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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01F |
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管理番号 | 1143074 |
審判番号 | 不服2002-9605 |
総通号数 | 82 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-11-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-05-29 |
確定日 | 2006-09-06 |
事件の表示 | 平成 5年特許願第142894号「下扱き式脱穀機の機体補強装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年11月29日出願公開、特開平 6-327337〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 ・本願発明 本願は、平成5年5月20日の出願であって、平成14年4月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年5月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年6月25日付けで明細書を補正する手続補正書が提出されたものであり、その請求項1に係る発明は、同年6月25日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、本願の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの次のものと認める。(以下「本願発明」という。) 「穀稈供給口(2)を形成する前機壁(1)の奥側部に、その穀稈供給口(2)の相当高さ部位から上方部にわたる幅広の取付板体(3)を固着し、該取付板体(3)に脱穀部(A1)と一体化した選別部(A2)のフレ-ム枠(30)の下部から前機壁(1)にそって立設する補強柱(4)の上端部を連結するとともに、該前機壁(1)に扱胴軸の伝動ボックス(25)を固設し、その伝動ボックス(25)に前機壁(1)にそって横設し扱胴軸に回転動力を伝達する駆動軸内装の駆動ケ-ス(24)を連結して構成したことを特徴とする下扱き式脱穀機の機体補強装置」 2 引用刊行物記載の発明 原査定の拒絶の理由で引用された本願出願前に頒布されている刊行物である、実願昭57-199797号(実開昭59-98747号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という)には、「脱穀機における側壁構造」に関して以下の記載がある。 (イ)「本考案は脱穀機における側板構造に関する。すなわち、機体側板が1枚のものの場合にその補強を簡単な構造にして強力にすることができ、しかも製作が容易となり、また、側板の外方側に配設するプーリー等の各部を補強兼用の枠板により強度充分にして良好に支持できる...」(明細書1頁14行〜2頁1行) (ロ)「第1図は脱穀機の一部の側面図を示し、フィードチェン等の図示を省略したが、扱胴(10)、2番スロワー(11)、吸引俳塵機(12)その他を具備した自走自脱用の脱穀機で、前方側下方内部にはエンジン側より伝動する伝動ケース(13)を装設し、入口側の側板(1)に形成した開口(14)を通して伝動ケース(13)側のプーリー(15)よりベルト(16)を介して脱穀機に伝導するよう装設し構成するするものである。穀桿供給口となる穀桿通過口(3)を形成した入口側の側板(1)を1枚板にして組付構成する...」(明細書2頁5行〜16行) (ハ)「...補強枠(2d)を上部が補強枠(2c)の下面に、側部が両補強枠(2a)(2b)の端部に衝合するとともに穀桿通過口(3)の先端側近傍に縦にして、それぞれの両端屈折縁(17)(17)を側板の外側にスポット溶接で固着して構成する。(4)は平板製の補強枠板で、それぞれ近接する部分となる各補強枠(2c)(2d)(2a)(2b)の部分にまたがってそれらの外側に接合させるともに各補強枠に対してそれぞれボルト(8)を介して固定する...」(明細書2頁20行〜3頁10行) (ニ)「したがって、1枚の側板(1)には各補強枠(2a)(2b)(2c)(2d)を外面に接着するので、機体内部の各部を支持することになる側板(1)を補強構造にすることができ、さらに、各補強板にまたがって補強枠板(4)を固定するので一層、強度を大にすることができ、...」(明細書4頁4行〜9行) (ホ)「このように本考案は、機体側板の外面には横断面コ状の細長い各補強枠を穀桿通過口の上下位置や上方位置に横方向にしたりまた縦方向にしてそれぞれ溶接により接着し、各補強枠の一部にまたがってそれらの外面に接しボルト等によりそれぞれに固定して張設する補強枠板にはプーリーや軸メタルあるいはアームの支持部等を適宜配置して構成したから、1枚ものの側板であってもその外面に各補強枠を接着するとともに各補強枠の外面にまたがって補強枠板を張設することにより強力な補強構造にすることができ...」(明細書4頁15行〜5頁5行) (ヘ)引用例1に記載された「脱穀機における側壁構造」は、「自走自脱用の脱穀機」であって「2番スロワー(11)、吸引俳塵機(12)その他を具備」している事から(上記(ロ)参照)、脱穀部と一体化した選別部を有しているものと認められる。 これらの記載および第1図〜第4図を参照すると、引用例1には、次の発明が記載されているものと認められる。かっこ内は対応する引用例1における構成・用語である。 「穀稈供給口(穀桿通過口3)を形成する前機壁(入口側の側板1)の奥側部に、その穀稈供給口の相当高さ部位から上方部にわたる幅広の取付板体(補強枠板4)を固着し、該取付板体に脱穀部と一体化した選別部の前機壁にそって立設する補強柱(補強枠2d)の上端部を連結した下扱き式脱穀機の機体補強装置」(以下「引用発明」という。) 3 対比 本願発明と引用発明を対比すると,両者は「穀稈供給口を形成する前機壁の奥側部に、その穀稈供給口の相当高さ部位から上方部にわたる幅広の取付板体を固着し、該取付板体に脱穀部と一体化した選別部の前機壁にそって立設する補強柱の上端部を連結した下扱き式脱穀機の機体補強装置。」 の点で一致し、次の点で相違している。 相違点1:本願発明では、補強柱が脱穀部と一体化した選別部のフレーム枠の下部から立設しているのに対して、引用発明のものは補強枠を選別部のフレーム枠の下部から立設させていることが明確でない点。 相違点2:本願発明では、前機壁に扱胴軸の伝動ボックスを固設し、その伝動ボックスに前機壁にそって横設し扱胴軸に回転動力を伝達する駆動軸内装の駆動ケ-スを連結しているのに対して、引用発明のものは、側板に配されたプーリーおよび伝導ベルト介して扱胴に回転動力を伝達する点。 4 当審の判断 上記相違点1について検討するに、引用例1には補強柱を脱穀部と一体化した選別部のフレーム枠の下部から立設させる点について明示はされてないものの、ケーシング構造は側板の他にフレーム枠を有することが一般的であることから、引用発明においても脱穀機と一体化した選別部の下部にフレーム枠が配されているものと考えるのが自然であるし、仮にこうした構成がないものとしても、脱穀機と一体化した選別部の下部にフレーム枠を配することは、当業者が適宜採用することができる事項といえる。 上記相違点2について検討するに、前機壁に扱胴軸の伝動ボックスを固設し、その伝動ボックスに前機壁にそって横設し扱胴軸に回転動力を伝達する駆動軸内装の駆動ケ-スを連結させることは、周知技術に過ぎない(実願昭58-110598号(実開昭60-17653号)のマイクロフィルム参照)。 したがって、引用発明における動力伝達機構として当該周知技術を採用して、相違点2に係る本願発明の構成を得ることは、当業者が容易に想到し得たものというべきである。 そして本願発明と引用発明は、作用効果において格別の差異を奏するものではない。 5 むすび 以上のとおり,本願発明は,引用発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-04-27 |
結審通知日 | 2006-05-23 |
審決日 | 2006-06-30 |
出願番号 | 特願平5-142894 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A01F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 西田 秀彦 |
特許庁審判長 |
木原 裕 |
特許庁審判官 |
宮川 哲伸 柴田 和雄 |
発明の名称 | 下扱き式脱穀機の機体補強装置 |