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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1142168
審判番号 不服2002-14513  
総通号数 82 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-07-17 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-08-01 
確定日 2006-08-17 
事件の表示 特願2000- 10091「ゲームシステム、ゲーム用データの交換制御方法、ゲーム機およびコンピュータ読取可能な記憶媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 7月17日出願公開、特開2001-190849〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年1月14日の出願であって、平成14年4月19日付で手続補正がなされた後、同年6月24日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年8月1日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

2.本願発明
請求項1〜6に係る発明は、平成14年4月19日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1〜6に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、本願発明という。)は以下のとおりである。

「【請求項1】 通信手段を介したデータ交換を利用して共通のゲームがプレイ可能な複数のゲーム機を含み、前記共通のゲームでは、当該ゲーム上の使用が予定された複数のゲーム要素のうち、各ゲーム機のユーザーが所持する少なくとも一つのゲーム要素がユーザー間で取り引き可能とされたゲームシステムにおいて、
各ゲーム機のユーザーに関する前記ゲーム要素の所持状態を判別するための所持情報を保有する所持情報記憶手段と、
前記複数のゲーム機から、前記ゲーム要素を渡す側の第1のゲーム機と前記ゲーム要素を受け取る側の第2のゲーム機とを識別する識別手段と、
前記第1のゲーム機のユーザーに対応する前記所持情報に基づいて、当該第1のゲーム機のユーザーが所持するゲーム要素から前記第2のゲーム機のユーザーが獲得可能なゲーム要素を判別するための取引情報を前記第2のゲーム機に提供する取引情報提供手段と、
前記取引情報に基づいて、前記獲得可能なゲーム要素を前記第2のゲーム機の表示装置を通じて第2のゲーム機のユーザーに提示する提示手段と、
前記第2のゲーム機の入力装置に対する所定の選択および決定操作に応答して、前記獲得可能なゲーム要素から前記第2のゲーム機のユーザーが実際に獲得する少なくとも一つのゲーム要素を選択する取引対象選択手段と、
前記取引対象選択手段による前記ゲーム要素の選択に対応して、前記第2のゲーム機を操作するユーザーが所持するゲーム要素として、前記選択されたゲーム要素が加えられるように前記所持情報を更新する情報更新手段と、
前記選択および決定操作が行われている状況を判別するための操作情報を前記第2のゲーム機から前記第1のゲーム機へと提供する操作情報提供手段と、
前記選択および決定操作に対応して、前記ゲーム要素の選択が行われている状況を前記第2のゲーム機の表示装置に表示させるとともに、前記操作情報に基づいて前記ゲーム要素の選択が行われている状況を前記第1のゲーム機の表示装置に表示させる選択状況表示手段と、
を備えたことを特徴とするゲームシステム。」

3.引用文献に記載された発明
原査定の拒絶理由に引用され、本願の出願の日前に頒布された「シャドウタワー オフィシャルガイドブック」、株式会社アスキー、1998年8月8日、初版、第174〜176ページ(以下、引用文献という。)には、以下の事項が記載されている。

・記載事項1(第174ページ上段「クリーチャー同士のアイテム争奪バトル」欄)
「メモリカードにセーブされた、ゲームデータ中のクリーチャー同士を対戦させるVSモード。・・・
ユーザーふたりがゲームデータを持ち寄り、各々が・・・クリーチャーを操作して、対戦を行うのがVSモードだ。この勝負の勝者は敗者が持っているアイテムから1点を選び、奪うことができる。」

・記載事項2(第174ページ中段「対戦スタート」欄)
「対戦させるクリーチャーや奪うアイテムが決まったら、VSメニューで「対戦スタート」。セット数を1または3から選びバトル開始だ。」

・記載事項3(第175ページ上段「ロード/セーブ」欄)
「1P側のメモリカードをスロット1に、2P側のメモリカードをスロット2に挿し、それぞれ通常プレイのセーブデータをロードする。」

・記載事項4(第175ページ中段「クリーチャー選択」欄)
「ロードしたデータのクリーチャーブックに記録されているクリーチャーのみが表示される。ここから対戦に使うものを3体まで選択。」

・記載事項5(第175ページ下段「アイテム選択」欄)
「1P、2Pそれぞれのデータが持っているアイテムから、互いに「相手のどのアイテムが欲しいか」を決める。選択リストに現れるのは、「相手は持っているが、自分は持っていないもの」のみ。自分も相手も持っているものはリストに表示されない。・・・リクエストできるアイテムは、「相手だけが持っている及び装備しているもの」。相手が持っていないものはもちろん、すでに自分が持っているものもリクエストできない。」

・記載事項6(第176ページ上段「どのクリーチャーを使うべきか」欄)
「・・・通常プレイ中の画面がプレイヤーの視点であるのに対して、VSモードでは横からの視点になっている。・・・」

・記載事項7(第176ページ中段左「アイテムの行方」欄)
「対戦で勝利し、相手から獲得したアイテムは通常ゲームでも使用可能。」

上記記載事項、及び、記載事項に付随するゲーム画像によれば、引用文献には、以下の発明が記載されているものと認められる。

「二人のユーザーがゲームデータを持ち寄り、対戦させるクリーチャー、及び、奪うアイテムを決定し、クリーチャーを操作して対戦を行って、勝負の勝者は敗者が持っているアイテムを奪うゲームであって、
二人のユーザーそれぞれが持っている複数のアイテムから互いに相手のどのアイテムが欲しいか決定するものであって、相手は持っているが自分は持っていないものを表示する選択リストからアイテムを選択することにより奪うアイテムを決定するゲーム。」(以下、「引用発明」という。)

4.本願発明と引用発明との対比
・対応関係1
引用発明における「対戦」は本願発明における「共通のゲーム」に相当し、以下同様に「アイテム」は「ゲーム要素」に相当する。

・対応関係2
引用文献がゲームのガイドブックであることを考えれば、当該文献を読む者にとって当該ゲームが、どのような環境を整えれば遊ぶことができるかは、基本的な知識として知っていることであり、引用発明のゲームが、コンピュータであるところの家庭用ゲーム機「プレイステーション」(登録商標)により実現されるゲームであることは、当業者にとって自明のことである。
そして、コンピュータにおいて複数の処理を実現するものについて、前記複数の処理について、各々の処理を行う「手段」として構成を記述することは、一般的になされていることであり、また、1つのゲーム機を主体としてゲームを行うものであっても、コントローラ、ディスプレイ、あるいは、外部記憶手段であるメモリカード等とを含めて「ゲームシステム」と記述することは、一般的になされていることである。
してみれば、引用発明のゲームで行われる各処理を各々処理「手段」として表現し、引用発明を全体として「ゲームシステム」と表現できることは当業者に自明のことである。

・対応関係3
引用発明における「ユーザー」は、共通のゲーム(対戦)によってゲーム要素(アイテム)のやりとりを行う者であり、本願発明の「ユーザー」とは、共通のゲームによってゲーム要素のやりとりを行うゲームシステムの利用者という意味においての「ユーザー」である点において共通する。

・対応関係4
上記記載事項7には「対戦で勝利し、相手から獲得したアイテムは通常ゲームでも使用可能」と記載されている。
そして、上記記載事項6によれば、引用文献に記載されたゲームには、上記「通常ゲーム」に対応する通常プレイと引用発明の「対戦」に対応するVSモードがあるので、上記記載事項7における「でも」が、獲得したアイテムが対戦において使用可能であるという前提を示していることは当業者に自明のことである。
よって、引用発明のゲーム要素(アイテム)は、共通のゲーム(対戦)上の使用が予定されたものである。

・対応関係5
引用発明は、共通のゲーム(対戦)を行って、勝負の勝者は敗者が持っている複数のゲーム要素(アイテム)から選択したゲーム要素(アイテム)を奪うものである。
ここで、選択されたゲーム要素は、選択されているのであるから、当然、「少なくとも一つ」と表現できるものである。
ところで、本願発明における「取り引き」とは、発明の詳細な説明によれば、対戦に勝利したプレイヤーが敗退したプレイヤーから所望のアイテムを奪い取ること(段落【0025】)を実施例とするものである。
してみれば、引用発明は、ユーザーが所持する少なくとも一つのゲーム要素がユーザー間で取り引き可能とされたものである。

・対応関係6
引用発明は、共通のゲーム(対戦)を行って、勝負の勝者は敗者が持っている複数のゲーム要素(アイテム)から選択したゲーム要素(アイテム)を奪うものであり、ゲーム要素を渡す側及びゲーム要素を受け取る側を識別している。
してみれば、引用発明は、ゲーム要素を渡す側と前記ゲーム要素を受け取る側とを識別する点において、本願発明と共通する識別手段を備えているといえるものである。

・対応関係7
引用発明は、二人のユーザーそれぞれが持っている複数のゲーム要素(アイテム)から互いに相手のどのゲーム要素が欲しいか決定するものであって、相手は持っているが自分は持っていないものを表示する選択リストからゲーム要素を選択するものであり、上記対応関係2で記載した通り、引用発明はコンピュータで実現されるものである。
してみれば、引用発明は、各ユーザーに関するゲーム要素の所持状態を判別するための所持情報を保有する点、一方のユーザーに対応する所持情報に基づいて、当該一方のユーザーが所持するゲーム要素から他方のユーザーが獲得可能なゲーム要素を判別するための取引情報を提供する点、取引情報に基づいて獲得可能なゲーム要素を表示装置を通じて他方のユーザーに提示する点、及び、入力装置に対する所定の選択および決定操作に応答して獲得可能なゲーム要素から他方のユーザーが少なくとも一つのゲーム要素を選択する点において、本願発明とそれぞれ共通する所持情報記憶手段、取引情報提供手段、提示手段、及び、取引対象選択手段を備えているといえる。

・対応関係8
引用発明は、共通のゲーム(対戦)を行って、勝者が敗者から選択されたゲーム要素(アイテム)を奪うものである。
引用発明は、共通のゲーム(対戦)を行う前に奪うゲーム要素を選択するものなので、二人のユーザーのうち敗者が行ったゲーム要素の選択は、ユーザーが所持するゲーム要素に影響を与えないものの、勝者が行ったゲーム要素の選択は、ユーザーが所持するゲーム要素として、選択されたゲーム要素が加えられるように所持情報を更新することに用いられるので、引用発明は、取引対象選択手段によるゲーム要素の選択に対応して、ユーザーが所持するゲーム要素として、選択されたゲーム要素が加えられるように所持情報を更新する点において、本願発明と共通する情報更新手段を備えているといえる。

・一致点
よって、本願発明と引用発明は、
「共通のゲームがプレイ可能なゲーム機を含み、前記共通のゲームでは、当該ゲーム上の使用が予定された複数のゲーム要素のうち、各ユーザーが所持する少なくとも一つのゲーム要素がユーザー間で取り引き可能とされたゲームシステムにおいて、
各ユーザーに関する前記ゲーム要素の所持状態を判別するための所持情報を保有する所持情報記憶手段と、
ゲーム要素を渡す側と前記ゲーム要素を受け取る側とを識別する識別手段と、
一方のユーザーに対応する前記所持情報に基づいて、当該一方のユーザーが所持するゲーム要素から他方のユーザーが獲得可能なゲーム要素を判別するための取引情報を提供する取引情報提供手段と、
前記取引情報に基づいて、前記獲得可能なゲーム要素を表示装置を通じて他方のユーザーに提示する提示手段と、
入力装置に対する所定の選択および決定操作に応答して、前記獲得可能なゲーム要素から他方のユーザーが少なくとも一つのゲーム要素を選択する取引対象選択手段と、
前記取引対象選択手段による前記ゲーム要素の選択に対応して、ユーザーが所持するゲーム要素として、前記選択されたゲーム要素が加えられるように前記所持情報を更新する情報更新手段と、
を備えたゲームシステム。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

・相違点1
本願発明は、ゲームシステムのゲーム機が通信手段を介したデータ交換を利用した複数のゲーム機で構成されており、ユーザーが各ゲーム機のユーザーであるのに対して、引用発明は、ゲームシステムのゲーム機が1つのゲーム機で構成されており、ユーザーがゲームシステムのユーザーである点。(以下、相違点1という。)

・相違点2
識別手段が、本願発明は、複数のゲーム機から、ゲーム要素を渡す側の第1のゲーム機と前記ゲーム要素を受け取る側の第2のゲーム機とを識別するものであるのに対して、引用発明は、ゲーム要素を渡す側と前記ゲーム要素を受け取る側とを識別するものである点。(以下、相違点2という。)

・相違点3
取引情報提供手段において提供される取引情報が、本願発明は、第1のゲーム機のユーザーが所持するゲーム要素から第2のゲーム機のユーザーが獲得可能なゲーム要素を判別するためのものであるのに対して、引用発明は、二人のユーザーそれぞれが所持するゲーム要素から相手が獲得可能なゲーム要素を判別するためのものである点。(以下、相違点3という。)

・相違点4
提示手段での獲得可能なゲーム要素の提示が、本願発明は、第2のゲーム機の表示装置を通じて第2のゲーム機のユーザーに提示するものであるのに対して、引用発明は、ユーザー共通の表示装置を通じて、二人のユーザーに提示するものである点。(以下、相違点4という。)

・相違点5
取引対象選択手段による選択が、本願発明は、第2のゲーム機の入力装置に対する操作に応じて、第2のゲーム機のユーザーが実際に獲得するゲーム要素を選択するものであるのに対して、引用発明は、ユーザー共通の入力装置に対する操作に応じて、勝者となったときに獲得するゲーム要素を選択するものである点。(以下、相違点5という。)

・相違点6
情報更新手段が、本願発明は、第2のゲーム機を操作するユーザーについての所持情報を更新するのに対して、引用発明は、勝者となったユーザーの所持情報を更新するものである点。(以下、相違点6という。)

・相違点7
本願発明は、選択および決定操作が行われている状況を判別するための操作情報を第2のゲーム機から第1のゲーム機へと提供する操作情報提供手段と、前記選択および決定操作に対応して、ゲーム要素の選択が行われている状況を前記第2のゲーム機の表示装置に表示させるとともに、前記操作情報に基づいて前記ゲーム要素の選択が行われている状況を前記第1のゲーム機の表示装置に表示させる選択状況表示手段を備えているのに対して、引用発明は、そのように構成されていない点。(以下、相違点7という。)

5.相違点についての検討
・相違点1について
ゲーム分野において、通信手段を介したデータ交換を利用した複数のゲーム機でゲームシステムを構成し、各ゲーム機のユーザーが、各ゲーム機を介して、ゲーム要素の受け渡しをともなう共通のゲームを行うシステムは、例えば、下記周知文献1乃至3に記載されているように周知のシステムである。
引用発明及び上記周知のシステムは、いずれも複数のユーザーで共通のゲームを行うものであり、上記周知のシステムを引用発明に適用することに格別の困難性はなく、前記相違点1に係る本願発明の構成のようにすることは、当業者が容易になし得ることである。

周知文献1:「ポケットルアーボーイ 公式ガイド」、株式会社新紀元社、
1999年7月30日、初版、第114〜117ページ
周知文献2:「Vジャンプブックス[ゲームシリーズ]遊☆戯☆王
デュエルモンスターズII 究極攻略BOOK 下巻
通信デュエル必勝編」、株式会社集英社、1999年8月
10日、初版、第14〜16ページ
周知文献3:電撃PlayStation、メディアワークス、
1998年11月27日、第4巻第27号、第24ページ

・相違点2について
引用発明に対して、上記周知のシステムを適用すれば、引用発明における二人のユーザーは、複数のゲーム機それぞれのユーザーとなるものであり、前記相違点2に係る本願発明の構成のようにすることは、上記相違点1において検討した上記周知のシステムを引用発明に適用することに付随して自ずとなされることであり、当業者が容易になし得ることである。

・相違点3について
ゲームとして、複数人で共通のゲームを行った後に勝者にのみ選択を行わせるルールは、例えば、サッカーの試合前のコイントス(共通のゲーム)において勝者にエンドを選択させるルール、王様ゲーム(共通のゲーム)において当たりを引き当てた者(勝者)に他者にさせる動作を選択させるルール等のように周知のルールであり、上記周知文献1にも、前記周知のルールの一つである、共通のゲームを行った後に勝者に奪うゲーム要素(ルアー)の選択を行わせるルールが記載(※1)されている。
引用発明及び上記周知のルールは、いずれも複数人で共通のゲームを行うことに関するものであり、上記周知のルールを引用発明に適用することに格別の困難性はなく、前記相違点3に係る本願発明の構成のようにすることは、当業者が容易になし得ることである。

※1 周知文献1第117ページ右下欄には「勝負に勝つとルアーが奪える・・・相手が持っているルアーを奪うことができる。どのルアーかは勝ったほうが決めるので・・・」と記載されている。

・相違点4について
引用発明に対して、上記周知のシステムを適用すれば、引用発明における二人のユーザーは、複数のゲーム機それぞれのユーザーとなるものであり、表示装置を通じた情報の提示は、それぞれのゲーム機の表示装置により行われることとなる。
また、引用発明に対して、上記周知のルールを適用すれば、ゲーム要素の選択は、ゲーム要素を受け取る側のゲーム機のみで行われることとなる。
よって、前記相違点4に係る本願発明の構成のようにすることは、上記相違点1及び3において検討した上記周知のシステム及び周知のルールを引用発明に適用することに付随して自ずとなされることであり、当業者が容易になし得ることである。

・相違点5について
引用発明に対して、上記周知のシステムを適用すれば、引用発明における二人のユーザーは、複数のゲーム機それぞれのユーザーとなるものであり、入力装置に対する操作は、それぞれのゲーム機の入力装置により行われることとなる。
また、引用発明に対して、上記周知のルールを適用すれば、ゲーム要素の選択は、ゲーム要素を受け取る側のゲーム機のみで行われることとなる。
よって、前記相違点5に係る本願発明の構成のようにすることは、上記相違点1及び3において検討した上記周知のシステム及び周知のルールを引用発明に適用することに付随して自ずとなされることであり、当業者が容易になし得ることである。

・相違点6について
引用発明に対して、上記周知のシステムを適用すれば、引用発明における二人のユーザーは、複数のゲーム機それぞれのユーザーとなるものであり、前記相違点6に係る本願発明の構成のようにすることは、上記相違点1において検討した上記周知のシステムを引用発明に適用することに付随して自ずとなされることであり、当業者が容易になし得ることである。

・相違点7について
ゲーム分野において、通信手段を介した複数のゲーム機でゲームシステムを構成し各ゲーム機を介して共通のゲームを行うシステムにおいて、一方のゲーム機での操作に対応した選択の状況を他方の表示装置に表示させることは、例えば、下記周知文献4乃至5に記載されているように周知の技術である。
引用発明は、システムの構成上必然的なものであるとはいえ、他者の選択状況が確認できるものであり、また、複数人で行うゲームにおいて他者の状況、特に、自己が所有するゲーム要素の変動に関連する状況を知りたいと考えるのがゲームを行う者にとって自然な発想であることを考えれば、上記相違点1において検討した上記周知のシステムを採用するにあたって、上記周知の技術を用いることに格別の困難性はなく、前記相違点7に係る本願発明の構成のようにすることは、当業者が容易になし得ることである。

周知文献4:特開平11-250275号公報
周知文献5:特開平10-171741号公報

・効果について
本願発明の効果が、引用文献、及び、周知事項に基づく効果の総和以上の格別なものとは認められない。

・まとめ
したがって、本願発明は、引用文献、及び、周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、上記引用文献、及び、周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願の他の請求項について検討するまでもなく、本願は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-06-16 
結審通知日 2006-06-20 
審決日 2006-07-03 
出願番号 特願2000-10091(P2000-10091)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 武田 悟  
特許庁審判長 中村 和夫
特許庁審判官 宮本 昭彦
塩崎 進
発明の名称 ゲームシステム、ゲーム用データの交換制御方法、ゲーム機およびコンピュータ読取可能な記憶媒体  
代理人 星野 哲郎  
代理人 山本 晃司  

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