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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65D
管理番号 1142524
審判番号 不服2004-1512  
総通号数 82 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-05-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-01-22 
確定日 2006-08-23 
事件の表示 平成10年特許願第341153号「ガラスびん口部及びガラスびん」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 5月23日出願公開、特開2000-142653〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.本願発明
本願は、平成10年11月16日に特願平10-341153号として出願されたものであって、その請求項1に係る発明は、平成16年2月20日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次の通りのものと認められる(以下「本願発明」という)。

「びん口リップ部直下に、リップ部に嵌着した栓体を取り外すための縦溝を設けたガラスびん口部において、縦溝を複数設け、かつ、縦溝をびんを成形する口型のシーム軸に対してほぼ線対称の位置に配置したことを特徴とするガラスびん口部」

2.引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前に頒布された刊行物である実願平4-63116号(実開平6-18260号)のCD-ROM(以下、「引用文献1」という。)には、次の事項ア、イが記載されている。

ア.【0008】
びん1の外側のリップ4下方には縦溝2が設けられている。縦溝2は他の部分よりも肉厚を薄くすることにより形成されており、ビード3も縦溝部分はきわめて小さなビード3´となっている。びん1の口部に中栓5を装着すると、図3に示すように、縦溝部分には、中栓5内面とびん1外面との間に隙間6が形成される。同図において点線で示すのは、びんの縦溝以外の部分の断面を表している。内容物を使用した後は、隙間6に爪やスプーンの柄等の棒状物の先端を挿入し、こじることにより中栓をびんから取り外し、分離することができる。(【0008】)

イ.【0009】
縦溝は、1ヶ所に限らず、複数箇所としてもよい。縦溝の数を増やすと、または、縦溝の幅を広くすると、中栓の取り外しが一層容易になる反面、中栓とびんとの結合強度が低下するので、縦溝の数や幅は状況に応じて適宜選択する。(【0009】)

してみると、上記引用文献1には、下記の発明が記載されていると認められる。

「びん口リップ部直下に、リップ部に嵌着した栓体を取り外すための縦溝を設けたびん口部において、縦溝を複数設けたことを特徴とするびん口部」

原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前に頒布された刊行物である特開昭63-307927号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の事項ウが記載されている。

ウ.「この実施例では、分割金型37,39の螺旋溝43を縦断して分割金型37,39と一体に突条部45,46,47,48が形成されている。
これ等の突条部45,46,47,48は、一対の分割金型37,39にそれぞれ2条ずつ形成されており、一方の分割金型37に形成される突条部45,46と、他方の分割金型39に形成される突条部47,48は、製品(瓶)の金型からの分離を容易にするため、対向して形成されている。
すなわち、突条部45,48は、分割面51に垂直方向の軸線53上に対向して形成されており、また、突条部46,47は、分割面51に垂直方向の軸線55上に対向して形成されている。(第2頁右下欄第15行-第3頁左上欄第9行)

3.対比
引用文献1記載の発明と、本願発明を対比すると、両者の一致点は、

「びん口リップ部直下に、リップ部に嵌着した栓体を取り外すための縦溝を設けたびん口部において、縦溝を複数設けたことを特徴とするびん口部」
と認められる。一方相違点は、

(1)本願発明が、瓶を「ガラスびん」とその材質を特定しているのに対して、引用文献1に記載された発明においては、その材質を特定していない点。

(2)本願発明が、縦溝をびんを成形する口型のシーム軸に対してほぼ線対称の位置に配置したのに対して、引用文献1に記載された発明は、縦溝の位置や口型に関しても特定されていない点。

4.当審の判断
(1)上記相違点(1)について検討する。
栓体を有するびんに於いて、その材質を「ガラス」とすることは、周知の事項と認められる(例えば本願出願前に周知であったと認められる特開平9-249246号公報【0008】欄には、「容器1はガラス製のびんで」,「キャップ4はプラスチック製のいわゆるヒンジキャップ」と記載されている。)。
であるから、引用文献1に記載された発明において、その材質として、上記相違点(1)で挙げたようなガラスを選択することは、当業者が適宜なし得た程度の事項に過ぎない。
(2)上記相違点(2)について検討する。
引用文献2の記載事項ウの「金型の突条部は、分割面に垂直方向の軸線上に対向して形成されている」という構成は、びん口が、螺旋溝を有するものであることから断面円形状であると認められること、及び金型の分割面は、通常円形の中心を通るように設定されるものであるであることを考慮すると、本願発明の「縦溝をびんを成形する口型のシーム軸に対してほぼ線対称の位置に配置したこと」と同等な事項であると認められる。
してみると、引用文献1に記載された発明に、引用文献2の上記事項エに記載された構成を適用することにより、上記相違点(2)で挙げられた本願発明のように構成することは、当業者にとって、格別困難な事項とは認められない。
そして、本願明細書には、その効果として「びん口部が一方に引っ張られることがなく」(【0006】)と記載されているが、この効果は、引用文献2の上記記載事項ウに記載されている「金型からの分離を容易にする」という効果と同様の効果と認められるから、上記相違点(2)によって、引用文献2に記載された発明に比して、格別あるいは異質な効果が生じるものとは認められない。

5.むすび
したがって、本願発明は、引用文献1及び2に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、他の請求項について検討するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-04-26 
結審通知日 2006-05-23 
審決日 2006-06-14 
出願番号 特願平10-341153
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田村 嘉章池田 貴俊  
特許庁審判長 寺本 光生
特許庁審判官 豊永 茂弘
石田 宏之
発明の名称 ガラスびん口部及びガラスびん  
代理人 神戸 真  

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