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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B60R
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B60R
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B60R
管理番号 1143077
審判番号 不服2003-6978  
総通号数 82 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-04-24 
確定日 2006-09-06 
事件の表示 平成10年特許願第329533号「内装材及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成11年9月28日出願公開、特開平11-263170〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成10年11月19日(優先権主張平成9年11月21日)の出願であって、平成15年3月18日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付けで手続補正がなされ、その後、当審において、平成18年4月4日付けで最後の拒絶理由を通知したところ、同年6月5日付けで手続補正がなされたものである。

第2.平成18年6月5日付けの手続補正について
[補正却下の決定の結論]
平成18年6月5日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1.補正後の本願発明
平成18年6月5日付けの手続補正(以下、「本件手続補正」という。)は、平成15年2月20日付けの手続補正書及び平成15年4月24日付けの手続補正書により補正された明細書を補正しようとするものであって、本件手続補正により補正しようとする請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は次のとおりである。
「【請求項1】融点200℃以下の低融点繊維を混合した熱可塑性フェルトからなるクッション層と該クッション層表面に貼着されている表皮材とからなり、該クッション層と該表皮材とは接着面にホットメルト接着剤粉末分散液をスプレーすることによって点状に散在されている接着剤層によって接着されていることを特徴とする内装材」

上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「クッション層」について、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した技術的事項に基づいて「融点200℃以下の低融点繊維を混合した熱可塑性フェルトからなる」との限定を付加するものであるから、新規事項を追加するものではなく、特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、上記の本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.引用例とその記載事項
当審において通知した平成18年4月4日付けの最後の拒絶理由で引用した、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開平9-125028号公報(以下、「引用例」という。)には、「熱接着布およびその製造方法」に関して、図1〜4とともに次の事項が記載されている。

ア.「【0002】
【発明の背景】例えば自動車の内装材は基材にホットメルト接着剤シートを裏打ちした表皮材を熱接着することによって製造される。該表皮材は例えば繊維編織物、不織布等である。しかし該表皮材にホットメルト接着剤シートを裏打ちすると基材との熱接着の際に接着圧が面的に及ぼされるから有効かつ均一に働かず、したがって大きな接着力が必要であり、また接着むらの生ずるおそれがある。更に該ホットメルト接着剤シートにより表皮材の通気性が阻害されて防音性が低下するし、接着時に表皮材と基材との間に空気が閉じ込められてしまうと言う問題点もある。
【0003】
【従来の技術】上記ホットメルト接着剤シートを使用するための問題点を解決する手段として、最近はホットメルト接着剤粉末を表皮材裏面に斑点状に塗布した熱接着布が提供されている。上記熱接着布によれば接着圧は点的に及ぼされるから有効かつ均一に働き、また表皮材の通気性も阻害されない。」

イ.「【0006】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図1〜図4に示す。・・・該基布(1) はロール(2) から引き出されて裏面(上面)にはスプレーガン(3) によってホットメルト接着剤粉末分散液(4) がスプレーされる。」

ウ.「【0010】上記ホットメルト接着剤粉末分散液のスプレー塗布量は通常固形分として5〜40g/m2である。上記曳糸性増粘剤を使用したホットメルト接着剤粉末分散液は曳糸性のある構造粘性を有するので、スプレーするとミスト状に分散されず、団塊状飛沫になって被塗面に付着する。このような団塊状飛沫は被塗面にけばがあってもけばの間に入り込まず、けば表面に付着する。したがって乾燥後は被塗面表面にホットメルト接着剤粉末が効率良く付着した状態が得られる。
【0011】上記したように基布(1) の裏面にホットメルト接着剤粉末分散液(4) をスプレー塗布した後、該基布(1) は乾燥室(5) 内に導入されて加熱乾燥せしめられる。該加熱乾燥の条件は通常使用されるホットメルト接着剤の融点以上の温度で100〜150℃、1〜5分程度である。該基布(1) に熱硬化性合成樹脂が含浸されている場合は上記加熱乾燥の時点で該熱硬化性合成樹脂を硬化させてもよい。
【0012】このようにして図2に示すように基布(1) の裏面にホットメルト接着剤(6) が斑点状に塗布された熱接着布(7) が製造される」

エ.「【0014】図2に示すような裏面に斑点状にホットメルト接着剤(6) が塗布された基布(1) からなる熱接着布(7) は例えば自動車内装材の表皮材として基材(8) に接着される。該基材(8) としては例えばレジンボード(繊維を合成樹脂をバインダーとして結着したフェルト)、ダンボール、ポリスチレン発泡体、合成樹脂含浸ポリウレタン発泡体、硬質ポリウレタン発泡体、合板、ハードボード、パーチクルボード、繊維補強ポリエステル樹脂(FRP)ボード、表皮材に使用される繊維と同様な繊維あるいはガラス繊維、セラミック繊維、ロックウール等の無機繊維をポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、フッ素樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリアミド、熱可塑性ウレタン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体等の熱可塑性合成樹脂やウレタン樹脂、メラミン樹脂、熱硬化型アクリル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、レゾルシン樹脂、アルキルレゾルシン樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化型ポリエステル等のような熱硬化性合成樹脂によって結着した繊維ボード等が使用される。そして該基材(8) に該表皮材(熱接着布(7) )を接着するには図3に示すように上型(9) と下型(10)とからなる圧着型(11)が使用される。該基材(8) は該表皮材(7) を圧着する前に成形されてもよいし、また該表皮材(7) を圧着すると同時に成形されてもよいし、更に表皮材(7) を圧着した後に成形されてもよい。このようにし例えば図4に示すような自動車のサンシェード(12)が製造され、該サンシェード(12)は該基材(8) と該表皮材(熱接着布(7) )とからなる。」

上記記載事項ア〜エの記載を総合すると、引用例には、
「基材(8)と該基材(8)表面に貼着されている基布(1)とからなり、該基材(8)と該基布(1)とは接着面にホットメルト接着剤粉末分散液をスプレーすることによって点状に散在されている接着剤層によって接着されている内装材」
の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

3.発明の対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「基布(1)」は、自動車内装材の表皮材であるから(記載事項エ参照)、本願補正発明の「表皮材」に相当する。
引用発明の「基材(8)」は、自動車内装材の基材であり、その材質からみても(記載事項エ参照)、クッション性を有するものと認められるから、本願補正発明の「クッション層」に相当する。

したがって、両者は、
【一致点】
「クッション層と該クッション層表面に貼着されている表皮材とからなり、該クッション層と該表皮材とは接着面にホットメルト接着剤粉末分散液をスプレーすることによって点状に散在されている接着剤層によって接着されている内装材」
に係る発明である点で一致し、次の点で相違する。
【相違点】
クッション層に関して、本願補正発明では、「融点200℃以下の低融点繊維を混合した熱可塑性フェルトからなる」と限定しているのに対し、引用発明では、そのような限定がない点。

4.当審の判断
上記相違点について検討する。
内装材のクッション層として融点200℃以下の低融点繊維を混合した熱可塑性フェルトからなるものは従来周知のものであるから(例えば、特開平8-188947号公報の〔比較例2〕、特開平8-300533号公報、特開平6-238791号公報参照。)、引用発明において、基材(8)(クッション層)を融点200℃以下の低融点繊維を混合した熱可塑性フェルトからなるものとし、上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることに格別の技術的困難性があるとは認められない。
また、上記相違点で指摘した構成を備える本願補正発明の作用効果は、引用例の記載事項及び上記周知技術から、当業者であれば予測できる程度以上のものではない。

よって、本願補正発明は、上記引用発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.むすび
以上のとおり、本件手続補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反するので、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
平成18年6月5日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1〜4に係る発明は、平成15年4月24日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された事項により特定されるものと認められるが、そのうち請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「【請求項1】クッション層と該クッション層表面に貼着されている表皮材とからなり、該クッション層と該表皮材とは接着面にホットメルト接着剤粉末分散液をスプレーすることによって点状に散在されている接着剤層によって接着されていることを特徴とする内装材」

2.引用例とその記載事項
当審において通知した平成18年4月4日付けの最後の拒絶理由で引用した引用例とその記載事項は、前記「第2.2.引用例とその記載事項」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、前記第2.で検討した本願補正発明から、「クッション層」についての限定事項である「融点200℃以下の低融点繊維を混合した熱可塑性フェルトからなる」との構成を省くものであり、この限定事項は、本願補正発明と引用発明との唯一の相違点である。
そうすると、本願発明と引用発明とは、「クッション層と該クッション層表面に貼着されている表皮材とからなり、該クッション層と該表皮材とは接着面にホットメルト接着剤粉末分散液をスプレーすることによって点状に散在されている接着剤層によって接着されている内装材」に係る発明である点で一致し、相違するところはない。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3項に該当し、特許を受けることができない。
そして、このような特許を受けることができない発明を包含する本願は、本願の請求項2〜4に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-06-28 
結審通知日 2006-07-04 
審決日 2006-07-18 
出願番号 特願平10-329533
審決分類 P 1 8・ 113- WZ (B60R)
P 1 8・ 575- WZ (B60R)
P 1 8・ 121- WZ (B60R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 島田 信一  
特許庁審判長 鈴木 久雄
特許庁審判官 永安 真
柴沼 雅樹
発明の名称 内装材及びその製造方法  
代理人 宇佐見 忠男  

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