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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1142844
審判番号 不服2004-13081  
総通号数 82 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-03-09 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-06-24 
確定日 2006-08-31 
事件の表示 平成 9年特許願第220361号「マルチチップモジュール」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 3月 9日出願公開、特開平11- 68033〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年8月15日の出願であって、平成16年5月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年6月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年7月23日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成16年7月23日付けの手続補正について

[補正却下の決定の結論]

平成16年7月23日付けの手続補正を却下する。

[理由]
(1)本件補正の内容
平成16年7月23日付けの手続補正(以下本件補正という。)の内、請求項1の補正の内容は以下のとおりである。

請求項1の
「【請求項1】 互いに対向する第1の半導体素子の内表面と第2の半導体素子の内表面とにそれぞれアンテナとなる配線を設け、それぞれの対応するアンテナを介して共有インダクタ,共有コンデンサによる結合によって無線により通信可能にしたことを特徴とするマルチチップモジュール。」を
「【請求項1】 互いに対向する第1の半導体素子の信号線が配設される配線層と第2の半導体素子の信号線が配設される配線層とにそれぞれアンテナとなる配線を設け、それぞれの対応するアンテナを介して共有インダクタ,共有コンデンサによる結合によって無線により通信可能にしたことを特徴とするマルチチップモジュール。」と補正する(以下「補正発明」という。)。

(2)補正事項についての整理
本件補正については、請求項1の記載において、「第1の半導体素子の内表面と第2の半導体素子の内表面」を「第1の半導体素子の信号線が配設される配線層と第2の半導体素子の信号線が配設される配線層」とするものである。

(3)補正の目的の適否、新規事項の有無について
請求人は、補正の根拠として、「請求項1、2の補正事項は、出願当初の明細書における段落0014、0015、および図面図1などに記載された自明な事項でありまして、新規事項を追加するものではありません。」と主張している。しかし、第14段落、第15段落には、「【0014】図1(a)において、第1の半導体素子1には内表面4に送信アンテナとなる第1の配線12が形成され、さらに、この第1の配線12の周囲を同じ配線層においてシールドするための第2の配線13が形成されている。第1の配線12は信号線15に第1の駆動回路14を介して接続され、さらに第2の配線13は接地(GND)電位にある(電源電位に固定するようにしてもよい)。
【0015】一方、第1の半導体素子1の内表面4と対向する第2の半導体素子2の内表面5には受信アンテナとなる第3の配線22が形成され、さらに、この第3の配線22の周囲を同じ配線層においてシールドするための第4の配線23が形成されている。第3の配線22は比較的駆動能力の弱い第2の駆動回路26によって駆動され、信号線25は駆動能力の強い第3の駆動回路24によって駆動される。さらに第4の配線23は接地電位にある(電源電位に固定するようにしてもよい)。」という記載しかなく、「第1の半導体素子の信号線が配設される配線層と第2の半導体素子の信号線が配設される配線層とにそれぞれアンテナとなる配線を設け」る記載はない。
また、「図1(b)、(c)は要部の等価回路」(第13段落)を示したものであり、実際の構造を表したものとは認められず、さらに、信号線が配設される配線層にアンテナとなる配線が、設けられているという記載もない。
よって、明細書の記載において、「信号線が配設される配線層」に「アンテナとなる配線」を設けるとの記載はなく、また、図面から「信号線が配設される配線層」に「アンテナとなる配線」を設けているとは認められない。また、他にそのような記載はない。
請求人は、「自明である。」と主張するが、どの層に信号線やアンテナを設けるかは、当業者が適宜変更し得るものであるから、具体的な記載がない以上、自明であるとは認められない。
よって、この補正は、願書に最初に添付された明細書又は図面に記載のない事項を含んでいる。

(4)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明の認定
平成16年7月23日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本件の請求項1〜3に係る発明は、平成15年2月7日付けの手続補正書により補正されたとおりのものであるところ、その請求項1に記載された発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】 互いに対向する第1の半導体素子の内表面と第2の半導体素子の内表面とにそれぞれアンテナとなる配線を設け、それぞれの対応するアンテナを介して共有インダクタ,共有コンデンサによる結合によって無線により通信可能にしたことを特徴とするマルチチップモジュール。」(以下、「本願発明」という。)

(2)刊行物及びその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に国内において頒布された刊行物である特表平9-504908号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図38が示されると共に、以下の事項が記載されている。

(a)「マルチチップモジュール(“MCM”もしくは“レベル11/2”パッケージ)は複数のダイ及び/または関連相互接続を保持及び相互接続するためにレベル2状の、もしくはレベル3状のパッケージとしてのモジュラー機能を与える。」(第27頁第22行〜第27頁第24行)

(b)「 要約すれば、本発明の一面は、少なくとも2つのモジュール(これらのモジュールの少なくとも一方は給電されている)と、非導電的に(例えば、容量的に、もしくは磁気的に)これらのモジュール間を通じさせる手段とを備えているジュラーエレクトロニックシステムに関する。
本発明の別の面は、2もしくはそれ以上のダイが非導電性信号手段を介して通信するようなMCMに関する。MCMはサブストレートを備え、このサブストレートはその上に固定された複数のダイを有していることが好ましい。
・・・
本発明の更に別の面は、非導電性手段を介してモジュラーシステム内の素子間で区別して信号する方法、及びこのような信号方法を実現する受信機及び送信機に関する。
本発明の更に別の面によれば、極めて高い周波数信号が伝送ライン結合によってモジュール間で通信される。この結合は平行にもしくは垂直に重なったマイクロストリップもしくはストリップラインセグメントで実現することが好ましい。モジュラーマイクロ波及びミリメートル波システムが、伝送ライン結合を介して通信するように好ましく組立てられる。」(第43頁第9行〜第44頁第23行 )

(c)「 次に、第38A〜B図について説明する。第38A図は、モジュール470上の伝送ライン471およびモジュール473上の並列伝送ライン474を含めたモジュラーシステムの分解図である。結合された伝送ライン471および474が、モジュール470と474の間に非導電性信号手段を提供する。第38B図は代替配置の分解図であり、この場合、モジュール470上の伝送ライン471およびモジュール476上の垂直伝送ライン477が磁力によって結合し、それによって、モジュール470と476の間に非導電性信号手段を提供する。信号手段472はトランスミッタからなり、信号手段475はレシーバからなっており、その逆でもよい。・・・」(第105頁第26行〜第106頁第5行 )

原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に国内において頒布された刊行物である特開平7-202119号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図9が示されると共に、以下の事項が記載された、「半導体装置の接続装置(発明の名称)」が記載されている。

(d)「【0037】図9及び図10において大規模集積回路(LSI)や集積回路(IC)等で構成されるICチップ61は、図中の下面側である所定回路や通信回路が構成された回路面62に、入・出力端子であって受信もしくは送信用のアンテナを構成するアンテナ端子63が形成されている。またICチップ61の上面側には、ICチップ61の各回路に給電するための電源端子64が設けられている。
【0038】一方、ICチップ61を実装するパッケージもしくは配線基板などの基板65には、入・出力端子であってICチップ61の受信もしくは送信用のアンテナを構成するアンテナ端子63に対応した送信もしくは受信用のアンテナを構成するアンテナ端子66が設けられている。各アンテナには夫々固有の周波数があり、各アンテナ端子63,66は1対1で送受信が可能なようになっている。また基板65には、ICチップ61の電源端子64にワイヤ67を介して電力供給する電源端子68が設けられている。
【0040】・・・そして、微弱な電波でも対応するアンテナ端子63,66の間で安定して通信できるようになる。」 (第37段落〜第38段落、第40段落)

(3)対比・判断
上記摘記事項(a)〜(c)の記載から、刊行物1には、
「2もしくはそれ以上のダイが非導電性信号手段を介して通信するようなマルチチップモジュール。」が記載されている(以下、「刊行物1発明」という。)。
また、上記摘記事項(d)の記載から、刊行物2には、
「ICチップに、入・出力端子であって受信もしくは送信用のアンテナを構成するアンテナ端子が形成され、アンテナ端子の間で安定して通信できる半導体装置の接続装置」が記載されている。(以下、「刊行物2発明」という。)
本願発明と刊行物1発明とを対比すると、
刊行物1発明において、「ダイ」は、本願発明の「半導体素子」に相当する。 また、刊行物1、第38A図には、互いに対向する第1の半導体素子の内表面と第2の半導体素子の内表面とにそれぞれ配線を設け、それぞれの対応する配線を介して通信可能にした構成が記載されている。
よって、両者は、「互いに対向する第1の半導体素子の内表面と第2の半導体素子の内表面とにそれぞれ配線を設け、それぞれの対応する配線を介して通信可能にしたことを特徴とするマルチチップモジュール。」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点
本願発明では、2つの半導体素子間は、アンテナを設け、アンテナを介して共有インダクタ,共有コンデンサによる結合によって無線により通信しているのに対し、刊行物1発明では、2つの半導体素子間は、非導電性信号手段を介して通信をしているが具体的な構成が不明確な点。

上記相違点について検討する。
2つの半導体素子間を、アンテナを用いて、電波で通信することは、刊行物2に記載されており、無線による通信を行っていると認められる。
また、アンテナにおいて、インダクタ成分およびコンデンサ成分を有することは技術常識であり、刊行物1、第38A図の構成において、互いに対向する第1の半導体素子の内表面と第2の半導体素子の内表面とにそれぞれ配線を設け、それぞれの対応する配線を介して通信可能にした構成が記載されているので、対向による物理的な配置により電気的に共有インダクタ、共有コンデンサにより結合されるものである。
刊行物2記載の発明と、刊行物1発明とは、共にマルチチップ間の通信に関する発明であり、刊行物2にはアンテナを用いた無線による通信が記載されているから、刊行物2発明を刊行物1発明に適用し、刊行物1発明における対向する配線を、アンテナとすることは当業者が容易に想到しうることである。
よって、本願発明は、刊行物1、2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許を受けることができない。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条2項に規定する要件を満たしていないので、特許を受けることができないものであり、請求項2、3に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-06-27 
結審通知日 2006-07-04 
審決日 2006-07-19 
出願番号 特願平9-220361
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 561- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 北島 健次今井 拓也  
特許庁審判長 岡 和久
特許庁審判官 日比野 隆治
大嶋 洋一
発明の名称 マルチチップモジュール  
代理人 村山 光威  
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