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審決分類 審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 G03G
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G03G
管理番号 1142749
審判番号 不服2004-4927  
総通号数 82 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-12-14 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-03-11 
確定日 2006-08-30 
事件の表示 平成11年特許願第 88897号「静電荷像現像用トナーと画像形成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成11年12月14日出願公開、特開平11-344827〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年3月30日(優先権主張 平成10年3月31日、日本)の出願であって、平成16年2月3日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年3月11日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年4月8日付で手続補正がなされたものである。

2.平成16年4月8日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年4月8日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正の目的について
本件補正は、明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし3の各項に「静電荷像現像用トナーの製造方法」に関する発明を記載する補正事項を含むものである。
しかし、上記補正前の明細書の特許請求の範囲には、「静電荷像現像用トナーの製造方法」に関する発明は、請求項7に請求項1を引用して記載された発明が記載されていただけである。
してみると、本件補正は、明細書の特許請求の範囲に「静電荷像現像用トナーの製造方法」に関する発明を記載した2つの新たな請求項を追加する補正事項を含むものであり、この補正事項は、特許法第17条の2第4項に掲げるいずれの事項を目的とするものでもない。
(2)むすび
以上のとおりであるから、平成16年4月8日付の手続補正は、特許法第17条の2第4項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項の規定で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成16年4月8日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし7に係る発明は、平成15年7月22日付手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は以下のとおりのものである。
「複数個の重合体微粒子が会合してなる静電荷像現像用トナーにおいて、トナー粒子表面の0.1μm以下の孔径を持つ細孔の全体積がトナー粒子表面の全細孔体積の30%以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。」

(2)刊行物に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された本願の優先権主張日前に国内で頒布された刊行物である特開平8-59840号公報(以下、「刊行物1」という。)には、以下の事項が記載されている。
(1a)「【請求項1】 イオン性解離基を有する重合体粒子を、重合体粒子分散液の臨界凝集濃度以上の電解質、水に無限溶解する有機溶媒及びノニオン界面活性剤で処理し、複数個の重合体粒子が会合した凝集粒子を形成し、次いで、凝集粒子を構成する重合体粒子間を加熱融着することを特徴とする非球形粒子の製造方法。
【請求項8】 請求項1〜7記載の製造方法で得られた非球形粒子。
【請求項9】 請求項8記載の非球形粒子を有することを特徴とする電子写真用トナー。」(特許請求の範囲 請求項1、8及び9)
(1b)「上記のようにして得られた非粒径粒子は、濾過・洗浄を繰り返し、夾雑物、即ち、電解質、有機溶媒、界面活性剤等を除去し、非球形粒子が融着を起さない温度で乾燥することにより粉末として取り出すことができる。」(【0072】段落)
(1c)「[重合体粒子水性分散液(PD-2)の作成]冷却管、温度計、撹拌装置、窒素導入管をつけた内容量500ミリリットルの4頭セパラブルフラスコに、脱気したイオン交換蒸留水50ミリリットルにドデシル硫酸ナトリウム0.345gを溶解し、更にアルミニウムカップリング剤(プレンアクトRAL-M、味の素(株)製)0.053gで処理したカーボンブラック(リーガル330R、キャボット社製)2.67gを添加し、超音波分散を行って得たカーボンブラック分散液を添加した。これに、脱気したイオン交換蒸留水200ミリリットルを加え希釈を行い、次いで、スチレン24.23g、アクリル酸n-ブチル4.60g、メタクリル酸1.84g、tert-ドデシルメルカプタン0.6gを添加し、窒素気流下、500rpmの撹拌速度で撹拌を行いつつ、内温を70℃に昇温した。このままの状態で、過硫酸カリウム1.0137gを脱気したイオン交換水50ミリリットルに溶解した重合開始剤水溶液を添加した。(この時のドデシル硫酸ナトリウム濃度は、3.99×10-3モル/lであり、ドデシル硫酸ナトリウムのCMCは8×10-3モル/lである。)
この状態で7時間重合を行った後、室温まで冷却し、No.3ガラスフィルターで濾過を行い重合体粒子水性分散液(PD-2)を得た。」(【0080】段落)
(1d)「実施例1
重合体粒子水性分散液(PD-1)250ミリリットルに、5規定の水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pH=9.0に調整し、重合体中のイオン性解離基を有するメタクリル酸ユニットを、ナトリウム塩の形にし、解離状態にした。これを冷却管、撹拌装置、温度計付き500ミリリットルの4頭セパラブルフラスコに入れ、室温下250rpmで撹拌した。
ここに、塩化カリウム10.25gを50ミリリットルの蒸留水に溶解した凝集剤水溶液を添加した。この状態での、凝集剤濃度は0.5モル/lである。
なお、・・・凝集剤に塩化カリウムを用いた場合の重合体粒子水性分散液(PD-1)における臨界凝集濃度を求めたところ、0.12モル/lであった。
更に、2-プロパノールを42.5ミリリットル添加し、次いで、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(和光純薬工業(株)製)2.00gを蒸留水10ミリリットルに溶解した水溶液を添加した。
なお、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルのCMCは0.7g/100ミリリットルであり、この状態でほぼ臨界ミセル形成濃度になっている。
更に、撹拌しつつ内温を85℃まで昇温し、そのまま6時間反応を続け、次いで、室温まで下げ、非球形粒子分散液を取り出した。」(【0086】〜【0091】段落)
(1e)「実施例2
実施例1において、重合体粒子水性分散液(PD-1)に代え、表3に示す重合体粒子水性分散液(PD-2)・・・を用い、また、使用するノニオン界面活性剤を表3に示すノニオン界面活性剤に代え、ノニオン界面活性剤の使用量を表3に示すようにした以外は実施例1と同様にして非球形粒子(6)〜(21)を作成した。
なお、塩化カリウムを用いた場合の、重合体粒子水性分散液(PD-2)・・・における臨界凝集濃度は、それぞれ0.10モル/リットル、・・・であった。」(【0097】、【0098】段落)として、【0099】段落の【表3】には、非球形粒子(6)が、水分散液としてPD-2を用い、塩化カリウム濃度を0.5モル/lとし、界面活性剤としてポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルを1.0g/100mlの添加量で用いて製造されたことが記載されている。
(1f)「実施例3
実施例2で得られた本発明の非球形粒子(6)・・・を濾過した後、純水を用い何度も洗浄を繰り返し、各重合体のガラス転移温度(Tg)以下の温度で乾燥し、トナー粒子とした。」(【0101】段落)

(3)対比・判断
刊行物1の記載事項(1a)〜(1f)を、非球形粒子(6)に着目して整理すると、刊行物1には下記の発明が記載されていると云える。
「脱気したイオン交換蒸留水50ミリリットルにドデシル硫酸ナトリウム0.345gを溶解し、更にアルミニウムカップリング剤で処理したカーボンブラック(リーガル330R、キャボット社製)2.67gを添加し、超音波分散を行って得たカーボンブラック分散液を添加し、これに、脱気したイオン交換蒸留水200ミリリットルを加え希釈を行い、次いで、スチレン24.23g、アクリル酸n-ブチル4.60g、メタクリル酸1.84g、tert-ドデシルメルカプタン0.6gを添加し、窒素気流下、500rpmの撹拌速度で撹拌を行いつつ、内温を70℃に昇温し、このままの状態で、過硫酸カリウム1.0137gを脱気したイオン交換水50ミリリットルに溶解した重合開始剤水溶液を添加し、この状態で7時間重合を行った後、室温まで冷却し、No.3ガラスフィルターで濾過を行い重合体粒子水性分散液(PD-2)を得る工程(a)と、
該重合体粒子水性分散液(PD-2)250ミリリットルに、5規定の水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pH=9.0に調整し、重合体中のイオン性解離基を有するメタクリル酸ユニットを、ナトリウム塩の形にし、解離状態にして、室温下250rpmで撹拌し、ここに、塩化カリウム10.25gを50ミリリットルの蒸留水に溶解した凝集剤水溶液を添加して、塩化カリウム濃度を重合体粒子水性分散液(PD-2)における臨界凝集濃度以上の0.5モル/lとし、更に、2-プロパノールを42.5ミリリットル添加し、次いで、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(和光純薬工業(株)製)を1.0g/100ミリリットルになるように添加して添加して、撹拌しつつ内温を85℃まで昇温し、そのまま6時間反応を続け、次いで、室温まで下げ、非球形粒子分散液を取り出す工程(b)と、
得られた非球形粒子を濾過した後、純水を用い何度も洗浄を繰り返し、重合体のガラス転移温度(Tg)以下の温度で乾燥する工程(c)、
を経て製造されたトナー粒子。」
本願発明1と刊行物1発明とを対比すると、後者における「重合体粒子」は前者における「重合体微粒子」に相当する。そして、後者の「トナー粒子」は、工程(b)で、工程(a)で製造された重合体粒子の複数個が会合した凝集粒子を形成し、該凝集粒子を構成する重合体粒子間を加熱融着したものであるから、「複数個の重合体粒子が会合した」ものであると云え、また、記載事項(1a)からみて「電子写真用」、即ち、静電荷像現像用のトナーであると云える。よって、両者は、
「複数個の重合体微粒子が会合してなる静電荷像現像用トナー。」
で一致し、下記の点で一応相違する。
(i)本願発明1は、トナー粒子表面の0.1μm以下の孔径を持つ細孔の全体積がトナー粒子表面の全細孔体積の30%以下であると特定されているのに対し、刊行物1発明はかかる特定がされていない点。

そこで、この相違点(i)について検討する。
本願明細書の【0016】〜【0018】段落には、本願発明1におけるトナー粒子表面の細孔体積を制御する方法が記載されている。即ち、同【0016】段落には、「トナー表面の細孔体積は、水系でトナーを生成した後に夾雑物を洗浄する為に使用される溶媒によって制御することができる」ことが記載されており、「この場合、トナーを構成する樹脂を溶解しない溶媒で洗浄することが好ましい。この様な樹脂を溶解しない溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等をあげることができる」こと、及び「更に樹脂を膨潤もさせない溶媒を使用して洗浄することが特に好ましい」ことが記載されている。また、同【0017】、【0018】段落には、「トナー表面の細孔体積を制御する別の方法としては、洗浄後のトナーを乾燥する温度と速度をあげることができる」ことが記載されており、「乾燥温度を高くすることにより、トナー粒子を構成する樹脂の表面近傍をガラス転移温度近くまで上昇させることにより、粒子間の接着性を向上することができる。また、乾燥速度としては急速な乾燥よりもゆっくり乾燥する方法が好ましい」ことが記載されている。さらに、具体的に「乾燥温度としては重合体を形成する樹脂のガラス転移温度-0〜25℃が好ましい」こと、及び「乾燥としては急速な乾燥ではない条件とするために、減圧乾燥よりも大気圧下の乾燥が好ましい」ことが記載されている。
そして、トナーの洗浄、乾燥について、本願明細書の実施例の記載を検討すると、同【0090】〜【0096】段落には静電荷像現像用トナー1〜7の製造として、静電荷像現像用トナー懸濁液を濾過後、蒸留水を加え再分散し、5Nの水酸化ナトリウムを用いpH=13に調整し、水又はメタノール/水=5/5の混合溶媒を用い、洗浄、濾過を7回繰り返し界面活性剤及び電解質を除去したこと、及び、洗浄後、乾燥温度38℃又は43℃、常圧下又は減圧下(100mmHg以下)で乾燥することが記載されている。
これに対して、刊行物1発明における非球形粒子の洗浄、乾燥は、工程(c)の「得られた非球形粒子を濾過した後、純水を用い何度も洗浄を繰り返し、各重合体のガラス転移温度(Tg)以下の温度で乾燥する」ことである。
そこでまず、トナー、即ち非球形粒子の洗浄条件について、本願明細書に記載された事項と刊行物1発明とを対比検討すると、刊行物1発明において非球形粒子の洗浄に使用される溶媒である「水」は、本願明細書【0016】段落で洗浄に使用するのに好適な溶媒として筆頭に挙げられたものであり、しかも本願発明の実施例で使用されている物である。洗浄回数については、刊行物1発明においては「何度も」とあるだけで特定されていないが、刊行物1発明における非球形粒子の洗浄の目的は夾雑物、即ち、電解質、有機溶媒、界面活性剤等を除去することにあり(記載事項(1b))、本願明細書の実施例にも洗浄、濾過を繰り返すことにより界面活性剤及び電解質を除去したことが記載されているから、刊行物1発明においても、溶媒として同じ「水」を用いる以上、本願発明1の実施例と同様な回数の洗浄を行うものと認められる。
次ぎに、洗浄後の乾燥条件について本願明細書に記載された事項と刊行物1発明とを対比検討すると、刊行物1発明における乾燥温度は「各重合体のガラス転移温度(Tg)以下の温度」であり、一般に乾燥効率は高温の方がよいことを考慮すると、本願明細書【0018】段落に好ましい乾燥温度として記載された「重合体を形成する樹脂のガラス転移温度-0〜25℃」の範囲内のものであると認められる。そして、刊行物1発明においては、乾燥時の雰囲気圧力は特定されていないが、通常、雰囲気圧力が特定されていないときは常圧であることを意味するから、刊行物1発明における乾燥雰囲気圧は常圧であると認められ、この雰囲気圧力は、本願明細書【0018】段落に好適なものとして記載され実施例において採用された圧力と同じものである。
よって、刊行物1発明における非球形粒子の洗浄、乾燥条件は、本願明細書に記載されたトナーの洗浄、乾燥条件と格別変わりないものである。
さらに、本願明細書を検討しても、本願発明1のトナー粒子表面の細孔体積をいかなる方法で制御するか、他に具体的記載はない。しかも、同【0097】段落に記載された比較静電荷像現像用トナー1,2の製造は、静電荷像現像用トナー1〜4の製造で用いられたものと同じ静電荷像現像用トナー懸濁液1について、洗浄、乾燥を行ったものであり、上記静電荷像現像用トナー1〜7の製造と比較して異なる点は洗浄溶媒としてメタノールを用いた点のみである。
してみると、本願明細書の記載によれば、本願発明1で特定されるトナー粒子表面の細孔体積の制御は、トナー粒子の洗浄、乾燥条件でのみ為されるものと認められるが、一応、本願発明1における重合体微粒子及び複数個の重合体微粒子の会合状態と刊行物1発明におけるそれらとの関係についても検討しておく。
本願明細書【0032】〜【0055】段落には本願発明1における重合体微粒子について記載されているが、この記載からは本願発明1における重合体微粒子に何らかの特定があるものとは認められない。しかも、同【0084】〜【0089】段落には、同【0090】〜【0096】段落に記載された静電荷像現像用トナー1〜7の製造に用いられる静電荷像現像用トナー懸濁液1〜4の合成について記載されているが、そこで、本願発明1における重合体微粒子である着色剤含有微粒子は、刊行物1発明の工程(a)と同じく単量体としてスチレン、n-ブチルアクリレート及びメタクリル酸を用い、それらの配合比も刊行物1発明の工程(a)と同じで合成されているから、本願発明1の実施例において重合体微粒子の多くの部分を構成する重合体は、刊行物1発明において重合体粒子を構成する重合体と同様のものである。
また、複数個の重合体微粒子を凝集会合させて非球状粒子とする方法について、本願明細書【0021】〜【0031】段落及び【0056】〜【0063】段落に記載されており、同【0021】【0022】段落には「本発明の目的は、複数個の重合体微粒子が会合してなる非球状粒子であって、その作製方法としては、例えば該粒子が重合体微粒子分散液の臨界凝集濃度以上の凝集剤及び水に対して無限溶解する有機溶媒で処理されたことを特徴とする非球状粒子によって達成される。又、a)重合体微粒子分散液に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を添加する工程、b)凝集剤を添加した重合体微粒子分散液に、水に無限溶解する有機溶媒を添加する工程、c)上記混合液を重合体微粒子のガラス転移温度以上で加熱する工程を具備することを特徴とする非球状粒子の製造方法によって達成される。」と記載されているが、このうち後者の方法は刊行物1発明における工程(b)と同じである。しかも、同【0084】〜【0089】段落に記載された静電荷像現像用トナー懸濁液1〜4の合成における非球状粒子の製造工程は、刊行物1発明の工程(b)と同様、重合体微粒子を構成する重合体中の解離性基を解離状態とした上で、凝集剤として刊行物1発明の工程(b)において用いられた塩化カリウムと同等の凝集作用を有する塩化ナトリウムを添加し、刊行物1発明の工程(b)と同じくイソプロピルアルコール及びポリオキシエチレン(9〜10)オクチルフェニルエーテルであるトリトンXを添加して85℃で6時間反応させるものであるから、刊行物1発明の工程(b)で製造された非球形粒子における重合体粒子の会合状態は本願発明1における複数個の重合体微粒子の会合状態と同等のものである。
してみると、本願発明1と刊行物1発明との間に重合体微粒子を構成する重合体及び複数個の重合体微粒子の会合状態に関しても格別の違いが無く、トナー粒子の洗浄、乾燥条件については上述のとおりであるから、刊行物1発明におけるトナー粒子の表面状態は、本願発明1におけるトナー粒子の表面状態と同じであって、刊行物1発明においても、トナー粒子表面の0.1μm以下の孔径を持つ細孔の全体積がトナー粒子表面の全細孔体積の30%以下であると認められる。
よって、相違点1は実質的な相違点ではない。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明1は、上記の刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができない。
したがって、本願の請求項2ないし7に係る発明についての判断を示すまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-06-15 
結審通知日 2006-06-20 
審決日 2006-07-03 
出願番号 特願平11-88897
審決分類 P 1 8・ 571- Z (G03G)
P 1 8・ 113- Z (G03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 淺野 美奈  
特許庁審判長 岡田 和加子
特許庁審判官 秋月 美紀子
福田 由紀
発明の名称 静電荷像現像用トナーと画像形成方法  

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