保留部において硬貨が一枚ずつに分離されて送り出される」(4頁5行〜8行)

・記載事項4
「1は硬貨送り出し装置の機枠で、この機枠1は、一側に配置された枠板1aとこの枠板1aに対向して他側の上下部に配置された枠板1b,1cとを有し、この機枠1には、上面に開口して硬貨Cを受入れる受入部2が設けられているとともに内部に硬貨Cを処理する処理部3が設けられ、そして、この機枠1の処理部3は、水平方向の一方の硬貨処理方向(第1図左右方向)の長さを長尺とし、他方の硬貨規制方向(第1図紙面表裏方向、第2図左右方向)の長さを、上端部側すなわち後述の第1保留部5が処理可能とする金種の径より大きくその径の1.5〜2倍程度の寸法に構成され、下端部側すなわち後述の第2保留部13が処理可能とする金種の最大径よりやや大なる寸法に構成されている。なお、受入部2の上部には、受け皿が配置されており、この硬貨送り出し装置が設置される硬貨処理機に投入された硬貨Cをこの受け皿上に一旦保留し、その受け皿の放出動作により受入部2に硬貨Cを放出するようになっている。
上記機枠1の上部側には受入部2に臨んで第1保留部5が設けられている。この第1保留部5は、硬貨処理方向に対する幅方向両側面を枠板1a,1bで構成し、硬貨処理方向の両端を側板6aと側板6bおよび第1逆転ローラ7とで構成し、底面を第1搬送ベルト8で構成している。
第1搬送ベルト8は、後述するモータM1で駆動される駆動プーリ9aと従動プーリ9bとに硬貨処理方向に沿って架け渡され、第1図時計廻り方向に正転駆動されるとともに反時計廻り方向に逆転駆動されるようになっており、通常、この第1搬送ベルト8上に受入れられた硬貨Cを上記第1逆転ローラ7方向に導出して端部から放出する。」(6頁17行〜8頁8行)

・記載事項5
「この第2搬送ベルト14の送出方向の一端部上方に、第2搬送ベルト14の上面から所定間隔をもって第2逆転ローラ16が配置され、この第2逆転ローラ16は、第2搬送ベルト14の上面の搬送方向に対してその外周面が逆方向(第1図反時計廻り方向)に回転駆動され、第2搬送ベルト14により2枚以上重なって送られて来る硬貨Cの重なっている硬貨Cのみを押し戻し、1枚のみの硬貨Cを第2搬送ベルト14と第2逆転ローラ16との間を通過させて、第2搬送ベルト14の端部から1枚ずつ放出する。」(10頁18〜11頁8行)

・記載事項6
「なお、上記第2逆転ローラ16および放出ローラ22は、第2搬送ベルト14を駆動するモータM2によって駆動されるが、第2逆転ローラ16は第1逆転ローラ7と同様にワンウェイクラッチ16bを介して回転軸16aに接続されているので、モータM2の逆転時には回転しないようになっている。
また、放出ローラ22の周速は第2搬送ベルト14の搬送速度よりも速く構成され、この放出ローラ22によって第2搬送ベルト14にて搬送されてくる硬貨Cを1枚ずつ間隔を開けた状態で放出するようになっている。」(12頁14行〜13頁4行)

・記載事項7
「上記第2保留部13の放出口としての放出ローラ22とガイド板21間から放出される硬貨Cは、誘導枠31を通じて導出ベルト32上に放出される。
この導出枠31は、第1図に示すように、放出ローラ22とガイド板21の傾斜面21aに挟着されて硬貨Cが斜め上方へ送り出される際の硬貨先端を水平状態にするガイド面31aと、このガイド面31aにより水平にされてガイド板21の水平面21bに沿うとともに放出ローラ22の放出力により水平姿勢で第1図左方へ移動しようとする硬貨Cを導出ベルト32の移動方向(第3図上方)へ誘導する円弧形状の誘導面31b(第3図に示す)とを備えており、放出される硬貨Cをスムーズに導出ベルト32上へ移す役目をする。」(13頁5行〜18行)

・記載事項8
「このCPU41には、第1搬送ベルト8を正逆方向に回転駆動するモータM1の制御を行なうモータM1用の駆動制御回路44と、第2搬送ベルト14を回転駆動するモータM2の制御を行なうモータM2用の駆動制御回路45とがそれぞれ接続されているとともに、各フォトセンサPSa〜PSdが接続されてこの各フォトセンサPSa〜PSdからの検知信号がCPU41に入力され、また、第1ないし第6タイマー(図示せず)を有している。」(15頁6〜14行)

2)甲第2号証の記載
甲第2号証の特開昭60-106712号公報には、以下の点が記載されている。

・記載事項9
「上流側搬送路10のローラコンベア11上にあるタイルは、ローラ11a,11b,11cの駆動・停止動作と仕切ストッパ15の開閉動作によつて搬送路の幅方向に配された1群のタイル毎に中継コンベア12へ移送され、低速ベルト13を経て高速ベルト14に乗り移ると後行のタイル群との間の距離を大きく引き離す如く搬送される。」(4頁左上欄2〜9行)

3)甲第3号証の記載
甲第3号証の特開昭58-148114号公報には、以下の点が記載されている。

・記載事項10
「次に、(18)は案内受板(15)に続いて傾斜配設され、ベルト(11)とは反対側の第2のベルトで、1対のベルト車(19),(20)に掛けられている。ベルト車(19)は減速電動機(21)に連結されていてベルト(18)を矢印Cのように走行させるが、ベルト(18)の速度はベルト(11)の速度より所定の差だけ早くしてある。」(2頁左下欄11〜16行)

・記載事項11
「以上のように、この発明によれば、部品整列供給装置から整列され連続して出てくる電子部品を、第1の走行ベルトと対応する第1の案内受板とで挟み整列姿勢で連続して送り、続いて配設され第1のベルトより速度の早い第2の走行ベルトと対応する第2の案内受板とで、第1の走行ベルト側からの各電子部品を挟み所定の間隔をあけて整列状態で送るようにしたので、確実に所定間隔にして送ることができ作業性が向上れ、分離間隔が容易に調整でき、各種の電子部品に対し共用される。」(3頁左上欄2行〜11行)

4)甲第4号証の記載
甲第4号証の特開昭56-33788号公報には、以下の点が記載されている。

・記載事項12
「この発明は上記の点に鑑みてなされたもので、硬貨の送りベルトを2段とし、第2段目の搬送速度を第1段目より速くして、硬貨の通路上を搬送される各硬貨間の間隔をあけると共に、無接触センサによって硬貨を感知する毎に電気信号を発生させ、」(2頁左上欄12行〜17行)

・記載事項13
「21は硬貨Cの通過を例えば光電的又は電磁的に検知して電気信号を発生する無接触センサ、」(2頁左下欄20行〜右下欄1行)

5)甲第5号証の記載
甲第5号証の特開昭64-8122号公報には、以下の点が記載されている。

・記載事項14
「第3図に示すように、低速コンベア2によって送られてきた移送物品3が第2案内子13上に前端縁を載せたとき、この移送物品3の後端縁は未だ低速コンベア1のベルト2上にあるので、この移送物品3は低速での前進を続ける。そして、第4図に示すように移送物品3の前端縁が高速コンベア6上に達したとき、センサ17から送出された制御信号によって第2案内子13が下降するので、移送物品3は第1案内子10を支点にして前低後高の姿勢をとり、低速コンベア1とは無縁になる。そして、前端縁を高速コンベア6のベルト7に当接させた移送物品3は高速で前進し、高速コンベア6上に完全に乗り移る。」(2頁右下欄13行〜3頁左上欄5行)

6)甲第6号証の記載
甲第6号証の実願昭58-190244号(実開昭60-96010号)のマイクロフイルムには、以下の点が記載されている。

・記載事項15
「この従来装置5は、速度の異なる二種の搬送ベルト6,7を直線状に前後連続して配置したものであり、速度の遅い搬送ベルト6から速度の早い搬送ベルト7へタイル2を移載することで、搬送ベルト7上の各タイル2間に所定の間隔を形成するようにしている。」(3頁3行〜8行)

7)甲第7号証の記載
甲第7号証の特開昭61-263514号公報には、以下の点が記載されている。

・記載事項16
「被搬送物12が通り過ぎるとセンサ-10でこれを検出してストッパー9を作動させるものである。」(2頁左下欄16行〜18行)

・記載事項17
「以上のような実施例において、作業ステーション部及びバッファ部の搬送系のベルトスピードを前者を後者に比べて高速にすることにより、バッファ部から流れ出した被搬送物はバッファ部ベルト7から作業ステーション部ベルト8に乗り移る時に後続の被搬送物との間にベルトスピードの差によるとぎれを生ずる。」(2頁右下欄1行〜7行)

8)甲第8号証の記載
甲第8号証の特開平1-108911号公報には、以下の点が記載されている。

・記載事項18
「第1ベルトコンベヤ3の搬送速度よりも第2ベルトコンベヤ4の搬送速度が大きいので、第1ベルトコンベヤ3上に連接配置された複数個の育苗箱1が順次第2ベルトコンベヤ4上に移ると、後続の育苗箱1との間に常に上記両搬送速度の差だけ隙間dが出来て、そのため育苗箱位置センサー6により育苗箱1の前端1a位置を検知することが容易となる。」(2頁左上欄6行〜13行)

9)甲第9号証の記載
甲第9号証の実願昭60-66338号(実開昭61-185171号)のマイクロフイルムには、以下の点が記載されている。

・記載事項19
「そこで、第6図に示すように、ベルトAを傾斜状態に設けるとともに、一方の案内壁Bに沿って硬貨Cの周縁部を転動させながらベルトAの幅方向(第5図に矢印で示す)への位置決めをすることが考えられるが、」(3頁11行〜15行)

・記載事項20
「なお、硬貨Cを位置決めしかつ一枚ずつ送るその他の手段として、硬貨Cの通路の幅を硬貨一枚分より若干大きい程度に設定する方式、あるいはエンドレスベルト9の幅方向端部に沿って案内面を設けて該案内面に硬貨Cの周縁部を接触させながら案内する方式を採用するようにしてもよい。」(7頁16行〜8頁1行)

・記載事項21
「分配通路29の入り口に配設された金種判別センサ34(例えば、磁気特性の差異又は外径差により金種を判別するセンサ)の判別結果に応じて・・・」(11頁1行〜4行)

10)甲第10号証の記載
甲第10号証の実願昭58-85195号(実開昭59-192777号)のマイクロフイルムには、以下の点が記載されている。

・記載事項22
「硬貨投入口2より投入された硬貨1は、図の点線に沿って落ち、電子検銭装置3を通過し、硬貨の透磁率、寸法、質量等によって種類、及び個数が検出される。」(3頁19行〜4頁2行)

・記載事項23
「硬貨は、ゴムベルトコンベア25上に落ち、矢印で示されるように同方向に回転しているローラ7、8の方に運ばれる。ローラ7、8は弾性材料で作られている。ローラ7と8の間には、約硬貨の厚さの隙間23があいており、硬貨は、1枚づつその隙間を通過する。返しローラ7は、図示の如く、凹所22を有し、その凹所に嵌入するように、ホッパの隔壁には、出ている舌部22を有する。返しローラ7は、送りローラ8と同方向の回転をしており、一枚以上の硬貨が運ばれてくると、それをはね返し、硬貨は1枚づつ、ローラ間隙間23を通るようにする。
又、ローラ凹所22と壁舌部21があるために、硬貨が返しローラ7の上部隙間を通過することは不可能にされる。」(4頁13行〜5頁8行)

11)甲第11号証の記載
甲第11号証の実願昭59-146413号(実開昭61-65576号)のマイクロフイルムには、以下の点が記載されている。

・記載事項24
「4は整列回転ローラで、回転方向の円周上に複数の切欠部5を無端ベルト1と平行に成形し、無端ベルト1の表面から硬貨20の厚みに相当する間隙3を有して、無端ベルト1の巾方向上方に、無端ベルト1と逆方向に回転する様に配設されており、整列回転ローラ4の中央に突起片6を有したカバー7を取り付ける際の溝8が設けられており、上記溝8に突起片6を挿着し、カバー7を整列回転ローラ4に冠着する。」(4頁14行〜5頁2行)

12)参考文献1の記載
参考文献1の特開昭62-245495号公報には、以下の点が記載されている。

・記載事項25
「・・・この硬貨規制レバー3によって、搬送されてくる硬貨は搬送方向左側の摺動面2に沿って搬送されるようになる。」(2頁右下欄16行〜3頁左上欄2行)

・記載事項26
「また、搬送ベルト5後端部付近には硬貨センサ7が・・・配列されている。この硬貨センサは磁気センサであり、付近の透磁率の微少な変化を検知することができるものである。」(3頁左上欄8行〜12行)

13)参考文献2の記載
参考文献2の特開平1-236390号公報には、以下の点が記載されている。

・記載事項27
「このとき、ベルト2よりベルト19の搬送速度が上回るため、・・・、鑑別部21において、発光部22より放射される直線光は、・・・硬貨表面にて反射して受光部23に達する。・・・受光部23ではこれら反射光の・・・に比較し、硬貨5の真偽、正損、金種等を判定する。」(4頁右上欄6行〜左下欄10行)

(3)対比・判断
そこで、本件訂正発明と上記各甲号証に記載されたものとを対比する。
1)本件訂正発明1について
ア)甲第1号証に記載された発明
上記(2)の1)の甲第1号証の記載及び第1図を参酌すると、甲第1号証には以下の発明が記載されていると認められる。
「一度に複数の硬貨Cを投入することのできる受入部2と、この受入部2から投入された硬貨Cを搬送する第1搬送ベルト8と、第1搬送ベルト8から第2搬送ベルト14に硬貨Cを積み重ねるように導く導入シュート11と、第1搬送ベルト8の駆動軸と同方向に回転するとともに、第1搬送ベルト8との隙間をメダルの厚さより広くなるように設けられた第1逆転ローラ7と、第1搬送ベルトと搬送方向が逆である第2搬送ベルト14と、第2搬送ベルト14と同方向に回転するとともに、第2搬送ベルト14との隙間をメダル1枚のみが通過するように設けられた第2逆転ローラ16と、第2搬送ベルト14と導出ベルト32の間に配置され、硬貨の通過の判定を行う判定回路に接続されたフォトセンサーPSdとからなる硬貨送り出し装置。」(以下、「甲第1号証に記載された発明」という。)

イ)本件訂正発明1
一方、本件訂正発明1は、以下のとおりのものである。
「一度に複数のメダルを投入することのできる大きなメダル投入口と、このメダル投入口から投入されたメダルを搬送する第1の搬送ベルトと、第1の搬送ベルトの搬送方向に沿って設けられ、メダルの外周面に当接して、搬送されるメダルを径方向に一列に並べる規制板と、第1の搬送ベルトの駆動軸と同方向に回転するとともに、第1の搬送ベルトとの隙間をメダルの厚さより広く、かつ2個のメダルの厚さよりも狭くなるように設けられ、重なりあったメダルを1個ずつに分離する分離ローラと、前記第1の搬送ベルトよりも早い速度で駆動され、前記第1の搬送ベルトと分離ローラとの隙間を通り抜けたメダルを搬送する、前記第1の搬送ベルトと搬送方向が同じである第2の搬送ベルトと、前記第2の搬送ベルトの上方に配置され、メダルの良否の判定を行う判定回路に接続されたセンサーとからなることを特徴とするゲームマシンのメダル投入装置。」

ウ)甲第1号証に記載された発明と本件訂正発明1との対比
そこで、甲第1号証に記載された発明と本件訂正発明1を対比すると、
甲第1号証に記載された発明の「硬貨C」は、本件訂正発明1の「メダル」に相当する。以下、同様に、「一度に複数の硬貨Cを投入することのできる受入部2」は「一度の複数のメダルを投入することが出来る大きなメダル投入口」、「第1搬送ベルト8」は「第1の搬送ベルト」、「導入シュート11」は「規制板」、「第2搬送ベルト14」は「第2の搬送ベルト」、「第1逆転ローラ7」は「分離ローラ」、「フォトセンサーPSd」は「センサー」、「硬貨送り出し装置」は「メダル投入装置」にそれぞれ相当している。

そうすると、甲第1号証に記載された発明と本件訂正発明1は、
「一度に複数のメダルを投入することのできる大きなメダル投入口と、このメダル投入口から投入されたメダルを搬送する第1の搬送ベルトと、第1の搬送ベルトから第2の搬送ベルトにメダルを導く規制板と、第1の搬送ベルトの駆動軸と同方向に回転するとともに、第1の搬送ベルトとの隙間をメダルの厚さより広くなるように設けられた分離ローラと、第1の搬送ベルトと分離ローラとの隙間を通り抜けたメダルを搬送する第2の搬送ベルトと、メダルを検出するセンサーとからなるメダル投入装置」の点で一致し、以下の点で相違している。

・相違点1
規制板が、本件訂正発明1においては「第1の搬送ベルトの搬送方向に沿って設けられ、メダルの外周面に当接して、搬送されるメダルを径方向に一列に並べるもの」であるのに対して、甲第1号証に記載された発明は「第1の搬送ベルトから第2の搬送ベルトにメダルを導く際に、メダルを第2の搬送ベルト上に積み重ねるように導くもの」である点。

・相違点2
本件訂正発明1においては、「第1の搬送ベルトの駆動軸と同方向に回転する分離ローラが、第1の搬送ベルトとの隙間をメダルの厚さより広く、かつ2個のメダルの厚さよりも狭くなるように設けられ、重なりあったメダルを1個ずつに分離するものである」のに対して、甲第1号証に記載された発明においては、「第1の搬送ベルトの駆動軸と同方向に回転する分離ローラが、第1の搬送ベルトとの隙間をメダルの厚さより広くなるように設けられているものの、重なりあったメダルを1個ずつに分離することができるか否か必ずしも明確でなく、かつ、分離ローラの他に設けられた第2逆転ローラ16が、第2搬送ベルト14との隙間をメダル1枚のみが通過するように設けられたものである」点。

・相違点3
本件訂正発明1においては、「第1の搬送ベルトと第2の搬送ベルトの搬送方向が同じであり、かつ、第2の搬送ベルトの駆動速度が第1の搬送ベルトよりも早い速度で駆動される」のに対して、甲第1号証に記載された発明においては「第1の搬送ベルトと第2の搬送ベルトの搬送方向が逆であり、かつ、第2の搬送ベルトの駆動速度が第1の搬送ベルトの駆動速度よりも早い速度であるか否か明確でない」点。

・相違点4
メダルを検出するセンサーが、本件訂正発明1においては「第2の搬送ベルトの上方に設置され、メダルの良否を判定するもの」であるのに対して、甲第1号証に記載された発明においては、「第1の搬送ベルトと第2の搬送ベルトとの間に設置され、メダルの有無を検知するもの」である点

・相違点5
メダルの投入装置において、本件訂正発明1が、「ゲームマシン用のメダル投入装置」であるのに対して、甲第1号証に記載された発明は、「硬貨の送り出し装置」である点。

エ)相違点についての検討
<相違点1について>
甲第9号証の記載事項20の「なお、硬貨Cを位置決めしかつ一枚ずつ送るその他の手段として、硬貨Cの通路の幅を硬貨一枚分より若干大きい程度に設定する方式、あるいはエンドレスベルト9の幅方向端部に沿って案内面を設けて該案内面に硬貨Cの周縁部を接触させながら案内する方式を採用するようにしてもよい。」、及び同記載事項19の「そこで、第6図に示すように、ベルトAを傾斜状態に設けるとともに、一方の案内壁Bに沿って硬貨Cの周縁部を転動させながらベルトAの幅方向(第5図に矢印で示す)への位置決めをすることが考えられるが・・・」なる記載から、上記甲第9号証に記載された硬貨を搬送する搬送ベルトの案内面は、搬送ベルトの搬送方向に沿って設けられ、硬貨の外周面に当接して、搬送される硬貨を径方向に一列に並べる構成であることは明らかである。
また、下記の<相違点3について>で示すように、硬貨等の被搬送物を第1の搬送ベルトと第2の搬送ベルトとからなる搬送装置において搬送する際、第1の搬送ベルトの速度より、第2の搬送ベルトの速度を速くし、かつ、両搬送ベルトの搬送方向を同方向とすることは硬貨等の被搬送物を搬送する搬送装置において周知な技術である。
さらに、搬送装置の硬貨等被搬送物の搬送機能から見て、硬貨等の被搬送物は、第1の搬送ベルトから第2の搬送ベルトに搬送されるものであり、規制板はその被搬送物を案内したり、規制したりするものであり、甲第1号証に記載された発明の導入シュートと本件訂正発明1の規制板はその機能において相違するところがないから、本件訂正発明1の規制板を第1の搬送ベルトの搬送方向に沿って設ける点に格別の意義を見出すことはできない。
なお、メダルを用いるスロットマシンなどの遊技機技術分野において、遊技機の投入口に投入された硬貨型のメダルの真贋を判別すること、及び硬貨型のメダルの真贋判別機は、両替機や自動販売機の硬貨の取扱装置において代替性あるものとして使用されていることが周知であるので、硬貨の取扱装置を、ゲームマシンにおける硬貨型のメダル投入装置に適用することに格別の困難性があるということはできない(必要であれば、特開昭62-117095号公報、特開昭62-126490号公報及び特開昭62-17889号公報等参照のこと)。
そして、甲第1号証に記載された発明の「硬貨C」は、本件訂正発明1の「メダル」に相当し、以下、同様に、「第1搬送ベルト8」は「第1の搬送ベルト」、「導入シュート11」は「規制板」、「第2搬送ベルト14」は「第2の搬送ベルト」、「第1逆転ローラ7」は「分離ローラ」、「硬貨送り出し装置」は「メダル投入装置」にそれぞれ相当していることは上記したとおりである。
そうすると、硬貨取扱装置とゲームマシンのメダル投入装置とは相互に代替性があることが周知技術であること、及び搬送装置において、第1の搬送ベルトの速度より、第2の搬送ベルトの速度を速くし、かつ、両搬送ベルトの搬送方向を同方向とすることが周知技術であることを参酌しつつ、甲第1号証に記載された発明の硬貨に代えてゲームマシンのメダルとするとともに、上記甲第1号証に記載された発明の規制板に代えて、上記甲第9号証の記載の案内板を適用して規制板とすることにより、第1の搬送ベルトの搬送方向に沿って設けられ、メダルの外周面に当接して、搬送されるメダルを径方向に一列に並べるようにすること、すなわち上記相違点1に係る構成とすることは、甲第1号証に記載された発明及び甲第9号証の記載並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に想到できる程度のことということができる。

<相違点2について>
甲第1号証の記載事項2の「・・・第1搬送ベルトとの間に硬貨厚み3枚分程度の間隔をおいて設けられ・・・硬貨の送り出し量を規制する規制板と、」及び同記載事項3の「この試作実験装置によると、第1搬送ベルトと規制板を通過した硬貨については、第2保留部において硬貨が一枚ずつに分離されて送り出される」なる記載によれば、甲第1号証の試作実験装置の規制板は第1搬送ベルトとの間の3枚分程度の間隔により硬貨を1個ずつに分離できたと記載してあり、かつ、第1図を参酌すると第1逆転ローラ7は、試作実験装置の規制板に代えて設けられたものであるので、硬貨の送り出し量を規制するものと解される。
また、第2逆転ローラ16が、第2搬送ベルト14との隙間を硬貨1枚のみが通過するように設けられたものは、第1図を参酌すると、第2逆転ローラが、第2搬送ベルトとの隙間を硬貨の厚さより広く、かつ2個の硬貨の厚さよりも狭くなるように設けられ、重なりあった硬貨を1個ずつに分離するものと言い換えることができることは明らかである。
さらに、甲第1号証の試作実験装置の硬貨を一枚ずつ通過させることができる規制板に代えて第1逆転ローラ7が採用されたのであるから、硬貨を一枚ずつ分離する趣旨の下、甲第1号証に記載された発明において、第1逆転ローラに代えて、第2逆転ローラを採用することにより、第1搬送ベルトとの隙間を硬貨の厚さより広く、かつ2個の硬貨の厚さよりも狭くなるように設け、重なりあった硬貨を1個ずつに分離する分離機能とするようにすることは、格別の阻害要因もなく、困難であるということができない。
そして、甲第1号証に記載された発明の「硬貨C」は、本件訂正発明1の「メダル」に相当すし、以下、同様に、「第2搬送ベルト14」は「第2の搬送ベルト」、「第1逆転ローラ7」は「分離ローラ」、「硬貨送り出し装置」は「メダル投入装置」にそれぞれ相当していることは上記したとおりである。
また、上記相違点1のなお書きにおいて指摘したとおり、硬貨の取扱装置を、ゲームマシンにおける硬貨型のメダル投入装置に適用することに格別の困難性があるということはできない。
そうすると、周知技術である硬貨取扱装置とゲームマシンのメダル投入装置との相互代替性を参酌しつつ、甲第1号証に記載された発明の硬貨に代えてゲームマシンのメダルとするとともに、甲第1号証に記載された発明の分離ローラに代えて第2の逆転ローラを適用して分離ローラとすることにより、第1の搬送ベルトとの隙間をメダルの厚さより広く、かつ2個のメダルの厚さよりも狭くなるように設け、重なりあったメダルを1個ずつに分離するようにすること、すなわち上記相違点2に係る構成とすることは、甲第1号証に記載された発明及び甲第9号証の記載並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に想到できる程度のことということができる。

<相違点3について>
甲第4号証に示されているように、第1搬送ベルト、第2搬送ベルトからなる硬貨等の被搬送物の搬送装置において、第1搬送ベルトの速度より、第2搬送ベルトの速度を早くして両搬送ベルトの搬送方向を同方向とすることは周知な技術である(必要であれば、甲第3号証、第5号証、第6号証、第7号証、第8号証、参考文献2等参照されたい。)。
また、甲第1号証に記載された発明の搬送装置は、第1図を参酌すると、硬貨取扱装置の搬送装置を小型化・薄型化するため、第1搬送ベルトと第2搬送ベルトは上下に配置され、かつ、その搬送機能から第1搬送ベルトの搬送方向と第2搬送ベルトの搬送方向は逆となっている。
ところで、甲第1号証に記載された発明の搬送装置が第1搬送ベルトと第2搬送ベルトが上下に配置され、かつ、互いに搬送方向が逆である搬送装置に対して、本件訂正発明1の第1の搬送ベルトと第2の搬送ベルトを同じ搬送方向とする構成は、第1の搬送ベルトと第2の搬送ベルトを単に左右に連続する配置とした結果として搬送方向が同じとなるものであるから、結局、甲第1号証に記載された発明と本件訂正発明1の搬送装置は、互いに硬貨、メダル等の被搬送物を搬送する機能において相違するところがなく、上記周知技術に示したように搬送装置の搬送ベルトが左右に連続することが普通であることを踏まえて考慮すると、格別の意義を有していないと解される。
そして、甲第1号証に記載された発明の「硬貨C」は、本件訂正発明1の「メダル」に相当する。以下、同様に、「第1搬送ベルト8」は「第1の搬送ベルト」、「第2搬送ベルト14」は「第2の搬送ベルト」、「硬貨送り出し装置」は「メダル投入装置」にそれぞれ相当していることは上記したとおりである。
なお、上記相違点1のなお書きにおいて指摘したとおり、硬貨の取扱装置を、ゲームマシンにおける硬貨型のメダル投入装置に適用することに格別の困難性があるということはできない。
そうすると、周知技術である「硬貨取扱装置とゲームマシンのメダル投入装置との相互代替性」と周知技術である「第1搬送ベルトの速度より、第2搬送ベルトの速度を速くして両搬送ベルトの搬送方向を同方向とすること」を参酌しつつ、甲第1号証に記載された発明の硬貨に代えてゲームマシンのメダルを被搬送物とするとともに、甲第1号証に記載された発明の上下に配置された第1の搬送ベルトと第2の搬送ベルトからなる搬送装置に代えて、第1の搬送ベルトと第2の搬送ベルトの搬送方向を同じとし、さらに、第1搬送ベルトの速度より、第2搬送ベルトの速度が早い搬送装置とすること、すなわち上記相違点3に係る構成とすることは、甲第1号証に記載された発明及び甲第9号証の記載並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に想到できる程度のことということができる。

<相違点4について>
甲第4号証の記載事項12の「この発明は上記の点を鑑みてなされたもので、硬貨の送りベルトを2段とし、第2段目の搬送速度を第1段目より速くして、硬貨の通路上を搬送される各硬貨間の間隔をあけると共に、無接触センサによって硬貨を感知する毎に電気信号を発生させ、」なる記載、同記載事項13の「21は硬貨Cの通過を例えば光電的又は電磁的に検知して発生する無接触センサ」のなる記載及び第1図、第2図、甲第9号証の記載事項21の「分配通路29の入り口に配設された金種判別センサ34(例えば、磁気特性の差異又は外径差により金種を判別するセンサ)の判別結果に応じて・・・ 」なる記載及び第1図、参考文献1の記載事項26の「また、搬送ベルト5後端部付近には硬貨センサ7が・・・。この硬貨センサは磁気センサである」なる記載、及び参考文献2の記載事項27の「・・・鑑別部21において、発光部22より放射される直線光は、・・・硬貨表面にて反射して受光部23に達する。・・・受光部23ではこれら反射光の・・・に比較し、硬貨5の真偽、正損、金種等を判定する。」なる記載及び第1図から見て、硬貨を搬送する搬送装置の第2の搬送ベルトに光電的又は電磁的センサーを硬貨の検知が行いやすい位置に配置することにより硬貨の通過枚数、良否や種類を検知することは周知な技術である。
また、上記相違点1のなお書きにおいて指摘した理由により、硬貨の取扱装置を、ゲームマシンにおける硬貨型のメダル投入装置に適用することに格別の困難性があるということはできない。
そして、甲第1号証に記載された発明の「硬貨C」は、本件訂正発明1の「メダル」に相当し、以下、同様に、「第2搬送ベルト14」は「第2の搬送ベルト」、「フォトセンサーPSd」は「センサー」、「硬貨送り出し装置」は「メダル投入装置」にそれぞれ相当していることは上記したとおりである。
そうすると、硬貨取扱装置とゲームマシンのメダル投入装置とは相互に代替性があることが周知技術であることを参酌しつつ、甲第1号証に記載された発明の硬貨に代えてゲームマシンのメダルとするとともに、甲第1号証に記載された発明の第2の搬送ベルトの枚数計測センサーに代えて、メダル良否の判別可能なセンサーを第2の搬送ベルトの上に設置すること、すなわち上記相違点4に係る構成とすることは、甲第1号証に記載された発明及び上記甲第9号証の記載並びに周知技術に基づき、当業者が容易に想到し得える程度のことであり、格別困難なこととも認められない。

<相違点5について>
上記相違点1のなお書きにおいて指摘したとおり、硬貨の取扱装置を、ゲームマシンにおける硬貨型のメダル投入装置に適用することに格別の困難性があるということはできない。

オ)以上のとおりであるから、本件訂正発明1は、甲第1号証に記載された発明及び甲第9号証の記載並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるということができる。

2)本件訂正発明2について
本件訂正発明2は、本件訂正発明1に「第1の搬送ベルト,第2の搬送ベルト及び分離ローラはモータで駆動され、規制板が第1のベルトと第2の搬送ベルトの上面に設けられている」構成を付加したものである。
そして、甲第9号証の記載事項20の「なお、硬貨Cを位置決めしかつ一枚ずつ送るその他の手段として、硬貨Cの通路の幅を硬貨一枚分より若干大きい程度に設定する方式、あるいはエンドレスベルト9の幅方向端部に沿って案内面を設けて該案内面に硬貨Cの周縁部を接触させながら案内する方式を採用するようにしてもよい。」なる記載や、参考文献1の記載事項25の「・・・この硬貨規制レバー3によって、搬送されてくる硬貨は搬送方向左側の摺動面2に沿って搬送されるようになる。」なる記載から、搬送する被搬送物を案内壁や摺動面等に規制レバーなどを利用し案内して、硬貨の位置決めをしてセンサーによる硬貨の検出を容易にすることは普通に行われている周知な技術にすぎない。
また、硬貨の案内を第1の搬送ベルトから第2の搬送ベルトに亘って行う点は、甲第1号証の記載事項4の「・・・この機枠1は、一側に配置された枠板1aとこの枠板1aに対向して他側の上下部に配置された枠板1b,1cとを有し、・・・そして、この機枠1の処理部3は、水平方向の一方の硬貨処理方向(第1図左右方向)の長さを長尺とし、他方の硬貨規制方向(第1図紙面表裏方向、第2図左右方向)の長さを、上端部側すなわち後述の第1保留部5が処理可能とする金種の径より大きくその径の1.5〜2倍程度の寸法に構成され、下端部側すなわち後述の第2保留部13が処理可能とする金種の最大径よりやや大なる寸法に構成されている。・・・」なる記載から、実質的に被搬送物である硬貨等の処理可能な金種の最大径よりやや大なる寸法に形成された枠板1aと枠板1cの間の間隙により、硬貨の位置決めをしつつセンサーPSdによる硬貨の検知を容易にするように構成されており、実質的に第2の搬送ベルトの上面に設けられた規制板の機能を果たしていることは明らかであり、また、参考文献1の記載事項25の「・・・この硬貨規制レバー3によって、搬送されてくる硬貨は搬送方向左側の摺動面2に沿って搬送されるようになる。」なる記載から、硬貨をセンサーのある場所まで確実に硬貨を摺動面で案内していることが示されている。かつ、規制板に相当する可動な案内板で規制しつつ硬貨をセンサーで金種や枚数を検出しながら所望の搬送場所に搬送することは硬貨の搬送装置において多用される周知な技術にすぎない(実開昭63-84675号公報、特開昭58-92085号公報等参照されたい)。
このように、硬貨の位置決めをしつつセンサーPSd等のセンサーによる硬貨の検知を容易にするように検知確実な位置に導き搬送することは、センサーを設けて検知を行う以上、当然というべき事項にすぎないから、甲第9号証の記載に基づいて、硬貨を案内する規制板を第1の搬送ベルトから第2の搬送ベルトに亘って設ける点は、当業者であれば容易に想到できる程度の技術事項にすぎない。
さらに、硬貨等被搬送物を搬送する搬送装置の搬送ベルトや分離ローラ等がモータで駆動されることも、搬送装置の駆動手段として周知技術事項にすぎない(甲第1号証に記載された発明、甲第4号証の記載、第9号証の記載、甲第11号証の記載等参考にされたい)。
そうすると、甲第1号証に記載された発明と甲第9号証は共に硬貨の取扱装置であるから、本件訂正発明1に、甲第9号証に記載された「搬送する硬貨を案内壁や摺動面等に規制レバーなどを利用し案内して、硬貨の位置決めをしてセンサーによる硬貨の検出を容易にする」構成を付加する際に、センサーを第2の搬送ベルトの上面に配置し、かつ、第1の搬送ベルトと第2の搬送ベルトに亘って設けること、すなわち本件訂正発明2は、甲第1号証に記載された発明及び甲第9号証の記載並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるということができる。

3)本件訂正発明3について
本件訂正発明3は、本件訂正発明1に「分離ローラに軸方向に沿ってメダルの直径より狭い間隔で溝を設けるとともに、分離ローラの上方に前記溝に嵌入する突起を形成した仕切り板を設けた」構成を付加したものである。
そして、甲第11号証の記載事項24の「4は整列回転ローラで、・・・切欠部5を無端ベルト1と平行に成形し、無端ベルト1の表面から硬貨20の厚みに相当する間隙3を有して、無端ベルト1の巾方向上方に、無端ベルト1と逆方向に回転する様に配設されており、整列回転ローラ4の中央に突起片6を有したカバー7を取り付ける際の溝8が設けられており、上記溝8に突起片6を挿着し、・・・」なる記載と第2〜4図から、分離ローラに相当する整列ローラ4に軸方向に沿ってメダルの相当する硬貨20の直径より狭い間隔で溝8を設けるとともに、分離ローラに相当する整列ローラ4の上方に溝8に嵌入する突起を形成した突起片6を設けた点が記載されていることは明らかである。
そうすると、甲第1号証に記載された発明と甲第11号証は共に硬貨の取扱装置であるから、甲第1号証に記載された発明の分離ローラに甲第11号証に記載の分離ローラの機能を適用することに格別困難性が見出し得ないのであるから、本件訂正発明1の分離ローラに甲第11号証の記載の「分離ローラに軸方向に沿ってメダルの直径より狭い間隔で溝を設けるとともに、分離ローラの上方に前記溝に嵌入する突起を形成した仕切り板を設ける」なる機能を付加することにより得られた構成、すなわち本件訂正発明3は、甲第1号証に記載された発明、甲第9号証の記載及び甲第11号証の記載並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるということができる。

4)本件訂正発明4について
ア)甲第1号証に記載された発明
上記(2)の1)の甲第1号証の記載を参酌すると、甲第1号証には以下の発明が記載されていると認められる。
「一度に複数の硬貨Cを投入することのできる受入部2と、 この受入部2から投入された硬貨Cを搬送する第1搬送ベルト8と、第1搬送ベルト8から第2搬送ベルト14に硬貨Cを積み重ねるように導く導入シュート11と、第1搬送ベルト8の駆動軸と同方向に回転するとともに、第1搬送ベルト8との隙間をメダルの厚さより広くなるように設けられた第1逆転ローラ7と、第1搬送ベルト8よりも早い速度で駆動され、第1の搬送ベルトから送られてきたメダルを搬送する第2搬送ベルト14と、第2搬送ベルト14と同方向に回転するとともに、第2搬送ベルト14との隙間をメダルの厚さより広く、かつ2個のメダルの厚さよりも狭くなるように設けられ、重なりあった硬貨を1個ずつに分離する第2逆転ローラと、とからなる硬貨送り出し装置。(以下、「甲第1号証に記載された発明」という。)

イ)本件訂正発明4
一方、本件訂正発明4は、以下のとおりのものである。
「一度に複数のメダルを投入することのできる大きなメダル投入口と、 このメダル投入口から投入されたメダルを搬送する第1の搬送ベルトと、第1の搬送ベルトの搬送方向に沿って設けられ、メダルの外周面に当接して、搬送されるメダルを径方向に一列に並べる規制板と、第1の搬送ベルトの駆動軸と同方向に回転するとともに、第1の搬送ベルトとの隙間をメダルの厚さより広く、かつ2個のメダルの厚さよりも狭くなるように設けられ、重なりあったメダルを1個ずつに分離する分離ローラと、前記第1の搬送ベルトよりも早い速度で駆動され、前記第1の搬送ベルトと分離ローラとの隙間を通り抜けたメダルを搬送する第2の搬送ベルトとからなり、前記規制板をメダルの搬送方向に斜めに配置するとともに、前記第1の搬送ベルトの載置面を傾け、メダルが規制板方向に寄るようにしたことを特徴とするゲームマシンのメダル投入装置。」

ウ)甲第1号証に記載された発明と本件訂正発明4との対比
そこで、甲第1号証に記載された発明と本件訂正発明4を対比すると、
甲第1号証に記載された発明の「硬貨C」は、本件訂正発明4の「メダル」に相当する。以下、同様に、「一度に複数の硬貨Cを投入することのできる受入部2」は「一度の複数のメダルを投入することが出来る大きなメダル投入口」、「第1搬送ベルト8」は「第1の搬送ベルト」、「導入シュート11」は「規制板」、「第2搬送ベルト14」は「第2の搬送ベルト」、「第1逆転ローラ7」は「分離ローラ」、「硬貨送り出し装置」は「メダル投入装置」にそれぞれ相当している。
そして、甲第1号証に記載された発明の硬貨Cは、第1搬送ベルト8と第1逆転ローラ7の隙間を通り抜けた後、第2搬送ベルト14において搬送されるものであることは、第1図からみても明らかなことである。

そうすると、甲第1号証に記載された発明は、
「一度に複数のメダルを投入することのできる大きなメダル投入口と、このメダル投入口から投入されたメダルを搬送する第1の搬送ベルトと、第1の搬送ベルトから第2の搬送ベルトにメダルを導く規制板と、 第1の搬送ベルトよりも早い速度で駆動され、第1の搬送ベルトと分離ローラとの隙間を通り抜けたメダルを搬送する第2の搬送ベルトとからなり、第1の搬送ベルトと同方向に回転するとともに、第1の搬送ベルトとの隙間をメダルの厚さより広く、かつ2個のメダルの厚さよりも狭くなるように設けられ、重なりあった硬貨を1個ずつに分離する分離ローラと、からなるメダル投入装置」の点で一致し、以下の点で相違している。

・相違点1
本件訂正発明4においては「規制板を第1の搬送ベルトの搬送方向に沿って設け、メダルの外周面に当接して、搬送されるメダルを径方向に一列に並べ、メダルの搬送方向に斜めに配置するとともに、第1の搬送ベルトの載置面を傾け、メダルが規制板方向に寄るようにしたもの」であるのに対して、甲第1号証に記載された発明は「規制板を第1の搬送ベルトから第2の搬送ベルトへの搬送方向沿って硬貨Cを導くように設けると共に、搬送される硬貨Cを第2の搬送ベルト上に積み重ねるようしたものであり、第1の搬送ベルトの載置面を斜めにしない」点。

・相違点2
本件訂正発明4においては、「第1の搬送ベルトの駆動軸と同方向に回転する分離ローラが、第1の搬送ベルトとの隙間をメダルの厚さより広く、かつ2個のメダルの厚さよりも狭くなるように設けられ、重なりあったメダルを1個ずつに分離するものである」のに対して、甲第1号証に記載された発明においては、「第1の搬送ベルトの駆動軸と同方向に回転する分離ローラが、第1の搬送ベルトとの隙間がメダルの厚さより広くなるように設けられているものの、重なりあったメダルを1個ずつに分離することができるか否か必ずしも明確でなく、かつ、分離ローラの他に設けられた第2逆転ローラ16が、第2搬送ベルト14との隙間をメダル1枚のみが通過するように設けられたものである」点。

・相違点3
本件訂正発明4においては、「第1の搬送ベルトと第2の搬送ベルトの搬送方向が同じであり、第2の搬送ベルトの駆動速度が第1の搬送ベルトよりも早い速度で駆動される」のに対して、甲第1号証に記載された発明においては「第1の搬送ベルトと第2の搬送ベルトの搬送方向が逆であり、かつ、第2の搬送ベルトの駆動速度が第1の搬送ベルトの駆動速度よりも早い速度であるか否か明確でない」点。

・相違点4
メダル投入装置が、本件訂正発明4においては「ゲームマシン用のメダル投入装置」であるのに対して、甲第1号証に記載された発明は「硬貨の送り出し装置」である点。

エ)相違点についての検討
<相違点1について>
本件訂正発明1の<相違点1について>において指摘した同じ理由により、硬貨の搬送装置において、径方向に一列に並べるように案内面、案内壁及び摺動面等の方向に硬貨を寄せるようにすることは周知なことにすぎない。
また、甲第9号証の第5図、第6図には、本件訂正発明4の規制板に相当する案内壁BがベルトAの搬送方向に沿って設けられており、かつ、ベルトAの載置面は斜めに傾けられ、案内壁Bは硬貨Cの外周面に当接して、硬貨Cを径方向に一列に並べつつ搬送していることは明らかであり、搬送ベルトの載置面を斜めにすれば、硬貨を規制板の方向により一層寄せることができることは明らかなことである。
さらに、上記本件訂正発明1の<相違点1について>のなお書きにおいて指摘した同じ理由により、硬貨の取扱装置を、ゲームマシンにおける硬貨型のメダル投入装置に適用することに格別の困難性があるということはできない。
そして、甲第1号証に記載された発明の「硬貨C」は、本件訂正発明4の「メダル」に相当し、以下同様に、「第1搬送ベルト8」は「第1の搬送ベルト」、「導入シュート11」は「規制板」、「第2搬送ベルト14」は「第2の搬送ベルト」、「第1逆転ローラ7」は「分離ローラ」、「硬貨送り出し装置」は「メダル投入装置」にそれぞれ相当している。
そうすると、甲第1号証に記載された発明の硬貨に代えてゲームマシンのメダルとするとともに、硬貨を規制板の方向により良く寄せる趣旨の下で、甲第9号証に記載された搬送ベルトの斜めの載置面を、甲第1号証に記載された発明の第1の搬送ベルトに適用し、かつ、規制板を第1の搬送ベルトの搬送方向に沿って設け、そのメダルの外周面に当接して、搬送されるメダルを径方向に一列に並べるようにすること、すなわち上記相違点1に係る構成とすることは、周知技術である硬貨取扱装置とゲームマシンのメダル投入装置との相互の代替性を参酌しつつ、甲第1号証に記載された発明及び甲第9号証の記載並びに周知技術に基づいて当業者が容易になしえる程度のことということができる。

<相違点2について>
本件訂正発明1の<相違点3について>において示した同じ理由により、甲第1号証に記載された発明において、第1逆転ローラに代えて、第2逆転ローラを採用することにより、第1搬送ベルトとの隙間を硬貨の厚さより広く、かつ2個の硬貨の厚さよりも狭くなるように設け、重なりあった硬貨を1個ずつに分離する分離機能とするようにすることは、格別の阻害要因もなく、困難であるということができない。
そして、甲第1号証に記載された発明の「硬貨C」は、本件訂正発明4の「メダル」に相当し、以下同様に、「第2搬送ベルト14」は「第2の搬送ベルト」、「第1逆転ローラ7」は「分離ローラ」、「硬貨送り出し装置」は「メダル投入装置」にそれぞれ相当していることは上記したとおりである。
また、上記本件訂正発明1の<相違点1について>のなお書きにおいて指摘したとおり、硬貨の取扱装置を、ゲームマシンにおける硬貨型のメダル投入装置に適用することに格別の困難性があるということはできない。
そうすると、周知技術である硬貨取扱装置とゲームマシンのメダル投入装置との相互代替性を参酌しつつ、甲第1号証に記載された発明の硬貨に代えてゲームマシンのメダルとするとともに、甲第1号証に記載された発明の分離ローラに代えて第2の逆転ローラを適用して分離ローラとすることにより、第1の搬送ベルトとの隙間をメダルの厚さより広く、かつ2個のメダルの厚さよりも狭くなるように設け、重なりあったメダルを1個ずつに分離するようにすること、すなわち上記相違点2に係る構成とすることは、甲第1号証に記載された発明及び甲第9号証の記載並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に想到できる程度のことということができる。

<相違点3について>
本件訂正発明1の<相違点3について>において示した同じ理由により、第1の搬送ベルトと第2の搬送ベルトの搬送方向を同じとし、第2の搬送ベルトの駆動速度を第1の搬送ベルトよりも早い速度で駆動することは周知技術にすぎない。
そして、甲第1号証に記載された発明の「硬貨C」は、本件訂正発明4の「メダル」に相当し、以下同様に、「第1搬送ベルト8」は「第1の搬送ベルト」、「第2搬送ベルト14」は「第2の搬送ベルト」、「硬貨送り出し装置」は「メダル投入装置」にそれぞれ相当している。
そうすると、周知技術である「硬貨取扱装置とゲームマシンのメダル投入装置との相互代替性」と周知技術である「第1搬送ベルトの速度より、第2搬送ベルトの速度を速くして両搬送ベルトの搬送方向を同方向とすること」を参酌しつつ、甲第1号証に記載された発明の硬貨に代えてゲームマシンのメダルを被搬送物とするとともに、甲第1号証に記載された発明の第1の搬送ベルトと第2の搬送ベルトの搬送方向が逆である搬送装置に代えて、第1の搬送ベルトと第2の搬送ベルトの搬送方向を同じとし、さらに、第1搬送ベルトの速度より、第2搬送ベルトの速度が早い搬送装置とすること、すなわち上記相違点3に係る構成とすることは、甲第1号証に記載された発明及び甲第9号証の記載並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に想到できる程度のことということができる。

<相違点4について>
上記本件訂正発明1の相違点1のなお書きにおいて指摘した同じ理由により、硬貨の取扱装置を、ゲームマシンにおける硬貨型のメダル投入装置に適用することに格別の困難性があるということはできない。

オ)以上のとおりであるから、本件訂正発明4は、甲第1号証に記載された発明及び甲第9号証の記載並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるということができる。

(4)むすび
以上のとおりであるので、本件訂正発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第9号証の記載及び甲第11号証並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、本件訂正発明は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当する。

4.結論
平成18年1月16日付の訂正を認める。
特許第2567515号発明の明細書の特許請求の範囲第1項ないし第4項に記載された発明についての特許を無効とする。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
メダル投入装置
(57)【特許請求の範囲】
(1)一度に複数のメダルを投入することのできる大きなメダル投入口と、このメダル投入口から投入されたメダルを搬送する第1の搬送ベルトと、第1の搬送ベルトの搬送方向に沿って設けられ、メダルの外周面に当接して、搬送されるメダルを径方向に一列に並べる規制板と、第1の搬送ベルトの駆動軸と同方向に回転するとともに、第1の搬送ベルトとの隙間をメダルの厚さより広く、かつ2個のメダルの厚さよりも狭くなるように設けられ、重なりあったメダルを1個ずつに分離する分離ローラと、前記第1の搬送ベルトよりも早い速度で駆動され、前記第1の搬送ベルトと分離ローラとの隙間を通り抜けたメダルを搬送する、前記第1のベルトと搬送方向が同じである第2の搬送ベルトと、前記第2の搬送ベルトの上方に配置され、メダルの良否の判定を行う判定回路に接続されたセンサーとからなることを特徴とするゲームマシンのメダル投入装置。
(2)前記第1の搬送ベルト,第2の搬送ベルト及び分離ローラはモータで駆動され、前記規制板が前記第1,第2搬送ベルトの上面に設けられていることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載のゲームマシンのメダル投入装置。
(3)前記分離ローラに軸方向に沿ってメダルの直径より狭い間隔で溝を設けるとともに、分離ローラの上方に前記溝に嵌入する突起を形成した仕切り板を設けたことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載のゲームマシンのメダル投入装置。
(4)一度に複数のメダルを投入することのできる大きなメダル投入口と、このメダル投入口から投入されたメダルを搬送する第1の搬送ベルトと、第1の搬送ベルトの搬送方向に沿って設けられ、メダルの外周面に当接して、搬送されるメダルを径方向に一列に並べる規制板と、第1の搬送ベルトの駆動軸と同方向に回転するとともに、第1の搬送ベルトとの隙間をメダルの厚さよりも広く、かつ2個のメダルの厚さよりも狭くなるように設けられ、重なりあったメダルを1個ずつに分離する分離ローラと、前記第1の搬送ベルトよりも早い速度で駆動され、前記第1の搬送ベルトと分離ローラとの隙間を通り抜けたメダルを搬送する第2の搬送ベルトとからなり、前記規制板をメダルの搬送方向に斜めに配置するとともに、前記第1の搬送ベルトの載置面を傾け、メダルが規制板方向に寄るようにしたことを特徴とするゲームマシンのメダル投入装置。
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明はゲームマシンのメダル投入装置に関するものである。
〔従来の技術〕
メダルを使用するゲームマシン例えばスロットマシンではメダル投入口からメダルを投入してゲームが開始される。投入されたメダルの枚数は、メダル検出器で検出されカウントされる。このカウントを確実にするために、メダル投入口をメダル1枚が通過できるように形成しておき、前記メダル検出器が一度に複数のメダルを検出しないようにしている。
このようなスロットマシンはメダルを1枚ずつ投入するため、投入に時間がかかるばかりでなく、メダル投入口にメダルがつまりゲームできなくなるという問題があった。このため、特開平2-57284号公報に記載されたスロットマシンでは、一度に多くのメダルを投入することのできるメダル投入口と、このメダル投入口から投入されたメダルをメダル検出器に向けて順次送り出すホッパー装置とからなるメダル投入装置を設けて、メダルのカウントを確実にできるようにしている。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、ホッパー装置ではメダルを順次送り出すために、メダルを1枚ずつ収納する切欠きを周方向に配した回転体を使用している。このため、上述したメダル投入装置は、そのサイズが大きくなるという問題が生じる。
〔発明の目的〕
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、一度に投入された複数のメダルを順次送り出せるサイズの小さなメダル投入装置を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために、請求項(1)の発明は一度に複数のメダルを投入することのできる大きなメダル投入口と、このメダル投入口から投入されたメダルを搬送する第1の搬送ベルトと、第1の搬送ベルトの搬送方向に沿って設けられ、メダルの外周面に当接して、搬送されるメダルを径方向に一列に並べる規制板と、第1の搬送ベルトの駆動軸と同方向に回転するとともに、第1の搬送ベルトとの隙間をメダルの厚さより広く、かつ2個のメダルの厚さよりも狭くなるように設けられ、重なりあったメダルを1個ずつに分離する分離ローラと、前記第1の搬送ベルトよりも早い速度で駆動され、前記第1の搬送ベルトと分離ローラとの隙間を通り抜けたメダルを搬送する、前記第1の搬送ベルトと搬送方向が同じである第2の搬送ベルトと、前記第2の搬送ベルトの上方に配置され、メダルの良否の判定を行う判定回路に接続されたセンサーとを設けたものである。
請求項(2)の発明では、モータで前記第1の搬送ベルト,第2の搬送ベルト及び分離ローラを駆動するようにしており、規制板が前記第1,第2搬送ベルトの上面に設けられている。また請求項(3)の発明では前記分離ローラに軸方向に沿ってメダルの直径より狭い間隔で溝を設けるとともに、分離ローラの上方に前記溝に嵌入する突起を形成した仕切り板を設けたものである。
請求項(4)の発明は一度に複数のメダルを投入することのできる大きなメダル投入口と、このメダル投入口から投入されたメダルを搬送する第1の搬送ベルトと、第1の搬送ベルトの搬送方向に沿って設けられ、メダルの外周面に当接して、搬送されるメダルを径方向に一列に並べる規制板と、第1の搬送ベルトの駆動軸と同方向に回転するとともに、第1の搬送ベルトとの隙間をメダルの厚さより広く、かつ2個のメダルの厚さよりも狭くなるように設けられ、重なりあったメダルを1個ずつに分離する分離ローラと、前記第1の搬送ベルトよりも早い速度で駆動され、前記第1の搬送ベルトと分離ローラとの隙間を通り抜けたメダルを搬送する第2の搬送ベルトとからなり、前記規制板をメダルの搬送方向に斜めに配置するとともに、前記第1の搬送ベルトの載置面を傾け、メダルが規制板方向に寄るようにしたものである。
〔作用〕
上記構成によれば、複数のメダルはメダル投入口に一度に投入することができる。また、第1の搬送ベルト上を搬送される重なりあったメダルは、分離ローラにより1枚ずつにされて、この下側を通過する。そして、第2の搬送ベルトで搬送されるメダルは、後続のメダルとの間隔が拡げられ、その上でメダルの良否が判定される。
更に、請求項(2)の構成によれば、第1、第2の搬送ベルトと分離ローラとの駆動制御を簡単に行うことができるとともに、メダルがセンサーの真下を通過させるようにできる。請求項(3)の構成では、仕切り板の段差は分離ローラと仕切り板との隙間にメダルが詰まるのを阻止する。
また、請求項(4)の構成によれは、複数のメダルはメダル投入口に一度に投入することができる。また、第1の搬送ベルト上を搬送される重なりあったメダルは、分離ローラにより1枚ずつにされて、この下側を通過する。規制板は搬送路を狭めることなく、メダルを分離ローラの下側にガイドする。
〔実施例〕
第3図は本発明のメダル投入装置を取り付けたスロットマシンを示すものであり、このスロットマシン2には前扉3が開閉自在に設けられている。この前扉3にはスタートレバー4,ストップボタン5〜7,複数のメダルを一度に投入できるメダル投入口8,3個の枚数設定ボタン9〜11及び投入したメダルを払い出す返却ボタン(終了ボタン)12が設けられている。前記メダル投入口8の内部下方には、詳しくは後述する本発明のメダル投入装置13が配置されている。メダル投入装置13には図中破線で示すように2個のメダル通路14,15が連設されている。このメダル通路14,15の他端は周知のホッパー装置17,受け皿18に接続されている。
ストップボタン5〜7の上方には、前面パネル20が取り付けられている。この前面パネル20の裏側には、メダル投入後のスタートレバー4の操作により一斉に回転する3個のリール21〜23が配置されている。なお、各リール21〜23は、定常回転速度に達した後に任意のタイミングで行われるストップボタン5〜7の操作で停止される。各リール21〜23はその外周に、例えば「7」,「オレンジ」,「BAR」等の種々のシンボルが配列されており、これらのシンボルは前面パネル20に形成された3個の窓24〜26を通して観察することができる。これらの窓24〜26を横切るように、複数の入賞ライン27が描かれている。この入賞ライン27は投入したメダル16の枚数に応じて有効化され、その本数を増やす。
前記ストップボタン5〜7が操作されると、停止制御が開始され、ストップボタン5〜7の操作タイミングに対応したシンボルの組み合わせが、有効化された入賞ライン27上に完成されるように、各リール21〜23が停止される。有効化された入賞ライン27上に並んだシンボルの組み合わせが入賞である場合には、入賞ランクに応じた枚数のメダルが、ホッパー装置17から前記受け皿18に払い出される。なお、ストップボタン5〜7の操作が所定時間内に行われないときには、周知のオートストップ機構により、リール21〜23は順次停止される。
第1図は本発明のメダル投入装置を示すものである。図中一点鎖線で示すメダル投入口8の下方には、投入されたメダル16を上面に載置して搬送する第1搬送ベルト30が設けられている。この第1搬送ベルト30の搬送方向の前方には、第1搬送ベルト30より搬送速度の早い第2搬送ベルト31が設けられている。この第1,第2搬送ベルト30,31の上面には、平行な一対の規制板32,33が搬送方向に対して斜めに設けられている。第1,第2搬送ベルト30,31は規制板32側が規制板33側より低く傾けられている。このため、規制板32は第1,第2搬送ベルト30,31に搬送されるメダルに当接して、これらをガイドする。さらに規制板32,33の後端側には、仕切り板34が取り付けられている。
前記第1搬送ベルト30は駆動ローラ35と搬送ローラ36とに掛けられており、矢線方向に回動される。また、第2搬送ベルト31は駆動ローラ37と搬送ローラ38とに掛けられており、矢線方向に回動させる。駆動ローラ35,37はプーリ39でテンションを調整されたタイミングベルト40を介して、モータ41で駆動される。このモータ41の制御はドライバ42を介して、メダル投入装置を制御するマイコン43で行われる。
前記駆動ローラ35の上方にはベルト45を介して、駆動ローラ35と同方向に回動される軸46が配置されており、この軸46は第2図に示すように、第1搬送ベルト30と平行に前記規制板32,33で支持される。また、規制板32と規制板33との間の軸46には、分離ローラ47が固着されており、この分離ローラ47は重なり合ったメダル16を1枚ずつにする。
分離ローラ47は径の小さなローラ部47cと径の大きなローラ部47eとから構成され、小さなローラ部47cには軸方向に沿って、メダル16の直径より短い間隔で一対の溝47a,47bが形成されている。前記ローラ部47cはその外周面と第1搬送ベルト30との隙間がメダル16厚さより広く、かつ2枚分のメダル16の厚さより狭く設定されているため、この下側に搬送される1枚のメダル16は分離ローラ47を潜り抜けることができる。また、ローラ部47eはその外周面と第1搬送ベルト30との隙間がメダル16の厚さより狭く設定されているため、その下側に搬送される1枚のメダル16は、分離ローラ47の回転により、送り返されるようになる。
この分離ローラ47の上方には仕切り板48が設けられており、この仕切り板48は規制板32,33、仕切り板34とで、メダル投入口8から投入されたメダル16を貯留する。また、仕切り板48の下端には、溝47a,47bに嵌入する突起48a,48bが形成されており、この突起48a,48bは仕切り板48と分離ローラ47との間にメダル16がつまらないようにしている。なお、規制板33の下端部には搬送方向に沿ってガイド板50が設けられている。このガイド板50の上面にはテーパ面が形成されているため、ガイド板50上のメダル16はテーパ面をスライドして第1搬送ベルト30に落下する。
前記第2搬送ベルト31の上方には、第1図に示すように、メダル16の検出を行う磁気センサー55が配置されている。この磁気センサー55は支持板56を介して、規制板32に取り付けられている。この支持板56と分離ローラ47との間には、前記軸46にギヤを介して従動する押さえローラ57が配置されており、この押さえローラ57はメダル16を第2搬送ベルト31に押しつけ、搬送されるメダル16が前記支持板56に当接しないようにしている。前記磁気センサー55は判定回路58に接続されており、メダル16の直径に対応した検出電流を出力する。この判定回路58は検出電流をデジタル信号に変換し、これをROM59に記録されたモデル信号と比較する。デジタル信号がモデル信号と同一のときには、判定回路58はマイコン43に良信号を出力し、またデジタル信号がモデル信号と異なるときには、不良信号を出力する。なお、この実施例では磁気センサー55を用いて、メダル16を検出したが、反射型のホトセンサを用いてもよい。
第2搬送ベルト31の搬送方向の前方には、一対のスライド板14a,15aが設けられている。このスライド板14a,15aは前記メダル通路14,15の底面をなしており、第2搬送ベルト31で搬送されたメダル16はこれらの上面をスライドして、それぞれホッパー装置17,受け皿18に落下する。メダル通路14,15の切換えはソレノイド60で回動されるセレクタ板61で行われる。このソレノイド60はドライバ62を介して前記マイコン43に接続されており、前記不良信号が出力されたときに、マイコン43によって駆動される。この駆動は良信号が出力されたときもしくは、一定時間が経過したときにマイコン43により停止される。
前記マイコン43には信号発生器70,71、減算式カウンタ73及びドライバ74が接続されている。信号発生器70には前記枚数設定ボタン9〜11が設けられており、この枚数設定ボタン9〜11に対応した設定信号をマイコン43に送る。この設定信号はマイコン43を介して、減算式カウンタ73に送られ、対応した投入メダル数がセットされる。この減算式カウンタ73は前記判定回路58から出力される良信号で1ずつ減算され、投入メダル数が「0」になると、マイコン43はモータ41の駆動を停止する。このとき、カウントされたメダル16の最後の1個はホッパー装置17に送り込まれずに、第2搬送ベルト31上に取り残される。
また、信号発生器71には返却ボタン12が接続されており、返却信号をマイコン43に送る。マイコン43は検出電流毎に不良信号を出力するように判定回路58をセットするとともに、モータ41を駆動し、第2搬送ベルト31上に取り残されたメダル16をホッパー装置17に送り込む。この後、判定回路58は磁気センサー55から出力される検出電流毎に不良信号をマイコン43に出力するようになり、マイコン43は最初の不良信号でソレノイド60を駆動し、セレクタ板61を回動する。これにより、メダル投入口8から投入されたメダル16はメダル通路15を介して、受け皿17に順次返却されるようになる。そして、投入されたメダル16がなくなると、磁気センサー55が検出電流を出力しなくなるので、判定回路58は不良信号を出力できない。この状態で一定時間が経過すると、マイコン43はセレクタ61及び判定回路58をリセットするとともに、モータ41の駆動を停止して、返却制御を終了する。なお、枚数設定後に返却ボタン12が操作されたときには、マイコン43は上述した返却制御に加えて、ポッパー装置17を駆動して、設定した枚数のメダル16を受け皿18に払い出す払出し制御を行う。
このように構成された本発明のメダル投入装置の作用について第4図〜第7図を参照して説明する。メダル投入口8から投入されたメダル16は第1搬送ベルト30の上面に重なりあった状態で載置される。
この後、枚数設定ボタン11を操作すると、モータ41が駆動され、その駆動はタイミングベルト40を介して、駆動ローラ35,37に伝達される。これにより、第1,第2搬送ベルト30,31が矢線方向に搬送される。このとき、ガイド板50の上面や第1搬送ベルト30が傾いているから、第1搬送ベルト30で搬送される一番下のメダル16は規制板32側にスライドし、その外周面が第2図に示すように規制板32に当接する。なお、第1搬送ベルト30の傾きで、メダル16がスライドしなくても、規制板32が搬送方向に対して斜めに設けられているから、分離ローラ47の下側に送られるまでに、その外周面を規制板32に当接するから、メダル16は規制板32によりガイドされる。また、駆動ローラ35はベルト45を介して分離ローラ47を反時計方向に、ギヤを介して押さえローラ57を時計方向にそれぞれ回動する。
第1搬送ベルト30が、第4図に示すように3枚重ねになったメダル16を分離ローラ47の位置まで搬送すると、上の2枚のメダル16は反時計方向に回動しているローラ部47cに当接して、第5図に示すように押し戻される。また、一番下のメダル16はローラ部47cに当接することなく、分離ローラ47の下側に潜り込む。
この後、分離ローラ47の下側に潜り込んだメダル16の後端が分離ローラ47の下まで搬送されると、真ん中のメダル16は一番下のメダル16から第6図に示すようにずり落ちる。このとき、メダル16の先端は第2搬送ベルト31に達している。そして、押さえローラ57で第2搬送ベルト31に押しつけられている。このため、第2搬送ベルト31で搬送されるメダル16は第7図に示すように支持板56に当接することなく、この下側を確実に通過することができる。なお、第2搬送ベルト31に搬送されるメダル16は、第2搬送ベルト31の傾きと規制板32により磁気センサー55の真下を通過するようになる。更に、第2搬送ベルト31は第1搬送ベルト30より搬送速度が早いので、第8図に示すように、前後のメダル16の間隔を拡げることができる。このため、磁気センサー55はメダル16の確認を確実に行うことができる。
磁気センサー55の下側を通過したメダル16は第2搬送ベルト31によりスライド板15aまで搬送されると、スライド板15aをスライドしてホッパー装置17内に収納される。磁気センサー55を3個のメダル16が通過すると、判定回路58から出力された良信号で、減算式カウンタ73にセットされた投入メダル数が「0」になり、マイコン43がモータ41の駆動を停止する。このときには、第2搬送ベルト31の上面にはカウントされたメダル16が載置された状態であるが、メダル投入口8から取り出すことはできない。また、この状態で終了ボタン12を操作しても、第2搬送ベルト31の上面に取り残されたメダル16はホッパー装置17内に送りこまれるので、結果として、ホッパー装置17に設定枚数のメダル16を送り込んだことと同じである。このようにして、枚数設定ボタン11に対応したメダル16数が磁気センサー55により検出されると、スロットマシン2はゲーム開始状態になる。
終了ボタン12を操作したときには、信号発生器71がマイコン43に返却信号を送る。マイコン43はモータ41を駆動し、上述した返却制御を行い、メダル投入口8から投入したメダル16を受け皿18に返却する。
なお、上記実施例ではスロットマシン2に取りつけたメダル投入装置13について説明したが、本発明のメダル投入装置は他のメダルを用いるゲームマシンに用いても同様の効果を得ることができる。
〔発明の効果〕
以上、詳細に説明したように、本発明のメダル投入装置では、一度に複数のメダルを投入することのできる大きなメダル投入口と、このメダル投入口から投入されたメダルを搬送する第1の搬送ベルトと、第1の搬送ベルトの搬送方向に沿って設けられ、メダルの外周面に当接して搬送されるメダルを径方向に一列に並べる規制板と、第1の搬送ベルトの駆動軸と同方向に回転するとともに、第1の搬送ベルトとの隙間をメダルの厚さよりも広く、かつ2個のメダルの厚さよりも狭くなるように設けられ、重なり合ったメダルを1個ずつに分離する分離ローラと、前記第1の搬送ベルトよりも早い速度で駆動され、前記第1の搬送ベルトと分離ローラとの隙間を通り抜けたメダルを搬送する、前記第1の搬送ベルトと搬送方向が同じである第2の搬送ベルトと、前記第2の搬送ベルトの上方に配置され、メダルの良否の判定を行う判定回路に接続されたセンサーとを設けたから、一度に投入された複数のメダルを順次送り出せるメダル投入装置を小型化することができる。
更に、請求項(2)の発明では、モータで前記第1の搬送ベルト,第2の搬送ベルト及び分離ローラを駆動するから、その駆動制御を簡単に行うことができるとともに、規制板がガイドしてメダルがセンサーの真下を通過させるようにできる。請求項(3)の発明では前記分離ローラに軸方向に沿ってメダルの直径より狭い間隔で溝を設けるとともに、分離ローラの上方に前記溝に嵌入する突起を形成した仕切り板を設けたから、分離ローラの仕切り板との間にメダルがつまることを防止することができる。
また、請求項(4)の発明では、前記規制板をメダルの搬送方向に斜めに配置するとともに、前記第1の搬送ベルトの載置面を傾け、メダルが規制板方向に寄るようにしたから、規制板は搬送路の幅を狭めることなく、メダルを分離ローラの下にガイドできるので、搬送されるメダルが規制板に引っ掛かるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のメダル投入装置の構成を示す概略図である。
第2図は本発明のメダル投入装置の要部断面図である。
第3図は本発明のメダル投入装置を備えたスロットマシンの斜視図である。
第4図〜第8図は分離ローラ,押さえローラの作用を説明する動作説明図である。
8・・・メダル投入口
16・・・メダル
30・・・第1搬送ベルト
31・・・第2搬送ベルト
32,33・・・規制板
35,37・・・駆動ローラ
41・・・モータ
43・・・マイコン
47・・・分離ローラ
47a,47b・・・溝
47c,47e・・・ローラ部
48・・・仕切り板
48a,48b・・・突起
57・・・押さえローラ。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2006-04-04 
結審通知日 2006-04-17 
審決日 2006-04-28 
出願番号 特願平2-277122
審決分類 P 1 113・ 121- ZA (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 神 悦彦  
特許庁審判長 三原 裕三
特許庁審判官 辻野 安人
渡部 葉子
登録日 1996-10-03 
登録番号 特許第2567515号(P2567515)
発明の名称 メダル投入装置  
代理人 小林 武  
代理人 小林 武  

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