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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1143135
審判番号 不服2004-2183  
総通号数 82 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-04-05 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-02-05 
確定日 2006-09-07 
事件の表示 特願2000-289001「建設機械の配備計画装置及びシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 4月 5日出願公開、特開2002- 99589〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成12年9月22日の出願であって、平成15年12月22日付で拒絶査定がされ、これに対し、平成16年2月5日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、平成16年3月2日付で手続補正がなされたものである。

第2.平成16年3月2日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年3月2日付の手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】 レンタル会社等の各拠点における建設機械の配備計画を行うための装置であって、
各拠点に配備される建設機械の台数を、少なくとも該拠点、該建設機械の機種及び仕様を含むパラメータ毎に入力するための入力部と、
上記入力部によって入力された上記パラメータ毎の建設機械の台数を予め記憶しておく配備台数記憶手段を備えたメモリと、
各拠点からレンタルされる建設機械について、該建設機械がレンタル先の現場にいる時間又はレンタル元の駐機場から離れている時間を検出するための手段によって検出された時間に基づく貸出時間を上記メモリに書き込む情報書込手段と、
上記情報書込手段によって上記メモリに書き込まれた貸出時間を建設機械毎に収集する貸出時間収集手段と、
上記貸出時間収集手段によって収集された貸出時間を建設機械の上記パラメータ毎に合計する貸出時間合計手段と、
上記貸出時間収集手段によって上記パラメータ毎に合計された貸出時間を上記配備台数記憶手段に記憶された上記パラメータ毎の建設機械の台数で除算することにより、建設機械1台当たりの貸出率を上記パラメータ毎に算出する貸出率算出手段と、
上記貸出率算出手段によってパラメータ毎に算出された貸出率を提示する貸出率提示手段とを設けたことを特徴とする建設機械の配備計画装置。」と補正された。

上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「装置」について「少なくとも該拠点を含むパラメータ毎に入力するための入力部」の記載から、「少なくとも該拠点、該建設機械の機種及び仕様を含むパラメータ毎に入力するための入力部」と、パラメータについて限定を付加するものであり、 また、「所定期間内における貸出時間」の記載から、「該建設機械がレンタル先の現場にいる時間又はレンタル元の駐機場から離れている時間を検出するための手段によって検出された時間に基づく貸出時間」と貸出時間を限定するものであるから、特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.引用例
(1)原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第00/55827号パンフレット(2000年9月21日国際公開日、以下、「引用例」という。)には、下記ア〜セの事項が開示されている。

ア.「 端末21は端末11、12…に対応して設けられたサーバ端末であり、インターネット2に接続されている。サーバ端末21はデータベースつまり記憶手段を備えている。」(15頁17〜19頁)

イ.「 端末11、12、サーバ端末21、22にはコンピュータの入力装置(マウス、トラックボール、キーボードなど)が設けられているとともに、液晶、CRTなどで構成された表示装置が設けられている。この表示装置の表示画面については後述する。」(16頁29行〜17頁32行)

ウ.「 サーバ端末21には、上記通信状態情報データおよび全移動体情報データMDに従ってホームページの該当する表示画面のデータを更新するホームページ更新処理プログラムが記憶、格納されている。このホームページ更新処理プログラムが実行されることによってホームページの該当する表示画面の移動体情報が、サーバ端末21に記憶されている最新の全移動体情報MDにしたがって更新されるとともに、ホームページの該当する表示画面の通信状態情報が、サーバ端末21に記憶されている現在の通信状態情報にしたがって更新される。なお時系列データ(図29に示す燃料量の時系列データなど)については最新のデータが付加されるとともに最古のデータが消去される。」(20頁4行〜12行)

エ.「 ところで建設機械は高価であるためレンタルに供されることが多い。建設機械のレンタルはグループレンタルという制度がとられている。これは建設機械には種々の機種があるため(小型の油圧ショベル、中型の油圧ショベル、大型の油圧ショベル等々)、これら多岐に渡る機種の建設機械を複数の営業所で共有するという制度である。このため、ある営業所で顧客から特定機種のレンタルの要請があり該当する機種の建設機械がなかった場合には他の営業所からその特定の機種の建設機械を融通してもらうことができビジネスチャンスを逸してしまうことがない。
顧客のレンタル要請に応えるためには、各営業所毎に、建設機械の入出庫の管理を確実に行う必要がある。つぎに入出庫を管理する実施形態について説明する」(79頁27行〜80頁7行)

オ.「 以下車両31を代表させて車両31が出庫する場合の動作について説明する。
図9、図10で既に説明したように車両31の位置はGPSアンテナ59を介してGPSセンサ57で検出される。GPSセンサ57の検出結果は通信コントローラ54に入力される。通信コントローラ54では車両31の検出位置と、各営業所130、131、132の入出庫エリアの位置とが比較され、車両31が入出庫エリアから入出庫したか否かが判断される。」(81頁24〜29行)

カ.「この結果入庫エリア130aに入ったと判断されると、その時点で車両31を特定する識別符号(「車両31」)と、支店130を特定する識別符号(「西東京店」)と、「入庫」を示す識別符号とが(これらを「入庫情報」という)、発信データとして通信コントローラ54から通信端末56に送出される。そして通信端末56から衛星通信アンテナ58を介して上記入庫情報が記述された電子メールがサーバ端末21に自動発信される。」(82頁1〜11行)

キ.「 同図36に示すように車両31が「西東京店に入庫されました」という内容が「入庫時刻」とともにリアルタイムに表示される。この表示画面から管理者は車両31が「西東京店に入庫された」ということを知ることができ、顧客への手配を確実に行うことができる。」(82頁24〜27行)

ク.「このため図36に示すように端末11の表示装置の「入出庫画面」には、車両31が「南東京店に入庫されました」という内容が「入庫時刻」とともにリアルタイムに表示される。」(83頁4〜6行)

ケ.「 このようにして図36に示すように車両31の入出庫の最新の履歴がリアルタイムに表示される。また車両31以外の車両32についても同様な「入出庫画面」が得られ車両31の入出庫の最新の履歴がリアルタイムに表示される。このため車両31、32の入出庫の管理を誤り無く確実に行える。この結果ビジネスチャンスを逃すことがなく、営業収益が飛躍的に向上する。」(83頁25〜29行)

コ.「 また車両31が、レンタル先である顧客の作業エリア133に入ったと判断されると、その時点で車両31が作業現場133に搬入されたという搬入情報が、電子メールによってサーバ端末21に自動発信される。このため端末11の表示装置には、車両31が「作業現場133に搬入されました」という内容が「搬入時刻」とともにリアルタイムに表示される。
さらに車両31が、作業エリア133から出たと判断されると、その時点で車両31が作業現場133から搬出されたという搬出情報が、電子メールによってサーバ端末21に自動発信される。このため端末11の表示装置には、車両31が「作業現場133から搬出されました」という内容が「搬出時刻」とともにリアルタイムに表示される。
同様に車両31が作業現場134に入った場合または作業現場134から出た場合も同様にして、端末11の表示装置には、車両31が「作業現場134に搬入されました」または「作業現場134から搬出されました」という内容が表示される。このようにして車両31の搬入出の履歴が更新される。」(84頁1〜14行)

サ.「 また作業日報は、建設機械の使用者である工事会社のみならず、建設機械をレンタルするレンタル会社、中古の建設機械を販売する中古販売業者、建設機械を製造するメーカにとって有用な情報である。すなわちレンタル会社にとっては作業日報の履歴を把握することによって過酷な使用をする顧客とそうでない顧客とを判別することができ、顧客の管理に役立てることができる。また中古の建設機械を販売する中古販売業者にとっては作業日報の履歴を把握することによって建設機械の過去の使用時間、稼働率等を算定することができ、中古車価格の設定に役立てることができる。また建設機械を製造するメーカにとっては作業日報の履歴を把握することによって建設機械の耐久性を算定することができ、次期モデルの設計等に役立てることができる。
このためには作業日報の情報をリアルタイムに各端末から容易に入手できるようにすることが必要である。<中略>
すなわち車両31側から自動発信がなされサーバ端末21でその自動発信された「稼働マップ」、「日付」、「稼働時間」という移動体情報を受信すると、サーバ端末21ではその移動体情報によってホームページの「作業日報画面」を更新する処理を行う。」(92頁1〜29行)

シ.「 以上のようにして最新の作業日報が端末11の表示画面にリアルタイムに表示され、端末11の表示画面から容易に入手できるようになる。つまりオペレータに負担を課すことなく作業日報が正確に作成される。これにより工事会社は労務管理、作業日程管理を正確に行うことができる。
また端末11がレンタル会社に設けられている場合には、端末11の表示画面から作業日報の履歴を把握でき、過酷な使用をする顧客とそうでない顧客とを判別することができる。これにより顧客の管理に役立てることができる。たとえば過酷な使用をする顧客に対して警告を与えたりレンタルを許可しない決定を下すことができる。また作業日報の履歴を把握することによって車両31を殆ど稼働させていない顧客を見つけ、その顧客に対しては返却をアドバイスすることもできる。また作業日報の履歴を把握することによって車両31についてメンテナンスを行う時期を予測することができる。
また端末11が中古の建設機械を販売する中古販売業者に設けられている場合には、端末11の表示画面から作業日報の履歴を把握でき、建設機械の過去の使用時間、稼働率等を算定することができる。これにより中古車価格を適正に設定することができる」(93頁13〜28行)

ス.「また顧客へレンタルする期間毎に作業報告を作成する実施も可能である。つまりレンタル期間の単位で稼働マップを生成して「作業報告」を作成し、「作業報告画面」を更新してもよい。
ところで建設機械31をレンタルする場合には、レンタル期間の長さに応じた料金を設定して貸し出すのが一般的である。しかし同じ長さのレンタル期間であっても、建設機械31を長時間稼働させる顧客と、殆ど稼働させない顧客の両者が存在するのも事実である。この場合に両者に同一のレンタル料金を課金することは不公平であり合理的ではない。
そこでエンジン稼働時間の長さに応じて自動的に課金額を算出してもよい。
すなわちサーバ端末21では、車両31から自動発信された「稼働時間」というデータを受信して、現在までの稼働時間を累算する演算処理が行われる。一方稼働時間の累算値と課金額との対応関係は予め設定されている。そこで現在までの稼働時間の累算値に対応する課金額が、この対応関係から算出される。サーバ端末21では最新の課金額によってホームページの「作業日報画面」を更新する処理を行う。<中略>
上述した実施形態では単に稼働時間の累算値に応じて課金額を算出している。」(94頁15〜95頁9行)

セ.「 また本実施形態では、主に建設機械を含む複数の移動体を管理、監視する場合を想定しているが、本発明としてはこれに限定されるわけではなく、一般の自動車、二輪車などを管理、監視する場合にも適用することができる。」(95頁29行〜96頁2行)

してみると、引用例には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「建設機械をレンタルするレンタル会社等において、建設機器を含む複数の移動体を管理、監視するための処理を行う装置であって、
入力装置、記憶手段を備え
多岐に渡る機種の建設機械を複数の各営業所毎に、建設機械の入出庫の管理を行い、レンタルされる建設機械の入出庫及び、作業現場への搬入搬出時刻を管理するものであって、車両の各営業所の入出庫エリアへの入出庫、及びレンタル先である作業現場への搬入出が判断され時刻と表示し、管理を行えるものであり、
稼働時間を受信して、現在までの稼働時間を累算する演算処理が行われるものであって
建設機械の過去の使用時間、稼働率等を算定することができるものである装置」

3.対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。

引用発明の「レンタル会社」の「各営業所」は、建設機械を管理する拠点であることから、本願補正発明の「レンタル会社等の各拠点」に相当する。
引用発明の、「入力装置」は、本願発明の「入力部」に相当し、
また、引用発明の「記憶手段」は、本願補正発明の「記憶手段を備えたメモリ」に相当し、引用発明は記憶手段を有しているので、この記憶手段に記憶するデータを書き込む情報書込ための手段を有していることは明らかである。

以上を踏まえると、本願補正発明と引用発明とは、次の一致点及び相違点が認められる。
[一致点]
「レンタル会社等の各拠点における建設機械にかかる値を求める処理を行うための装置であって、
入力部と、
記憶手段を備えたメモリと
メモリに書き込む情報書込手段と、
収集した時間を用いて、値を算出するものである
装置。」

[相違点]
(1)相違点1
本願補正発明は、建設機械の「配備計画を行うための装置」であって、「貸出時間」を対象とし、貸出時間を収集し、合計し、「貸出率」を求めるものであるのに対し、引用発明においては稼働時間を累算し、稼働率を算定する装置である点。

(2)相違点2
本願発明は、「各拠点からレンタルされる建設機械について、該建設機械がレンタル先の現場にいる時間又はレンタル元の駐機場から離れている時間を検出するための手段によって検出された時間に基づく貸出時間」を対象としているが、
引用発明においては、 入庫エリアへの入出庫時刻、および、レンタル先である顧客の作業エリアへの搬入出時刻を検出しているものである点。

(3)相違点3
本願補正発明においては、「少なくとも該拠点、該建設機械の機種及び仕様を含むパラメータ毎」に算出するものであって、
「各拠点に配備される建設機械の台数を、少なくとも該拠点、該建設機械の機種及び仕様を含むパラメータ毎に入力するための入力部と、上記入力部によって入力された上記パラメータ毎の建設機械の台数を予め記憶しておく配備台数記憶手段を備えたメモリと、各拠点からレンタルされる建設機械について、該建設機械がレンタル先の現場にいる時間又はレンタル元の駐機場から離れている時間を検出するための手段によって検出された時間に基づく貸出時間を上記メモリに書き込む情報書込手段と、上記情報書込手段によって上記メモリに書き込まれた貸出時間を建設機械毎に収集する貸出時間収集手段と、上記貸出時間収集手段によって収集された貸出時間を建設機械の上記パラメータ毎に合計する貸出時間合計手段と、上記貸出時間収集手段によって上記パラメータ毎に合計された貸出時間を上記配備台数記憶手段に記憶された上記パラメータ毎の建設機械の台数で除算することにより、建設機械1台当たりの貸出率を上記パラメータ毎に算出する貸出率算出手段と、上記貸出率算出手段によってパラメータ毎に算出された貸出率を提示する貸出率提示手段」の各手段を有するのに対し、
引用発明は、パラメータ毎に算出しているものではなく、また、入力部、記憶手段を備えたメモリ、メモリに書き込む情報書込手段を有しており、稼働時間をもとに稼働率等を算定することができるものの、その具体的な各手段については記載されていない点。

4.当審の判断
(1)相違点1について
対象物の利用の実績に基づいて、その利用の効率を考慮して、対象物の適性な配備の計画を行うことは、一般的に行われているビジネス手法である。
レンタル業務を対象としたビジネスでは、レンタル期間すなわち貸出時間を基に課金等を行うとともに、レンタル対象を管理するために、貸出時間により貸出の効率を検討してレンタル対象の配備計画等を検討することに特段の困難性はないのであるから、コンピュータシステムを用いて、貸出時間を算出してその値をもとに、単位あたりの貸出時間すなわち貸出率等により、貸出対象の配備計画を行うことは、当業者であれば容易になし得る事項であるといえる。
また、稼動している時間を対象とするか、貸出されている時間を対象とするかについては異なるものの、時間を計算の対象値とし、単位あたりの時間による率を求めている点で同等であるので、引用発明において、稼働率に替えて貸出率を算出することに、困難性は認められない。
したがって、引用発明を「配備計画を行う装置」に適用し、配備計画を行うために、「貸出時間」を対象とし、貸出時間を収集し、合計し、「貸出率」を算出するものとすることは、当業者であれば容易になし得る事項である。

(2)相違点2について
開始、終了時刻から、開始から終了までの時間を求めることは、一般的に行われている事項でもあり、コンピュータシステムを用いて、得られた開始および終了時刻から開始から終了までの時間を求めることは、必要に応じて行われている一般的な事項にすぎないものである。
したがって、レンタル先である顧客の作業エリアへの搬入出時刻および入庫エリアへの入出庫時刻を検出しているものである引用発明において、搬入から搬出まで、および、出庫から入庫までの時間すなわち、「該建設機械がレンタル先の現場にいる時間」または「レンタル元の駐機場から離れている時間」を検出する手段を有するものとし、概手段により「検出された時間に基づく貸出時間」を用いるとすることは当業者であれば容易になし得る事項である。

(3)相違点3について
ビジネスにおいて、営業所毎等のまとまり毎に管理を行いそのために必要な効率等の値をそれぞれに算出すること、また効率等の値を比較のため一台あたりなどの単位あたり値として求めることは、一般的に行われている業務上の手法である。
また、機械等のレンタル業において、複数の機種を有し、その機種ごとにさらに複数の仕様を有することはごく一般的な事項であり、建設機械のレンタル業において複数の機種、複数の仕様を有することも、顧客のニーズからすれば当然のことであり、その機種、仕様ごとにまとまりとして管理を行うとすることは業務上普通のことである。
そして、コンピュータシステムを用いて、効率の値を算出する際に、算出単位ごとに値を収集する手段、算出単位ごとに値を合計する手段、合計した値を算出単位ごとに単位量で除算して単位あたりの値を求める手段として用いることは、慣用手段にすぎない。
また、値を算出する算出単位をパラメータとすることは単なる取り決め事項であり、コンピュータシステムを用いて値を算出する際に、パラメータ毎に値を得て算出する構成とすることに技術的な困難性はなく、また、算出に必要な各値をあらかじめ記憶しておくことも一般的に行われている周知の事項にすぎない。コンピュータシステムの有する一般的な各手段である入力部、書込手段、および記憶手段等は、対象となる情報の内容によって技術的な特段の差異は無いものである。また、値等を提示する手段を有することは、コンピュータシステムが有する一般的な構成である。
そして、複数の、拠点毎、建設機器の機種毎、仕様毎のそれぞれを算出単位としてのパラメータとして設定し、各パラメータ毎に単位あたりの値、すなわち建設機械一台当りの効率である貸出率を求めるために、建設機械の台数を入力する入力部、該入力された建設機械の台数を予め記憶しておく配備台数記憶手段を備えたメモリ、レンタルされる建設機械について貸出時間をメモリに書き込む情報書込手段、貸出時間を建設機械毎に収集する貸出時間収集手段、貸出時間を合計する手段、算出された値を台数で除算することにより一台当りの率を求めるための手段等を用いて求めることは、当業者であれば容易になし得る事項にすぎない。
してみると、入力部、記憶手段を備えたメモリ、メモリに書き込む情報書込手段を有し、収集した稼働時間をもとに稼働率等を算定することができるものである引用発明を配備計画を行う装置に適用するに際し、具体的に、「各拠点に配備される建設機械の台数を、少なくとも該拠点、該建設機械の機種及び仕様を含むパラメータ毎に入力するための入力部と、
上記入力部によって入力された上記パラメータ毎の建設機械の台数を予め記憶しておく配備台数記憶手段を備えたメモリと、
各拠点からレンタルされる建設機械について、該建設機械がレンタル先の現場にいる時間又はレンタル元の駐機場から離れている時間を検出するための手段によって検出された時間に基づく貸出時間を上記メモリに書き込む情報書込手段と、
上記情報書込手段によって上記メモリに書き込まれた貸出時間を建設機械毎に収集する貸出時間収集手段と、
上記貸出時間収集手段によって収集された貸出時間を建設機械の上記パラメータ毎に合計する貸出時間合計手段と、
上記貸出時間収集手段によって上記パラメータ毎に合計された貸出時間を上記配備台数記憶手段に記憶された上記パラメータ毎の建設機械の台数で除算することにより、建設機械1台当たりの貸出率を上記パラメータ毎に算出する貸出率算出手段と、
上記貸出率算出手段によってパラメータ毎に算出された貸出率を提示する貸出率提示手段」を有する構成とすることは、当業者であれば容易になし得る事項である。

(4)まとめ
したがって、本願補正発明は、引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項において準用する同法126条5項の規定に違反するものであるから、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。

第3.本願発明について
平成16年3月2日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年11月21日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「 【請求項1】 レンタル会社等の各拠点における建設機械の配備計画を行うための装置であって、
各拠点に配備される建設機械の台数を、少なくとも該拠点を含むパラメータ毎に入力するための入力部と、
上記入力部によって入力された上記パラメータ毎の建設機械の台数を予め記憶しておく配備台数記憶手段を備えたメモリと、
各拠点からレンタルされる建設機械について、所定期間内における貸出時間を上記メモリに書き込む情報書込手段と、
上記情報書込手段によって上記メモリに書き込まれた貸出時間を建設機械毎に収集する貸出時間収集手段と、
上記貸出時間収集手段によって収集された貸出時間を建設機械の上記パラメータ毎に合計する貸出時間合計手段と、
上記貸出時間収集手段によって上記パラメータ毎に合計された貸出時間を上記配備台数記憶手段に記憶された上記パラメータ毎の建設機械の台数で除算することにより、建設機械1台当たりの貸出率を上記パラメータ毎に算出する貸出率算出手段と、
上記貸出率算出手段によってパラメータ毎に算出された貸出率を提示する貸出率提示手段とを設けたことを特徴とする建設機械の配備計画装置。」

1.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項は、前記第2 2.に記載したとおりである。

2.対比・判断
本願発明は、前記第2の項で検討した本願補正発明から、対象となるパラメータおよび貸出時間について限定を除いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を減縮したものに相当する本願補正発明が、前記第2 3.対比及び4.判断に記載したとおり、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたもので、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-07-06 
結審通知日 2006-07-11 
審決日 2006-07-24 
出願番号 特願2000-289001(P2000-289001)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 竹中 辰利小太刀 慶明  
特許庁審判長 田口 英雄
特許庁審判官 青柳 光代
佐藤 敬介
発明の名称 建設機械の配備計画装置及びシステム  
代理人 村松 敏郎  
代理人 小谷 悦司  
代理人 植木 久一  

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