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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1142191
審判番号 不服2003-18818  
総通号数 82 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-01-11 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-09-25 
確定日 2006-08-17 
事件の表示 特願2000-182159「ストール監視装置及びストール監視方法並びにストール監視プログラムを記録した記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 1月11日出願公開、特開2002- 7172〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成12年6月16日の出願であって、平成15年8月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月25日に審判請求及び手続補正がなされ、前置審査により平成16年1月6日付けで拒絶理由が通知されたが、請求人からは応答期間内に応答がなかったものであり、その請求項1に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。)

「アプリケーションプログラムの業務処理を実行後、その業務処理の実行完了を示すトレース情報を記憶すると共に、新たな業務処理の実行完了により上書きされて更新されたトレース情報を更新済みトレース情報として記憶するトレース情報記憶手段と、
係るトレース情報記憶手段に記憶された前記トレース情報が、予め設定されたストール状態判断時間を超過してなおトレース情報記憶手段に保持されている場合にストール状態と判断するストール監視手段と、
前記トレース情報記憶手段に記憶された情報を読み込み、読み込んだ情報が前記更新済みトレース情報である場合に0クリアし、更新済みでないトレース情報である場合に1を加算するカウンタとを有し、
前記ストール監視手段は、前記カウンタと前記トレース情報記憶手段のトレース情報をチェックする間隔とに基づいて、前記ストール状態判断時間の超過を検出することを特徴とするストール監視装置。」

2.引用発明
上記拒絶理由に引用された、本願の出願日前である平成4年3月12日に頒布された刊行物である特開平4-77935号公報(以下「引用文献」という。)には、その記載からして、次のとおりの発明(以下、「引用発明」という。)が開示されている。

プログラムの前半部又は後半部を実行後、その前半部又は後半部の実行終了後に更新される係数値を記憶すると共に、新たな前半部又は後半部の実行終了により更新された係数値を記憶する係数カウンタと、
係る係数カウンタに記憶された前記係数値が、予め設定された50msを超過してなお係数カウンタに保持されている場合に永久ループ等による異常状態と判断する割込ルーチンと、
前記係数カウンタに記憶された情報を読み込み、読み込んだ情報が前記更新された係数値である場合にリセットし、更新されていない係数値である場合に1を加算する停止カウンタとを有し、
前記割込ルーチンは、前記係数カウンタの係数値をチェックする間隔が2.5msであり、前記停止カウンタが20を超えていると前記50msの超過を検出することを特徴とする故障検出回路。

3.本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「プログラム」、「実行終了後に更新されるトレース情報」、「実行終了により更新された係数値」、「係数カウンタ」、「50ms」、「永久ループ等による異常状態」、「割込ルーチン」、「リセット」、「更新されていない係数値」、「停止カウンタ」及び「故障検出回路」は、それぞれ本願発明の「アプリケーションプログラム」、「実行完了を示すトレース情報」、「上書きされて更新されたトレース情報」(更新済みトレース情報)、「トレース情報記憶手段」、「ストール状態判断時間」、「ストール状態」、「ストール監視手段」、「0クリア」、「更新済みでないトレース情報」、「カウンタ」及び「ストール監視装置」に対応している。
また、引用発明において、50ms=2.5ms×20である(引用文献の第3頁右下欄第4行目参照)から、「前記係数カウンタの係数値をチェックする間隔が2.5msであり、前記停止カウンタが20を超えていると前記50msの超過を検出すること」は、本願発明の「前記カウンタと前記トレース情報記憶手段のトレース情報をチェックする間隔とに基づいて、前記ストール状態判断時間の超過を検出する」に相当する。
さらに、引用発明のプログラムが特定の機能を実現していること、及び、当該プログラムを構成する「前半部又は後半部」も、プログラムの特定の機能を実現していることは技術常識から自明であり、この点において、本願発明の「業務処理」と共通している。
よって、両者は、

アプリケーションプログラムの特定の機能を実行後、その特定の機能の実行完了を示すトレース情報を記憶すると共に、新たな特定の機能の実行完了により上書きされて更新されたトレース情報を更新済みトレース情報として記憶するトレース情報記憶手段と、
係るトレース情報記憶手段に記憶された前記トレース情報が、予め設定されたストール状態判断時間を超過してなおトレース情報記憶手段に保持されている場合にストール状態と判断するストール監視手段と、
前記トレース情報記憶手段に記憶された情報を読み込み、読み込んだ情報が前記更新済みトレース情報である場合に0クリアし、更新済みでないトレース情報である場合に1を加算するカウンタとを有し、
前記ストール監視手段は、前記カウンタと前記トレース情報記憶手段のトレース情報をチェックする間隔とに基づいて、前記ストール状態判断時間の超過を検出することを特徴とするストール監視装置。

の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点]
特定の機能が、本願発明は、「業務処理」であるのに対し、引用発明では、具体的に特定されていない点。

4.当審の判断
上記相違点について検討するに、プログラムにより業務処理を行うことは、本願の出願時においてごく一般的に行われていたことであるから、引用発明において、プログラムの前半部又は後半部により実現される特定の機能を「業務処理」に限定することに格別な困難性はない。

そして、本願発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から当業者が容易に予測できる範囲内のものである。

5.むすび
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-06-14 
結審通知日 2006-06-20 
審決日 2006-07-04 
出願番号 特願2000-182159(P2000-182159)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 坂庭 剛史  
特許庁審判長 赤川 誠一
特許庁審判官 青木 重徳
林 毅
発明の名称 ストール監視装置及びストール監視方法並びにストール監視プログラムを記録した記録媒体  
代理人 河合 信明  
代理人 机 昌彦  
代理人 谷澤 靖久  

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