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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04M
管理番号 1142401
審判番号 不服2004-675  
総通号数 82 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-01-11 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-01-08 
確定日 2006-08-24 
事件の表示 特願2000-186835「電話交換機の迷惑電話防止方法とその装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 1月11日出願公開、特開2002- 9951〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 理由
1 手続きの経緯・本願発明
本願は、平成12年6月21日の出願であって、その請求項1に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。(以下、「本願発明1」という。)
「一般電話加入者が接続許可を指定する複数の特定加入者番号と、無言電話及びファクシミリ誤着信による迷惑電話の接続拒否を指定する複数の接続拒否発信者番号を予め電話交換機に登録するステップを有する電話交換機の迷惑電話防止方法において、
不特定加入者からの着信呼を受け、予め設定された通話レベル以下と、予め設定された継続時間以上を有する着信呼を無言電話として検出するステップと、
前記無言電話の検出信号により着信され接続している回線を切断するステップ
を有することを特徴とする電話交換機の迷惑電話防止方法。」

2 引用刊行物に記載された発明
これに対して、当審における、平成18年3月2日付けで通知した拒絶の理由に引用した、平成7年3月29日に頒布された「特公平7-28334号公報」(以下、引用刊行物1という。)には、次の事項が記載されている。
記載事項(1)
「これらの動作を説明するため、第1図の電話機に着信があった場合を説明する。
着信は、呼出し検出回路1によって、一般の公衆電話網の場合は加入者回線の電位逆転、ある種のPBXなど構内交換機においては、ベル鳴動交流電流の到達などにより検出され、I/O16を通じて(以下の説明では繁雑化を避けるため、I/O16の動作説明は省略するものとする)CPU13に報告される。CPU13はループスイッチ2を閉じて加入者回線に直流ループを形成し、交換機に対して着信呼への応答を表示する。次にROM15に格納している応答メッセージの音声データを読み出しD/A12によってアナログ音声信号に変換する。メッセージの内容は、例えば着信者側の名乗りとともに発信者の名前等を伺い発信側から有効な情報を引き出すよう工夫することが望ましい。ディジタル-アナログ変換された音声信号は、加算選択回路5および通話回路4を経由し、発信端末との間に設定された通話路を通じて、発信端末に向けて送出される。
発信者が無言電話や即時切断電話を意図せず、通常に発信した場合は、上記の応答メッセージに対して何らかの意味のある返事をすることが期待できる。発信者が返事すると、それは有音検出回路10によって有音状態として検出され、またその肉声は話中音などとは明確に区別されるため、信号音A検出回路6または信号音B検出回路6′には検出されない。これらの検出情報はCPU13に報告される。CPU13は、これら報告を認識すると、通常の着信呼であると判断し、ここで初めてアラーティング回路9を起動し、着信者を呼び出す。着信者がハンドセット8を取り上げると、位置検出回路7によってオフフックが検出され、これを契機にCPU13はアラーティング回路9を停止するので、着信者は発信者と通話することができるのである。
発信者が無言電話を意図した場合は、上記の応答メッセージに対して一定時間内に何らの返事もない状態となる。この状態は有音検出回路10によって無音状態として検出され、CPU13に報告される。CPU13は、この情況を認識すると迷惑呼であると判断し、アラーティング回路9を起動することなしに、ループスイッチ2を開いて直流ループを切断することにより交換機に着側からの終話を通知する。すなわち着信者は無言電話に煩わされることなしに、これを撃退することができるのである。」(2頁4欄44行〜3頁5欄34行)
記載事項(2)
「次に、自動発信機能を有するファクシミリ端末からの誤着信の場合を説明する。
この場合は、ファクシミリ信号方式によれば上記の応答メセージに関係なく、発信端末は着信端末に対して、通信チャネル設定を意図する複数可聴周波数の組合せによる信号を送出する。この状態は有音検出回路10によって有音状態として検出されるとともに、信号音B検出回路6′によってファクシミリ着信信号の検出として、CPU13に報告される。CPU13は、これら状況を認識すると、迷惑呼であると判断し、アラーティング回路9を起動することなしに、ループスイッチ2を開いて直流ループを切断する。すなわち着信者はファクシミリ端末からの誤着信に煩されることなしに、これを撃退することができるのである。」(3頁6欄1〜14行)
記載事項(3)
「以上説明したように、本発明によれば、着信者を呼び出さずに着信呼に自動応答しておき、応答後、一定時間内に相手から何ら帯域内信号が検出されなかった場合、もしくは相手から到達した帯域内信号が所定の信号であった場合に、自動応答した呼を切断し、また、一定時間内に相手から帯域内信号が到達しかつ所定の信号が到達しないときに限り、着信者を呼び出すことによって、着信者は、無言電話や即時切断電話などに披る頻度が高い悪戯電話や、自動発信ファックスの誤着信などの迷惑電話に煩されることがなくなる利点がある。」(3頁6欄27〜36行)

3 対比
本願発明1と引用刊行物1に記載された発明を対比すると、
両者は、「無言電話及びファクシミリ誤着信による迷惑電話の接続拒否をするステップを有する電話関連装置の迷惑電話防止方法において、
不特定加入者からの着信呼を受け、予め設定された通話レベル以下と、予め設定された継続時間以上を有する着信呼を無言電話として検出するステップと、
前記無言電話の検出信号により着信され接続している回線を切断するステップ
を有することを特徴とする電話関連装置の迷惑電話防止方法。」である点で一致し、
次の点で相違する。
a)迷惑電話の接続拒否をするステップを有する電話関連装置として、本願発明1は「電話交換機」を用いているのに対し、引用刊行物1に記載された発明は、「電話機」を用いている点。
b)迷惑電話の接続拒否をするステップとして、本願発明1は「一般電話加入者が接続許可を指定する複数の特定加入者番号と、迷惑電話の接続拒否を指定する複数の接続拒否発信者番号を予め登録するステップ」を用いているのに対し、引用刊行物1に記載された発明は、そのように構成されていない点。

4 当審の判断
相違点a)について検討する。
迷惑電話防止方法において、迷惑電話の接続拒否をするステップを有する電話関連装置として、電話交換機を用いることは周知技術(特開平8-51486号公報、特開平9-46501号公報)であり、電話サービスの機能を電話機に設けるか又は電話交換機に設けるかは必要に応じて選定するという技術常識を考慮して、その周知技術を引用刊行物1に記載された発明に適用すると、迷惑電話の接続拒否をするステップを有する電話関連装置として、電話交換機を用いることになるので、相違点a)には、格別の意味は存在しない。
相違点b)について検討する。
迷惑電話の接続拒否をするステップとして、一般電話加入者が接続許可を指定する複数の特定加入者番号と、迷惑電話の接続拒否を指定する複数の接続拒否発信者番号を予め登録するステップを用いることは周知技術(特開平10-155017号公報、特開2000-165539号公報)であり、その周知技術を引用刊行物1に記載された発明に適用することには格別の困難性が存在しないので、相違点b)は、当業者が容易に想到し得ることである。

5 むすび
したがって、本願発明1は、引用刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-06-26 
結審通知日 2006-06-27 
審決日 2006-07-11 
出願番号 特願2000-186835(P2000-186835)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大塚 良平冨田 高史  
特許庁審判長 鈴木 康仁
特許庁審判官 宮下 誠
小林 紀和
発明の名称 電話交換機の迷惑電話防止方法とその装置  
代理人 工藤 雅司  
代理人 机 昌彦  
代理人 谷澤 靖久  

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