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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1142889
審判番号 不服2002-9409  
総通号数 82 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-05-24 
確定日 2006-09-01 
事件の表示 特願2000-121516「ゲーム装置、画像表示装置、及び、記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成13年10月30日出願公開、特開2001-300134〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第一.手続の経緯
本願は、平成12年4月21日の出願であって、拒絶理由通知に対応して平成14年3月28日に手続補正がなされ、その後、平成14年4月16日付で拒絶査定がなされ、これに対し、拒絶査定不服審判が請求がされて、平成14年6月14日に手続補正がなされたものである。


第二.平成14年6月14日付の手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成14年6月14日付の手続補正を却下する。

[理由]
[1]補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は以下のように補正された。
「ディスプレイ装置画面上に表示されたボード上に、3個の立方体形状のダイスを振り出し、振り出した3個のダイスの出目に応じて、前記ダイスのいずれかを開くことによって形成される部分経路を前記ボード上に配置することによって、各プレイヤの陣地を自陣から延ばして行く携帯型ゲーム装置において、
前記各プレイヤ自身の陣地を前記ボードと共に前記ディスプレイ装置画面上に表示させる手段と、
前記開かれたダイスによって形成される部分経路として、複数形状の部分経路を予めRAMからCPUコア内の部分経路格納部に格納しておく格納手段と、
前記複数形状の部分経路を各プレイヤの選択のために前記ディスプレイ装置画面上に表示させる手段と、
当該各プレイヤの選択に応じて、各プレイヤによって選択された部分経路を当該プレイヤの陣地或いは既に配置された各プレイヤの部分経路に接するように、前記ディスプレイ装置画面上のボード上に配置する制御を行う配列制御手段とを有し、
前記配列制御手段は、前記選択された部分経路の回転角を調整し、前記選択された部分経路がボード上におさまるかどうかを判定することを特徴とする携帯型ゲーム装置」
(下線部分は補正箇所を示す)

[2].補正要件(目的)の検討
本件補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「ゲーム装置」及び「格納手段」について「携帯型」及び「予めRAMからCPUコア内の部分経路格納部」との限定を付加するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

[3].補正要件(独立特許要件)の検討
本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1).引用刊行物記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、[高橋和希著「ジャンプコミックス 遊☆戯☆王16」 株式会社集英社発行 1999年12月17日](以下「刊行物A」という)、及び周知事項を例示する為の刊行物である、特開平7-185134号公報(以下「刊行物B」という)には、以下の事項が記載されている。
(A).刊行物A
(A-1).「それじゃあ今からD・D・D・・・ドラゴン・ダイス・&ダンジョンズのルールを説明する・・・ダイスの色はクリーチャーの種族によって分かれている(白-魔族、青-戦士族、黄-不死族、緑-獣族、赤-竜族)。・・・ゲームの舞台はダーク・フィールド!!・・・プレイヤーは自分のターンで三つのダイスを振る!!・・・三つのダイスのうち二つ以上の紋章が揃ったらその力を発動することができる・・・振ったダイスのうちひとつをフィールド上に置くことができる! ボクはこの赤き竜のダイスを!・・・ディメンション・ダイス・・・ダイスの中にクリーチャーが!!・・・これはダイスによってダンジョンを拡張させていき敵陣を制圧した者が勝つ-戦略バトルゲームさ!」(遊闘136 D・D・D!!)
(A-2).「フィールド上にダイス・セット!!・・・ディメンション・ダイス!!・・・ダイスの中からクリーチャーが出現した・・・フィールド上のダイスが解体されてダンジョンの通路を形成したぞ・・・そう-D.D.Dはプレイヤーの手牌であるダイスをフィールド上でダンジョンに変化させ- 召喚されたクリーチャーを敵陣に進行させ 先にプレイヤー(ダンジョン・マスター)を倒した者が勝利するゲームだ!・・・ダンジョンが連なってボクの陣地に向かって通路がのびて来た・・・ダイスは自分のダンジョンが繋がるようにセッティングしなければならない!」(遊闘137 暗闇の道!!)
(A-3).「ダイス・・・つまり六面立方体の展開図はすべて3×4のマスにおさまるものなんだ・・・右左上下の反転を考えなければ三十通り以上の組み合わせがある!・・・このゲームはフィールドにパズルをハメ込むように 自軍のダイスをディメンションさせ敵陣を制圧していく戦術もあるのさ!」(遊闘139 レアVSレア!!)
(A-4).してみると、刊行物Aには以下の発明(以下、「引用発明」という)が記載されている。
「プレイヤーは自分のターンで3つのダイスを振り、2つ以上の紋章が揃ったら、振ったダイスのうちひとつをフィールド上に置いてディメンション・ダイスとなると、ダイスが解体されて、右左上下の反転を考えなければ30通り以上の組み合わせがある6面立方体の展開図としてのダンジョンが形成され、当該ダンジョンを接続拡張させて敵陣に向かって通路を延長し、召喚されたクリーチャーを敵陣に進行させて先にプレイヤー(ダンジョンマスター)を倒したプレイヤーが勝利するゲームにおいて、フィールドにパズルをハメ込むように自軍のダイスディメンションを行って敵陣を制圧していく戦術も有るドラゴン・ダイス・&ダンジョンゲーム」

(B).刊行物B
(B-1).「【構成】 複数の地図片をジグソーパズル式に組合せることにより構成される世界地図情報を地図片情報記憶手段1に記憶しておき、ゲームの進行に従ってこの地図片情報記憶手段1から片情報読出手段2により所定の地図片P0 を読み出し、この読み出された地図片P0 を地図片情報操作手段4で移動および回転することにより表示手段3の画面上に表示済みの他の地図片Pに嵌め合わせ、この嵌め合わされたすべての地図片によって構成される地図領域を地図領域認識手段5で画定しながら移動体操作手段6により移動体Cを移動させながらゲームを進行する」(第1頁下段左欄)

(2).引用発明と本願補正発明との対比
引用発明における「フィールド」は、本願補正発明における「ボード」に対応する。
引用発明における「ダンジョン」は、本願補正発明における「部分経路」に対応する
引用発明における、「ドラゴン・ダイス・&ダンジョンゲーム」は、と本願補正発明における「携帯型ゲーム装置」とは、ゲーム内容が同様である「ダイス・経路ゲーム」において共通する。
(ア).一致点
「ボード上に、3個の立方体形状のダイスを振り出し、振り出した3個のダイスの出目に応じて、前記ダイスのいずれかを開くことによって形成される部分経路を前記ボード上に配置することによって、各プレイヤの陣地を自陣から延ばして行くダイス・経路ゲーム」
(イ).相違点
「ダイス・経路ゲーム」に関して、(i)本願補正発明は部分経路を選択するものであるのに対し、引用発明では部分経路であるダンジョンを選択する点に関して明記されていない点、(ii)本願補正発明はディスプレイ装置画面を備えた携帯ゲーム装置で行われるコンピュータゲームであるのに対し、引用発明は、漫画紙面に記載されたゲームストーリーである為に、当然ディスプレイ表示手段、ゲーム進行の各種手段は記載されていない点
(3).相違点の検討
(i).相違点(i)について、
「ダイスは自分のダンジョンが繋がるようにセッティングしなければならない」(前記(A-2)参照)との記載から、ダンジョンである部分経路がプレイヤーに認知・選択されるものであることは当業者が容易に想到できることである。
このことは、本願明細書の段落【0001】〜【0006】の記載事項
からも明白である。
(ii).相違点(ii)について、
漫画掲載のゲームをコンピュータゲーム化することは、例えば、VジャンプブックスR[ゲームシリーズ]遊戯王 デュエルモンスターズII 究極攻略BOOK 下巻 通信デュエル必勝編(株式会社集英社 1990.8.10発行)に見られる様に、周知の事項であり、漫画掲載のゲームをコンピュータゲーム化する際には、漫画に掲載されたゲーム画像、ゲーム進行を、ディスプレイを具備したコンピュータ制御手段にて行わせれば良いことは、周知の技術的事項である。
してみると、引用発明のゲームをコンピュータゲーム化に際しては、
ディスプレイ装置にフィールド、ダイス、ダンジョン等を表示する為の表示制御手段、さらに、当該ダンジョンである部分経路が「右左上下の反転を考えなければ30通り以上の組み合わせがある6面立方体の展開図としてのダンジョン」の内の1のダンジョンすなわち部分経路を「フィールドにパズルをハメ込むように」「ダンジョンを接続拡張させて敵陣に向かって通路を延長」するものであるから、当該部分経路を、フィールドの任意位置に配設する手段、及び当該位置にハメ込む為のダイス展開図としての部分経路選択手段、選択した部分経路がハメ込み可能か否かの判断手段を要することは、当業者にとっては自明な技術事項であり、しかも、例えば、はめ込み手段として、ディスプレイ上の任意位置に配設し、回転操作してはめ込むゲーム装置が原査定において例示した刊行物Bのように周知の事項である。
そして、前記「ダイス展開図としてのダンジョン選択手段」である部分経路選択手段としては、部分経路選択のために表示する部分経路は記憶手段に記憶されておくこと、及び記憶内容として、右左上下の反転を考えない場合は全てのケースを記憶し、当該反転を考える場合には部分経路回転手段を具備させて、基本的な展開図のみの記憶させること等も当業者にとっては自明な技術事項であるから、どちらを採用するかは単なる設計的事項である。
さらに、コンピュータゲームとして携帯型ゲーム装置は周知のゲーム装置であり、携帯型にしたことによる格別の作用効果は認められないから、携帯型ゲームとするか否かは単なる設計的事項である。
したがって、本願補正発明は、前記刊行物A及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(4).むすび
以上のとおり、本件補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。


第三.本願発明について
[1].本願発明
平成14年6月14日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成14年3月28日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「ディスプレイ装置画面上に表示されたボード上に、3個の立方体形状のダイスを振り出し、振り出した3個のダイスの出目に応じて、前記ダイスのいずれかを開くことによって形成される部分経路を前記ボード上に配置することによって、各プレイヤの陣地を自陣から延ばして行くゲーム装置において、前記各プレイヤ自身の陣地を前記ボードと共に前記ディスプレイ装置画面上に表示させる手段と、前記開かれたダイスによって形成される部分経路として、複数形状の部分経路を格納する格納手段と、前記複数形状の部分経路を各プレイヤの選択のために前記ディスプレイ装置画面上に表示させる手段と、当該各プレイヤの選択に応じて、各プレイヤによって選択された部分経路を当該プレイヤの陣地或いは既に配置された各プレイヤの部分経路に接するように、前記ディスプレイ装置画面上のボード上に配置する制御を行う配列制御手段とを有し、前記配列制御手段は、前記選択された部分経路の回転角を調整するとと共に、前記選択された部分経路がボード上におさまるかどうかをも判定することを特徴とするゲーム装置。」

[2].引用刊行物記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物、および、その記載事項は、前記「第二.[3].(1)」に記載したとおりである。

[3].引用発明と本願発明との対比
本願発明は、前記「第二」で検討した本願補正発明から「ゲーム装置」及び「格納手段」の限定事項である「携帯型」及び「予めRAMからCPUコア内の部分経路格納部」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第二.[3].(3)」に記載したとおり、刊行物Aに記載された発明、及び、周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物Aに記載された発明、及び、周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

[4].むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物Aに記載された発明、及び、周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-06-28 
結審通知日 2006-07-05 
審決日 2006-07-21 
出願番号 特願2000-121516(P2000-121516)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮本 昭彦  
特許庁審判長 中村 和夫
特許庁審判官 塩崎 進
川島 陵司
発明の名称 ゲーム装置、画像表示装置、及び、記録媒体  
代理人 山本 格介  
代理人 福田 修一  
代理人 佐々木 敬  
代理人 池田 憲保  

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