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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1142569
審判番号 不服2004-22487  
総通号数 82 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-09-14 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-11-01 
確定日 2006-08-21 
事件の表示 平成11年特許願第 54807号「投影露光装置及び投影露光方法」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 9月14日出願公開、特開2000-252199〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成11年3月2日の出願であって、平成16年9月29日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成16年11月1日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年12月1日付で手続補正がなされたものである。

2.平成16年12月1日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年12月1日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
(1) 補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、平成15年8月8日付の手続補正による「光源からの光を照明光学系を介してマスクに照射し、該マスク上のパターンを投影光学系を介して基板上へ投影する投影露光装置であって、
該投影光学系のコヒーレント因子σが高い高σの照明系を用いて露光を行う第1の露光手段と、
前記コヒーレント因子σが低い低σの照明系を用いて露光を行う第2の露光手段とを備え、
前記第1の露光手段は、前記第2の露光手段のコヒーレント因子σよりも大きなコヒーレント因子σを有し、前記第1の露光手段による前記パターンの端部の光強度が前記第2の露光手段による前記パターンの端部の光強度よりも小さくなっており、
該第1の露光手段と該第2の露光手段により多重露光を行う投影露光装置。」を、「光源からの光を照明光学系を介してマスクに照射し、該マスク上における開口部が周期的に繰り返し形成されたパターンを投影光学系を介して基板上へ投影する投影露光装置であって、
該投影光学系の瞳の大きさに対する光源像の大きさで定義されるコヒーレント因子σが高い高σの照明系を用いて露光を行う第1の露光手段と、
前記コヒーレント因子σが低い低σの照明系を用いて露光を行う第2の露光手段とを備え、
前記第1の露光手段は、前記第2の露光手段のコヒーレント因子σよりも大きなコヒーレント因子σを有し、前記第2の露光手段が光軸に対する同心円内の領域から光を照射する通常照明であり、前記第1の露光手段が、前記第2の露光手段の外側の輪帯状の領域から光を照射する変形照明であって、前記第1の露光手段による前記パターンの端部の光強度が前記第2の露光手段による前記パターンの端部の光強度よりも小さくなっており、
該第1の露光手段と該第2の露光手段により多重露光を行う投影露光装置。」と補正された。
上記補正は、請求項1に記載した発明の「マスク上のパターン」を、「マスク上における開口部が周期的に繰り返し形成されたパターン」と限定し、「投影光学系のコヒーレント因子σ」を、「投影光学系の瞳の大きさに対する光源像の大きさで定義されるコヒーレント因子σ」と限定し、第1及び第2の露光手段が、「第2の露光手段が光軸に対する同心円内の領域から光を照射する通常照明であり、前記第1の露光手段が、前記第2の露光手段の外側の輪帯状の領域から光を照射する変形照明であって、」と限定するものであり、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
引用例1;特開平9-55350号公報
(2).1 引用例1の記載内容
記載1
特許請求の範囲の請求項1には、
「【請求項1】光源からの露光用光をマスクに通し、そのマスクに形成されたパターンを基板に転写する露光方法において、
1回の露光時間内に、露光用光を第1フィルターに通してマスクに照射する工程と、前記第1フィルターと異なる光透過率分布の第2フィルターに露光用光を通してマスクに照射する工程とを少なくとも有する露光方法。」
と記載されている。

記載2
【0001】段落には、
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば半導体基板の表面に微細パターンを形成するための露光方法と露光装置に関する。」
と記載されている。

記載3
【0013】ないし【0016】段落には、
「【0013】…この露光装置は、レーザ装置と、ステッパー装置とから成る。…エキシマレーザ30から発射された露光用光は、前記種々の光学系を通して、ハエの目レンズ37へ入射し、ハエの目レンズ37が二次光源(有効光源)となる。その露光用光は、マスクパターンが形成されたレチクル39を通し、ウェーハ41面上に至り、レチクル39のパターンがウェーハ面上に転写される。…
【0014】…
本実施例では、有効光源としてのハエの目レンズ37からレチクル39へ至る露光用光の二次源光強度分布を改良するために、ハエの目レンズ37の光入射側または光出射側に、図3に示すスライド移動式のフィルター切り替え装置50を配置する。このフィルター切り替え装置50は、第1フィルター部52と第2フィルター部54とが形成してあるフィルター本体51を有する。第1フィルター部52と第2フィルター部54とは、相互に光透過率分布が相違している。第1フィルター部52を通過した後の光の強度分布は、図3(B)のカーブ52aのようになり、第2フィルター部54を通過した後の光の強度分布は、図3(B)のカーブ54aのようになる。すなわち、第1フィルター部52では、中央部の透過率が高く、第2フィルター部54では、その逆に、中央部の透過率が低い。
【0015】
本実施例では、この2つのフィルター部52,54が形成してあるフィルター本体51を切り替え装置によりスライド移動させ、…露光を行う。
【0016】
このように、1回の露光時間内で、露光用光が透過するフィルター部を切り換えることで、…図3(B)に示す光強度分布カーブ52aと、光強度分布カーブ54aとを足し合わせた図3(C)に示す光強度分布が得られる。この光強度分布は、たとえば図4に示すように、中心部の透過率が数十%で、その周囲の透過率が0%で、さらにその周囲の透過率が100%である単一のフィルター56を用いて露光を行った場合と等価である。」
と記載されている。

記載4
【0018】段落には、
「【0018】図3(C)に示すように、周辺部の光を強調しつつ、中央部での光を、ある程度残しておくことで、ガウス分布による通常露光や、変形照明などに比べてよりフラットな形状に近い光強度分布を持ち、特定パターンに弱点を持たず、良好なパターンの解像を実現することが期待される。」
と記載されている。

引用例1に記載された図3,4は次のとおりである。


(2).2 引用例1に記載された発明
上記引用例1の記載1及び2を参照すると、引用例1には、「光源からの露光用光をマスクに通し、そのマスクに形成されたパターンを基板に転写する露光装置において、
1回の露光時間内に、露光用光を第1フィルターに通してマスクに照射する工程と、前記第1フィルターと異なる光透過率分布の第2フィルターに露光用光を通してマスクに照射する工程とを少なくとも有する露光装置。」の発明が実質的に記載されている。
第1フィルター部52は、図3及び図4を参照すると、光軸に対する同心円内の領域から光を照射する通常照明であることが明らかであり、また、第2フィルターである第2フィルター部54は、第1フィルター部52の中央部の外側の輪帯状の領域から光を照射する変形照明であることが明らかである。
また、投影光学系の瞳の大きさに対する光源像の大きさで定義されるコヒーレント因子σについて引用例1には明示的に記載されていないが、上記引用例1の記載3、図3及び図4を参照すると、第1フィルターである第1フィルター部52は、中央部の透過率が高く、第2フィルターである第2フィルター部54は、中央部の透過率が低くかつ、第1フィルター部52の中央部の外側に相当する部分の第2フィルター部54の透過率が高いものである。
そうすると、第1フィルター部52及び第2フィルター部54による光源像の大小関係は、本願補正発明の実施例として示された第9図及び第17図のものと同じであるから、引用例1に記載された発明のコヒーレント因子σについては、第1フィルター部52によるコヒーレント因子σが小さく(低く)、第2フィルター部54によるコヒーレント因子σが大きい(高い)ものである。
また、コヒーレント因子σが「投影光学系の瞳の大きさに対する光源像の大きさで定義される」ことは技術常識(例えば、特開昭61-91662号公報(第3頁右上欄第6行〜左下欄第行及び第7図)及び特開平5-198474号公報(【004】、【0023】段落及び第2図)等参照)である。
さらに、上記引用例1の記載3における「種々光学系」には「照明光学系」が含まれることが明らかであり、また、「ステッパー装置」には、「投影光学系」が含まれることが明らかである。

そうすると、上記引用例1には、
「光源からの光を照明光学系を介してマスクに照射し、パターンを投影光学系を介して基板上へ投影する投影露光装置であって、
該投影光学系の瞳の大きさに対する光源像の大きさで定義されるコヒーレント因子σが高い高σの照明系を用いて露光を行う第2フィルター部54と、
前記コヒーレント因子σが低い低σの照明系を用いて露光を行う第1フィルター部52とを備え、
前記第2フィルター部54は、前記第1フィルター部52のコヒーレント因子σよりも大きなコヒーレント因子σを有し、前記第1フィルター部52が光軸に対する同心円内の領域から光を照射する通常照明であり、前記第2フィルター部54が、前記第1フィルター部52の外側の輪帯状の領域から光を照射する変形照明であって、該第2フィルター部54と該第1フィルター部52により多重露光を行う投影露光装置。」
の発明が記載されている。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用例1に記載された発明とを比較する。
引用例1記載の「第2フィルター部」及び「第1フィルター部」は、それぞれ本願補正発明の「第1の露光手段」及び「第2の露光手段」に相当する。

そうすると両者は、
「光源からの光を照明光学系を介してマスクに照射し、パターンを投影光学系を介して基板上へ投影する投影露光装置であって、
該投影光学系の瞳の大きさに対する光源像の大きさで定義されるコヒーレント因子σが高い高σの照明系を用いて露光を行う第1の露光手段と、
前記コヒーレント因子σが低い低σの照明系を用いて露光を行う第2の露光手段とを備え、
前記第1の露光手段は、前記第2の露光手段のコヒーレント因子σよりも大きなコヒーレント因子σを有し、前記第2の露光手段が光軸に対する同心円内の領域から光を照射する通常照明であり、前記第1の露光手段が、前記第2の露光手段の外側の輪帯状の領域から光を照射する変形照明であって、
該第1の露光手段と該第2の露光手段により多重露光を行う投影露光装置。」
において一致し、以下の点で相違する。

相違点1
本願補正発明が、「マスク上における開口部が周期的に繰り返し形成されたパターン」であるのに対し、引用例1に記載された発明は、当該記載がない点で相違する。

相違点2
本願補正発明は、「第1の露光手段による前記パターンの端部の光強度が前記第2の露光手段による前記パターンの端部の光強度よりも小さくなって」いるのに対し、引用例1に記載された発明は、当該記載がない点で相違する。

(4)判断
相違点1について検討する。
開口部が周期的に繰り返し形成されたパターンは、半導体基板の表面に微細パターンを形成する際に通常用いられるパターンにすぎず、引用例1に記載された発明においても当然用いられるものである。また、上記引用例1の記載4に、「特定パターンに弱点を持たず、良好なパターンの解像を実現することが期待される。」との記載があることから、「開口部が周期的に繰り返し形成されたパターン」に対する効果も予測できたものにすぎない。
そうすると、相違点1に係る構成については、当業者が容易に想到できた程度のことである。

相違点2について検討する。
本願補正発明と引用例1に記載された発明において、両者の露光手段に差がないから、「第1の露光手段による前記パターンの端部の光強度が前記第2の露光手段による前記パターンの端部の光強度よりも小さくなって」いる構成については、引用例1に記載された発明においても同様の構成を有しており、相違点2に係る構成については、実質的なものではない。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用例1に記載された発明及び技術常識から当業者が予測できる範囲のものである。

したがって、本願補正発明は、引用例1記載の発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に想到しえたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成16年12月1日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成15年8月8日付で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「光源からの光を照明光学系を介してマスクに照射し、該マスク上のパターンを投影光学系を介して基板上へ投影する投影露光装置であって、
該投影光学系のコヒーレント因子σが高い高σの照明系を用いて露光を行う第1の露光手段と、
前記コヒーレント因子σが低い低σの照明系を用いて露光を行う第2の露光手段とを備え、
前記第1の露光手段は、前記第2の露光手段のコヒーレント因子σよりも大きなコヒーレント因子σを有し、前記第1の露光手段による前記パターンの端部の光強度が前記第2の露光手段による前記パターンの端部の光強度よりも小さくなっており、
該第1の露光手段と該第2の露光手段により多重露光を行う投影露光装置。」
(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1及びその記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明の、「マスク上における開口部が周期的に繰り返し形成されたパターン」から、「マスク上における開口部が周期的に繰り返し形成された」との限定を省き、また、「投影光学系の瞳の大きさに対する光源像の大きさで定義されるコヒーレント因子σ」から、「投影光学系の瞳の大きさに対する光源像の大きさで定義される」との限定を省き、さらに、第1及び第2の露光手段が、「第2の露光手段が光軸に対する同心円内の領域から光を照射する通常照明であり、前記第1の露光手段が、前記第2の露光手段の外側の輪帯状の領域から光を照射する変形照明であって、」との限定を省くものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例1記載の発明及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1に記載された発明及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

なお、平成18年6月19日付回答書において、高σの値を0.8以上、低σの値を0.08〜0.33と補正する意志がある旨記載されているが、当該数値に臨界的意義を認めることができないので、当該補正によっても特許性は認められない。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明及び技術常識に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2006-06-29 
結審通知日 2006-06-30 
審決日 2006-07-11 
出願番号 特願平11-54807
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 新井 重雄  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 井口 猶二
辻 徹二
発明の名称 投影露光装置及び投影露光方法  
代理人 大塩 竹志  
代理人 安村 高明  
代理人 山本 秀策  
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