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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1143046
審判番号 不服2003-21677  
総通号数 82 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-10-12 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-11-06 
確定日 2006-09-08 
事件の表示 特願2000-139623「コンテンツ配信システム」拒絶査定不服審判事件〔平成13年10月12日出願公開、特開2001-282689〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は平成12年5月12日(優先権主張、平成12年1月25)の出願であって、平成15年9月30日付で拒絶査定がなされ、これに対して平成15年11月6日に拒絶査定に対する審判が請求されるとともに、同年12月5日付で手続補正がなされたものである。

2.平成15年12月5日付手続補正について
[補正却下の決定の結論]
平成15年12月5日付手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1を引用する請求項2は次のとおり補正された。
「ネットワーク網に接続されたデータ送信装置から該ネットワーク網に接続された1または複数のデータ受信装置にコンテンツを配信するコンテンツ配信システムにおいて、
前記データ送信装置から前記データ受信装置への電子メールに、配信すべき音楽データや画像データに加え、CMデータやスケジュールデータも含むコンテンツが添付されると共に、データ受信装置において該コンテンツに対して実行されるべき処理コマンドが記述され、
前記データ受信装置には、前記電子メールの受信から前記コンテンツの処理が正常に終了した場合には前記データ送信装置に対して正常終了した旨の電子メールを送信し、
前記電子メールの受信から前記コンテンツの処理が正常に終了できなかった場合には前記データ送信装置に対して異常終了した旨の電子メールを送信する制御手段が設けられていることを特徴とするコンテンツ配信システム。」
上記補正は、補正前の請求項2に記載した発明を特定するために必要な事項である「CMデータやスケジュールデータ等も含む」との明りょうでない記載を「CMデータやスケジュールデータも含む」と明確化し、「前記データ受信装置には、受信した前記電子メールに記述された前記処理コマンドを実行して、添付された前記コンテンツを処理する手段が設けられ、前記電子メールを正常に受信できた場合に前記データ送信装置に対して受領確認のための電子メールを送信する手段が設けられている」について「前記データ受信装置には、前記電子メールの受信から前記コンテンツの処理が正常に終了した場合には前記データ送信装置に対して正常終了した旨の電子メールを送信し、前記電子メールの受信から前記コンテンツの処理が正常に終了できなかった場合には前記データ送信装置に対して異常終了した旨の電子メールを送信する制御手段が設けられている」と限定するものであって、特許法第17条の2第4項第4号の明りょうでない記載の釈明、及び、同項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物「特開平11-203217号公報」(以下「引用刊行物1」という。)には、図面とともに以下の記載がある。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 通信回線を介して該通信回線に接続された受信端末に電子メールを送信する送信端末であって、
楽音制御情報によって構成される楽曲データを前記電子メールに添付する添付手段と、
該楽曲データが添付された電子メールを前記受信端末に送信する送信手段とを有することを特徴とする送信端末。
【請求項2】 通信回線を介して該通信回線に接続された送信端末により送信された電子メールを受信する受信端末であって、
前記送信端末が送信した、楽音制御情報によって構成される楽曲データが添付された電子メールを受信する受信手段と、
該電子メールを開封する開封手段と、
該開封手段により電子メールが開封されたときに、当該電子メールに添付された楽曲データを自動再生する自動再生手段とを有することを特徴とする受信端末。」(第2頁左欄第1-18行)

「【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の電子メールシステムを構成する送信端末は、通信回線を介して該通信回線に接続された受信端末に電子メールを送信するものであって、楽音制御情報によって構成される楽曲データを前記電子メールに添付する添付手段と、該楽曲データが添付された電子メールを前記受信端末に送信する送信手段とを有することを特徴とする。
【0006】楽器制御情報とは、典型的にはMIDI(Musical Instrument Digital Interface)データであるが、これに限るものではなく、もとの楽音や音声よりデータ量が少なく、かつこれに基づいて目的の楽音や音声を再現できるものであればどのようなものであってもよい(以下、同様)。
【0007】さらに、特許請求の範囲で用いる「電子メール」は、文字データのみでなく、文字データに画像・映像データやデータ量の少ない音声データそのもの等を付加したものをも意味している。」(第3頁右欄第46行-第4頁左欄第14行)

「【0020】本発明の第1の実施の形態の電子メールシステムは、電子メールを送信する送信端末と、この送信された電子メールを記憶装置に蓄えるとともに、この蓄えられた電子メールをその送信先に配信するサーバコンピュータと、この配信された電子メールを受信する受信端末とにより構成され、各構成装置は、たとえばパーソナルコンピュータやワークステーション等の汎用コンピュータによってそれぞれ構成されている。もちろん、送信端末と受信端末とは、その機能が固定的に決まっているものではなく、たとえば、受信端末であっても電子メールを送信でき、このときには送信端末になる。
【0021】図1は、本実施の形態の電子メールシステムを構成する送信端末、すなわち汎用コンピュータの概略構成を示すブロック図である。
【0022】同図に示すように、本実施の形態の送信端末は、主に文字情報を入力するためのキーボード1と、ポインティングデバイスであるマウス2と、キーボード1の各キーの操作状態を検出するキー操作検出回路3と、マウス2の操作状態を検出するマウス操作検出回路4と、装置全体の制御を司るCPU5と、該CPU5が実行する制御プログラムやテーブルデータ等を記憶するROM6と、演奏データ、各種入力情報および演算結果等を一時的に記憶するRAM7と、タイマ割込み処理における割込み時間や各種時間を計時するタイマ8と、各種情報等を表示する、たとえば大型液晶ディスプレイ(LCD)若しくはCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイおよび発光ダイオード(LED)等を備えた表示装置9と、記憶媒体であるフロッピディスク(FD)20をドライブするフロッピディスクドライブ(FDD)10と、前記制御プログラムを含む各種アプリケーションプログラムや各種データ等を記憶するハードディスク(図示せず)をドライブするハードディスクドライブ(HDD)11と、前記制御プログラムを含む各種アプリケーションプログラムや各種データ等を記憶するコンパクトディスク-リード・オンリ・メモリ(CD-ROM)21をドライブするCD-ROMドライブ(CD-ROMD)12と、外部からのMIDI信号を入力したり、MIDI信号として外部に出力したりするMIDIインターフェース(I/F)13と、通信ネットワーク101を介して、たとえばサーバコンピュータ102や他のクライアントコンピュータ(本実施の形態では受信端末)103とデータの送受信を行う通信インターフェース(I/F)14と、MIDII/F13や通信I/F14を介して入力された演奏データや予め設定された演奏データ等を楽音信号に変換する音源回路15と、該音源回路15からの楽音信号に各種効果を付与するための効果回路16と、該効果回路16からの楽音信号を音響に変換する、たとえば、DAC(Digital-to-Analog Converter)やアンプ、スピーカ等のサウンドシステム17とにより構成されている。」(第5頁右欄第29行-第6頁左欄第28行)

「【0026】通信I/F14は、上述のように、たとえばLAN(Local Area Network)やインターネット、電話回線等の通信ネットワーク101に接続されており、該通信ネットワーク101を介して、サーバコンピュータ102や他のクライアントコンピュータ103に接続される。HDD11内のハードディスクに上記各プログラムや各種パラメータが記憶されていない場合には、通信I/F14は、サーバコンピュータ102からプログラムやパラメータをダウンロードするために用いられる。クライアントとなるコンピュータ(本実施の形態では、送信端末および受信端末)は、通信I/F14および通信ネットワーク101を介してサーバコンピュータ102へとプログラムやパラメータのダウンロードを要求するコマンドを送信する。サーバコンピュータ102は、このコマンドを受け、要求されたプログラムやパラメータを、通信ネットワーク101を介してコンピュータへと配信し、コンピュータが通信I/F14を介して、これらプログラムやパラメータを受信してHDD11内のハードディスクに蓄積することにより、ダウンロードが完了する。」(第6頁右欄第3-22行)

「【0030】以上のように構成された電子メールシステムを構成する各構成装置、すなわち送信端末、サーバコンピュータ102および受信端末が実行する制御処理を、以下、図2を参照して説明する。
【0031】同図において、たとえばユーザの指示に応じて送信端末が、電子メールに楽音制御情報(この楽音制御情報は、典型的には、MIDIデータであるため、以下、MIDIデータに限定して説明する)からなる楽曲データ(この楽曲データはユーザ自身が用意したものであり、この楽曲データも、混同の恐れのないときには、以下「MIDIデータ」という)を添付して受信端末宛、すなわち受信端末が属するサーバコンピュータ102の当該アドレスに対して送信する(ステップS1)。ここで、本実施の形態では、電子メールは、文字データ(テキストデータ)のみから構成されるものではなく、文字データに加えて画像データによっても構成されている。このように、電子メールを文字データおよび画像データによって構成するには、電子メールを、たとえばHTML(HyperText Make-up Language)で記述し、このHTMLで記述された電子メールを送るようにすればよい。このようなシステムは周知である。なお、小容量の音声データ(この音声データは、MIDIデータではなく、音声そのものをデジタル化したものである)を、電子メールに添付することもできる。以下、楽曲データや音声データが添付された電子メールを電子メールデータという。」(第7頁左欄第4-29行)

「【0035】受信端末は、この電子メールデータを受信し(ステップS8)、この電子メールデータのうち文字データと画像データを表示装置9に、再生ボタンとともに表示し(ステップS9)、この電子メールデータのうちMIDIデータを自動的に再生し、音源回路15に送信する(ステップS10)。音源回路15は、この再生データに基づいて楽音信号を生成して効果回路16に送出し、効果回路16では、生成された楽音信号に各種効果が付与され、サウンドシステム17を介して発音される(ステップS11)。」(第7頁左欄第47行-右欄第6行)

「【0053】また、上記各実施の形態では、電子メールに、MIDIデータからなる楽曲データを添付して送受信させているが、たとえば、受信端末側に、指定した音色データ(波形データ、楽音パラメータ等)が記憶されていない場合もあるので、そのような音色データを添付して送信してもよい。さらに、受信端末が指定する音色の楽音を発生するための楽音発生プログラムを有していない場合に備えて、そのプログラムを添付して送信してもよい。それらの場合には、受信端末は、必要に応じて、上記音色データ、プログラムを利用する。不必要な場合には、受け取らないようにしてもよい。」(第8頁右欄第36-46行)

「【0054】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1、5および9記載の発明に依れば、楽音制御情報によって構成される楽曲データが電子メールに添付されて受信端末に送信されるので、高品質かつ容量少ない楽音や音声を電子メールとともに送受信することが可能となる効果を奏する。
【0055】また、請求項2、6および10記載の発明に依れば、送信端末が送信した、楽音制御情報によって構成される楽曲データが添付された電子メールが受信され、該電子メールが開封されたときに、当該電子メールに添付された楽曲データが自動再生されるので、電子メールを開封するとともに、添付された楽曲データを開封し、この開封された楽曲データを再生するアプリケーションを起動するという手間を省くことができる。」(第8頁右欄第47行-第9頁左欄第11行)

これらの記載から引用刊行物1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「通信ネットワークに接続された送信端末から該通信ネットワークに接続された受信端末に、画像データを含む電子メールに楽曲データ(MIDIデータ)、音声データを添付して配信する電子メール配信システムにおいて、
前記送信端末から前記受信端末への画像データを含む電子メールに、配信すべき楽曲データが添付されると共に、受信端末が楽曲データの楽音を発生するために利用する楽音発生プログラムが添付され、
受信端末において楽音発生プログラムを実行して楽曲データ(MIDIデータ)を再生する、電子メール配信システム。」

(2)対比
本願補正発明と引用発明を対比すると、
引用発明の「通信ネットワーク」、「送信端末」、「受信端末」及び「楽曲データ」は、それぞれ、本願補正発明の「ネットワーク網」、「データ送信装置」、「データ受信装置」及び「音楽データ」に相当する。
また、引用発明において画像データは電子メールに含まれており、画像データは電子メールに「添付」されているということができる。
また、引用発明の電子メールに添付される画像データ、音楽データ(楽曲データ)、音声データはそれぞれ「コンテンツ」ということができ、したがって、引用発明のコンテンツを含むメールを配信する「メール配信システム」は本願補正発明の「コンテンツ配信システム」に相当する。

したがって、両者は
「ネットワーク網に接続されたデータ送信装置から該ネットワーク網に接続された1のデータ受信装置にコンテンツを配信するコンテンツ配信システムにおいて、
前記データ送信装置から前記データ受信装置への電子メールに、配信すべき音楽データや画像データを含むコンテンツが添付される、
コンテンツ配信システム。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1
本願補正発明は、ネットワーク網に接続された1または複数のデータ受信装置にコンテンツを配信するコンテンツ配信システムであるのに対して、引用発明はネットワーク網に接続された1のデータ受信装置にコンテンツを配信している点。

相違点2
本願補正発明は、コンテンツを配信するコンテンツ配信システムであって、電子メールに配信すべき音楽データや画像データに加え、CMデータやスケジュールデータも含むコンテンツが添付されているの対して、引用刊行物1には、電子メールに添付されているコンテンツにCMデータやスケジュールデータも含む点について記載がない点。

相違点3
本願補正発明は、電子メールに、データ受信装置において該コンテンツに対して実行されるべき処理コマンドが記述されているのに対して、引用発明では電子メールに、データ受信装置においてコンテンツに対して実行されるべきプログラムが添付されている点。

相違点4
本願補正発明では、データ受信装置には、前記電子メールの受信から前記コンテンツの処理が正常に終了した場合には前記データ送信装置に対して正常終了した旨の電子メールを送信し、前記電子メールの受信から前記コンテンツの処理が正常に終了できなかった場合には前記データ送信装置に対して異常終了した旨の電子メールを送信する制御手段が設けられているのに対して、引用刊行物1にはこの点について記載がない点。

(3)当審の判断
以下、上記相違点について検討する。
相違点1について
引用発明も1つのデータ受信装置にコンテンツを配信しており、本願補正発明はこの点において引用発明と一致する構成を有しており、両者は実質的に差異はない。
更に、メール、コンテンツ等を配信するに際して、複数の受信装置に配信することは周知であって格別のことではない。

相違点2について
メールに添付するコンテンツをどのようなものとするかは当業者が必要に応じて適宜に決定し得る設計的事項であって、引用発明に記載された音楽データや画像データに加えて、メールに添付するコンテンツとしてCMデータ、スケジュールデータ等を含ませることは当業者が適宜になし得ることである。
また、メールのコンテンツにスケジュールデータを含ませることは、特開平6-77992号公報(第2頁【請求項1】、第3頁段落【0011】〜【0014】、図8)、特開平8-83224号公報(第2頁【請求項4】、第4頁段落【0017】〜【0020】、第5頁段落【0030】、図5)に記載されている様に周知であって格別のことではない。
したがって、引用発明において、電子メールに配信すべき音楽データや画像データに加え、CMデータやスケジュールデータも含むコンテンツを添付することは、当業者が適宜になし得ることである。

相違点3について
引用発明にはデータ受信装置において、電子メールに添付されたプログラムを利用してコンテンツである音楽データを再生すること、即ち、データ受信装置に当該プログラムによりコンテンツを処理する手段を設けコンテンツに対して当該プログラムにより処理を実行することが記載されている。
そして、一般にデータ等を処理するためにコマンドを使用することは慣用手段であって、処理対象も必要に応じて選択し得るものである。
したがって、引用発明のプログラムに代えてコマンドを採用し、「電子メールにデータ受信装置において該コンテンツに対して実行されるべき処理コマンドを記述」する構成とすることは当業者が適宜になし得ることである。

相違点4について
メールの受信装置において、メールを受信してメールのコンテンツの処理である印刷が正常に終了した場合には正常終了した旨の電子メールをメールの送信装置に送信し、正常に終了できなかった場合にはエラーである旨の電子メールをメールの送信装置に送信する手段を設けることは、特開平6-77994号公報(第2頁【請求項1】、【請求項2】,図2)、特開平8-130554号公報(第2頁、【請求項1】)、特開平5-2541号公報(第3頁段落、【0023】【0024】)に記載されている様に周知であるから、引用発明に適用して、引用発明のデータ受信装置に、電子メールの受信から前記コンテンツの処理が正常に終了した場合には前記データ送信装置に対して正常終了した旨の電子メールを送信し、前記電子メールの受信から前記コンテンツの処理が正常に終了できなかった場合には前記データ送信装置に対して異常終了した旨の電子メールを送信する制御手段を設けることは当業者が容易になし得ることである。

そして、本願補正発明のように構成したことによる効果も引用発明及び周知技術から予測できる程度のものである。

なお、審判請求人は審判請求理由(平成15年12月5日付手続補正書)2.(1)「(II)引用文献2と本願発明との対比」において、本願補正発明と”引用文献2”即ち、上記引用刊行物1(特開平11-203217号公報)との相違について、引用刊行物にはスケジュールデータを電子メールに添付し、このスケジュールデータに基づいてデータの読み出し等を実行するという本願発明の構成については何らの記載も示唆すらもない旨主張しているが、本願補正発明には、スケジュールデータを電子メールに添付すること、データ受信装置においてコンテンツの処理結果について電子メールを送信することについては記載があるが、当該スケジュールデータがどのようなものであるのかについて記載されておらず、データ受信装置においてコンテンツに対して処理を行うことについても具体的記載はなく、どのような処理がなされるのか不明であり、また、データ受信装置において当該スケジュールデータをどのように使用するかについても一切記載がないから、審判請求人の主張は本願補正発明の構成に基づかない主張である。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおりであるから、本件補正は特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成15年12月5日付手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年8月7日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「ネットワーク網に接続されたデータ送信装置から該ネットワーク網に接続された1または複数のデータ受信装置にコンテンツを配信するコンテンツ配信システムにおいて、
前記データ送信装置から前記データ受信装置への電子メールに、配信すべき音楽データや画像データに加え、CMデータやスケジュールデータ等も含むコンテンツが添付されると共に、データ受信装置において該コンテンツに対して実行されるべき処理コマンドが記述され、
前記データ受信装置には、受信した前記電子メールに記述された前記処理コマンドを実行して、添付された前記コンテンツを処理する手段が設けられていることを特徴とするコンテンツ配信システム。」

(1)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物及びその記載事項は、前記「2.(1)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明の「CMデータやスケジュールデータも含む」との記載を「CMデータやスケジュールデータ等も含む」とし、本願補正発明の「前記データ受信装置には、前記電子メールの受信から前記コンテンツの処理が正常に終了した場合には前記データ送信装置に対して正常終了した旨の電子メールを送信し、前記電子メールの受信から前記コンテンツの処理が正常に終了できなかった場合には前記データ送信装置に対して異常終了した旨の電子メールを送信する制御手段が設けられている」との限定を、当該限定をする前の「前記データ受信装置には、受信した前記電子メールに記述された前記処理コマンドを実行して、添付された前記コンテンツを処理する手段が設けられ、前記電子メールを正常に受信できた場合に前記データ送信装置に対して受領確認のための電子メールを送信する手段が設けられている」とし、更に、請求項2に記載された「前記データ受信装置には、前記電子メールを正常に受信できた場合に前記データ送信装置に対して受領確認のための電子メールを送信する手段が設けられている」とする事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含みさらに限定を付したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(3)」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明(請求項1に係る発明)は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願はその余の請求項について論及するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-06-26 
結審通知日 2006-07-04 
審決日 2006-07-18 
出願番号 特願2000-139623(P2000-139623)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 緑川 隆  
特許庁審判長 大野 克人
特許庁審判官 山崎 慎一
和田 志郎
発明の名称 コンテンツ配信システム  
代理人 綿貫 隆夫  
代理人 堀米 和春  

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