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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1142398
審判番号 不服2003-24456  
総通号数 82 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-02-16 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-12-18 
確定日 2006-08-24 
事件の表示 平成7年特許願第123573号「半導体基板上に所望のパターンの樹脂膜を形成する方法、半導体チップ、半導体パッケージ、及びレジスト像剥離液」拒絶査定不服審判事件〔平成8年2月16日出願公開、特開平8-45900〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 [1]手続の経緯
本願は、平成7年5月23日(優先権主張 平成6年5月24日)の出願であって、平成15年8月11日付で拒絶理由通知がなされ、同年10月17日付で意見書が提出され、平成15年8月11日付拒絶理由通知書に記載した理由によって、同年11月11日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月18日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成16年1月19日付で手続補正書が提出されたものである。

[2]平成16年1月19日付手続補正についての補正却下の決定

<補正却下の決定の結論>
平成16年1月19日付手続補正を却下する。

<理由>
[2-1]補正の内容
平成16年1月19日付手続補正は、特許請求の範囲を、
「【請求項1】(A)半導体基板上に、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、キシレン及びヘプタンからなる群より選ばれる1種又は2種以上の有機溶剤に可溶である有機溶剤可溶性樹脂膜層を形成させ;
(B)この上に所望のパターンのレジスト像を形成させ;
(C)有機溶剤で処理して、レジスト像で被覆されていない部分の有機溶剤可溶性樹脂膜層をエッチング・除去し;
(D)レジスト像剥離液で処理して、レジスト像を有機溶剤可溶性樹脂膜層から剥離させる;半導体基板上に所望のパターンの樹脂膜を形成する方法。
【請求項2】(D)の処理のあと更に、(E)アルコールで処理する;請求項1の方法。
【請求項3】レジスト像剥離液が、溶媒100重量部に対しアリールスルホン酸0.01〜10.0重量部を含み、かつ、その溶媒の溶解性パラメータが5.0〜11.0である、請求項1又は2のいずれかの方法。
【請求項4】アリールスルホン酸が、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸及びプロピルベンゼンスルホン酸からなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項3の方法。
【請求項5】溶解性パラメータが5.0〜11.0である溶媒が、キシレン、シクロヘキサン、トルエン及びベンゼンからなる群から選ばれる少なくとも一つを含むものである、請求項3の方法。
【請求項6】有機溶剤可溶性樹脂がポリイミド樹脂である、請求項1〜5のいずれかの方法。
【請求項7】半導体基板上に、請求項1〜6のいずれかの方法により所望のパターンの樹脂膜を形成させた半導体チップ。
【請求項8】請求項7の半導体チップの電極とリードフレームとを接続し、封止材で封止してなる半導体パッケージ。」と補正するものである。

[2-2]補正の目的
請求項1は、補正前の請求項1の(A)欄に記載された「有機溶剤可溶性樹脂膜層」を、「N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、キシレン及びヘプタンからなる群より選ばれる1種又は2種以上の有機溶剤に可溶である有機溶剤可溶性樹脂膜層」と限定したものに該当し、
請求項2〜8は、上記請求項1を引用する請求項、又はそれを更に引用する下位の請求項に該当する。
したがって、請求項1〜8は、いずれも平成6年法改正前の特許法第17条の2第3項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、補正前の請求項9〜12を削除する補正は、同法第17条の2第3項第1号に掲げる、第36条第5項第2号に規定する請求項の削除を目的とするものに該当する。

[2-3]独立特許要件
次いで、上記の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正後の請求項1〜8に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下検討する。

(1)補正後の本願発明
上記補正後の請求項1〜8に係る発明(以下、「本願補正発明1」〜「本願補正発明8」という。)は、平成16年1月19日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1〜8に記載された、上記[2-1]の【請求項1】〜【請求項8】に記載したとおりのものと認める。

(2)引用刊行物の記載事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願の優先権主張日前に頒布された刊行物である特開平1-120557号公報(以下、「引用刊行物」という。)には、以下の事項が記載されている。

(a)「ポリアミド酸を用いて形成された高分子膜を熱処理して、上記ポリアミド酸の10〜80%をイミド化させ、次いで、一部イミド化された高分子膜をその所定の部分を露出させて耐薬品性のホトレジスト被膜で覆い、次いで上記高分子膜の露出部分を、モノエタノールアミンを30容量%以上含有する有機塩基性溶液を用いてエッチングし、然る後、上記ホトレジスト被膜を除去することを特徴とするポリイミド系樹脂膜からなるパターンの形成法。」(特許請求の範囲)、
(b)〔産業上の利用分野〕として、「本発明は、電子部品用の絶縁膜や保護膜等として用いられるポリイミド系樹脂膜からなるパターンの形成法に関するもので、本発明の形成法によれば、膜厚が数μm以上の被膜でも微細なパターンを形成することができる。」(第1頁左下欄18行〜右下欄2行)
(c)〔問題点を解決するための手段〕として、「本発明でエッチング液として用いられる有機塩基性溶液としては、モノエタノールアミンが有機溶媒に30容量%以上、好ましくは40容量%以上の濃度で溶解したものであれば良く、上記有機溶媒としては、N-メチル-2-ピロリドン・・・N,N-ジメチルホルムアミド、ジエタノールアミン・・・等の塩基性溶媒が挙げられ、特にN-メチル-2-ピロリドン、ジエタノールアミンが好ましい。また、上記有機塩基性溶媒に、キシレン・・・等を少量混合することもできる。」(第2頁右下欄16行〜第3頁左上欄8行)、
(d)「ポリアミド酸からなる高分子膜を熱処理して、前記ポリアミド酸の10〜80%、好ましくは20〜70%をイミド化させ、一部イミド化された高分子膜を得る。イミド化率が上記範囲より低いと、高分子膜がエッチングされ過ぎて鮮明なパターンが得られず、またイミド化率が高過ぎると、エッチング液を高温にする必要が生じ、そのためエッチング中にホトレジスト被膜が剥離する」(第3頁右上欄16行〜左下欄4行)、
(e)実施例として、「〈1〉予めシランカップリング剤で処理をしたガラス基板上にポリアミド酸溶液をスピンコータを用いて・・・塗布した後、該塗布膜を・・・熱処理し、膜厚が15.0μmの一部イミド化された高分子膜を形成する。この高分子膜のイミド化率は40%であった。
〈2〉上記の一部イミド化された高分子膜上に・・・ネガ型レジストからなる薄膜を形成する。
〈3〉上記薄膜に40μmライン/スペースのホトマスクを密着し、該ホトマスクを通して、露光(・・・)する。
〈4〉露光後、・・・該薄膜の未露光部分を溶出、除去する。
〈5〉上記薄膜を・・・乾燥し、・・・耐薬品性のホトレジスト被膜を形成する。
〈6〉耐薬品性のホトレジスト被膜で覆われた上記の一部イミド化された高分子膜を、モノエタノールアミン溶液に35℃で15分間浸漬して、上記ホトレジスト被膜で覆われていない上記高分子膜の露出部分をエッチングする。
〈7〉エッチング後、上記耐薬品性のホトレジスト被膜で覆われている上記の一部イミド化された高分子膜を、剥離液(・・・)に80℃の温度下に2分間浸漬して、上記ホトレジスト被膜を剥離除去する。」(第4頁左下欄7行〜右下欄18行)が記載されている。

なお、当起案システムでは丸数字が使用できないため、丸数字を「〈1〉〈2〉〈3〉・・・〈7〉」で表記した。

(3)対比・判断
(3-1)本願補正発明1について
上記(2)に摘記した事項(a)〜(e)を総合すると、引用刊行物には、「電子部品の基板上にポリアミド酸を用いて形成された高分子膜を熱処理して、上記ポリアミド酸の10〜80%をイミド化させた高分子膜を形成し、次いで、一部イミド化させた高分子膜をその所定の部分を露出させて耐薬品性のホトレジスト被膜で覆い、次いで上記高分子膜の露出部分を、モノエタノールアミンを30容量%以上含有する有機塩基性溶液を用いてエッチングし、然る後、剥離液に浸漬して上記ホトレジスト被膜を剥離除去する、ポリイミド系樹脂膜からなるパターンの形成法」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
そして、本願補正発明1と引用発明とを対比すると、引用発明における「モノエタノールアミンを30容量%以上含有する有機塩基性溶液」には、モノエタノールアミンをN-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド等の有機溶媒に溶解させた溶液が含まれ(上記摘記(c)参照)、該溶液にポリアミド酸の10〜80%をイミド化させた高分子膜を浸漬し、高温に加熱することなく短時間のうちに溶解させ得る(上記摘記(d)、(e)参照)のであるから、該溶液は該高分子膜の有機溶剤に他ならず、該高分子膜は有機溶剤可溶性樹脂膜層に他ならない。
また、引用発明における「ホトレジスト被膜」、「その所定の部分を露出させて耐薬品性のホトレジスト被膜で覆い」、「高分子膜の露出部分」、「モノエタノールアミンを30容量%以上含有する有機塩基性溶液を用いてエッチングし」、「剥離液に浸漬して」、「ホトレジスト被膜を剥離除去する」、「ポリイミド系樹脂膜からなるパターン」は夫々、本願補正発明1における「レジスト像」、「この上に所望のパターンのレジスト像を形成させ」、「レジスト像で被覆されていない部分の有機溶剤可溶性樹脂膜層」、「有機溶剤で処理して、・・・エッチング・除去し」、「レジスト像剥離液で処理して」、「レジスト像を有機溶剤可溶性樹脂膜層から剥離させる」、「所望のパターンの樹脂膜」に相当する。
そうすると、両者は、「(A)基板上に、有機溶剤に可溶である有機溶剤可溶性樹脂膜層を形成させ;
(B)この上に所望のパターンのレジスト像を形成させ;
(C)有機溶剤で処理して、レジスト像で被覆されていない部分の有機溶剤可溶性樹脂膜層をエッチング・除去し;
(D)レジスト像剥離液で処理して、レジスト像を有機溶剤可溶性樹脂膜層から剥離させる;基板上に所望のパターンの樹脂膜を形成する方法。」の点で一致し、次の点で相違する。
(イ)所望のパターンの樹脂膜を形成する基板が、本願補正発明1では、半導体基板であるのに対し、引用発明では、電子部品の基板である点。
(ロ)樹脂膜層の有機溶剤が、本願補正発明1では、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、キシレン及びヘプタンからなる群より選ばれる1種又は2種以上であるのに対し、引用発明では、モノエタノールアミンを30容量%以上含有する有機塩基性溶液である点。

そこで、上記相違点(イ)(ロ)について以下検討するに、半導体基板上に樹脂膜のパターンを形成すること、及び、その際に、半導体基板上に被覆した樹脂膜を、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の有機溶剤で所望のパターンが残るように溶解することが本願出願の優先権主張日前周知であるから(例えば、特開平5-72736号公報,段落【0001】〜【0003】,【0015】;特開昭56-45915号公報,第4頁右上欄15行〜左下欄13行,第6頁右上欄15行〜左下欄7行;特開平1-266725号公報,特許請求の範囲,第5頁右下欄1〜16行参照)、引用発明において、電子部品の基板を半導体基板とし、該基板上にN-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド等の有機溶剤で溶解し得る樹脂膜を形成し、該有機溶剤で該樹脂膜をエッチングすることは、当業者が容易に想到し得たものと認められる。
そして、上記相違点(イ)(ロ)に係る本願補正発明1の特定事項によってもたらされる効果も、引用刊行物の記載及び上記周知の技術から当業者が普通に予測し得る程度のものであって、格別なものとはいえない。

したがって、本願補正発明1は、引用刊行物に記載された発明及び上記周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(4)むすび
以上のとおり、本願補正発明1が特許出願の際独立して特許を受けることができないため、本願補正発明2〜8について検討するまでもなく、本件補正は、平成6年法改正前の特許法第17条の2第4項で準用する同法第126条第3項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

[3]本願発明
平成16年1月19日付手続補正は上記のとおり却下されたので、本願請求項1〜12に係る発明は、出願当初の明細書の特許請求の範囲の請求項1〜12に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は以下のとおりである。
「【請求項1】(A)半導体基板上に、有機溶剤可溶性樹脂膜層を形成させ;
(B)この上に所望のパターンのレジスト像を形成させ;
(C)有機溶剤で処理して、レジスト像で被覆されていない部分の有機溶剤可溶性樹脂膜層をエッチング・除去し;
(D)レジスト像剥離液で処理して、レジスト像を有機溶剤可溶性樹脂膜層から剥離させる;半導体基板上に所望のパターンの樹脂膜を形成する方法。」

[4]引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物(特開平1-120557号公報)には、上記[2-3](2)に摘記した事項(a)〜(e)が記載されている。

[5]対比・判断
本願発明1は、上記[3]で認定したとおり、本願補正発明1における、「N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、キシレン及びヘプタンからなる群より選ばれる1種又は2種以上の有機溶剤に可溶である有機溶剤可溶性樹脂膜層」の「N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、キシレン及びヘプタンからなる群より選ばれる1種又は2種以上の有機溶剤に可溶である」を削除したものに相当する。
そうすると、本願発明1を特定するために必要と認める事項を全て含み、更に他の事項を付加したものに相当する本願補正発明1が、上記[2-3](3-1)の欄で説示したとおり、引用刊行物に記載された発明及び上記周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1についても、同様の理由により、引用刊行物に記載された発明及び上記周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

[6]むすび
以上のとおり、本願発明1は、引用刊行物に記載された発明及び上記周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
また、上記のとおり本願発明1が特許を受けることができないため、本願の請求項2〜12に係る発明ついて検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-06-15 
結審通知日 2006-06-27 
審決日 2006-07-12 
出願番号 特願平7-123573
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 橋本 憲一郎酒井 英夫  
特許庁審判長 城所 宏
特許庁審判官 市川 裕司
宮崎 園子
発明の名称 半導体基板上に所望のパターンの樹脂膜を形成する方法、半導体チップ、半導体パッケージ、及びレジスト像剥離液  
代理人 三好 秀和  

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