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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1142417
審判番号 不服2004-7631  
総通号数 82 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2003-11-14 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-04-15 
確定日 2006-08-24 
事件の表示 特願2002-128898「画像配信システム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔平成15年11月14日出願公開、特開2003-323520〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成14年4月30日の出願であって、平成16年3月11日に拒絶査定がされ、これに対して平成16年4月15日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成16年4月15日付けの手続補正の却下について
[補正却下の決定の結論]
平成16年4月15日付けの手続補正を却下する。
[理由]
平成16年4月15日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項の数は6から2になり、そのうち請求項1は、次のとおりに補正された。
「【請求項1】 動物園、博物館、水族館等のリアルテーマパークに、当該リアルテーマパーク内に統一テーマに基づき構成配置されたすべての設備または展示物であるリアルアトラクションを前記リアルテーマパーク毎に撮像するために予め設置した撮像手段と、
前記撮像手段が撮像し送信した画像を受信する画像受信手段と、
前記画像受信手段が受信した複数の画像から、当該画像が人に与える印象をパラメータ化してこれを心理特性として抽出する心理特性抽出手段と、
前記画像受信手段が受信した前記異なるリアルテーマパークに係る画像を、前記心理特性抽出手段によって抽出された心理特性毎にまとめて、心理特性毎にまとめた画像群に前記統一テーマとは異なる新たなテーマとして前記心理特性に基づくバーチャルテーマを付与すると共に、該バーチャルテーマを付与した前記画像群をバーチャルテーマパークとして記憶するバーチャルテーマ別画像群記憶手段と、
前記バーチャルテーマパークを利用しようとする利用者の有する利用者端末から前記バーチャルテーマ毎に記憶されている前記画像群の配信要求があった際に、前記利用者端末から要求されたバーチャルテーマに該当する画像群を前記バーチャルテーマ別画像群記憶手段から抽出するバーチャルテーマ別画像群抽出手段と、
前記バーチャルテーマ別画像群抽出手段によって抽出した画像群を、前記利用者端末に配信する画像配信手段と、
を有することを特徴とする画像配信システム。」

上記補正は、平成15年12月15日付けで補正された特許請求の範囲の記載を補正するものである。
平成15年12月15日付け手続補正書の請求項の数は6であり、そのうち本件補正の請求項1と対応する請求項は次のとおりである。
「【請求項1】 動物園、博物館、水族館等のリアルテーマパークに、当該リアルテーマパーク内に統一テーマに基づき構成配置されたすべての設備または展示物であるリアルアトラクションを前記リアルテーマパーク毎に撮像するために予め設置した撮像手段と、
前記撮像手段が撮像し送信した画像を受信する画像受信手段と、
前記画像受信手段が受信した複数の画像から、当該画像が人に与える印象をパラメータ化してこれを心理特性として抽出する心理特性抽出手段と、
前記画像受信手段が受信した前記異なるリアルテーマパークに係る画像を、前記心理特性抽出手段によって抽出された心理特性毎にまとめて、心理特性毎の画像群に整理作成する画像群作成手段と、
前記画像群作成手段が整理作成した画像群毎に前記統一テーマとは異なる新たなテーマとして前記心理特性に基づくバーチャルテーマを付与すると共に、該バーチャルテーマを付与した前記画像群をバーチャルテーマパークとして記憶するバーチャルテーマ別画像群記憶手段と、
前記バーチャルテーマパークを利用しようとする利用者の有する利用者端末から前記バーチャルテーマ毎に記憶されている前記画像群の配信要求があった際に、前記利用者端末から要求されたバーチャルテーマに該当する画像群を前記バーチャルテーマ別画像群記憶手段から抽出するバーチャルテーマ別画像群抽出手段と、
前記バーチャルテーマ別画像群抽出手段によって抽出した画像群を、前記利用者端末に配信する画像配信手段と、
を有することを特徴とする画像配信システム。」

本件補正前の請求項1には、「前記画像受信手段が受信した前記異なるリアルテーマパークに係る画像を、前記心理特性抽出手段によって抽出された心理特性毎にまとめて、心理特性毎の画像群に整理作成する画像群作成手段」が記載されているのに対して、本件補正の請求項1には、「前記画像受信手段が受信した前記異なるリアルテーマパークに係る画像を、前記心理特性抽出手段によって抽出された心理特性毎にまとめて、心理特性毎にまとめた画像群に」とのみあり、「画像群作成手段」が削除されており、これは、本件補正の特許請求の範囲が、拡張されたこととなる。
したがって、特許請求の範囲の請求項1についての補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえない。そして、該補正は、請求項の削除、誤記の訂正又は明瞭でない記載の釈明を目的としたものでもない。
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するので、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1)平成16年4月15日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし6に係る発明は、平成15年12月15日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は前述のとおりである。

(2)引用例
(2-1) 原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-117968号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、次のア、イの記載がある。
ア.「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インターネットを利用して、消費者が好む商品に関する情報を選定する方法に関する。」

イ.「【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の商品情報の選定方法の一例を示すフローチャートである。本発明の商品情報の選定方法では、予め登録された消費者側端末と、情報配信サイトのサーバーとが、インターネットを介して接続されており、情報配信サイトのサーバーから、消費者側端末に対して、商品情報が配信され、消費者側端末に提示される。
【0011】
本発明方法では、消費者側端末に対するアクセスが初回の場合(図1のステップS1参照、以下同様)には、まず、消費者端末を有する消費者の個人情報に関する質問を配信して、消費者側端末に提示する(ステップS2)。この場合に、消費者側端末に表示される個人情報に関する質問としては、消費者個人の年齢、性別、および消費者の性格を診断するための心理アンケート等である。心理アンケートとしては、性格等に関する質問、例えば、「気持ちのめいることが多い」、「飽きっぽい」等であり、各質問に対して、5段階にて回答するようになっている。
【0012】
そして、このような個人情報に関する質問の回答が消費者側端末から得られると、心理アンケートに基づいて、消費者個人の性格を診断し、それらの個人情報が保存される。消費者側端末に対するアクセスが2回目以降の場合は、この個人情報に関する質問等は、消費者側端末に対して提示されない。
【0013】
次に、消費者のその日の心理に関するアンケートが、消費者端末に提示される(ステップS3)。この場合のアンケートとしては、スペックを持たない日常的で汎用的な動機としてインテンションを概念的に定義し得るような質問、例えば、「おしゃれしたい」、「のんびりしたい」、「学びたい」、「贅沢したい」等の質問が準備されている。各質問は、インテンションに対する複数の因子に対応して、それぞれ準備されている。アンケートの質問に対しては、「はい」、「いいえ」、「どちらでもない」の3段階でそれぞれ回答するようになっている。
【0014】
この心理に関するアンケートの質問に対する回答が消費者端末から得られると(ステップS4)、インテンションの因子に対する質問の回答毎に、それぞれ、所定の得点が付与されて集計される。そして、各因子毎に係数が予め定められた判別関数に基づいて演算処理して、その日の心理状態を示す判別係数を求める。この場合、予め得られた個人の特性に関する情報が、補完的に使用される。個人に関する情報は、予め実施された個人の特性に関する質問に基づいて得られており、質問の回答に対してそれぞれ点数が付与されて、判別関数に基づいて、個人情報に関する判別係数が求められる。そして、個人情報の判別係数にて補間されたインテンションの判別関数が、例えば6段階に分類されたいずれかのクラスに分類される(ステップS5)。
【0015】
複数の段階に分類された各クラスには、インテンションの判別係数がそれぞれ予め設定されており、心理アンケートの結果にインテンションは、その心理アンケートの結果によって得られた判別係数が最も近接する判別係数が設定されたクラスに分類される。
【0016】
他方、このようにして分類されるインテンションの各クラスに対して、商品カテゴリー毎に、各商品カテゴリーに属する商品が、予め、それぞれ分類されている。
【0017】
商品カテゴリーとしては、例えば、ワイン、国内パッケージツアー、海外パッケージツアー、茶、書籍、日本酒、アクセサリー等であり、各商品カテゴリーに属する商品は、インテンションの判別係数に関連させて、各商品の品質、価格、特性等に基づいて、6つのクラスに分類されており、例えば、各クラスには、高品質で高価格な商品、低価格であるが比較的高品質な商品、価格および品質が中程度の商品等が分類されている。
【0018】
心理アンケートの結果によって、インテンションのクラスが選択されると、商品がクラス分類されている商品カテゴリーが消費者端末に提示される(ステップS6)。そして、消費者が、消費者端末に提示されたワイン、国内パッケージツアー等の商品カテゴリーのいずれかを選択すると(ステップS7)、その商品カテゴリーにおいて、ステップS5にて選定されたクラスに分類されている複数の商品が選択されて、選択された商品の情報が、消費者端末に提示される(ステップS8)。提示された商品情報は、その日の心理状態に最も対応したものである。」

(2-2) 原査定の拒絶の理由に引用された特開昭64-73460号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、次のウないしオの記載がある。
ウ.「【特許請求の範囲】
多数の画像を記憶する画像記憶手段と、
画像から受けるイメージを表現する多数の表現語から共通的な感覚を持つ少数の因子を抽出し、この多数の表現語の各々についてその表現語と該各因子との関連度を因子負荷量として記憶する表現語属性記憶手段と、
該多数の画像の各々についてその画像と該各因子との関連度を因子得点として記憶する画像属性記憶手段と、
検索対象となる画像を表現する1以上の表現語を入力する入力手段と、
該入力手段で入力された表現語の因子負荷量を該表現語属性記憶手段の記憶情報を参照して求め、この求められた因子負荷量にもとづき該画像属性記憶手段の記憶情報を参照して検索対象画像を特定する画像特定手段と、
該画像特定手段で特定された画像を該画像記憶手段の記憶情報を用いて表示する画像表示手段と、を具備する画像検索装置。」(2頁左下欄4行目〜右下欄3行目)

エ.「〔従来の技術〕
従来、多数の画像を蓄積したデータベースから所望の画像を検索するには、検索すべき画像を特定するキーワード、例えば「ゴッホのひまわり」等のように作者名や作品名等で対象を特定する言葉を用いてる。この場合、画像の数だけ特定のキーワードが個々に必要となることになり、検索者が検索対象の画像を特定するキーワードを知っていない場合には所望する画像の検索は容易ではない。
一方、画像をイメージ的に捕らえ、例えば「非常に日本風でやや懐かしい、イメージ」といった感覚的な言葉をキーワードとして画像を検索できれば便利であるが、従来はこのような方法で画像を検索する画像検索装置は知られていない。
〔発明が解決しようとする問題点〕
画像をイメージ的に捕らえて感覚的な言葉を用いて画像検索を行おうとする場合、ある画像から連想されるイメージは多様でかつ曖昧であり、したがってそのキーワードも多種多様になる。例えば「暖かい」、「近代的な」といった感覚属性とそのような感覚属性を持つ画像との対応づけは極めて曖昧である。このため感覚属性の表現を用いて画像検索を行うには、予め個々の画像に対してあらゆる感覚属性を評価しておき、それらを個々の画像の属性データとしてすべて登録しておく必要がある。しかし、画像の持つイメージが曖昧であり多様な表現が可能なことからもわかるように、画像と感覚表現を結び付ける情報の量は膨大であり、よって感覚属性と画像との対応づけ作業は多大な労力と時間を必要とし、感覚属性と画像との関連度の記述あるいは処理機構は極めて複雑となる。したがって従来は、感覚属性表現をキーワードにして画像を検索することは事実上不可能であった。
したがって本発明の目的は、形容詞等の感覚を表現する多種多様の表現語をキーワードに用いてその表現語でイメージされる画像を多量の画像データベースから迅速に検索することができる画像検索装置を提供することにある。」(2頁左上欄1行目〜右上欄20行目)

オ.「〔作用〕
画像をイメージ的に捕らえる表現語を用いて画像を検索する場合、表現語と画像との対応関係が極めて曖昧なことが問題となるが、本発明においては、感覚表現語で定義される観念的なイメージ空間を創成し、このイメージ空間に画像をマッピングして特定化することによって画像の持つ曖昧なイメージを定量化し、このイメージ空間を介して感覚表現語から画像を特定化して検索するものである。
すなわち、まず形容詞などの視覚心理的感覚を表現する言葉を多数用意し、これらから共通的な視覚心理的感覚を与える主要な因子を抽出する。
例えば「活発な」、「陽気な」、「明るい」などは或る共通感覚の視覚心理を与える因子を主として持ち、「高級な」、「立派な」などは他の共通感覚の視覚心理を与える因子を主として持つと考えられる。多数の表現語について官能評価試験をした結果では、6個の視覚心理因子で人間の視覚心理の大半を説明できることが判明された。
次にこれらの因子を視覚心理因子軸として用いて定義されるイメージ空間を作成する。このイメージ空間は因子数が6の場合は6次元空間として表現される。そして各表現語について官能評価を行ってその表現語とイメージ空間の各因子軸との関連度(相関係数あるいは重み係数)をその表現語の因子負荷量として求め、それにより全ての表現語をイメージ空間にマッピングする。求められた因子負荷量は各表現語対応に表現語属性記憶手段51に格納する。このように表現語の因子負荷量を求めることによりその表現語をイメージ空間の特定位置にマッピングすることができ、表現語属性記憶手段51には各表現語のイメージ空間におけるマッピング情報が格納される。
同様に多数の画像についても、各因子を代表すると考えられる少数の表現語を用いて各々官能評価を行い、画像と各因子軸との関連度をその画像の因子得点として求め、それにより全ての画像をイメージ空間にマッピングする。画像の因子得点は各画像対応に画像属性記憶手段52に格納され、イメージ空間における画像のマッピング情報となる。このようにして多数の表現語と多数の画像は、同一のイメージ空間にそれぞれマッピングされ、表現語および画像の持つ曖昧なイメージはこのイメージ空間によって定量化されたことになる。」(2頁右下欄2行目〜3頁右上欄6行目)

(3)対比
本願発明と引用例1に記載の発明(以下、「引用発明」という。)とを対比する。
引用発明は、商品情報を対象としているものであるが、この情報には、説明文であるテキストデータと共に画像データも含まれることは、本件出願時の技術常識からみて当然のことと理解できる。
本願発明は、画像配信システムであり、配信される「画像」には引用発明と同様、情報としての機能があるから、引用発明の「情報」は、本願発明の「画像」に相当するといえる。
また、引用例1には、各クラスから、複数の商品が選択されて、選択された商品の情報が、消費者端末に提示されることが記載されており、各クラスは複数の情報を有しているといえるから、引用発明の「複数の情報」は、本願発明の「画像群」に相当する。
引用例1の商品情報の選定方法は、予め登録された消費者側端末と、情報配信サイトのサーバーとが、インターネットを介して接続されており、情報配信サイトのサーバーから、消費者側端末に対して、商品情報が配信され、消費者側端末に提示されるものであるから、引用発明は、インターネットを利用して情報を提供するものであることで、本願発明の「画像配信システム」に相当する。
また、引用例1では、「複数の段階に分類された各クラスには、インテンションの判別係数がそれぞれ予め設定されており、心理アンケートの結果にインテンションは、その心理アンケートの結果によって得られた判別係数が最も近接する判別係数が設定されたクラスに分類される。」(【0015】)ことから、「クラス」とは、心理アンケートの結果により得られたインテンションの判別係数により分類されたものであり、本願発明の「バーチャルテーマ」は、「統一テーマとは異なる新たなテーマとして心理特性に基づくバーチャルテーマを付与する」ことからみて、心理的特性に基づいて付与される分類ということができるから、引用発明の「クラス」は、本願発明の「バーチャルテーマ」に相当する。
引用例1は、商品の購入を目的とする方法において、それを利用する者を消費者としているが、その方法を利用する者として、消費者を利用者ということもできるから、引用発明の「消費者」は、本願発明の「利用者」に相当し、引用発明の「消費者側端末」は、本願発明の「利用者端末」に相当する。
一般に、情報を提供するサーバは、情報を記憶し、抽出し、配信する手段を有しているものであり、引用例1には、「消費者側端末と、情報配信サイトのサーバーとが、インターネットを介して接続されており、情報配信サイトのサーバーから、消費者側端末に対して、商品情報が配信され、消費者側端末に提示される」ことが記載されていることから、引用発明は、本願発明と同様、「画像群記憶手段」、「画像群抽出手段」、「画像配信手段」を備えているといえる。

以上を踏まえると、本願発明と引用発明とは、以下の【一致点】及び【相違点】を有する。
【一致点】
「画像を記憶する画像群記憶手段と、利用者の有する利用者端末から前記画像の配信要求があった際に、前記利用者端末から要求されたバーチャルテーマに該当する画像を前記画像群記憶手段から抽出する画像群抽出手段と、前記画像群抽出手段によって抽出した画像を、前記利用者端末に配信する画像配信手段と、を有する画像配信システム。」

【相違点1】
本願発明は「動物園、博物館、水族館等のリアルテーマパークに、当該リアルテーマパーク内に統一テーマに基づき構成配置されたすべての設備または展示物であるリアルアトラクションを前記リアルテーマパーク毎に撮像するために予め設置した撮像手段と、前記撮像手段が撮像し送信した画像を受信する画像受信手段と、前記画像受信手段が受信した複数の画像から、当該画像が人に与える印象をパラメータ化してこれを心理特性として抽出する心理特性抽出手段と、前記画像受信手段が受信した前記異なるリアルテーマパークに係る画像を、前記心理特性抽出手段によって抽出された心理特性毎にまとめて、心理特性毎の画像群に整理作成する画像群作成手段と、前記画像群作成手段が整理作成した画像群毎に前記統一テーマとは異なる新たなテーマとして前記心理特性に基づくバーチャルテーマを付与する」のに対して、引用例1に記載の発明は、商品の情報が、予め、インテンションの判別係数に関連させて、各クラスに分類されているがリアルテーマパークが画像の取得手段等に関する事項を備えていない点。

【相違点2】
本願発明の画像群記憶手段及び画像群抽出手段は、「バーチャルテーマ別」であるのに対し、引用例1に記載の発明の各手段はそのような限定が特にされていない点。

(4)判断
【相違点1】について
撮影される画像内容それ自体は、自然法則を利用した技術的思想の創作ではないことは明らかであるから、本願発明の撮影される画像内容を示す「動物園、博物館、水族館等のリアルテーマパークに、当該リアルテーマパーク内に統一テーマに基づき構成配置されたすべての設備または展示物であるリアルアトラクション」とすることは、当業者が適宜採用しうる事項にすぎない。
画像に関連する技術として、画像情報を取得する手段、及び画像をインターネット等を介して送受信することは、当業者に自明な事項であるから、引用例1に記載の発明において、撮像手段、及び、画像を受信する手段を用いることは、当業者が容易に想到しうることである。
「画像が人に与える印象をパラメータ化してこれを心理特性として抽出する心理特性抽出手段」については、引用例2には、「画像をイメージ的に捕らえ、感覚的な言葉で検索できるようにする手段として、多数の画像を記憶する画像記憶手段と、画像から受けるイメージを表現する多数の表現語から共通的な感覚を持つ少数の因子を抽出し、この多数の表現語の各々についてその表現語と該各因子との関連度を因子負荷量として記憶する表現語属性記憶手段と、該多数の画像の各々についてその画像と該各因子との関連度を因子得点として記憶する画像属性記憶手段とが記載されており、因子とは、形容詞などの視覚心理的感覚を表現する言葉であり、例えば「活発な」、「陽気な」、「明るい」などはある共通感覚の視覚心理を与える因子を主として持ち、「高級な」、「立派な」なとは他の共通感覚の視覚心理を与える因子を主として持つ」ことが記載されており、画像から受けるイメージとは、画像が人に与える印象といえ、画像から受けるイメージを表現する表現語と各因子との関連度を因子負荷量とすることは、画像により人が受ける印象をパラメータ化することに相当するといえ、画像から受けるイメージを表現する多数の表現語から共通的な感覚を持つ少数の因子を抽出していることから、引用例2には、画像が人に与える印象をパラメータ化してこれを心理特性として抽出する心理特性抽出手段を設けることが記載されている。
引用例1には、「複数の段階に分類された各クラスには、インテンションの判別係数がそれぞれ予め設定されており、心理アンケートの結果にインテンションは、その心理アンケートの結果によって得られた判別係数が最も近接する判別係数が設定されたクラスに分類される。他方、このようにして分類されるインテンションの各クラスに対して、商品カテゴリー毎に、各商品カテゴリーに属する商品が、予め、それぞれ分類されている」(【0015】、【0016】)ことが記載されており、分類されるインテンションの各クラスに対して、商品が、予め、それぞれ分類されていることから、引用例1に記載の発明は、心理特性毎の画像群に整理作成する画像群作成手段を備えており、それらの整理は、商品カテゴリー毎とは異なる新たな分類として整理されているといえる。
そして、引用例1と引用例2とは、共に心理特性を用いた画像の検索を行うものであることから、引用例1の心理特性を抽出する手段として、引用例2に記載の画像が人に与える印象をパラメータ化してこれを心理特性として抽出する心理特性抽出手段を用いることは、当業者が容易に想到しうることである。

【相違点2】について
コンピータシステムにおいて、記憶手段及び抽出手段について、複数のファイルを格納するフォルダを作り、ファイルの記憶及び抽出を行うようにすることは周知であるから、情報配信システムにおいて、バーチャルテーマ別の情報を扱う際に、記憶手段及び抽出手段をバーチャルテーマ別とすることは、当業者が容易に想到しうることである。

(5)むすび
以上のとおり、請求項1に係る発明は、引用例1、2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、本願は、他の請求項に係る発明について論ずるまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-06-21 
結審通知日 2006-06-27 
審決日 2006-07-10 
出願番号 特願2002-128898(P2002-128898)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 572- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 青柳 光代  
特許庁審判長 杉山 務
特許庁審判官 佐藤 敬介
鈴木 明
発明の名称 画像配信システム及び方法  
代理人 青木 輝夫  

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